おとぎ話 Archives - TOKION https://tokion.jp/tag/おとぎ話/ Fri, 12 Aug 2022 15:17:40 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.3.4 https://image.tokion.jp/wp-content/uploads/2020/06/cropped-logo-square-nb-32x32.png おとぎ話 Archives - TOKION https://tokion.jp/tag/おとぎ話/ 32 32 バンド・おとぎ話の日比谷野音でのライブが台風8号の影響で中止 急遽「おとぎ話 presents “幻の野音”」の配信が決定 https://tokion.jp/2022/08/12/otogivanashi-maboroshino-yaon/ Fri, 12 Aug 2022 11:45:00 +0000 https://tokion.jp/?p=140573 日比谷野音でのライブの中止に伴い、8月13日17時から新代田FEVERから配信を行う。

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バンドおとぎ話が8月13日に予定していた日比谷野外大音楽堂でのワンマンライブ〈OUR VISION〉は、台風8号の影響により、会場内の安全が確保できないと判断したため開催中止が決定した。

「いつか日比谷野外大音楽堂で演奏するためにまた一歩一歩進んでいきます!まだ旅の途中。これからもバンドおとぎ話をよろしくお願いいたします」とコメント。

また、今回の中止を受けて、急遽YouTubeで「おとぎ話 presents “幻の野音”」を行うことを発表。8月13日17時より新代田FEVERから配信を行う。

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「時流に関係なく、自分達がずっと聴いていられる曲を作っていく」 おとぎ話・有馬和樹インタビュー後編 https://tokion.jp/2022/08/09/interview-otogivanashi-kazuki-arima-vol2/ Tue, 09 Aug 2022 06:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=138654 ニューアルバム『US』をリリースしたおとぎ話の有馬和樹インタビュー。後編では、男性性からの解放や日比谷野音でのライブについて。

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おとぎ話・有馬和樹インタビュー後編

昨年、結成20周年を迎えた4人組バンド、おとぎ話。この6月にリリースされた彼らの最新作『US』は、驚くほどスウィートかつポップな楽曲群によって編まれている。自身が最高傑作と位置づけた2018年リリースの『眺め』で、バンドはミニマルな構造を持つサウンドプロダクションとグッドメロディが織りなす音楽像に一つの到達点を見た。それを経て、2019年にデジタルで先行リリースし、2020年にパッケージ化した『REALIZE』では“サイケデリックなネオソウル”というコンセプトを打ち出したが、これはオリジナルアルバムではなく、企画盤としての性格を持つ作品だという。『REALIZE』がオリジナルアルバムとしてナンバリングされていない驚くべき経緯はこのインタビューで明らかになっているのだが、『眺め』と『REALIZE』で形象化した音と歌の結晶が、この『US(アス)』というバンド史上最も開かれたポップアルバムを生み出したのは間違いない。そして、8月13日には過去最大規模となる日比谷野外大音楽堂での単独公演が開催される。ここに至るまでのあまりにドラマティックなストーリーをフロントマン、有馬和樹が語ってくれた。

前編はこちら

——それで、『眺め』という自分達で最高傑作だと思える自信作を作れたという。

有馬:そう。『眺め』でバンドのやり方として1つの形が見えて。そこからどうしようかという時に「ルイ・ヴィトン」の話がきて。写真は世の中に出ていかなかったけど、それをきっかけにもう一回真逆の音楽への取り組み方を4人でできたのはホントにラッキーだったなと思って。それが『REALIZE』で。

——もし『REALIZE』が作れなかったら燃え尽き症候群になっていた可能性もある?

有馬:なってたと思います。『眺め』の1曲目の「HOMEWORK」ができた時にずっとやりたいことができたなって思っちゃって。あの曲もずっと同じコード進行をループしながら作って、その中でどんどん景色が変わっていく。ギターで景色(サウンドスケープ)を変える曲の極地に行けた気がしたから。そうなるとそれを更新するしかない。レディオヘッドで言うなら『OKコンピューター』を作って、また同じアルバムを作るのかなと思っていたところを、『REALIZE』で『キッドA』を作れたみたいな。だから、めちゃくちゃよかったんです。

——わかりやすい(笑)。

有馬:で、さらに今回の『US』ができたので。全部が腑に落ちていて。この前、「アトロク」(TBSラジオ「アフター6ジャンクション」)に出た時に宇多丸さん(ライムスター)が「このアルバムはロックバンドの作品なんだけど、その範疇に収まってなくて、僕みたいな人にもすごく刺さる」って言ってくれて。すごくうれしかったんですよね。

——『US』を作るうえで全体をけん引した曲はどれですか?

有馬:1曲目の「FALLING」ですね。ヒップホップ的というか、ループの中でメロディーと、あんまり主張しないような歌詞なのになぜか残るような感じにしたくて。今回、歌詞は男性性や女性性を限定しないようにかなり意識して。もともとあまり限定してなかったけど、今回は今まで以上にフラットにしたくて。

——それはやはり現代社会の様相と自分のソングライターとしての作家性を照らし合わせてそうしたいと思ったんですか?

有馬:そうですね。ジェンダーレスな社会になってきている時代ですけど、俺はもともとバンドをやりながら「ロックバンドは男に聴かれてナンボでしょ」みたいなことを言う人にずっと違和感があって。そういうところにも世間との乖離をずっと感じていたし、世の中がコロナになってからさらに醜悪な男性性が浮き彫りになるようなニュースとかも目にするようになったなって。映画監督のセクハラのニュースとか最悪だと思ったし、1981年生まれの自分の世代ってけっこうそういうのがあたりまえのようにあったなと思って。

——露骨な差別とか、暴力の肯定とか。

有馬:そう。男子校に通ってたからより「男はこうあるべきだ!」みたいな空気があって。

——マチズモ的な暗黙の了解だったり。殴られたら殴り返さないと男じゃない、みたいな。

有馬:そうそうそう。そういう空気の中で男性として答えられない自分がずっといて。性的嗜好もストレートで結婚もしたんだけど、去年、離婚しちゃって。

——ああ、そうだったんだ。

有馬:そうなんですよ。離婚する時もどこかで男性として応えられない自分がいたというか。そういうことも考えながら、すべての人が主人公として聴けるような曲を作ろうと思ったんですよね。でも、40(歳)すぎてやっと自分が抱えてきた違和感と意識的に向き合って、そういう曲を作ろうとなったのかと思うとショックでもありましたね。

「いつ聴いても最高でOK!」みたいなアルバムを目指して

——おとぎ話が歩んできた道のりの中でインディーシーンにもいろんな潮流があったと思うんですけど。泥臭いバンドこそインディーズという時代もあったと思うし、USインディーからのフィードバックが全盛の時もあったし、東京インディーとかシティポップというワードが独り歩きしていった時代もあったし、そこからブラックミュージックや現代ジャズやヒップホップやあらゆるビートミュージックをニュートラルに捉えてそれぞれのスタイルで昇華するという現在進行の様相があったり。本当にいろんなレイヤーがあるんですけど、この『US』というアルバムはそういう潮流をポップに見渡せるような、呼応していけるような趣があるなと思ったんですよね。

有馬:それ、すごくうれしいっす。まさにそうだと思う。おとぎ話って、初期のほうが「周りがこうだから」って見え方ばかり考えてた気がして。わりと早い段階でパンク系のファンの人達には届かないって自覚して、「自分達は自分達だからいいや!」と思いつつも、やっぱりロックバンドが強かったので「あのバンドと対バンするならこういう曲があったほうがいい」って思ったりしていたんです。でも、そういうのも『REALIZE』を作った時に関係なくなって。そうなった瞬間にすごくラクになったんです。じゃあ『US』を作る時にどういうアルバムにしたいのかなって思ったら、小沢健二の『LIFE』みたいな、「いつ聴いても最高でOK!」みたいなものにしたくて。だから、もうこれからのおとぎ話はそういうアルバムだけ残していければいいなって思ったんです。そうすれば時流とか考えないで済むしたくさんの人に届く気がします。

——なるほど、めちゃくちゃ合点がいきますね

有馬:ひたすら自分達がずっと聴いていられるアルバムを残そうと思って。

——『US』は本当にスウィートでポップなアルバムなんだけど、今の東京に住んでる者としてはいろんな聴こえ方がするというか、ときに真逆の内容、その裏側の世界を想像してしまうというか。それこそ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』じゃないけど。

有馬:ああ、そっか。歌詞もサウンドも余白ばっか残してるしね。ポール・トーマス・アンダーソンの最新作の『リコリス・ピザ』って映画があるじゃないですか。

——奇遇にも今夜観に行きます(笑)。

有馬:あ、マジですか! 俺観たんですけど、『リコリス・ピザ』を観たら、「超『US』じゃん!」って思って。普通に自分が思ってるようなことをラブソングにしたら、いろんな人が自分の思い出を重ねるように感動してくれるんじゃないかなって。そう思えたことがめちゃくちゃうれしくて。『リコリス・ピザ』を観てもらえたらわかると思うんですけど。

——言い方が難しいけど、私生活で離婚という経験があって、よくこういうラブソング達を書けましたよね。

有馬:でも、それも自分を俯瞰してるからじゃないかな。男性性のこともそうだし、どう足掻いても自分は変わらないなと思って。バンドも今このタイミングでなぜこんなによくなるのかと思ったら、結局他人だからなんですよね。バンドって他人なんだけど、自分のようにメンバーに接してしまう。それでイライラしてケンカしたりするんだけど。でも、他人が自分とバンドをやりたいと言ってくれてるだけで基本的には否定する余地がないよなぁと思って。そう考えたらどんどんラクになってきて。「じゃあ自分は離婚したけど、どんな人間なんだろう?」って考えたら、すごく女子度が高い。たまたま女子度が高い男だというだけだなと思って。歌詞も「それでいいや! もう自分がやりたいようにやろう!」と思って書いたんです。

——おとぎ話を続けてきたから、そういう境地まで来ることができた。

有馬:そうですね。それはよかった。バンドをあきらめていたら何にも気づけなかったですね。

単独公演としては最大キャパの日比谷野外大音楽堂

——今日もここまでの道のりをカラッとした語り口で話してくれたけど、深刻に話そうと思えばいくらでもできるだろうし、そうならないのはおとぎ話というバンドと有馬くんのチャームがあってこそだと思う。

有馬:ホントにいくらでも深刻に話せる(笑)。もう、ポップだったらなんでもいいっすね。

——最後に8月13日の日比谷野外大音楽堂のワンマンについて。単独公演としてはバンド史上最大キャパになるんですよね?

有馬:そうです。最大です。怖くてしょうがない。できればやりたくない(笑)。

——でも、野音の抽選は激戦だし、なかなか取れないじゃないですか。

有馬:そうなんですよ。もともとは去年、一番お世話になっているライヴハウスの新代田FEVERのスタッフ達が「おとぎ話、20周年なのに何かデカいことやらないんですか?」って言ってくれたんです。でも、俺達自身は流れのままにやってきたし、そういうお祭り事に対して全然やる気がないので。そしたらFEVERが「じゃあ一緒に抽選に申し込んで当たったらタッグを組んでやりましょうよ!」って提案してくれて。それで1年間ずっと抽選に行ってたら、最終的にFEVERがこの日を引き当ててくれて。

——それもバンドが愛されてる何よりの証左ですよね。

有馬:ホントに愛されてるなと思います。ありがたい。そうじゃなかったら野音なんてできないですもん。野音は『US』モードでやりつつ、新しい10年の始まりになればいいなって。お客さんにも気楽に音楽を楽しんでもらいたいです。俺はそこに思想とかないし、そもそも音楽ってそういうもんでいいよねっていう、そういうライブをしたいですね。

おとぎ話
有馬和樹(ボーカル・ギター)、牛尾健太(ギター)、風間洋隆(ベース)、前越啓輔(ドラムス)の4人組。2000年の12月にバンド結成。2021年までに11枚のアルバムをリリース。felicity移籍第一弾アルバム『CULTURE CLUB』(2015年)に収録された『COSMOS』と映画『おとぎ話みたい』における山戸結希監督とのコラボレーションは未だに熱烈なフォロワーを生み続けることに。結成20周年を経てもバンドの新しい音楽表現に挑む姿勢に各界クリエーターからのラブコールも止まない。2022年6月、待望の新作『US』をリリース。そして8月13日には日比谷野外大音楽堂でのライブ<OUR VISION>を開催。「日本人による不思議でポップなロックンロール」をコンセプトに掲げて活動ケイゾク中。
http://otogivanashi.com
Twitter:@otogivanashi
Instagram:@otogivanashi
https://www.youtube.com/channel/UCd4QzATsDnJqvwG9pmmX6NA

おとぎ話 12th album『US』 Label : felicity / P-VINE

■おとぎ話 12th album『US』
Label : felicity / P-VINE
¥2,970 
Track List
1. FALLING ★リード曲 
2. BITTERSWEET
3. DEAR
4. ROLLING
5. RINNE
6. VOICE
7. VIOLET
8. SCENE
9. VISION
10. ESPERS
https://p-vine.lnk.to/cvpf3d

日比谷野外大音楽堂公演<OUR VISION>

■日比谷野外大音楽堂公演<OUR VISION>
日程:2022年8月13日
時間:開場16:00/開演17:00
チケット発売中:全席指定¥6,600

Photography Ko-ta Shouji
Edit Atsushi Takayama(TOKION)

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「20年以上バンドを続けて今が最高にいい状態かも」 おとぎ話・有馬和樹インタビュー前編 https://tokion.jp/2022/08/06/interview-otogivanashi-kazuki-arima-vol1/ Sat, 06 Aug 2022 06:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=138642 ニューアルバム『US』をリリースしたおとぎ話の有馬和樹インタビュー。前編では、『REALIZE』誕生の秘密から、20年以上オリジナルメンバーで活動してきたからこそ、到達した現在地について。

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おとぎ話の有馬和樹

昨年、結成20周年を迎えた4人組バンド、おとぎ話。この6月にリリースされた彼らの最新作『US』は、驚くほどスウィートかつポップな楽曲群によって編まれている。自身が最高傑作と位置づけた2018年リリースの『眺め』で、バンドはミニマルな構造を持つサウンドプロダクションとグッドメロディが織りなす音楽像に一つの到達点を見た。それを経て、2019年にデジタルで先行リリースし、2020年にパッケージ化した『REALIZE』では“サイケデリックなネオソウル”というコンセプトを打ち出したが、これはオリジナルアルバムではなく、企画盤としての性格を持つ作品だという。『REALIZE』がオリジナルアルバムとしてナンバリングされていないことの驚くべき経緯はこのインタビューで明らかになっているのだが、『眺め』と『REALIZE』で形象化した音と歌の結晶が、この『US(アス)』というバンド史上最も開かれたポップアルバムを生み出したのは間違いない。そして、8月13日には過去最大規模となる日比谷野外大音楽堂での単独公演が開催される。ここに至るまでのあまりにドラマティックなストーリーをフロントマン、有馬和樹が語ってくれた。

——この極めてスウィートかつポップな『US』というアルバムを語るうえで2018年にリリースした『眺め』と、2019年にデジタルで先行リリースし、2020年にパッケージ化した『REALIZE』という2枚のアルバムを振り返ったほうがいいかなと思うんですね。

有馬和樹(以下、有馬):そうですね。「おとぎ話ってどんなバンドだろう?」と思った時に、ちょっとつかみどころがないと思うんですね。自分もつかみどころがないバンドとして曲を作ってきたし、だから、おとぎ話というバンド名にしているところもあるんですけど。実は「圧倒的にわかりやすくてポップなバンドなのにつかめない」というコンセプトは僕の中でずっとあって、『眺め』を作った時に1回ロックバンドとしてやれることを全部やりきっちゃったなと思ったんですね。

——リリース時のインタビューを読んでも『眺め』はおとぎ話の到達地点という言い方をしてますよね。

有馬:そう。で、そんな時にコロナ前の2019年に実は「ルイ・ヴィトン」からモデルのオファーがあって。それは昨年亡くなった(ルイ・ヴィトンのメンズ アーティスティック・ディレクターを務めていた)ヴァージル・アブローさんからのリクエストでということで。

——え!?(笑)。それはヴァージルご本人からの指名で?

有馬:ヴァージルさんの代理人みたいな人から連絡がきて。たぶん、ラッパーのクルーのほうのTHE OTOGIBANASHI’Sを誘おうと思って検索したら、俺の写真がヒットしてそうなったと思うんですよね(笑)。

——ハンパじゃないエピソードだな(笑)。

有馬:有馬のエスニックな顔が気に入って「君にやってほしいんだ」って連絡が来たのかなと。実際に撮影したんですけど、結局その写真はお蔵入りになってしまって。

——それはなぜ?

有馬:わからないっす。フォトグラファーデュオのイネス&ヴィノード(Inez & Vinoodh)が来日して撮影してくれて。ゴールデン街で撮影しながら有馬の顔を見て「アメージング!」とか言ってくれてたんですけどね(笑)。

——なんか、パラレルワールドみたいなエピソードですね(笑)。

有馬:ホントに。他にもアーティストや俳優さん達がモデルになってたりしてたんですけど、そのセッション自体がお蔵入りになってしまって。でも、その写真が出る前提でレーベルのfelicityと「来年オリンピックもあるし、せっかくだから海外の人達に対して名刺代わりになるようなアルバムを作ろうか」という話をしていて。それで『REALIZE』を作ったんです。でも、コロナになって、オリンピックも延期になり、撮影もお蔵入りになり──。

——そんなことがあったんだ。海外のリスナーに対する目線もあったから『REALIZE』も“サイケデリックなネオソウル”というコンセプトを強く押し出したと。

有馬:そう。もともとポーティスヘッドとかソランジュが大好きだし、そっちの方向性に特化したアルバムを作ろうと思って。ジャケットも俺の顔を全面に出して、日本のリスナーに向けてというよりは海外のリスナーに対してルックとしてカッコいいおとぎ話を配信アルバムとして提示するという感じで。あえてジャケットも俺のソロみたいな感じにしたんです。そういうコンセプトがあったんですけど、結局、ルイ・ヴィトンの写真がお蔵入りになっちゃったので『REALIZE』という配信アルバムだけが残ってしまって。『REALIZE』は制作のやり方も、ドラムとかも全部俺が自分でループを組んでエディットしながら作ったんですね。

——制作の方法論自体もあえてミニマルにしたと。

有馬:そう。自分の頭の中で鳴っている音をまさにそのまま出して作ったのが『REALIZE』だったんです。最初からポップではないなと思っていたし、でも、次のアルバムを作るならその手法を活かしながらめちゃくちゃポップなものにしたいと思って。それでできたのがこの『US』なんですよ。

20年以上オリジナルメンバーで活動する奇跡

——本当にいろいろな予期せぬ出来事が起こって、『US』にたどり着いた。

有馬:「ルイ・ヴィトン」の件も去年までは公言できないと思っていたし。さらに去年、ヴァージルさんも亡くなってしまったり。いろいろありましたね。でも、『US』で試したかったことはそもそもずっと頭の中にあったことでもあるから、自分の中で腑に落ちたんです。いつかこういうアルバムを作りたいと思っていたけど、ロックバンドだからできないだろうなと思ってたところもあったんです。20数年活動している中でほぼ半分以上の時間がメンバーのスキルに合わせて制作しているみたいなところがあったので。そのうえで『REALIZE』はほぼ自分が先導してメンバーに「こう弾いてほしい」というやり方でできた作品でありつつ、メンバーが4人ともめちゃくちゃ気に入ってる作品でもあって。今までで一番よかったと言ってるメンバーもいたんです。そこでかなり安心したんですよね。で、新しいアルバムを作るとなった時にレアグルーヴとかでブラジルのバンドの曲で「なんでこんなモダンなの!?」みたいな隠れた名曲が発掘されたりするじゃないですか。ああいうムードを持つアルバムにもしたいなと思って。

——バンドサウンドでありながら、フロアの鳴りがめちゃくちゃよかったり。

有馬:そうそう。DJの人達に「オシャレな曲だろ? 実はおとぎ話というバンドなんだよ」とか言われたいみたいな(笑)。そういうことばっかり考えてましたね。制作もめちゃくちゃ楽しくて。

——だから、今かなりバンドの風通しがいいんだろうなと。

有馬:めっちゃいいっすよ。過去最高にいいかもしれない。今、バンドではリズムの話しかしてないっすね。

——いかに引き算できるか、とか?

有馬:そうっす、そうっす。なんか、海外のバンドってメンバー全員が同じ方向を向いて、同じようなノリの話をして、お酒を飲むまでの流れが1つのグルーヴになってるから演奏が上手いのかなとか思ったりして。おとぎ話も20年以上バンドをやってきて、いまだにみんなでファミレス行ったりしてるから、そういうのもいいのかなと思ったり。

——でも、2022年現在、20年以上オリジナルメンバーでバンドを続けるって相当奇跡的なことだと思うんですよ。

有馬:そうっすね。周りの同級生で、オリジナルメンバーでバンドやってるやつらはほとんどいないっすもん。

——おとぎ話の同期のバンドやミュージシャンって誰になるんですか?

有馬:同期というか、俺がずっといた東高円寺のライブハウス、U.F.O.CLUBで一緒にやっていたのはドレスコーズの志磨遼平とか前野健太くんとか。

——濃いし、フォトジェニックなメンツですね。

有馬:2人(志磨と前野)とも、おとぎ話がバックバンドをやってライブしたことがあるんですよ。でも、そう考えるとおとぎ話だけ変なバンドだとは思います。異物感がやっぱりあるなって。

マネージメントは最初から完全セルフ

——おとぎ話は2007年に1stアルバム『SALE!』をUK PROJECTからリリースし、そこから曽我部(恵一)さんがオーナーのROSE RECORDS、felicityとレーベルを渡り歩きながらリリースを重ねてきましたが、マネージメントは最初から完全セルフでやってきたわけですよね。

有馬:そうっす。1回も事務所がついたことはないですね。

——当初からあえてどこにも所属しなかったんですか?

有馬:いや、ホントはもうラクになりたいし、ずっと「なんで誰も声をかけてくれないんだろう?」って思ってましたよ。レーベルにしても例えばfelicityは自分から「僕らのアルバムを出してください!」って直談判して。でも、そこで「どうやって制作する?」って訊かれた時に「妥協したくないのでリハスタ代は自腹で! その分、レコーディングお世話になります!」って言ったら「今どき珍しいバンドだな」っていろんな人から言われました。でも、事務所に所属してるバンドとか練習のスタジオ代もお金を出してもらえるというので。最初は「何それ!?」ってビックリしましたけどね。ずっと指くわえてそういうのを見てましたね(笑)。

——今から「一緒にやらない?」っていうプロダクションが現れたらどうしますか?

有馬:「(契約料は)いくらですか?」って訊きますね(笑)。普通にもういい歳なので。しっかり話すし、うれしいとかそういうこともなく、「あなた大丈夫ですか?」って思いますね。

——もう、そういうところに期待はしないよね。

有馬:しない、しない(笑)。

——最初のUK PROJECT時代は銀杏BOYZと親和性が高いバンドというところからスタートしたと思うし、ライブの動員なども含めて実際にその恩恵もあったと思うんですけど。

有馬:初期はめちゃくちゃありましたね。

——当時はこのまま階段を上がっていくのかなという感じでしたか?

有馬:上がっていくんだろうなぁと漠然と思いながらも、でも、僕達の本質は全然、銀杏BOYZじゃないから。ダウナーな曲が多いし、ずっと夕焼けを見てるだけみたいな曲しかないから(笑)。全然リスナーの背中を押さないんですよ。それに気づいたリスナーは離れていきましたね。でも、そこからずっとお客さんが回ってる感じなんですよ。最近だと20代の女の子のバンドに「実は中学生の時ずっと聴いていて、おとぎ話といつか対バンしたいと思ってがんばってました!」って言ってくれる子がいたりして。20年以上やっているとこんなこともあるんだなと思いますね。

——でも、当初は求められることと自分達の本質の齟齬にストレスを感じていた。

有馬:ずっとストレスを感じてましたね。そのストレスが外に放出されるならいいんだけど、内のほうに向かっていって。メンバーとケンカして殴り合いするとかいっぱいあったんですよね。で、felicityに行くタイミングで一旦バンドが破綻しそうになって解散しかけたんです。でも、そのタイミングで自分が今までやってきたことが本当にやりたいことじゃなくて、それをメンバーにあたっていたことに素直に謝れたのがすごくよくて。そこからは曲を書くのがめちゃくちゃ楽しくなったんです。

——それまではずっとバンドの危機があったところを何が繋ぎ止めていたんですか?

有馬:なんだろうな? 誰も聴いたことがないような変な曲を作り続けてはいたし、メンバーもそれを演奏するのが楽しかったんだと思います。この前、うちのドラム(前越啓輔)が、「惰性で音楽をやってないから。有馬、俺はまだバンドをやってるのが楽しいんだよね」って言っていて。

——いい話ですね。

有馬:「おおっ! 酒奢ったろうか」って思いました(笑)。

後編へ続く

おとぎ話
有馬和樹(ボーカル・ギター)、牛尾健太(ギター)、風間洋隆(ベース)、前越啓輔(ドラムス)の4人組。2000年の12月にバンド結成。2021年までに11枚のアルバムをリリース。felicity移籍第一弾アルバム『CULTURE CLUB』(2015年)に収録された『COSMOS』と映画『おとぎ話みたい』における山戸結希監督とのコラボレーションは未だに熱烈なフォロワーを生み続けることに。結成20周年を経てもバンドの新しい音楽表現に挑む姿勢に各界クリエーターからのラブコールも止まない。2022年6月、待望の新作『US』をリリース。そして8月13日には日比谷野外大音楽堂でのライブ<OUR VISION>を開催。「日本人による不思議でポップなロックンロール」をコンセプトに掲げて活動ケイゾク中。
http://otogivanashi.com
Twitter:@otogivanashi
Instagram:@otogivanashi
https://www.youtube.com/channel/UCd4QzATsDnJqvwG9pmmX6NA

おとぎ話 12th album『US』
Label : felicity / P-VINE

■おとぎ話 12th album『US』
Label : felicity / P-VINE
¥2,970 
Track List
1. FALLING ★リード曲 
2. BITTERSWEET
3. DEAR
4. ROLLING
5. RINNE
6. VOICE
7. VIOLET
8. SCENE
9. VISION
10. ESPERS
https://p-vine.lnk.to/cvpf3d

日比谷野外大音楽堂公演<OUR VISION>

■日比谷野外大音楽堂公演<OUR VISION>
日程:2022年8月13日
時間:開場16:00/開演17:00
チケット発売中:全席指定¥6,600

Photography Ko-ta Shouji
Edit Atsushi Takayama(TOKION)

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