原宿の「Gallery COMMON」が、アーロン・ファウラー(Aaron Fowler)、アレックス・アンダーソン(Alex Anderson)、エイプリル・ストリート(April Street)、デヴェンドラ・バンハート(Devendra Banhart)、エリン・デズモンド(Erin Desmond)、セイヤー・ゴメス(Sayre Gomez)等6人のアーティストによるグループ展「SYNTH」を7月1〜30日に開催する。

同展は、ロサンゼルスの多様な景観を共に探求し、精力的に表現してきたアーティスト等が集結。展示を通して、南カリフォルニア州の豊かな自然の地形や都市の視覚文化、映画のようなロマン主義を東京に紹介する役割も持つという。キュレーションは同地を拠点とするインディペンデントキュレーター「AMADOUR」が手掛ける。

アーロン・ファウラーは、捨てられた日用品を素材に巨大な作品を制作。アーロンは、ルーツであるアフリカ系アメリカの文化とヒップホップ文化を象徴する「靴」をモチーフにしている。今回の展示では、ヒップホップと原宿ファッションの結びつきに対するオマージュとして、長さ2メートルの靴を手掛けた他、原宿の近所で見つけた車“エルカミーノ”をもとに壁面彫刻を制作。車の部品を東京で調達したという同作品を、原宿の屋上で描いた街の空と建物の風景画によって補強している。

セイヤー・ゴメスとエリン・デズモンドは、ロサンゼルスの風景を描いてきた自分達の作品を通じて、原宿の街並みを描いた絵画に応答しようと試みる。ゴメスの作品がロサンゼルスの人工的な側面に視線を向けるのに対して、裸体がカリフォルニアの夕焼けや草木をアーチ状に囲うデスモンドの写真は、鑑賞者を自然へと引き戻す。


エイプリル・ストリートの作品は、デズモンドの写真作品に続き、ロサンゼルスの牧歌的な色調と呼応しながら、鮮やかな植物の生い茂る幻想的なジャングルを描く。一方、アレックス・アンダーソンはゴメスの見方に近く、一見かわいらしく見える彼の陶器にはよく見ると暗いモチーフが使われていて、大都市の華やかだけれども浅はかなライフスタイルについて考えさせる。


ベネズエラ系アメリカ人ミュージシャン兼アーティストのデヴェンドラ・バンハートは、社会と個人の関係を力強い図面で描いている。彼の情緒的で精神的な作品は、同展をまとめあげるマスターピースともいえる。

ロサンゼルスも原宿も、自由と自己表現の理想郷というステレオタイプの認識が根強く、今も多くの人々がインスピレーションを得るために、両都市に集まり続けている。外からの影響やインフラの変化によって急速に都市が変貌している中で、創造的な都市の核となるものが何なのかを再考することはこれまで以上に重要だ。同展は、アートを通して両都市を繋げ、鑑賞者に都市のあり方を考えるきっかけを与える。






(下段)Devendra Banhart、Erin Desmond、Sayre Gomez
■SYNTH
会期 : 7月1〜30日
場所 : Gallery COMMON
住所 : 東京都渋谷区神宮前5-39-6 B1F
時間 : 12:00〜19:00
休日 : 月曜、火曜