アーロン・ファビアン Archives - TOKION https://tokion.jp/tag/アーロン・ファビアン/ Thu, 08 Jun 2023 03:05:44 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.3.4 https://image.tokion.jp/wp-content/uploads/2020/06/cropped-logo-square-nb-32x32.png アーロン・ファビアン Archives - TOKION https://tokion.jp/tag/アーロン・ファビアン/ 32 32 アーティストとシーンをつなげた18年 「innen」のアーロン・ファビアンが語るZINEカルチャー https://tokion.jp/2023/06/10/interview-aaron-fabian/ Sat, 10 Jun 2023 06:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=188609 18周年を迎えた「innen」のアーロン・ファビアンに、ZINEとの出合いからアーティストとの制作秘話までについて聞いた。

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アーティストとシーンをつなげた18年 「innen」のアーロン・ファビアンが語るZINEカルチャー

アーロン・ファビアン
グラフィックデザイナー、「innen」パブリッシャー兼編集長。2006年にブダペストでインディペンデント出版社「innen」を設立。現在はチューリッヒを拠点に、ZINEを通してアートや現代のトレンドについて型にはまらない視点を提供している。2010年には、厳選された現代アートの作品集『Zug Magazine(ツーク マガジン)』を創刊。2020年に井口弘史と「innen Japan」を立ち上げ、日本人アーティストのZINEをリリースしている。
www.innenbooks.com
Instagram:@innenbooks

これまで400タイトル以上のZINEや書籍を出版し、アートやサブカルチャーに関する型にはまらない視点を提供してきた、スイス・チューリッヒ発のインディペンデント出版社「innen」。パブリッシャーであるアーロン・ファビアンより、18年間の活動をまとめたアニバーサリーブックをリリースするという知らせが届いた(「innen」も大人になった)。交流のあるファッションブランド「カーハート WIP」のサポートを受け、「パム / パークス・アンド・ミニ」から出版された約500ページのハードカバーには、過去の出版物とアーカイブの未発表資料が詰まっている。これを記念して、4月29日から5月14日の期間、パリの『The Community Centre』でローンチイベントを開催。これまでに発表したZINEに加え、貴重なオリジナル資料やレアなグッズ、「innen」と親交のあるアーティストの作品が展示された。オープニングを終え、パリからチューリッヒに戻ったばかりのアーロンに、ZINEとの出合いから「innen」の立ち上げ、アーティストとの制作秘話について聞いてみた。

自然と惹き込まれたZINEの世界

−−まずは、アニバーサリーブックのローンチおめでとうございます!パリでのイベントはどうでしたか?

アーロン・ファビアン(以下、アーロン):ありがとう!たくさんの人に来てもらって楽しかったし、いいフィードバックをもらったよ。ロンドンの音楽レーベル「The Trilogy Tapes」のウィル・バンクヘッドはDJをしてくれたしね。

−−なぜ今回アニバーサリーブックをつくったのでしょうか?

アーロン:本当は15周年でつくりたかったんだけど、延期が続いて。18周年でようやく完成したよ。改めて18年かぁ、「innen」も大人になったよね(笑)。過去の出版物とアーカイブの未発表資料をまとめるのは大変だったけど、形になって嬉しいよ。ハンス・ウルリッヒ・オブリストが序文を、アメリカのグラフィックデザイナー、エドワード・フェラがカバーデザインを担当してくれたんだ。

−−アーロンと「innen」について、いろいろ聞いてみたいなと思いまして。まずは、ZINEとの出合いについて教えてください。

アーロン:僕はハンガリーのブダペスト出身で。僕の母はアーティスト兼美術史の先生で、父はブックデザイナー兼タイポグラファー。祖母は出版社で働いていた。そんなアート関連の家族のもとで育ったから、僕にとって印刷物や出版カルチャーは身近な存在だったんだ。8~9歳の頃、地元のアナーキーな本屋で初めてフォトコピースタイルのファンジンに出合ったのが最初かな。それから10代の頃に、小学校の友達とパンク・カルチャー・ファンジンをつくったよ。当時はグレースケールや白黒のフォトコピーに夢中だったな。

−−ちなみに誰を特集したんです

アーロン:ステップファーザーがパンク好きでさ。その影響もあって、エクスプロイテッドとかニナ・ハーゲンとか取り上げてた。まさにエヴァーグリーン・クラシック・パンクだよね。これが初めてつくったZINE。ただ楽しみたくて、友達とつくったファンキーでパンクなファンジンだよ。

−−ハンガリー、ブダペストのZINEカルチャーってどんな感じです?

アーロン:何人かZINEを制作、出版してる友達はいるし、ここ数年でZINEフェアやブックフェアを開催してる。

アーティストとシーンをつなげる、コミュニケーションツール

−−それから2006年に「innen」を立ち上げることになるんですが、そもそもどんな経緯でスタートしたのでしょうか?

アーロン:すべてが自然な流れだったんだ。当時はプラハの後、ブダペストでグラフィックデザインを勉強してたんだけど、学校の最終試験でマガジンをデザインしなきゃいけなくて。このマガジンにスペシャルな名前をつけたかったんだ。友達とバーで飲んでる時にクールな名前を探してるってことを話したら、その内の1人が「innen」を思いついて。すぐに気に入ったよ。「めっちゃクールじゃん!」って乾杯して、ビールを飲んだのを覚えてる。ちなみに「innen」は“inside to outside(中から外へ)”って意味なんだ。

それから大学1年生の時に、「innen」を立ち上げた。最初にリリースしたZINEは、ブダペストの友人フレディ・タマーシュ(Füredi Tamás)の『F – Fotos』。彼はとてもクリエイティヴなペインター兼グラフィックデザイナーなんだけど、僕は彼の撮る写真が好きなんだ。その後も別の友達のZINEをつくって、その繰り返しで。10~15タイトルくらいリリースした頃かな、気付いたらパブリッシャーになってたんだよね。

家族や友達を通して、僕はいつもクリエイティヴな人達やアートに囲まれてた。どうにかしてその人達やシーンをつなげて、何か新しいものをプロデュースしたかったんだ。ZINEはそんな人達とつながる、友達になる簡単な方法だからね。

−−アーロンにとって、ZINEはコミュニケーションツールなんですね。13 × 19 cmというサイズにはどんなこだわりがありますか?

アーロン:「Nieves」のベンジャミンが「innen」より5年早くスタートしたんだけど、彼は14 × 20 cmのフォーマットを使用してたから、違うサイズにしたくて。B5だと大き過ぎるし、ポケットに入るような小さいサイズを考えてたらこうなった。これからもこのサイズをキープしたいね。

−−アーティストはどうやって探し、どんな視点で選んでいますか?

アーロン:シンプルに僕が好きなアーティストを選んでる。「innen」はオープンなプラットフォームで、年齢も知名度もジャンルも関係ない。何かスペシャルなコンテンツであればいいんだ。フレンドリーでオープン、カルチャーと人々の間に会話を生み出す。まぁ、リアルってことだよ(笑)。どうやって探してるかっていうと、状況によるね。インターネット、図書館、本屋、ギャラリーで見つけたり、友達のおすすめを聞いたり。

2020年にヒロシ(井口弘史)と一緒に「innen Japan」を始めたけど、僕は日本カルチャーの大ファンだから、日本のアーティストは彼からたくさん情報をもらってる。彼はグッドだし、頼りにしてるんだ。

人のつながりが生み出す、奇跡のコラボレーション

−−たくさんの著名なアーティストと一緒にZINEを制作していますが、完成までのエピソードが知りたいです。例えば、オノ・ヨーコとか?

アーロン:「フランクリン・サマー」は1994年から現在まで描き続けてる、彼女のドローイング・プロジェクト。この作品をどうしてもZINEにしたくてさ。キュレーターのハンス・ウルリッヒ・オブリストが彼女のアシスタントを紹介してくれて、それから高解像度のスキャンデータをもらって実現した。本当にラッキーだったし、ハンスとヨーコにも本当に感謝してるよ。

−−やっぱり制作には時間がかかります?

アーロン:ヨーコは意外と早く完成したけど、長くて5~6年くらいかかる時もある。例えば、写真家の荒木経惟は5年かかった。最初に「タカ・イシイギャラリー」と話したけど、断られて。そしたらハリウッドでプロデューサーをしているブレット・ラトナーが、彼のポラロイドをコレクションしてたんだ。大量のアーカイヴで驚いたよ。それでギャラリーに改めて連絡して、なんとか実現したんだ。これもラッキーなシチュエーションだね。表紙のタイトルは本人の手書きなんだ。

「アンダーカバー」のデザイナー、高橋盾とは共通の友達が何人かいて、相談したら快諾してくれてね。いつもは僕が編集するんだけど、彼はすべてのレイアウトまで手掛けたんだ。僕はプリントしただけ。ラグジュアリーなシチュエーションだったし、本当に感謝だよ。

−−海外のセレブリティだと、クロエ・セヴィニーもいますよね。

アーロン:彼女のZINEは、元彼とか人生で好きになった男性との写真と「New York Post」紙の彼女に関する記事を集めたもの。実はこれ、「innen」のベストセラーの1つで、すぐにソールドアウトした。僕は知らなかったんだけど、彼女には大きなファンクラブがあるみたいだね。

−−今後リリースされるZINEも楽しみです!アーロンが思うZINEというメディアのよさとは?

アーロン:ZINEは簡単で安くつくれる出版物のひとつ。広告もなくて、自由に編集できるプラットフォームだよ。印刷もチープで早いし、簡単にシェアできる。今ではオフセットプリントでもZINEをつくるけど、昔は白黒やグレースケールが主流だった。白黒やグレースケールって、めっちゃシンプルでパワフルなカラーコンビネーションだよね。

−−最後に、ZINEをつくる人達へメッセージを。

アーロン:ユニークでストレスなく。ZINEをつくる時間を楽しんで!

Photography innen

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「innen Japan」のアーロン・ファビアンと井口弘史が選ぶ、今気になるZINE7選 https://tokion.jp/2020/11/09/innen-japans-hand-picked-seven-zines/ Mon, 09 Nov 2020 06:00:18 +0000 https://tokion.jp/?p=10074 ZINEを愛する2人が、スイスの独立系出版社「innen」より気になる7冊をセレクト。思い出話を交えつつ、自由にあれこれ語る。

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集めてもよし、作ってもよし、交換してもよし。こだわりとアツい気持ちさえあれば、誰もが気軽に発信できるコミュニケーションツールとして、ZINEは今もなお世界中で愛されている。その自由度を武器に型にはまらない作品をリリースしているのが、スイス・チューリッヒを拠点とするインディペンデント出版社「innen」だ。パブリッシャーであるアーロン・ファビアンのセレクトは、とにかく斬新でユニーク。大御所から新進気鋭の若手アーティスト、ヘルムート・ラングやヴィヴィアン・ウエストウッドといったファッションデザイナー、はたまた女優のクロエ・セヴィニーまで、ジャンルを超えた人々の作品をフィーチャーしている。

そんなアーロン が今回の対談相手に選んだのは、東京を拠点に活動するグラフィックデザイナーの井口弘史。彼の作品集『CULT JAM(2009)』のアートワークを見てコンタクトしたことをきっかけに、自然と意気投合。今夏よりトーキョー カルチャート by ビームスを通じて「innen Japan」プロジェクトを始動し、これから毎月1冊のペースで厳選したアーティストのZINEをリリース予定だ。新たなスタートを切った2人が「innen」で今気になる7冊をセレクト。本来ZINEはこうやって楽しむもの! そう思える2人の会話に耳を傾けた。

Holes / Hiroshi Iguchi

井口弘史(以下、井口):2005年に「innen」から最初にリリースした『BIG VALUE DUB』は、コンセプトに基づいていろんな作風が混在した作品集だったけど、その中の1つを拡大解釈したのが『Holes』。このドットを配列した作品は10年以上取り組んでいるシリーズなんだけど、この作風だけにフィーチャーした作品集はこれが初めて。

アーロン・ファビアン(以下、アーロン):ドットっていうスタイルが好き。どうやって描いているのかわからないけど、スーパークールだよ。

井口:作品のセレクトには時間がかかったけど、自分にとって重要な作業だった。DJ MIXのために選曲するような感覚かな。

アーロン:僕もレイアウトを考えるときは、ストーリーや流れを大事にしてる。「innen」では普段僕がZINEのレイアウトを担当してるんだけど、ヒロシの場合は最後に印刷するだけ。君のことは本当に信じてるからね。

井口:僕にとって思い出深いZINEになったよ。いい機会とタイミングをありがとう。

アーロン:いや、僕のほうがありがとうだよ。

井口:エーロン(アーロンの愛称)と自分のスタイルって質感とかちょっと違うんだけど、アティチュードは近いものを感じるよ。

アーロン:はは! そう? ヒロシは特別なテイストを持ってると思うし、何より一緒にやってて楽しいんだ。

If I See You in My Dreams / Joji Nakamura

アーロン:「innen Japan」の記念すべき1冊目だね。去年の東京アートブックフェアで1、2回穣二に会ったんだ。彼のアートワークはシンプルでおもしろい。ナイーヴなペインティングなんだけどカラフルでさ。

井口:穣二くんの作品が発するプリミティヴなダイナミズムが好きだよ。

アーロン:彼もそうだけど、ヒロシがいつも僕の知らない日本人アーティストを紹介してくれるから嬉しいよ。「innen Japan」はリサーチに力を入れてて、リアルでハイクオリティなアートにフォーカスしてるからね。といっても最終的に僕らが好きで楽しめるものを選ぶけど。

井口:あとは、僕が仲良いからチョイスしてるわけではなくて、「innen」にとっていいインフルエンスになればいいなと思って紹介してるよ。だから実際に会ったことのないアーティストでも「エーロンこの作品好きそう」と感じたら提案してる。そうだ、今回のリリースを兼ねた穣二くんの展示をちょうど見に行ってきてね、とても良かったよ。最後のページの作品(モヒカンの絵)は特に好きかな。

アーロン :いいエンディングだよね。

Sari (Dogod #3) / Akiko Watanabe

アーロン:ベルリン在住のフォトグラファー、渡部明子の『Dogod』 シリーズの3作目だね。彼女は11年前にベルリンで会って以来の友達で、10年前からこのシリーズを始めたんだ。アートっていうよりは、犬を介したパーソナルでファミリーなZINE。前2作品はいろんな犬を集めてたんだけど、今回は彼女の友達が飼っている愛犬サリだけにフォーカスしてる。サリは会ったことないんだけど、とっても可愛いよね。

井口:僕も犬好きだよ、今まで3匹の犬と暮らしてきた。マルチーズのフーフーは、僕に怒って鼻に噛みついたりしたけどね(笑)。家でのヒエラルキーは両親、フーフー、そして僕ら兄弟の順だった(笑)。家に僕1人しかいない時にはすごく甘えてくる反面、母が帰ってくると急に僕に吠え出したりしてさ、乙女心は複雑だね(笑)。

アーロン:はは(笑)! おもしろいね。僕も犬が好きで、今まで2匹の犬を飼ってたよ。前の犬はリノっていう元カノの家族の犬。ミックス犬で可愛いかった。ちなみに猫より犬が好きなんだ。犬のほうが正直だろ?もし猫を飼っていたら、ベッドの上は毛だらけになるし家具も引っ掻きまくるしさ。

井口:うん、犬は大事な存在だよね。

The Edge of Hell  /  Sean Pablo

アーロン:NYのスケーター、ショーン・パブロとZINEを作りたくて作ったのがこれ。彼が送ってくれた旅行やパーソナルライフ、友達の写真をまとめたんだ。僕がレイアウトをして、シュプリームがプリントをサポートして。ロゴは表記されてないけどね。

井口:これが「innen」から出ていることに納得。まさにエーロンの好きな世界観だと思ったよ。

アーロン:ユースやDIYカルチャーにコネクトしてるよね。ストリートやスケーター、ミュージック、グラフィティ、僕もこのカルチャー出身だから。昔はスケートボードしてたけど、今はしてないな。スノーボードはするかもね。最近は月曜日から金曜日まで毎日泳いでるよ。イルカなんだ。でも自粛が始まってから泳げてないなぁ。

井口:僕もパウエル・ペラルタに在籍してた頃のマイク・バレリーに憧れてたけど、僕自身は決して上手くはなかったなぁ。でも絵を描くことが好きだったから、スケートボードのデッキのグラフィックにはものすごく影響を受けたし、よく模写してたよ。思えばその頃からよくスカルを描いてたね。『BIG VALUE DUB』の中にもスカルの作品が何点かあるけど、哲学的にも好きなモチーフ。そうそう、先週の土曜日にパウエル・ペラルタのパイント・グラスを大先輩のSKATETHINGからいただいたよ。

アーロン:おぉ、かっこいい!

Selected Works From 2001 To 2009 / Dash Snow

アーロン:これはアメリカ人アーティスト、ダッシュ・スノウの作品をまとめたZINEの2作目。同じくスイス・チューリッヒを拠点とするインディペンデント出版社「Nieves」と共同出版したんだ。彼は2009年に亡くなったんだけど、ベルリンのCFAギャラリーからコピーライトをもらって、インスタレーションや写真を集めてね。彼に直接会ったことはないんだけど、NYにいる共通の友達からかなりラディカルな人だったと聞いて。1stエディションは白だったから、2ndエディションはパンクな赤にしてみた。

井口:僕も彼の作品が好き。

アーロン:初めて見たのは10年前かな。彼はZINEも作ってたんだ。ZINEは本よりもエクスクルーシブでユニークなもの。価格も送料も手頃だし、売るのも拡散するのも本より簡単で早いだろ?

井口:シールやバッジみたいに手頃な感覚もあるよね。

アーロン:90年代のバスケットボールカード覚えてる?1枚1枚違って、たまにレアなカードがあって。ZINEカルチャーも一緒なんだ。それぞれの個性があるし、売り切れたら価値が上がる。何より集めたくなるだろ?

井口:Toppsのトレーディング・カード大好き。うん、集めたくなるのわかるよ。

I am a Blue Whale / Joe Roberts

アーロン:サンフランシスコ拠点のアーティスト、ジョー・ロバーツの2作目。GX1000(サンフランシスコのスケートボードクルー兼レーベル)のデザインも手掛けてる、素晴らしいアーティストだよ。

井口:彼のスタイルいいよね。ニンジャ・タートルズとか、ディズニー映画の『ファンタジア』をモチーフに使ってたりして。待って、このZINEあるからちょっと探してみる。

アーロン:去年チューリッヒでジョーに会ったよ。彼は自然が好きで、その時もスイスでハイキングしてた。だから彼の作品って自然の要素もある。あとミッキーマウスがLSDやドラッグをしてたり、タートルズがピザ食べてたりしててさ。

井口:(山ほどのZINEを抱えて)あったよ。エーロンは来日するとき毎回ハンドキャリーで山ほどZINEを持ってきてくれるよね。ブックフェアの時はスーツケースにいっぱいだし。

アーロン:どのくらいだろう、去年の東京アートブックフェアにはUPSで100キロ以上は送ったかな。今年も11月に来日する予定だったけど、この状況だからキャンセルだよ。一緒に『グランドファーザーズ』行ったの覚えてる?

井口:ああ、渋谷のメロウなロックバーだね。エーロンすごく気に入ってたね、特にそこにあった大きな三角形の灰皿。後日ヤフオク!で中古品を見つけて送ったよね。

アーロン:そう、それ!ちょっと待ってて!(灰皿を取りに行く)今このバナナ型のやつならあるよ。三角形は家にあるけど、実はどっちも同じ会社。あと居酒屋も楽しかったなぁ。ヒロシは最高のガイドだよ。

井口:前回は僕らの友達で「innen」からZINEを出してる、ヤブノケンセイの家でホームパーティしたね。僕らの周りで日本人の友達がたくさんできたんじゃない?

アーロン:そうだね。あと今年は僕のギャラリーでヒロシと何か一緒にしたかったけど、これも延期かぁ。

井口:今年は難しかったけど、来年以降に実現したいな。

efflorescence / VIRGIL ABLOH™

アーロン:「オフ-ホワイト」のデザイナーで、今では「ルイ・ヴィトン」のメンズ アーティスティック・ディレクターを務めるヴァージル・アブローのZINE。彼のファッションが好きだし、一度ZINEを作ってみたらおもしろそうって思ったんだ。直接つながってないから、友達を通じてコンタクトしてね。彼のスタジオを撮影したエクスクルーシブな写真をまとめてる。

井口:彼の仕事を見ていると、普遍的な良いものをたくさん知ってる人だなと感じるね。4年前に1回だけパーティで会ったことがあるよ。たまたま僕のDJの次が彼でね、本人は覚えてないと思うけど(笑)。

アーロン:へー、知らなかった。クールじゃん!実はカルチャーを通じてコネクトしてることってよくあるよね。

アーロン・ファビアン
ハンガリー出身。グラフィックデザイナー、「innen」パブリッシャー兼編集長。2006年にスイスでインディペンデント出版社「innen 」を設立。現在はチューリッヒを拠点に、ZINEを通してアートや現代のトレンドについて型にはまらない視点を提供している。2010年には、厳選された現代アートの作品集『Zug Magazine(ツーク マガジン)』を創刊。2020年より井口弘史と「innen Japan」を立ち上げ、毎月1冊アーティストのZINEをリリース予定だ。
www.innenbooks.com

井口弘史
グラフィック・チームIlldozerを経て、2001年より自身の作品制作を主とする活動をスタートさせる。作品集として『CULT JAM』(BARTS),『BIG VALUE DUB』(innen),『Holes』(innen)をリリース。アーロン・ファビアンと立ち上げた「innen Japan」では、主にアーティストのキュレーションと編集を担当している。
hiroshiiguchi.com

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