ISO, Author at TOKION - カッティングエッジなカルチャー&ファッション情報 https://tokion.jp/author/iso/ Tue, 27 Feb 2024 07:18:04 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.3.2 https://image.tokion.jp/wp-content/uploads/2020/06/cropped-logo-square-nb-32x32.png ISO, Author at TOKION - カッティングエッジなカルチャー&ファッション情報 https://tokion.jp/author/iso/ 32 32 マヒトゥ・ザ・ピーポー × 富田健太郎 映画『i ai』が記録する「生きた時間の痕跡」 「自分が死んだらお墓ではなく、作ってきたものに祈ってほしい」 https://tokion.jp/2024/02/27/mahito-the-people-x-kentaro-tomita/ Tue, 27 Feb 2024 09:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=225316 マヒトゥ・ザ・ピーポーの初監督作『i ai』を通してマヒトと主演の富田健太郎が何を感じたのか。

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『i ai』の主演の富田健太郎(左)と監督のマヒトゥ・ザ・ピーポー(右)

マヒトゥ・ザ・ピーポー
2009年 バンドGEZANを大阪にて結成。作詞作曲を行いボーカルとして音楽活動開始。うたを軸にしたソロでの活動の他に、青葉市子とのNUUAMMとして複数のアルバムを制作。映画の劇伴やCM音楽も手がけ、また音楽以外の分野では国内外のアーティストを自身のレーベル十三月でリリースや、フリーフェスである全感覚祭を主催。2019年には初小説『銀河で一番静かな革命』(幻冬舎)を出版。GEZANのドキュメンタリー映画『Tribe Called Discord』が全国上映開始。2020年1月5th アルバム『 狂KLUE』をリリース、豊田利晃監督の劇映画「破壊の日」に出演。初のエッセイ『ひかりぼっち』(イーストプレス)が発売。2023年2月にはGEZAN With Million WishCollective名義でアルバム『あのち」』をリリース。今作では初監督、脚本、音楽を担当。
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富田健太郎
1995年8月2日生まれ。東京都出身。主な出演作に、『サバイバルファミリー』(2017年/矢口史靖監督)、『モダンかアナーキー』(2023年/杉本大地監督)、ドラマ『来世ではちゃんとします』(2020年/テレビ東京)、ドラマ『前科者 -新米保護司・阿川佳代-』(2021年/WOWOW)、ドラマ『初恋、ざらり』(2023年/テレビ東京)、舞台『ボーイズ・イン・ザ・バンド ~真夜中のパー ティー~』(2020年)、舞台『雷に7回撃たれても』(2023年) などがある。本作オーディションで応募総数3,500人の中から主演に抜擢され、話題を集める。
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バンドGEZAN のフロントマンで、執筆や全感覚祭の主催など、独自の活動を続けるマヒトゥ・ザ・ピーポーが初監督を務めた映画『i ai(アイアイ)』が3月8日から公開される。

本作はマヒト監督の実体験をもとに、主人公のバンドマン・コウと、コウが憧れるヒー兄、そして仲間達が音楽と共に過ごした日々、出会いと別れなど、彼らの切実な時間が綴られていく。主人公コウ役には、“全感覚オーディション”と 銘打たれたオーディションで約 3,500 人の中から選ばれた富田健太郎を抜擢した。そして主人公の人生に影響を与え、カリスマ的な存在感を放つヒー兄役には森山未來を起用。そのほか、さとうほなみ、永山瑛太、小泉今日子、吹越満らが出演する。

マヒトと富田、2人は『i ai』を通して、何を感じ、何を伝えようとしているのか。公開を前に今の想いを語ってもらった。

※本作にはストーリーに関する記述が含まれます。

初の映画監督について

——『i ai』はファンタジー要素も交えた独創的な青春映画でとても初監督作品と思えない作品でしたが、どのような経緯でプロデューサーの平体さんと出会い、本作を制作するに至ったんでしょうか?

マヒトゥ・ザ・ピーポー(以下、マヒト):パンデミックで、いろんなやりとりがリモートでしかできない期間が結構あったじゃないですか。もちろん情報交換はできるんだけど、自分が音楽やライブで大事にしていた「体温のやりとり」の感覚がどんどんわからなくなっていて。かつその頃ってライブハウスやクラブが槍玉に挙げられたりして、自分が大切にしていた景色が歴史になっていく瞬間をリアルタイムで眺めているような気持ちがあったんですよね。

そんなことが重なって「記録すること」について自覚的になっていって脚本を書いたんです。この本が映画になる価値があるのかどうかを公平に試したかったので、知人のプロデューサーとかではなく偶然行きつけのカレー屋の常連だった面識のない平体さんに渡してみたってのが監督をするに至った流れですね。映画にする価値がないのに参加してもらっても意味がないので、瑛太君も未來さんも面識のない状態で純粋に脚本を読んでもらった上で出演の判断をしてもらいました。

 ——映画を撮ることと音楽を作ることは同じ創造といえど、使う筋肉が大きく違ったかと思いますが、初の映画監督の仕事はいかがでしたか?

マヒト:感覚としては自分が主催している「全感覚祭」っていう祭りと似ていましたね。いろんな関係性や委ねたものが立体的になっていく構造といいますか。監督は関わってくれる大勢の才能や輝く瞬間を引き出して、それを記録していくわけじゃないですか。自分の作品ではあるんだけど、自分だけの作品ではない立体感を待つ表現媒体で。

最近ラッパーのCampanellaと喋ってて、映画のことを訊かれた時に「良い映画だよ」って答えたら「自分の作品を褒めるの珍しいね」って言われたんです。確かにこれまでアルバムだったら「頑張って作ったよ」って答えてたんですけど、今回は素直に褒めることができたんですよね。それは内容の良し悪しの問題ではなく、半分は自分だけのものじゃない現象の記録だからだと思っています。それって「全感覚祭」もそうなんですけど、だって自分のパフォーマンスはどうあれ「全感覚祭」は素直に褒められるので。そこは性質が似てるんだろうなって、Campanellaに気付かされました。

——今回は森山さんや瑛太さんをはじめとする素晴らしいキャストを揃えつつ、主演の富田さんはオーディションで抜擢されましたよね。

マヒト:俺は勝負所の一番大事なものは結構外に委ねるようにしています。だからGEZANのメンバーが抜けた時とかも全部オーディションでやっているのもあって、この映画の主演もオーディションで決めようと。オーディションでは映画の最後の台詞を読んでもらったんです。この映画は詩を獲得していくグラデーションの話だと思っていたから、主演もまだ羽の生えてない役者が羽を手にしていくって過程を大事にしたくて。得た知識とか経験はもう消せないし、未來さんも瑛太君も、俺だって余白しかなかった最初の頃には戻れない。そんな中オーディションで富田を見た時に、上手い下手を超えて、羽を手にして外に飛び出していくヤツだと直感したのでコウを託すことにしたんです。

 ——富田さんは何がきっかけでオーディションに応募したんですか?

 富田健太郎(以下、富田):マヒトさんのインスタをフォローしていて、オーディション情報を知ったんです。その時の俺は金もないし、未来も見えないし、俳優としてすごく迷ってたんですよね。そんな時にマヒトさんが書いた映画のステートメントを読んで、その優しさとか切実さにすごく胸を打たれて「俺この人と出会いたい」って思ったのがきっかけですね。

——主演以外はどのように選んだんでしょうか?

マヒト:他のキャスティングは自分が求めてオファーしたんです。ヒー兄に関しては未來さんしか想像できなかったんですよね。未來さんと瑛太君が共演するのはドラマの『WATER BOYS』(2003)以来なんですけど「俺はもっと映画の中で未來と殴り合いたいんだ」って脚本を読んだ瑛太君に言われて。この映画は現実とファンタジーの境界が曖昧な作りになっているから、できるだけ制作の上でもそれが溶け出すような環境を作りたいと思っていたんですよね。だから瑛太君のその提案はすごく面白くて、久我って役がさらに膨らんでいきました。

ただ自分のイメージしてることを再現してもらうより、その人自身が自発的に選んだ行動や言葉の方が絶対に強いので。すべて自分のイメージ通りに撮る監督もいると思うんだけど、俺は自分の投げた詩がどういう風にその人の体を通って発せられるかを撮りたかったんです。意識したわけではないけど、後々考えるとそれがテーマだったんだなと思いますね。

主人公・コウを演じて

——久我のキャラクターはユニークですよね。マヒトさんと富田さんは演技の面でどのような話をされたんでしょうか?

マヒト:そもそも映画経験のない俺が演技のメソッドに基づいた指導ができるはずもないことは撮る前から意識してました。ただどう読めば上手く見えるかは捨て、 どうすれば台詞ではない真の言葉として向き合えるのか、富田自身の生き様とリンクしていく話だと思うから、その辺りの精神面の話は結構したよね。

富田:シーンごとにマヒトさんはその時々の心情や精神について教えてくれて、感覚的には理解できるんだけど、その場ですぐ咀嚼できない自分にいつも悔しさを覚えていました。ホテルに戻っても頭の中でずっとそのことについて考える日々で。それでもなかなかわからないけど、マヒトさんの言葉は1つ1つ魂に訴えかけてきましたね。楽しいシーンで僕自身も楽しんじゃってたんですけど、その夜マヒトさんは「心で泣いてくれ」って言葉を掛けてくれたりとか。

マヒト:そんなことを言った記憶はないから、多分酔っ払ってたよね(笑)。

富田:カメラマンの佐内(正史)さんにもいろいろと言われて、どうしたらいいんだろうって。きっと台詞を覚えて演じるってことだけではなく、生き様を映してもらうという自分の意識が浅かったんでしょうね。それでも周りが助けてくれるって甘い考えが佐内さんに見破られたんじゃないかな……。

マヒト:「一番具体性のある言葉が詩なんだ」って最近知った言語学者の言葉があるんですよ。詩って抽象的なものとして皆認識してるじゃないですか。でも例えば「これとあれは赤色です」って限定的に断定することは、異なるものをひとまとめにする暴力性を持つわけですよね。本当は微妙に違っていても、断定して呼ぶとそれでしかなくなっちゃって、それ以外の余白がなくなる。詩はそんな余白も含むから、俺も何かを伝えたい時は一番詩が具体性を帯びると思ってて。だから俺や佐内さんは、伝える時は細かくどうこうじゃなく、詩としか言いようのない言い方を選ぶんです。その余白部分は、その人自身が解釈するしかない。だから詩が読めない人は大変だったと思います。

富田:人生で一番自分と対話した期間でしたね。撮影が終わったら区切りがついて自分の生活に戻ると思ってたんですけど、あまりにもらったものが大きすぎて終わってからのほうがいろんな気持ちが膨らんでいきましたね。

マヒト:クランクアップした時の佐内さんはすごかったね。 全部撮影が終了して「お疲れ!」って喜んでたら、「どうせお前らはこれで忘れるだろうけど、ここで忘れるやつはダメだ !」って皆を刺して(笑)。1つの愛の手渡し方でその通りなんだけど。

富田:撮影の日々にはすごく感謝してるし、今でも宝物だし、 青春だなって本当に思えるような時間でしたけど、終わっても迂闊に喜べなかったです。

マヒト:喜んでいいんだけどね。俺は喜んでたし。この映画は最終的に現実に溶け出してきますけど、今生きてるのだってほとんどファンタジーみたいな変な世界じゃないですか。各地で戦争や災害が起きて、政治も滅茶苦茶で。もしかしたら映画の中で生きてた時間のほうが健全な時間かもしれない。 映画って2時間の逃避とも言える場所なんだけど、それが終わったらまた現実の中で暮らしが始まる。そんな映画と現実の曖昧なグラデーションを俺も感じてたので、佐内さんが撮影終了して終わりじゃないって皆を刺してたのは流石だなって思いましたね。佐内さんは脚本を読んでこないと撮影前は言ってて、プロデューサーを凍りつかせてたけど、それでいて本質を誰より掴んでるから当て勘がすごくて。面白い人です。

ヒイ兄のキャラクターは生産性へのカウンター

——映画と現実が溶け出す最後の独白部分は印象的でしたね。

マヒト:あの独白の中で「言葉になんかできないけど、言葉にしなくちゃ」って言ってますけど、 大体難しい議題にぶつかった時って、「わからない」ってことを答えにするじゃないですか。それってすごく楽で安全な方法で。結論を出す時に「わからない」や「迷い続ける」ことで批評されることを避けて曖昧にすることもできるんですけど、俺はその答えにもう飽きたんですよね。何かを言い切ることは、時に誰かを傷つける可能性も孕んでるけど、その覚悟は発する側として持たないといけない。未だに自分にとっても死やお別れって何なのかって簡単には言い切れないんですけど、言い切ることと大切にすることは同時にできると思っているので、必ず向き合って言葉にしないとって思ったんです。あの独白にはそういった意思表示も含まれているのかもしれないな。

——この映画は順撮りですか?

マヒト:順撮りです。

——では独白は最後に撮ったんですね。他の部分と表現の異なる、すごみのある演技で驚きました。

富田:オーディションでその部分を読んだことがスタートっていうのもあって、独白は最初から頭にありましたね。映画が始まってからその独白に辿り着くまでの、コウのストーリーが何なのかを撮影中ずっと考えてて。それが成り立たないと、独白もただの意味のない言葉になるじゃないですか。あの言葉を言っていたのがもう富田健太郎なのかコウなのかわからないんですけど、濃厚な日々の集大成としての台詞だったから、それまで皆で過ごした時間とか明石の匂いとかすごくいろんなものを込めて言い切りたくて。合ってるかはわからないけれど、今の俺が自分を生かすためにもこの言葉を言いたいって思いで演じましたね。

——本作はマヒトさんの実体験をベースに脚本を書かれたと伺いましたが、物語のキーになるヒー兄のキャラクターはどのように固めていったんでしょうか?

マヒト:ヒー兄のモデルとなったやっちゃん兄ちゃんは劇中と同じように亡くなってしまったんですが、そばにいないはずのやっちゃん兄ちゃんが結果的に自分達に映画を撮らせて、こんなにたくさんの人を巻き込んでいったわけですよね。最初に動かしたのは俺だけだったかもしれないけど、それって何万枚セールスとか何万人動員って数字にも負けてないと思うんです。数字は横の広がりばかりが評価されるけど、本当は縦の深度もありますよね。たった1人でも深みがえぐかったら、 薄く伸ばされた1万より価値があるかもしれないし。

そんな生産性へのカウンターみたいな気持ちもヒー兄のキャラクターのベースにはあって。音楽でも映画でも、表現をやってる人なら、そういう人ってきっといると思うんです。未來さんの中にもヒー兄に当たるような人物がいたって話も聞いてましたし。未來さんのその人物像と、俺のイメージが掛け合わされたものが映画の中のヒー兄になってるんだと思いますね。

——富田さんはそんな森山さんとご一緒していかがでしたか?

富田:単純に役者としての力も、その場にいる存在感も、伝える力もすべてがすごくて。その強い輝きを近くで見られたことは間違いなく自分の中でとても大きかったし、それは撮影の日々が終わった今も残ってるんですよ。ああいう背中を見れる経験ってなかなかないと思うので本当に感謝してますね。撮影時には咀嚼できなかった部分が私生活の中でふと「あれってこういうことなのか」ってわかることがあるんですけど、その度に背中がまたでかくなるんですよ。あの人達の言葉にはそういう思いも含まれていたんだって。だからどんどん感謝の念が深くなります。

マヒト:未來さんは空間掌握能力が異常だよね。ルーツがあるからだろうけど、自分がどう動くと空間がどう作用するかということに自覚的で。未來さんが出演した過去の作品を観ると、本人自身の芝居はもちろんですが、実はどれも未來さんの作品全体に向けた身体的なプロデュースが入ってて、それ故に作品の質が上がっていくことを現場を終えた自分は思っていました。

映画館とライブハウス、2つの聖域

——本作ではある種の聖域として映画館やライブハウスが登場しますが、この2つはマヒトさんにとってどういう意味を持つ場所なんでしょうか。

マヒト:映画館って関係ない人と一緒の時間を共有しながら、画面とだけ向き合うっていう他にない空間だと思うんですよね。暗闇の中に飲まれて、同じ方向を向いて、同じ映画を共有しているのにそれぞれは必ず「個」である場所って他に思いつかないじゃないですか。それが聖域っぽいなって。ライブハウスは逆だと思うんです。ノリとかの一体感だけじゃなくて、体の70パーセントを占める水分を汗や飛沫として出して、ものすごい大きな水や振動を共有してるというか。それは言葉とか音色以上に、交換している情報が大きいと思っています。パンデミック中にライブ配信とかたくさんあったけど、 観ているのは家だから全然ライブだと思えなかったのはそれが起因している。データ情報は飛んでくるんだけど、振動は共有できないじゃないですか。それはライブって場が奪われたような時期だからこそ思ったことなんですけど。だからライブハウスもまた違った角度を持つ聖域ですよね。

その2つは自分にとっては教会やお寺より祈りの場所だと思うんです。人生が詰まったものが残っている場所ってお墓よりも「お墓的」だなと思うし。だから俺は自分が死んでいなくなっても、お墓じゃなく『i ai』や俺が作ってきたものに祈ってほしい。骨なんかはそこら辺の砂と自分にとっては変わらないから。だったら自分が今放出している、生きた時間の痕跡が残ってるものに気持ちを向けてほしいですね。そこに自分はいるので。

——GEZANのカラーといえば赤色ですが、本作でも火や血、風船や服など至る所に赤が配色されていましたよね。同じく青色も印象的に使われていましたが、それらの色に込めた意味はあるのでしょうか。

マヒト:もともと赤が好きなんですよね。赤って命の色じゃないですか。肌の色はどうであれ、全員赤い血が流れてて。そういう意味で根源的にピュアな色だと思うから今も魅了され続けてるんです。監督だから映画の衣装を決める権限もあって、やっぱり自然と赤に手が伸びちゃうんですよ。「だって好きなんだもん」って(笑)。作品に赤が溢れるのはそんな直感的な理由でずっと向き合ってきた命のイメージを込めていますね。一方で映画の中で青色は死のメタファーとして機能しています。放った風船が、青空に吸い込まれてるとか。実は青もすごく好きな色なんですよね。

——本作には痛みや喜びや怒りなど多くの感情が込められていますが、観た人に何を感じてもらいたいですか?

マヒト:試写を観終わった人を見てると、喰らいつつも言葉にできないって人が多いんです。一方映画のテーマは「言葉にできないけど言葉にしなくちゃ」って部分で、そこにハレーションがあるんですよね。面白い現象だなと思いながら反応を見てるんですけど、誰かに手渡された言葉ではなく、稚拙でもその人の血の通った言葉で語ることが大事だと思ってるんですよね。いわゆる青春映画にしては詩が多いし、アート映画と呼ぶには青すぎる作品じゃないですか。曖昧なグラデーションに揺れてると思うけど、混乱した世界を生きる中で切実に作品を作るってことは、同じように映画も混乱しないとチューニングが合わないし。その波形はすごく気に入ってるんです。だから観た人にはこの物語を手渡されて自分ごととして悩んでほしいですよね。簡単に答えを出せることじゃないと思うし、それはそのまま生と向き合うことでもある。それがフィードバックして返ってくる中で『i ai』は成長していくし、俺はその1つの生命体が旅する過程で見せた波紋を見て、見えなくなった友達と酒を飲みたい。

——ちなみに次回作の予定はあるんですか?

マヒト:脚本のイメージはすでにありますね。そのうち書こうかなと。

——本当ですか!次も楽しみにしています。

Photography Mayumi Hosokura
Stylist Masakazu Amino
Hair & Makeup Yurino Hamano

『i ai』(アイアイ)』3月8日から渋谷ホワイトシネクイントほか全国順次公開

■『i ai』(アイアイ)
3月8日から渋谷ホワイトシネクイントほか全国順次公開
出演:富田健太郎
さとうほなみ 堀家一希
イワナミユウキ KIEN K-BOMB コムアイ 知久寿焼 大宮イチ
吹越 満 /永山瑛太 / 小泉今日子
森山未來
監督・脚本・音楽:マヒトゥ・ザ・ピーポー
撮影:佐内正史  
劇中画:新井英樹
主題歌::GEZAN with Million Wish Collective「Third Summer of Love」(十三月)
プロデューサー:平体雄二 宮田幸太郎 瀬島 翔
製作プロダクション:スタジオブルー  
配給:パルコ
©STUDIO BLUE
(2022年/日本/118分/カラー/DCP/5.1ch)
https://i-ai.jp
X:@iai_2024

GEZAN『i ai ORIGINAL SOUNDTRACK』

■GEZAN『i ai ORIGINAL SOUNDTRACK』
アーティスト : GEZAN
レーベル : 十三月
発売日 : 2024年3月8日
フォーマット : CD/DIGITAL
CD価格 : ¥3,000
収録曲
Tr.01  Signs of summer
Tr.02  Toward a suspicious cloud
Tr.03  SOFT TWIST
Tr.04  Prayground
Tr.05  ROOM BLOOM
Tr.06  相逢 LIVE (AIAI LIVE) feat.森山未來
Tr.07  M A D O R O M I
Tr.08  M I N N A  S O K O N I  I T A
Tr.09  炸裂音(EXPLOSION SOUND)
Tr.10  THIS POP SHIT
Tr.11  AUGHOST feat.小泉今日子
Tr.12  TEN FINGER DISCOUNT
Tr.13  FLUXUS
Tr.14  P(i)ano
Tr.15  S U B A R A S I I  S E K A I
Tr.16  Pi(A)no or yes?
Tr.17  Tromborn
Tr.18  Howl
Tr.19  i ai
BONUS TRACK – CD ONLY
Tr.20  AUGHOST (ACOUSTIC VER)
https://gezan.lnk.to/iai_soundtrack

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ROTH BART BARON 三船雅也 × ISO  「ジュブナイル」が持つ魅力と新作アルバム『8』を語る——「新しい冒険や発見に満ちてなくちゃいけない」 https://tokion.jp/2023/12/13/roth-bart-baron-masaya-mifune-x-iso/ Wed, 13 Dec 2023 09:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=219097 ROTH BART BARONの三船雅也とライターのISOの対談。ROTH BART BARONの新作『8』のテーマとなったジュブナイルについて2人が語る。

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ROTH BART BARONの三船雅也(左)とライターのISO(右)

ROTH BART BARON(ロットバルトバロン)
シンガーソングライターの三船雅也を中心とした東京を拠点に活動する日本のインディーロッ クバンド。2022 年は、映画『マイスモールランド』の劇伴音楽と主題歌を手掛けた。 2022 年 11 月 9 日に『HOWL』をリリースし10都市12公演全国ツアーを開催。2023年は「フジロック・フェスティバル 23 」に出演。10月18日には8thアルバム『8』をリリース。現在、全国ツアーを開催中。
https://www.rothbartbaron.com
X(旧Twitter):@ROTHBARTBARON
Instagram:@rothbartbaron
YouTube:@ROTHBARTBARON

シンガーソングライターの三船雅也が中心となるフォークロックバンド、ROT BART BARON(ロットバルトバロン)の8枚目のアルバム『8』が10月18日にリリースされた。本作について三船が「自分の子供時代、ジュブナイルと向き合った作品です」と語る。なぜ、三船はジュブナイルをテーマにしたのか。そしてジュブナイルに対する想いとは。映画ライターのISOとの対話から探っていく。

ISO:まずは今作『8』で「ジュブナイル」をテーマに選んだ理由を教えてもらえますか?

三船雅也(以下、三船):ジュブナイルという構想自体は前作『HOWL』を作っている時からあったんです。僕は曲やグラフィック、ライブパフォーマンスにしても、常にアイデアをいくつもパラレルに持っていて。それが本当に作品になるかはわからないんですけど、曲ができてきた中でうまく結びつくと結果的にそれが作品になる。そうやっていくつもアイデアや曲が並走していく中で、今回たまたま飛び乗ったのがジュブナイル列車だったという。

ISO:こういうテーマで作ろうと挑んだわけではなく、タイミングが重なって生まれたと。

三船:パンデミックの3年間でいろんなことを熟慮したし、『HOWL』ではロシアのウクライナ侵略のことなんかも題材にしたりと、「人間がやる度し難いこと」というテーマに自分としては十分向き合ったから、一度そこではない文脈で音楽を作りたくなったんですよね。その時に子供の目線で考えてみようと。自分の中でもう一度子供の気持ちを呼び起こしたいという根源的な渇望があって、それが深く音楽と結びついたんです。

ISO:子供の気持ちに立ち返りたいって欲求はみんな持っていますよね。

三船:大人がしがらみにとらわれた時、子供はたやすくそれを飛び越えますもんね。そこへの憧れも確かにありますけど、僕は以前から子供の目線はあったと思うんです。例えば災害があって避難所にいても、集まった子供達はすぐに集まってと友達になって遊べたりする。今振り返ると、僕らはそれに近い感覚でパンデミックの時も活動できたような気もしていて。ずっと大人目線だったら道理とか理屈で物事を考えて、おとなしくしてたでしょうし。だから今度はまた新しい気持ちでジュブナイルを見ようとしてるのかも。

映画との関係

ISO:三船さんはもともと映画監督を志していたんですよね。音楽に関しても映画の影響は大きいんでしょうか?

三船:そうですね。映画を学ぶ最中に音楽に取りつかれていった人間だからか、僕は音の前に絵があるんです。宮崎駿さんが最初にイメージボードを描いたり、ヒッチコックがまず絵コンテを切るように、絵ありきで音を作るので僕の中で映画と音楽はすごく密接。架空の映画をディレクションしているような感覚ですね。サントラを作るのに近いというか。

ISO:なるほど。サントラといえば三船さんが音楽を担当した『マイスモールランド』を観ましたけど、楽曲で登場人物の心情を表現していて素晴らしかったです。三宅唱監督の作品とかすごく相性が良さそうですし、いろんな作品を手掛けてほしいなと思いました。

三船:ぜひ、やりたいですね。これまでもここ数年はCMやドラマ主題歌などいろんなクリエイターの方と総合芸術を作る機会に恵まれて、すごく刺激をもらったんです。パッションのある監督やディレクターと作った時に、自分が思ってもいなかった場所にたどり着く感覚が面白くて。

ISO:やはり普段の制作とは全然違うものなんですね。

三船:映像作品だと、絵に合わせた時の絶妙なバランス感覚が求められるんですよね。音楽が強すぎると役者の演技を薄めて言葉が響きにくくなるとか。僕だけが良ければOKというプロジェクトじゃない。その感覚がすごく楽しいんです。普段は僕とバンド、そしてリスナーの関係だけで良いんですけど、そこに別の要素が加わるとまた違った飛躍がある。

でもこうして音楽の道に進んだことで、結果的に昔目指していた映画との繋がりが強くなるなんて面白いですよね。映画音楽は今後どんどん作っていきたいです。

ISO:今作に合わせて作られたショートストーリーもとても映画的ですよね。CGがとんでもないクオリティで驚きました。

三船:すごいですよね。僕も試写会で泣きましたもん。映像作家・安田(大地)さんが曲を聴いてアイデアを出してくれて、僕らが描きたかったジュブナイルの少年/少女性をとてもきれい

に映像作品として表現してくれました。

ISO:クトゥルフ神話やSF風のパートもあり、ジュブナイル映画っぽさが見事に現れていました。

三船:ほとんどは安田さんチームのアイデアですけど、最初は僕が好きなジュブナイル映画10作品をモチーフとして彼らに伝えました。だから映画の主人公の衣装を着ていたりとか、イースターエッグが散りばめられています。

ISO:普段はどんな映画を観るんですか?

三船:怖い作品以外はなんでも。トリュフォーやジャン・ヴィゴ作品のような古典も大好きですし、新しい作品も観ます。でも僕が映画を好きになったきっかけは特撮なんですよね。母がウルトラマンとゴジラが好きで、一緒に観に行った平成ゴジラシリーズに感銘を受けて自分でも特撮を作りたいと思うようになりました。それで高校生の時に映画の撮影現場で荷物持ちのバイトをしたんです。その時に「今はCGの時代だからもう特撮監督の仕事はない」と言われ驚愕しましたね。でも東映の人が言うなら間違いないなと挫折して。他の道も考えないと……と思いつつギターを弾き始めた(笑)。

ジュブナイル映画への想い

ISO:切ない…。今回テーマがジュブナイルですけど、ジュブナイル映画で特に印象に残っている作品はあります?

三船:19歳の時に観たジャン・ヴィゴの『新学期 操行ゼロ』は衝撃を受けましたね。

ISO:渋すぎる。でも確かに反逆を決起するシーンの映像は素晴らしいですよね。開放感があるし、ドラマチックで。

三船:ストーリーも普遍的ですしね。しかも押し付けがましくないじゃないですか。こうしろとは言わないけど、お守りのような優しさはある。宮崎駿さんの映画もそうですけど、押し付けがましくないジュブナイル映画はやっぱり良いなと思います。

ISO:意見とか使命とか押し付けてくる作品ありますもんね。三船さんも「Kid and Lost」で“また高校生に世界を救わせる物語”って歌ってますけど、やたらと高校生に背負わせたり。

三船:そう、ティーンエイジャーの時にその違和感をすごく感じてたんですよね。なので大人になっても制服姿の夢を追いかけて僕らに押し付けようとするんだと。思春期特有の大人に対する不信感もあったと思うんですけど、食い物にされてる感が気に食わなかった。

ISO:わかります。押し付けと無縁のジュブナイル映画が良いですよね。『ホームアローン』とか。あれも『新学期 操行ゼロ』と同じく反逆の映画ですけど。

三船:『ホームアローン』はみんな好きですよね。守られる存在だったケビンが1人でコンフォートゾーンから飛び出していくのとか、やっぱり観てて面白いし。触れられないものに触れたり、ダメと言われたことをやったり、ラインをはみ出る瞬間を描いている。その何かを飛び越えた時、子供の部分を少しずつ喪失していくんですよね。

ISO:喪失というのはジュブナイルと密接なテーマですよね。成長とか冒険もあるけど、大人になる過程で子供心や、一生続くと思っていた関係が失われていく。

三船:『スタンド・バイ・ミー』とかね。結局少年達は成長と共に疎遠になるじゃないですか。でもその一緒に過ごした刹那の時間が永遠だったりする。小さな頃にキャンプで出会った名前も覚えていない子と遊んだ記憶が未だに残っていたりとか、ありますもん。あの映画にはそういう尊い時間が詰まってる。

ISO:たいしたことも起きないし、ゆったりしてるのにすごく密度の濃い作品ですよね。

三船:ああいうゆったりと時間が流れるエンタメ映画って、メジャー作品ではもうほとんど存在しないじゃないですか。ハリウッド映画はどんどん加速してますし。その中で宮崎駿さんは激しいラッシュの後に穏やかなシーンを入れたり、すごく勇気があるなと思いますよね。

ISO:確かに宮崎さんはそうですね。ちなみに『君たちはどう生きるか』はいかがでしたか?

三船:素直な宮崎さんが観れて僕は好きでしたね。トトロからやってきたお母さんとの関係の集大成がここなんだなと。自分と向き合ったのをしっかり感じたというか。フォークシンガーが自分のプライベートライフを歌うアルバムに近いのかな。エンタメポップじゃないけど、すごくオーガニックで何回も聴きたくなる名盤というか。ニック・ドレイクみたいな(笑)

ISO:わかる気がする。ジブリ作品と共に育った我々からすると、あそこまで素直に宮崎さんを出されると嫌いになれないですよね。

三船:そして80歳であれだけの作品を作り上げるってのが本当にすごい。僕も弱音を吐いてられないなと思いましたね。宮崎さんの前で「僕最近忙しくて」とか口が避けても言えない(笑)。

「先に進んでる主人公じゃないと惹かれないんです」

ISO:宮崎さんには誰も言えないです……。他に好きなジュブナイル映画はありますか?

三船:僕はロビン・ウィリアムズが好きなんですけど、『ジュマンジ』とかも良いですよね。ファニーだしエンタメだけど、実は父親に対するトラウマとか重いテーマも描いていて。その上で大人と新しい世代の子供が繋がるじゃないですか。ジュブナイル映画って大人と子供の対立を描くことが多いけど、協力するのも観てて面白いですよね。昔の自分と繋がる、あの時空の越え方も好きですし。

ISO:そういう時空のねじれでいくと、山崎貴監督のデビュー作『ジュブナイル』もそうですよね。ミレニアム時代のワクワクが詰まったSF映画。

三船:ありましたね。僕は山崎さんの本質はあの映画にあると思っていて。『ALWAYS 三丁目の夕日』のような人間ドラマではなく、SFと武器。だから『ゴジラ -1.0』は山崎さんのオタク感がよく出てたなと。20mm機関銃をなめるように撮ってたりして、「最高だぜ!」とか思いながら観てました(笑)。

ISO:ドラマ以外のパートに筆が乗ってましたよね。

三船:ゴジラと戦うシーンは本当に素晴らしいし、観ながら山崎さんは本当にこういうのが好きなんだなと思わず嬉しくなりました。

ISO:山崎さんの童心が見えましたよね。そういう作り手の純粋な部分が見える作品は良い。今年観た中だと『フェイブルマンズ』も素晴らしいジュブナイル映画でした。『E.T.』もそうですけど、スピルバーグのピュアな視点は本当にすごいなと改めて思い知らされました。

三船:童心を持ち続ける才能ってありますよね。そういう人の作品は透き通っているというか、純度が高い。岩井俊二さんもそう。60歳になっても、8歳のような感性も持っていて。でも本来は誰しもが空想とか楽しいアイデアを持ってるじゃないですか。でも大人になるにつれ空想に力がないと思い始めて、押し込めてなかったことにする。

僕は映画を勉強していた大学1年生の時にそれを目撃したんですよね。『セーラームーン』を観る授業があって、タキシード仮面というヒーローが登場するんです。みんな昔は純粋な目で観てたはずなんですけど、同級生の子達は彼が出てきた瞬間に笑い始めたんですよ。

ISO:大人になるとそうなっちゃいますよね。

三船:でも僕はすごく憤りを感じて。僕らはそういうものに魅せられ、生み出すために学んでいたわけじゃないですか。それを何様のつもりで笑っているのかと。これを本気で作っている人がいて、僕達もそっちに立たないといけないのに。当時は周りに合わせて笑ったほう

が良いのかなと思ったけど、今思うと笑わなかったから音楽の作り手になれてる気がしてて。

作り手の人は笑わないと思うんです。きっとスピルバーグは笑わない。そういう純粋な気持ちを持っているからこそ『E.T.』のような作品が作れるんだと思うんです。だって宇宙人が来たら、大人は防衛とか研究ってなるじゃないですか。普通友達になろうとはならない。

ISO:うん。『E.T.』は最初ホラーっぽさもあるんですよね。子供の目線で得体のしれないものと出会う恐怖感もしっかり描いてる。子供の頃って何気ないものが怖かったりするから、ジュブナイルってホラーとの相性も良いじゃないですか。『ストレンジャー・シングス』以降、『IT』や『ブラックフォン』とか、ジュブナイルホラーの波が来てますし。得体の知れない恐怖と同時にノスタルジーも堪能できるような。みんな懐かしいものへの憧れがすごいんだなと。

三船:そうやってみんなノスタルジーの奴隷になっていくんですね(笑)。人類はいつも「あの頃は良かった」と過去を懐かしみながらループして生きてますけど、僕はその呪縛から逃れました。先に進んでる主人公じゃないと惹かれないんです。

「冒険をみんなと共有できたら嬉しい」

ISO:作品にもそれが現れていますね。『8』を聴くとノスタルジーというより、始まりの息吹を強く感じました。

三船:懐かしいというのは大人の感想であって、子供はそんなこと思わないじゃないですか。だからジュブナイルを描く作品は、本来子供目線で新しい冒険や発見に満ちてなくちゃいけない。

ISO:確かに!「Boy」でも“次の冒険に出かけよう”って歌ってますもんね。

三船:そう、思い付いてしまったからやるしかない。だから僕は外に出てみたんです。

ISO:あ、ベルリン移住か。ちょうど今ジュブナイルの真っ最中じゃないですか。

三船:そうですね、現在進行形です(笑)。

ISO:僕もまだ東京に出てきて日が浅いので、若干ジュブナイル気分です。みんなも本当は冒険したいと思うんですよ。でもいろんな制約や義務感の中でできないから、心を冒険に誘ってくれる映画や音楽に惹かれる。

三船:ですよね。だから僕がしてきた冒険をみんなと共有できたら嬉しいな、と思いながら音楽作ったりしてます。今はドイツ語も話せなくて友達もいないし、毎日が「はじめてのおつかい」みたいだし、区役所とかに電話する時も震えるし。いろいろと大変ですけどね。

ISO:でもそういう新しい場所で受け取るものって刺激になりますよね。

三船:僕が住んでる地域はヨーロッパで一番子供が多いらしいんですよ。そこら中に子供がいて、その横で僕が曲を作ってる。たまに子供が話しかけてきたり。「自転車見張ってて」とか(笑)。

ISO:すてきな環境!

三船:楽しいですよ。うちの近所に墓地があって、そこに子供の遊び場も併設されてるんです。それで子供がお墓によじ登ったりボールぶつけたりしてるんですけど、墓標見ると1800何年没とか書いてて。 200年前に死んだ人と今生きてるイケイケの奴らがクロスオーバーしてるとかすごいじゃないですか。お墓参りに来てる人もいるけど、悲壮感が全くないし。ハレとケの感覚がない日本人とはまったく別のラインで生きてて面白いなぁと。その景色に囲まれながら何千年の季節の訪れを歌った「千の春」という曲を書きました。

ISO:日本とベルリンではジュブナイルの感覚も違ってきそうですよね。

三船:そうですね、違うと思います。ダメと言われない子供が強い世界なんです。性別関係なしに強い。昭和味があるというか、なんというか…

ISO:じゃりン子チエみがある感じ?

三船:そう!高畑勲みもある(笑)。 気持ちの良い場所ですよ。

Photography Masashi Ura

■ROTH BART BARON 『8』
2023.10.18 Release

[LP]2023.11.8 Release
¥4,400

[Track]
1. Kid and Lost
2. BLOW (feat. Safeplanet) 3. Boy
4. 千の春
5. Exist song
6. Ring Light
7. Closer
8. Krumme Lanke
9. MOON JUMPER
10. NIN / GEN
https://rothbartbaron.lnk.to/8_RBBhttps://rothbartbaron.lnk.to/8_RBB

ROTH BART BARON
TOUR 2023-2024『8』

2024年
2月4日 (日) 愛知 今池 THE BOTTOM LINE
2月11日 (日) 熊本 早川倉庫
2月12日 (祝月) 福岡 BEAT STATION
2月18日 (日) 大阪 心斎橋 BIGCAT
3月1日 (金) 北海道 札幌 cube garden
3月2日 (土) 北海道 札幌 モエレ沼公園 ガラスのピラミッド  – sold out –
3月3日 (日) 北海道 札幌 モエレ沼公園 ガラスのピラミッド *三船SOLO
3月17日 (日) 東京 渋谷 Spotify O-EAST
https://linktr.ee/rothbartbaronhttps://linktr.ee/rothbartbaron

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