岡本大陸 Archives - TOKION https://tokion.jp/tag/岡本大陸/ Wed, 29 Dec 2021 09:43:53 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.3.4 https://image.tokion.jp/wp-content/uploads/2020/06/cropped-logo-square-nb-32x32.png 岡本大陸 Archives - TOKION https://tokion.jp/tag/岡本大陸/ 32 32 みんなの今年のベスト映画は? 「TOKION」ゆかりのクリエイターが選ぶ「2021年公開の私的ベスト映画」  https://tokion.jp/2021/12/29/the-best-movies-2021/ Wed, 29 Dec 2021 09:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=85499 今年、劇場やストリーミングサービスで日本公開された映画の中から、「TOKION」にゆかりのあるクリエイターが心に残った映画を選出する。

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昨年に引き続き、2021年も新型コロナウイルスのパンデミックによって、多くの映画作品が公開延期に追い込まれたり、映画館へ足を運ぶこともままならない時期もあった。一方で10月1日から全国の映画館で全席販売・レイトショーが再開される等、明るいニュースも聞かれた。

そんな過酷な状況でも、鑑賞後にポジティヴなエネルギーを与えてくれる作品が今年も数多く公開されたわけだが、「TOKION」にゆかりのあるクリエイターが、今年、劇場やストリーミングサービスで日本公開された映画の中から心に残った、私的なおすすめ映画を発表! グッと来た場面やシチュエーションなど、2021年を映画とともに振り返る。

『JUNK HEAD』
八木華(ファッションデザイナー)

たった1人で、独学で作り始め7年かけて完成させたストップモーションアニメ『JUNK HEAD』。

環境破壊が止まらず地上が汚染された未来。人類は遺伝子操作により永遠の命と引き換えに生殖能力を失う。そして新種のウイルスにより絶滅の危機に瀕した人類は、独自に進化していた人工生命体の住む地下世界へ調査に向かう。地下調査員として名乗りを上げた主人公が地下の世界で人類再生の道を探る物語。

ストップモーションを制作している妹と映画館で観たのですが、もう二度と観たくないくらい疲れる圧倒的な映像体験でした。映画の舞台は未知なる地下の世界ですが、地下の構造から生物が話す言語まですべて未知です。その上ストップモーションという技法で映像も音もノイズが多い。

CGや演出の技術によって整備されたファンタジーの世界を快適に楽しむことはできるけど、本当に未知の体験は快適ではないような気がします。わからないことばかりで疲れる。そういう体験をさせてくれる映画は貴重だなと思います。

そのような意味でこの混沌にたどり着くために1人で7年間をかけてストップモーションで表現する必然性を感じました。

八木華

八木華
1999年、東京都生まれ。都立総合芸術高校卒業後、「ここのがっこう」で学ぶ。2019年に欧州最大のファッションコンペ「International Talent Support」ファッション部門に最年少の19歳でノミネート。現在は、妹と組んで映像制作にも取り組んでいる。
Instagram:@hannah.yagi

『サマーフィルムにのって』
岡本大陸「DAIRIKU」デザイナー

© 2021「サマーフィルムにのって」製作委員会
配給:ハピネットファントム・スタジオ

良い映画だったなぁ。最近の映画に対する消費のされ方に疑問を訴えかける映画で、映画館が減ったりレンタルビデオ屋も少なくなっていたりして映画好きとしては悲しい。古い映画はなかなか観れなくなってしまうのではないのかなっていう心配もある。でも、この映画を観ると映画作りの舞台裏と高校生達のキラキラした青春を混ぜていて、しかもSF! 観てて本当に楽しかったし、もし僕が高校生の時くらいに観たら、映画をサブスクとかじゃなくて映画館で観ようとかDVD借りて観ようという気持ちにさせてくれそうな映画でした。

特に昔の日本映画や日本文学への多大なリスペクトが込められていて、随所に作品がストレートに紹介されて、その映画作品観たい! というきっかけを作ってくれる。

これから名作は生まれるの? みたいな葛藤はあるけど、ちゃんとラストシーンで映画の未来が明るいという気持ちにさせてくれるし、あのシーンは泣いた。映画の過去作も現在も未来へも、ヒヤヒヤしながらも丁寧に丁寧に線と線を結んでる感じ。

日本映画の影響が色濃いかと思いきや、小栗くんが乗っているデコチャリと彼の髪型は映画『さらば青春の光』のエースみたいだったり、ラストシーンは出演者がみんな体育館に集まって“祭”のような感じで、『フェリーニ』の“8 1/2(ハッカニブンノイチ)”のようだった。洋画からの影響もあるのかなって想像するたびにワクワクした。監督さんは、本当に映画を愛してるんだろうなって。

岡本太郎は“芸術は青春”って言ってた。それを感じるくらい、主人公ハダシ達のあの若々しい映画づくりこそ情熱であって青春。映画でも音楽でも服作りでも何にでも、ひたむきに頑張ることが青春だなって改めて感じた映画でした。

僕も今、青春してるんだって思ったよ。ありがとう、映画。

岡本大陸

岡本大陸
1994年、奈良県生まれ。バンタンデザイン研究所ファッションデザイン学科在籍中に自身のブランド「ダイリク」を立ち上げる。2016年にはアジア ファッション コレクション(AFC)のグランプリを受賞し、2017年にニューヨーク・ファッション・ウィークでランウェイデビューを果たす。ブランドコンセプトは「ルーツやストーリーが感じられる服」で毎シーズン映画をテーマにしたコレクションを発表している。

『#寛解の連続』
十河幸太郎「ノウハウ」デザイナー

昨今、子どもと一緒に映画館に行く機会が増え、ファミリー向け映画を観る機会が増えたのですが、この作品は、今年1人で観に行った数少ない映画の1つです。その映画『#寛解の連続』は、2011年にファーストアルバム『神戸薔薇尻』をリリースしたラッパー、小林勝行の創作と生活に密着したドキュメンタリーです。躁うつ病を抱える小林さんの日常と、セカンドアルバム『かっつん』のリリースに至るまでの過程に迫る、というのがあらすじです。

僕の想像以上にむき出しで己の内面と向き合いながら描かれた壮絶なドキュメンタリーでした。ここ数年ずっと頭上に重く立ち込めている暗いムードのようなものは、自分自身の受け止め方や行動でまだいくらでも払いのけれる、そんなことに気が付いてハッとしました。ドキュメンタリーが好きな方にはもちろんですが、もしそんなムードが自身に立ち込めているような気がするのなら、すごくおすすめの映画です。

印象に残っているのは、序盤にレコーディング風景の場面があるのですが、そこでのレコーディングエンジニアの方との会話です。ラップを吹き込むことで音楽として印象がガラッと変わっていくことに驚きと喜びを隠さないその2人のやりとりにグッときました。それと、ボールペンの視点で描く楽曲「オレヲダキシメロ」を自宅の部屋で1人で制作する様子がとても印象的です。何度も声に出し自分に問いながら自分を鼓舞しながら表現を模索する姿はとても胸を打たれます。

小林勝行を知ったのは、数年前に現代美術家のcobirdさんに教えてもらった「108 bars」を聴いた時で、それから、生きざまや表現についての向き合い方がとても気になっていました。映画は2019年にできあがっていたそうなのですが、コロナ禍の影響もあり鑑賞する機会がない中で、ようやく今年の4月に閉館間近の渋谷アップリンクで上映されるという情報を聞きつけて観に行ってきました。昔のインタビューで唾奇さんも小林勝行さんに影響を受けたと話していたのもこの映画を観る後押しになりました。

ただ、現時点では配信サービスでは観れませんので、お住まいのエリアのお近くで上映される情報を要チェックです!

十河幸太郎

十河幸太郎
1980年、北海道生まれ。2013年にパジャマブランド「ノウハウ」をスタート。チューソンとともに夫婦で製作を行っている。近年では広島県尾道にある複合施設「U2」内のホテルのアメニティパジャマを製作。また、インナー&ルームウエアのライン「トワイライト」や、“家が恋しくなる”をテーマにした高級ライン「ホームシック バイ ノウハウ」なども展開している。「ノウハウ」のオンラインショップ「ROOM SERVICE」は年末年始も休まず営業予定。https://nowhaw.shop-pro.jp/

『逆光』
工藤司「クードス」デザイナー

1970年代の尾道が舞台のこの映画は、主人公である晃の故郷に憧れの先輩である吉岡を連れ帰省し、晃の友人達とともに過ごすひと夏が描かれる。(そこで彼等の微妙な人間関係が交差していく)。シークエンスごとに繰り返し強調されるのは尾道の土地の音や光だ。

しかし、晃が好意を寄せる吉岡の顔や表情はなぜかどこかおぼろげで印象に残らない。それは晃にとっての彼自身が「逆光」だからなのかもしれない。カメラの前では、逆光は被写体を光で覆い隠す。

渡辺あやの脚本や大友良英の音楽はもちろんのこと、俳優・須藤蓮の初監督作品であるということが1つのこの映画への呼び水だとしたら、それはとても表層的な要素でしかない。

誰かに想いを寄せ、それを直接伝えられない歯がゆさそれ自体は、いつの時代にも等しく僕等を苦しめると同時に喜びでさえもあるということを改めて思い知らされた。

1970年代を意識し作り込まれた衣装のスタイリングの世界観もとても心地のいいものだった。

工藤司

工藤司
沖縄県出身。早稲田大学卒業後、ベルギーのアントワープ王立芸術アカデミーに進学。中退後に渡仏し、パリの「ジャックムス」でデザインアシスタント、「Y/プロジェクト」ではパターンアシスタントとして経験を積み、その後渡英し「JW アンダーソン」のデザインアシスタントを経て2017年に自身のブランドである「クードス」を立ち上げる。2018年にはウィメンズ「スドーク」をスタート。写真家としても活躍。今秋に出版事業「TSUKASA KUDO PUBLISHING」を始動し『TANG TAO by Fish Zhang』を出版。
https://kudoskudos.co
Instagram:@tsukasamkudo

Photography Kisshomaru Shimamura

『浅草キッド』
藤原新「クオン」創業者

ビートたけし(北野武)さんのファンで楽しみにしていました。監督・北野武としての作品はもちろん、小さな頃からビートたけしさんを見て育った世代なので。劇団ひとりさんが監督・脚本を務め、松村邦洋さんが演技指導をするなど、ビートたけしさんをリスペクトする人達が多く関わっているということで、どんな作品になるのだろうという期待感がありました。希代の芸人・ビートたけしという主人公を通した、師匠である深見千三郎の物語。印象に残ったシーンはたくさんありますが、ビートたけしさんを演じる柳楽優弥さんのタップダンスが映像としてもすてきだなと思いました。

KUON 藤原新

藤原新
メンズブランド「クオン」創業者兼株式会社「MOONSHOT」代表。2011年「1sin」を立ち上げ、2016SSシーズンより新たに石橋真一郎をデザイナーとした「クオン」をスタート。現在も法律に携わる仕事を継続しながら、さまざまな日本の伝統技術を結集したメンズウエアを提案し続けている。ブランドの公式noteも更新している。
https://note.com/kuontokyo2016
https://www.kuon.tokyo

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weber主宰者・池田仁インタビュー 古着への飽くなき愛と「大Tシャツ展」への思い https://tokion.jp/2021/06/16/interview-with-hitoshi-ikeda-from-weber/ Wed, 16 Jun 2021 03:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=37892 6月17〜30日に「TOKION」で「大Tシャツ展」を開催するweber主宰者に、これまでの活動や今回の意気込みなどを語ってもらった。後半にはweberと親交があり、古着好きの著名人のコメントも掲載。

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店舗形態をとらず、都内の商業施設内を中心にポップアップストアを展開する“ノマドな古着屋”weber。年に1〜2回程度行うイベントの中でも特に注目を集めるのが、古着Tシャツに特化したポップアップストア「大Tシャツ展」だ。本イベントでは映画、音楽、アートなどのジャンルを中心に、数百枚から千枚近くの古着Tシャツを販売。中には数十万円のレアなTシャツもあるが、その枚数や他店では見ることができないラインアップで、買うだけでなく、見るだけでも楽しむことができる内容となっている。

6月17〜30日に渋谷・MIYASHITA PARK内の「TOKiON the STORE」と、「TOKION」オンラインストア(実店舗の営業時間外である21:00〜翌11:00のみオープン)で「大Tシャツ展」を開催するにあたり、weber主宰の池田仁にこれまでの活動を振り返るとともに、今回の意気込みなどを語ってもらった。

――そもそも池田さんが古着と出合ったのはいつ頃だったのでしょうか?

池田仁(以下、池田):高校生の時です。当時は古着ブームで、僕もまんまとその流れに乗っていました。学生だしお金もなかったので、シカゴみたいな良心的な価格のお店に通っていました。

――その時からTシャツへの思い入れが強かったんですか?

池田:いや、僕は北海道出身なので、Tシャツにあまりなじみがなかったんですよ。ハマったのは沖縄の大学に通い始めた後です。今はもうないんですけど、国際通りにすごく良い古着屋があって、そこに通いつめてスケートブランドのものやロックTなんかを買いあさっていました。Tシャツは店員さんとも話していくうちに理解を深めて、より好きになっていくアイテムですよね。

――Tシャツのどこに魅力を感じたのでしょうか?

池田:グラフィックものが好きだったんですが、単純に見た目が良くて、着れば1枚でさまになるのは大きかったです。これを着ていたらOKみたいな。ある種のブランド力みたいなものがあるかもしれませんね。

――weberの店名は写真家のブルース・ウェーバーが由来だそうですね。ブルース・ウェーバー関連の古着Tシャツは以前から高い値段がついていますが、出合ったきっかけはなんでしょうか?

池田:社会人になった時に通っていた美容室の担当の人が古着好きで、ブルース・ウェーバーの『サマー・ダイアリー』という作品のTシャツを着ていたんです。「なんだこれ、めちゃくちゃかっこいいな」と思って、どんどん好きになっていきました。

――weberのInstagramの投稿でも、ブルース・ウェーバー本人からいいねをもらったとか。

池田:2018年にweberを始める時に、目標を立てたんです。1年目で人気店になるぞ! 3年目でブルース・ウェーバーと一緒に仕事するぞ! みたいな。まだその目標はかなってないですけど、認識してくれているのかもと思うと嬉しいですね。

長年の古着愛を原動力に始めたweber

――weberを始めたのはどのような経緯だったのでしょうか?

池田:そもそも僕は古着と出合ってから1回も浮気していないというか、ずっと好きなままなんです。それは社会人になってからも変わらなくて。2001年に新卒で東京勤務の仕事を始めたんですが、そこからもっと古着屋に通いつめるようになったんです。

――Tシャツをめがけて?

池田:そうです。毎週のように高円寺や原宿に行っていました。2011年にZOZOに転職してからも変わらず好きで、買ったり売ったりをしながら、いつか自分で古着屋をやりたいという思いがずっとあったんです。そして会社が2018年に副業を解禁したタイミングで、今も一緒にweberをやっている上司に相談したら、「やったほうがいいよ」と言われてどんどん話が進んでいったんです。

――副業解禁後、すぐにweberを始めたんですね。

池田:最初にweberを開いたのが2018年4月1日です。本当はブルース・ウェーバーの誕生日である3月29日にやりたかったんですけど、結局会場がおさえられませんでした。1日限定で、基本的に僕が仕入れたものと、あとは仲間が委託してくれたものを展開していましたね。300枚くらいあって、ラインアップも今と大きな差はありません。

――その後も不定期でポップアップストアを展開していますが、どのように活動が広がっていったんですか?

池田:商品自体にパワーがあったからか初回から並びが出たのですが、縁にもとても恵まれたと思っています。当時、weberのInstagramフォロワーはまだ100人台程度だったのですが、知り合いのoffshoreの的場(良平)さんがストーリーズにあげてくれて、それを見たスタイリストの二村毅さんが来てくださったんです。二村さんはちょうど開業したばかりのヒビヤセントラルマーケットのアドバイザーをしていたんですが、フロアの一角でイベントをやらないかと誘ってくれました。その約2ヵ月後に第2回を開催した頃からメディアで記事にしていただいたり、セントラルマーケットでもたまにイベントをやらせてもらったりしているうちに広がっていったんです。

映画Tシャツを豊富にそろえた今回の「大Tシャツ展」

――約1年ぶりの開催となる「大Tシャツ展」ですが、今回のラインアップをご説明いただけますか?

池田:1000枚近く用意しましたが、中でも映画Tシャツはとにかくたくさん集めました。おこがましいですけど、これだけの量が一度に集まるのは世界的に見てもそんなにないと思います。

――今回、特に気に入っているTシャツはなんでしょうか?

池田:たくさんありますが、『アメリカン・ヒストリーX』や『メメント』は気に入っています。『レインマン』のTシャツは、長年映画Tシャツを探してきた中でも初めて見たので、かなりテンションが上がりましたね。もう一度探せと言われても見つからないアイテムもたくさんあるので、そういうのは売れなくてもいいと思っています。

――好きな映画作品で言えばどうでしょうか?

池田:学生時代にたまたま観た『カッコーの巣の上で』ですね。当時、沖縄のテレビは放送局が3つくらいしかなかったんですけど、深夜にたまたま流れていて、ついつい最後まで観ちゃったんですよね。すごく思い出に残っています。今回、『カッコーの巣の上で』は2枚あるんですけど、両方ともこれ以外見たことありません。正直、これも売りたくないです(笑)。

――2000年代以降の映画もありますよね。

池田:そうですね。例えば『犬ヶ島』は2018年の作品ですけど、自分達が良いと思ったものは年代問わず、セレクトすることを心掛けています。

――Tシャツって、単純に好きなモチーフだから着るというだけでなく、グラフィックに引かれて調べていくうちに、元ネタの作品が好きになるということもありますよね。

池田:新しい作品に出合うきっかけにもなればいいなと思います。最近は家にいることも多いですし。

――映画以外のラインアップはどうしょうか?

池田:ブルース・ウェーバーのTシャツもたくさんそろえました。あとは音楽やアート、企業ものなどもあります。でも、例えば音楽でいったら“ザ・ロックT”みたいなものは、あんまりないかもしれません。値段的に買いやすいものもたくさんありますし、人とはかぶらないだろうデザインのTシャツも用意してあります。そういう古着特有の“オンリー・ワン”の魅力や、たくさんの中から自分にぴったりのものを“掘る(Dig)”楽しみみたいなものも体感してもらえればと思っています。

“他のお店がやらないことをやる”ことと、“好きなものを扱う”こと

――古着でも高騰したり、例えばバンドTでもあるジャンルが突然人気になったりすることがあります。池田さんはそのようなトレンドをどのように感じ取っていますか?

池田:正直、あまり考えたことがありません。映画Tシャツも、まとめて置いている店があんまりなかったけど、自分は昔からずっと好きなのでどんどん買っていたら集まったという感じです。weberはイベントごとにコンセプトを設けて、過去には文字やタイポグラフィーにフォーカスしたり、アート系に絞ったアイテムを展開したりしましたけど、結局はトレンドではなく、自分達が“おもしろい”と思うものを置いているんです。

――“他のお店がやらないことをやる”ことと、“好きなものを扱う”ということに帰結するんですね。

池田:映画Tシャツもなんでもかんでも買っているわけではなくて、“好きなもの”という軸はブレていません。ホラー系の映画はあんまり好きじゃないから集めていないですし、海外だと人気がある『プレデター』とかも正直あんまりピンときませんでした。それにヴィンテージだと「このタグが良い」とか「こういう縫い方が良い」というような判断基準があると思いますが、僕等は単純に“好きかどうか”“おもしろいかどうか”を優先して選んでいます。年代が新しくて価値が確立されていないものでも、カッコよかったらいいかなと。weberは半分趣味、半分商売でやっているので、別に売れなくても自分達で着ればいいかなって感じでやっています(笑)。そういうパーソナルな部分も大きい分、weberの活動を応援していただけたり、皆さんが喜んでくれたり、共感してくれることが本当に嬉しいんですよね。

――自分で着ればいいやという精神なんですね。

池田:僕等がこれだけのアイテムを集められるのは、経済的な面で言えば、店舗の維持費や人件費がほとんどかからない分、自分達が欲しい! と思ったものにお金をかけられるからなんです。損をせず、500ドルで買って550ドルくらいで売れたらいいやくらいの感じでやっていたりもします(笑)。

――最後に、改めて今回の「大Tシャツ展」の意気込みをお願いします。

池田:こういう情勢なのでおおっぴらには言いにくいですけど、ウェブでも店舗でも、おのおの楽しんでほしいというのが一番です。見るだけでも楽しいと思いますし、新しい発見があったり、Tシャツを通してのめり込めるものに出合ったりすることもあるんじゃないかと思います。

weber
“好き”を追求して、好きなヒトと好きな場所で好きな時に好きなモノを集めた“ノマドな古着屋”。ヴィンテージTシャツをアーカイブし、不定期開催でポップアップを開催。アーカイブした古着をベースに新品も製作しており、昨年の映画『mid90s』に続き、今年7月には同じくA24製作の映画『THE LIGHT HOUSE』とのコラボTシャツも発売予定。
Instagram: @weber71_

■大Tシャツ展
会期:6月17〜30日
会場:TOKiON the STORE
住所:東京都渋谷区神宮前6-20-10 MIYASHITA PARK 2階
時間:11:00〜20:00(「TOKiON the STORE」) / 21:00〜11:00(「TOKION」オンラインストア)
※緊急事態宣言などの影響により、日時が変更になる場合がある。

*

ヴィンテージ好きに、古着Tシャツとの出合いを振り返った上で、今回の「大Tシャツ展」で気になるアイテムを選んだもらった。

岡本大陸(「ダイリク」デザイナー)

古着が好きになった高校生の頃、大阪にあるアメ村の古着屋に行き、最初はなんとなくヴィンテージのTシャツを買って着ていました。本格的に集め始めたのは上京してからのことなんですが、僕自身、映画好きということもあって古着屋さんに行って最初に掘るのは、Tシャツがあるゾーンから。そして好きな映画Tを発掘すると、財布のひもが緩んでしまいます(笑)。リアルに着るのもありますし、サイズが小さくて着られないけど好きな映画だからどうしても欲しくて、保管しているのもあります。その日の気分に合わせて身に着けることで、その映画を背負った気分(主人公の気分)になれるのが映画Tの良さだなと思います。映画Tとの出会いは、映画の発見にもつながるので僕にとっては“宝物”です。

源馬大輔

中学の時に「チャンピオン」のダブルフェイスを買ったのが最初だったと思います。

佐野玲於(GENERATIONS from EXILE TRIBE)

小学生の頃にダンスを始め、音楽と出合いました。ダンスを始めた頃、なんとか買えるものが古着くらいしかありませんでした。 地元が中野なので、お小遣いをもらったらそこから自転車で高円寺に行ってスポーツ系の古着を入り口に、好きなヒップホップ・アーティストの T シャツを集めていきました。また、バンドをやっていた父からヨーロッパのバンド T シャツももらっていました。

そこから、好きな映画や写真家や企業ものなど、自分の好きな物を身につけるようになりました。主に日本の古着屋、海外に行った時はそこの古着屋、インターネット等も駆使して購入しています。海外のディーラーの友達から「レオこれ持ってないだろ?」とメールでオファーをもらうこともよくありますが、 古着市場の価格高騰が激しくて頭を抱えています(笑)。weberさんには「どこからこんなに集めているのだろう?」というようなビックリするラインアップでいつも楽しませていただいています。これからもさまざまなアイテムとの出合いを楽しみにしています!!

TEPPEI(スタイリスト)

スタイリストになる以前に在籍していたヴィンテージショップにて手に入れた、デヴィッド・ボウイの半袖スウェットTシャツ。生まれ年の1983年の作品であったのもあり、手に入れました。スウェットTシャツ、というところがひねくれてますね……。

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#映画連載 岡本大陸「ダイリク」デザイナー コレクションを代弁するアメリカン・ニューシネマの3本から学ぶ服飾術 https://tokion.jp/2020/09/13/series-of-movie-dairiku-okamoto/ Sun, 13 Sep 2020 06:00:25 +0000 https://tokion.jp/?p=4992 1960〜70年代に起こった反戦、反体制的な若者の心情を綴ったアメリカン・ニューシネマが若手ファッションデザイナーに与えた影響とは?

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映画鑑賞は動画配信サービスの普及によって、もはや特別な行為ではなくなり、感想の共有やレコメンド検索も簡単になった。しかし、それによって映画を“消費”しているようにも感じる。本連載では、映画を愛する著名人がパーソナルなテーマに沿ったオススメ作品を紹介。“消費”するだけでなく、“吸収”し糧となるような作品を紹介していく。

今回登場するのは「ダイリク」のデザイナー、岡本大陸。バンタンデザイン研究所在学中に自身のブランドをスタートさせ、2016年のアジア ファッション コレクション(AFC)ではグランプリを受賞し、2017年2月のニューヨーク・ファッション・ウィークでランウェイデビューを果たした。東京を代表する若手デザイナーの1人で、毎シーズン自身の“ルーツやストーリーを感じさせる”テーマのもとコレクションを発表している。中でも映画は「ダイリク」を語る上では欠かせない着想源の1つ。今回は特にお気に入りのジャンルというアメリカン・ニューシネマから3作品を紹介する。1960年代後半から1970年代のアメリカの時代精神を代弁する作品群と当時の若者たちが放った鮮烈なメッセージは、半世紀を経て今の若手ファッションデザイナーにどんな影響を与えたのか?

映画にのめり込んだきっかけとアメリカン・ニューシネマとの出合い

小学生の頃、毎週末に父とレンタルビデオショップで5作1000円みたいなサービスを利用して映画のビデオを借りていたんですけれども、そのうち1作は、僕の好きなアニメとか人気のキャラクターもので、残りの4作は父が好きなスティーブ・マックイーンやブルース・リーの主演作だったり戦争映画でした。地元は奈良ですが、大阪の富田林市にある祖母の家で鑑賞していたんです。他に観るものがなくなると自然と父が選んだ作品にも触れるようになっていきました。

そういった経験もあって、高校3年から専門学校生になりたての頃は映画からインスピレーションを得ようと、新旧限らず興味のある作品はリサーチとして片っ端から観ていたし、その中で理不尽だったり、思い切り余白を残したり、観終わってから考えさせられるようなエンディングに惹かれて、特に古い映画にのめり込んだわけです。

『カッコーの巣の上で』

『カッコーの巣の上で』
Blu-ray ¥2,381/DVD ¥1,429 
発売・販売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント

© 1975 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

言葉にならない感動を受けたエンディングの脱走シーン

高校3年の時に観た『カッコーの巣の上で』は、複雑な感情が入り交じったような例えようのない感動を受けました。特に掃除係の大男、チーフ(ウィル・サンプソン)がジャック・ニコルソン演じるマクマーフィーを窒息死させた後、「持ち上げた者には奇跡が起きる」という彼の言葉を信じて、水飲み台を持ち上げて窓を破り、精神病院を脱走するエンディングのシーンは言葉にならなかったですね。当時はハッピーエンド以外のエンディングが強烈に刷り込まれましたが、あとになって観直すと、物語に当時の社会問題に対するアンチテーゼだったり強烈な皮肉が込められていることも知りました。

好きな場面は、マクマーフィーが罰として電気ショック療法を受けさせられる順番を待つ間、耳が聞こえなくて、言葉も話せないはずの掃除係のチーフにガムを渡した時に「ありがとう」と返されるシーン。ネイティブ・アメリカンの血を引いているチーフが、マクマーフィーと同じように自我を殺して生きていることがわかるんです。病棟という狭いコミュニティーを牛耳っているのがラチェッド婦長(ルイーズ・フレッチャー)で薬とか規則で患者を縛っていて、この構図も他人に言えない秘密を互いに解放したというか、共有してわかりあうような気持ちも、今の時代にそのまま置き換えられるし、重なる部分が多い。当時から今まで共通している問題も各シーンに込められています。60年前の問題を未だに引きずっている世界とはなんなのかとさえ思うほどです。

実在したロボトミー手術も精神疾患の治療が目的ではありましたが、結局は廃人にされて心を停止させられる、ある種誰かに操作されるためのような印象も受けました。病棟という1つのコミュニティーが社会の縮図でもあって、今観直すと、当時の社会情勢を反映しているので、コロナ禍で聞くあらゆるネガティブなこととも重なりました。

『イージー・ライダー』

『イージー★ライダー』発売中 
Blu-ray ¥2,381/DVD ¥1,410 
発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント 

© 1969, renewed 1997 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved. 

ファッション好きのメンズは誰もが通る道

ファッションを学ぶためにバイカースタイルというキーワードから映画を探していた時に出合った作品です。完全にファッションを経由して観た映画ですけど、今はそれも踏まえつつ、もう少し広義で映画に込められた意味などを考えるようになりました。仮にコレクションを作る場合、創作の理由を深く考察するきっかけになりやすい作品だともいえます。

『イージー・ライダー』は特にメンズファッションに捉えられやすい。ストーリーというよりロードムービー特有のワイルドさ、男臭さなど、ワイアット(ピーター・フォンダ)とビリー(デニス・ホッパー)のスタイルに影響を受けた人も多いでしょう。映画自体はツーリングを見ている感覚で、冒頭の麻薬取引の描写にあまり意味がないですし、モーテルで露骨に宿泊を断られて焚き火を囲んで野宿するシーンも絵的にかっこいいという印象です。その次のシーンでパンクしたタイヤを修理するために、カウボーイ風の農家の小屋でバイクをいじっているんですが、隣では馬の蹄の手入れをしているんですね。昔と今(当時)を象徴するアメリカを対比している表現は気に入っています。ジャック・ニコルソン演じる弁護士のジョージ・ハンセンと出会ってからストーリーが動き出すのですが、衝撃のエンディングまでは出演者のスタイルに目がいっていました。

ただ、理不尽としか言いようのないエンディング、中指を立てただけで銃撃されるシーンは未だになぜ? という感情しか生まれてきません。ただ、観直しても理解できない場面も多いですから、僕にとっては難しい分類の作品なんです。歳を取るにつれて理解が深まっていく感覚もあるので、定期的に観続けようと思います。ちなみにステッペンウルフの「Bone to Be Wild」は車のCMの印象しかなかったです。これが元ネタなのかと答え合わせをしているような感覚でした。

『卒業』

『卒業』
Blu-ray ¥2,000
発売・販売元:株式会社 KADOKAWA

ダスティン・ホフマンのアイビールックの美学

アイビールックをテーマにしたコレクションを作るために、ダスティン・ホフマンのスタイルのリサーチとして出合った作品で、最初観た時は正直眠くなりました(笑)。ただ、主人公と同じ年頃でもあったので、親からの過剰な期待に反発する衝動や将来への漠然とした悩みなど、思春期特有の葛藤や不安は理解できて、好きな世界観ではあったので、何度か観返すうちにどっぷりハマっていきました。

まず、3作品中、『卒業』は一番理解しやすいストーリーではないでしょうか。今では、結婚式に花嫁を奪い去るというシーンは映画やドラマ、コメディに限らず何度も繰り返し表現されています。でも、普通に考えて百戦錬磨の人妻の誘惑に負けて、アバンチュールを繰り返すも、ふと彼女の娘とデートしたことから恋に落ちる。嫉妬した母親に恋路を邪魔されて別れた挙げ句、他の男との結婚式当日に娘を奪い去るというストーリーは斬新で、非現実的です。

中でも印象的なのはやっぱりエンディング。花嫁を略奪しバスに乗り込んでから2人がキョロキョロしだし、次第に表情が曇っていくシーン。愛する人と結ばれたにもかかわらず、先々を案じた時にこぼれた暗い表情のまま物語は終わります。ハッピーエンドなのか、バッドエンドなのか、2人の関係性が歪むくらい、その先をイメージさせる余韻がありますよね。完結型ではなく、投げかけ型の作品が好きなんですが、『卒業』も笑顔のままエンディングを迎えていたら印象に残らなかったと思います。テレビドラマなどでは何年後という描写も多いですが、個人的にはそうではなくプツッと切れているくらいの終わり方にそそられます。

ちなみに、作中のダスティン・ホフマンのナチュラルなテーラードジャケットとボタンダウンシャツにネクタイを合わせた、「これぞアイビールック!」というスタイリングとラストシーンのアノラックとポロシャツは、休日のお父さんを想像できる親近感が秀逸です。あと、ポスターにもなっているミセス・ロビンソン(アン・バンクロフト)の足の向こうにベンジャミン(ダスティン・ホフマン)が立っている写真も好きですね。もし、その写真がプリントされているカットソーがあればすぐにでもほしい。

アメリカン・ニューシネマの思想を軽やかにファッションに落とし込む

これまでのコレクションのテーマは映画に沿うものが多かったですが、洋服そのものから強烈にメッセージするのではなく、軽やかに表現してきたつもりです。前シーズン、『タクシードライバー』をテーマに据えた理由は単純にトラヴィス(ロバート・デ・ニーロ)のスタイルを見てほしいという思いから。反戦、反体制といった重いテーマで何かを投げかけるのではなく、僕が作ったファッションやスタイルが映画を観るきっかけになってほしいだけなんです。すでにその作品を観た人にとっても観直すきっかけになるといい。インスタグラムのDMで映画を観たというコメントをもらうとうれしくなります。僕が映画によって考え方が変わったように、ファッションがその映画に触れるきっかけになることが理想です。

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