田中彩子 Archives - TOKION https://tokion.jp/tag/田中彩子/ Mon, 19 Feb 2024 07:08:54 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.3.2 https://image.tokion.jp/wp-content/uploads/2020/06/cropped-logo-square-nb-32x32.png 田中彩子 Archives - TOKION https://tokion.jp/tag/田中彩子/ 32 32 〈ATAK〉設立20周年に魅せた珠玉のピアニズムを振り返る:連載「MASSIVE LIFE FLOW——渋谷慶一郎がいま考えていること」第10回 https://tokion.jp/2023/05/10/massive-life-flow-10/ Wed, 10 May 2023 06:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=183052 連載第10回では、昨年12月に開催された渋谷のピアノ・ソロ・コンサートを新津保建秀の撮影による写真と共に振り返っていく。

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領域を横断しながら変化し続け、新しい音を紡ぎ続ける稀代の音楽家、渋谷慶一郎。連載「MASSIVE LIFE FLOW」では、そんな渋谷に密着し、その思考の軌跡や、見据える「この先」を探っていく。

連載第10回では、昨年12月に東京・浜離宮朝日ホールで開催された渋谷のピアノ・ソロ・コンサート「Keiichiro Shibuya Playing Piano In The Raw」を新津保建秀の撮影による写真と共に振り返る。

渋谷慶一郎

渋谷慶一郎
東京藝術大学作曲科卒業、2002 年に音楽レーベル ATAK を設立。作品は先鋭的な電子音楽作品からピアノソロ 、オペラ、映画音楽 、サウンド・インスタレーションまで多岐にわたる。
2012 年、初音ミク主演・人間不在のボーカロイド・オペラ『THE END』を発表。同作品はパリ・シャトレ座公演を皮切りに世界中で巡回。様々なアーティストとのコラボレーションを重ね、パレ・ド・トーキョーやオペラ座などでも公演。2018 年にはAI を搭載した人型アンドロイドがオーケストラを指揮しながら歌うアンドロイド・オペラ®『Scary Beauty』を発表、日本、ヨーロッパ、UAE で公演を行う。2021 年8 月、東京・新国立劇場にて新作オペラ作品『Super Angels』を世界初演。2022 年3 月にはドバイ万博にてアンドロイドと仏教音楽・声明、オーケストラのコラボレーションによる新作アンドロイド・オペラ®『MIRROR』を発表。
また、今までに数多くの映画音楽を手掛け、2020 年9 月には草彅剛主演映画『ミッドナイトスワン』の音楽を担当。本作で第75 回毎日映画コンクール音楽賞、第30 回日本映画批評家大賞、映画音楽賞をダブル受賞。 8 月には「グッチ」のショートフィルム『KAGUYA BY GUCCI』の音楽を担当、アンドロイドと共演。
最近では大阪芸術大学にアンドロイドと音楽を科学するラボラトリー「Android and Music Science Laboratory (AMSL)」を設立、客員教授となる。また、更なるAI と音楽の研究のためにソニーCSL パリとの共同研究を発表。テクノロジー、生と死の境界領域を、作品を通して問いかけている。ATAK:http://atak.jp
Twitter:@keiichiroshibuy
Instagram:@keiichiroshibuy
Photography Ayaka Endo

豊穣なアンビエンスと独創的な映像と共に創り出す、珠玉のピアノ・ソロ・コンサート

ドバイ万博でのアンドロイド・オペラ®『MIRROR』の世界初演や石黒浩と共に主幹を務める「Android and Music Science Laboratory」の開所、「グッチ」のショートフィルム『KAGUYA BY GUCCI』の音楽制作など、渋谷が目を見張る活躍ぶりを見せた2022年。それは、渋谷の主宰レーベル〈ATAK〉の設立20周年という特別な年でもあり、その歩みを記念した2つのアクションが実施された。

まず、同年9月11日に渋谷は新作アルバム『ATAK026 Berlin』を突如リリース。同作は2008年にベルリンのテクノロジーアートの祭典「トランスメディアーレ」で行ったライヴ・パフォーマンスのために制作した楽曲を、現在の視点から再構築&マスタリングした電子音響/ノイズ作品だ。

続いて、12月5日に、コロナ禍を経て実に3年ぶりとなる有観客でのピアノ・ソロ・コンサート「Keiichiro Shibuya Playing Piano In The Raw」が開催となった。本稿では、同公演を新津保建秀の撮影による写真と共に振り返りながら、渋谷のピアニズムと現在地を紐解いていきたい。

特別な一夜の舞台に選ばれたのは、東京・築地の浜離宮朝日ホール。世界的に認められるその美しい響きを最大限に生かしたいという渋谷の意向により、本公演はPAを一切使用しないフルアコースティック体制での実施に。

ホールへと足を踏み入れてみれば、ステージでは渋谷が「最も好きな機種」と語る「ベーゼンドルファー(Bösendorfe)」のグランドピアノが、堂々たる姿で開演の刻を待っている。いよいよ開演時間になると、照明が暗転。会場全体が静寂と緊張感に包まれる中、ステージにあらわれた渋谷は、悠然とした所作でピアノの前に座り、ゆっくりとその指を鍵盤へと下ろしていく。

1曲目を飾ったのは、渋谷にとって初のピアノ・ソロ・アルバムである『for maria』(2009年)収録曲の「erosion」。繊細なタッチによる音の連なり、重なりから織りなされていく詩情が、珠玉のアンビエンスの中で増幅し、その曲名のごとく、オーディエンスを“侵食”していく。今ここでしか、「生(RAW)」でしか堪能し得ない至上の音楽体験がここに幕を開けた。

ホールのアンビエンスに加えて、この夜の体験をより特別なものにしていたのが、これまで渋谷と約10年間に渡り断続的にコラボレーションを行っているフランス人ヴィジュアル・アーティストのジュスティーヌ・エマール(Justine Emard)による映像だ。

渋谷の背後の9×10メートルにも及ぶ巨大スクリーンには、具象/抽象、無機/有機の境界を行き交いながら紡ぎあげられる独創的なイメージが映し出され、視覚面からも没入的な音楽体験をつくり出していた。

『for maria』からもう1曲「Blue Fish」を演奏後、次いで披露されたのは、『ATAK018 Soundtrack for Memories of Origin Hiroshi Sugimoto』(2012年)からの楽曲たち。多重録音やコンピュータのエディット・プロセッシングにより、ピアノの新たな響きの可能性を探求した同作の楽曲を、渋谷は今ここでしか生成し得ない響きを慈しむように、丁寧に1つひとつの音を紡いでいく。その1回性を宿した豊穣なサウンドは、音源とは逆のベクトルでピアノという楽器の可能性と魅力を私たちに伝えてくれる。

楽曲に新たな生命を宿した、ギタリスト・笹久保伸との初共演

続いて、そしてステージにはこの夜1人目のゲストとなる笹久保伸が登場。笹久保は、ペルーに渡り演奏・研究活動を行ってきた経験を持ち、国境を越えた評価を獲得している秩父在住のギタリスト/コンポーザーで、この夜が渋谷との初めての共演となる(そして渋谷がギタリストと2人編成のライヴを披露するのも初めてのことである)。

2人が最初に奏でたのは、『for maria』収録曲の「Open Your eyes」。笹久保のフォルクローレな響きを孕んだギターは、渋谷の演奏・楽曲に新たな表情と奥行きをもたらしており、事前の想像を凌駕する科学反応がそこに生まれていた。

続いて両者は、バレエダンサー・飯島望未が登場するMVやステファン・ポエトリーのヴォーカル参加も話題となった「BORDERLINE」、『ATAK018 Soundtrack for Memories of Origin Hiroshi Sugimoto』収録曲の「Appropriate Proportion」の2曲を共演。卓越した2人の音楽家によるスリリングな音楽的対話をもって第1部は幕を閉じた。

バッハ、シェーンベルクから引き継ぐ「伝統と革新」

休憩をはさみ、渋谷は自身以外の楽曲から第2部を開始。シェーンベルクの「Op19-1」、バッハの「Fuga」と「Largo」の3曲が演奏された。バロック後期に、中世からの伝統や様式を継承しながら対位法と和声法を両立し、西洋音楽の礎を築き上げた音楽の父、バッハ。そしてバッハの音楽について「その独創性たるやわれわれがその音楽を研究すればするほど驚嘆すべきものに思えてくる」と畏敬の念を示し(※)、20世紀前半に、西洋音楽を前進させるべく対位法的技法を極北まで押し拡げ12音技法を確立したシェーンベルク。

※『シェーンベルク音楽論選 様式と思想』(アーノルト・シェーンベルク著、上田昭訳、筑摩書房)収録の「音楽の様式と思想」より

各々のクリエイションやその関係性において「伝統と革新」という言葉を想起させるそんな両者の楽曲に続けて、渋谷は自身の楽曲からボーカロイド・初音ミクをフィーチャーした人間不在のオペラ『THE END』(初演:2012年)のために制作された「Aria for Time and Space」を奏でる。

『THE END』は、渋谷が初めてオペラという伝統的な芸術様式に挑み、その中にテクノロジーやポップカルチャーという「外部」を導入することにより、新たな表現の可能性を切り拓いた重要作。記念すべき夜において、その楽曲をバッハとシェーンベルクの後に奏でたことに、渋谷の現在地と哲学、「伝統と革新」への想いが象徴されているようにも感じられた。

世界的ソプラノ歌手・田中彩子と描く超越的な音世界

『ATAK024 Midnight Swan』から「BUS」、映画『ホリック xxxHOLiC』のテーマ曲「Holic」の弾き終えると、2人目のゲストとしてウィーンを拠点として活動するソプラノ歌手の田中彩子がステージに姿をあらわす。

2021年12月に行われたライヴ・パフォーマンス「Music of the Beginning -はじまりの音楽-」で初共演を果たして以来、2度目の共演となる2人が最初に披露したのは『for maria』収録曲の「BLUE」。渋谷の抒情的なピアノに続き歌い出した田中の歌声は、生命の煌めきが凝縮したかのような美しさと力強さを湛え、マイクを通さずともホールの隅々まで響き渡り、瞬時にオーディエンスを魅了し引き込んでいく。

続くのは渋谷初のアンドロイド・オペラ『Scary Beauty』(初演:2018年)のメインテーマ曲「Scary Beauty」と「グッチ」のショートフィルム『KAGUYA by GUCCI』(2022年)のために制作された「I come from the Moon」。共にオリジナル・バージョンではアンドロイドのオルタがヴォーカルを担当しており、前者ではミシェル・ウェルベックによる詩が、後者では竹取物語を下敷きとした詞世界が歌われることも相まって、非現実的・超現実的なムードに満ちた楽曲となっている。

そんな両曲を、田中は人間にしかなし得ない、しかし人間離れした圧巻のヴォーカルにより歌い上げ、オルタとは異なるあり方で、超越的な音世界をつくり出すことに、今ここを「ここではないどこか」へ変容させることに、成功していた。

『for maria』以降に拓かれた新たな地平、前に進み続けること

田中との共演を終えると、渋谷は『for maria』の標題曲「for maria」、ドラマ『SPEC』のテーマ曲「Spec」(2010年)、映画『ミッドナイトスワン』のテーマ曲「Midnight Swan」(2020年)の3曲を披露。アーティストとして、またレーベルオーナーとして、実験的・先鋭的な音響作品を主たるアウトプットとしていた渋谷が、「Spec」と「Midnight Swan」を含めて、より多くの人に伝わりその琴線に触れる楽曲を発表するようになったのは、『for maria』 以降のことである。

喪失や悼みを契機として生まれた音楽が新しい始まりへとつながっていったことに、その終わりから始まりへの循環が描く希望に改めて心を動かされる中で、第2部は幕引きとなった。

鳴りやまない拍手の中、渋谷がステージに戻り、アンコールが始まる。初音ミクをヴォーカルにフィーチャーし、哲学者・東浩紀を作詞に迎えた『THE END』期の重要曲「Initiation」(2012年)を弾き終えた渋谷は、この夜の正真正銘のラストソング——そして『for maria』のラスト曲でもある——「Our Music」へと移行。

渋谷とmariaの2人で設立した〈ATAK〉、その記念すべき夜を締め括る音楽としてこれ以上の楽曲はないだろう。曲の始まりから流れ出す、聴く者を捉えて離さない下降を軸とした8小節のメロディライン。前半4小節では長3度と短3度のインターバルが入り混じりながら下降していくその旋律は、後半4小節の頭で再び始まりの音に戻った後、今度は完全4度を軸として、再び繰り返し下降していく。

その差異と反復の中で、さまざまな出来事や感情にあふれた「私たちの日々」が、結晶化した「私たちの音楽」へと昇華されていくかのような感覚が去来する。渋谷とmariaが紡ぎあげた「私たちの音楽」は、そしてこの夜に奏でられたすべての音楽は、オーディエンス1人ひとりすべてにとっての「私たちの音楽」となり、今後も鳴り響き続けていくことだろう。

前回にも述べた通り、渋谷は前に進み続ける音楽家であり、その姿勢は自身の原点であるピアノに向き合う時にも一貫している。

音響への徹底したこだわりや、映像作家との共同により旧来的なピアノ・ソロ・コンサートの枠組みを超えるイマーシブな体験性をつくり出すこと。卓越した表現者たちとの共創により楽曲に新たな生命を宿すことや、オーケストラやエレクトロニクスを用いた楽曲を繊細なピアニズムにおいて再構築すること。

そこに通底しているのは、安易な回帰や過去の再現とは無縁の、前進のアティチュードである。それこそが、渋谷という音楽家を、〈ATAK〉というレーベルをかたちづくってきたものに他ならず、その歩みが今後も続いていくであろうことを、至上の音楽体験と共に確信させてくれる一夜であった。

■渋谷慶一郎ピアノ・ソロ・コンサート「Keiichiro Shibuya Playing Piano In The Raw」
開催日時:2022年12月5日
会場:浜離宮朝日ホール
出演:渋谷慶一郎(ピアノ)
ゲスト:田中彩子(ソプラノ)、笹久保伸(ギター)
映像:Justine Emard

セットリスト:
1st part
01. erosion
02. Blue Fish
03. Lightning Fields
04. Empty Garden
05. Life
06. Memories of Origin
07. Open Your eyes with Shin Sasakubo(Acoustic guitar)
08. BORDERLINE with Shin Sasakubo (Acoustic guitar)
09. Appropriate Proportion with Shin Sasakubo (Acoustic guitar)

2nd part
01. Schoenberg Op19-1
02. Bach Fuga
03. Bach Largo
04. Aria for Time and Space
05. Bus
06. Holic(Piano version)
07. Blue with Ayako Tanaka(Soprano)
08. Scary Beauty with Ayako Tanaka(Soprano)
09. I come from the Moon with Ayako Tanaka(Soprano)
10. for maria
11. Spec
12. Midnight Swan

Encore
13. Initiation
14. Our music



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世界的に活躍するソプラノ歌手・田中彩子、音楽家・渋谷慶一郎、サウンドアーティスト・evalaによるコラボレーションコンサートが開催 https://tokion.jp/2021/12/20/music-of-the-beginning/ Mon, 20 Dec 2021 11:00:44 +0000 https://tokion.jp/?p=85366 ウィーン在住のソプラノ歌手・田中彩子、音楽家・渋谷慶一郎、サウンドアーティスト・evalaが、ジャンルを超えて初のコラボレーションコンサートを実施する。

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来たる12 月26 日に、世界的に活躍するウィーン在住のソプラノ歌手・田中彩子と、音楽家・渋谷慶一郎のピアノとエレクトロニクス、そしてサウンドアーティスト・evala によるリアルタイムエフェクトやエレクトロニクスを合わせ、ジャンルを超えた初のコラボレーションコンサートが行われることが発表された。

「Music of the Beginning -はじまりの音楽-」と題された同コンサートの会場に選ばれたのは、建築家・石上純也の設計による神奈川工科大学 KAIT 広場。同会場でコンサートが実施されるのは初となるという。

なお、同コンサートは映像作品としての完成が目的とされており、来場者は「コンサートの鑑賞」と同時に「公開収録」に立ち会うこととなる。

今回のコラボレーションにあたり、渋谷は以下のコメントを寄せている。

「このプロジェクトはかれこれ10 年の付き合いになるクリエイティ ブ・ ディレクターのムラカミカイエから突然の連絡がきて始まった。 聞くと「田中彩子というウィーン在住のソプラノ歌手がクラシックの枠を超えて新しいことをやりたいと相談を受けているから協力してくれないか」というものだった。

この「クラシックの人が枠を超えて何か違うことを」という思いつきは多くの場合は失敗する。なので、何を誰とやるかを完全に任せてもらえるならという条件で引き受けることにした。もっと正確に言うと、資料でもらったリゲティのオペラのアリアの演奏が素晴らしかったこと、非常に高音で歌っても声に尋常ではない透明感と伸びがあって耳に痛くないどころか気持ち良かったこと、しかも美人であることを確認して引き受けることにした。

そして、最初の打ち合わせで彼女が『ジェイムス・ ブレイクのカバーをやりたいと思ってます』 と伏し目がちにまだ緊張の取れない機械のような声で呟いたことが プロジェクトの方向を決めた。つまり「クラシックをポップに」という前述した失敗が約束されたコースではなく、持っている技術や表現は最大限に発揮しつつサウンド・ プロダクションやアレンジ、アプローチは限りなく自由にするという方向でアイディアを出し合い曲目を決めていくことにした。

結果、『BLUE』や『Ida』といった最近ではあまり演奏しなくなった僕のピアノ初期の曲や彼女が歌ってみたいと言っていた『Scary Beauty』、リゲティやドビュッシーといった彼女のレパートリーは新たなアレンジで、JB だけではなくなんとAdele もカバーすることにした。 このやり方だと編成は最小限にして演奏の自由度をフルに上げた方 がいい。そこで、このオファーの少し前まで映画音楽の制作で久しぶりに協働して改めて相性の良さを確認したエバラ君に連絡をして『 声のリアルタイムプロセッシングとドローンノイズを溶かすような 役割で参加して欲しい』とお願いをした。つまりこのコンサートは曲という時間の枠組みはありつつも歌い、発した声の断片はループ/ 変型され空間に漂い、ピアノや電子音との境界の媒介になりつつ歌や音楽はさらに続いていくというものになる。

そしてこのコンサートは映像作品を最終的な完成形態とするため、 オーディエンスは公開収録、撮影に立ち会うことになる。 言わば、映画の撮影現場に立ち会ってもらうようなものなので、曲の途中で止めてやり直すこともあれば、もしかしたら同じ曲を2回 演奏することもあるかもしれない。 つまりベストなテイクを追求するのでイチかバチかの普通のコンサートよりも良い演奏や違った演奏を聴ける可能性もある。これは生のコンサートか配信かというもはやあまり意味のない二項対立に対する違った角度からのレスポンスだと思って欲しい。

会場となる石上純也さん設計の神奈川工科大学のKAIT 広場は地底の白い空間の湾曲した天井に59 個の長方形の開孔があり、そこから光と大気が差し込んでいる。その穴から地上に向かって芽のように音楽がすり抜けていき散布されればいいと思う。コンサートのタイトルは10 年前にWIRED に書いた『終わりの音楽』というテクストに対応させるように「Music of the Beginning -はじまりの音楽-』とした。音楽は終わらない。様々な終わりのバリエーションが世界を覆うこの最悪な季節に、やる方にとっても聴く方にとってもはじまりの気配になるようなことが出来たらと思う」(渋谷慶一郎 2021.12.20)

■「Music of the Beginning -はじまりの音楽-」
会期:12 月26 日
会場:神奈川工科大学 KAIT 広場
住所:神奈川県厚木市下荻野1030
時間:12:30 開場、13:30 開演 (公演時間 60 分予定) ※13:20 最終受付、途中入場不可
出演者:田中彩子、渋谷慶一郎、evala
入場料:¥5,000  ※定員に達し次第、販売終了予定

チケットの申し込みや来場に際する注意事項など詳細については、イベント公式ページより確認。
https://musicofthebeginning.peatix.com/

ソプラノ:田中彩子
18 歳単身ウィーンに留学。22 歳でスイス・ベルン州立歌劇場にて同劇場日本人初、且つ最年少でソリスト・デビューを飾る。その後ウィーン、パリ、ロンドン等世界中で活躍の場を広げている。UNESCO やオーストリア政府後援で開催されている国際青少年フェスティバルの審査員を始め、社会貢献活動をメインにした一般社団法人Japan Association for Music Education Program 代表理事。アルゼンチン最優秀初演賞受賞。アルバム『Esteban Benzecry』でイギリスBBC クラシック専門誌の5 つ星受賞。Newsweek 誌 「世界が尊敬する日本人100」 選出。ウィーン在住。

ピアノ、エレクトロニクス:渋谷慶一郎
音楽家。東京藝術大学作曲科卒業、2002 年に音楽レーベル ATAK を設立。作品は電子音楽作品からピアノソロ 、オペラ、映画音楽 、サウンド・インスタレーションまで多岐にわたる。 代表作は人間不在のボーカロイド・オペラ『THE END』(2012)、アンドロイド・オペラ®『Scary Beauty』(2018)など。2020 年に映画『ミッドナイトスワン』の音楽を担当、毎日映画コンクール音楽賞、日本映画批評家大賞映画音楽賞を受賞。2021 年8 月 東京・新国立劇場にてオペラ作品『Super Angels』を世界初演。人間とテクノロジー、生と死の境界領域を作品を通して問いかけている。
Photography Ronald Stoops

エレクトロニクス:evala
音楽家、サウンドアーティスト。新たな聴覚体験を創出するプロジェクト「See by Your Ears」主宰。立体音響システムを駆使し、独自の“空間的作曲”によって先鋭的な作品を国内外で発表。2020 年「インビジブル・シネマ(耳で視る映画)」をコンセプトにした『Sea, See, She ーまだ見ぬ君へ』を世界初上映し第24 回文化庁メディア芸術祭優秀賞を受賞。2021 年、空間音響アルバム『聴象発景 in Rittor Base ‒ HPL ver』がPrix ArsElectronica 栄誉賞を受賞。公開予定のインスタレーション作品に『-a』(東京 21_21 DESIGN SIGHT /2021 年12 月21 日~2022 年5 月8 日)
Photography Susumu kunisaki


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