現代美術×現代サーカス 束芋とヨルグ・ミュラーによる日仏共同製作の新作舞台「もつれる水滴」

日本の現代美術家・束芋と、フランスを拠点とするヌーヴォー・シルクのパフォーミングアーティスト、ヨルグ・ミュラー(Jörg Müller)との国際共同製作による舞台作品「もつれる水滴」が、4月28日に富山・オーバード・ホールを皮切りに、東京芸術劇場、山口情報芸術センター、那覇文化芸術劇場なはーとによる4館連携公演を開催する。以降は、フランスでのツアーが予定されている。同作はコロナ禍で長期にわたる遠隔クリエイションから始まり、2021年9月にフランス、12月に富山で滞在制作を終えて今回、世界初演を迎える。

現代美術家の束芋は、2011年第 54 回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館代表作家に選出される等、日本社会や個人の日常に潜む不条理性を炙り出すアニメーション映像が国内外で高く評価されていて、近年は舞台作品にも意欲的に取り組んでいる。同作ではアニメーションのあらたな投影方法を模索し、これまでにない角度からヨルグの緻密な技術にインスピレーションをもたらす。

パフォーマーのヨルグ・ミュラーは、近年進化を遂げる現代サーカスの中でも、ヌーヴォーシルク(現代サーカス)と呼ばれる、ジャグリングやダンス、演劇、音楽、美術等、多彩な要素が織り込まれたサーカスパフォーマンスの第一人者だ。創作の特徴は、ジャグリングで扱うオブジェと自身との関係性を極限まで研ぎ澄ませた、彫刻的ともいえる作品世界。吊り下げられた金属のパイプが交錯しながら宙を舞い、透きとおった音を奏でる「モビール」(1995年)、バッハを演奏するチェリストが加わり、天上の音楽を立ち上がらせる代表作「サラバンド」(2016年)は、従来のサーカスの概念を軽やかに超えるアートといえる。同作では、巨大なシーツと8つの滑車、映像の光を生き物のように操るジャグリングを見せると ともに、ダンサー間宮千晴との試行を重ねたコンタクトインプロヴィゼーションにより幻惑的な身体の哲学をあらわにする。

2人の全く異なる身体性へのアプローチは、長期にわたる考察を通して、絶妙のバランスを見出してきた。混沌の内から必然的に導きだされたイメージを招き入れ、1つの仕組みを解明する。

■「もつれる水滴」
富山公演
会期:4月28〜30日
会場:オーバード・ホール
住所:富山県富山市牛島町9-28
時間:4月28日18:30(開場)19:00(開演)、29日13:30(開場)14:00(開演)、30日13:30(開場)14:00(開演)
※4月29日公演のみ、公演終了後バックステージツアー開催(定員20名、要事前申込)
入場料:一般 ¥4,000、25歳以下 ¥2,000 ※未就学児童入場不可 ※車椅子席はアスネットカウンターのみ取扱い ※鑑賞時25歳以下対象。入場時に鑑賞者本人が年齢のわかる身分証提示
Webサイト:http://www.aubade.or.jp/

東京公演
会期:5月3〜5日
会場:東京芸術劇場 シアターイースト
住所:東京都豊島区西池袋1-8-1
時間:開演時間、チケット料金等詳細は、後日発表予定
Webサイト:https://www.geigeki.jp/

山口公演
会期:5月14、15日
会場:山口情報芸術センター「YCAM」スタジオA
住所:山口県山口市中園町7-7
時間:5月14日18:30(開場)19:00(開演)、15日13:30(開場)14:00(開演)、30日13:30(開場)14:00(開演)
※5月15日公演のみ、公演終了後バックステージツアー開催(定員20名、要事前申込)
入場料:一般 ¥3,000、any会員・特別割引 ¥2,500、25歳以下 ¥1,500、高校生以下¥500 (当日¥3,500)※未就学児童入場不可 ※当日券は各種割引の対象外 ※車椅子席:要事前問合せ
※特別割引:65 歳以上、障がい者および介護の同行者 1 名が対象
Webサイト:https://www.ycam.jp/

沖縄公演
会期:5月21、22日
会場:那覇文化芸術劇場なはーと 小劇場
住所:沖縄県那覇市久茂地3-26-27 那覇文化芸術劇場なはーと1階
時間:13:30(開場)14:00(開演)
※5月21日公演のみ、公演終了後バックステージツアー開催(定員20名、要事前申込)
入場料:一般 ¥3,000、24歳以下 ¥1,500 (当日¥500増) ※未就学児童入場不可 ※障害者割引あり(20%) ※24歳以下は公演当日、本人確認書類提示 ※障がい者介助者1名まで無料 ※24歳以下と障がい者割引チケットは、なはーとチケットサービスのみ取扱い
Webサイト:https://www.nahart.jp/

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TOKION EDITORIAL TEAM

2020年7月東京都生まれ。“日本のカッティングエッジなカルチャーを世界へ発信する”をテーマに音楽やアート、写真、ファッション、ビューティ、フードなどあらゆるジャンルのカルチャーに加え、社会性を持ったスタンスで読者とのコミュニケーションを拡張する。そして、デジタルメディア「TOKION」、雑誌、E-STOREで、カルチャーの中心地である東京から世界へ向けてメッセージを発信する。

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