ROTH BART BARON Archives - TOKION https://tokion.jp/tag/roth-bart-baron/ Wed, 13 Dec 2023 02:02:26 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.3.4 https://image.tokion.jp/wp-content/uploads/2020/06/cropped-logo-square-nb-32x32.png ROTH BART BARON Archives - TOKION https://tokion.jp/tag/roth-bart-baron/ 32 32 ROTH BART BARON 三船雅也 × ISO  「ジュブナイル」が持つ魅力と新作アルバム『8』を語る——「新しい冒険や発見に満ちてなくちゃいけない」 https://tokion.jp/2023/12/13/roth-bart-baron-masaya-mifune-x-iso/ Wed, 13 Dec 2023 09:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=219097 ROTH BART BARONの三船雅也とライターのISOの対談。ROTH BART BARONの新作『8』のテーマとなったジュブナイルについて2人が語る。

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ROTH BART BARONの三船雅也(左)とライターのISO(右)

ROTH BART BARON(ロットバルトバロン)
シンガーソングライターの三船雅也を中心とした東京を拠点に活動する日本のインディーロッ クバンド。2022 年は、映画『マイスモールランド』の劇伴音楽と主題歌を手掛けた。 2022 年 11 月 9 日に『HOWL』をリリースし10都市12公演全国ツアーを開催。2023年は「フジロック・フェスティバル 23 」に出演。10月18日には8thアルバム『8』をリリース。現在、全国ツアーを開催中。
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シンガーソングライターの三船雅也が中心となるフォークロックバンド、ROT BART BARON(ロットバルトバロン)の8枚目のアルバム『8』が10月18日にリリースされた。本作について三船が「自分の子供時代、ジュブナイルと向き合った作品です」と語る。なぜ、三船はジュブナイルをテーマにしたのか。そしてジュブナイルに対する想いとは。映画ライターのISOとの対話から探っていく。

ISO:まずは今作『8』で「ジュブナイル」をテーマに選んだ理由を教えてもらえますか?

三船雅也(以下、三船):ジュブナイルという構想自体は前作『HOWL』を作っている時からあったんです。僕は曲やグラフィック、ライブパフォーマンスにしても、常にアイデアをいくつもパラレルに持っていて。それが本当に作品になるかはわからないんですけど、曲ができてきた中でうまく結びつくと結果的にそれが作品になる。そうやっていくつもアイデアや曲が並走していく中で、今回たまたま飛び乗ったのがジュブナイル列車だったという。

ISO:こういうテーマで作ろうと挑んだわけではなく、タイミングが重なって生まれたと。

三船:パンデミックの3年間でいろんなことを熟慮したし、『HOWL』ではロシアのウクライナ侵略のことなんかも題材にしたりと、「人間がやる度し難いこと」というテーマに自分としては十分向き合ったから、一度そこではない文脈で音楽を作りたくなったんですよね。その時に子供の目線で考えてみようと。自分の中でもう一度子供の気持ちを呼び起こしたいという根源的な渇望があって、それが深く音楽と結びついたんです。

ISO:子供の気持ちに立ち返りたいって欲求はみんな持っていますよね。

三船:大人がしがらみにとらわれた時、子供はたやすくそれを飛び越えますもんね。そこへの憧れも確かにありますけど、僕は以前から子供の目線はあったと思うんです。例えば災害があって避難所にいても、集まった子供達はすぐに集まってと友達になって遊べたりする。今振り返ると、僕らはそれに近い感覚でパンデミックの時も活動できたような気もしていて。ずっと大人目線だったら道理とか理屈で物事を考えて、おとなしくしてたでしょうし。だから今度はまた新しい気持ちでジュブナイルを見ようとしてるのかも。

映画との関係

ISO:三船さんはもともと映画監督を志していたんですよね。音楽に関しても映画の影響は大きいんでしょうか?

三船:そうですね。映画を学ぶ最中に音楽に取りつかれていった人間だからか、僕は音の前に絵があるんです。宮崎駿さんが最初にイメージボードを描いたり、ヒッチコックがまず絵コンテを切るように、絵ありきで音を作るので僕の中で映画と音楽はすごく密接。架空の映画をディレクションしているような感覚ですね。サントラを作るのに近いというか。

ISO:なるほど。サントラといえば三船さんが音楽を担当した『マイスモールランド』を観ましたけど、楽曲で登場人物の心情を表現していて素晴らしかったです。三宅唱監督の作品とかすごく相性が良さそうですし、いろんな作品を手掛けてほしいなと思いました。

三船:ぜひ、やりたいですね。これまでもここ数年はCMやドラマ主題歌などいろんなクリエイターの方と総合芸術を作る機会に恵まれて、すごく刺激をもらったんです。パッションのある監督やディレクターと作った時に、自分が思ってもいなかった場所にたどり着く感覚が面白くて。

ISO:やはり普段の制作とは全然違うものなんですね。

三船:映像作品だと、絵に合わせた時の絶妙なバランス感覚が求められるんですよね。音楽が強すぎると役者の演技を薄めて言葉が響きにくくなるとか。僕だけが良ければOKというプロジェクトじゃない。その感覚がすごく楽しいんです。普段は僕とバンド、そしてリスナーの関係だけで良いんですけど、そこに別の要素が加わるとまた違った飛躍がある。

でもこうして音楽の道に進んだことで、結果的に昔目指していた映画との繋がりが強くなるなんて面白いですよね。映画音楽は今後どんどん作っていきたいです。

ISO:今作に合わせて作られたショートストーリーもとても映画的ですよね。CGがとんでもないクオリティで驚きました。

三船:すごいですよね。僕も試写会で泣きましたもん。映像作家・安田(大地)さんが曲を聴いてアイデアを出してくれて、僕らが描きたかったジュブナイルの少年/少女性をとてもきれい

に映像作品として表現してくれました。

ISO:クトゥルフ神話やSF風のパートもあり、ジュブナイル映画っぽさが見事に現れていました。

三船:ほとんどは安田さんチームのアイデアですけど、最初は僕が好きなジュブナイル映画10作品をモチーフとして彼らに伝えました。だから映画の主人公の衣装を着ていたりとか、イースターエッグが散りばめられています。

ISO:普段はどんな映画を観るんですか?

三船:怖い作品以外はなんでも。トリュフォーやジャン・ヴィゴ作品のような古典も大好きですし、新しい作品も観ます。でも僕が映画を好きになったきっかけは特撮なんですよね。母がウルトラマンとゴジラが好きで、一緒に観に行った平成ゴジラシリーズに感銘を受けて自分でも特撮を作りたいと思うようになりました。それで高校生の時に映画の撮影現場で荷物持ちのバイトをしたんです。その時に「今はCGの時代だからもう特撮監督の仕事はない」と言われ驚愕しましたね。でも東映の人が言うなら間違いないなと挫折して。他の道も考えないと……と思いつつギターを弾き始めた(笑)。

ジュブナイル映画への想い

ISO:切ない…。今回テーマがジュブナイルですけど、ジュブナイル映画で特に印象に残っている作品はあります?

三船:19歳の時に観たジャン・ヴィゴの『新学期 操行ゼロ』は衝撃を受けましたね。

ISO:渋すぎる。でも確かに反逆を決起するシーンの映像は素晴らしいですよね。開放感があるし、ドラマチックで。

三船:ストーリーも普遍的ですしね。しかも押し付けがましくないじゃないですか。こうしろとは言わないけど、お守りのような優しさはある。宮崎駿さんの映画もそうですけど、押し付けがましくないジュブナイル映画はやっぱり良いなと思います。

ISO:意見とか使命とか押し付けてくる作品ありますもんね。三船さんも「Kid and Lost」で“また高校生に世界を救わせる物語”って歌ってますけど、やたらと高校生に背負わせたり。

三船:そう、ティーンエイジャーの時にその違和感をすごく感じてたんですよね。なので大人になっても制服姿の夢を追いかけて僕らに押し付けようとするんだと。思春期特有の大人に対する不信感もあったと思うんですけど、食い物にされてる感が気に食わなかった。

ISO:わかります。押し付けと無縁のジュブナイル映画が良いですよね。『ホームアローン』とか。あれも『新学期 操行ゼロ』と同じく反逆の映画ですけど。

三船:『ホームアローン』はみんな好きですよね。守られる存在だったケビンが1人でコンフォートゾーンから飛び出していくのとか、やっぱり観てて面白いし。触れられないものに触れたり、ダメと言われたことをやったり、ラインをはみ出る瞬間を描いている。その何かを飛び越えた時、子供の部分を少しずつ喪失していくんですよね。

ISO:喪失というのはジュブナイルと密接なテーマですよね。成長とか冒険もあるけど、大人になる過程で子供心や、一生続くと思っていた関係が失われていく。

三船:『スタンド・バイ・ミー』とかね。結局少年達は成長と共に疎遠になるじゃないですか。でもその一緒に過ごした刹那の時間が永遠だったりする。小さな頃にキャンプで出会った名前も覚えていない子と遊んだ記憶が未だに残っていたりとか、ありますもん。あの映画にはそういう尊い時間が詰まってる。

ISO:たいしたことも起きないし、ゆったりしてるのにすごく密度の濃い作品ですよね。

三船:ああいうゆったりと時間が流れるエンタメ映画って、メジャー作品ではもうほとんど存在しないじゃないですか。ハリウッド映画はどんどん加速してますし。その中で宮崎駿さんは激しいラッシュの後に穏やかなシーンを入れたり、すごく勇気があるなと思いますよね。

ISO:確かに宮崎さんはそうですね。ちなみに『君たちはどう生きるか』はいかがでしたか?

三船:素直な宮崎さんが観れて僕は好きでしたね。トトロからやってきたお母さんとの関係の集大成がここなんだなと。自分と向き合ったのをしっかり感じたというか。フォークシンガーが自分のプライベートライフを歌うアルバムに近いのかな。エンタメポップじゃないけど、すごくオーガニックで何回も聴きたくなる名盤というか。ニック・ドレイクみたいな(笑)

ISO:わかる気がする。ジブリ作品と共に育った我々からすると、あそこまで素直に宮崎さんを出されると嫌いになれないですよね。

三船:そして80歳であれだけの作品を作り上げるってのが本当にすごい。僕も弱音を吐いてられないなと思いましたね。宮崎さんの前で「僕最近忙しくて」とか口が避けても言えない(笑)。

「先に進んでる主人公じゃないと惹かれないんです」

ISO:宮崎さんには誰も言えないです……。他に好きなジュブナイル映画はありますか?

三船:僕はロビン・ウィリアムズが好きなんですけど、『ジュマンジ』とかも良いですよね。ファニーだしエンタメだけど、実は父親に対するトラウマとか重いテーマも描いていて。その上で大人と新しい世代の子供が繋がるじゃないですか。ジュブナイル映画って大人と子供の対立を描くことが多いけど、協力するのも観てて面白いですよね。昔の自分と繋がる、あの時空の越え方も好きですし。

ISO:そういう時空のねじれでいくと、山崎貴監督のデビュー作『ジュブナイル』もそうですよね。ミレニアム時代のワクワクが詰まったSF映画。

三船:ありましたね。僕は山崎さんの本質はあの映画にあると思っていて。『ALWAYS 三丁目の夕日』のような人間ドラマではなく、SFと武器。だから『ゴジラ -1.0』は山崎さんのオタク感がよく出てたなと。20mm機関銃をなめるように撮ってたりして、「最高だぜ!」とか思いながら観てました(笑)。

ISO:ドラマ以外のパートに筆が乗ってましたよね。

三船:ゴジラと戦うシーンは本当に素晴らしいし、観ながら山崎さんは本当にこういうのが好きなんだなと思わず嬉しくなりました。

ISO:山崎さんの童心が見えましたよね。そういう作り手の純粋な部分が見える作品は良い。今年観た中だと『フェイブルマンズ』も素晴らしいジュブナイル映画でした。『E.T.』もそうですけど、スピルバーグのピュアな視点は本当にすごいなと改めて思い知らされました。

三船:童心を持ち続ける才能ってありますよね。そういう人の作品は透き通っているというか、純度が高い。岩井俊二さんもそう。60歳になっても、8歳のような感性も持っていて。でも本来は誰しもが空想とか楽しいアイデアを持ってるじゃないですか。でも大人になるにつれ空想に力がないと思い始めて、押し込めてなかったことにする。

僕は映画を勉強していた大学1年生の時にそれを目撃したんですよね。『セーラームーン』を観る授業があって、タキシード仮面というヒーローが登場するんです。みんな昔は純粋な目で観てたはずなんですけど、同級生の子達は彼が出てきた瞬間に笑い始めたんですよ。

ISO:大人になるとそうなっちゃいますよね。

三船:でも僕はすごく憤りを感じて。僕らはそういうものに魅せられ、生み出すために学んでいたわけじゃないですか。それを何様のつもりで笑っているのかと。これを本気で作っている人がいて、僕達もそっちに立たないといけないのに。当時は周りに合わせて笑ったほう

が良いのかなと思ったけど、今思うと笑わなかったから音楽の作り手になれてる気がしてて。

作り手の人は笑わないと思うんです。きっとスピルバーグは笑わない。そういう純粋な気持ちを持っているからこそ『E.T.』のような作品が作れるんだと思うんです。だって宇宙人が来たら、大人は防衛とか研究ってなるじゃないですか。普通友達になろうとはならない。

ISO:うん。『E.T.』は最初ホラーっぽさもあるんですよね。子供の目線で得体のしれないものと出会う恐怖感もしっかり描いてる。子供の頃って何気ないものが怖かったりするから、ジュブナイルってホラーとの相性も良いじゃないですか。『ストレンジャー・シングス』以降、『IT』や『ブラックフォン』とか、ジュブナイルホラーの波が来てますし。得体の知れない恐怖と同時にノスタルジーも堪能できるような。みんな懐かしいものへの憧れがすごいんだなと。

三船:そうやってみんなノスタルジーの奴隷になっていくんですね(笑)。人類はいつも「あの頃は良かった」と過去を懐かしみながらループして生きてますけど、僕はその呪縛から逃れました。先に進んでる主人公じゃないと惹かれないんです。

「冒険をみんなと共有できたら嬉しい」

ISO:作品にもそれが現れていますね。『8』を聴くとノスタルジーというより、始まりの息吹を強く感じました。

三船:懐かしいというのは大人の感想であって、子供はそんなこと思わないじゃないですか。だからジュブナイルを描く作品は、本来子供目線で新しい冒険や発見に満ちてなくちゃいけない。

ISO:確かに!「Boy」でも“次の冒険に出かけよう”って歌ってますもんね。

三船:そう、思い付いてしまったからやるしかない。だから僕は外に出てみたんです。

ISO:あ、ベルリン移住か。ちょうど今ジュブナイルの真っ最中じゃないですか。

三船:そうですね、現在進行形です(笑)。

ISO:僕もまだ東京に出てきて日が浅いので、若干ジュブナイル気分です。みんなも本当は冒険したいと思うんですよ。でもいろんな制約や義務感の中でできないから、心を冒険に誘ってくれる映画や音楽に惹かれる。

三船:ですよね。だから僕がしてきた冒険をみんなと共有できたら嬉しいな、と思いながら音楽作ったりしてます。今はドイツ語も話せなくて友達もいないし、毎日が「はじめてのおつかい」みたいだし、区役所とかに電話する時も震えるし。いろいろと大変ですけどね。

ISO:でもそういう新しい場所で受け取るものって刺激になりますよね。

三船:僕が住んでる地域はヨーロッパで一番子供が多いらしいんですよ。そこら中に子供がいて、その横で僕が曲を作ってる。たまに子供が話しかけてきたり。「自転車見張ってて」とか(笑)。

ISO:すてきな環境!

三船:楽しいですよ。うちの近所に墓地があって、そこに子供の遊び場も併設されてるんです。それで子供がお墓によじ登ったりボールぶつけたりしてるんですけど、墓標見ると1800何年没とか書いてて。 200年前に死んだ人と今生きてるイケイケの奴らがクロスオーバーしてるとかすごいじゃないですか。お墓参りに来てる人もいるけど、悲壮感が全くないし。ハレとケの感覚がない日本人とはまったく別のラインで生きてて面白いなぁと。その景色に囲まれながら何千年の季節の訪れを歌った「千の春」という曲を書きました。

ISO:日本とベルリンではジュブナイルの感覚も違ってきそうですよね。

三船:そうですね、違うと思います。ダメと言われない子供が強い世界なんです。性別関係なしに強い。昭和味があるというか、なんというか…

ISO:じゃりン子チエみがある感じ?

三船:そう!高畑勲みもある(笑)。 気持ちの良い場所ですよ。

Photography Masashi Ura

■ROTH BART BARON 『8』
2023.10.18 Release

[LP]2023.11.8 Release
¥4,400

[Track]
1. Kid and Lost
2. BLOW (feat. Safeplanet) 3. Boy
4. 千の春
5. Exist song
6. Ring Light
7. Closer
8. Krumme Lanke
9. MOON JUMPER
10. NIN / GEN
https://rothbartbaron.lnk.to/8_RBBhttps://rothbartbaron.lnk.to/8_RBB

ROTH BART BARON
TOUR 2023-2024『8』

2024年
2月4日 (日) 愛知 今池 THE BOTTOM LINE
2月11日 (日) 熊本 早川倉庫
2月12日 (祝月) 福岡 BEAT STATION
2月18日 (日) 大阪 心斎橋 BIGCAT
3月1日 (金) 北海道 札幌 cube garden
3月2日 (土) 北海道 札幌 モエレ沼公園 ガラスのピラミッド  – sold out –
3月3日 (日) 北海道 札幌 モエレ沼公園 ガラスのピラミッド *三船SOLO
3月17日 (日) 東京 渋谷 Spotify O-EAST
https://linktr.ee/rothbartbaronhttps://linktr.ee/rothbartbaron

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ROTH BART BARON による夏の祭典「BEAR NIGHT3」が8月7日に日比谷の野外大音楽堂で開催 10人の特別編成にゲストも参加 https://tokion.jp/2022/06/24/roth-bart-baron-bear-night3/ Fri, 24 Jun 2022 12:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=129945 チケットは6月25日10:00から一般発売。ゲストアーティストとして、親交の厚い森大翔、角舘健悟(Yogee New Waves)、本間将人らが参加する。

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東京を拠点に活動するインディーロックバンド・ROTH BART BARONは、3回目となる“夏の祭典”、「BEAR NIGHT3」を8月7日に日比谷野外大音楽堂で開催する。チケットは、6月25日10:00から一般発売、ぴあやイープラス、LivePocketで一般販売を開始する。

今やりたいこと、今セッションしてみたいゲストアーティストと共にフェスティバルだからこそできるスペシャルな企画を最大限に盛り込んだ特別編成。この日はおなじみのツアーメンバーに加え、西田修大、ermhoiが加わり10人編成(三船雅也、西池達也、岡田拓郎、西田修大、Marty Holoubek、工藤明、ermhoi、竹内悠馬、須賀裕之、大田垣正信)で演奏、さらにゲストアーティストとして、親交の厚い森大翔、角舘健悟(Yogee New Waves)、本間将人が登場する。近々、第2弾ゲストも発表予定だという。

加えて、バンドコミュニティ“PALACE”メンバーによるボランティアチームが発足。来場者へのプレゼントや会場装飾、オリジナルデザインのグッズ販売など、本公演ならではの特別アイデアを企画中。

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ROTH BART BARON × ダンサー・辻本知彦 対談後編——身体表現に込められたメッセージ https://tokion.jp/2022/01/31/roth-bart-baron-masaya-mifune-x-tomohiko-tsujimoto-part2/ Mon, 31 Jan 2022 09:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=92785 ROTH BART BARONの三船雅也とダンサーの辻本知彦との対談。後編は表現とは何かについて2人が語る。

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フォーク・ミュージックをベースにしながら、オルタナティヴな音楽性で注目を集めるバンド、ROTH BART BARON(ロットバルトバロン、以下ロット)の中心人物、三船雅也。ダンサーとして国内外で活動しながら、米津玄師、RADWIMPS、Siaなどさまざまなアーティストの振り付けもこなす辻本知彦。それぞれ独自のスタイルで新しい表現を切り開いてきた2人が、初めて顔を合わせて語り合う対談の後編をお届けする。

前編では辻本のロットとの出会いから創作への向き合い方などが語られたが、後編は表現とは何か、という大きなテーマに広がっていく。「人間じゃないもの」に向けて、歌い、踊る、2人。その開かれた感性がジャンルを超えて交差する。

三船雅也(以下、三船):辻本さんはシルク・ドゥ・ソレイユにいたんでしたっけ?

辻本知彦(以下、辻本):はい。3年半いてワールドツアーにも出ていました。27ヵ国、120ヵ所ぐらい行ったかな。

三船:すごい! 辻本さんのダンスを見ていると、頭からつま先まで動きを全部把握しているように見えますね。

辻本:それはバレエをやっていたおかげなんです。

三船:バレエもやっていたんですか?

辻本:もともと好きだったのがブレイキンとコップだったんですけど、バレエの素晴らしい人に会って、その人に「一流になりたかったらバレエをやれ」って言われたんです。その人はバレエとブレイキンの両方をやってたんですよ。それって当時は珍しくて。もう何十年も前ですけどね。じゃあ、僕もやってみようかなってバレエを始めたんですけど、バレエをやったおかげで「美しい」ということを学びました。それまで自分の中で「美しい」なんて言葉はなかったんです。でも、この風貌で「美しい」ものをやっていたら、すごいことになるんじゃないのかなと思って(笑)。

——「美しい」という新しい価値観が生まれたわけですね。

辻本:だから僕の最初の頃のダンスはアートっぽいんですよね。体の鍛え方はバレエで思想はコンテンポラリー。僕は舞台で踊るのが好きだったんですけど、今の時代はそれでは広がりが見えない。だから、ダンスを「美しい」から「かっこいい」に変えていったんです。土屋太鳳さんにSiaの曲の振り付けをしたあたりから変えていきました。「かっこいい」の中に「美しい」を入れるようにすれば良いんじゃないかと思って。

三船:確かに今の時代って、「美しい」より「かっこいい」ものの方がもてはやされていますよね。時間をかけて味わう美しさより、一瞬で伝わるかっこよさの方がわかりやすいというか。でも、辻本さんみたいなバックグラウンドを持ったダンサーって珍しいんじゃないですか?

辻本:当時はそうでしたね。今はバレエとストリートダンスの両方をやる人は増えてきたけど、僕が20代の頃はバレエをやるって言ったらバカにされましたから。でも、それでよかったんです。そういう時代でバレエをやっていたから先駆者になれた気がする。

三船:僕も似たようなところがあって。J-POPとは違うサウンドの音楽を日本語で歌っている人があまりいなくて。デビューした頃にインタビューを受けると「こういう音楽なのに、なんで英語で歌わないんですか?」って、結構聞かれたんですよ。なぜそんなことを言うんだろう、ととても傷ついたけれど、そこに自分なりの反骨心が芽生えたのは確かですね。今はそういう気持ちでやり続けてきてよかったと思います。そのおかげで、今はロットのサウンドを信頼してくれる人達が助けてくれている。

「見えている」か「見えていない」か

——オリジナリティを評価してもらえるようになるまでが大変なんでしょうね。

三船:そうなんですよね。ちょっと素朴な質問があるんですけど、ダンスを見ていると辻本さんみたいに体の隅々までコントロールできている人と、そうでない人がいるような気がするんです。その違いがなんだろうと思って。

辻本:なんだろうな。まず経験値の問題なのと、それとは別に経験値があってもわからない人がいるんですよね。センスの問題というか、自分の状態が見えてない。例えば僕が振り付けを教える時に、パッとポージングをやって、そこで少しズラしたとしても勘のいい子はついて来るんですよ。けど、わからない人は角度を変えたこととかが見えていない。

三船:なるほど。「見えてない」っていう感じはわかります。やっぱり最後はセンスだと思うんですよ。それは歌でも同じ現象が起こっていて、ライブを見ていてもよくわかる。歌い方や演奏の仕方でそういうことが伝わってくるんです。

辻本:表現方法が違っても通じるものはありますからね。そこでは同じことが起きていると思うんですよ。だから僕はすべてのことをダンスに置き換えて考えるようにしているんです。そうすると物事がわかりやすくなる。そう言えば、僕は絵を描くのも好きで、なぜ好きかっていうと自分が見たいからなんです。どこまで描けるのかを。だから公開するつもりはなかったんですけど、今日は絵を1枚持って来たんです。三船さんにプレゼントしようと思って。

三船:まじですか!

辻本:ロットが好きだっていう証拠を示そうと思って。

三船:(プレゼントされた絵を見ながら)うわあ、すごいですね。宝石のようでもあり、鳥のようでもあり、タツノオトシゴのようでもあり。素敵です。

辻本:ずっと部屋に飾っていたので画鋲の跡があるんですけど。今日、「三船さんにプレゼントしよう」と突然思いついて。

三船:僕はよく写真を撮っているんですけど、今度プリントして差し上げます。

辻本:ありがとうございます。ダンスでよく言ってるんですけど、集中した体はいつでも美しい。だから絵も集中して描く。集中の連続なんです。

三船:これは集中しないと描けない絵ですね。この細かさ。絵に辻本さんのダンスの感覚があるような気がする。自分が集中したものに誰かが喜んでくれる、というのは音楽も同じだと思う。

「人間じゃないもの」へのメッセージ

——辻本さんはロットの音楽にどんな印象を持たれていますか?

辻本:ロットってアルバム1枚で1つの世界があるような気がして、アルバム1枚をずっと流しているんです。ロットの場合は曲単位で聞いてないんですよ。そうすると、聴くたびに踊りたい曲が変わる。「今だったら、この曲で踊れるんじゃないかな」っていう曲が出てくるんです。それが昔だったら選んでいなかった曲だったりするんですよね。そういうことは初めてです。

——おもしろいですね。ロットの曲で辻本さんが踊っている映像を見て、辻本さんが音楽を体にまとっているようにも見えました。

辻本:音楽って空気の振動で目に見えないじゃないですか。でも、素敵な音楽が流れた時に、ここ(体の周辺)に振動があるんだろうなって想像するんです。そして、その振動に体を当てる感覚が好きというか。絶対、音楽が体に当たってるはずなんですよ。それを(ダンスで)表すだけでいいんです。でも、それは素敵な音楽限定なんですけど(笑)。

——リズムやメロディーに合わせるのではなく振動に体を当てる。

辻本:音の中にいれば必ず体が響く。ダンスってアメーバみたいに生まれるものだと思います。細胞を伸ばしたり縮めたりする動きがダンスになっていく。

——歌も身体表現ですよね。

三船:そうですね。のどだけじゃなくて全身を使わないと歌えないし、体のどこかが悪いとのどもダメだし。キャリアを重ねるごとに表現の解像度が高くなってきた気がしていて、自分に課す要求も高くなってきた。ヴォーカルを録るのにも随分時間がかかるようになりました。

辻本:ロットのアルバムを聴くようになった時に、最初に「これなんだろう?」って思ったのが歌声だったんです。天国という場所があるのなら、この声で行けるんじゃないかって(笑)。ゴスペルとか讃美歌に近いものを感じたんです。

三船:自分が歌うとそういう風になっちゃうんですよね。声を重ねてハーモニーにすると浮遊感が生まれる。でも、もっと地に足着いた、歌い方をしたかったんですけど、最初からできなかったんです。だからこの声を受け入れるしかないなって。ゴスペルも讃美歌もクラシックも好きだけど、自分は「人間じゃないもののために歌う」っていうイメージが好きなんです。

——人間じゃないもののために歌う?

三船:人間のことしか意識していないものってあまり好きじゃなくて。人間以外の全部をインクルードして、そこからまた人間に降り注いで、最終的に人間のことは好きだったり嫌いだったり、不安を感じさせたり慈愛に満ちていたりする。そういう音楽やアートが好きなんです。人間だけを描いている作品はあまり心に響かない。

辻本:僕はダンスをするようになってから、素敵な木を見ると踊るようになりました。なんでもない木には反応しないんです。大自然の中に立派な木があったりすると、まず触りたくなる。で、生きているのを感じると、僕が踊ったら喜ぶだろうなって思っちゃうんですよ。

三船:へえ、おもしろいなあ。

辻本:そういうことをやりだしてから、ダンスは人間のためだけにあるものじゃないと思うようになって。景色が良いから踊ったり、動物の前で踊ったりするようになったんです。インドネシアで野良犬の前でこういう(犬が威嚇するような)ジェスチャーをやったら、野良犬がすごい勢いで走ってきたので逃げました(笑)。

三船:あはは、最高!

辻本:動物が殺気立った瞬間の動きって絶対きれいだし、それはダンスに使えると思うんですよ。

三船:辻本さんの動きを動物が見れば反応しますよ。最近、ロケ先に牛とか鹿とか動物がいることが多くて、よく会話していますね。雪山で歌った時は、山の中にいるキツツキの存在を感じながら歌っていました。動物達に話しかけたり歌ったりすると、じっとこっちを見て聞いてるんです。言語は違っても同じ動物だから伝わるものがあるんでしょうね。

——歌も踊りも神様に奉納する芸能という側面があるじゃないですか。お祭りで歌や踊りは欠かせない。だから「人間じゃないもの」へのメッセージでもあるんでしょうね。

辻本:神様の前で踊るのも好きなんです。僕は神様は見えないけど存在すると思っていて。だから、神様に自分の心をのぞかれているように思えて、神社に行く時は清い気持ちでいるようにしているんです。そして、自分の心を表すように神様の前で踊る。

「インターネットでわかることより、その向こう側にある情報の方が圧倒的に膨大」

——神様といえば、辻本さんは舞台版『千と千尋の物語』で「カオナシ」を演じられますね。

辻本:今は体を作ってる状態ですね。あとは演出家がどう言うか。この前、1回だけ演出家のワークショップを受けて、そこでハッとしたのは、「(カオナシは)すごく『悲しみ』を背負っている」って言われたんです。それは僕の頭になかったんですよね。そこは忘れないでおこうと思って、ずっと気に留めてます。踊りとかじゃなく、立ち姿で悲しみを表現できたら良い感じになるんじゃないかなと思って。

三船:何にもなれなくて、夢がなくて、金をバラまいたら好きな子が振り向いてくれるんじゃないかって思っている。そんなカオナシは現代の若者の象徴みたいなやつじゃないですか。自信がなくて、自分が何者か見つけられてない。そんな辻本さんと真逆なやつを辻本さんが体だけでどう表現するのか楽しみですね。本番前までは何も情報を入れずに舞台を見に行こうと思っています。この対談の時も辻本さんのことはネットで調べたりしなかったんです。ネットの情報では何も見えてこないし、5秒で誤解させられるんで。

辻本:僕もロットのことは知りたいけど知りたくないというか。若い頃は「知りたい!」と思ったらガッと調べたけど、今だったらゆっくりと時間をかけて知る過程を楽しみたい。ネットで情報を仕入れるより、直接会って話をしたい。

三船:インターネットでわかることより、その向こう側にある情報の方が圧倒的に膨大なんです。こうして話をしていることの方が、ネットでわかることよりはるかに情報量は多い。この瞬間に自分が体を通じて受け取ったことを大切にしたいんです。クリエイターやアーティストの人達とは、時間を一緒に共有することが重要だと思っていて。辻本さんと何かを生み出していく、ということは、もうこの対談から始まっているような気がします。

辻本:僕の目標はロットのライヴで踊ることなんですけど、それも僕にとっては会話なんです。会話を積み重ねていきながら、そこにたどり着きたいと思っています。

——これから2人の「会話」が始まるわけですね

三船:末長く見守ってください(笑)。

ROTH BART BARON
三船雅也(vo/g)を中心に、東京を拠点とし活動しているフォーク・ロック・バンド。2014年に1stアルバム『ロットバルトバロンの氷河期』を制作。2019年11月に4thアルバム『けものたちの名前』を発表し、「ミュージックマガジン」ROCK部門第3位をはじめ多くの音楽メディアにて賞賛を得た。活動は日本国内のみならずUS・ASIAにも及ぶ一方、独創的な活動内容と圧倒的なライブパフォーマンス、フォーク・ロックをルーツとした音楽性で世代を超え多くの音楽ファンを魅了している。ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文主宰 “APPLE VINEGAR MUSIC AWARD 2020″にて大賞を受賞。2020年10月には5thアルバム『極彩色の祝祭』を、2021年11月には6thアルバム『無限のHAKU』をリリースした。
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辻本知彦
18歳よりダンスを始め、2007年にはシルク・ドゥ・ソレイユに日本人男性ダンサーとして初めて起用され、2011年から『Michael Jackson The Immortal World Tour』に参加し、27ヵ国485公演に出演する。2010年には森山未來と「きゅうかくうしお」を創設し活動を展開する。「東京2020オリンピック」開会式出演。NHK2020応援ソング『パプリカ』の振付を菅原小春と共作する。また、Siaの『Alive』日本版ミュージックビデオ(MV)での土屋太鳳への振付、米津玄師の「感電」MVや、第69回NHK紅白歌合戦での米津玄師『Lemon』の菅原小春への振付、大河ドラマ『青天を衝け』(2021年)オープニングダンス振付、CM「ポカリスエット」「UQモバイル」など、多岐にわたって活動する。TBS系『情熱大陸』、NHK総合『NHKスペシャル』、Eテレ『SWITCHインタビュー 達人達』などの各メディアへの出演も多数。
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■ROTH BART BARON Tour 2021-2022『無限のHAKU』
2022年
1月29日(土)石川 金沢 ARTGUMMI【公演延期】
1月30日(日)静岡 磐田 BARN TABLE【公演延期】
2月5日(土)札幌 モエレ沼公園”ガラスのピラミッド”
2月6日(日)札幌 ペニーレーン24
2月11日(金)福岡 BEAT STATION
2月12日(土)熊本 早川倉庫
2月13日(日)鹿児島 SR Hall
2月18日(金)大阪 梅田 CLUB QUATTRO
2月19日(土)香川 高松 DIME
2月20日(日)広島 CLUB QUATTRO
2月25日(金) 名古屋 THE BOTTOM LINE
2月26日(土)仙台 darwin
<Tour Final>
4月9日(土)東京 国際フォーラム ホールC
TICKETS NOW ON SALE
https://www.rothbartbaron.com

Photography Hironori Sakunaga
Edit Atsushi Takayama(TOKION)

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ROTH BART BARON × ダンサー・辻本知彦 対談前編——「ロットの曲は価値観を変えてくれる」 https://tokion.jp/2022/01/01/roth-bart-baron-masaya-mifune-x-tomohiko-tsujimoto-part1/ Sat, 01 Jan 2022 12:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=87640 ROTH BART BARONの三船雅也とダンサーの辻本知彦による初対談。対談は前編と後編の2回。前編では、辻本がROTH BART BARONを知った経緯から言葉とダンスの違いについて。

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フォークをベースにしながら、エレクトロニクス、ホーン、ストリングスなど多彩な要素を加えた独自のサウンドで注目を集めるバンド、ROTH BART BARON(ロットバルトバロン)。リリースされたばかりの新作『無限のHAKU』では、これまで以上に緻密に作り込まれた音作りで新境地を切り開いた。そんな彼らの音楽は国内外のアーティストに刺激を与えているが、その1人がダンサーの辻本知彦だ。シルク・ドゥ・ソレイユに日本人として初めて起用された辻本は、東京2020オリンピック開会式出演。米津玄師、RADWIMPS、Siaなど、さまざまなアーティストのミュージックビデオで振り付けを担当してきた。そんな辻本にとって、ROTH BART BARONの音楽は自分の体に一番フィットするという。

そこで今回、ROTH BART BARONの中心人物、三船雅也と辻本知彦が初顔合わせ。音楽、言葉、身体など、さまざまな話題を行き交うトーク・セッションを前編と後編の2回に分けてお届けする。辻本がROTH BART BARONと出会った経緯から、お互いの創作に対する向き合い方、言葉とダンスの違いなど、興味の赴くままに2人が語り合う。

——辻本さんはどのようにしてROTH BART BARON(以下、ロット)のことを知ったのですか?

辻本知彦(以下、辻本):僕のアシスタントがストレッチや練習をする時にかけていたんです。『けものたちの名前』とか『極彩色の祝祭』なんかを。それを聴いて、めちゃめちゃ良いなあ、と思って。それで、いろんなところでかけるようになったんです。さも、自分が見つけたように(笑)。

——そのアシスタントがロットのファンだった?

辻本:どこで見つけたんだ? って聞いたら、ダンスのクラスで使っている先生がいて、それで知ったみたいです。

三船雅也(以下、三船):マジですか。自分では踊れない曲を作っていたつもりだったのに(笑)。

——辻本さんはロットを聴いて、どんなところに惹かれました?

辻本:一番は体に合うところですね。踊っていて気持ちがいい。三船さんの声の響かせ方とか歌い方が自分のダンス感にフィットするんです。三船さんの歌声って楽器に近い気がする。僕は楽器ではストリングスとハンドパンが大好きなんですけど、三船さんの声はストリングスの伸ばし方やハンドパンの心地よい音色に近い。

三船:そうなのかな。倍音の持続感みたいなところは近いかも。

——他に好きな声ってありますか?

辻本:最近、日本の曲をよく聴くようになったんですけど、声が好きだと思えるのは。アイナ・ジ・エンドとかmilet、yamaとかですね。

——インストはあまり聞かない?

辻本:昔はインストをよく聴いてました。やっぱり、ダンサーとして自分が主になりたいので、歌詞がある曲では踊ってなかったです。でも、MVの振り付けをするようになってから、「歌詞が入っているのに踊れるか?」っていう挑戦をするようになりました。

——歌声が曲のメインだとしたら、ダンサーはそこでどんな風に存在すべきなのか。立ち位置が難しいですね。

辻本:そう。だから今は自分が主役というより、一緒に闘うって感じです。時には譲り合うこともある。例えば曲のサビ。普通、ダンサーならガッと前に行きたくなるけど、逆にそんなに踊らないようにするとか。

——ロットの曲で踊っている時はどんな感じですか?

辻本:ロットの曲は僕がどれだけ失敗しても拾ってくれるというか。表現が行き過ぎたりしても、曲全体の中では失敗にならない。普通の曲だと「外れた」って感じてしまうことがあるんですけど、(ロットの曲は)「これもありなんじゃないの?」って思わせてくれる。音楽が直線的じゃなく、どんどん広がっていくような感じ。僕の印象ではアートに近い。

——ーーアートに? 興味深い話ですが、辻本さんにとってアートとはどういうものなのでしょうか。

辻本:価値観が変わるものかな。アートは新しい価値観を示してくれる。

三船:確かに優れたアートは世界を変えてくれますね。美術館を訪れてインスタレーションを観たりするんですけど、そこで価値観が変わる瞬間がすごい好きだし、そういうものに影響を受けてきた。音楽も聴く前と聴いた後で自分が全然違う感覚になってるものが好きだし。そういうものを作りたいと思ってきたので、辻本さんに〈アート〉って言ってもらえたのはすごく嬉しいですね、そんな風に言ってくれたのは辻本さんが初めてかもしれない。僕は辻本さんのダンスを生で見たことがないし、ダンスに詳しいわけでもないから偉そうなことは言えないけど、映像で見る限り辻本さんのダンスもアートだと思います。

辻本:よかったら、すぐここで踊りますよ!(笑)。

「ダンスは言葉にはならないことを表現できるけど、一方で言葉のわかりやすさにも惹かれる」

——三船さんは辻本さんがリハーサルでロットの曲で踊る映像を見られたそうですが、どうでした?

三船:「あ、俺の曲で踊ってる!」みたいな、ちょっと恥ずかしい気持ちもありつつ(笑)、辻本さんの体を通して自分の曲を伝えられるみたいな気がしました。辻本さんのダンスを通じて、自分が意図していなかった、全然違った角度から曲を受け取ることができる。「俺が作っていたのはこういうものだったのか」って、辻本フィルターを通してフィードバックが返って来るっていうか。

辻本:どんな映像を見られたのかわからないんですけど、今日、初めてロットの曲で踊った時の映像を持ってきたんです。ここで見てもらってもいいですか? (PCをとり出して映像を流しながら)この取材のための自分なりのストーリーがあって、今日は踊った時に着ていた服できたんです。ほら、同じでしょ?(笑)。

初めてロットの曲で踊った時の映像

三船:そうなんだ! 嬉しいな(笑)。

辻本:(映像を一緒に見ながら)今、こうして自分のダンスを見てて思うのは、いつもだったらもっと攻めるんですよ。でも、ここでは引いている。曲が“行ってくれる”から自分は落ち着こうと。

三船:このダンスを見たら毛穴が開きますね。この動き!

辻本:(ロットの曲は)歌詞からもすごく刺激されるんです。好みの言葉が耳に入ってくる。例えば「永遠」とか言われると、それだけでグッときちゃうんです。人が生きて死ぬまでに問わなくちゃいけないようなサゼスチョンや「?(はてな)」もくれる。「アイスクリーム」って何だろう? とか.

——ダンスをする時には歌詞も重要なんですね。三船さんは歌詞を書く時に意識していることはありますか?

三船:毎回、言葉が出てくるまで、広い海に釣り糸を垂らしている感じですね。6時間、ずっとテーブルやコンピューター、ノートの前に座って、「1行出た」とか「1個も出なかった」とか。道を歩いてて思い浮かぶこともあるし、誰かの表現を見てすごく泣きたくなった時に、ダムが決壊したように出る時もある。そうやって、言葉を1つ1つ紡いでいくしかない。

人が言葉を紡ぐっていうのは、自分の領域から外に出たい、という気持ちの表れでもあると思うんですよ。マサイ族が重力から逃れようとして、ぴょんぴょんジャンプするみたいに。だから自分が歌詞を書く時は、「自分の殻を破って出られるのか?」ということを言葉に入れたいというか、勝手に出てきてしまう。そういうものに辻本さんが反応してくれているような気もします。自分がいる世界から飛び出したい、という気持ちはロックもダンスも同じだと思うし。

辻本:ほんとに不思議だな、と思うのは、「あ」と「い」がつながって「愛」になるんですよね。そのシンプルなメカニズムが素晴らし過ぎて。前に舞台で(ダンスで)五十音を作ったことがあるんです。でも、それで「あ」と「い」をつないでも「愛」にはならないんですよ。素直に「愛」って言えるダンスが欲しい。ダンスって抽象的だから、そのなかで具体的なものを見つけたいと思っていて。だから言葉には嫉妬するんですよ。ここは言葉で簡単に言えたらなって思うこともあるし。

三船:なるほど。面白いですね。

辻本:僕らは言葉にならないことをダンスでやってるんだっていう自覚はすごくあります。言葉を使わないからこそ、言葉にはならないことを表現できる。その一方で、言葉のわかりやすさにも惹かれる。だから最近では、ピクトグラム的なものも入れるようにしているんです。こんな風に(指でハートの形を作る)わかりやすいものを。そうすると見ている人にすぐ伝わるので。以前はわかりやす過ぎて嫌だったんですけど、最近は(見る人の気持ちを)誘えるように入れるようにしています。

三船:音楽では、言葉だけじゃなく、メロディーや楽器の音色がそういうピクトグラム的な役割を果たすことがあって。曲のピークのところにそういうものを持って来て、そこに隠し味のように自分の言いたいことや、やりたいことを潜ませる。そのピークのところをどういう風に見せるかはすごく吟味しますね。

辻本:普通の楽曲だとAメロ、Bメロ、サビっていうシステムがあるじゃないですか。ダンスもそんな風に作るべきなのか、以前は悩んで歯向かったりしてたんですよ。歌詞が違うんだからダンスも全部変えてやれ、と思って。でも、そうすると覚えないといけない振り付けの量が半端ない。それに振りが一緒で歌詞が違うほうが、歌詞が入ってくるんですよね。昔は決まりごとに反発して自分のアインデンティティを出すタイプだったんですけど、今は先人の恩恵を受けてやるべき、と思うようになってきました(笑)。

既存のものを再定義して中指を立てる

三船:既存のものを再定義して中指を立てるっていう姿勢は僕も同じです。辻本さんがやった「ポカリスエット」のCMのダンスも中指立ててましたよね。それまでのポカリのCMって、みんながハッピーに踊ってる感じで、見てて「ここに俺はいない」って思ってた。でも、辻本さんのダンスはクラスの隅っこにいるような奴の逆襲感があって楽しかったし、見てて励まされたんですよ。

辻本:あれは好きなようにやってよかったんですよ。それで曲を聴いてそのイメージでやったんですけど、おちょくっているのに攻めた感じで振り付けをしました。

三船:あれはおちょくりだったんだ。

——三船さんは「ポカリスエット」のCMにA_oというユニットで「BLUE SOULS」という曲を提供していましたね。辻本さんのヴァージョンは生徒たちの爆発、といった感じでしたが、三船さんが曲を書いたヴァージョンは一人の少女に焦点を当てた映像になっていました。

三船:そう。1人の人間の葛藤ですね。監督が「極彩|IGL(S)」を聴きながら絵コンテを書いていたそうで、アコギをかき鳴らして歌ってほしいって言われたんですよ。監督も俺もレオス・カラックスが好きだから、カラックスみたいな感じで行こう! っていうことになって、1人の少女が荒波に向かっていく疾走感を意識して曲を書きました。

辻本:あのCMもいいですよね。CMでは1分しか曲が聴けなかったけど、新作(『無限のHAKU』)には全部入っててよかった。あ、そういえば、あの曲はアイナと一緒に歌ってたじゃないですか! そんなつもりでさっき名前を出したわけじゃなかったけど。

三船:そうなんですか? そんなつもりで言ったんだと思ってた(笑)。

辻本:新作ずっと流しっぱなしで聴いてますよ。びっくりするくらい連続で、4回も5回も続けて聴いてます。あえて深く聴きこまないようにして、そこで何が自分の中に残るんだろうって思っていたら、それがさっき言った「アイスクリーム」だったんです(笑)。

後編に続く

ROTH BART BARON(左)
三船雅也(vo/g)を中心に、東京を拠点とし活動しているフォーク・ロック・バンド。2014年に1stアルバム『ロットバルトバロンの氷河期』を制作。2019年11月に4thアルバム『けものたちの名前』を発表し、「ミュージックマガジン」ROCK部門第3位をはじめ多くの音楽メディアにて賞賛を得た。活動は日本国内のみならずUS・ASIAにも及ぶ一方、独創的な活動内容と圧倒的なライブパフォーマンス、フォーク・ロックをルーツとした音楽性で世代を超え多くの音楽ファンを魅了している。ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文主宰 “APPLE VINEGAR MUSIC AWARD 2020″にて大賞を受賞。2020年10月には5thアルバム『極彩色の祝祭』を、2021年11月には6thアルバム『無限のHAKU』をリリースした。
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辻本知彦(つじもと・ともひこ)(右)
18歳よりダンスを始め、2007年にはシルク・ドゥ・ソレイユに日本人男性ダンサーとしてはじめて起用され、2011年から『Michael Jackson The Immortal World Tour』に参加し、27ヵ国485公演に出演する。2010年には森山未來と「きゅうかくうしお」を創設し活動を展開する。「東京2020オリンピック」開会式出演。NHK2020応援ソング『パプリカ』の振付を菅原小春と共作する。また、Siaの『Alive』日本版ミュージックビデオ(MV)での土屋太鳳への振付、米津玄師の『感電』MVや、第69回NHK紅白歌合戦での米津玄師『Lemon』の菅原小春への振付、大河ドラマ『青天を衝け』(2021年)オープニングダンス振付、CM「ポカリスエット」「UQモバイル」など、多岐にわたって活動する。TBS系『情熱大陸』、NHK総合『NHKスペシャル』、Eテレ『SWITCHインタビュー 達人達』などの各メディアへの出演も多数。
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■ROTH BART BARON Tour 2021-2022『無限のHAKU』
2022年
1月29日(土)石川 金沢 ARTGUMMI
1月30日(日)静岡 磐田 BARN TABLE
2月5日(土)札幌 モエレ沼公園”ガラスのピラミッド”
2月6日(日)札幌 ペニーレーン24
2月11日(金)福岡 BEAT STATION
2月12日(土)熊本 早川倉庫
2月13日(日)鹿児島 SR Hall
2月18日(金)大阪 梅田 CLUB QUATTRO
2月19日(土)香川 高松 DIME
2月20日(日)広島 CLUB QUATTRO
2月25日(金) 名古屋 THE BOTTOM LINE
2月26日(土)仙台 darwin
<Tour Final>
4月9日(土)東京 国際フォーラム ホールC
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ROTH BART BARONは新たなフェーズに到達 極彩色で奏でる「祝祭」の本質 https://tokion.jp/2020/11/05/the-current-phase-of-roth-bart-baron/ Thu, 05 Nov 2020 06:00:05 +0000 https://tokion.jp/?p=10040 新作『極彩色の祝祭』をリリースしたROTH BART BARON。前作からわずか1年たらず、メンバーの脱退を乗り越え、コロナ禍で制作された本作に込められた思い、そしてライブツアーについて。

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2019年11月、前作アルバム『けものたちの名前』を発表した際、ROTH BART BARON(ロットバルトバロン)の三船雅也は、「2020年には、大きく世界を変動させることが起こるはずだ」と言っていた。それが具体的にどんなものになるのかについては言及しなかったが、彼の推測どおり、こうして今世界は変動の只中にいる。

バンド史上最大規模となるはずだった東京・めぐろパーシモン大ホールでのファイナル公演を含めて、前作のリリース・ツアーを半ばで途絶せざるをえなくなったバンドは、その後もオリジナル・メンバーの中原鉄也の脱退を経験するなど、このコロナ禍の進行とともに、内外においてさまざまな辛苦を引き受けることとなった。

しかしながら、三船一人体制となった新生「バンド」は、それらの困難を突き放すかのごとく、新たな創作へとのめり込んでいくことになった。前作からわずか1年足らずで、新作『極彩色の祝祭』をリリース。隔離生活の中で始められた作業は、むしろその短くないキャリアにおける最も大きな果実となって現れたようだ。合奏するということの歓びがと狂おしさが、このように強靭な作品として結実するとは、この数ヵ月間の災禍の中にあって、いったい誰が予想し得ただろうか。

物理的な祝祭空間が封じられている中、あなたとわたしの間にある空気(ディスタンス)を強く振動させることによって、今再び祝祭を寿ぐ。これまでもバンドが金看板としてきた圧倒的スケール感のオルタナティブなフォーク・ロックを研ぎ澄ませ、信頼のサポートメンバー達がそこへさまざまな極彩(演奏)を織り込むことで、ROTH BART BARONの音楽は新たなフェーズに到達した。

人が集まるということでしか作り得ないものを作る

「こういう状況になると、『音楽は儚い存在だ』みたいな見方も出てくると思うんですけど、むしろ今まで実体的なものだと思われていた都市のシステムとかのほうが、その脆さを露呈してしまったと思うんです。その点、音楽は物理的な実体がないぶん本質的なレベルでは強いと思っていて。もちろん、経済的な苦境に立たされているのは明らかで、正当な補償はなされるべきというのが前提ですが。

確かに一人の生活者としてはしんどいことも多かったし、メンバーの脱退もあったし、世界が大火事になっている中で自分の家も火事になってしまった感覚でした。でも、大きなカオスの中でさらに新たな困難が起こると、妙に実感が湧いてこない部分もあって。ライブもできない、新しい体制も模索しなければならないっていうお尻に火がついている状況だったから、落ち込む暇もなかった。自分達よりはるかに大変な思いをしている人達が世界中にいるし、近所の商店街をみていても、通常営業はできないけど工夫して食材を売ったりとか、たくましく立ち向かっている人達がいる。そんな中で、自分も前に進むしかないんだとポジティブな気持ちになっていったんです」。

そういった「前向きながむしゃらさ」のようなものは、実際にアルバムの内容からも強く匂い立つように感じる。

「正直、曲を作っているときは『音楽的なふくよかさとか小さな差異を楽しむ』みたいな気持ちすら起きてこなくて。自我の悩みとか苦悩する創作者とか、そういう伝統的な芸術家像がいかにも牧歌的に見えてしまうような惨事が起きてしまったわけで、今となってはさまざまな要素を取り繕ったような温度の低い音楽を作ることはできないなと思ったんです。それではもう人の心は動かせない。だから、リアルタイムで生まれてくるものをロック・バンドとしていかに熱量を持ったまま世界へ提示できるか、その純度を高めるにはどうすべきかを一番に考えていました。

一方で、音響面のアプローチについてはより綿密に詰めていきたいという気持ちもありました。サポート・ギターの岡田(拓郎)ともよく話していたんですけど、ブレイク・ミルズの新作『Mutable Set』からはすごく刺激をもらいましたね。今の状況で聴くとややパーソナル要素過剰にも思うけれど、フィジカルな快楽が濃く漂っていながら、同時に音の空間配置がすごく巧み。まだまだ未開拓のサウンド・アプローチがあるんだということを気付かせてくれました。

録音に関しては、暫時的な方法としてリモート・セッションでの制作も選択肢として考えうるけど、それだと『やってみました』以上の音楽が出てこないような気がしていたんです。幸いなことにこの国では6月以降ある程度人が集まることが可能な状況だったし、レコーディングもできるだけ通常運転でやって、人が集まるということでしか作り得ないものを作ろうと思いました。緊急事態宣言が明けてすぐ、自分も含めて長く人と一緒に音を出していなかった演奏者達が一同に集まって音を鳴らしたとき、みんな初心に帰ったように『やっぱり楽しいね』って言っていたのが印象的ですね。そこには素直な歓びがあったし、自分の予想を越えた強度と新しい景色を持った音が生まれたように思います。プレイバックしていても、本当に素晴らしいものが録れたと確信しましたね。まさに『祝祭的』だったと思います」。

無形性こそが「祝祭」の本質

アルバム・タイトルにも掲げられたように、その「祝祭」こそ、本作の重要なコンセプトだという。しかしそこには、一般的な「祝祭」の語義理解をはみ出すような意味性も据えられているようだ。

「祝祭って、中心点が不在だけれど多くの人が何かしらの歓びを共有できている状態だと思うんです。例えば音楽フェスでもステージを見ずに踊っている人がいるかと思えば、体を揺らしてご飯を食べている人がいたりとか、てんでバラバラなようでいて、あらゆるところに楽しいという感情がある。アーティストの演奏が歓びを『配っている』というより、当人の中でそれぞれ湧き上がっている感じというか。スポーツ観戦でも、超人的プレイをするアスリートに注目が集まっていることは確かだけど、観客はそれぞれ思い思いの感慨を抱きながら熱狂していて、『熱狂それ自体の中心』みたいなものはないと思っていて。

一方でコロナ禍によって、今まで資本主義を回転させていたさまざまな経済活動とか、新製品や新サービスによって焚きつけられるインセンティブが一旦停止してしまうと、妙なすがすがしさとか開放感を感じたりするじゃないですか。そういうとき、根源的な祝祭の可能性が蘇ってくるような気がしたんです。実をいうとこの祝祭というタームは、前作リリース直後、コロナ以前から考えて部屋に毛筆で書いて貼っていたものだったんですけど、こういう状況になってみてより鮮やかにその意味が浮き上がってきたように感じて。

音楽イベントをはじめ、人が物理的空間に集まる旧来の形態での祝祭は一時的に封じられているけど、音楽作品のみを通して祝祭を生むことも可能なんじゃないかなと思ったんです。最初に言ったとおり、そもそも音楽自体は物理的に手に取れるものでなくてあくまで空気の振動なわけですけど、むしろその無形性のような性質のおかげで歴史的にもいろいろな祝祭において音楽が重用されてきたと思うし。そう考えると、祝祭にとって『たくさんの人が集まっている』ということ自体は副次的な要件でしかなくて、そういう無形性こそが本質的な要素なんじゃないかなと思ったりしますね。例えば、タイタニック号がどんどん沈んで聴衆も消えていく中最後まで演奏を続けた楽団のエピソードとかにも、祈りであるとともにどこかしら祝祭性を感じてしまうんです」。

根源的な次元で「大きい」音楽を作りたい

並行して、前作『けものたちの名前』から続く、「人間以外の視点」というテーマのさらなる掘り下げがなされているのも本作の特徴だろう。

「コロナ禍以前から作っていた曲もありますけど、レコーディングの前に人里離れた山小屋へこもって作業したことも大きかったように思います。イノシシとか鹿が普通にその辺りにいるような所だったんですけど、森は何もなかったようにいつもと変わらず青々としているし、結局のところ今回の騒動はあくまで『人間にとって』の惨事であるにすぎないということに深いレベルで気付かされて。人間目線でばかりものごとを捉え過ぎることによって、不調に陥ってしまう。そこをいかに越えていけるかというのは歌詞を作るにあたっても考えていましたね。言葉自体はもちろん人間のものだけれど、苦悩する人間の目線からその言葉を開放するというか……。例えば『極彩|IGL(S)』の『君の物語を絶やすな』というフレーズも森の中に身を置いたからこそ出てきた言葉だろうと思います」。

ここで歌われる「極彩色」は、「祝祭」と並んで、おのずと「多様性」という概念とも接続してくるふうだ。そしてそれは、多様性の裏面的事象として位置づけられてしまいがちな「分断」という時代診断をも溶かそうと試みる。

「分断という時代把握自体が、ある種恣意的に設定されているものじゃないかと思うんですよ。例えば、グレタ・トゥーンベリの地球温暖化に対しての発言というのは、なにか特定の集団を益したり傷つけたりするものではなくて、イデオロギー関係なくそもそも人類総体にとっての問題提起であるわけですよね。それが発信元が彼女だったからという『見方』によって、賛成/反対の議論が起きて、『何を言ったか』でなく『誰が言ったか』が焦点化されていく。そういうことを繰り返しているうちに、みんなが乗っている船自体が沈んでいっているという最も重要なことが忘却されてしまう。BLMもそうですよね。あの切迫した怒りを生んだ現状や歴史とかが共有されずに、誰と誰が敵同士なのかという話に収斂してしまう。それは想像力の欠如によるのかもしれないし、あるいは特定のルール・メーカーによって設定されたルールに『従いすぎている』ということなのかもしれない。だから、そういうグラウンド・ルールに対しては、『サッカーでハンドをしまくる』みたいな視点の大転換があっていいのかもしれないなと思っています。実際僕もバンドとして生き抜くために、業界的には常識はずれのことをたくさんしてきましたし(笑)。

まあ……何がいいたいかというと、シンプルに『分断は流行らない』っていうか、『分断っていう言説を流行らせている場合じゃないよね』ということですかね。もっと巨視的な構えから物事を考え始めたい。こういうのは、僕自身の音楽観にも通じていることなのかもしれない。いろんな文脈を端正に配置した箱庭的な美しさのあるものより、もっと根源的な次元で『大きい』音楽を作りたいと思ってやってきたので」。

最後に、早くも今月からスタートする全国ツアーへの意気込みも聞いた。

「まずはいつも通りいい音楽をならして、それを観に来てくれるお客さんに最良の状態で届けることを目指しています。まだコロナは収束してない状況だしこの先も危険は続くと思うんですけど、こういうときだからこそ、それへの向き合い方を学んでおきたいし、状況に合わせた『祝祭の場』をどう作ることができるのかについて経験則を獲得していかないと、未来はどんどん厳しいものになっていくと思うんです。

僕らも含めて、ミュージシャンの全員がその経験則においては一年生なわけだけど、ずっと一年生で足踏みしているわけにもいかない。たとえ運良く収束という状況になったとしても、一度変わった価値観が元通りになることは難しいと思うし、配信と生ライブという選択肢が並列する状態は続いていくと思いますしね。いろいろなことに気を配りながらも、この鍛錬を楽しめるように演奏していきたいなと思っています」。

ROTH BART BARON
三船雅也(vo/g)を中心に、東京を拠点とし活動しているフォーク・ロック・バンド。2014 年に1st AL『ロットバルトバロンの氷河期』を発表。2019年11月に4th AL『けものたちの名前』を発表し、<Music Magazine>ROCK部門第3位をはじめ多くの音楽メディアから賞賛を得た。2018年からコミュニティー”PALACE” を立ち上げ、独自のバンドマネージメントを展開。ASIAN KUNG-FU GENERATION 後藤正文主宰 “APPLE VINEGAR MUSIC AWARD 2020"にて大賞を受賞。2020年10月28日にはニューアルバム『極彩色の祝祭』をリリースし、全国ツアーを行っている。
https://www.rothbartbaron.com

Photography Toki

ROTH BART BARON
New Album『極彩色の祝祭』
[CD]¥3,000

[Track]
01. Voice(s) 02. 極彩 | I G L (S) 03. dEsTroY
04. ひかりの螺旋 05. King 06. 000Big Bird000
07.BURN HOUSE 08. ヨVE 09. NEVER FORGET 10. CHEEZY MAN

<LIVE INFORMATION>
■ROTH BART BARON Tour 2020-2021『極彩色の祝祭』
2020年
11月7日 広島・クラブクアトロ
11月14日 静岡・浜松 舘山寺
12月5日 京都・磔磔
12月12日 東京・渋谷 WWW

2021年
1月16日 愛知・名古屋 The Bottom Line
1月21日 福岡・百年蔵
1月22日 福岡・the Voodoo Lounge
1月23日 熊本・早川倉庫
2月6日 石川・金沢 Art Gummi – Guest Act:noid –
2月7日 富山・高岡市生涯学習センター1F リトルウィング
2月13日 大阪・梅田 Shangri-La
2月20日 北海道・札幌 モエレ沼公園 ガラスのピラミッド
2月21日 北海道・札幌 Sound Lab mole
2月23日 宮城・仙台 Rensa

■ROTH BART BARON『けものたちの名前』Tour Final めぐろパーシモン大ホール
2020年12月26日(土)OPEN 17:00 / START 18:30
2020年12月27日(日)OPEN 15:30 / START 17:00
特設 website
https://www.rothbartbaron.com/persimmon

■ROTH BART BARON POP UP STORE & EXHIBITION
日程:2020年11月21〜24日
会場:KATA (LIQUIDROOM 2F)
住所:東京都渋谷区東3-16-6 LIQUIDROOM 2F
時間:13:00〜20:00
※11月21日は14:00オープン/11月24 日は18:00クローズ
http://kata-gallery.net/

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