アニメ・マンガ Archives - TOKION https://tokion.jp/tag/anime-manga/ Mon, 14 Nov 2022 11:25:47 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.3.2 https://image.tokion.jp/wp-content/uploads/2020/06/cropped-logo-square-nb-32x32.png アニメ・マンガ Archives - TOKION https://tokion.jp/tag/anime-manga/ 32 32 「アニメなら日本が第一」 人気イラストレーターのイリヤ・クブシノブが語る創作への想い https://tokion.jp/2021/11/08/kuvshinov-ilya/ Mon, 08 Nov 2021 06:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=72431 ロシア出身のイラストレーター・アニメーターのイリヤ・クブシノブの創作の原点を探りつつ、彼のイラストやアニメへの想いを聞く。

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ロシア出身のイラストレーター・アニメーターのイリヤ・クブシノブ。SNSに毎日イラストをアップし続けたことがきっかけで、SNSフォロワー数はInstagramが200万、Twitterが51万という人気ぶり。2016年には初画集『MOMENTARY』(パイ インターナショナル)を出版し、その後2019年公開の原恵一監督作品『バースデー・ワンダーランド』ではキャラクターデザインをはじめ、美術設定を担当。また、2020年にNetflixにて配信された『攻殻機動隊 SAC_2045』ではキャラクターデザインを担当するなど、イラストレーターだけではなく、アニメ業界にも活躍の場を広げている。

9月1〜26日には東京・原宿のAnicoremix Galleryで個展「CRYSTALLINE」を開催するなど、展示も積極的に行っている。今回、イリヤ・クブシノブに創作に興味を持つようになったきっかけから日本のアニメに関わるようになった原恵一監督との出会い、イラストに込めた想いまで、幅広く語ってもらった。先日の個展の様子とともに、そのインタビューをお届けする。

——現在イラストレーターやアニメのキャラクターデザインなどで活躍されていますが、ご自身の生い立ちや子供の頃のお話をお聞かせください。

イリヤ・クブシノブ(以下、イリヤ):幼い頃は本を読んだり絵を描いたりしていて自分の世界にずっと入っている子供だったので、母によく注意されたりしていましたね。その時は子供向けの童話を読むことが多かったですけど、家の書斎にあった小説やプログラミング、パソコンの本、恐竜・自然・動物の図鑑などもすべて興味深く読んでいました。

——新しいことを教えてくれる本というものが刺激的だったんですね。

イリヤ:子供だったので、読めないような難しい言葉と出会うと「何だろうこの言葉?」と調べたり、想像を巡らせたりしました。「風見鶏」という言葉を初めて読んだ時は、ずっとどういうものかを想像していたのですが、実際の意味を知ったときには「そういうことか!でも僕が想像していたものの方がずっとすごいぞ」なんて思ったりもしましたね(笑)。

——日本のアニメやマンガのカルチャーに興味を持ったのは同じ頃でしょうか?

イリヤ:ロシアでも日本のアニメがいろいろと放送されていたんです。よく覚えているのは人魚姫のアニメでしたね、ディズニー版の人魚姫と違って小説に寄せた作品で、とても感動したんです。大人向けの日本アニメも放送されていて、6歳の頃に押井守監督の『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』を見た時には非常に衝撃を受けましたし、日本のアニメ作品を好きになっていくきっかけになりました。当時は日本のアニメーション作品だとは気づきませんでしたが、キャラクターデザインや動き方などを含めて、すごくお気に入りでした。

故郷からモスクワに引っ越したあと、日本のアニメや漫画を紹介する雑誌やこういったカルチャーが大好きな人達が集まるクラブに参加するようになり、そこからどんどんと日本のポップカルチャーを学んでいきましたね。

——現在では日本のアニメが海外でヒットしているということが広く知られているとはいえ、今から20年ほど前にロシアで日本のアニメが放送されていたというのは、当時日本の多くの人は知らなかったことだと思います。

イリヤ:印象的な作品だと、アンデルセン童話のアニメ作品などが放送されてましたね。私が『美少女戦士セーラームーン』を初めて見たのは1997年だったと思うんですが、当時は主題歌にボーカルがなくて、伴奏しか流れなかったんです。だから歌詞を知ったのはホントに最近のことだったりします。

言葉よりも絵のほうが多くの人に伝えられる

——ちなみに、ロシアにもアニメ作品があるとは思うのですが、どういった作品が多いんでしょうか?

イリヤ:もちろんロシアのアニメ作品もありましたし、私も見ていました。一番有名な制作会社だと、ソ連時代にできたソユーズムリトフィルムだと思います。ジャンルを問わずにユニークな作品がいっぱいあって、ストップモーションの人形劇や手描きのアニメーションもありましたが、大人向けの作品はほとんどなく、子供向けの作品ばかりでしたね。ユーリイ・ノルシュテインが制作した『霧につつまれたハリネズミ』という作品は、切り絵を使ったアニメで子供向けのように見えるんですが、話が重いし怖かったのをよく覚えてます。私としては、ロシアのアニメ作品にはエンターテイメントな作品はほとんどなく、アートな作品が比較的多いと思っています。

——なるほど。その後、アートの道へと進んでいくことになるとのことですが、おいくつくらいの時でしょうか?

イリヤ:11歳の時からロシアの芸術学校に入学して、大学時代には建築を学ぶようになりましたね。芸術の道を目指そうと思ったのも、小説を書き始めたのがきっかけですね。でも小説を書いても誰にも読んでもらえなくて、それで絵を描いてみたらみんなに見てもらえて、すぐ反応してもらえたんです。「言葉にするより、絵のほうがみんなの心に届きやすいんだ」と幼いながらに学んで、7歳くらいには絵を描くようになったんです。

——ロシアの芸術学校ではどんなことを学ばれていたんですか。

イリヤ:芸術学校なのでデッサンを中心に描いていたんですけど、アニメっぽい絵を描いてみたところ、「そういう絵を描くのは学校を卒業してからにしてほしい」と先生に怒られたりしましたね(笑)。

原恵一監督との出会いが大きなきっかけに

——日本に来たのはいつ頃ですか?

イリヤ: 24歳の時に日本に来ました。大学の後2年ほどはロシアでゲーム作品やモーションコミックを制作する会社にいました。デザインはもちろん、絵コンテを担当したのもそこが初めてで、会社の先輩達に教わりながらでしたね。

——一念発起して日本へと旅立っていくきっかけになったのはなんだったんでしょうか?

イリヤ:自分が監督した作品を制作し終えた後、会社の方針でモーションコミック作品を止めてゲーム作品を再度作るようになったんです。絵コンテを描く楽しさをとても感じたし、ロシアにはないエンターテイメントな作品を作りたいという気持ちが強くなったので、日本へ行こうと決めたんです。当時は日本語も話せなかったんですが、ネットで知り合った日本在住のロシア人がいて、その人にアドバイスをもらって来日したんです。

——そうして2014年に来日してから7年ほどになりますが、日本に来てから一番驚いたことはなんでしょうか?

イリヤ:街がきれいで、ゴミがどこにも落ちてないということ。ロシアとは違って夜になって暗くなるまでが早いことや、自販機やコンビニの多さや便利さ、電車があまりにも多いことも、来日した最初の頃はいろんなことに驚きました。でも私にとって一番大きかったのは、中央線沿いにはアニメスタジオが集まっていて、その近辺に素晴らしいクリエイター達がいることを実感できたことです。ある日、中央線に乗っていた時に押井監督をお見かけして、感激しました。私にとって憧れのクリエイターが集まる場所、まさに日本のハリウッドですね。

——僕がイリヤさんのお名前を最初に知ったのは、原恵一さんが監督された『バースデー・ワンダーランド』(2019年4月公開)のキャラクターデザインからでした。それ以前にはアニメ作品でほとんど見かけたことがないお名前だったうえに、とても特徴的なデザインが印象的でした。同作への制作にはどのように関わっていったのでしょう?

イリヤ:日本に来てからはイラストレーターとしてInstagramなどにイラストを公開していて、それがきっかけで画集『MOMENTARY』(パイ インターナショナル)を出させていただくことができたんです。ちょうどそのタイミングで原さんが画集を見つけて「彼が良いんじゃない?」と推薦してくださり、作品制作に関わることになりました。最初はキャラクターデザインだけだったんですが、原さんに「建築やプロップなどを描ける人を知らない?」と聞かれたので、自分から名乗り出て、美術設定やメカ設定、それに作画監修の部分まで関わらせていただきました。

——初めて日本のアニメ制作に関わった現場で、そこまで活躍できるクリエイターさんはなかなかいらっしゃらないかと思います。

イリヤ:そうですね、本当に恵まれていると思います。私が美術やメカ設定をやるかわりに、原さんは、いろいろな打ち合わせ現場に私を付き添いとして置いてくれたんです。声優さんや音楽にまつわるところや、その他の打ち合わせなどにも同席させてくれて、日本のアニメ制作を熱心に教えてくれたんです。なんというか、私に対して、弟子のように接してくれていました。その中でアニメ制作がどういうものかを学んでいきました。

——その後、2020年4月に配信された『攻殻機動隊 SAC_2045』の制作にも参加されていますよね。ペースを考えると『バースデー・ワンダーランド』の制作からすぐこちらに加わったように思えるのですが、こちらはどのように参加されたんでしょうか?

イリヤ:実はこちらも原監督がきっかけです。「いま新しい攻殻機動隊の制作が始まっているみたいだから、連絡を取ってみたらどう?」と原さんに声を掛けられて、Production I.Gの社長である石川光久さん宛てに草薙素子のアートを提案させていただいたところからスタートしました。

イラストは見てくれた人が自由に感じてほしい

——現在でもpixivやInstagramなどでイラストを公開されていますが、イラストを描かれている時に注意していたり、こだわっているのはどういった点でしょうか?

イリヤ:私は女性を描くことが多いですけど、彼女自身にあるバックストーリーを作って描いています。ちょっとこれは絵を見せつつ説明してもいいですか?

——お願いします。

イリヤ:この絵のタイトルは『蜘蛛』です。蜘蛛は糸で巣を作って獲物を捕まえているというのをヒントにして、女性は目の力や瞳でいろんなものを魅了する、夢中にしていくということを描きました。でもこの絵に関して、「なんで周りに線がたくさんあるの? 意味ないんじゃないの?」とコメントが来たことがあって。確かに『蜘蛛』だけでは説明は足りないとは思いますが、実は私からはあまり説明をしたくはない、見てくれた人それぞれが、より大事な意味を見つけてくれたら、そちらのほうが私としては嬉しいからです。

——ありがとうございます。イリヤさんにとって、『イリヤ・クブシノブといえばこの1枚』といえるような代表的な1枚を挙げるなら、どのイラストになりますか?

イリヤ:少し悩みましたが、こちらのイラストですね。私らしい表現というより、私が伝えたいメッセージというものがこのイラストに一番現れているかなと思います。この絵を見て「なんだろう?」と感じてもらって、時間をかけて大事な意味を見つけていただければ嬉しいです。

——イリヤさんは今後どういった活動をしていきたいですか?

イリヤ:子供の時から本を読んで想像するのが一番好きでした。セリフや情景を思い浮かべて、どこから撮って、どうやって動いて…というように。これと通じるところだと思うのですが、絵コンテを描く仕事をやりたいですね。私にとって、それ以上に楽しい仕事は思いつかないです。

——自分が中心となって監督をするとしたら、どういう作品を作りたいでしょう?

イリヤ:最近では小説や本を読む方がグっと少なくなったと思うのですが、素晴らしい物語はたくさんあります。自分が好きな小説を映画やアニメーション化して、多くの人に伝えたいと思っています。例えば『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『ニューロマンサー』『ファイト・クラブ』など、もしもアニメ作品になったとしたら見たいと思いませんか? 私がもしも監督をするのなら、そういった作品をアニメ化してみたいです。

——もしかしたら20年後30年後には、ご自身が脚本・キャラクターデザイン・作画監修しての監督作品が見られる未来もありえそうですね。

イリヤ:まず小説を書いて、それがヒットしたら「私がアニメ作品を作ります!私が監督しますので!」と制作に入っていくという流れが一番理想ですね(笑)

——例えばアメリカやロシアなどから声がかかったら、 制作が海外に移るということもありえるのでしょうか?

イリヤ:仮にアメリカ発のIP(Intellectual Property:知的財産権のこと)コンテンツがあって、日本在住のままで制作できるのであれば、参加できるんじゃないかなと思います。日本で、素晴らしいクリエイター達と一緒に、日本らしいアニメーションを作っていく、それが私にとっての一番の幸せなんです。今は日本から離れようとは思わないですね。

イリヤ・クブシノブ
イラストレーター。1990年生まれ、ロシア出身。SNSで定期的に作品を発表して人気を集め、フォロワー数はInstagramが200万人、Twitterが51万人。2014年から日本を活動拠点とし、2016年には初画集『MOMENTARY』(パイ インターナショナル)を発売。2019年公開の原恵一監督作品『バースデー・ワンダーランド』ではキャラクターデザインをはじめ、美術設定を担当して多くの反響を呼んだ。また、Netflixで配信中の『攻殻機動隊 SAC_2045』ではキャラクターデザインを担当。現在、自身の夢であるアニメーション監督を目指しながら、イラスト・アニメ業界で活動中。
Twitter:@Kuvshinov_Ilya
Instagram:@kuvshinov_ilya

Photography Yohei Kichiraku

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アニメーションの演出から知る、新たな発見 「Aフレーム」とは何か? https://tokion.jp/2020/09/02/a-frame/ Wed, 02 Sep 2020 06:00:21 +0000 https://tokion.jp/?p=3546 今では世界中の幅広い世代から愛されているアニメーションも、作中の演出に目を向けてみると新たな発見がある。その1つである「Aフレーム」に着目したい。

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今や、子どもならず大人にとっても身近な存在となったアニメーション。その作中の演出に目を向けてみると、また新しい発見がある。例えば、こんな構図を見た覚えはないだろうか? 画面手前に配置した後ろ姿のキャラクターを腰から股下で切り取り、さらに画面奥に別のキャラクターが配置されたもの。海外では、2008年に著名なアートディレクターにしてデザイン評論家のスティーブン・ヘラーが、このフレーミングを「これまでに使用された中で最も頻繁にコピーされたトロープ」と主張。ローポジション&ローアングルで描かれる開いた足の形が、アルファベットの“A”に似ていることから「Aフレーム」と呼ばれている。

現在もよく見るAフレーム。その元ネタはあのスパイ映画

ちなみに、特撮オタクの間では通称「矢島アングル」とも呼ばれたりしている。『ウルトラマンタロウ』や『秘密戦隊ゴレンジャー』など、数多くの特撮作品を手掛けた矢島信男監督が得意としたことから、この名が付いたのだという。以降、さまざまな作品でこの構図は多用されるようになっていくのだが、現在に至るAフレームを利用したディレクションのネタ元とされるのが、映画『007/ユア・アイズ・オンリー』(1981)のビジュアルだ。

セクシーなハイレグ水着を着た女性の足の間には、颯爽と銃を構えたジェームズ・ボンド。シンプルながらもインパクト抜群で非常に目を引くと話題に。その結果、この構図を拝借した数々の作品が生まれては消えていった(実際探してみると膨大な数のサンプルが見つかる)。
さて、冒頭で触れたように、このアングルがアニメ本編中で採用される例は今でもよく見かけるが、ティザービジュアルや版権イラストなどの使用例は多くない。その理由として、この構図が関係性を象徴的に示すのに効果を発揮する一方で、キャラクターがコンパクト化されてしまうため見映えの問題が考えられる。そんな中で、成功している例もある。

大胆に遠近法を採用することで、各キャラクターの関係性を示すと同時に、どのようなシチュエーションなのか? と興味を呼び起こす秀逸なビジュアルとなっている。では、実際に作中で使用される場合はどうなのかと気になり調べてみた。
すると、ほんの一例だけでも有名作がたくさん。『シティーハンター』オープニング(1987)、『涼宮ハルヒの憂鬱』第25話(2006)、『ポケットモンスター ベストウィッシュ』第33話(2011)、『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』第2話(2015)などなど。書き出していけば枚挙にいとまがない。ただ最近の用例としては、女性キャラを手前に配置したセクシーなシチュエーションで使用される場合が多いということがわかった。これは元ネタとなった『007』での見せ方から考えるに、当然な流れなのかもしれない。ちなみにTVアニメで最古クラスの用例を探すと、日本で最初の本格的な1話30分の連続TVアニメにして、日本初の国産ロボットアニメに行き当たる。

国産TVアニメで最初に使い出したのは、“漫画の神様”!?

ご存じ、“漫画の神様”による名作『鉄腕アトム』屈指の名エピソードである「史上最大のロボット」からのワンシーン。ロボット、プルートウの足元に立つのは、主人公アトムの保護者的存在である、お茶の水博士。叫んでいる博士の顔の向きから、いかに巨大で強大な存在と対峙しているのかがうかがえる。ちなみに、このAフレームはアニメのみならず、原作漫画でも描かれている。

のちの日本漫画界に大きな足跡を残した手塚治虫。その影響もあってか、他の有名作家の作品にも、このアングルが使われている。

ご覧のように、海外のビッグネーム達の名作においても、緊迫感を表現するテクニックとして使われている。基本的に奥に主人公を配置し、手前に配置された強敵と対峙する構図となっており、主人公の表情もよく伝わってくる。手塚治虫から、石森章太郎(現・石ノ森章太郎)、そして鳥山明。これぞ脈々と受け継がれる漫画の伝統的作法と言えよう。

西部劇ブームが「Aフレーム」を普及させたとも……

さて一方、海外ではどうだろうか。アメリカは日本よりも先にコミック文化が発達しただけあって、1950年代にはAフレームが姿を現していたというが、ここでは『鉄腕アトム』と同時期の作品から。

どれも1960年代後半に発行された作品だが、これらを見るに、当時のアメコミ表紙に用いられたAフレームも、日本と同じく“立ち塞がる強力な敵キャラに手を焼くヒーローの図”といったニュアンスが主流だったようだ。先に挙げた現代の用例とは構図が異なる点に、時代の変化が感じられる。最後はさらなる源流を求め、『鉄腕アトム』よりも前の時代に発行された、パルプ小説(パルプ雑誌と呼ばれる、低質な紙を使用した、安価な大衆向け雑誌に掲載された、荒唐無稽でエンターテインメント性の高い小説)も見てみよう。

この図版からもわかるように、Aフレームといって思いつくのはやはりカウボーイの決闘のイメージではないだろうか。先に述べたアメコミの例もしかり、少なくとも後の1960年代にはこのフレーミングが定番化していったようだ。恐らくは当時、制作された膨大な数の西部劇映画やTVドラマにおいて、ダイナミックな遠近法でキャラクター間の関係性を浮き彫りにし、さらに緊迫感をもたらすテクニックとしてAフレームが採用され、それを観たアメコミのアーティスト、そして日本の有名漫画家たちも強烈にインスパイアされて、自分の作品に取り入れたのではないだろうか。そして、それらの影響は今日まで続いており、われわれはこのインパクトある構図を知らず知らずのうちに脳裏に焼き付けているというわけである。このように1つの演出から新たな発見を見出すことができるアニメーションとは、げにおもしろきものである。

※本稿は大匙屋氏による見解を、許可を得た上で引用し、加筆・再編集したものである。

Edit Tommy

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「エヴァンゲリオン」シリーズや「君の名は」から「ゴジラ」まで 「MANGA都市TOKYO ニッポンのマンガ・アニメ・ゲーム・特撮2020」レポート https://tokion.jp/2020/08/30/mangatokyo-2020/ Sun, 30 Aug 2020 06:00:39 +0000 https://tokion.jp/?p=3884 東京の変化や特徴を表現した日本の漫画やアニメ、ゲーム、特撮作品を中心に90タイトル、500点以上の資料を展示。

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六本木の国立新美術館で『MANGA都市TOKYO ニッポンのマンガ・アニメ・ゲーム・特撮2020』が11月3日まで開催中だ。同展は昨年、パリで開催し3万人以上を動員した展覧会『MANGA⇔TOKYO』の装いを新たにした凱旋展示である。

出品作は、東京の変化や特徴を表現した日本の漫画やアニメ、ゲーム、特撮作品を中心に90タイトル以上にものぼる。東京という都市を多角的に捉える試みで、原画やアニメ制作に関わる資料、映像やインスタレーションなど500点以上の展示物で埋め尽くされている。

構成はイントロダクションから始まりセクション1から3まで、オリジナルマスコットキャラクターのヨリコとヴィッピーの案内からスタートする。キャラクターデザインは、アニメ「リトルウィッチアカデミア」で監督を務めた吉成曜が手掛けた。その他のキャラクターの設定やデザインには森川嘉一郎、コヤマシゲト、草野剛らが参加している。イントロダクションの展示室内に入ると1/1000の縮尺で再現された、幅17メートル、長さ22 メートルの巨大な東京の都市模型が出現し、この模型を囲むように東京を舞台とする作品が展示されている。

セクション1「破壊と復興の反復」

日本の漫画やアニメ、特撮において、たびたび描かれてきた未曾有の天災や未知の生命体の襲来によって東京が壊滅的な打撃を受けるシチュエーション。実際に何度も壊されては復興を遂げてきた東京の歴史を裏付けるものだ。この“首都・東京の破壊と復興”を「ゴジラ」や「AKIRA」、「エヴァンゲリオン」シリーズなどの作品を通じて紹介している。

セクション2 「東京の日常」

「プレ東京としての江戸」「近代化の幕開けからポストモダン都市まで」「世紀末から現在まで」の3つのパートで構成されているセクション2。人々の日常生活を描写した作品を通じて、東京の歴史をたどる。江戸の町民文化からスタートし関東大震災、第二次世界大戦、戦後復興から高度経済成長期を経て、あらゆる文化が複雑に交錯する現在の東京までをテーマにした作品を、歴史に沿って展示している。新宿や渋谷、六本木など各時代の街並みを中心に鑑賞することで街の移り変わりが感じられる点も興味深い。

セクション3「キャラクター vs. 都市」

最後のセクションでは都市空間に召喚されたキャラクターにスポットを当てる。各キャラクターは商品の販売促進やPRキャンペーンのマスコット的な存在で、観光資源としても幅広く活用されている。「ラブライブ!」のJR山手線キャンペーンを電車ごと再現したインスタレーションや初音ミクとのコラボレーションで誕生したコンビニの様子を再現したインスタレーションなど大掛かりな展示空間に仕上がっている。『君の名は。』で描かれた四ツ谷界隈の街並みも紹介されている。

漫画やアニメの歴史から新たなフィクションに思いを馳せる

日本の漫画やアニメ、ゲーム、特撮は常に都市の特徴や変化を映し出してきた。同展は多数の作品の原画や都市模型などを通じてその歴史を振り返ることで、東京という都市そのものが、いかにフィクションの世界に影響を与え続けてきたかを知ることができる。一方で、フィクションによって生み出されたキャラクターが現実の都市に与えた影響や作用を知るきっかけにもなった。東京は日本のリアリティやフィクションの基盤を持つ特権的な都市でもある。皮肉にもコロナ禍においてまた1つ都市に歴史が刻まれるわけだが、こんな時代だからこそ、来る次代においての新しいフィクションを思い浮かべながら鑑賞してみてはいかがだろうか。

■「MANGA都市TOKYO ニッポンのマンガ・アニメ・ゲーム・特撮2020」
会期:8月12日~11月3日
会場:国立新美術館 企画展示室1E
住所:東京都港区六本木7-22-2
時間:10:00~18:00 ※入場は閉館の30分前まで ※当面、夜間は閉館 ※チケットは事前予約制
休日:毎週火曜(ただし9月22日、11月3日は開館。9月23日は閉館)

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