2022年の私的「ベスト映画」 Archives - TOKION https://tokion.jp/series/2022年の私的「ベスト映画」/ Fri, 06 Jan 2023 09:00:10 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.3.4 https://image.tokion.jp/wp-content/uploads/2020/06/cropped-logo-square-nb-32x32.png 2022年の私的「ベスト映画」 Archives - TOKION https://tokion.jp/series/2022年の私的「ベスト映画」/ 32 32 2022年の私的「ベスト映画」 ライター・西森路代が選ぶ今年の3作 https://tokion.jp/2022/12/31/the-best-movie-2022-michiyo-nishimori/ Sat, 31 Dec 2022 03:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=162768 2022年に公開された映画の中からライターの西森路代が選んだマイベスト映画3作を紹介する。

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ロシアによるウクライナ侵攻が行われるなど、激動の2022年だった。そんな中でも今年は邦画・洋画問わず多くの素晴らしい映画が公開され、私達にポジティブなエネルギーを与えてくれた。「TOKION」では、ゆかりのあるクリエイターに2022年に日本公開された映画の中から私的なおすすめ映画を選んでもらった。今回はライター・西森路代が選んだ3作品を紹介する。

西森路代
愛媛県生まれ。 ライター。 大学卒業後、地元テレビ局に勤務の後、30歳で上京。 派遣社員、編集プロダクション勤務、ラジオディレクターを経てフリーランスに。
Twitter:@mijiyooon

『キングメーカー 大統領を作った男』

今年は、コロナで待機していた作品が公開になったり、撮影が再開したりと、韓国映画のパワーを感じられた1年だった。その中に、コロナ禍以降で初めて韓国国内で観客動員数1000万人を超えたマ・ドンソクの『犯罪都市 THE ROUNDUP』や、『モガディシュ 脱出までの14日間』もあった。

『キングメーカー』は、これらに比べるとそこまでの大作というわけではないが、ソル・ギョング演じる野党の政治家キム・ウンボムと、イ・ソンギュン演じる彼を政治の世界で「勝たせたい」と願う選挙アドバイザーの濃密な情にみせられた。

物語は、韓国の第15代大統領の金大中と、アドバイザーであった厳昌録をモデルにしている。これまでにも金大中の存在はもちろん知っていたが、この映画をきっかけに、阪本順治監督の『KT』(2002年)や、イム・サンス監督の『ユゴ 大統領有故』(2005年)まで見返してしまった。『キングメーカー』に存在する空白の時間をこれらの作品が埋めてくれるように感じた。

理想論を語ると、そんなものは生ぬるいし実現できるわけがない、だからこそ清濁併せ呑むことが必要と言われてしまいがちだが、金大中は理想論を捨てない人であったし、ある意味、その精神が今の韓国を支えている部分があるかなと勝手ながら思ってしまった。そういう存在が1人でもいるかいないかというのは大きい。

『よだかの片想い』

今年も、日本映画、それもミニシアター系の作品に良いものがあった1年だったと思う。中でも、「(not) HEROINE movies」の企画には、現在公開中の『そばかす』などもあり、注目したいところである。

その「(not) HEROINE movies」の1作『よだかの片想い』は、島本理生原作の小説をもとに、安川有果監督、城定秀夫脚本で映画化された作品だ。松井玲奈演じる主人公のアイコは、顔の左側にアザがあり、「顔にアザや怪我を負った人」をテーマにした本の取材を受け、その表紙を飾ったことで注目され、映画化まで決定。そこで中島歩演じる映画監督の飛坂と出会い、惹かれていく。その過程に、ルッキズムが示されたり、アザがあることで、自分をフラットな状態で見てもらえないような感覚、飛坂との関係性の変化なども繊細に描かれる。

こうしたテーマを描く時、これはダメ、これはOKと、どんどん両者を分けていくような描き方もあるが、実際には、そこにある問題は1つではなく複雑で、簡単にこれはあっち、これはこっちと分けられるものではない。映画が、そうやって曖昧なところを残すような感覚で描かれていることに安心したし、特に藤井美菜演じるアイコの友人のスコーンと突き抜けたキャラクターがいることで、何か見ているこちらも靄が晴れるようなところがあった。

『MEN 同じ顔の男たち』

観たのが最近でインパクトが強く残っているからという理由もないではないが、この作品のことも挙げておきたい。主人公のハーパーは、夫の飛び降り自殺を目撃し、心の傷を癒すために田舎町のカントリーハウスを訪れる。周りには自然がたくさんあり、頬に当たる雨に喜びを感じたり、誰もいない真っ暗なトンネルで自分の声の反響を楽しんだりと、ゆったりした時間を取り戻していたと思ったら、その先に人影が見えた時の絶望感はかなりのものであった。

その人影含め、田舎町には、変わり者の男性が何人もいるけれど、皆同じ顔。そりゃあ、1人の俳優が演じているから当然なのだけれど、ミソジニーという同じ根っこを持つものが同じ顔に見えるというのは、滑稽だけれど重要な指摘にも思える。そして、どの登場人物も、私が過去にどこかで見たことがある人ばかりであった。

後半、ホラーの色合いが強くなり、グロテスクな場面も多くなるけれど、そうなればそうなるほど冷めた気持ちになり、あることを繰り返す男達を見て「一生やってれば!」とつっこみたくなったが、ハーパーも同じ気持ちだったのではないだろうか。彼女の「あきれ顔」の捉え方によっても意味の変わってしまう作品である。

この原稿を書いている時期に試写で観たパク・チャヌクの『別れる決心』が入れられるのであれば、入れたかったが、これは2023年にこのような企画があったらたっぷり書かせてもらいたい。今年は三者三様の作品が思い出されたので、すべて同率ということで。

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2022年の私的「ベスト映画」 文筆家/映像作家・品川亮が選ぶ5作 https://tokion.jp/2022/12/30/the-best-movie-2022-ryo-shinagawa/ Fri, 30 Dec 2022 10:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=163329 2022年に公開された映画の中から文筆家・映像作家の品川亮が選ぶマイベスト映画5作を紹介する。

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ロシアによるウクライナ侵攻が行われるなど、激動の2022年だった。そんな中でも今年は邦画・洋画問わず多くの素晴らしい映画が公開され、私達にポジティブなエネルギーを与えてくれた。「TOKION」では、ゆかりのあるクリエイターに2022年に日本公開された映画の中から私的なおすすめ映画を選んでもらった。今回は文筆・翻訳・編集・映像制作を生業とする品川亮が選んだ5作品を紹介する。

品川亮(しながわ・りょう)
文筆、翻訳、編集、映像制作業。著書に『366日 映画の名言』、『366日 文学の名言』(三才ブックス/後者は共著)、『美しい純喫茶の写真集』(パイ インターナショナル)、『〈帰国子女〉という日本人』(彩流社)など。訳書にウォルター・モズリイ『アントピア だれもが自由にしあわせを追求できる社会の見取り図』(共和国)、トーマス・ジーヴ『アウシュヴィッツを描いた少年』(ハーパーコリンズ・ジャパン)、ラーシュ・ケプレル『鏡の男』『墓から蘇った男』(扶桑社)など。映像作品にはドキュメンタリー『ほそぼそ芸術 ささやかな天才、神山恭昭』のほか、『H・P・ラヴクラフトのダニッチ・ホラーその他の物語』などがある

『カモン カモン』

基本的におしゃれだしテーマにも心惹かれる。そのうえ印象的な映像も多いのに、映画としては機能不全な印象を拭えない。というのがマイク・ミルズ映画の印象だったが、前作『20センチュリー・ウーマン』で来日した際に、「映画は簡単に作れるものではないから、撮影しているというだけでしあわせ」という意味の言葉を漏らしているのを耳にしてしみじみと共感し、「いつの日か、すみずみまでミルズらしくしかも過不足なく機能していて楽しめる作品が完成したらいいのになあ」と勝手に願っていたところ、それがかなったのがこの作品。すぐれた作り手には、「これを撮るために生まれてきた」と言える映画が一本はあるわけだが、ミルズにとってはひとまず本作がそれにあたるのではないだろうか。

『シェイン 世界が愛する厄介者のうた』

映画として特別なわけではないが、個人的なシェイン愛から。とはいえ、ザ・ポーグスの聴きはじめは、パブで知り合った英国軍退役軍人に「アイルランド人だけど、こいつらだけは大好き」と紹介された1989年なのでまったく遅いほうで、しかもその後も情報にうとく、喜び勇んで出かけた東京でのライヴのヴォーカルがジョー・ストラマーでがっかりしたあの頃、シェインはこうなっていたのかとか、単にアルコールに溺れてダメになっていったのかと思っていたけれど、そうなるにはきちんと理由があったのかとか、うすうす感じてはいたことがあきらかにされ、しかもあの頃のこじれた関係もすでに存在しないようだし、創作への意欲を語るシェインの現在の姿ときたら、もはやぎりぎりで生命を保っているような状態で涙を禁じ得ないという、スクリーンを眺めているこちらが勝手に忙しくなる作品。たぶん作り手たちも同様だったのだろうということが、アツく伝わってくる。

『Togo/トーゴー』

スーパーの向こうにはビーチらしき空の広がりがあり、近接する公園では主人公トーゴーが寝起きしている。そこは住宅街の外縁部でもあるようだが、坂道を上った先ではドラッグの取り引きがおこなわれている。トーゴーは住宅街の路上駐車スペースを“縄張り”とし、車を誘導・監視したり、車体を洗ったりすることで生活費を稼いでいる。住民との信頼関係もあるようだし、スーパーの駐車場を仕事場とする“仲間”が病院に行くときなどはそこを替わりに管理し、アガリを渡すこともある。われわれの目からするとユートピア的なバランスの取れた世界/コミュニティが出現していて、それが崩れはじめるところからジャンル映画としての物語が動きはじめるのだが、ここで描き出されるコミュニティのありかたは、“格差”や“階層”を超克する社会をイメージする上での刺激として重要と感じさせられる。ウルグアイの首都モンテビデオで撮影されたという物珍しさとは関係のない次元で、輝く珠玉の小品。

『聖なる証 The Wonder』

1862年、ジャガイモ飢饉の傷が癒えきっていないアイルランドの片田舎に、食べることなく生存し続ける信心深い少女が現れる。その“奇跡”を科学の視点から検証するために呼び込まれる、ヒロインの英国人看護師。当然のことながら、ホラーやファンタジーのジャンルでないかぎり、食べないまま生きられる人間はいない。だが本人の意志とは無関係に、それを求める事情や必要を持つ人間集団さえ存在すれば、“奇跡”はいつでもどこにでも出現するのであるという、おそろしくも普遍的な物語。劇映画としての組み立て(スタジオの構造物=カメラの背後にあるもの)を具体的に明かしてみせながら物語世界へと入っていくこの作品の構造そのものが、奇跡=入れ子状の噓のあり方に重なっているという秀作である。

『ダーマー モンスター:ジェフリー・ダーマーの物語』

連続殺人の加害者と被害者、それぞれの事情ないし現実を描く作品は山とある。しかし、両方の側を描き出すことで、その両者を越える悪をなしたのが社会であることを提示する作品はあまりないように思う。配信/劇場公開を問わず長篇作品を“映画”と呼ぶのだとしたら本作は映画ではないわけだが、そういう意味で敢えてここに入れる。もちろん、現実の被害者およびその遺族からすれば不快極まりないどころか二次被害を成しかねない内容であるとの批判に異論はない。だがそれでも、この物語におけるダーマーの行動は本人でも止められないものなのであって、それを知りながら、“有色人種”“貧乏人”“同性愛者”に関わるが故に、異常事態の発生を知らされながらまともに対処しなかった警察=社会システムの悪を浮き彫りにする視点とその見せ方には、さすがライアン・マーフィーと感心させられた。「(毒親や機能不全家族といった枠組みを含む)社会の歪みがバケモノを生んだ」という紋切り型ではなく、バケモノは自然現象のようにいつでもどこにでも出現しうるものであって、重要なのはそれとどのように対峙するのかということのほう、ということなのだ。

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2022年の私的「ベスト映画」 文筆家・つやちゃんが選ぶ今年の3作品 https://tokion.jp/2022/12/29/the-best-movie-2022-tsuya-chan/ Thu, 29 Dec 2022 09:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=162764 2022年に公開された映画の中から文筆家・つやちゃんが選ぶマイベスト映画3作を紹介する。

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ロシアによるウクライナ侵攻が行われるなど、激動の2022年だった。そんな中でも今年は邦画・洋画問わず多くの素晴らしい映画が公開され、私達にポジティブなエネルギーを与えてくれた。「TOKION」では、ゆかりのあるクリエイターに2022年に日本公開された映画の中から私的なおすすめ映画を選んでもらった。今回は文筆家・つやちゃんが選んだ3作品を紹介する。

つやちゃん
文筆家。さまざまなカルチャーにまつわる論考を執筆。 2022年1月、単著『わたしはラップをやることに決めた フィメールラッパー批評原論』を上梓。
Twitter:@shadow0918

『ニュー・オーダー』

ミシェル・フランコ監督が、いよいよ映画に対する冷酷さを貫いた作品ではないだろうか。貧富格差を主題に置く本作は、超富裕層が集まる優雅な結婚パーティーの襲撃を描くことでディストピア・サスペンスの様相を呈する。全編通して目立つのは緑や赤といった鮮烈な色使いであり、もちろんそれらは、<独立を象徴する緑>や<民族統一を願う赤>といういわばメキシコ国旗を容赦なく引き裂いていくような展開を表現してはいる。しかし、いかにも象徴的に使われる色彩が実は終始<単なる象徴>に留まり続ける点が興味深い。緑も赤も意外にイメージ連鎖としては使われず、画面それ自体も私達が想起するようないわゆる<映画的な>イマジネーションの拡張を見せることなく終わる。大量の人々があっさりと殺されていくカットを淡々と重ね続ける異様さ。それは、ミシェル・フランコが映画芸術の「豊かさ」などといった幻想を一切に信じていないことを明らかにする。ゆえに、通常の映画作家であれば120分を要して撮るものを、彼は86分でクールに撮りきる。本作は、ただただ人々の「動き」しかない点で、映画への冷酷さそれのみによって駆動されている。

『三姉妹』

家父長制による諸悪を背景にしのばせながら、ばらばらの三姉妹の生活、さらにはそこで生じる心の傷を浮き彫りにしていく韓国映画。特に海外ではフラッシュバックシーンでの演出の稚拙さや構成の弱さを指摘する批評が目についたが、それらを差し引いたとしても、表面的な感情に規定されない身体のあやふやな空気感を醸し出す演技に舌を巻く。全編通してカメラが丁寧に演技に寄っていくからこそ、時折挿入される引きのショットやクライマックスの多数の人間模様が引き立つ。イ・スンウォン監督は人物を撮っているようでいてキャラクターを撮っている。劇伴も素晴らしく、そういった細部への感覚が繊細であるがゆえに、シリアスな作品ながら同時に微妙なコミカルさも演出できるのだ。

『ミニオンズ フィーバー』

毎度サウンドへのこだわりが見られる「ミニオンズ」シリーズの中でも、本作は史上最も音楽に力が入った作品。アース・ウィンド&ファイアやダイアナ・ロスなど1970年代のディスコミュージックへのリスペクトとオマージュが随所で細やかになされるが、同時にボンド映画やカンフー映画への憧憬も織り交ぜることで、音楽に限らない文化・風俗全般に渡る背景が物語を手厚く支える。元々、黄色 × 青のバイカラーでのミニオンズを大勢用意することで画面に埋もれない視覚的インパクトを作り出していた本シリーズだが、今回は雑然とした街並みやごちゃごちゃした登場人物がこれまで以上にカラフルに塗られることで、色使いの巧みさがより一層増した。もはやれっきとした意匠と言ってよいだろうミニオンズの世界観をキープしつつ、色彩の挑戦を続けるこのシリーズの腕前には感嘆せざるを得ない。同時に、国内アニメ作品において色に対する全く異なる側面からのチャレンジがあった点も指摘しておく。『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』はコナンが青とピンクの液体の融合を食い止めるために奔走する作品だったが、そこには反異性愛主義の思想が色濃く漂っていた。本来、異性愛を根底に置き恋愛事情をドラマ的に織り交ぜる手法をとっている『名探偵コナン』が、実のところ大きな転換期を迎えている。『ミニオンズ フィーバー』にしろ『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』にしろ、国内外のヒット作の挑戦が<色>に対するアプローチを起点になされていることはもっと知られてよい。

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