「ビエダ」がコレクション第2弾を発表 写真家=クエンティン・シーとのコラボ作品の展示やNFTの制作も

昨年にデビューしたジェンダーレスなユニフォームを作るファッション・レーベル「ビエダ(BIÉDE)」が第2弾コレクションを発表。10月14日より展示会「BIÉDE COLLECTION 02 IN COLLABORATION WITH QUENTIN SHIH」を開催し一般公開する。

今回発表されるのは、鍵をかけより私的に持つことを可能にする、ジェンダーレス/ボーダーレスな3つの形のエアラインバッグ。前回同様に高度なレベルの技術と手仕事を用いて制作された。

「BIÉDE COLLECTION 02 IN COLLABORATION WITH QUENTIN SHIH」では、同バッグとともに、クエンティン・シー(时晓凡|a.k.a. シー・シャオファン)とのコラボレーションによって生まれた写真作品も展示。クエンティン・シーは中国北京を拠点に活動するヴィジュアル・アーティスト、映画監督で、その写真作品は世界各国のギャラリーで紹介されており、「ディオール」や「ルイ・ヴィトン」などのラグジュアリー・ブランドとのプロジェクトにも参加している。今回のコラボレーションでは、「ビエダ」がコレクションのために紡いだ「物語」を基に、クエンティン・シーが写真作品の撮り下ろしを行った。「物語」の創作はビエダのチームが行い、その監修はビエダのチームが通い、またスーザン・ソンタグなども生前通っていたニューヨークの老舗古書店であるMercer Street Books & Recordsのオーナー・作家のウェイン・コンティ(Wayne Conti)が行っている。

また、「ビエダ」は今回のコレクションで、NFT(Non-fungible Token)をプロダクトの一部として発表。ファッションと社会における「所属する/所属しない」、 また「所有する/所有しない」という根本的な問いを、実空間とは別に、インターネット上でも問いかける試みとされる。

加えて、展示会では代々木公園のカフェ「プルミエメ(PREMIER MAI)」とのコラボレーションによって誕生した、「ビエダ」のスイーツメニューが期間限定で提供される。

加えて、代々木公園のカフェ「プルミエメ(PREMIER MAI)」では、同店で人気の季節のロングミルフィーユプレートを「ビエダ」がコレクションのストーリーを基にデザインし、併せて共同開発したドリンクが提供される。

今回の展示に際し、様々な角度からプロダクト/プロジェクトを展開する「ビエダ」に2つの質問を投げかけた。

「ビエダ」への2つの質問

――クエンティン・シー氏とコラボするに至った経緯・理由を教えてください。

「ビエダ」:クエンティン・シーとの共同作業を行っているのは、物語(ストーリー)に対して非常に理解があることが理由です。ビエダの撮影をするとき、物語に対して理解のある写真家に撮影してもらいたいと思っていました。彼の過去の作品を見てインタビューを読み、すぐにコンタクトをとったのがきっかけです。我々の考えていることを非常に解像度高く捉えてくれます。

クリエイティブで最も意識しているのは、物語(ストーリー)に対して感覚を共有できるかどうかということです。コレクションごとに、チームとして我々はショートストーリーを短編小説のような形式で作り、それを共有して撮影や創作を行っています。

ストーリーが重要なのは、それを受け取った側が何かを作った際に、我々の方に別の形でストーリーが拡張されて返ってくるからです。

ポール・オースターの『リヴァイアサン』という小説には、マリア・ターナーという架空のアーティストが登場します。これは実はアーティストのソフィ・カルをモデルにした人物ですが、この小説を読んだソフィ・カルはこの自分をモデルにした登場人物のマリア・ターナーにインスピレーションを受けて現実の世界で作品を制作しています。このように物語は「創作の連鎖」を起こす上で、重要な役割を演じています。

――今回のコレクションでNFTを制作したのはなぜでしょうか?

「ビエダ」:NFTはその需要と供給の関係がファッションの本質にかなり近いという印象を持っています。凝ったCGや3D objectが販売される一方、価値が決まっていない「電子ゴミ」のような画像や映像データが、高額で取引されることがあります。トップアーティストの物理的な作品の価格を超えるものも数多く生まれています。

NFTは、NFTそれ自体より、それを「買っている自分」というアイデンティティが本質になっているのではないかと思っています。所有して売却したことが電子的に記録されるというのが面白い点です。

メディア考古学的な見地でみると、ウェブサイトのドメインを販売するアーティストのラファエル・ローゼンダールがいます。今ではそのラファエル・ローゼンダールもNFTで作品を発表しているわけですが、この流れに躊躇せずあっさりのるのもファッションらしさの一つと思っています。「流行している」ということもファッションですから。

ビエダのシンボルマーク「∉」も「〜に所属しない」という意味のある記号です。ファッションは何かものを所有したり、身にまとうことで、何かに「所属する、所属しない」という社会の根源的な部分に繋がっていて、そこにNFTとの奇妙な共通点を感じます。

今回はCOLLECTION 02のストーリーからモチーフを選んで作品を順に発表する予定です。NFTのコミュニティの方に観てもらいたいと思っています。

NFTは、FOUNDATION.APPHICETNUNCのプラットフォームで近日中に発表を行う予定です。

■「BIÉDE COLLECTION 02 IN COLLABORATION WITH QUENTIN SHIH」
会期:10月14日(木)~10月17日(日)
会場:STEIN BOX
住所:東京都港区南青山4-24-4-B1F TKハウス001
時間:12:00~18:00
入場料:無料

ビエダ(BIÉDE)
BIÉDEはジェンダーレスなユニフォームを作るレーベル。
BIÉDEは国境や世代を超えた人々の対話から、すべてのプロダクトを作っています。
Web:https://biede.jp/
Instagram : @biede_official
Weibo : BIÉDE

クエンティン・シー(时晓凡 a.k.a. シー・シャオファン)
中国北京を拠点に活動するヴィジュアル・アーティスト、映画監督。彼の写真作品は、中国、アメリカ、ヨーロッパのさま
ざまなギャラリーで紹介されており、Dior、Louis Vuittonなどのラグジュアリー・ブランドとのアート・プロジェクトにも多数参加。最新の作品には、写真集「FAMILIARS」(2019)、長編映画「荒野咖啡馆(The Café by the
Highway)」(2020)など。2021年9月26日から10月26日まで、Shenzhen Museum of Contemporary Art and Urban Planning にて開催中のDiorによる展覧会「ART’N DIOR」に参加。
Web : http://www.quentinshih.com/
Instagram : @quentin_shih
Weibo : QUENTIN SHIH

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TOKION EDITORIAL TEAM

2020年7月東京都生まれ。“日本のカッティングエッジなカルチャーを世界へ発信する”をテーマに音楽やアート、写真、ファッション、ビューティ、フードなどあらゆるジャンルのカルチャーに加え、社会性を持ったスタンスで読者とのコミュニケーションを拡張する。そして、デジタルメディア「TOKION」、雑誌、E-STOREで、カルチャーの中心地である東京から世界へ向けてメッセージを発信する。

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