岩月 美江, Author at TOKION - カッティングエッジなカルチャー&ファッション情報 https://tokion.jp/author/mie-iwatsuki/ Wed, 22 Dec 2021 11:31:14 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.3.4 https://image.tokion.jp/wp-content/uploads/2020/06/cropped-logo-square-nb-32x32.png 岩月 美江, Author at TOKION - カッティングエッジなカルチャー&ファッション情報 https://tokion.jp/author/mie-iwatsuki/ 32 32 ファッションフォトグラファーのフレデリック・アウエルバッハが考えるファッション写真と日本の美意識 https://tokion.jp/2021/11/26/fashion-photographer-frederic-auerbach/ Fri, 26 Nov 2021 06:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=77077 パリを中心にラグジュアリーブランドのキャンペーンやセレブリティのポートレイト撮影をしてきたフレデリック・アウエルバッハがファッション写真と日本の美意識を語る。

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スイス・チューリッヒ出身のフレデリック・アウエルバッハは、現代のハイファッションとセレブリティーのポートレート界で活躍する写真家として、ヴォーグやディオール、エルメス、メルセデス・ベンツなどにも写真を提供してきた。今回ロサンゼルスでフレデリックとの撮影の機会に恵まれ、独自のアーティスティックなセンスを感じることができた。このインタビューで、彼のノスタルジックでセンセーショナルな写真の背景にあるインスピレーションと哲学を解き明かす。

目指しているのは、被写体から何らかの感情が引き出されているような表現写真を撮ること

−−今回は素晴らしい撮影の機会をいただき、ありがとうございました。本当に夢のような経験でした。さっそくですが、いつ、どのように写真を始められたのでしょうか? なぜ表現手段として写真を選んだのでしょうか?

フレデリック・アウエルバッハ(以下、フレデリック):僕にとっても光栄なことでしたよ。カメラを始めたのは8歳くらいの時で、父からカメラを譲り受けたんです。スイスには美しい山がたくさんあるけど、いつもハイキングをしていたので飽きてしまったんです。それから、何でも写真に撮るようになって、どんどんハマっていって、写真家になりたいと思うようになりました。

−−では、プロとして写真を撮り始めたのはいつ頃で、どうやって始めたんですか?

フレデリック:チューリッヒの美術学校を卒業してからパリに移って、写真家のアシスタントになったんです。アシスタント後は、自分のポートフォリオを作り始めました。最初の仕事をもらえるまで、いろんな雑誌の担当編集者に作品を見せて回りました。

−−最初の仕事は何でしたか?

フレデリック:最初の仕事は、パリの『ジュヌ ジョリー』という雑誌でした。パリの街中で2人のモデルを起用してちょっとしたファッションストーリーを作ったんです。

−−最初にファッション写真の世界に入りましたが、ずっとやりたかったことだったのですか?

フレデリック:私はあまり辛抱強くないので、静物写真は緻密すぎてできないんです。何時間もかけて細かい作業をするのも向いていない。その点、ファッション写真は、チームと一緒に撮影することができるので素晴らしいです。プロとして活動ができる写真のジャンルとして、ファッション写真が最もクリエイティヴだと常に考えてきたのも1つの理由です。

−−パリで写真家のキャリアをスタートしましたが、何年住んでいましたか? 写真家としての転機があれば教えてください。それから、手掛けた最初のキャンペーンは何でしたか?

フレデリック:パリには28年間いました。僕がブレイクしたのは、当時かなり影響力があったフランス版の『エル』の仕事を始めた時だと思いますが、それが転機だったかもしれません。その後、どんどん仕事が増えていきました。最初のキャンペーンは、「キャシャレル」の香水だったと思います。

−−「ディオール」のイメージ写真でナタリー・ポートマンを撮影した作品が有名ですが、イメージを創るまでのストーリーを教えてください。

フレデリック:僕はブランドのアンバサダーの写真を撮っていますし、ブランドはその写真を『エル』や『ヴォーグ』などの媒体の他、プレス関係者に提供しています。例えば、5ページ程度の記事があるとして、そこに写真を提供することで、ニュースを通じてブランドイメージをコントロールすることができるんです。

−−多くのセレブリティの撮影もしていますが、被写体で最も印象的な人物は誰でしたか?

フレデリック:シャロン・ストーンですね。何度か撮影しましたが、一番印象に残っているのは最初の撮影です。自分にとって、影響力が大きいセレブリティとの初めての仕事だったから。もちろん、すべてがエキサイティングだったし、とても緊張しました。確か、フランス版『フィガロ』のためにロサンゼルスで彼女を撮影しましたが、“超”がつく有名人を撮影したのはその時が初めてでした。

−−改めて、今回撮影でご一緒できたことを嬉しく思います。その中で、驚いたのは、撮影時に、瞬時にポージングをディレクションしイメージを創られることです。これは、セレブリティとの撮影でも共通することなのでしょうか?

フレデリック:有名人はカメラの前で何をすればいいのかわからないことが多いので、ポージングを指示する場合が多いですね。映画のモーションカメラの前ではどう演じるかをわかっていても、スチールではわからないので、演出をしてほしいと思っている。動画と静止画では全く違う世界なので、僕の演出が必要なんです。

−−ご自身の写真をカテゴライズするとしたら、どのようなものだと思いますか? また写真の特徴は何だと思いますか? 以前、インタビューで求めているのは“強さ”だと話していたのを思い出しました。 また、“スピード感”が好きとも話していましたが、どういう意味でしょうか?

フレデリック:僕が目指しているのは、被写体から何らかの感情を引き出して表現することです。現実にそうでなくても、写真に何らかの感情や関係性があるように感じられればいいのです。そういう部分が、自分の写真の好きなところですし、そんな風に自分の写真を見てもらえたら嬉しいです。また、僕はとても直感的に仕事をするので、光や雰囲気を見ただけで、ほとんど瞬時にイメージが浮かんでくるんです。

“強さ”についてですが…… 僕は何事においても“強さ”を求めます。人生のさまざまな場面で、求められるのは“強さ”だと思う。僕は表現が激しくて強烈な写真が好きなので、できることなら、そう表現しようと思っています。“スピード”については、ファッション写真では、被写体もチームも常に変化していますよね。僕は自分がどういうイメージで撮りたいかが瞬時に分かり、すぐに取り掛かります。モデルも同じように集中できるようリードすることで、スピーディーに写真ができますし、すぐに次の作品に移るようにしています。その感覚が好きなんです。スピード感をもって撮影したい。ファッション写真ではそれが可能ですし、好きな部分でもあります。

エレガンスと同居する対極な表現に込められた日本の美意識

−−今回の撮影で感じたことですが、あなたの作品には芸術性があるとともに、とてもシンプルなセッティングの中で日本女性の美しさを引き出そうとしていることがわかります。あなたにとって、日本の文化や美とは何ですか?

フレデリック:日本……そうですね。日本の美はとてもエレガントですが、同時に極端な表現がたくさんあるので、その反対の意味も含まれます。際立った美しさやエレガンス、柔らかさもありますし、それとは正反対の表現もありますよね。有名ですが、例えば荒木(経惟)さんの写真のようなエロスの表現もある。僕は彼の写真が好きで、アイデアはとても素晴らしいと思います。写真だけでなく、絵画やストリートにも、若い人達のファッションやストリートアートなどから、両極端な表現が見られます。僕にとって日本はとても魅力的な国ですよ。

−−そうですね。確かに、エレガンスとは対照的なカウンターカルチャーやサブカルチャーがあります。あなたの写真にも二面性を感じます。「ディオール」のようなラグジュアリーブランドのエレガントな写真を撮る一方で、今回の撮影の様なシンプルな洋服と空間の中でもアーティスティックで洗練された作品を作ることができる。このコントラストがとても好きです。これまで影響を受けた写真家やアーティストはいますか?

フレデリック:師匠はいませんが、美術学校時代には、他の写真家の雑誌や本をよく見ていました。好きな写真家はギイ・ブルダンで、ヘルムート・ニュートンやスティーブン・マイゼルも好きでしたね。でも、当時はギイ・ブルダンに夢中でした。女性の表情が大好きで、時にはエロティックな題材もあるのですが、下品にならないような絵創りをしていました。いくらワイルドでエロティックな題材でも、信じられないほど上品で、クリエイティヴに撮られています。すべての写真に素晴らしいストーリーがあります。

でも、僕はあらゆるものからインスピレーションを得ています。ドライブ中でも、見かけた人からでも。そして、与えられた環境と時間の中で作品の制作に挑戦することが好きなんです。だから、写真がベストな表現方法なんだと思います。

−−ブルダンは、色や構図が好きなので、私もお気に入りの写真家の1人です。日本人アーティストや写真家、文学者などで好きな人はいますか?

フレデリック:ファッションデザイナーの田山篤郎さんです。彼は以前、パリでショーを行っていて、キャンペーンをたくさん手掛けました。文学者では、村上春樹と彼の3部作『1Q84』が好きで、建築家では安藤忠雄が好きです。彼の作品には無駄な脚色がありません。コンセプトが好きですし、素晴らしい理論を持っている建築家だと思います。

−−安藤さんは、空間の形、自然や光と結びついたコンセプト、そしてそのシンプルさが気に入っています。あなたがあらゆる面からインスピレーションを受けると話していたのも納得します。シンプルなものから美しさを引き出す方法論や写真の空間、光、色調のセンスも好きです。今回のコラボレーションで、実際にどんな撮影をしているのかを知ることで、より引き込まれました。ドイツの展覧会を楽しみにしています。

フレデリック:ドイツのデュッセルドルフにある「Sander & Co」というギャラリーで展覧会を開催します。11月25日から3週間ほどです。内容は、僕のセレブリティのポートレートシリーズの一部になる予定で、今はそれに取り組んでいます。

−−最新作で私の大好きな007の象徴的な俳優の1人、ピアース・ブロスナンの写真を見つけました。撮影についてのエピソードを教えてください。

フレデリック: この写真は、テキーラの「カサ・ドン・ラモン」というブランドのキャンペーンで、同時に雑誌の『オート リヴィング』のシリーズでも使われていました。「カサ・ドン・ラモン」を担当する広告代理店から連絡があって、サクラメントにある、テキーラの原料となるリュウゼツラン畑で撮影したんです。丸1日かかったと記憶しています。ピアースはとても素晴らしい人で、かなりの時間的な余裕もあったので、急ぐようなことはありませんでしたね。とてもいい雰囲気でした。また、その日は涼しかったので、彼も機嫌が良かった。広告の仕事だったので何を求められているかが明確でしたからね。

−−素晴らしいですね。ファッション・フォトグラファー、セレブリティ・フォトグラファーとして成功を収めていますが、あなたをリスペクトする若いフォトグラファーにメッセージをお願いします。

フレデリック:ある意味、気取った言い方かもしれませんし、あたりまえのメッセージと言われるかもしれませんが、「自分のスタイルで自分の写真を見つけようとすること、そしてそれを維持すること」が重要です。自分のスタイルを見つけたら、それをキープすること。多くの人が「気に入らない」と言ってもこだわり続ける。自分の目標だと確信していれば、貫き通せばいいんです。他人と同じことをしたり、二番煎じになったりしてはいけないです。それは簡単ではないですが。自分のスタイルが商業的な成功と結びつかないことがよくあるからです。でも、だからこそこだわる価値がある。

最近では、NFTのような可能性もありますし、あらゆる表現が可能になっています。写真はデジタル化が進んだことで大きく変わりました。また、ソーシャルメディアなども、今までとは異なる状況になっています。だからこそ、必ずしも商業的なスタンスでなくても、スタイルを貫く方法を見つけることができると思います。

−−今後の展望を教えてください。

フレデリック:NFTに挑戦してみようと思っています。でも、そこから何が生まれるのかはわかりません。ただのトレンドかもしれないですけど、ワクワクするから取り組んでみようと思いました。あとは、特定のブランドや雑誌だけの仕事はしたくないですね。テキーラのブランドも、アンダーグラウンドな雑誌やメインストリームなメディアの仕事もすべてが好きなので、とにかく続けていきたいです。

フレデリック・アウエルバッハ
スイス出身。チューリッヒの美術学校で学んだあと、ミラノやパリの著名写真家に師事。28年間パリを拠点に活動を続けた。パリのファッション写真家として『ヴォーグ』や『マリ・クレール』『エル』『ヴァニティ・フェア』『GQ』などの雑誌で作品が掲載されている。また、「ディオール」や「エルメス」「キャシャレル」「ソニア リキエル」「ラコステ」をはじめ、「メルセデス・ベンツ」などのキャンペーンを手掛けた。被写体には、シャロン・ストーンやソフィー・マルソー、ナタリー・ポートマン、シャーリーズ・セロン、ジュード・ロウといったセレブリティ達が登場している。2014年の夏にロサンゼルスに拠点を移し、欧米のハイファッションやセレブリティ写真の分野で活動している。11月25日からドイツのデュッセルドルフにある「Sander & Co」で展覧会を開催。

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“廃棄ゼロ”を掲げるヨーリー・テンが考える自身のルーツとファッションの未来、そして日本への思い https://tokion.jp/2021/11/07/yeohlee-tengs-zero-waste-philosophy/ Sun, 07 Nov 2021 06:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=71443 世界的な舞台で活躍するアジア系アメリカ人のファッションデザイナー、ヨーリー・テンが、自身のルーツと日本への思いを語る

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ヨーリー・テンは、アジア系アメリカ人を代表する女性ファッションデザイナーで、グローバルにファッションの舞台で活躍している。デザインに対するアーティスティックなアプローチは、過去にもニューヨークのメトロポリタン美術館(MoMA)やロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館など、世界中の美術館で展示されたことがあるほど。作品の数学的な構造や“廃棄ゼロ”の考えに基づきながら、流動的な美しさが感じられる。また、11月10日に開催するCFDAファッションアワードの“Board of Director’s Tribute”にも選出された。 最近、私は写真家のトーマス・コンコルディアが制作した映画の中で、ヨーリーの洋服を着て撮影する機会に恵まれた。さまざまな生地に織られた独特の幾何学模様など、デザインの美しさを感じることができた。今回のインタビューでは、彼女のクリエイティヴ・コンセプトやデザインのプロセス、そしてファッション・デザインの未来に対する考えを語ってもらった。

“Mie Iwatsuki wearing YEOHLEE”
Movie Direction Thomas Concordia

物事に対して意識をオープンにすることで得られるインスピレーション

−−現在、多くのデザイナーが利益に重きを置いたアイテムを作っていますが、ヨーリーさんは常に品質やミニマリズム、そして“廃棄ゼロ”を優先したデザインをしてきました。あなたの哲学が時代を先取りしていると考える人や作品をアートとして評価する人もいます。インスピレーション源はどこから得ていますか? また、“廃棄ゼロ”という考えの中でどのような制作をしているのでしょうか?

ヨーリー・テン(以下、ヨーリー):インスピレーション源は、物事に対して意識をオープンにすることで得られます。例えば、光の質であったり、形であったり、音楽であったり、芸術や建築であったり、その他にも人や風、そして人生であったりもします。

“ゼロウェイスト(資源の無駄を無くす)”という私のコンセプトは、小さい島国環境で育った者の概念です。小さな島から来た人は、資源が有限であることを理解しています。自分が持っているものを大切にすること、資源が少なく、時間も足りない中で、私達は物の有り難みを学ぶのです。

−−シーズンレスな洋服のデザインが得意で、性別を問わない志向だとも仰っていました。以前のコレクションでは、マレーシアの伝統衣装で、性別を問わず着用される「サロン」がデザインに取り込まれていました。汎用性や機能性を重視しているのは、自身の文化的な背景が関係しているのでしょうか? バックグラウンドが作品に与える影響があれば教えてください。

ヨーリー:46マイルという島で豊かな子ども時代を過ごしましたので、遊びといえば、島の周りを自転車で走ったり、ペナン・ヒルへのハイキングでした。学校では壁画を描いたり、『真面目が肝心』や『二都物語』、『ウィンダミア卿夫人の扇』など、演劇の衣装をデザインしました。それらの衣装は今でも通っていた学校の時計台に保管されていますが、当時とても刺激を受けましたし、多くを学ぶ機会になりましたね。

−−作品が美術館で展示されることも多いですね。例えばリチャード・セラのような、素材や制作方法が似ているアーティストと並べられることがあります。さらに彫刻や建築も連想させます。建築家・ミース・ファン・デル・ローエの“less is more”の哲学や、モノトーンの中に際立つシンプルさ、自由流れるようなオープンスペース、素材そのものの美しさが感じられます。好きなアーティストや影響を受けたアーティストはいますか?

ヨーリー:はい。最近ニューヨークで開催された展覧会で、インスピレーションを得たリー・ロザーノとデボラ・レミントン、ニキ・ド・サンファル、この3人の展覧会は本当に素晴らしく刺激的でした!

−−好きな日本人のデザイナーやアーティストはいますか? もしくは、デザイナーとして、日本の文化に影響を受けたことはありますか?

ヨーリー:黒澤明監督は、真の映画監督だと思います。1950年の『羅生門』、1954年の『七人の侍』、1957年の『蜘蛛巣城』、1961年の『用心棒』に至るまで、傑作揃いです。私は日本のテキスタイルやアート、建築、映画が大好きですし、精神性で間違いなく結びついています。それから、オノ・ヨーコは、真のアーティストとして尊敬しています。

1972年に建てられた、建築家の黒川紀章による「中銀カプセルタワー」から着想を得て、2016年春夏コレクションではスクエアなアームホールのボックススリーブを作りました。

−−写真家のトーマス・コンコルディアの映像作品で、ヨーリーさんの洋服を、着させてもらいました。撮影はソーホーに新しくオープンしたホテル、「モダンハウス ソーホー」で行われましたが、このホテルの複雑な階段は、まるで迷宮のような効果を生み出しています。選んでくれたそれぞれの服の生地やシルエット、幾何学的なパターンが特徴的で、背景を問わず、すべてが美しく映えるものでした。どのようなプロセスでデザインをしていくのでしょうか? 生地選びからスタートしていると記憶していますが、プロセスについて、もうすこし詳しく聞かせてください。

ヨーリー:まず、私のブランドの服を着たあなたは、とにかくエレガントで堂々としていて、本当に感動しました。あらゆる調和がとれていましたね。

デザインは、何かを感じてインスピレーションを得ること、それから生地を選び色を想像することから始まります。感触、手触り、重み、テキスタイル、織り、編み、模様、いわゆる生地の耳と呼ばれる縁の部分など、すべてが密接に結びついています。

それから音楽も重要です。カール・オルフや、ホワイト・ストライプス、『キル・ビル』第1作のサウンドトラック、ベルベット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ、そしてリスナーからの支援で運営されるラジオ局WFMU、ローリング・ストーンズのドラマーであり大黒柱だったチャーリー・ワッツ……それからプロセスの中には、数学的な計算も魔法のような出来事もあります。

2022年春夏コレクションのテーマは「EXTINCTION(=全滅)」

−−最近では“メイド・トゥ・メジャー”のカスタムデザインがビジネスの中心になっているそうですが、多くの人が、自分のニーズに合ったウェアラブルなアートを持ちたいと考えていると感じます。カスタムデザインは、顧客が生地を選ぶことから始まると聞きましたが、このプロセスについて教えてください。

ヨーリー:カスタムデザインは、顧客とのコラボレーションの質が全てです。私は、顧客ニーズをブラッシュアップさせるプロセスが大好きなんです。これは、ごく個人的な経験で、顧客とクリエイターの両方にとってもやりがいのあることなんです。『スタートレック』のバルカンの精神融合に例えることができると思います。

−−最近のニュースで、アジア系コミュニティに対する暴力や差別を目にします。アジア系アメリカ人デザイナーとして、このような問題についてどのように考えますか? コミュニティに伝えたいことは何でしょうか?

ヨーリー:よくエイブラハム・リンカーンの言葉として引き合いに出されるフレーズですが、”団結すれば立ち、分裂すれば倒れる”ということを伝えたいですね。

−−作品を通して、サステナビリティや環境問題についてメッセージすることが多いと思います。近年のコロナのパンデミックや現在進行形で進む環境問題は、世界的な課題となっていますが、ファッション業界にどのような変化を期待しますか? デザイナーや消費者はどのような責任を負うべきだと考えますか?

ヨーリー:この問題については、逆に私から問いかけさせてください。「あなたは何足のスニーカーを持っていますか?」と。

−−自分の時間のほとんどを仕事に捧げていらっしゃると思いますが、仕事以外に何か趣味はありますか? 休日はどのように過ごしていますか?

ヨーリー:いつでも、どこにいても、大好きな人達と一緒に過ごしていますよ。

−−「ヨーリー」2022年春夏コレクションのテーマを教えてください。それから、どこで発表する予定ですか? また、どのようなアイテムが登場するか、簡単に教えていただけますか?

ヨーリー:2022年春夏コレクションのテーマは「EXTINCTION(=全滅)」です。この記事が出る頃には、すでに発表されていて、ご覧いただけると良いのですが……。

−−「ヨーリー」の次なる展開は何ですか?

ヨーリー:その答えは、「私には、どれほどの時間が残されているか?」という質問の中にあると思います。

ヨーリー・テン
マレーシア出身。アジア系アメリカ人の女性デザイナー。2004年にはスミソニアン博物館のクーパー・ヒューイット国立デザイン賞のファッションデザイン部門賞を受賞。作品は、ニューヨークのMoMAやロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館などで展示されてきた。「ヨーリー」のコレクションは、ニューヨークのガーメントディストリクトでデザイン、開発されていて、現在は、ノマド/フラットアイアン地区にある自身のスタジオを構えている。

Translation Shinichiro Sato(TOKION)

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