冨山雄一 Archives - TOKION https://tokion.jp/tag/冨山雄一/ Sat, 14 May 2022 08:14:30 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.3.2 https://image.tokion.jp/wp-content/uploads/2020/06/cropped-logo-square-nb-32x32.png 冨山雄一 Archives - TOKION https://tokion.jp/tag/冨山雄一/ 32 32 「オールナイトニッポン」の仕掛け人・冨山雄一が語る「ラジオが作るコミュニティの魅力」 https://tokion.jp/2021/01/27/the-instigator-of-allnightnippon/ Wed, 27 Jan 2021 06:00:56 +0000 https://tokion.jp/?p=16220 音声コンテンツが注目される中、改めてラジオならではのパーソナリティとリスナーとの深い絆について、ニッポン放送で「オールナイトニッポン」のプロデューサーを務める冨山雄一に聴く。

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ニッポン放送で「オールナイトニッポン」のプロデューサーを務める冨山雄一

深夜ラジオ番組「オールナイトニッポン」が好調だ。「オールナイトニッポン(以下、ANN)」は25〜27時(毎週月〜土)、「オールナイトニッポン0(ZERO)(以下ANN0)」は27〜28時30分(毎週月〜木、金は29時まで、土は28時50分まで)に放送されていて、1967年にスタートし、54年目を迎えている。

現在のパーソナリティは、「ANN」が菅田将暉(月)、星野源(火)、乃木坂46の新内眞衣(水)、ナインティナイン(木)、三四郎(金)、オードリー(土)、「ANN0」がファーストサマーウイカ(月)、Creepy Nuts(火)、テレビ東京の佐久間宣行(水)、水溜りボンド(木)、霜降り明星(金)、といった多彩なラインアップを誇る。

ここ数年は番組イベントも積極的に行っており、先行予約では即完が相次ぐなど、ラジオならではのコミュニティを築いている。今回、「オールナイトニッポン」のプロデューサーを務める冨山雄一の話から、そうしたラジオの魅力や「オールナイトニッポン」が好調な理由を探っていく。

——冨山さんは現在、「オールナイトニッポン」のプロデューサーをされていますが、役割としてはどういったことをされているんですか?

冨山雄一(以下、冨山):日々の放送は、ディレクターや放送作家などの各番組チームが一生懸命作ってくれるので、そこにはあまり関わっていなくて、もっと引いたところで番組に関わっています。現在、「ミューコミプラス」や「ANN」「ANN0」「オールナイトニッポンGOLD」などのいわゆる夜帯の番組のプロデューサーを担当していますが、プロデューサーの役割は3つあります。

1つ目はそれこそ「プロデュース」という観点で、番組を中長期的にどうしていくかを番組チーム、パーソナリティと考えます。2つ目はマネージメント的なことで、各パーソナリティの所属する事務所との交渉など。そして3つ目は、これが今一番大きいのですが、マネタイズです。最近は番組スポンサーも、単純に提供してもらってCMを流すというより、SNSを使ったプロモーションや、ウェブと連動したCMなどがすごく増えてきました。そのほかにも番組イベントを企画したり、番組グッズを制作したりなどの放送外収入も考えています。

——最近の「ANN」を聞いていると、協賛スポンサーも一時期と比べて増えましたね。

冨山:ラジオ全体の広告費でいうと、2010年にradiko(ラジコ)が登場して以降はほぼ横ばいです。その中で「ANN」に関していえば、今は30社以上スポンサーがついています。実はそれは1970年代、80年代の「ANN」がすごく聴かれていた時期と変わらないどころか多いくらいなんです。それにはやはりスマホでラジオを聴くことができるradikoの登場と、2016年にradikoのタイムフリーが始まったことが大きいと思います。タイムフリー機能を使えば、1週間以内ならいつでも聴けるので、ラジオの聴き方が劇的に変わりました。

あとスマホとSNSが普及したことも大きな要因ですね。radikoと同じくらいのタイミングでスマホが普及して、若い人がラジオを聴くようになりました。radikoは現在3500万以上ダウンロードされていて、僕の実感だと、かつてと比べて数十倍聴いてもらえている感じです。

Twitterのツイートも今はそれぞれの番組ごとに「#菅田将暉ANN」や「#星野源ANN」など番組ハッシュタグを決めていて、みんながそのハッシュタグを使って生放送中に実況というか、感想をつぶやきあっています。なおかつそれが翌朝までトレンドに残っていて、その放送を聞いてなかった人も、ハッシュタグの中でバズっているツイートを見ると「あ、昨日こんなので盛り上がったんだ」や「こういうことがあったんだ」とか、なんとなく可視化される。ラジオって可視化されないのが弱点だと思っていたので、Twitterで文字として見られるのは大きいです。

実際「ANN」「ANN0」は深夜のリアルタイムでもかなり聴かれていますが、翌朝の6、7時台の通勤、通学の途中で聴いている人が多くて、深夜の何倍も聴かれているんです。今までも録音して、翌朝楽しむという人が多かったとは思いますが、想像以上にタイムフリー機能が浸透しているなと実感しています。

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ラジオはすごくぜいたくなコンテンツ

——「ANN」「ANN0」が好調ですが、その要因は? もちろんパーソナリティの魅力も多分にあると思いますが

冨山:そうですね。パーソナリティの魅力はかなりあると思います。その上で、ラジオの価値は、毎週オードリーさんや星野源さん、菅田将暉さんなどが生で2時間しゃべるということ。それが、実はすごくぜいたくなコンテンツで、先ほど言ったradikoやSNSなどの普及で、その価値を知ってもらえる機会が増えたことが大きいと思います。

ラジオは、テレビほどメジャーでもないし、インターネットほどニッチでもなくて、その距離感がちょうどいい。世の中にものすごい情報量が増えている中で、ラジオは基本的には音声だけで、パーソナリティがしゃべっていることを全国のリスナーが共有するというのが、なんともいえない連帯感というか、1つのコミュニティみたいな形になっている。コロナ禍もあって、それがさらに受け入れられているのかなと感じています。

——確かに「ANN0」なんて深夜3時スタートで、佐久間さんやCreepy Nutsさんが生放送するのってすごくぜいたくなことですよね。「ANN」に限らず、深夜ラジオは生放送も醍醐味です。

冨山:そうですね。基本的にはやはりその日その時間だけのリアルタイムを共有することは意識しています。オードリーの若林さんや、ナイナイの岡村さんの結婚も、「まずはリアルタイムでリスナーに届けたい」とわざわざ生放送のラジオで発表してくれました。それはリスナーとのコミュニティを大切にしてくれているからだと思います。

——熱心なファンが集まるパーソナリティの特徴ってあるんでしょうか? 

冨山:濃いコミュニティができている人。リスナーと目に見えない信頼関係が結べている人、という感じがします。パーソナリティもリスナーのことを信頼して話すし、リスナーもパーソナリティのことを信頼して聴いている。そういった相互関係がきちんとできているパーソナリティは濃いコミュニティが作れているし、熱心なリスナーが集まります。

相乗効果で番組を盛り上げていく

——「ANN」と同時間帯(深夜1〜3時)の裏番組であるTBSラジオの「JUNK」は意識しますか?

冨山:めちゃくちゃ意識していますね。TBSラジオのプロデューサー、宮嵜(守史)さんとも連絡を取り合っていますし、普通に僕自身も伊集院光さんや爆笑問題さんの「JUNK」はずっと聴いています。このご時世でわざわざ深夜に2時間しゃべるって、ラジオが好きじゃないと絶対できない仕事。だから、ライバルというより仲間に近い感じです。

先日、岡村さんが結婚を発表した際も、リスナーから「おぎやはぎさんがナイナイの話を聴きたがっている」とメールが来て、じゃあ電話してみようかと。普通に考えたら他局と生放送中につなぐとかはありえないことだと思うんですが、すぐ宮嵜さんに電話してつないでっていう関係性ができています。それこそ「JUNK」のゲストに「ANN」「ANN0」のパーソナリティが出たり、その逆もあったりもして。いい関係性が築けているのかなと思っています。

——「ANN」「ANN0」の中でも、別日のパーソナリティがゲストに来ることがここ数年増えました。これは意識的に増やしたんですか?

冨山:番組がうまくいく要素として、1つはもともとのパーソナリティのファンがしっかりとついてきてくれて、盛り上げてくれること。もう1つは、ラジオ自体が好きな人達のコミュニティがあって、そこの人たちが興味を持ってくれて盛り上げてくれること。その両方ができると番組がうまくいく傾向があります。

もともとは本業のファンの人たちがラジオを聴いてくれていたのが、「ANN」を始めてから他のパーソナリティと絡んだりしているうちに、だんだんとラジオのヘビーリスナー達が増えていって、相乗効果でお互いの番組のリスナーが増え、結果「オールナイトニッポン」全体が盛り上がることにつながっていくという構図です。

番組イベントならではのリスナーの熱量

——ではイベントの話について聞かせてください。「ANN」でイベントを始めたのは、2015年11月の「岡村隆史のオールナイトニッポン歌謡祭 in 横浜アリーナ」からくらいでしょうか?

冨山:もともとニッポン放送には「ANN」のパーソナリティが登場するフェス形式の「オールライブニッポン」などは以前からやっていました。そうした中で、2015年にナイナイの岡村隆史さんが1人での放送になった時に、「年に1回リスナーと会えるイベントを作りたい」と、当時の番組ディレクター(宗岡芳樹さん)が横浜アリーナでイベントをやって、8000人集まったんです。それがものすごくエモい空間で。やっぱりフェス形式だと、熱量が分散しやすいんですが、番組イベントだと、みんなが『ナインティナイン岡村隆史のANN』が好きで、共通認識を持っている。それこそ知念里奈さんの「DO-DO FOR ME」が流れただけでみんなが興奮するって、ほかのイベントだとありえないですよね(笑)。それから僕が2016年にイベントの部署に異動になったタイミングで岡村さんの歌謡祭に関わるようになりました。

そのほかに、『オードリーのANN』の10周年イベントも提案させていただいて、全国ツアーという形で、3ヵ月に1回のペースで、青森、愛知、福岡の3ヵ所でイベントをやって、最後2019年3月2日に武道館でやりました。当日はライブビューイングも合わせると2万2000人を動員して大きな話題となりました。

ただ、その途中の2018年3月の終わりに僕がイベントプロデューサーから「オールナイトニッポン」のプロデューサーに人事異動になりました。その時はすでに岡村さんやオードリーさんのイベントをやりかけていたので、番組のプロデューサーなんですが、どちらかというとマインドとしては「番組のイベントをどんどん作っていこう」、みたいに考えていました。だから、「オールナイトニッポン」のプロデューサーになってからもCreepy Nutsさんや佐久間宣行さんのイベントを実現しました。

——1月に予定していた4つの番組イベントが中止になりましたが、急遽配信イベントとして「佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO) リスナー小感謝祭2021~Believe~」を開催しました。チケットが1万7000枚以上売れるなど、リスナーの熱を感じました。実際にやってみてどんなことを実感しましたか?

冨山:コロナ禍というギリギリの状況の中で、番組スタッフもイベントスタッフももちろんパーソナリティも難しい決断だったと思います。残念ながらイベントは中止になってしまったのですが、多くの人がその日を楽しみにして頂いていたということで、イベント開催時間に水溜りボンドさんはYouTubeでの生配信、佐久間さんは配信イベントを行いました。

やってみて感じたのは、今までは大きな会場に一同に集まってというリアルイベントの良さを追求してきましたが、配信イベントでも同じような一体感は感じることができるんだなと思いました。それこそリアルイベントではできないような、リアルタイムでのメールの呼び込みやSNSへの投稿、またどうしても会場に来れない人やその時間に見れない人のためのアーカイブ配信。このような状況でも前向きに取り組んでくれたパーソナリティやイベントスタッフは本当に素晴らしいと思います。自分も何かやらなくてはと、翌週、急きょ予定していなかった生配信特番を組んだぐらい、刺激を受けました。コロナ禍での番組イベントのやり方はもっといろいろできるなと感じました。

——最後にラジオが作るコミュニティの魅力はどういったところだと思いますか?

冨山:コロナ禍で、シンプルに生放送でつながっていることって、改めてすごく良いなと感じました。昨年の4月頃はそれこそ「ANN」「ANN0」の生放送ができるのかさえ不安だったんですが、パーソナリティや番組スタッフが頑張ってくれて、リモート放送などで何とか維持できました。世の中の状況も日々変わっていく中で、生放送で2時間パーソナリティの声に耳を傾けることで、少しでも不安な気持ちが和らいだリスナーは多かったと思いますし、僕自身も改めてラジオはいいなぁと実感しました。また、生放送でリスナーと繋がれたことで、パーソナリティや番組スタッフも勇気づけられることもありました。だから結果的に、リスナーだけではなく、パーソナリティも番組スタッフも「生放送を通してつながっている」というラジオの良さを再確認できたと思います。

冨山雄一(とみやま・ゆういち)
ニッポン放送 コンテンツプロデュースルーム 番組プロデューサー。1982年生まれ。2004年NHK入局。ディレクターとしてラジオセンター、新潟放送局にて勤務。2007年ニッポン放送に転職。制作部ディレクターとして、数多くの「オールナイトニッポン」を担当。2018年より「オールナイトニッポン」「オールナイトニッポン0(ZERO)」の全体のプロデューサーに就任。NHKと民放連が実施したSNSキャンペーン「#このラジオがヤバい」を幹事として手掛けるなど、ラジオと若い人の接点作りを日々、行っている
https://www.allnightnippon.com

Photography Kazuo Yoshida

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