イラストレーター Archives - TOKION https://tokion.jp/tag/イラストレーター/ Fri, 05 Nov 2021 10:21:13 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.3.4 https://image.tokion.jp/wp-content/uploads/2020/06/cropped-logo-square-nb-32x32.png イラストレーター Archives - TOKION https://tokion.jp/tag/イラストレーター/ 32 32 「アニメなら日本が第一」 人気イラストレーターのイリヤ・クブシノブが語る創作への想い https://tokion.jp/2021/11/08/kuvshinov-ilya/ Mon, 08 Nov 2021 06:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=72431 ロシア出身のイラストレーター・アニメーターのイリヤ・クブシノブの創作の原点を探りつつ、彼のイラストやアニメへの想いを聞く。

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ロシア出身のイラストレーター・アニメーターのイリヤ・クブシノブ。SNSに毎日イラストをアップし続けたことがきっかけで、SNSフォロワー数はInstagramが200万、Twitterが51万という人気ぶり。2016年には初画集『MOMENTARY』(パイ インターナショナル)を出版し、その後2019年公開の原恵一監督作品『バースデー・ワンダーランド』ではキャラクターデザインをはじめ、美術設定を担当。また、2020年にNetflixにて配信された『攻殻機動隊 SAC_2045』ではキャラクターデザインを担当するなど、イラストレーターだけではなく、アニメ業界にも活躍の場を広げている。

9月1〜26日には東京・原宿のAnicoremix Galleryで個展「CRYSTALLINE」を開催するなど、展示も積極的に行っている。今回、イリヤ・クブシノブに創作に興味を持つようになったきっかけから日本のアニメに関わるようになった原恵一監督との出会い、イラストに込めた想いまで、幅広く語ってもらった。先日の個展の様子とともに、そのインタビューをお届けする。

——現在イラストレーターやアニメのキャラクターデザインなどで活躍されていますが、ご自身の生い立ちや子供の頃のお話をお聞かせください。

イリヤ・クブシノブ(以下、イリヤ):幼い頃は本を読んだり絵を描いたりしていて自分の世界にずっと入っている子供だったので、母によく注意されたりしていましたね。その時は子供向けの童話を読むことが多かったですけど、家の書斎にあった小説やプログラミング、パソコンの本、恐竜・自然・動物の図鑑などもすべて興味深く読んでいました。

——新しいことを教えてくれる本というものが刺激的だったんですね。

イリヤ:子供だったので、読めないような難しい言葉と出会うと「何だろうこの言葉?」と調べたり、想像を巡らせたりしました。「風見鶏」という言葉を初めて読んだ時は、ずっとどういうものかを想像していたのですが、実際の意味を知ったときには「そういうことか!でも僕が想像していたものの方がずっとすごいぞ」なんて思ったりもしましたね(笑)。

——日本のアニメやマンガのカルチャーに興味を持ったのは同じ頃でしょうか?

イリヤ:ロシアでも日本のアニメがいろいろと放送されていたんです。よく覚えているのは人魚姫のアニメでしたね、ディズニー版の人魚姫と違って小説に寄せた作品で、とても感動したんです。大人向けの日本アニメも放送されていて、6歳の頃に押井守監督の『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』を見た時には非常に衝撃を受けましたし、日本のアニメ作品を好きになっていくきっかけになりました。当時は日本のアニメーション作品だとは気づきませんでしたが、キャラクターデザインや動き方などを含めて、すごくお気に入りでした。

故郷からモスクワに引っ越したあと、日本のアニメや漫画を紹介する雑誌やこういったカルチャーが大好きな人達が集まるクラブに参加するようになり、そこからどんどんと日本のポップカルチャーを学んでいきましたね。

——現在では日本のアニメが海外でヒットしているということが広く知られているとはいえ、今から20年ほど前にロシアで日本のアニメが放送されていたというのは、当時日本の多くの人は知らなかったことだと思います。

イリヤ:印象的な作品だと、アンデルセン童話のアニメ作品などが放送されてましたね。私が『美少女戦士セーラームーン』を初めて見たのは1997年だったと思うんですが、当時は主題歌にボーカルがなくて、伴奏しか流れなかったんです。だから歌詞を知ったのはホントに最近のことだったりします。

言葉よりも絵のほうが多くの人に伝えられる

——ちなみに、ロシアにもアニメ作品があるとは思うのですが、どういった作品が多いんでしょうか?

イリヤ:もちろんロシアのアニメ作品もありましたし、私も見ていました。一番有名な制作会社だと、ソ連時代にできたソユーズムリトフィルムだと思います。ジャンルを問わずにユニークな作品がいっぱいあって、ストップモーションの人形劇や手描きのアニメーションもありましたが、大人向けの作品はほとんどなく、子供向けの作品ばかりでしたね。ユーリイ・ノルシュテインが制作した『霧につつまれたハリネズミ』という作品は、切り絵を使ったアニメで子供向けのように見えるんですが、話が重いし怖かったのをよく覚えてます。私としては、ロシアのアニメ作品にはエンターテイメントな作品はほとんどなく、アートな作品が比較的多いと思っています。

——なるほど。その後、アートの道へと進んでいくことになるとのことですが、おいくつくらいの時でしょうか?

イリヤ:11歳の時からロシアの芸術学校に入学して、大学時代には建築を学ぶようになりましたね。芸術の道を目指そうと思ったのも、小説を書き始めたのがきっかけですね。でも小説を書いても誰にも読んでもらえなくて、それで絵を描いてみたらみんなに見てもらえて、すぐ反応してもらえたんです。「言葉にするより、絵のほうがみんなの心に届きやすいんだ」と幼いながらに学んで、7歳くらいには絵を描くようになったんです。

——ロシアの芸術学校ではどんなことを学ばれていたんですか。

イリヤ:芸術学校なのでデッサンを中心に描いていたんですけど、アニメっぽい絵を描いてみたところ、「そういう絵を描くのは学校を卒業してからにしてほしい」と先生に怒られたりしましたね(笑)。

原恵一監督との出会いが大きなきっかけに

——日本に来たのはいつ頃ですか?

イリヤ: 24歳の時に日本に来ました。大学の後2年ほどはロシアでゲーム作品やモーションコミックを制作する会社にいました。デザインはもちろん、絵コンテを担当したのもそこが初めてで、会社の先輩達に教わりながらでしたね。

——一念発起して日本へと旅立っていくきっかけになったのはなんだったんでしょうか?

イリヤ:自分が監督した作品を制作し終えた後、会社の方針でモーションコミック作品を止めてゲーム作品を再度作るようになったんです。絵コンテを描く楽しさをとても感じたし、ロシアにはないエンターテイメントな作品を作りたいという気持ちが強くなったので、日本へ行こうと決めたんです。当時は日本語も話せなかったんですが、ネットで知り合った日本在住のロシア人がいて、その人にアドバイスをもらって来日したんです。

——そうして2014年に来日してから7年ほどになりますが、日本に来てから一番驚いたことはなんでしょうか?

イリヤ:街がきれいで、ゴミがどこにも落ちてないということ。ロシアとは違って夜になって暗くなるまでが早いことや、自販機やコンビニの多さや便利さ、電車があまりにも多いことも、来日した最初の頃はいろんなことに驚きました。でも私にとって一番大きかったのは、中央線沿いにはアニメスタジオが集まっていて、その近辺に素晴らしいクリエイター達がいることを実感できたことです。ある日、中央線に乗っていた時に押井監督をお見かけして、感激しました。私にとって憧れのクリエイターが集まる場所、まさに日本のハリウッドですね。

——僕がイリヤさんのお名前を最初に知ったのは、原恵一さんが監督された『バースデー・ワンダーランド』(2019年4月公開)のキャラクターデザインからでした。それ以前にはアニメ作品でほとんど見かけたことがないお名前だったうえに、とても特徴的なデザインが印象的でした。同作への制作にはどのように関わっていったのでしょう?

イリヤ:日本に来てからはイラストレーターとしてInstagramなどにイラストを公開していて、それがきっかけで画集『MOMENTARY』(パイ インターナショナル)を出させていただくことができたんです。ちょうどそのタイミングで原さんが画集を見つけて「彼が良いんじゃない?」と推薦してくださり、作品制作に関わることになりました。最初はキャラクターデザインだけだったんですが、原さんに「建築やプロップなどを描ける人を知らない?」と聞かれたので、自分から名乗り出て、美術設定やメカ設定、それに作画監修の部分まで関わらせていただきました。

——初めて日本のアニメ制作に関わった現場で、そこまで活躍できるクリエイターさんはなかなかいらっしゃらないかと思います。

イリヤ:そうですね、本当に恵まれていると思います。私が美術やメカ設定をやるかわりに、原さんは、いろいろな打ち合わせ現場に私を付き添いとして置いてくれたんです。声優さんや音楽にまつわるところや、その他の打ち合わせなどにも同席させてくれて、日本のアニメ制作を熱心に教えてくれたんです。なんというか、私に対して、弟子のように接してくれていました。その中でアニメ制作がどういうものかを学んでいきました。

——その後、2020年4月に配信された『攻殻機動隊 SAC_2045』の制作にも参加されていますよね。ペースを考えると『バースデー・ワンダーランド』の制作からすぐこちらに加わったように思えるのですが、こちらはどのように参加されたんでしょうか?

イリヤ:実はこちらも原監督がきっかけです。「いま新しい攻殻機動隊の制作が始まっているみたいだから、連絡を取ってみたらどう?」と原さんに声を掛けられて、Production I.Gの社長である石川光久さん宛てに草薙素子のアートを提案させていただいたところからスタートしました。

イラストは見てくれた人が自由に感じてほしい

——現在でもpixivやInstagramなどでイラストを公開されていますが、イラストを描かれている時に注意していたり、こだわっているのはどういった点でしょうか?

イリヤ:私は女性を描くことが多いですけど、彼女自身にあるバックストーリーを作って描いています。ちょっとこれは絵を見せつつ説明してもいいですか?

——お願いします。

イリヤ:この絵のタイトルは『蜘蛛』です。蜘蛛は糸で巣を作って獲物を捕まえているというのをヒントにして、女性は目の力や瞳でいろんなものを魅了する、夢中にしていくということを描きました。でもこの絵に関して、「なんで周りに線がたくさんあるの? 意味ないんじゃないの?」とコメントが来たことがあって。確かに『蜘蛛』だけでは説明は足りないとは思いますが、実は私からはあまり説明をしたくはない、見てくれた人それぞれが、より大事な意味を見つけてくれたら、そちらのほうが私としては嬉しいからです。

——ありがとうございます。イリヤさんにとって、『イリヤ・クブシノブといえばこの1枚』といえるような代表的な1枚を挙げるなら、どのイラストになりますか?

イリヤ:少し悩みましたが、こちらのイラストですね。私らしい表現というより、私が伝えたいメッセージというものがこのイラストに一番現れているかなと思います。この絵を見て「なんだろう?」と感じてもらって、時間をかけて大事な意味を見つけていただければ嬉しいです。

——イリヤさんは今後どういった活動をしていきたいですか?

イリヤ:子供の時から本を読んで想像するのが一番好きでした。セリフや情景を思い浮かべて、どこから撮って、どうやって動いて…というように。これと通じるところだと思うのですが、絵コンテを描く仕事をやりたいですね。私にとって、それ以上に楽しい仕事は思いつかないです。

——自分が中心となって監督をするとしたら、どういう作品を作りたいでしょう?

イリヤ:最近では小説や本を読む方がグっと少なくなったと思うのですが、素晴らしい物語はたくさんあります。自分が好きな小説を映画やアニメーション化して、多くの人に伝えたいと思っています。例えば『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『ニューロマンサー』『ファイト・クラブ』など、もしもアニメ作品になったとしたら見たいと思いませんか? 私がもしも監督をするのなら、そういった作品をアニメ化してみたいです。

——もしかしたら20年後30年後には、ご自身が脚本・キャラクターデザイン・作画監修しての監督作品が見られる未来もありえそうですね。

イリヤ:まず小説を書いて、それがヒットしたら「私がアニメ作品を作ります!私が監督しますので!」と制作に入っていくという流れが一番理想ですね(笑)

——例えばアメリカやロシアなどから声がかかったら、 制作が海外に移るということもありえるのでしょうか?

イリヤ:仮にアメリカ発のIP(Intellectual Property:知的財産権のこと)コンテンツがあって、日本在住のままで制作できるのであれば、参加できるんじゃないかなと思います。日本で、素晴らしいクリエイター達と一緒に、日本らしいアニメーションを作っていく、それが私にとっての一番の幸せなんです。今は日本から離れようとは思わないですね。

イリヤ・クブシノブ
イラストレーター。1990年生まれ、ロシア出身。SNSで定期的に作品を発表して人気を集め、フォロワー数はInstagramが200万人、Twitterが51万人。2014年から日本を活動拠点とし、2016年には初画集『MOMENTARY』(パイ インターナショナル)を発売。2019年公開の原恵一監督作品『バースデー・ワンダーランド』ではキャラクターデザインをはじめ、美術設定を担当して多くの反響を呼んだ。また、Netflixで配信中の『攻殻機動隊 SAC_2045』ではキャラクターデザインを担当。現在、自身の夢であるアニメーション監督を目指しながら、イラスト・アニメ業界で活動中。
Twitter:@Kuvshinov_Ilya
Instagram:@kuvshinov_ilya

Photography Yohei Kichiraku

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イラストもファッションも アーティスト・雪下まゆが表現する“少しダークな世界観” https://tokion.jp/2021/03/05/from-illustration-to-fashion-mayu-yukishita/ Fri, 05 Mar 2021 06:00:27 +0000 https://tokion.jp/?p=21647 アーティスト兼ファッションデザイナーとして活躍する雪下まゆにイラストを始めたきっかけから、ファッションブランドの立ち上げまでを語ってもらう。

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雪下まゆ

イラストレーターとして、東京モード学園2019年版CMイラストや川谷絵音ソロプロジェクト美的計画ジャケットイラスト、単行本『スター』(朝井リョウ著)の装画など、さまざまな分野で活躍する雪下まゆ。昨年6月に自身のファッションブランド「エスター」を立ち上げた。なぜ、イラストレーターの彼女がファッションブランドを立ち上げるに至ったのか。そしてそこにはどんなコンセプトが込められているのか。これまでのキャリアを振り返りつつ、その想いを探っていく。

イラストと写実の絶妙なバランス

——雪下さんのイラストは写真のようなリアルな感じが特徴ですが、もともとイラストを描き始めたのはいつ頃からですか?

雪下まゆ(以下、雪下):イラストや漫画は小さい頃から趣味で描いていたんですが、本格的にネットで発表し始めたのは大学生になってからです。当時はPixivで自分の作品を発表して有名になる人もいて、私も将来はイラストの仕事で食べていけたらと思って、ウェブにアップし始めました。

——その頃から今の作風だったんですか?

雪下:当時はパステル調で今よりも柔らかい作風でしたね。大学2年生の時に初めてアパレルブランドのショッパーのイラストを描くお仕事をいただき、そこから少しずつ仕事が増えていきました。そのあたりから、もともと写真が好きだったのもあって、今のリアルな作風になっていきました。

——仕事の場合、具体的にこういうイラストを描いてほしいと依頼があるんですか?

雪下:たまにそうした依頼もありますが、基本的には自分で本を読んで、こちらで具体的なイメージを考えて描くことの方が多いです。私の場合、写真を元にして描くので、実際にモデルや衣装、小物なども配置して、それを一度撮影するんです。そして、それをデジタルで描くので、アートディレクター的なトータルディレクションもします。

——あのリアルな感じは写真を元にしているのもあるんですね。イラストとリアルさの絶妙なバランスです。

雪下:もともと漫画を真似して描いていて、途中からデッサンや油絵を学び始めたので、漫画っぽい2次元的なイラストに、油絵の写実的な手法が反映されているのではないかと思います。具体的には、少し目を大きくしたりはしています。

——作品はすべてデジタルで描かれているんですか?

雪下:基本的にはデジタルですが、展示用の作品は油絵で描いています。最近は映画の告知用のイラストも頼まれるようになって、そういった時は全然違うモチーフが描けるので、楽しいです。昨年からもともとやりたいと思っていた本の装画の仕事も増えてきて、ある本屋では「雪下まゆコーナー」もできていて、それがすごく嬉しかったです。

凶暴性と上品なムードが共存する「エスター」

——イラストレーターとしての仕事が増える中、2020年6月から自身のブランド「エスター」をスタートしました。何かきっかけがあったんですか?

雪下:もともと大学の卒業制作で、油絵のイラストをプリントした洋服を制作したことがあって。その時に、いろいろなブランドの生産管理をしている人と知り合いになったんですけど、それをきっかけに「一緒にブランドをやらないか」と誘っていただいて。昔から洋服には興味はあったんですけど、それまではイラストしかやって来なかったので、自分がまさかファッションブランドをやるとは思ってもいなかったです。

——それで、その方と一緒にブランドを始めたんですね。

雪下:そうです。私がデザインを考えて、その人が実際の服に落とし込んでくれるんですが、0から服を作る難しさを実感しています。2020–21年秋冬と2021年春夏の2シーズンやってみて、ずっと作り続ける人のすごさがわかりました。ブランドを始めて、自分が服を着る時も、よりその服の作りを意識するようになりました。

——ブランド名の「エスター」の由来は?

雪下:ホラー映画の「エスター」からです。この映画では大きなコンプレックスを抱えている女の子が登場するんですが、人間は誰でもグラデーションがあるにしろ、コンプレックスを抱えているものだと思っていて。私はそんな「エスター」が大好きなんです。

主人公のエスターはコンプレックスや過去を隠すために、上品なリボンやクラシックなワンピースを身に着けていて、そこに共存する凶暴性と上品なムードみたいなものを表現したくて「エスター」というブランドにしました。

各シーズンでは、そうした「エスター」全体のコンセプトがありつつ、それぞれのテーマを決めて、それに沿った服を作っていきます。

——メンズ、レディースは特に分けずにやっているんですか?

雪下:そうですね。女性、男性のどちらかのためのブランドと定義したくなかったので、特に分けずユニセックスなブランドとしてやっています。2021年春夏の2人のモデルもそうしたイメージで選びました。

——シーズンのビジュアルは雪下さんが考えているんですか?

雪下:基本的にはフォトグラファーさんと相談して決めています。2020年秋冬の時はフォトグラファーが成田英敏さん、スタイリストは菅沼愛さん。2021年春夏はフォトグラファーはIDAN(BARAZANI)さん、スタイリストは島田辰哉さんでした。そのシーズンのやりたいことによってスタッフは考えるようにしています。

21年春夏は「レイン」というアニメをテーマにしたんですが、IDANさんがその雰囲気を上手に表現してくれて。電線がよく出てくるアニメだったんですが、洋服にもそれが反映されています。

——次に発表される2021年秋冬はどのようなテーマになりますか?

雪下:最近森に行った時に、暗闇の奥へと入って溶けてしまいたくなるような魅力と、目を凝らしても何も見えない畏怖に近い恐怖を覚えました。「静寂」とそこに存在する生命の「激しさ」、この2面性は「死」に似ていると感じて、それを表現しました。これまでの2シーズンは形にこだわって作っていたんですけど、次は自分のイラストなどグラフィックも使っていこうかなと考えています。

——「エスター」の服にもビジュアルにもアニメっぽい雰囲気を感じます。

雪下:洋服を専門的に学んでこなかった自分だからこそ、絵で学んできたことを洋服にも生かしていければと思っています。

服を作るようになって、絵を描く時にも衣装を意識するようになりましたし、自分の作品を作る際にも、モデルに「エスター」の服を着てもらうことも増えています。

今は「エスター」の公式サイトのみでの販売ですが、今後はセレクトショップへの卸しもやっていきたいです。アーティストさんの衣装としても使えるので、ぜひ使ってほしいですね。

デビッド・リンチや田島昭宇などから影響を受ける

雪下まゆ

——雪下さんは以前のインタビューで映画から影響を受けたと話されていますが。

雪下:映画は大好きで、洋画を中心にたくさん観てきたのですが、よく言っているのはデビッド・リンチ監督ですね。特に『ツイン・ピークス』のようなダークで謎めいた雰囲気に影響を受けました。他にもホラー系は好きです。

映画以外では、高校生くらいまでは漫画の影響が大きくて、特に田島昭宇さんの『多重人格探偵サイコ』はすごく好きで、洋服もおしゃれだったし、ずっと真似して描いていました。あとは、押見修造さんの『惡の華』や浅野いにおさんの『おやすみプンプン』なども好きですね。

——雪下さんと言えばラジオ好きでも知られていますが。

雪下:大学生の時に伊集院(光)さんの深夜ラジオ(『JUNK 伊集院光 深夜の馬鹿力』)を聴いて、こんなにおもしろいんだって知って、『爆笑問題カーボーイ』や他の曜日の『JUNK』をはじめ、いろいろと聞くようになりました。そこからインスピレーションを受けることはないですが(笑)、深夜に1人で作業している時に聞いていると安心して作業がはかどります。基本的には朝から深夜までずっとTBSラジオを聞いてますね。

先日行われた空気階段の単独ライブ「anna」では、ロンTのイラストも描かせていただいて、私自身も空気階段のラジオ(『空気階段の踊り場』)を聴いていたので、嬉しかったです。

——最近は仕事の幅も広がっていますが、自身の肩書きはどう考えていますか?

雪下:もともとイラストレーターと名乗っていたんですが、イラストの仕事だけではなく、作家活動やブランドのデザインなど、肩書きによってやりたいことを固定化したくなかったので、今年からはやはり「アーティスト」で良いかなと思っています。

——最後に、今後の展望を教えてください。

雪下:映画に携わる仕事は楽しくて、映画コラムの連載とかやっていきたいです。あと、せっかくイラストとファッションの仕事をやっているので、相互作用でどちらにも良い結果が出ればいいなと思っています。

雪下まゆ
アーティスト兼ファッションデザイナー。1995年12月6日生まれ、多摩美術大学デザイン学科卒業。写実的でありながら、イラストならではのデフォルメやラフなタッチを残した個性的な画風で人気を集める。装丁、音楽業界、ファッション業界などからの注目度も高く、タイアップ作品も多く手掛ける。2020年6月に自身のファッションブランド「エスター」を立ち上げた。
https://yukishitamayu.com
Twitter:@mognemu
Instagram:@mayuyukishita

Photography Takahiro Otsuji(go relax E more)

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