てれびのスキマ/戸部田誠, Author at TOKION - カッティングエッジなカルチャー&ファッション情報 https://tokion.jp/author/makoto-tobeta/ Mon, 19 Jun 2023 06:28:03 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.3.2 https://image.tokion.jp/wp-content/uploads/2020/06/cropped-logo-square-nb-32x32.png てれびのスキマ/戸部田誠, Author at TOKION - カッティングエッジなカルチャー&ファッション情報 https://tokion.jp/author/makoto-tobeta/ 32 32 ランジャタイ・伊藤幸司のお笑いルーツに迫る——インタビュー後編 「最高の最下位」よりも「最高のチャンピオン」 https://tokion.jp/2023/06/19/interview-ranjyatai-koji-ito-part2/ Mon, 19 Jun 2023 06:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=191087 初の著書『激ヤバ』を出版したランジャタイの伊藤幸司インタビュー。後編はSMA時代からフリー、そして現在に至るまでを語ってもらった。

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ランジャタイの伊藤幸司

伊藤幸司(いとう・こうじ)
1985年生まれ。鳥取県岩美郡出身。東京・NSC時代の同期、国崎和也とお笑いコンビ「ランジャタイ」を結成。ツッコミを担当している。 「M-1グランプリ2021」決勝出場。『激ヤバ』が初めての著書となる。
Twitter:@ranjyatai11
Instagram:@ranjyatai11
YouTube:@user-xj3kn9yc5b

初の著書『激ヤバ』(KADOKAWA)を出版したランジャタイの伊藤幸司。同書はウェブメディア「JASON RODMAN(現Project2)」での連載コラムに加え、表題作「激ヤバ」や「M-1 グランプリ 2021″アナザーストーリー〟」「さよなら M -1 グランプリ」など9篇の書き下ろし作品を加えた計24篇のエッセイを一冊にまとめたもの。

今回、伊藤に少年時代から今に至るまでを振り返ってもらい、そのルーツに迫る。後編はSMA時代からフリー、そして現在に至るまでを語ってもらった。

フリー時代は売れる自信しかなかった

——ランジャタイを結成して、まずSMAに入られました。子役オーディションに行かされたみたいなエピソードは話をされてますけど、逆に嬉しかったとか楽しかった思い出はありますか?

伊藤幸司(以下、伊藤):すごい自由だったんで楽しかったです。先輩芸人の桐野(安生)さんとかおもしろかったですね。(キャリアに応じて)NEETとHEETに分かれてるんですけど、桐野さんも若手のHEETの方にいたんですよ、年齢的におかしいんですけど(笑)。なんか桐野さんを見るのが楽しみでした。あと、バイきんぐの小峠さんに褒められたり、アルコ&ピースが「ランジャタイがおもしろい」って言ったらしいみたいな噂が広まったりしたのは嬉しかったですね。

——小峠さんにはどういう風に褒められたんですか?

伊藤:SMAのホープ大賞っていうNEETとHEETが集まって一番おもしろい人を決めるっていうライヴで見てくれたんです。その時、小峠さんの隣に桐野さんがいたらしいんですけど、僕等のネタを見て小峠さんが震えだしたって。それで終わった後、小峠さんが僕等を探して「オーイッ!」って叫びながら駆け寄ってきて。まだバイきんぐさんも『キングオブコント』でチャンピオンになる前で誰かもわからないし、スゴい勢いで来たんで怖かったですね(笑)。それで「お前らおもしろかった!」みたいに言われて印象に残ってます。

——SMAを辞めてフリーになって、ご自宅で自作自演のライヴ(自分達が客となり、自分達がビデオで録ったネタを見て、アンケートも自分達で書いていた)をやり始めます。それはどんな経緯で始めたんですか?

伊藤:自然とですね。ライヴには一切出なかったんで、でもネタは作らなきゃっていうことで、とりあえずビデオで録って。それを自分達で見ようという感じになって、どうせだったらちゃんと見たいじゃないですか。適当に見るよりは。だからそういう形式を作り上げましたね。

——ここでなにかプラスはありましたか?

伊藤:めっちゃあったと思います。自分達を客観的に見て、こうしたほうがおもしろいみたいなことを学びましたね。

——他のライヴにはなぜ出なかったんですか?

伊藤:チケットのノルマが高いんですよ。バイトもそんなにしたくない2人なんで、ギリギリ生活できるくらいまでのバイトしかしなかったんでお金がない。お金払って出ても、お客さんが2~3人だったりするし、誰も笑わないし、お金が減るもの嫌だなって。

——とはいえライヴに出ないと売れる足がかりがないと思うんですが。

伊藤:そうですね。でもいつかなんとかなると思ってましたね。まあなんにもしてなかった期間にもっとなんかしてたらもうちょっと早く世に出れたのかもしれないですけど(笑)。『M-1』決勝行くのに14年近くかかりましたからね。

——ちなみにその頃どんなバイトをされていたんですか?

伊藤:カラオケ屋、パン屋、マンガ喫茶……一通りやった気がしますね。全然続かないから。でも、「サーティワンアイスクリーム」は続きましたね。アイス好きなんで。パン屋も持って帰れるんで毎回パンパンに袋に入れて持って帰ってましたね。

「最高のチャンピオン」を目指して

——解散を考えたことは?

伊藤:解散はないですね。たぶん今後もないと思います。

——しばらく売れない期間がありましたが、芸人をやめようと思ったこともなかった?

伊藤:なんとなく、なんとかなるって思ってましたね。いつか売れると信じてました。『浅草キッド』じゃないですけど(笑)。

こっから先、どうなるのかっていうのはありますけど。人生長いですからね。AIが暴れだすと思うんですよ(笑)。AIにお笑いで勝てなくなった時、楽しみですね。人間がそっからどうするのかって。そういう時に出てくるじゃないですか、バケモノみたいな人間側の救世主が。

——やっぱり『M-1』をきっかけに売れたいという考えだったんですか?

伊藤:そうですね。もうちょっと早めに決勝に行きたかったですね。20代とかで行けたらどうなってたんだろうとは思います。若くして売れたらスゴそうじゃないですか。スターというかウェーイ!みたいになりそうじゃないですか(笑)。その感じも味わってみたかったですね。

——イメージ的にはランジャタイはインパクト重視なのかなと思いきや、先日の『THE SECOND』の結果でも伊藤さんは大きなショックを受けているツイートをされていたのが印象的でした。

伊藤:やっぱり僕は結果を出したいですね。チャンピオンになって1回どんな気持ちになるのかを知りたい。『ドラゴンボール』とか『幽★遊★白書』『刃牙』とかトーナメントもののマンガを読んでたんでその影響もあるかもしれないです。『M-1』も「最高の最下位」って言ってもらえて、それは良かったと思いますけど、やっぱり「最高のチャンピオン」のほうがいいですからね。

「小説も書いてみたい」

——芸人になって性格が変わった部分はありますか?

伊藤:性格はどうでしょう? これでも明るくなったとは思いますよ、格段に。基本、根っこは変わらないですけどね。

——やはり国崎さんが社交的でどんどん芸人仲間をつないでいく感じですか?

伊藤:めちゃくちゃ社交的ですね。友達が無限に増えているんじゃないですか。今、この時も(笑)。僕はそんなに芸人仲間と飲みに行ったりもしないですしね。みんなで騒ぐのが楽しみで仕方ないみたいな性格に憧れます。

——そういう場に呼ばれることは?

伊藤:あんまりないです。呼ばれたら行ってた時期もありましたけど、結局喋らないから、みんなのためにも、あんまりよくないなって思いました。最近は人見知りとかでもない気がしてきました。みんなどれくらい友達がいるんだろうって思いますけどね。LINEとか気軽に送れなくないですか?

——僕はそうですけど(笑)。

伊藤:ポンポン送りまくっている人もいるわけでしょ? そういう人格を1回経験してみたいですね。

——ちなみに国崎さんのエッセイ『へんなの』を読まれましたか?

伊藤:いや、読んでないです(笑)。

——逆に国崎さんに『激ヤバ』は読んでほしいですか?

伊藤:全然思わないです(笑)。

——書籍出版の話が来た時はどう思いましたか?

伊藤:嬉しかったですね。本を出すなんてとんでもないことですからね。信じられないくらいの。

——中島らもさんや大槻ケンヂさんの本が好きと書かれていますけど、どんな部分が好きなんですか?

伊藤:らもさんはアル中とかの部分も含めて全部書いちゃうのがスゴいですよね。晩年は自分で書けなくなっても口伝えで書いてましたもんね。喋ったことがそのまま文章になるって憧れます。オーケンさんが、らもさんの文章を書き起こすことから始めたっていうのを知って、らもさんの本を読みだしたんです。オーケンさんの『グミ・チョコレート・パイン』とか『くるぐる使い』とかも大好きですね。

——その大槻ケンヂさんが帯で「小説を書いてほしい」と書かれていましたね。

伊藤:小説もぜひ書いてみたいですね。

「未知の世界を歩いていきたい」

——芸人になって一番嬉しかったことは?

伊藤:『M-1』決勝進出が決まった時はすごい嬉しかったです。一瞬クラっときましたから。あとはやっぱ憧れてた人に会えたこと。ナインティナインさん、爆笑問題さん、ダウンタウンさん…と。

——『M-1』はもちろんですけど、「山-1」や「D-1」などで「発想がかぶる」とおっしゃっていた松本人志さんの前でネタをやるというのはどういう感覚だったんですか?

伊藤:子どもの頃、夢の中でダウンタウンに育てられていた時期があったんですよ。この話をするとみなさん引くんですけど(笑)。布団の中に入って寝ると、お父さんが浜ちゃんで、お母さんが松っちゃん。で、後で気づくんですけど、浜田さんが実は血がつながっている本当のお父さんだったっていう夢の中の設定がありましたね。松っちゃんも実の子供のように可愛がってくれる。それで夢の中でデビューするってなったんですよ。その時に2人が「俺等は力貸さへん。自分の力でやれ」みたいなことを言うんです。だけど蓋開けたら浜ちゃんが『ジャンクSPORTS』とかにピンで呼んでくれたり、えこひいきしてくれる……。ずっと言ってることおかしいですけど(笑)。これを『ガキの使い』のオーディションで言うと、それは絶対にダウンタウンの前で言わないでくださいって言われました。毎年「山-1」のオーディションに行ってたんですけど、スタッフさんからは「まだ言ってるんですか?」って言われてましたね(笑)。

——実際に本人達にはまだ言ってないんですか?

伊藤:もちろん言ってないです。

——ぜひ言ってほしい(笑)。

伊藤:ドン引きでしょうね(笑)。

——その松本さんが自分達のネタで笑っている状況をどう感じましたか。

伊藤:いや、本当に嬉しいどころじゃなく信じられないというか。やっぱり僕にとっては永遠に「松っちゃん」「浜ちゃん」ですからね。「松っちゃん、浜ちゃんが笑ってる!」ってなります。

——今は冠番組の『ランジャタイのがんばれ地上波』をやられていますが、やってみていかがですか。

伊藤:やりたいことをやらせてもらって楽しいです。あと、こんなに“地下”の友達とかを呼べるんだって(笑)。逆に今まで先に売れた人達はこれをやってくれなかったのかなとも思いましたけど、それは今だからできるというのもあるのかもしれないですね。ちょうど呼びやすい時代にかち合ったという。

一時期、テレビはガチガチにメンバー固定ってイメージがありましたもんね。今は逆にパッキンがバカになってガバガバで入り放題みたいな(笑)。テレビはなかなか扉が開かないからスゴかったのかもしれないから、良いことなのか悪いことなのかはよくわからないですけど。

——よく芸人さんはめちゃくちゃ忙しいか、仕事がないかだと言われますが、今の状況は伊藤さん的にはいかがですか。

伊藤:楽しいですね。こっからどうなっていくんだろうっていうのはありますけど。

——どうなりたいですか?

伊藤:それはダウンタウンみたいになりたいですけどね、もちろん。でも今は「天下を獲る」みたいなことはないですもんね。だからまだ誰も通ったことのないような未知の世界を歩いていきたいです。

Photography Mikako Kozai(L MANAGEMENT)

『激ヤバ』 著者:伊藤幸司

■『激ヤバ』
著者:伊藤幸司
定価:¥1,760
発売日:2023年5月12日
判型:四六判 
ページ数:240ページ
発行:KADOKAWA
https://www.kadokawa.co.jp/product/322203001379/

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ランジャタイ・伊藤幸司のお笑いルーツに迫る——インタビュー前編 「ウケてない時のほうがむしろ楽しい」 https://tokion.jp/2023/06/16/interview-ranjyatai-koji-ito-part1/ Fri, 16 Jun 2023 06:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=191078 初の著書『激ヤバ』を出版したランジャタイの伊藤幸司インタビュー。前編は少年時代の記憶からNSC退学までを語ってもらった。

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ランジャタイ・伊藤幸司

伊藤幸司(いとう・こうじ)
1985年生まれ。鳥取県岩美郡出身。東京・NSC時代の同期、国崎和也とお笑いコンビ「ランジャタイ」を結成。ツッコミを担当している。 「M-1グランプリ2021」決勝出場。『激ヤバ』が初めての著書となる。
Twitter:@ranjyatai11
Instagram:@ranjyatai11
YouTube:@user-xj3kn9yc5b

ランジャタイの伊藤幸司による初の著書『激ヤバ』(KADOKAWA)が出版された。同書はウェブメディア「JASON RODMAN(現Project2)」での連載コラムに加え、表題作「激ヤバ」や「M-1 グランプリ 2021″アナザーストーリー〟」「さよなら M -1 グランプリ」など9篇の書き下ろし作品を加えた計24篇のエッセイを一冊にまとめたもの。

初めて明かす、最後の「M-1」や母、相方・国崎のこと。幼少期から現在までの伊藤の謎に包まれた半生を書き綴った、自伝的エッセイとなっている。

今回、伊藤に少年時代から今に至るまでを振り返ってもらい、そのルーツに迫る。前編は少年時代の記憶からNSC退学までを語ってもらった。

おとなしかった子ども時代

——伊藤さんは鳥取のご出身ですが、育った町はどんなところでしたか?

伊藤幸司(以下、伊藤):何回か引っ越してはいるんですけど、一時期住んでいた境港は水木(しげる)先生の息吹が感じられて良かったですね。それで水木先生も大好きになりましたし。幼い頃に見たNHKの水木先生のドキュメンタリー番組で、生活の中で次々と妖怪が現れていく感じを見て印象に残ってます。不思議な世界が周りにあるんじゃないかと思った気がします。

——幼い頃はどんな子どもでしたか?

伊藤:伏し目がちの本当におとなしい子でしたね。なるべく誰とも目を合わせない感じ。よくこうやって(手の甲を向けてだらーんと下げる)歩いてたんで「おばけ」って言われてました。僕も妖怪だったのかもしれません(笑)。

——お父さまは警察官だったそうですが、どんな方でしたか?

伊藤:仕事、仕事の人でした。深夜とかでも電話がかかってくるんで、ずっとピリついてました。マル暴でなんか同僚の間では「マムシ」って言われてたらしいです、確か。僕に対してもすごく厳しかったですね。

——怒られた記憶はありますか?

伊藤:よく怒られていました。パンツ履くのが遅いとかで(笑)。幼少期は、よくパンツ履かないままでいたんですよ。それでこうやって履くんだって、脱いで履いてを何回も見せてくれました。僕は寝転んだままずっと履かないんで、お父さんはそこから始めて、脱いで、寝転んで、立ち上がって、履いてを何回も。何をやってるんだろうって思って見てましたね(笑)。

——お母さんはどんな方でしたか?

伊藤:逆に優しい感じの穏やかな人でしたね。専業主婦です。

——妹さんもいらっしゃるんですよね?

伊藤:4歳下で仲良かったですよ。妹はマンガ家を目指してました。すごく漫☆画太郎先生に影響を受けてて。1回、妹が描いたマンガを見せてもらったら、画太郎先生みたいな絵柄のおばあちゃんが若者とセックスして、その時の“イく”パワーがすごすぎて地球ごと爆発するっていう(笑)。

未来にしか希望を抱いていなかった少年時代

——少年時代はいじめられっ子だったと書かれていますが、いじめられるきっかけのようなものはあったんですか?

伊藤:いや、きっかけは無限にあったと思います。背が低くて太ってて80キロくらいありましたし、お風呂もあまり入っていませんでしたから。悪口とか言われたり、いろいろされましたけど、記憶にふたをしている部分もありますね。その辺は鍵をかけまくっています。

——いじめられている時ってどんなことを考えて耐えていたんですか?

伊藤:未来への希望ですかね。未来にいいことが起こるための前借りだと思っていました。その分が未来にいいことになって返ってくると。

——先ほど、太っていたとおっしゃっていましたが、今のように痩せたのはいつ頃ですか?

伊藤:高校の最後の方の時期から上京するまでの間にめっちゃ痩せましたね。太ったキャラでお笑いをやりたくないと思ったんです。食事を減らして走ったり。すぐ裏に山があったんで、山にこもって、山を駆けずり回ったり、絶壁を登ったりしてました。楽しかったですね。

——運動はできたほうなんですか?

伊藤:いや、できないです。チームプレーとか特にできなかったですね。

——部活とかには入ってましたか?

伊藤:中学は水泳部でした。水泳は得意でもないですけど、普通に泳げたくらいですね。

——中学でもいじめられっ子的な状況に変化はありましたか?

伊藤:水泳部の先輩に守ってもらってましたね。うちの水泳部は学校で一番ヤンキーが集まっていた部だったんですよ。それで廊下とかで会うととんでもないヤンキーが僕に話しかけてくれるから、それでなんとなくいい感じになりましたね。

——ヤンキーが集まるところだと、イジメの標的にされちゃいそうですけど。

伊藤:新入部員歓迎会みたいなのがあるじゃないですか。その時にプールサイドに並ばされておもしろいことをやれって言われて、スベるとプールに蹴り落とされる(笑)。で、やっぱりみんなスベるんですよ。それで僕の番が回ってきて、どうしようかずっと考えて、一か八かで水着姿だったんで『ガキの使い』の遠藤(章造)さんの「ホホホイ」を全力でやったらスゴいウケたんですよ。チビデブが全力でやったらそりゃあおもしろいですよね(笑)。

『ナインティナインのオールナイトニッポン』の影響

——そもそもお笑いを好きになったきっかけは何だったんですか?

伊藤:最初は『ナインティナインのオールナイトニッポン』ですね。そこから『めちゃイケ』を見て。『極楽とんぼの吠え魂』とかを聴いて。『ごっつええ感じ』『ガキの使い』『ウリナリ』とか見て。とんねるずも見て……って感じですね。ナイナイさんのラジオを聴いて、お笑いの世界に行きたいって思いましたね。

ナイナイさんってテレビとラジオでは全然違うじゃないですか。特にその頃は今じゃ信じられないくらい名指しで悪口とかめっちゃ言ってましたから(笑)。こんなギャップあるんだって思いましたね。そこから『爆笑問題カーボーイ』とか『くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン』とかいろいろなラジオを聴くようになっていきました。

——松本人志さんを好きになったのはどういうタイミングですか?

伊藤:やっぱり『ごっつ』じゃないですかね。衝撃というか。『VISUALBUM(ビジュアルバム)』とかあらゆるものを見ましたね。もちろん『遺書』も読みました。お笑い好きは全員『遺書』に影響を受けてますから。「俺は松本人志だ」と思いますよね、全員(笑)。暗いやつのほうがおもしろいとか書いてあるから、全部投影しちゃう。そっから、明るいとおもしろくないですねって周りを下に見ちゃってました。そんなことはないですけどね。よく考えたら松っちゃんも明るいですから(笑)。

——高校時代はどんな感じでしたか?

伊藤:高校時代は学校がすごく嫌いで引きこもりがちだったんですけど、もうその時はお笑いに向けてのことしか考えてなかったですね。もう絶対芸人になるんだって、早く行きたいと思ってました。

——けれど高校卒業後はいったん大学に進学されてますね。

伊藤:芸人になる前になんかワンクッション置きたかったんじゃないですかね。親からも大学に行くのが条件っていうのもあったかもしれないです。一応大学に行ってヌルっとお笑いの世界に行こうとしてましたね。親には最初芸人になるのをめっちゃ反対されました。できるわけない的な感じで。まあでも誰でも思いますよね。普段なんにも喋んないんだから(笑)。

——ご自身は成功する自信はあったんですか?

伊藤:自信しかなかったですね。もう絶対に売れて、松っちゃんみたいになるって。一言言って笑いをとって帰るみたいな。すべてを支配する感じに憧れましたね。

——実際にNSCに入ってみて、同期には渡辺直美さんやジャングルポケットの斉藤さんらがいましたが記憶に残っている人はいましたか?

伊藤:すぐ辞めちゃったんでほとんど見てないんですよね。でもかみちぃ(ジェラードン)とか印象に残ってますね。1人で誰かに電話してずっとボケるみたいな1人コントをやってて、めっちゃおもしろかったですね。

——以前国崎さんにインタビューした際、伊藤さんはNSC時代ネタ見せの時、他の人のネタでは笑いをこらえて絶対に笑わなかったとおっしゃってました。

伊藤:そうですね、耐えて震えてました(笑)。やっぱ当時は笑ったら負けだと思って一切笑わなかったです。

——ご自身がネタ見せに出られることは?

伊藤:いや、ほぼほぼ出てないと思います。出ずにずっと様子をうかがってたんじゃないですかね。それでそのまま出る前に退学になりました。

相方・国崎和也の印象

——伊藤さんが3ヵ月ほどで退学になって、国崎さんはそれからしばらくして自主退学されたそうですが、その間もお会いされたりはしていたんですか?

伊藤:はい、ちょくちょく会って普通に遊んでましたね。

——コンビ結成はどちらが言い出したんですか?

伊藤:たぶん僕だと思います。とりあえずやってみようみたいな感じで。2人ともボケをやりたかったから、最初は交互にやってみようって。でも、最初のターンが国崎くんで、それを見た時にハッとなって、もうこれでいいかなと思って、国崎くんがボケになりましたね。

——やっぱり国崎さんのボケに光るものを感じた?

伊藤:やっぱ最初から圧倒的に違ってましたね。なんかすごくなるんだろうなっていうのは見えました。

——ネタ作りは国崎さんがボケを考えてきて、それに対するツッコミを伊藤さんご自身で考えるという形ですね。

伊藤:そうですね。見た目通りというか見たまんまです(笑)。

——国崎さんがしつこく繰り返すのが特徴だと思いますが、基本止めないですね。

伊藤:しつこいですね、確かに(笑)。止めないのはどこまで行けるんだろうっていうのがあるかもしれないですね。見ていたい、というか。

——お客さんの反応は気になりますか?

伊藤:賞レース以外はあんまり気にならない。ウケてない時のほうがむしろ楽しいですね。昔、1個もウケなかったんで、別になんとも思わない。懐かしいというか(笑)。誰も知らないところに出て行ってスベる感覚は好きですね。

——国崎さんは伊藤さんのことを「友達」と表現されていますが、伊藤さんは?

伊藤:友達だと思いますよ。同じ感じじゃないですかね。友達のまんま関係性は変わってない。

——ずっと自由な国崎さんにもう勘弁してと思うことは?

伊藤:あー、常に思っているような思っていないような感じですね(笑)。「勘弁してくれ」と「もっとやってくれ」がいつも同居してます。

Photography Mikako Kozai(L MANAGEMENT)

後編へ続く

■『激ヤバ』 著者:伊藤幸司

■『激ヤバ』
著者:伊藤幸司
定価:¥1,760
発売日:2023年5月12日
判型:四六判 
ページ数:240ページ
発行:KADOKAWA
https://www.kadokawa.co.jp/product/322203001379/

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ランジャタイ・国崎和也のお笑いルーツに迫る——インタビュー後編 漫☆画太郎からの影響「頼むから金返してくれ」 https://tokion.jp/2023/03/31/ranjyatai-kazuya-kunizaki-part2/ Fri, 31 Mar 2023 06:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=177425 ランジャタイ・国崎和也へのインタビュー。後編ではバイト時代の「魔の部屋」や『お笑いの日』のダイアン津田とのコラボ、漫☆画太郎の影響、これからの芸人人生について。

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国崎和也(くにざき・かずや) 
1987年富山県生まれ。2006年に伊藤幸司とお笑いコンビ、ランジャタイを結成。2021年『M-1グランプリ』決勝出場。趣味は漫画。特技はバスケットボール危険物取扱者乙種第4類免許を所持。
Twitter:@ranjyatai_staff
Instagram:@ranjyatai_staff
YouTube:@user-xj3kn9yc5b
https://grapecom.jp/talent_writer/ranjyatai/

お笑いコンビ・ランジャタイの国崎和也による初のエッセイ集『へんなの』が出版された。同作は「QJ web」での連載と「ふっとう茶☆そそぐ子ちゃんnote」の記事の中からセレクト・再編集し、新たに書き下ろしを加えた一冊で、少年時代のへんな思い出から、売れてなくても楽しかったへんな地下芸人時代、そして2021年の『M-1グランプリ』の決勝など近年のへんな日常まで──国崎和也の「へんな原風景」が書かれている。

現在のランジャタイのネタにもつながる国崎の「へんな原風景」とはどんなものだったのか、話を聞いた。後編ではバイト時代の「魔の部屋」や『お笑いの日』のダイアン津田とのコラボ、漫☆画太郎の影響、これからの芸人人生について語ってもらった。

自分を一番笑わせたい

——『へんなの』の中で、9年間続けたというガソリンスタンドのバイトの話がとりわけ印象的でした。

本当に何もなかったのだ。誰もいない時間がありすぎて、電柱に話しかけていた。ただ、電柱と話すのも楽じゃない。電柱にもいろんなタイプの電柱がいて、何言ってるんだと思われるかもしれないけど、なかなか笑わない電柱もいた。そんなときは笑うまで変な顔をしたり、オナラをこくさまを電柱めがけてしたりしていた。
電柱だけに飽き足らず、スタンド内のカラーコーンにも話しかけた。カラーコーンの告白を手伝ったこともある。(略)
また、カラスともよく絡んだ。 カラスが電線に止まるたびに、「ヤッター!!」 「スッゲー!!!」と喜ぶ。その名も“カラスが飛んできたら、とにかく嬉しい男”。こんなのを、何を思ったか9年していた。9年間だ……。今考えると、まったくの時間の無駄だった。

『へんなの』「9年間のできごと」より

読んでいて「魔の部屋」で過ごした時間が今の芸風につながっているのかなと感じました。

国崎和也(以下、国崎):すごくつながっていますね。長机をもう少し広げたくらいの小さな部屋でずっと椅子に座ってお客さんが来たらボタンを押すって仕事なんですけど、誰もお客さんが来ないから無人島にいる感覚と近かった。自分に話しかけたりして、どんどんおかしくなって(笑)。自分でやっているのを動画で撮ったりもしてました。前の前の携帯電話にめっちゃ保存してあったんですよね。

——その動画を見直してネタを作っていくんですか?

国崎:そうです。それで手の動きとかの所作は全部その動画で学んだと思います。こうしたほうが伝わるなって。

——ネタ作りは、そうやって自分でやってみながら作るという感じなんですか?

国崎:そうですね。台本は全然書けなくて、全部わーってやるのを撮って。あとその時に思いついたのを(舞台)袖で相方に「これやるから」って言って出ることも多いかも。相方は結構パニックになりますけど(笑)。

——伊藤さんの反応の仕方とかは指示されるんですか?

国崎:いや、お任せで。ここだけはこれを言ってくれくらいはありますけど、それくらいですね。

——しつこく繰り返すっていうのも特徴だと思いますが、それもこのバイトの経験からですか?

国崎:それはなんですかね。なんかずっとスベってたんですよ、漫才(笑)。スベって、それでもやり続けるのが楽しくなってきちゃったんですよね。お客さんが5分くらい、ひとウケもしていなくて、もう1回同じことをやる(笑)。

——ウケていない時はどういう気持ちなんですか?

国崎:ウケている時もウケてない時もあんまり変わらないかもしれないです。見てくれるだけでありがたい。なんか動いちゃってるから見えてなかったりするんですよね。めちゃくちゃスベっている時はわかりますけど。自分の足音しか聞こえないこともありますから(笑)。でも、無観客でやってた時が一番楽しかったですね。無料ライブでお客さんゼロとかってたまにあるんですよ。コンビはまだ楽しいんですけど、ピンの人が可哀想すぎて(笑)。誰もいない席にめがけてジョークを飛ばしてブリッジとかをやってる。それが見ててめちゃくちゃ面白い。

——中止にはならないんですね(笑)。

国崎:もうやっちゃおうってなるんですよね。けど、ひどかったです。雨宿りのおじいちゃんとかしか来なかったり、競馬中継聞いてるおっちゃんしかいなかったり。でもそのおっちゃんが1票を持ってるから、みんな勝ちたくて、しょうがないから馬を褒めたりして(笑)。メイプル(超合金)さんとかもそういうライブに一緒に出てましたね。

——よくお客さんを笑わせるためとか、あるいは相方を、舞台袖の芸人を笑わせたいとかいわれますが、国崎さんは一番誰を笑わせたいと思ってやっていましたか?

国崎:あ、でもそれは変わってないかな。ガソリンスタンドで動画を撮って、自分で笑っている時と。だから自分ですね。自分が出た番組を見るのも楽しいです。めっちゃスベっとるやん、こいつ!みたいに(笑)。

漫☆画太郎からの影響

——昨年、『お笑いの日』でダイアン津田さんとコラボネタをやられていましたが、その際、言い方やタイミングなど細かい部分を直させて繰り返し練習していたと伺いました。国崎さんはどんな部分にこだわったんですか?

国崎:言い方でめっちゃもめましたね(笑)。「すいません、わんこそばの時間です」というイントネーションが僕が思っているのと全然違うんですよ。だから指導して「すいません」をずっと言い直させてたら「なんやお前!俺、大阪人やねん!」って(笑)。確かにあっちのほうが正解なんですけど、このトーンじゃないとダメだっていうのをずっと伝えて。そしたら本番ではばっちりやってくれましたね。

——そこはリズムとかイントネーションとか、何が大事なんですか?

国崎:伝わり方ですかね。これがいちばん、100で伝わるっていうのが、なんか自分の中にあって、どうしてもこれだけはやってくれって。でも僕もどうなるかわからないから、もうずっと笑ってました。津田さんから本番前に「ダウンタウンさんと今いい関係築いているんです。お前のせいで壊れるかもしれん」ってずっと言われるからそれがもうめちゃくちゃ面白くて。あー、津田さんに本の帯、頼めばよかったですね。

担当編集:1回血迷って言ってましたよ(笑)。

——血迷って(笑)。

国崎:誰も賛同しなかった(笑)。

——ちなみにこの本の原稿は何で書いたんですか。

国崎:携帯ですね。

——宿題をやらなかった子供だったと思いますが、締め切りは守ってましたか?

国崎:守って…、ないですよね?

担当編集:守ってましたよ。

国崎:優しい(笑)。全然守れてない時もあったと思いますけど、延ばしてくれてたりしてましたね。そもそも締め切りを決めていなかったり。

——すごく感動的な文章ですけど、小説のような文章は読まれてきたりしたんですか?

国崎:いや、あんまり読んでないですね。もう漫☆画太郎先生の漫画一本。こういう泣けるエッセイが書けるようになったのも先生のおかげですね(笑)。

——画太郎先生の漫画はどんなところが魅力ですか?

国崎:いい意味で、読んだ後に「もう頼むから金返してくれ」って思うところですね(笑)。同じことを使いまわして描いちゃう。でも結局めちゃくちゃ笑っちゃうんですよね。だからこの本も先生のために書きました。最後に画太郎先生の漫画が載るってなったから、もう泣ける話を詰め込んで、ひっくり返して台無しにしようって。

——収録されている画太郎先生の漫画のチョイスはどなたがされたんですか?

国崎:僕がどうしてもこの話をってわがままを言い、聞いてもらいましたね。画太郎先生も快諾してくださって。最後のオチがおなじみなんですけど、この間、始まった「ジャンプ+」の新連載(「漫古☆知新-バカでもわかる古典文学-」)の第1話もこれだったんで僕、腰抜かして(笑)。

——画太郎さんの漫画はランジャタイのネタに影響はありますか。

国崎:めちゃくちゃあると思います。同じことを繰り返すところとか、たぶんそっから来てると思います。お客さんも思ってるでしょうしね。「頼むから金返してくれ」って(笑)。

——ウェブの連載のほうでは好きなものの中に「BUMP OF CHICKEN」とも書かれていました。

国崎:中学2年の時にすごい聴いていた友達がいて、その影響で好きになりましたね。今回、本も送ったんですよ。全く関係ないんですけど「BUMP OF CHICKENさまへ」って手紙も書いて。いろんな方に送って。ユーミンさんにも送りました(笑)。

——BUMP OF CHICKENの曲で一番好きな曲は?

国崎:あー、なんだろうな。でも、CDの最後に隠しトラックがあって、ふざけて歌う曲があるんですけど、それが好きで。そっか。この本のカバーを外すとQRコードがあっておまけに飛べるとかみたいな仕掛けを作ったのは、その影響があるのかもしれないですね。

——ちなみにランジャタイの出囃子は神聖かまってちゃんの「ロックンロールは鳴り止まないっ」です。ぴったりですよね。

国崎:ホントっすか。あれは伊藤が決めたのかな? 僕も伊藤も好きでいつの間にかかまってちゃんになってましたね。

これからの芸人人生

——本書は辞めていく芸人さんへの眼差しも温かいなあと感じます。

国崎:ああ、だってある芸人さんなんて借金100万円して、それで自己破産しちゃうんですもん。100万円ですよ! まだ頑張れるって、芸人仲間全員止めましたよ。けど踏み切った(笑)。面白すぎるじゃないですか。

——国崎さんは借金とかはなかったんですか?

国崎:なかったですね。家賃も4万5000円とかの風呂なしに住んでたんで。

——自分が芸人をやめることを想像したことはありますか?

国崎:案外なかったかもしれないですね。なんとか延ばし延ばし、絶対働きたくないから。だから芸人だって言い張れば働かなくていいですから、魔法の言葉ですよね(笑)。

——よく芸人さんは全く仕事がないか、めちゃくちゃ忙しいか、両極端だと言われますが、今の状況は国崎さん的にはいかがですか。

国崎:今、ちょうどいいですね。なんか本当に自由にやらせていただいて。ウエストランドとか優勝して家に帰れない時もあるって言ってたんで、そう考えると恵まれてますね。寝れてはいるし、休みもたまにあったりしますし。

——今だとめちゃくちゃにすることを求められると思うんですけど、それが逆にやりにくくなったりとかはしないですか?

国崎:いやでも、みなさん優しいですね。案外、これをやってくれみたいなのがなくて、何をやってくれてもいいですよっていうのが多くて楽しいですね。食レポなのに食べないとか(笑)。

——それは怒られたりはしない?

国崎:怒られないです。その前に走って逃げますから(笑)。

——将来設計のようなことは考えますか?

国崎:なんにも考えてないです。このままなんとか薄く長く生きていく。ひもじくないくらいに月15万円くらいでいいから富士そばとか食える感じならいい。でも去年くらいから税理士さんにお願いしたんですけど、去年、僕、2枚しかレシートを取っていなくてめちゃくちゃ怒られたんですよ(笑)。だから税金がとんでもないことになって。ちゃんと生きていかないといけないなって思いました(笑)。

——じゃあ、今年はちゃんとレシートは保管して。

国崎:もう去年の二の舞いにはなりたくないんで。税理士さんが入っているグループLINEで「これはなんの経費ですか?」とか聞かれるんですけど、この前、伊藤がコンビニで肉まんとかを買ってる領収書を出してて、それは無理だろって(笑)。

Photography Masashi Ura

■『へんなの』
著者:国崎☆和也
価格:¥1,760
判型:四六判
ページ数:248ページ
出版社:太田出版
https://www.ohtabooks.com/publish/2023/02/15164206.html

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ランジャタイ・国崎和也のお笑いルーツに迫る——インタビュー前編 「『D-1グランプリ』が芸人生活で一番嬉しかった」 https://tokion.jp/2023/03/30/ranjyatai-kazuya-kunizaki-part1/ Thu, 30 Mar 2023 06:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=177413 ランジャタイ・国崎和也へのインタビュー。前編では子供時代の話から、バイト時代の同僚のおじさん、相方・伊藤幸司や芸人仲間との出会い、そして憧れのダウンタウンとの共演について。

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ランジャタイの国崎和也

国崎和也(くにざき・かずや) 
1987年富山県生まれ。2006年に伊藤幸司とお笑いコンビ、ランジャタイを結成。2021年『M-1グランプリ』決勝出場。趣味は漫画。特技はバスケットボール危険物取扱者乙種第4類免許を所持。
Twitter:@ranjyatai_staff
Instagram:@ranjyatai_staff
YouTube:@user-xj3kn9yc5b
https://grapecom.jp/talent_writer/ranjyatai/

お笑いコンビ・ランジャタイの国崎和也による初のエッセイ集『へんなの』が出版された。同作は「QJ web」での連載と「ふっとう茶☆そそぐ子ちゃんnote」の記事の中からセレクト・再編集し、新たに書き下ろしを加えた一冊で、少年時代のへんな思い出から、売れてなくても楽しかったへんな地下芸人時代、そして2021年の『M-1グランプリ』の決勝など近年のへんな日常まで──国崎和也の「へんな原風景」が書かれている。

現在のランジャタイのネタにもつながる国崎の「へんな原風景」とはどんなものだったのか。前編では子供時代の話から、バイト時代の同僚のおじさん、相方・伊藤幸司や芸人仲間との出会い、そして憧れのダウンタウンとの共演について語ってもらった。

怒られてばかりいた子供時代

——連載のころから楽しみに拝読していたんですが、特に子供の頃のことがとても叙情的に書かれていて印象的でした。国崎さんの最初の思い出はなんですか?

国崎和也(以下、国崎):幼少期ってことですよね。なんだっけなあ。あ、妹が生まれた時のことは覚えてますね。家族がもう1人増えるってことがよくわからなくて。

——妹さんとは何歳差ですか?

国崎:それもよくわからなくて(笑)。

——えっ!わからない?

国崎:5~6歳差くらいだと思うんですけど(笑)。

——国崎さんはどんな子供時代を過ごしてましたか?

国崎:怒られてばっかいましたね。本当にどうしようもない(笑)。幼稚園の先生にお父さんが呼び出されて「この子はダメです」って言われたのを覚えてます。親父はそこであきらめたって言ってました(笑)。

——どんなことで怒られていたんですか?

国崎:いろんなことで怒られてましたね。食事中にどっかいなくなるとか(笑)。朝早く起きて無理やり親を起こしたり、全部怒られてました。今思い出しましたけど、幼稚園では、自動ドアの仕組みがわからなくて全部開くと思ってたんですよ。それでダーって突っ込んで、透明な扉にめちゃくちゃぶつかってました(笑)。

——そういう時、泣いたりするんですか?

国崎:いや、そんなこともなかったんですね。とにかく全部が不思議だったんですよ。あー、宿題とかも、小学校1年の時に初めてその原理がわかったんですけど、最初は「じゃあ宿題出してください」って言われて、みんなが机からノートとかを出す意味が全然わかんなくて、ずーっと不思議そうに見てましたね。

——宿題はやらなかった?

国崎:本当にやらなかったですね。

——それでやっぱり怒られるんですよね?

国崎:でも、そればっかりやるから言い訳がめちゃくちゃ上手くなるんですよ。「家に忘れてきた」とか「おかしいなあ……」とか言って本当に真剣に探すんですよ。本とかをバーっとやったり迫真の演技(笑)。

——怒られている時は何を考えているんですか?

国崎:反省はしますよ。それも上手いんですよ、反省したフリとかも(笑)。「なんで僕はダメなんだろう」とか「次からは……」みたいな。

——先生のような「大人」にはどんなイメージがありましたか。

国崎:本当にまともというか、遠い未来の存在だと思ってましたね。いずれ僕もこうなるのかなって。でも小学4~5年くらいの時に、ホリエ先生が僕を叱っている時に「先生が怒らないと、お前は将来、もっと怒られることになるから」って言われたのはすごい記憶にありますね。

——自分がまともな大人になるという想像はしていましたか。

国崎:あんまりできてなかったですね。父親も言ってました。「子育て大失敗」って(笑)。

——えー! 直接言われたんですか?

国崎:高校生くらいの時に、妹と僕に向かって「水族館にも、牧場にも連れて行って、あなた達を自然豊かに育て上げました。結果、こうなりました。もう言いますけど、大失敗です」(笑)。お父さんは、妹があまりに算数できなかったから電卓を与えちゃって、宿題とかも全部電卓使ってたんですよ(笑)。妹には特に甘かったですね。

——ウェブの連載では父親から「新聞だけは読め」と言われたと書かれていますが、逆にこれだけはするなと言われたことは?

国崎:都会に出るときに「金儲けには乗るな」って言ってましたね。だまされるから。それくらいですかね。父親は僕が芸人やっているって職場の人に言ってなかったんです。東京で消防士やって勲章もらったっていう設定。だから僕、地元に帰った時に話合わせましたよ。「火事の家から子供救いました」みたいに(笑)。

——今はもう明かしているんですか?

国崎:『(さんまの)お笑い向上委員会』に出た時にバレちゃって。「お前の息子、モニター横に出てるぞ」って(笑)。

——子供の頃、テレビは自由に見せてくれていたんですか。

国崎:ずっとテレビ見てましたね。子供に見せちゃいけないって言われるような番組も自由に見て。『オレたちひょうきん族』の昔のビデオがあったり、『ダウンタウンのごっつええ感じ』とか好きでした。

——『ごっつ』だとどんなコントが好きでしたか。

国崎:めちゃくちゃあるんですけど、キャシー塚本のコントがお笑い史上一番笑ったかもしれない。料理教室の先生が巨大餃子作って、作った瞬間にうしろの窓ガラスに全部投げて奇声あげてる(笑)。それがめちゃくちゃ気持ちよくて。

——ランジャタイへの影響を感じますね(笑)。

国崎:確かに(笑)。

「へんなおじさん」の魅力

——友達はたくさんいるタイプでしたか?

国崎:ありがたいことに、結構友達は多かったですね。助けられたりもしました。イトくんっていう小5で170センチくらいあった相撲で全国大会に出た友達がいたんですけど、雪合戦するとその子の雪玉がめっちゃ痛くて。僕は逃げ回っていたら道路に飛び出しちゃったんですよ。そしたら僕が車にはねられてイトくんは僕の家まで300メートルくらい抱えて走ってくれて「おばちゃん、国ちゃんがはねられた!」って。たまたま友達のお母さんが車で通りかかって病院に行って、みたいな。なんか恵まれてましたね、友達に(笑)。

——それは恵まれてるっていうエピソードなのかな?(笑)。

国崎:あとこのエッセイに出てくるマーピー。この前、奥さんと一緒にライブに来てくれましたね。

——過去のインタビューで貯まったバイト代で東京のNSCに入ったと話されていましたけど、高校の頃はどんなバイトをやられていたんですか?

国崎:サンクスっていうコンビニですね。ずっと裏で品出しとかの作業してました。レジはもう全部間違うから。「Edyカード」っていうのがあったんですけど、それに4000円チャージするところ、間違って4万円チャージしちゃって、めちゃくちゃ怒られたんですよ(笑)。それからずっと裏で飲み物とかを補充してました。だから補充した時に飲み物が滑っていく「シャーー」っていう音をめっちゃ覚えてるんですよ。逆にそれしか記憶にないくらい(笑)。

——本書では、近所の人やバイト仲間、芸人の先輩など「へんなおじさん」がすごく魅力的に描かれています。

国崎:やっぱりおじさんは面白いですよね。破綻している人に惹かれます。だって出会った初日に「相撲取ろうよ」って言ってくるんですよ(笑)。僕もそうでしたけど、お金持っていないおじさんが一番面白いです。100円ローソンのジュースとスティックパンだけで3日間やりすごそうとするおじさんとか(笑)。

——そういう人には距離を取ってしまいがちですけど、国崎さんはどんどん近づいていくんですね。

国崎:もうめちゃくちゃ遊んでましたね。へんな人なんですよ。歯磨きするんですけど、その時に「F1」の曲(※『F1グランプリ』のテーマ曲「TRUTH」)を流したり(笑)。もう意味がわからない。

——そういう人と接して、何か嫌な思いをしたことは?

国崎:ないですね。そういう人って人間的にはめっちゃいい人なんですよ。だから騙されたりしちゃうんでしょうね。人に騙されて、車も全部盗まれてホームレスになっちゃったって人もいましたから。

芸人仲間について

——NSCでは相方の伊藤さんに出会います。どんな部分に惹かれて仲良くなったんですか?

国崎:今と真逆だったんですよ。当時「松本人志と発想がかぶる」って言ってたくらいですから、“あの頃の松っちゃん”で来てたんですよ。こそっと教えてくれたのが「俺が芸能界に入ったら、(松本人志か俺か)どっちかが消えるよ」って(笑)。それをガチのトーンで喋ってましたから。それが今はツッコミをやってるんだから不思議ですよね。

——それを聞いてどう思ってたんですか?

国崎:心の中で「消えるのはお前だ」って(笑)。

——それで伊藤さんが先にNSCをクビになってしまいます。許されるためにやったはずのゴミ拾いも一緒にやったにもかかわらず、クビだと言われてNSCに対して憤りみたいなものは感じなかったですか?

国崎:いや、もうずっと笑ってました。だってあの「松本人志」がクビなんですよ(笑)。授業中もすごかったですから。一番後ろでにらんでネタを見るんですよ。全然笑わないんだけど、本当に面白い連中も中にはいるから、その時も吹き出すのをめっちゃ我慢してるんですよ(笑)。「笑ってない?」って聞いても「笑ってない。面白くないです」って。あと、ゆずが好きでゆずの本も持ち歩いて。

——ゆずの“本”なんですね(笑)。

国崎:そう(笑)。松本さんの『遺書』とかならわかるじゃないですか。意味わかんない(笑)。ブレブレだから面白かったですね。

——いまやダウンタウンとも共演されて。

国崎:だから『ガキの使い(やあらへんで!)』の「D-1グランプリ」(※ダウンタウン40周年記念として行われたダウンタウンに憧れる芸人達がその愛を詰め込んだネタで競う大会)が今までの芸人生活で一番嬉しかったですね。あのダウンタウンさんの前で、しかもダウンタウンを題材にしたネタができるんだっていうのが、2021年の『M-1』の決勝よりも全然嬉しかったかもしれないです。

——ウェブの連載では『M-1』の決勝は「いつものメンバーで、いつものライブだった」ことが嬉しかったと書かれてましたね。

国崎:そうなんです。なんか3日くらい前に「V-1(※「新宿ハイジアV1」というキャパ70席ほどの劇場)」でライブだったんですけど、ほぼ同じメンバーでしたから。なんだこれ?って(笑)。オズワルドもいました。みんな『M-1』と同じネタで、それを3日後に点数つけられて、友達の錦鯉が優勝ですもんね。なんか感慨深かったです。

——地下ライブと同じようなメンバーというと『ランジャタイのがんばれ地上波!』(テレビ朝日)もそうですね。

国崎:ウソみたいな番組ですね。毎回、楽屋に貼られている出演者の名前見たら、ウソウソウソってなります。モダンタイムスとか桐野安生とかテレビ局にいるわけないのに(笑)。我々もそうですけどね。桐野さんも楽屋でキョロキョロして「こんなに広くていいんですか?」って言ってたり、モダンさんに至っては弁当全部持って帰ったり。普通に窃盗ですよ(笑)。

——そのモダンタイムスは芸人仲間に慕われていますが……。

国崎:(遮って)いや、最近慕われてないですよ(笑)。いよいよ底が見えなくて怖い。最近、僕らのファンと合コンもしてたんですよ!(笑)。

——最初はどんなところに惹かれていたんですか?

国崎:最初からなんか空気も似てたんですよ。同じことをずっと繰り返すみたいなところとかも。いまはマヂカルラブリーさんとか、アルコ&ピースさんとかがテレビに引き上げようとしているんですけど、何回でも崖に落っこちていくんですよ(笑)。

——地下ライブに出ている時、今の状況を想像できましたか?

国崎:全くできないです。日々、主催者にだまされてお金を取られたり、カレー屋の2階でやるっていうのがずっと続くと思ってました。だって会議室みたいなところでやった時なんか、音響がないからプレステ2でやるんですよ。モダンさんのコントの前に起動音から鳴って(笑)。あれは地獄でしたね。ポンポンポンってトラックを選ぶ音とかもお客さんに全部聞こえてましたから。でも「お前、信じられないくらいスベってたじゃないか」みたいに笑い合っているのが最高に楽しかったですね。

——憧れのダウンタウンと共演を果たして、今後共演してみたい人っていますか?

国崎:(ビート)たけしさんとタモリさんはまだ共演したことないので、したいですね。あと、黒柳徹子さんも会ったことはあるんでけど、共演したことがなくて、ぜひ『徹子の部屋』に呼んでほしいですね(笑)。

後編へ続く

Photography Masashi Ura

■『へんなの』著者:国崎☆和也

■『へんなの』
著者:国崎☆和也
価格:¥1,760
判型:四六判
ページ数:248ページ
出版社:太田出版
https://www.ohtabooks.com/publish/2023/02/15164206.html

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