POP COLLAGE LP+SNEAKER Archives - TOKION https://tokion.jp/tag/pop-collage-lpsneaker/ Fri, 08 Jul 2022 06:43:05 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.3.2 https://image.tokion.jp/wp-content/uploads/2020/06/cropped-logo-square-nb-32x32.png POP COLLAGE LP+SNEAKER Archives - TOKION https://tokion.jp/tag/pop-collage-lpsneaker/ 32 32 再生するアートで伝える。儀間朝龍インタビュー後編 ダンボールが持つ可能性を世界へ届ける https://tokion.jp/2022/02/25/interview-tomotatsu-gima-pop-collage-part2/ Fri, 25 Feb 2022 06:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=97029 破棄されたダンボールを再利用し、「流通と消費」をテーマに儀間朝龍が創り出す新しいアートのスタイル。インタビュー後編は、ルーツと海外展開について。

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よるアート展「POP COLLAGE LP+SNEAKER」。その個展会場に足を踏み入れると、儀間の人気作品の1つであるスニーカー作品と、1980年代、1990年代を中心とした人気音楽アーティストのアナログレコードをモチーフにした作品が、まるでスニーカー&ヴィンテージレコードショップのように展示されていた。
破棄されていたダンボールを再生し、それを材料にオリジナルの技法で制作されている儀間の作品は、元ネタから華麗なる進化を遂げて美しいアートとして存在している。

新作のモチーフとなったアナログレコードに対する思いを聞いた前編に続き、後編では、アーティストとしてこれまでたどってきた道のりとスニーカー作品にまつわる話を聞いた。さらに日本でもさまざまな文化が入り混じっている沖縄という土地で生まれ育った儀間が、世界各国から沖縄に届いているダンボールの魅力に気付き、そこから向かったアーティストとしての方向性と、「rubodan(ルボダーン)」を軸としたさまざまな活動についても聞いた。そこにはアートを通じた社会的な活動が託されていた。

ポップアートを知り、大きな影響を受けた

ーーまず、儀間さんのルーツとなるアートヒストリーをお聞きできますでしょうか。

儀間朝龍(以下、儀間):小さい頃から絵を描くのが好きだったんですけど、中学生の頃に出会った美術の先生が、僕が絵が好きなのを見抜いてくれて「コンクールに絵を出さないか」とふってくれたんですよ。そうしたら賞を取ることができたんです。当時、スポーツも勉強もそこそこだった自分の目の前に賞状が届いて、「僕は絵を描く才能があるんじゃないか!」と思ってしまいまして……。それで高校は、美術の専門コースがある学校に進学。その高校では本当にただ上手になりたいという一心で絵を習いました。そして、今にも通じている影響を受けた出会いもありました。それは、美術室の本棚にあった『POP ART』という本。この本には、アンディ・ウォーホルロイ・リキテンスタインの作品が載っていて、初めてポップアートというものを知って、かなり影響を受けました。
その後、大学進学をする時にもまだ美術をやりたかったので、名古屋芸術大学に進学し、日本画コースを専攻しました。本当はポップアートのことをもっと勉強したかったのですが、大学にはコースがなかったんですよ。だから絵画の道でやっていこうと進学したんですけど、日本画は油絵とは発想がまるで違いました。さらに僕は絵を一秒でも早く仕上げたい性格なのですが、日本画は手順がいろいろとあって、すごく作業進行が遅いんですよね。それが当時の僕のテンションに合わなくて、好きとか嫌いとかではなくて、体と精神が全然合わなくなってしまいました。最終的には、先生に見放されてしまったというか、好きなことをしなさいという関係になっていました(笑)。

ーーそんな経験があったんですね。

儀間:「POP COLLAGE」を制作していて感じたことは、日本画を勉強していて本当に良かったなってこと。日本画では、もともと色がついた岩を砕いたものを顔料に使っているんですけど、それって色のついた石を砕いて粉にしたら色になるんじゃないかっていう発想だったと思うんです。
これは、僕が作品を作るにあたってダンボールを色ごとに集めて、作業しやすいように細かく加工をするやり方と一緒なんですよね。さらに昔の人は、外に出て目の前の自然にあった岩を使って顔料を作っていたところを、僕は家を出たところにあったダンボールを使って作品の材料にしている。他にも、赤と黄色の顔料を混ぜるとオレンジができるように、ダンボール紙でも同じことができるのも共通している。これって日本画で教わったことが、ダンボールで作品を制作する時にもすごく役に立っているということなんですよね。

ーー日本画と、ダンボールを使用した制作手法がつながるとは!

儀間:日本画を学んだ最大の良かった点ですね(笑)。他にも作業行程ではなく、作品に対する向き合い方や思想にはものすごく影響を受けています。例えば、日本画でりんごは赤だから、赤い色で本物に近く描くということも学んだりしたんですけど、ちゃんと存在するものに対してストレートにアプローチすることであったり、実在する本物の色に近い素材の色を意識して作品を作ることは大事にしています。なので作品を作る際は、ものを眺めている時間はとても長いです。さらにレコードであれば曲を聴いたりしてと、少しでもイメージを膨らませながら作業をしています。

ーー儀間さんは、スニーカーを題材にした作品も制作されていますが、なぜスニーカーをモチーフにしようと思ったんですか?

儀間:スニーカーに関しては、大学生の頃からファッションアイテムとしていいなと思うようになって。それから情報が少ない中で、雑誌を読んだり人の話を聞いたりして、少しずつ勉強していったらどっぷりスニーカーカルチャーの中に入ってしまったんですよ(笑)。今でもスニーカーに関しては、新作の話を聞いたり、昔の話も聞いたりと、常に勉強をしていますね。

ーーではスニーカーがかっこいいと感じたのはいつ頃ですか?

儀間:小学校6年生の頃に、父が健康のためにマラソンをすると言って、スニーカーを買ってきたんですよね。それが白と赤の「ニューバランス」のランニングシューズで、それを見た時に、こんな軽くてかっこいい靴がこの世の中に存在するんだって驚きました。それで父に自分もこれが欲しいと言ったら、「走るんだったら買ってあげるよ」って。当時の僕は本当に運動音痴だったんですけど、買ってもらったことで「走らなきゃ!」と練習するようになって、それまで全然走ることができなかったのが徐々に走れるようになったんです。さらに同時期にバスケットも始めたんですけど、このように運動できるようになったのはスニーカーのおかげなんですよ(笑)。

ーー(笑)。そんなスニーカーをダンボールを使って作品として作ったりされていますが、段ボールでの創作プロジェクトを行うようになったきっかけはなんだったのでしょうか?

儀間:僕は、沖縄の那覇にある市場の横にアトリエを構えていました。この市場では、毎日夕方になると、廃棄ダンボールの山ができるんです。これは沖縄に届いている缶詰やジュース、お菓子といった、日用品が入っていたダンボールなんですけど、このダンボールをよく見ると、日本国内だけでなくアメリカやヨーロッパ、アジア、南米、アフリカといろいろな国から届いていたんです。それで届いていた商品を、この廃棄される段ボールを使って表現してみようとスタートしたのが、段ボールでの創作シリーズを始めたきっかけでした。
これまでにも、捨てられているものや廃材をアップデートして何か形にしてみたいという気持ちはありましたが、形にはできずでした。でも、ダンボールは本当にいろいろな国から、こんな小さな日本の端っこの南の沖縄まで届いていたんですよね。ダンボールにはいろいろな色があって、箱に手書きのサインやチェックが入っているのもあります。そういったのを見ると希望すらも感じたりもします。でもダンボールは、何千キロっていう旅をしてきてようやく沖縄に届いても、箱が開けられて商品が消費者の手に渡った瞬間にゴミになっちゃうんですよね。そこに愛おしさやはかなさも感じました。そんなダンボールに光を当てたいなという思いも込めています。その頃から「流通と消費」というテーマで創作活動していますね。

ーーこの「流通と消費」をテーマにした「rubodan」というプロジェクトもされていますが、この「rubodan」についても教えてください。

儀間:先ほど話したように、僕は市場の横にアトリエを構えていたことで、ダンボールを使って何かをしたいって考えました。それで実際に廃棄されるダンボールで作り始めたのは、ノートでした。これは雨の日に市場で濡れたダンボールを見た時にめくれているのを発見したことがきっかけです。ダンボールは水につけると剥がれるということに気付いたんです。これは僕にとって大きな発見でした。だって、ダンボールから簡単に紙ができることを知ったんですからね。それでノートを作ってみたり、さらにレターセットなども作ってみたりするようになりました。これがダンボールを使ったステーショナリーブランド、「rubodan」になります。

ーーこの「rubodan」プロジェクトは、海外でも活動をされていますが、どんな活動をしているのですか?

儀間:ダンボールは世界中にあるものなので、この「rubodan」でものを作るということを他の国でもできたらいいのではないかと思っていました。そう考えていたところ、開発途上国への国際協力を行っているJICA沖縄の特別派遣で、2010年にサモアに行かせてもらう機会を得たんです。
そこで初めてサモアのことを勉強したんですけど、サモアは小さい島のため、海外からの輸入品に頼った国でした。それでたくさんのダンボールが届くのですが、ゴミ処理場がきちんとしていないので燃やすところがない。きちんと処理ができないのに、輸入品は山ほどやってきているんです。それまでバナナやタロ芋といった自分の国で作った作物を食べていた人達が、輸入品を食べるようになったことで、ビニールやプラスチックといった土に還らないゴミが増えて、大変なことになり始めていました。そのことを知って、少しでもゴミを出さないようにするにはどうしたらいいのかを考えた時、ダンボールを再利用しようということになり、小学校で「rubodan」のワークショップをやらせてもらいました。みんなでダンボールを集めてきて、水につけて剥がして紙を作りました。
サモアでは美術の授業がないので、子ども達は学校で絵を描くことをしないんですね。さらに鉛筆と紙も少ない。だけどダンボールはたくさんあるので、そこから再生した紙を使えば絵も描けるよということを教えまして、それで子ども達と再生紙に絵を描いて、小さな美術館を学校に作りました。それが大きなきっかけとなって、2011年にブランドとして「rubodan」をスタートして、現在に至っています。

ーーサモアの子ども達の反応はいかがでしたか?

儀間:みんな、ダンボールが紙になるっていうことにとても驚いていましたね。そして、みんなで絵を描いたりするという環境がなかったこともあってか、全員で何かやるということを楽しんでいましたね。これは子ども達にとっても経験として良かったのかなって思います。僕は最初に子ども達の笑顔というご褒美をいただいてしまったので、途中でやめるわけにはいかないとその時に思いました。そして、「rubodan」はプロジェクトといっても、僕の中では作品と同じなんですよね。なので仕組み自体を作品にしていくという意識でこれからも続けていきます。

タイで行った「rubodan」のワークショップの模様

ーーすてきな活動ですね。では最後に今後の展望を教えてください。

儀間:日々ダンボールで作品を作り続けていくうちに、今は人物に対しての興味が出てきています。例えば、今回制作をしたレコードジャケットのデヴィッド・ボウイの作品は、顔のパーツがないんですよ。ないんですけど、たぶんみんなデヴィッド・ボウイの顔は見えていると思うんです。そういうふうにちょっと抽象的な表現もそうですし、ダンボールの色って人の肌の色にも似ているじゃないですか。なので、もっと人物にフォーカスしたダンボール作品を広げていきたいなと考えています。レコードジャケットもそうですが、過去に見た誰かの顔ってわりと覚えていると思うんですよね。だから、僕の作品では表情がなくても、作品を見た時にオリジナルの顔を思い出したり、または違う表情に見えることすらもあるかもしれない。そういう意味でも、作品を鑑賞した際の印象が増えるのは非常にいいことだと思いますので、新しい展開として、人物に力を入れて制作してみたいですね。

儀間朝龍
1976年沖縄県生まれ。名古屋芸術大学美術学部を卒業後、2004年より1年間のニューヨーク留学を経て、沖縄に帰国後、アーティストとして本格的に活動をスタート。これまでに数々のグループ展に参加をして、2018年に「流通と消費」をテーマに初個展「SOME POP」を開催し注目を浴びる。また使用済みのダンボール素材を再利用して制作したノートやレターセットなどを販売するブランド「rubodan」を企画。アジア各国を訪問しローカルのひとびとと交流しワークショップを開催したり、オリオンビールとタッグを組み、廃棄物ゼロを目指すことを目標にダンボールを再利用したステーショナリーセットなども販売している。
Instagram @tomotatsu_gima / @rubodan
http://www.rubodan.com

Photography Shinpo Kimura

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「POP COLLAGE」が伝える、再生するアート。儀間朝龍インタビュー前編 レコードジャケットへの挑戦 https://tokion.jp/2022/02/21/interview-tomotatsu-gima-pop-collage-part1/ Mon, 21 Feb 2022 06:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=96962 破棄されたダンボールを再利用し、「流通と消費」をテーマに儀間朝龍が創り出す新しいアートのスタイル。その新作にあたるアナログレコードジャケットシリーズに迫る前編。

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POP COLLAGE」が伝える、再生するアート。儀間朝龍インタビュー前編 レコードジャケットへの挑戦
POP COLLAGE」が伝える、再生するアート。儀間朝龍インタビュー前編 レコードジャケットへの挑戦

東京・渋谷にある「hotel koe tokyo」で1月に開催された、アーティスト・儀間朝龍(ぎまともたつ)によるアート展「POP COLLAGE LP+SNEAKER」。その個展会場に足を踏み入れると、儀間の人気作品の1つであるスニーカー作品と、1980年代、1990年代を中心とした人気音楽アーティストのアナログレコードをモチーフにした作品が、まるでスニーカー&ヴィンテージレコードショップのように展示されていた。
破棄されていたダンボールを再生し、それを材料にオリジナルの技法で制作されている儀間の作品は、元ネタから華麗なる進化を遂げて美しいアートとして存在している。

そこで今回は、儀間が個展で展示した作品はどういった作品であるのか、またアーティストとしてこれまでどのような道のりをたどってきたのかを前編・後編に分けて紹介したい。
前編は、今回の開催された個展で初挑戦したという、アナログレコードジャケットシリーズについて。音楽をこよなく愛することから生まれた緻密で繊細なそれぞれの作品は、なんとこの半年で約80枚制作したというから驚きだ。

制作した作品の中にはオリジナルよりも僕が作ったほうが手が混んでいるものもある

ーーアルバムジャケットをモチーフにした作品を展示されるのは、今回が初挑戦だそうですね。展示されていた作品「POP COLLAGE LP」は、どのような趣旨の下で制作されたのですか?

儀間朝龍(以下、儀間):今回個展を開催するにあたって、家で音楽を聴いたり、レコードジャケットを見ていたりする時間があったのですが、その中にアンディ・ウォーホルといった有名なアーティストが手掛けた素晴らしいジャケットがいっぱいあったんです。それはまるで絵画作品を見ているような感じだし、学生の頃に聴いていた思い入れのある曲などは、いろいろな思い出もレコード1枚に詰まっています。そこで自分が持っているレコードを、並べて見てもらったらいい感じになるんだろうという思いが以前からありまして。さらに個展の開催会場が、渋谷という音楽の聖地みたいなところだったので、アナログレコードをテーマにしてやる意義を十分に感じられたので、今回はレコード作品を中心に話を進めていきました。

ーーでは最初に誰のアルバムの作品を作られたんですか?

儀間:初期に作ったのは、アンディ・ウォホールがアートワークを手掛けたヴェルヴェット・アンダーグラウンドのデビュー作『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ』や、ソニック・ユースの『Goo』。ジャケットデザインも好きだったし、曲もよく聴いていたので、最初はこの2作品を作りました。
そして今回のLP展をやるにあたってのテーマの1つに、いっぱい数を作って見せたいというのがありました。でもこれまでの作品制作の仕方だと時間がかかってしまうので、会期に間に合わせるために、実験的にスピードアップして制作できる新しい表現方法を探して制作しました。結果的に、新しい僕のスタンダードの技法ができた気がしています。

ーー制作速度がスピードアップしたとはいえ、緻密なものをよくここまで再生(=制作)できたなと思いました。

儀間:早く仕上げる新しい技法を考えたわりには制作に力を入れてしまったのもあるし、僕は絵も描いているのでなんとなくわかるんですけど、制作した作品の中にはオリジナルよりも僕が作ったほうが手が混んでいるものもあります。といっても、以前よりも全体的にはスピードアップして制作できましたね。もちろん、どれも決して手は抜いていません。新しいやり方で適正な時間で仕上げていく中で、おのおのが僕のイメージに近づけた作品になったかと思います。今回のレコード作品をたくさん作ったら、作ったその先に新しい自分がいるんだろうなっていうことを意識しながら作っていたんです。

ーーちなみに音楽は儀間さんにとってどんな存在ですか? 音楽というカルチャーから生み出されたアルバムジャケットを作品に採用していることには、何か意味があるのかなと思いました。

儀間:自分は個人的にロック寄りの曲が好きだったりするんですけど、音楽にのめり込んだきっかけは、ニルヴァーナの『Nevermind』なんですよね。実はカート・コバーンが亡くなったあとに、当時の学校の先輩から、ニルヴァーナっていうかっこいいバンドがいると教えてもらって。聴いてみたらすごくかっこよくてはまってしまったんですよ。そして大学時代にテンションが下がっていた時期があったんですけど、その時にニルヴァーナの歌詞にすごく共感する部分があって、本当にカートに助けられたというか。
僕の中では、メッセージ性の高い言葉を曲に乗せて発していたり、反体制的な部分もあったりしてと、そんな自分が正しいと思っていることを曲にする、他に例えるなら、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのようなメッセージを含んでいるバンドに引かれてしまうんですよね。
強いメッセージは、当時の社会に必要だったとも思うんですけど、それは今も必要な言葉なんじゃないかなと思うことがあるんです。今は大きな声を上げて主張することが、日本では減ってきているなと思う中で、声を大にして意見を伝えたり、けんかをしてでも議論することが、時には必要なんじゃないかなって。そういう意味では今回の展示では、ロックバンドが重要なキーとまでは言いませんけど、彼らの発していた言葉が、作品を観ることによって、「どんなことを歌っていたんだろう」とか考えてもらえたらいいなと思っているんです。

ーーまさしく音楽が持つ力の強さですね。

儀間:前衛的なことを打ち出したり、強い言葉を発する時に、それまであったことをどう打ち破るか。それにはすごいエネルギーや言葉、演奏が必要だったりすると思うんですけど、それをやってのけた人達を僕はリスペクトしています。創作するエネルギーが僕自身も参考になるというか、力になっているので。そういう意味では、20歳の時に聴いていて力をもらった好きな音楽を題材に、45歳になった今、作品にできたのもいいなと思います。

ーー作品を作っていて技術的なこと以外では発見できたことはありましたか?

儀間:自分自身をアップグレードさせたいという目標があったので、がんばってやれば新しい自分に出会えるのではないかと作り続けたんですけど、後半は徹夜をしたりと大変でした。漫画『スラムダンク』(井上雄彦作)で、桜木花道が先生にシュートを2万本打てば向上すると言われてがんばったシーンがあるんですけど、僕は2万点作品は作れませんでしたが、そのシーンを思い出しながらやっていました(笑)。

僕のやっていることって、学生時代そのまま

ーー作品を観ていて気付いたことがあるんですが、全体的に縦にラインが入っています。これはなぜでしょうか?

儀間:それは僕の作品スタイルの1つでもあるんです。油絵を描いていると、絵の具が滴ることがあるんですけど、そのテイストを残しながら制作しているんです。このスタイルのベースになっているのは、学生時代の経験からですね。高校生と大学生の頃に学んだこと、その経験を基に制作をしています。なので縦の線に関しては、昔に学んだ油絵の意識で、意図的に多く取り入れています。ぱっと観た時に「これって、儀間くんだよね」とわかるテイスト、マテリアルといいますか。そういうものにしたいと、最初から考えていた手法になります。

ーー学生時代に学んだことをベースに、現在のスタイルを生み出されたのですね。ではどのような新しい手法で今回の作品を制作されたのでしょうか?

儀間:例えば、白地に黒い文字がある場合は、下に黒い紙を貼ってからその上に白い紙を貼っているのですが、するとカッターで削ると、その下の色が出てきます。この手法って絵画の技法なんですよね。絵画で下地を完全に乾かしてから、上に塗った絵の具があまり乾いていない時に引っかくという手法があるんですけど、まさにそれです。なので僕のやっていることって、学生時代そのままなんですよ。それと今回展示したRUN DMCの作品なんかは、実物は黒い部分が多いのですが、あえて白い部分を多く残して自分なりの表現を加えてみました。モチーフと同じように作ることもできるんですが、「かっこいいよね」と僕が思う感覚で削るのを途中でストップすることもあります。モチーフとしたジャケットから大きくずれることなく、でも僕らしさとは何か。そして、ダンボールの表情も出せたらいいなだったりと、いろいろなことを考えました。

ーーそのまますべてをコピーするのではなく、ベースにあるものをさらに進化させて新しいものにしていくとういことですね。

儀間:前は迷うことが多かったんですけど、決心がつくようになり線引きできるようになりました。忠実に作るほうが完成形が見えるから楽なんですけどね。でも作品を作る上で、新しい形をどういったものにするか、さらにどこで制作を終わらせるか、この2つの選択肢が出てくるんですけど、その選別が前よりも上手になった感じがします。みなさん、新しいものが見たいと思うんです。僕も思いますし。なのでどうアップデートして、いいものを作ることができるかいつも考えていますね。

儀間朝龍
1976年沖縄県生まれ。名古屋芸術大学美術学部を卒業後、2004年より1年間のニューヨーク留学を経て、沖縄に帰国後、アーティストとして本格的に活動をスタート。これまでに数々のグループ展に参加をして、2018年に「流通と消費」をテーマに初個展「SOME POP」を開催し注目を浴びる。また使用済みのダンボール素材を再利用して制作したノートやレターセットなどを販売するブランド「rubodan」を企画。アジア各国を訪問しローカルのひとびとと交流しワークショップを開催したり、オリオンビールとタッグを組み、廃棄物ゼロを目指すことを目標にダンボールを再利用したステーショナリーセットなども販売している。
Instagram @tomotatsu_gima / @rubodan
http://www.rubodan.com

Photography Shinpo Kimura

The post 「POP COLLAGE」が伝える、再生するアート。儀間朝龍インタビュー前編 レコードジャケットへの挑戦 appeared first on TOKION - カッティングエッジなカルチャー&ファッション情報.

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