坂本慎太郎 Archives - TOKION https://tokion.jp/tag/坂本慎太郎/ Wed, 20 Sep 2023 05:12:28 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.3.4 https://image.tokion.jp/wp-content/uploads/2020/06/cropped-logo-square-nb-32x32.png 坂本慎太郎 Archives - TOKION https://tokion.jp/tag/坂本慎太郎/ 32 32 坂本慎太郎とチン・ベルナルデスの2マンライブが東京でも開催 11月6日に「渋谷WWW X」で https://tokion.jp/2023/09/20/tim-bernardes-x-shintaro-sakamoto/ Wed, 20 Sep 2023 05:30:00 +0000 https://tokion.jp/?p=208782 東京公演のチケットの販売は、9月23日の10時から「FRUE SHOP」で販売開始。

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11月3、4日に開催される「FESTIVAL de FRUE 2023」に出演するブラジル、サンパウロ出身のシンガー・ソングライター、チン・ベルナルデスと、坂本慎太郎の2マンライブが11月6日に東京の「渋谷 WWW X」で開催される。

2人の出会いは、「坂本慎太郎」として初のソロライブを行ったドイツ・ケルンの『WEEK-END Festival 2017』。このフェスティバルには、今回、初来日となるチン・ベルナルデスが所属するサンパウロのインディー・ギターロックトリオ、オ・テルノも出演しており、ここでの縁がきっかけで、2019年作のオ・テルノのアルバム『atrás/além』に坂本慎太郎が1曲参加。それ以来、2人が出会い、渋谷と台湾で対バンという形で共演することになった。

東京公演のチケットは、9月23日の10時から「FRUE SHOP」で販売開始。チケット料金は前売り¥10,000(ドリンク代別)。

■FRUE presents
Tim Bernardes / Shintaro Sakamoto
日程:11月6日
会場:WWW X Shibuya
時間OPEN 18:00、START 18:45、END 22:00
料金:(前売り)¥10,000(税込 / ドリンク代別 / オールスタンディング)※1人2枚まで。
https://shop.frue.jp

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坂本慎太郎の4thアルバム『物語のように』の国内盤LPレコードが発売決定 https://tokion.jp/2022/08/02/shintaro-sakamoto-4th-album-lp/ Tue, 02 Aug 2022 09:05:00 +0000 https://tokion.jp/?p=138489 6月にCDリリースされた坂本慎太郎の4thアルバム『物語のように』が、国内盤LPレコードとして9月30日に発売の運びに。

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6月3日にCDリリースされた坂本慎太郎の前作から約6年ぶり・4作目となるフルアルバム『物語のように』の国内盤LPレコードがリリースの運びに(「TOKION」でCDリリース時に行ったインタビュー記事はこちら)。

収録曲はCD同様の全10曲の1LPとなり、歌詞カード付きの初回生産限定で9月30日 に発売となる。前作同様、坂本慎太郎バンドのメンバー——菅沼雄太(ドラム)、AYA(ベース&コーラス)、西内徹(サックス&フルート)——を中心にレコーディングされ、ゲストプレーヤーとして2曲にトロンボーンでKEN KEN(Ken2d Special, Urban Volcano Sounds)が参加。エンジニア/マスタリングは中村宗一郎が、アートワークは坂本慎太郎自身が手掛けた。

10月からは、今作を引っ提げて日本全国5ヵ所を巡る「Like A Fable ツアー」も開催予定となっている(公演詳細はアーティストオフィシャルサイトから確認のこと)。

■坂本慎太郎『物語のように』 / Shintaro Sakamoto – Like A Fable
SIDE-A
01. それは違法でした (That Was Illegal)
02. まだ平気? (You Still OK?)
03. 物語のように (Like A Fable)
04. 君には時間がある (You Have Time But I Don’t)
05. 悲しい用事 (Sad Errand)

SIDE-B
01. スター (Star)
02. 浮き草 (Floating Weeds)
03. 愛のふとさ (Thickness of Love)
04. ある日のこと (One Day)
05. 恋の行方 (The Whereabouts Of Romance)

Written & Produced by 坂本慎太郎

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坂本慎太郎インタビュー 苛烈な社会の中で紡がれた「明るく抜けが良く、それでいて嘘じゃない音楽」  https://tokion.jp/2022/06/02/interview-shintaro-sakamoto/ Thu, 02 Jun 2022 09:01:00 +0000 https://tokion.jp/?p=120946 坂本慎太郎が前作から6年ぶりのアルバム『物語のように (Like A Fable)』をリリース。2020年のシングルとは異なる表情を持つメロウ&ポップな音世界を紡ぎあげた坂本に、その制作背景や海外とのつながりについて尋ねた。

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坂本慎太郎が新作アルバム『物語のように (Like A Fable)』をリリースする。アルバムとしては前作『できれば愛を』から6年ぶり。2020年にリリースされた「好きっていう気持ち/おぼろげナイトクラブ」「ツバメの季節に/歴史をいじらないで」という2枚のシングルは、パンデミック拡大当初の混沌とした社会の様相にも通じるヒリヒリとしたムードも感じさせたが、「明るく、フレッシュで、抜けがいい感じにしたかった」と坂本自身が語る新作アルバムにはこれらの楽曲は収録されてはいない。レトロなアメリカン・ポップの雰囲気にも通じる表題曲など、甘くメロウなテイストを持った楽曲が並んでいる。「それは違法でした」や「君には時間がある」など、不思議と心に引っ掛かる余韻を残す歌詞の表現も巧みだ。前作同様、ドラムに菅沼雄太、ベース&コーラスにAYA、フルート&サックスに西内徹という坂本慎太郎バンドのメンバーを中心にレコーディングされた本作。時にユーモラスで、かつ研ぎ澄まされたその美学は変わっていないが、2019年のアメリカツアーなどの経験も経て、最近では海外アーティストとの同時代性も感じているという。新作の制作背景や感じている状況の変化について、語ってもらった。

海外ライブ経験から感じた「離れていても遠くない人達」の存在

――アルバムはどんなところから作りはじめたんでしょうか?

坂本慎太郎(以下、坂本):前のアルバムを出してからちょこちょこ曲を作りためていて。2019年くらいからずっと、できればアルバムを出したいなとは思っていたんですけれど。

――2020年に出したシングルの4曲はアルバムには入っていませんね。

坂本:そうですね。全曲新曲にしたかったので。ずっとMTRでデモテープみたいな形で作りためていたんですけど、そこから歌詞ができたものをシングルとして出して、その後に残っていたものと作り足したもので構成しました。

――前作アルバムからの変化としては、ライブを行うようになったことも大きかったと思います。改めて振り返って、どういう体験でしたか?

坂本:2017年からライブをやりはじめて、あっという間に3年ぐらい経って。そうしたらコロナになった感じなんですけど、その前にはいろんな国にも行ってやっていたので。直接的にはわからないですけど、影響しているのかもしれないと思います。

坂本慎太郎『物語のように (Like A Fable)』
坂本慎太郎『物語のように (Like A Fable)』

――海外でのライブは、振り返ってみてどんな経験でしたか?

坂本:YouTubeとかSpotifyのおかげなのかもしれないですけど、今はお客さんが曲を知っていてくれるんですよね。ゆらゆら帝国の頃に海外でやった時は、「どんなもんかな」って見ているお客さんが最後にはノッてくれるみたいな印象だったんですけれど。今はもう、最初から歓迎ムードで。なんなら日本語もわからないのに一緒に歌ってくれるような人が一杯いて。びっくりしましたね。

――坂本さんの追求しているサウンド感やグルーヴ、音楽の好みを共有している海外のオーディエンスが増えてきているのではないかと思います。

坂本:そうですね。アメリカには自分と音楽的にもそんなに遠くない感じの人もいるので。決して主流ではないんですけど、いろんな国に一定数そういう人達がいて、離れててもダイレクトにたどり着けるような感じになっている。それは今っぽいと思います。

――坂本さんが追求している感覚、主流ではないけれどいろんな国に共通している感覚って、どういうものなんでしょうか。

坂本:すごく平たく言うと、やっぱり古いレコードが好きなんで。昔っぽい音が好きなんです。そこにはもちろん懐古趣味も入っているかもしれないけれど、でも、そうなり過ぎない。今の感じでさらっとやっている人が増えているように思います。

――今回のアルバムの方向性に、そういう海外との同時代性の影響はありますか?

坂本:好きな音は変わらないので、ずっと今まで通り好きな質感のサウンドを作っているんですけど。今回はソウルっぽい感じよりも、もうちょっとロックっぽい感じ、昔のロックンロールとかオールディーズみたいなニュアンスを入れたいなと思いました。ただ、それは世の中の流れではないし、あえてブームから離れようっていうのでもない。あくまで、今はこういうのが面白いんじゃないかなっていう個人的な気分です。

「過酷な社会の中で、自分が明るくなれる曲を10曲作った」

――表題曲の「物語のように」も、レトロなアメリカン・ポップのテイストがありますし、そういうタイプの曲がアルバムの軸になっていますよね。

坂本:今回はちょっと明るい感じにしたいなっていうのがありましたね。フレッシュで、抜けがいい感じにしたかった。60年代のガールズ・コーラス・グループとかは昔から変わらず好きなんですけど、そういう感じとつながっているのかもしれないです。

――明るいものにしたいという気持ちは、どういうところから生まれたものだったんでしょうか。

坂本:やっぱり、この世の中が過酷すぎるので、ちょっと耐えきれなくなってきたのはあるかもしれないです。そこから逃れられるような、自分なりにちょっとでも気持ちが明るくなるようなものを追求した感じです。とはいっても、応援されたりポジティブなことを言われたりしてもかえって落ち込むタイプだし、スピリチュアルな感じも気持ち悪いと思うので。そうじゃなくて、自分が明るくなれる、一番好きな感じの曲を10曲作って、それを集めてアルバムにした感じです。

――2020年にリリースされたシングルの4曲は、社会の苛烈さやしんどさがダイレクトに反映されているが故に、アルバムのムードにはそぐわなかった感じもありますか?

坂本:それはちょっとあるかもしれないですね。もうちょっと突き抜けた感じにしたかったのかもしれないです。

――アルバムを作っていく上で、最初にできた、もしくは、この曲ができたことである程度の方向性が見えたと思える曲はどれでしたか。

坂本:曲だけだいたいあって、歌詞がなかなかできずに苦労していたんですけど。最初に歌詞ができたのは「物語のように」ですね。この曲の歌詞がさらっと書けて、歌詞ができる前は「まあ、いいかな」と思っていた曲が急に輝きだしたような感覚があった。で、次のアルバムはこんな感じがいいなって思える曲ができたのは「君には時間がある」です。これはすごくいい曲ができたと思っていたんですけれど、ハマる歌詞がなかなか見つけられなくて。軽い歌詞にしたかったんですけれど、曲の雰囲気を壊さないで日本語にするのに、すごく苦労をしました。

坂本慎太郎「物語のように」

――前にもおっしゃっていたんですが、歌詞を書く作業はどんどん難しいものになってきてるんでしょうか。

坂本:そうですね。人に提供する曲だとすぐにできたりするんですけど、自分で歌うとなると、なかなか難しいですね。やっぱり、架空の話といっても、自分が書いて自分が歌うとなると、思ってもないことを歌えない。あとは、例えば若い女の子が歌ったらいい曲かもしれないけれど、自分が歌うと気持ち悪いんじゃないか、とか。そういう、いろいろなことがありますね。

――今の苛烈で閉塞感がある社会の中で明るく抜けのいいものを作りたい、それでいて噓じゃないもの、自分が歌って虚ろでないものを書くという、そこの難しさもあったりするのではないでしょうか。

坂本:そうです。そこがメインの難しさですね。

独自の詞世界をかたちづくる言葉たちはどのように浮かび上がってくるのか

――このアルバムの中では「それは違法でした」が、最も社会的で、ある種の寓話としての鋭さを持つ曲だと思うんですが、この曲はどういうふうにできていったんでしょうか。

坂本:歌詞は最後の方にできたんですけど、曲自体は最初にあったくらいのものですね。シングルの時のインタビューで言ったと思うんですけど、古いリズムボックスの音が好きで、自分でもリズムボックスを使った宅録アルバムを1枚作ろうかなと思って作業していた時にできた曲で。他の曲は全部バンドで練習して録り直したんですけど、この曲だけはデモテープをそのまま使いました。歌詞は、なんというか、ぽろっとハマったんですよね。普段から「こういう曲を作ろう」とは考えず無意識のうちに言っちゃったことみたいなものから発想するようにしていて。そう、「言っちゃった」みたいな感じですね。

――「ある日のこと」も寓話的で余韻のある歌詞になっている気がするんですが、この曲は、どういうふうに作ったんですか。

坂本:これは最後の方に明るい感じの抜けのいい曲もほしいなと思って作っていって。曲も詞もするっとできました。歌詞は自分でも「これはなんだろう?」みたいな感じだったんですけど、できたんで、そのまんま歌うしかないみたいな感じですね。歌詞が曲にバチッとハマっちゃうと、もう動かしようがなくなっちゃうので。

――坂本さんはよく「消去法で歌詞を書く」とおっしゃっていますよね。例えば、こういうことを書いたら自分としてNGになるという基準はありますか?

坂本:それは曲によって違うんですけど。たとえば陳腐なフレーズでも曲によっては切実に響く場合もあるし。かと言って、いいことを言っている感じだとつじつまが合い過ぎてつまらなかったり、曲のスピード感がゆるく聴こえたりする場合もある。基本は、鼻歌で歌って、バチってハマった言葉に対して、いいか悪いかをジャッジする感じです。

――まずは、リズムと譜割と、声に出してみた時の気持ちよさがある。

坂本:そうですね。

――その上で、わかりやすくて、おさまりがよ過ぎると余白のないものになってしまうのを避けるというジャッジもありますか?

坂本:ありますあります。そういう微調整みたいなものを延々とやっている感じですかね。最初は無の状態で浮かぶのを待ち、ワンフレーズがハマって曲のイメージが湧いてきたら、あとは、浮かんだイメージを形にするためにいろいろやっていく感じです。

意味も音も両方ちゃんとやりながら、海外ともつながっていく

――ちなみに、英語で歌うっていう発想は最初からなかった?

坂本:そうですね、はい。やっぱり、意味をそのまま訳したとしても、その言い方がかっこいいのかどうか微妙なニュアンスがわからないですし。そうすると自信が持てないので。

――でも、実際に日本語圏以外でも坂本さんの音楽の良さがきちんと伝わっているわけですよね。このあたりは、ご自身としてはどんなふうに捉えていますか?

坂本:そこは、完全に音としてかっこよくできていれば、伝わるんだなと思いますけどね。僕たちが英語とかポルトガル語とかスペイン語とかの音楽を聴いてもいいなって思うのと同じで、日本語がわからない人が聴いてもいいものはいいって感じるんだと思っています。日本語の意味に縛られて、そっちを優先しちゃうと、リズムとかサウンドの気持ちよさが犠牲になりがちじゃないですか。そこを上手くやりたいとは思っていますね。だからって、何を歌っているかわからない節回しで歌うようなことをするわけでもなくて。意味も音も、両方ちゃんとやりたいなって思います。

――この先また海外でライブをしようという計画もありますか?

坂本:行けたら行きたいですね。でも、状況に応じてじゃないですかね。

――先程の話にもありましたが、坂本さんの音楽は国境に関係なく届くポピュラリティがあると思います。

坂本:そこは変わりましたよね。昔は海外でリリースしてツアーをやらないと知ってもらえなかったですけれど、今は良ければ聴いてもらえるので。好きな感じの人達も増えてきましたし。

――ちなみに、坂本さんが同時代性を感じている、もしくは趣味が合うと思っているアーティストには、例えばどんな方がいますか?

坂本:ボビー・オローサとかアーロン・フレイザーとか、レーベルで言うとビッグ・クラウンとかコールマインから出ている人達あたりですね。あとは、再発レーベルですけど、シカゴのヌメロ・グループはうんと古い、今俺が聴きたい感じのレコードを出してくれるので、シンパシーを感じてます。あとは、アメリカツアーの時にオープニングアクトをやってくれたブラジルのセッサという人も、すごくよかったし。他にもいろいろいますね。前は新譜に乗りきれない自分がいたんですけれど、そのあたりも変わってきた感じがします。そんなに追いかけているわけではないですけどね。

――そういう同じ感性を持ったミュージシャンが国境を超えてつながっているようなことって、以前はあまりなかったように思います。時代が変わってきた感じがしますね。

坂本:そうですね。そういう人の曲を僕がレコード屋で買って聴いていたりすると、向こうも自分の曲を聴いていたりする。そうすると「なんだ、お互いに聴いていたのか」みたいな友達感覚になる。会ったことはないけれど、親近感が湧くというか。世界は狭いなって思いますね。

坂本慎太郎

坂本慎太郎
1989 年、ロックバンド、ゆらゆら帝国のボーカル&ギターとして活動を始める。2010 年ゆらゆら帝国解散後、2011 年に自身のレーベル、“zelone records”にてソロ活動をスタート。今までに3 枚のソロ・アルバム、1 枚のシングル、9 枚の7inch vinyl を発表。2017 年、ドイツのケルンでライブ活動を再開し、2018 年に4 カ国でライヴ、2019 年にはUS ツアーを成功させる。今までにMayer Hawthorne、Devendra Banhart とのスプリットシングル、ブラジルのバンドO Terno のアルバム「atras/alem」に1 曲参加。2020 年、最新シングル『好きっていう気持ち』『ツバメの季節に』を7inch / デジタルで2 か月連続リリース。2021 年、Allen Ginsberg Estate (NY) より公式リリースされる、「Allen Ginsberg’s The Fall of America: A 50th Anniversary Musical Tribute」に参加。様々なアーティストへの楽曲提供、アートワーク提供他、活動は多岐に渡る。 
オフィシャルwebサイト:www.zelonerecords.com

Photography Kazuo Yoshida
Special Thaks Time Out Cafe & Diner

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坂本慎太郎の現在地――変わる社会と、変わらない「好きな感じ」 https://tokion.jp/2020/11/28/shintaro-sakamotos-tastes-remain-unchanged/ Sat, 28 Nov 2020 06:00:37 +0000 https://tokion.jp/?p=12701 2ヵ月連続で7インチシングルをリリースする坂本慎太郎に、制作の背景や今思っていることについて尋ねた。

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坂本慎太郎が約1年ぶりとなる新曲を2ヵ月連続で発表する。このたびリリースされるのは「好きっていう気持ち/おぼろげナイトクラブ」「ツバメの季節に/歴史をいじらないで」というシングル2作。どちらもベースにAYA、ドラムに菅沼雄太、そしてフルートとソプラノ・サックスに西内徹という馴染みの顔ぶれによる録音で、その徹底的に削ぎ落とされたミニマルなバンド・アンサンブルは、これまでの諸作と地続きにあるものだ。しかし、そこで坂本が紡いでゆく言葉に耳を傾けると、そこには価値観が異なる者同士の衝突と分断、または歴史修正主義の蔓延といった昨今の社会的イシューが、それぞれの楽曲から聞き取れる。世界的パンデミックが巻き起こり、未だにその収束のめども立たない2020年。坂本は何を思い、今回の4曲を作るに至ったのか。さっそく本人に話を聞いた。

宅録でアルバムを作ろうとしたけど、やっぱりバンドの方がいいなと思った

――この半年間はどのように過ごされていましたか?

坂本慎太郎(以下、坂本):4月に予定されていたライヴが延期になってしまって。それでしばらくは何もやる気が起きなかったんですけど、作りためていた曲がたくさんあったので、宅録でアルバムを作ろうかなと。それで自分を奮起させるために、昔から欲しかった古いリズム・ボックスをネットで買ったりしてました。

――どんな機種を購入したんですか?

坂本:マエストロのリズムキングという、スライ・ストーンが使ってたやつです。あと、エーストーンのFR-1も勢いで買いました。そしたら一時的にやる気がでて、今回の4曲が形になったんです。

――今回のシングルはバンドでスタジオ録音されていますが、当初これは宅録で作る予定だったということ?

坂本:ええ。そうしたら延期されたライヴをやるかもしれないという話になったので、宅録の作業をいちど中断して、リハーサルのためにメンバーとスタジオに入ってみたら、やっぱりこっちの方がいいなと。結局そのライヴも中止になったので、それなら練習のために予約してたスタジオで録音しちゃおうということになったんです。

――リズム・ボックスを使った制作は現在も続けているのですか?

坂本:今はやってないです。古いリズム・ボックスで作ったデモテープみたいな音源がもともと好きで、そういうレコードも集めているので、自分でもやってみたいなと思ってたんですけど、多分これから宅録のアルバムがいっぱい出るんだろうなと思ったら、なんか急激にやる気がなくなってしまって。それで今回はみんなで録ることにしたんです。

――アルバムを作れるだけの曲数は既にそろっているんですか?

坂本:そうですね。ただ、2~3年間ずっと作ってはいるんですけど、なんか決め手に欠けるというか、特に今までの曲と比べて目新しさもなくて。それで寝かしていた曲がいくつかあったので、とりあえず歌詞をつけて完成させちゃおうと。今回の4曲はそんな感じで作りました。

ライヴがなくなったことで、1枚目のソロ・アルバムを作った頃の気持ちに少し戻れた

――「好きっていう気持ち/おぼろげナイトクラブ」は2曲とも音楽が鳴る社交場についての歌ですね。これは『できれば愛を』に収録されている「ディスコって」にも共通するテーマであるのと当時に、コロナ禍のライヴハウスやクラブにあてた曲としても聞こえました。

坂本:当然そういうのもあったと思います。ただ、別にそういう曲を書こうと思っていたわけではなくて、歌詞をまとめていくなかで普段考えていることがそのまま出ちゃったというか。いつもそうなんですけど、曲を作る時はまず先にメロディーがあって、そこにバチっとハマる言葉を探していくので、最初からテーマがあるわけじゃないんです。

11/11リリースの第一弾シングル「好きっていう気持ち/おぼろげナイトクラブ」

――では、「ツバメの季節に/歴史をいじらないで」の2曲についてはいかがですか? とりわけ「歴史をいじらないで」は公文書改ざんやフェイクニュースといった社会問題をかなり直接的に批判している楽曲だと感じたのですが。

坂本:そうですね。というか、やっちゃいけないことじゃないですか、それは。記録やデータが積み重なって今があるわけだし、自分達は先人の失敗から学んで進歩してきたわけなんだから、それを変えちゃったらすべての拠り所がなくなりますよね。これは政治の話だけでもなくて、例えば大した事なかったはずの人が今は大物みたいになっていたり、その逆に昔かっこよかった人が表に出ないまま消えちゃったり、そういうのも記録があった上で再評価されているのであればわかるんですけど、そこで元の記録をいじっちゃったら、もうめちゃくちゃになってしまいますよね。それをやってもいいと言う人は、誰もいないと思うんです。

12/2リリースの第二弾シングル「ツバメの季節に/歴史をいじらないで」

――そうですね。だから改ざんした本人もそれを認めないという。

坂本:ええ、正当化できないことですから。だから、これは堂々と言っていいことだと思うんです。

――作詞をする上で、坂本さんはどのようなことを気にかけているのでしょうか?

坂本:作詞は、わりと「消去法」的な感じですね。意味やニュアンスとして「これは違うな」みたいな言葉をどんどん排除していって、これだったら歌えるなと思える歌詞にしていく。別に思ったことを歌えばいいと思っているわけでもないけど、かといって思ってもないようなことは歌えないわけで。そうなると内容が限定されてくるので、どんどん針の穴に糸を通すような世界になってきてます。本当は無意味でわけわかんないんだけどおもしろい曲ができれば、それでも全然いいし、むしろそっちの方がいいんですけどね。

――では、坂本さんのなかで今回のシングル2枚はどういう位置付けの作品なのでしょうか? 個人的にはこれまでの作品との連続性を感じたのですが。

坂本:とりあえず現時点でやれることをやったって感じですかね。ずっとライヴをやらずにアルバムを3枚作ったんですけど、最近またライヴ活動を始めたら、それまでのペースでは制作できなくなっちゃって。それが今回はライヴが全部なくなったことによって、1枚目のソロ・アルバムを作っていた震災の頃の気持ちに、ちょっとだけ戻れたというか。

――震災の頃の気持ちというのは?

坂本:何も予定がなくて、ただ新曲のことだけを考えているような状態ですね。やっぱりライブがあると違うんですよ。スタジオに入っても、ライヴで演奏するという方向に引っ張られちゃうというか。

自分の好きな感じのものしかできないってことがよくわかった

――しばらく離れていたライヴ活動を再開してみて、坂本さんはどんなことを感じたのでしょうか。

坂本:すごく楽しかったです。思ってもみなかった場所に行けたし、今年もコロナになってなければ外国とかでツアーをやる予定があったので、これからはそういうこともできなくなっちゃうのかなと思うと、やっぱり寂しいですね。

――未だに見通しが立たない状況ですが、音楽家の活動は今後どうなっていくと思いますか?

坂本:全然わからないですけど、きっとやめちゃう人もいるでしょうね。もう音楽やりたくないって人もいるかもしれない。別にライヴができなくても歌う人はこれからも歌うだろうし、発表できなくても曲を作る人はこれからも作ると思うんですけど、そういう人ばかりではないだろうなと。それにみんなで集まって演奏するってことも、以前と比べると貴重な体験になってますよね。それは僕も感じてます。今回の新曲は今まで通りのスタイルでやりましたけど、今後どうなっていくのかはちょっとわからないですよね。

――次のアルバムに向けたヴィジョンは今どのくらい見えてますか?

坂本:こういうコンセプトでいこうとか、そういうのはまだないです。まあ、これまでのアルバムとそんなに違うものは出てこないと思うし、ここから音楽性が大きく変わるってこともあまり考えられないんですけどね。自分の好きな感じのものしかできないってことがよくわかったので。

――音楽の好みがずっと変わってないということですか?

坂本:ええ、それはずっと一緒なんです。自分の好みというのは明確にあるので、レコードを買う時も好みに沿ったもので聴いたことがないレコードを探しているだけなんです。タイミングと勘を頼りにして、自分の中の名曲リストを増やしていくような感じですね。

――最近だと、その名曲リストに加わった曲は何かありましたか?

坂本:ジェイク・シャーマンという人の「Maureen」いう曲は良かったです。レコ屋の試聴で知って、最近はずっとその曲にハマってましたね。声がちょっとスクリューした感じで、もっさりした打ち込みの曲なんですけど。

――好きな曲はレコ屋で見つけることが未だに多いんですか?

坂本:そうですね。未だにユニオンとかでよくジャケ買いしてます。サブスクとかなら好きな曲をもっと効率よく探せるんだろうけど、何でも聴けると感度がちょっと薄れそうな気がするので、あえて情報を制限して、偶然出会ったものの中からキャッチするようにしてます。なので、レコードは自分の勘で探すか、レコ屋さんのレコメンドをネットで試聴するか。それに友達の紹介も大きいかな。あとはYouTubeのおすすめに上がってくるものをチェックするだけで、もう精一杯ですね。

坂本慎太郎
1967年9月9日大阪生まれ。1989年、ロックバンド、ゆらゆら帝国のボーカル&ギターとして活動を始める。2010年ゆらゆら帝国解散後、2011年に自身のレーベル、“zelone records”にてソロ活動をスタート。ニューヨークの“Other Music Recording Co. ”から、1stアルバム『How To Live With A Phantom』(2011)と2ndアルバム『Let’s Dance Raw』 (2014)、“Mesh-Key Records”から3rdアルバム『Love If Possible』(2016)をUS/EU/UKでフィジカルリリース。様々なアーティストへの楽曲提供、アートワーク提供の他、活動は多岐に渡る。
http://zelonerecords.com

Photography Kazuo Yoshida

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