オールモストブラック Archives - TOKION https://tokion.jp/tag/オールモストブラック/ Thu, 24 Feb 2022 06:21:00 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.3.4 https://image.tokion.jp/wp-content/uploads/2020/06/cropped-logo-square-nb-32x32.png オールモストブラック Archives - TOKION https://tokion.jp/tag/オールモストブラック/ 32 32 カバンを着る。バッグいらずの大容量ウェア――連載「Tokyo Wish List」 https://tokion.jp/2022/02/27/tokyo-wish-list-45/ Sun, 27 Feb 2022 06:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=92963 今やバッグは背負う、持つ、引くだけではなく、着ることもできる時代。今の気分にフィットするアイテムをTOKION視点でお送りする「Tokyo Wish List」では、大収納ウェアをピックアップする。

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移動することが常な私達にとって、物を持つという行為はできる限り快適にしたいところ。そこで今の気分にフィットする、手に入れたいアイテムをTOKION視点でピックアップする「Tokyo Wish List」の今回は、これさえあればバッグいらずといった、収納力が高いウェアを集めてみた。どれも独創的なアイデアで大容量を確保しているので、そのギミックにも注目してほしい。

White Mountaineering

ハイスペックで大容量を実現したジップジャケット

2021年でブランド設立15年を迎えたデザイナーの相澤洋介が手掛ける「ホワイトマウンテニアリング(White Mountaineering)」。その中でも、同ブランドが持つテクノロジーとファッション性を、現代のアウトドアウェアに落とし込んでいるのが「ホワイトマウンテニアリング ビーエルケー(White Mountaineering BLK)」ラインだ。
今回ピックアップしたジャケットでは、その機能がふんだんに盛り込まれている。具体的には、防風、透湿、撥水性をプラスしたストレッチツイル生地をメインに、撥水と防風性のあるリップストップをミックスし、さらに環境にも配慮された裏地に、軽量保湿性に長けたトリコットラッセル素材を使用。そしてさらに、大小さまざまなポケットが配置されているので、デイリーで使うアイテムが丸ごと収納可能となっている。ミニマルなフォルムから想像できないほどの収納力なので、ぜひ自身で体感していただきたい1着だ。

ホワイトマウンテニアリング 03-6416-5381

beta post

TPOに合わせて選ぶことができる2ウェイベスト

“観る人の思考を促すこと”をブランドコンセプトに、自由なアイデアから生み出されるプロダクトを通して問題提起を行う「ベータポスト(beta post)」。そんなコンセプチュアルなアイテムを作り出す同ブランドからリリースされている定番の1着は、まさしくバッグを着るといったことを体現したベストで、ジップを下ろすだけで三角バッグへと早変わりする。その容量は抜群で、デイリーグッズなら問題なく収納が可能だ。今の季節ならアウターの上に羽織るのもいいし、ナイロンメッシュが使われているので夏ならそのまま着ることもできる。1年を通してシーンを問わず使えるので、旅のおともにもおすすめだ。ストレスフリーな生活を求めるあなたにぜひとも使っていただきたい。

ベータ https://betapost.jp

D-VEC × ALMOSTBLACK

フィッシングとファッション、そしてアートが融合した次世代ウェア

“日本の美意識”と世界中の美術や音楽といったカルチャーをファッションで表現する、デザイナーの中嶋峻太が手掛ける「オールモストブラック(ALMOSTBLACK)」と、フィッシングブランドの「ダイワ(DAIWA)」 から派生したファッションブランド「ディーベック(D-VEC)」のコラボレーションウェア。本作はボディに快適素材であるゴアテックス インフィニアムを採用した1着で、デザインのベースには、ドイツ軍のシャツを採用しているのが特徴だ。そして実用的な収納力を確保すべく、胸、袖、背中にフラップポケットを配置しているのがおもしろい。さらに注目してほしいのが同色で刺しゅうされたロゴマークで、デザインはグローバルに活動する画家の加藤泉が手掛けている。シンプルなデザインの中に、高機能とアートがうるさすぎずに同居した1着は、まさに日本の美が表現されているのではないだろうか。

オールモストブラック info@almostblack.jp

Photography Erina Takahashi
Styling Takuya Raita

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「オールモストブラック」×「ディーヴェック」初のカプセルコレクションが現代美術ギャラリー「ペロタン」の国内外ストアでポップアップ https://tokion.jp/2022/02/05/almostblack_dvec_perrotin/ Sat, 05 Feb 2022 11:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=95525 「オールモストブラック」と「ディーヴェック」による初のカプセルコレクションのポップアップが現代美術ギャラリーの「ペロタン」ストアで開催する。

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「オールモストブラック」と「ディーヴェック」による初のカプセルコレクションのポップアップが現代美術ギャラリーの「ペロタン」ストアで開催する。会期は2月9〜28日。期間内にはニューヨーク、パリ、香港、上海の「ペロタン」ストアでも同時開催する。

アイコンとなるロゴマークは、加藤泉が担当し、実際に釣りで使用されているトリプルフックが題材となっており、全てのアイテムに刺繍で施されている。

また、今回のポップアップでしか見ることのできない、ロゴマークのリトグラフも特別展示し、期間中にコラボレーションアイテム購入者の中から希望者を対象として、部数限定で抽選販売する。

■D-VEC × ALMOSTBLACK POP UP
会期:2月9〜28日
会場:ペロタン東京
住所:東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル1F
時間:12:00〜18:00
休日:日、月曜
Webサイト:ペロタンオンラインストア

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「オールモストブラック」が最新コレクションでコラボした抽象画家・白髪一雄夫妻の作品の展覧会とポップアップを開催  https://tokion.jp/2021/10/19/almostblack-kazuoshiraga/ Tue, 19 Oct 2021 07:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=69990 2021-22年秋冬コレクション「A-Un / 阿吽」の一部を抽象画家の白髪一雄と妻の富士子の作品とともに展示する。

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「オールモストブラック」は尼崎の白髪一雄記念室で、2021-22年秋冬コレクション「A-Un / 阿吽」の一部を抽象画家の白髪一雄と妻の富士子の作品とともに展示する。会期は10月23日から2022年3月21日。

白髪一雄は、天井から吊るしたロープを掴みながら足を絵筆代わりに描く“フットペインティング”で知られる、戦後日本の前衛美術をリードした抽象画家で、国内外で高く評価されている。「オールモスト ブラック」は3月に発表した2021-22年秋冬コレクションでコラボした。コラボコレクションでは、ブランドアイコンでもあるミリタリーウェアに白髪一雄のフットペインティングの作品をデザインしたジャケットやプリントTシャツを発表した。

また、展示会期中に記念室内でコラボコレクションが購入できるポップアップコーナーも設ける。

■白髪一雄記念室 第18回展示 SHIRAGA×ALMOST BLACK 2021AUTUMN / WINTER
会期:10月23日〜2022年3月21日
会場:白髪一雄記念室
住所:尼崎市昭和通2‒7‒16 尼崎市総合文化センター4階
時間:10:00〜17:00
休日:火曜、11月23、24、12月27〜2022年1月4日
入場料:一般 ¥200、シニア ¥100、高校・大学生 ¥100、中学生以下 無料
※障がい者手帳等を持参で半額、介助者1名は無料

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Tokyo Wish List ―ファッションで楽しむ音楽と芸術― https://tokion.jp/2021/10/08/tokyo-wish-list-12/ Fri, 08 Oct 2021 06:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=64593 今の気分にフィットするアイテムをTOKION視点でピックアップする「Tokyo Wish List」。今回は音楽や芸術と融合したファッションに注目する。

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今の気分にフィットする、手に入れたいアイテムをTOKION視点でピックアップする「Tokyo Wish List」。今回は、芸術の秋にちなんで、音楽やアートを取り入れたファッションアイテムにフォーカスする。音楽は聴くもの、芸術は観るもの、と決めつけずに着るという行為を通すことで、また違った発見もあるはず。

Adult Oriented Robes × Hiroshi Nagai

自分だけの“音楽”をダウンロードできるウェア

今回ピックアップしたジャケットとパンツそれぞれには、購入者のみがダウンロードができる楽曲が用意されているという、まさに“音楽”を聴き、着ることができる斬新なアイテム。具体的にどういったことかというと、各アイテムにはタグが付いていて、そのタグに記されたコードを入力すると音楽アプリ(Bandcamp)から、曲がダウンロードできる仕組みとなっている。
そのような画期的なテクノロジーを搭載したウェアを提案するのは、東京・代々木上原にあるレコードショップ兼レコードレーベル「アダルト オリエンテッド レコーズ」で、“Sound Clothes”をテーマにユニセックスウェアを手掛けている。
そして、音楽を聴くことができるだけではなく、各アイテムにはショップと深い関係を持つ、人気イラストレーターの永井博の作品が落とし込まれており、視覚的にも楽しめるようになっているのも魅力的だ。もちろん、生地にもこだわっており着心地もよいので、これからの季節に重宝したい。

イルイマジン ランドスケープ 03-5738-2045

soe

作家と写真家のエッセンスが落とし込まれたロングシャツ

東京を拠点に、東京的手法をもって、東京的リアルクローズを提案する「ソーイ(soe)」から、写真家の猪原悠の作品を落とし込んだシャツがリリースされている。まず今季の「ソーイ」は、コロナ禍においてまた再び注目を集めている、ジョージ・オーウェルの『1984』から着想を得たコレクションを展開しており、本アイテムもそのコレクションの一部。写真家の猪原悠によるトルコ中央部でのロードトリップ作品集『Kangal』に収録されている作品の一部をバックに大きく配し、ジョージ・オーウェルの『1984』の一節をプリントするなど、アート性の高いデザインが魅力的だ。
フライトジャケットのディテールを随所に落とし込むなど、独創的なシルエットも申し分なし。これからの季節のメインやアクセントにも使える1着となっている。

M.I.U. 03-5457-2166

ALMOSTBLACK

抽象画家、白髪一雄の作品と融合した芸術的ウェア

以前、TOKIONでもインタビューを行ったデザイナーの中嶋峻太が手掛ける「オールモストブラック(ALMOSTBLACK)」は、“日本の美意識”と世界中の美術や音楽といったカルチャーを融合させたコレクションを展開するブランドだ。そんな現代の日本らしさを追求する「オールモストブラック」が今季提案しているのは、世界的にも高い評価を得ている抽象画家の白髪一雄とのコラボレーション。白髪とその妻の富士子の作品をモチーフとして取り込み、コレクション全体で表現している。
その中で今回ピックアップするのは、ゆったりとしたシルエットのニット。フロントに落とし込まれた作品はもちろんのこと、生地にカッティング加工を施すことで2人の作風を表現していたりと、随所にそのエッセンスが注ぎ込まれている。ファッションを通じて、アートに触れてみるのも、また新しい発見や気付きがあるのでは。

オールモストブラック info@almostblack.jp

Photography Erina Takahashi
Styling Takuya Raita

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2年間にラフ・シモンズのアトリエで見たもの 「オールモストブラック」中嶋峻太のアイデンティティーとこれからのファッション https://tokion.jp/2020/08/21/almost-black-and-shunta-nakajimas-identity/ Fri, 21 Aug 2020 06:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=3516 1本の電話がつないだラフ・シモンズのアトリエでの経験。そこから得た今の「オールモストブラック」に息づくものとはなんなのか?

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「オールモストブラック」のコンセプトは“ポストジャポニスム”。2015-16年秋冬のデビュー以降は一貫して、伝統工芸や歴史的な意義や思想といった“日本の美意識”に世界中の美術や音楽などのカルチャーを融合させたコレクションを発表し続けている。デザイナーの中嶋峻太はエスモード・パリを卒業後、2005〜2007年の2年間、ベルギー・アントワープにあるラフ・シモンズのアトリエでデザインアシスタントを務めた。2005年といえば、6月に「ジル・サンダー」メンズ・ウィメンズウェアのクリエイティブディレクターに就任したり、パンクを筆頭に、反抗的なエネルギーやサブカルチャーなどから距離を置いたディフュージョンライン「ラフ・バイ・ラフ シモンズ」を発表するなど、本人にとっても変革の時代である。そんな中、中嶋はラフのアトリエでモードの最前線に流れる空気を自らの体で感じながら「ファッションとは何なのかを学び、自問自答しながら日々を過ごしていた」という。1人で飛び込んだあこがれの舞台からはどんな景色が見えたのか? ラフから得た「オールモストブラック」に息付くものとは何なのだろうか?

——「オールモストブラック」がポストジャポニスムというコンセプトを掲げるきっかけは何だったのでしょうか?

中嶋峻太(以下、中嶋):「オールモストブラック」を立ち上げる前から僕と川瀬(「プロダクト オールモストブラック」デザイナー)で、日本らしさの落とし込みについての構想は持っていたんです。それは自分が海外にいた時に感じた、外国人が自国を愛して文化に誇りを持っていること。デザインの要素として日本がフィーチャーされることはありますが、あくまで西洋の解釈での話。物足りなさを感じる一方で、国民性の面でも日本人は視点が外に向きがちです。日本国内には優れた美術や伝統工芸がたくさんある中で歴史的な背景も含めて、自分達を通じて現代の新しい日本らしさを表現したかった。

——アートをコレクションのテーマに据えるきっかけになったアーティストはいますか?

中嶋:ファーストコレクションではポスト・パンクやニューウェイヴに人間国宝の陶芸家、松井康成さんの作品を融合させました。ただ、きっかけではないですし、さまざまな方から影響を受けていますので、個人名を挙げるのは難しいですね。強いて言えば、ラフ・シモンズです。アトリエには大量のアートや写真作品があって、コレクションに反映される過程を実際に目の当たりにしました。『ディオールと私 (原題:Dior and I )』でも同じようなシーンがありますが、イメージボードにあらゆるジャンルのアートが掲げられていて、その落とし込み方は衝撃でした。

——ラフ・シモンズのアートへの造詣からどんな影響を受けましたか?

中嶋:音楽も洋服もアートに対する姿勢もイメージボードの写真も影響を受けました。一方、2年間のアトリエ生活でこれ以上ここにいたら、ラフがすべてになってしまうという危惧もありました。

——オリジナリティーが侵食されそうなほどの影響だった。

中嶋:そうですね。いずれは自分のブランドを持つことを念頭に置いていましたし、テーマはおぼろげながらも日本らしさを追求したいとも考えていましたから。

——「オールモストブラック」の“褐色(かちいろ)=限りなく黒に近い藍色”は染色も含めて日本文化に根付いたものですね。

中嶋:“褐色”は戦国時代から現代に至るまで伝統的な縁起物でもあるんです。明治時代には軍服に採用されていて軍勝色(ぐんかちいろ)とも呼ばれていました。野球の侍ジャパンもサッカーの日本代表もユニフォームに藍色が採用されていますよね。歴史的な背景を持ちながら、日本人の生活に根付いている色ですから、藍色をブランドのテーマカラーにすることは自然な流れだったように感じます。また、ブランドのネームは白銀比で作っています。よく耳にする黄金比とは西洋の考え方。西洋の伝統的な美しさの構成比率が黄金比といわれるように、日本の伝統美は白銀比。神社や仏閣などにも採用されています。

——テーマを具体的にディテールとして表現する。即物的ではありますが、コンセプチュアルな表現方法こそ「オールモストブラック」の強みだと思います。

中嶋:ポストジャポニスムを念頭に僕らなりにアートを解釈して、洋服への落とし込みを考える。その際の最優先事項はアーティストの作家性ですね。

——バランスが難しそうですね。

中嶋:相当難しいですが、互いの融合や良い意味での反発も含めて極めて重要なことだと感じています。一方で社会性は常に意識しています。ファッションやアートとオリジナリティーの追求に合わせてビジネスをどうスケールさせていくか。「N.ハリウッド」のデザインチームの一員としても働いていますので、トレンドからMDに至るまで今の潮流は常に意識しています。

——今年、海外進出をしたことで、改めて自身のルーツやアイデンティティー、経験を振り返りましたか?

中嶋:改めて考えたことはないです。これまでと違ったことといえば、営業をつけて展示会を行ったこと。ありがたいことに話は30〜40件以上頂ました。あと、海外は意見がストレート。価格が高い、クオリティーの良し悪しのレスポンスがはっきりしていますので、そういう意味では良い経験でした。

——ラフ・シモンズのアトリエでデザインアシスタントを務めたきっかけを教えてください。

中嶋:アントワープに移住をして漠然と働きたいと思っていた時に、もともとラフ・シモンズが好きだったのでアトリエに直接電話をしたんです。電話を掛けた翌日に面接だったんですけど、当時ピーター(・ミュリエ)が僕のルックブックに興味を持ってくれて。次の面接ではデッサンの提出が求められたので、自分が大好きなラフのコレクションルックを50枚近く書きあげたんです。ラフ本人が気に入ってくれて、結果としてアトリエで働くことになりました。

——好きという気持ちも熱意も伝わったんですね。

中嶋:まだ、忘れられない思い出が勤務初日です。エレベーターに乗ってドアが開くとラフ本人がいたんです。憧れでしたから、挨拶の言葉もうまく出てこないでいると「来てくれてありがとう」と抱きしめられたんです。スタッフが少なかったこともあってファミリーという意識を大切にする人。あの瞬間に心をつかまれましたね。

それから2年間インターンだったので更新制でしたが、その間も希望者が殺到する中で、新規採用はなく自分を重宝してもらえたことも純粋に嬉しかった。ラフが「ジル・サンダー」のクリエイティブディレクターの就任を期にアトリエの3階の自宅から引っ越した後、お金もありませんでしたから「住まわせてほしい」とお願いすると「OK」と。だだっ広い空間の一角にぽつんとベッドが置いてあるシュールな部屋での生活も良い思い出です。

——ラフ・シモンズから最も影響を受けたことはなんですか?

中嶋: 2003年春夏の、“Consumed(消費)”がテーマのコレクションを見てファッションの道を志しました。1990年代にストリートをモードに落とし込んだ感覚とその考えを貫きつつ、当時は“フューチャリスティック”と評価されていたのですが、本人は一側面にフォーカスされることに疑問を感じていたようです。彼の先駆性はずば抜けていますよね。追随するデザイナーも増えたことで、もっと時代の先の“何か”に目を向けていたのは事実ですし、そのタイミングでアトリエに入れたことも貴重でした。

——今季「オールモストブラック」がピーター・デ・ポッターとのコラボに至った経緯を教えていただけますか?

中嶋:河原温さんの “Today シリーズ”からインスピレーションを受け、2006年当時一緒に働いていたピーターから送られてきたグリーティングメールをメイングラフィックに使用しました。その頃の感情を表現したいと考え、ピーターにアドレスも日付もそのまま載せるアイデアを提案すると賛同してくれました。写真が彼の所有ではなかったことも貴重。ちなみに当時はメールアドレスを持ってなかったので、グリーティングメールはロビー(・スネルダーズ)宛て。大切なメールですからプリントアウトして部屋に貼っていました。ただアートワークを借りるのではなく、アントワープで過ごした思い出や物語があったからこそのコラボレーションです。

——ポストコロナのファッションの在り方をどう考えますか?

中嶋:ランウェイの音楽や空間、洋服の躍動感は映像では伝わりづらいのは事実です。以前と同様のショーを開催できるかは未知数ですが、好転することを祈っています。一方で今回「アンブロ」とのコラボで短い映像作品を手掛けて感じたのですが、突発的にできるデジタルのアイデアを駆使することでクリエイションの可能性は広がっていくと感じます。

また、会社のスケールアップと持続性を考えた時に、洋服を売るだけではなく、クリエイティブエージェンシーのような機能も実践しようと考えています。洋服をメインにそこから派生するアイデアや可能性について積極的に取り組む。「ユナイテッドアローズ&サンズ」のプロジェクトもそうです。立ち上げ当初はブランドの掛け持ちに否定的な意見もありましたが、そのような見方も少しずつ変わっていけばいいと思っています。

中嶋峻太
1982年、愛知県生まれ。エスモード パリを卒業後アントワープに移住し「ラフ・シモンズ」のデザインアシスタントを務める。現在は「オールモストブラック」を手掛ける一方で、「N.ハリウッド」のデザインチームの一員として活動をする2020年春夏からは「ユナイテッドアローズ&サンズ」のオリジナルの企画も手掛けている

Photography Nobuko Baba(SIGNO)

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