シティポップ Archives - TOKION https://tokion.jp/tag/シティポップ/ Tue, 01 Aug 2023 03:39:19 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.3.2 https://image.tokion.jp/wp-content/uploads/2020/06/cropped-logo-square-nb-32x32.png シティポップ Archives - TOKION https://tokion.jp/tag/シティポップ/ 32 32 シティ・ポップに特化したアナログレコードのイベント「CITY POP on VINYL 2023」が8月5日に開催 全78作品をリリース https://tokion.jp/2023/08/01/city-pop-on-vinyl-2023/ Tue, 01 Aug 2023 04:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=201722 8月5日午前0時から、「CITY POP on VINYL」にエントリーされたアナログレコードを一斉に店頭・オンラインショップなどで販売開始。

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東洋化成はシティ・ポップに特化したアナログレコードのイベント「CITY POP on VINYL 2023」を8月5日に開催する

「CITY POP on VINYL」は、シティ・ポップの新旧作品をアナログレコードで楽しんでいただきたいという想いから、2020年8月に立ち上がったイベントで、今年で4回目の開催で、全78作品がリリースされる。

鈴木英人によるイラストが目を引く1970s~80sシティポップ定番コンピ『シティポップ・ストーリー CITY POP STORY ~ Urban & Ocean <Vinyl Edition>』や、細野晴臣らにより選曲された小坂忠のオールタイム・ベスト『THE ULTIMATE BEST -Analog Edition-』など、シンボリックな作品が登場する。

また近年ものとして、永井博が描き下ろしジャケットが印象的な福岡のシティポップ・ニューカマー、BARBER IN THE LIVINGROOM の1stアルバムや、ネオ・シティポップとして解散後も高い評価を得る堀江系ガールズグループ Especia の1stアルバム『GUSTO』もアナログリリースする。

【リリースアイテム】
・AIRI「都会 / Midnight Pretenders」
・BARBER IN THE LIVINGROOM「BARBER IN THE LIVINGROOM」
・bice「bice」
・bice「スニーカー」
・bird「夏のクラクション」
・DÉ DÉ MOUSE「Nulife / Regret」
・DÉ DÉ MOUSE & 一十三十一「Love Groovin’」
・EPO「VITAMIN E・P・O」
・Especia「GUSTO」
・GATO「miss u / luvsick (Kazuki Matsumoto remix)」
・GONTITI「VACANCES」
・Kan Sano「Natsume」
・Kendy Suen「白眉」
・Lil Summer「Rojo」
・MILK「Milk」
・NONA REEVES「DESTINY (Clear Pink Color Vinyl)」
・Original Love「RAINBOW RACE」
・Original Love「Desire」
・PAPER MOON PROJECT「CITY POP AVENUE」
・Rin音「swipe sheep」
・Sunaga t Experience「CoБaka (Crouka)」
・TENDRE「PRISMATICS」
・THE ROMANS「テレビ c/w テレパスガール」
・THE ROMANS「リリィへの気もち c/w グッドモーニング・マドモアゼル」
・Tokimeki Records feat. ひかり「WINDY SUMMER」
・TSUBAME「DREAMER feat. mabanua & HUNGER / SPACE feat. TENDRE」
・V.A.「Grand Gallery Presents DANCE CLASSICS BOSSA」
・V.A.「Grand Gallery Presents FUTURE CLASSICS LOVERS」
・V.A.「Les Enfant 2」
・V.A.「シティポップ・ストーリー CITY POP STORY ~ Urban & Ocean」
・YASUSHI IDE「LONESOME ECHO」
・Yasushi Ide Presents Lonesome Echo Strings「PURPLE NOON」
・アマネトリル「CRUISER POP」
・アマネトリル「LADY PINK PANTHER / 夕凪フィルム」
・亜蘭知子「浮遊空間 (Blue Color Vinyl)」
・伊藤銀次「Deadly Drive (Red Color Vinyl)」
・宇田川別館バンド「つつみ込むように・・・ / いかないで」
・大貫妙子「サマー・コネクション / 部屋 (クリアオレンジカラーヴァイナル)」
・大貫妙子「都会 / くすりをたくさん (リプレス)」
・大橋純子「MAGICAL 大橋純子の世界Ⅲ (ブルーカラーヴァイナル)」
・岡崎友紀「So Many Friends (Yellow Color Vinyl)」
・おかもとえみ「wwavess」
・小野リサ「サウダージ」
・かとうれいこ「夜はやさし」
・カルロス・トシキ&オメガトライブ「natsuko (Blue Color Vinyl)」
・金 佑龍 (キム ウリョン)「PORA PORA / ほーるどおんみー」
・国分友里恵「STEPS」
・小坂 忠「THE ULTIMATE BEST -Analog Edition-」
・ザ・ハッピーズ「アンドロメダ急行」
・清野由美「NATURAL WOMAN」
・高橋拓也「FANTASTIC LOVE IN WONDERLAND」
・竹内アンナ「at ONE」
・竹内アンナ「at TWO」
・竹内アンナ「at THREE」
・竹内アンナ「at FOUR」
・竹内アンナ「at FIVE」
・田中裕梨「真珠のピアス」
・なかの綾とブレーメン「Como você Quiser c/w 真夜中のドア ~Stay With Me~ feat. CENTRAL (Special 7′ Mix)」
・中森明菜「CRIMSON」
・中森明菜「CRIMSON (+1) 2LP」
・野見山正貴「face」
・濱田金吾「Midnight Cruisin’ (Red Color Vinyl / リプレス)」
・浜本沙良「Truth Of Lies」
・はらかなこ「Tonight is the night feat. 杏子 / Tokyo Neon feat. 宏実」
・はらかなこ「最後のキスなら feat. 島谷ひとみ / 360 feat. 倉品翔」
・ハルナ「Hometown」
・広末涼子「ARIGATO! (Red Color Vinyl)」
・広末涼子「MajiでKoiする5秒前 (Orange Colour Vinyl)」
・フラットフェイス「FACE」
・前田憲男とティン・パン・アレー「ソウル・サンバ」
・松原みき「-CUPID-」
・松原みき「Paradise Beach」
・間宮貴子「LOVE TRIP (ピンクカラーヴァイナル)」
・南 佳孝「サウス・オブ・ボーダー」
・八神純子「COMMUNICATION (Purple Color Vinyl / リプレス)」
・山口美央子「月姫 Moonlight Vinyl Edition」
・流線形「遠い水平線 feat. 児玉奈央」
・横山輝一「FOR YOUR LOVE / FOR YOUR LOVE (INSTRUMENTAL)」
https://citypop.onvinyl.jp/item_2023/

■CITY POP on VINYL 2023
2023年8月5日午前0時から、「CITY POP on VINYL」にエントリーされたアナログレコードを一斉に店頭・オンラインショップなどで販売開始。ネット販売、予約受注に関する制限は設けていない。
https://citypop.onvinyl.jp

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LAファンクの雄・XLミドルトンが語る、日本シティポップと自身の現在地 https://tokion.jp/2022/05/28/interview-xl-middleton/ Sat, 28 May 2022 06:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=115612 LAモダン・ファンク・シーンの重要アーティスト、XLミドルトン。昨年リリースのアルバムで日本のシティポップを大々的にサンプリングした彼に、制作背景や同音楽の魅力・Gファンクとの共通性、そして自身が営むレコードショップのことなどについて尋ねた。

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2003年にエクストラ・ラージ(Xtra Large)名義でデビューを飾って以来、Gファンクを継承・発展させたスタイルで作品を紡ぎ続けるLA拠点のプロデューサー/ラッパー、XLミドルトン(XL Middleton)。自身のアーティスト活動に加え、モダンなファンク・サウンドにより世界中のリスナーを魅了するレーベル「MoFunk Records」の主宰も務める彼は、現代のLAファンクシーンを語る上で欠かすことのできない重要アーティストである。そんなXLミドルトンが2021年4月にリリースした『XL Middleton & Delmar Xavier VII』では、得意とするシンセ・キーボードの演奏がほぼ排され、日本のシティポップを中心としたサンプリングによりトラックが作り上げられている。今作の制作意図・背景を起点として、日本シティポップに惹かれた理由やGファンクとの共通点、そして自らで営むレコードショップ「Salt Box Records」のことや日本人アーティストとのコラボレーションなどについて、XLミドルトンに尋ねた。

LAライフを綴ったリリックと日本シティポップのメロウなサンプル

――昨年4月にリリースされた、プロデューサー・Delmar Xavier VIIとの共作アルバム『XL Middleton & Delmar Xavier VII』が、日本のシティポップのサンプリングを多くフィーチャーした作品となった理由やアルバムのコンセプトについて教えてください。

XLミドルトン:Delmar Xavier VIIというのは、実は俺がサンプル中心のトラック作りやエディットを制作する時に使っている別名義なんだ。ラップも俺がやってる。2020年のパンデミック中の自分の人生のドキュメントを作りたくて、ラップをすれば、それを詳細に描写できると思ったんだ。俺の場合、サンプリングで曲作りをすることは少ないんだけど、今回はサンプルを中心にアルバム1枚を作り上げることに挑戦してみたかったんだよ。さらに、シティポップのみをサンプリングするというルールを作って、難しいチャレンジを設定することで、おもしろい作品になると思ったのさ。

――あなたは通常サンプリングをせずにシンセサイザーを使ってトラック作りをしていますが、なぜ今回はサンプリングをすることにしたのでしょうか?また、サンプルを選ぶ時の基準は何だったのでしょうか?

XLミドルトン:サンプリングだけでトラックを作ったアルバムはまだ制作したことがなかったんだ。サンプリングを使ったトラック作りというのは、楽器を演奏するのと同じように、一種の職人技でもある。俺にとって、サンプリングをすることよりも、キーボードを演奏することのほうが楽なんだよ。今回の作品の目標は、サンプリングの自分のテクニックを磨いて、サンプリングで自然にトラック作りができるようになることだった。この作品でその目標を達成できたと思うから、次回もまたこのような作品を制作することがあれば、さらに洗練された作品を作れると思うんだ。

サンプル・ネタのチョイスについては、特に選定基準はなかったんだけど、とにかくいい曲が作れそうなネタを選ぶようにした。俺はさまざまなタイプの音楽を聴いているから、リスナーの観点で音楽を聴くというスタンスを保つことができている。俺の中のリスナーの部分が、サンプルを聴いて何か感じることがあれば、俺の中のプロデューサーは、そのネタを使ってトラックに生命を吹き込みたくなるんだ。

――ネタはすべて日本のシティポップですか? それとも他のジャンルや国の音楽も使ったのでしょうか?

XLミドルトン:それぞれの曲は1つのシティポップのサンプルを中心に作られていて、何曲かは補助的なサンプルとしてシティポップ以外のネタも使った。1曲ではシンセを演奏した。1枚のアルバムを制作して、1曲でしかシンセを演奏していないというのは自分でも信じられないよ。

――Bandcampのページでは、このアルバムはコロナ時代におけるLAでの生活がテーマになっていると書いてありましたが、使用しているサンプルのサウンドはメロウです。メロウなサウンドのサンプルを選ぶことで、シリアスなテーマのリリックとのコントラストを目指したのでしょうか?

XLミドルトン:パンデミックが起きてから、隔離しないといけなかったから、誰もが深い孤独を感じていたと思う。少なくとも俺は感じていたよ。深い孤独の中で、想いに耽っている状態を表す音楽を選びたかったんだ。シティポップの曲の多くには、美しさの中に孤独の要素が入っている。それを言葉で説明するのは難しいし、俺も日本語の歌詞を理解していないけど、そういうフィーリングをシティポップから感じる。

――このアルバムであなたはラッパーとしてどのようなテーマを表現したのでしょうか?

XLミドルトン:さまざまなテーマを表現したよ。「Lament For The Angels」では、LAの歴史を曲の中に凝縮してみた。ある意味『City Of Quartz』という本をラップで表現した感じだし、リリックの中でもこの本について言及している。「Strange Dance」は、パンデミックなのに、まるでそうでないかのように外で振る舞っている人達についての曲。「LA Noir」ではLAの警察の汚職と残虐性、「LA Holiday」ではLAで起きているジェントリフィケーションについてラップしている。「Perfect Time To Come Over」は、アルバムを希望のあるサウンドで終えたくて入れたんだ。この曲は、ロックダウンが起きてからずっと会えていなかった好きな人との再会についてラップしている。「Too Late」では、人生におけるポジティブな変化を起こすのは、いつだって遅くない、というメッセージが込められている。人間というのは、明るい気分の日もあれば暗い気分の日もあって、アルバム全体でそういう人間の感情の起伏を表現したかった。

Gファンクとシティポップの交錯点

XL Middleton & Delmar Xavier VII『XL Middleton & Delmar Xavier VII』

――日本のシティポップに、いつどのように出会ったのでしょうか? あなたは日系アメリカ人として日本にもルーツを持っていますが、小さい頃から日本の音楽は聴いていたのでしょうか?

XLミドルトン:そう、俺は日系アメリカ人なんだ。具体的に言うと俺のルーツは沖縄にあるんだけど、俺の先祖は何世代も前にハワイに移住した。だから、日本や沖縄に親戚がまだいるかはわからない。俺は日本の音楽を聴いて育ったわけじゃないけど、シティポップと出会った時は、それまではなかった自分のカルチャーとのコネクションを見つけることができた瞬間でもあった。シティポップは俺が愛するR&B、ファンク、ソウルの枠の中にある音楽だから、共感しやすかった。

――日本のシティポップは、アーティストや作品によりさまざまではありますが、米国のソウルやディスコ、AOR、フュージョンなどから影響を受けて生まれたポップスとされています。あなたから見て、この音楽の魅力やおもしろさはどこにあると感じていますか?

XLミドルトン:いくつかの要素があるね。多くのアメリカ人は、日本とアメリカのカルチャーには大きな違いがあるので、日本に対してとても関心があるんだ。シンプルに言うと、シティポップは西洋音楽の日本的解釈から生まれたものなんだけど、日本の伝統音楽の要素と組み合わせている。だから、アメリカのアーティストとは全く違うタイプのコード進行やアレンジを取り入れているんだ。シティポップには聴き慣れている要素と、同時に全く聴いたことがない要素が入っているから、興味を持った人が多いと思う。

――西海岸のモダン・ファンク・シーンを牽引するアーティストとして、シティポップのグルーヴについてどのようなことを感じますか?

XLミドルトン:もちろんウェストコースト・ファンクとシティポップには共通点はある。Gファンクは、日曜日のBBQでかかるようなレイドバックなサウンドだけど、そのフィーリングはシティポップのAORっぽい曲に特に入っている。つまり、ライトメロウ系のシティポップのことだね。両者ともグッドヴァイブスな音楽だし、ヤシの木が見えるサンセットにはぴったりのサントラさ。アップテンポなブギー系のシティポップは、80年代のウェストコースト・ファンク・サウンドと当然ながら相性がいい。

――特にお気に入りのシティポップ作品やアーティストがあれば、その理由とともに教えてください。また、最初に注目したシティポップのレコードは?

XLミドルトン:たくさんありすぎて、質問された日によって違う答えが出てくると思う。でもお気に入りのシティポップのリストの上位に必ずランクインするのは、山下達郎の『For You』と角松敏生の『After 5 Clash』。大橋純子の『Point Zero』には衝撃を受けたし、『Magical』はコンピレーションではあるけど、一貫性があるサウンドの素晴らしい作品なんだ。

大橋純子『Point Zero』

初めて自分が注目したシティポップの曲は山下達郎の「Dancer」。当時メルローズ通りのレコード店で売っていた海賊版のレアグルーヴのコンピレーションに入っていたんだ。DJ仲間がこのコンピレーションを入手して、その曲を聴かせてもらった時に衝撃を受けた。驚異的な曲だよ。ジェイZの『Reasonable Doubt』でサンプリングされてもおかしくない曲だと思ったんだ。これは2000年あたりの話だ。インターネットが普及するまでは、シティポップの情報を入手することは難しかった。でもインターネットによって、さまざまな人からシティポップの情報を教えてもらうことができるようになった。Discogsで作品のクレジットを見るよりも、実際に知人と情報を話し合ったり共有したりすることのほうが楽しいんだ。DJ Notoyaから知られていない曲やアルバムについてたくさん教えてもらったし、日本以外ではFamous Lee、Walla P、Amadeo 85などが日本のアツい曲について教えてくれた。LAで仲間のKaistarとTremaineとTokyo Love Songというシティポップのパーティを始めたんだ。立ち上げた直後にパンデミックになったから、パーティを大きくすることはできなかったんだけど、今はTwitchでDJを披露しているんだ。Kaistarとはよくいろいろなアルバムや曲を教え合ったり、「これ持ってる?」とはしゃいでるよ(笑)。

――シティポップ好きのリスナーが聴くべき、Gファンク、モダン・ファンクの作品を教えてください。逆に、Gファンクやモダン・ファンクのファンが好みそうなシティポップは?

XLミドルトン:シティポップのファンが好みそうなGファンクと言えば、まずはファンク・ベースに美しいコードが重ねられているWarren Gの『I Want It All』。DJ Quikの『Rhythmalism』はジャズ・フュージョンの要素が強くて、まるでT-SQUAREやカシオペアのトラックの上にラップを乗せているようなサウンドなんだ。彼の他のアルバムも似たようなサウンドだけど、特にこのアルバムではこれらの要素を強く感じる。

るWarren G「I Want It All」
DJ Quik『Rhythm-al-ism』

モダン・ファンクで言えば、Psychic Mirrorsのアルバムは要チェック。最新作の『Ophilia』に収録されている「Gables By The Sea」はシティポップ色が強い。メキシコ・シティ出身のShiro Schwarzはモダン・ファンク/シンセ・ウェーブのデュオだけど、彼らの作品はどれもチェックしたほうがいい。

Psychic Mirrors – Gables by the Sea
Shiro Schwarz – Be Kind

日系アメリカ人のSaucy Ladyの大ファンなんだけど、彼女は英語と日本語で歌ってい日系アメリカ人のSaucy Ladyの大ファンなんだけど、彼女は英語と日本語で歌っていて、シティポップにも詳しいから、その影響も彼女の音楽に反映されている。彼女がカバーした吉田美奈子の「Town」が素晴らしい。俺の仲間のKazzeyはフランス人のモダン・ファンク・アーティストだけど、彼の作品のアートワークは日本にインスパイアされたレトロ・ウェーブ系のビジュアルを取り入れていて、彼は日本のボーカリストともよくコラボレーションをしている。フランスのモダン・ファンク・アーティストのMofakとDabeullも忘れてはいけない。

Saucy Lady – TOWN
Kazzey – Over (Official Audio) Night Cruisin’

Gファンクとモダン・ファンクのファンは、ぜひ山下達郎と角松敏生の作品をチェックしてほしい。角松敏生がプロデュースしたJadoesというグループは本当に素晴らしいよ。村上リエの「TNT」はアップテンポなブギー系のダンス・チューンだし、Jファンクのスロウナンバーを聴きたい人はMyxの「Take It From Me」がオススメ。間違いなく久保田利伸のアルバム『Shake It Paradise』も聴いたほうがいいね。

JADES – IT’s FRIDAY
久保田利伸『Shake It Paradise』も

レコードショップのオーナーとしての視点、過去の音楽をディグすることの大切さ

――あなたは、ラッパー/プロデューサーであり、レーベル「MoFunk Records」の主宰者であり、またレコードショップ「Salt Box Records」のオーナーでもあります。「Salt Box Records」のコンセプトやセレクトにおいて大切にしていることなどを教えてください(ショップのInstagramを拝見すると日本の作品も多く見られます)

XLミドルトン:Salt Box Recordsを立ち上げた時、ショップとして「MoFunk Records」レーベルとは別のアイデンティティを確立させたいと思っていた。ファンクやシティポップだけではなく、どのジャンルが好きな人でも、レコード掘りを楽しめるお店にしたかったんだ。もちろん、俺が得意なジャンルもあるから、このお店は自然とそういうレコードを多く置いている。幸運なことに、日本にいる仲間がシティポップのレコードを見つけて発送してくれるから、アメリカのファンにシティポップのレコードを提供し続けられるんだ。

――シティポップも含めて、新譜だけではなく、過去の音楽を聴くことの魅力や、ルーツを知ることの大切さについて、アーティストとして、レコードショップのオーナーとしてどのように考えていますか?

XLミドルトン:とても重要なことだと思うよ。音楽を深く聴いて、背景にある歴史を理解することで、全体の文脈が理解できるようになったり、より音楽を楽しめるようになったりするんだ。プロデューサーをやっているんだったら、いろいろな音楽を聴いたほうがクリエイトしている音楽に深みが出てくると思う。俺が他のアーティストのレコードを掘っていなければ、今のような音楽をプロデュースできていないと思う。フィジカルなフォーマットで音楽を聴くのもいいし、YouTubeの沼にハマるのもいいと思う。どれも音楽的IQを磨くのにいいことなんだ。

日本人アーティストとの関わり、今後の展望

Schuwa Schuwa – METRO – XL Middleton Remix – (Official Audio Visual)

――つい最近、日本のアーティストのSchuwa Schuwaの楽曲「METRO」のリミックスを手掛けられていました。どのようなコンセプトで制作を行なったのでしょうか?

XLミドルトン:Schuwa Schuwaがプリンスの大ファンだと聴いて、「Purple」のような雰囲気のトラックを提供したいと思ったんだ。プリンスを意識してLinn Drumを取り入れたんだ。彼らのサウンドの土台はR&B、ソウル、エレクトロニック・ミュージックにあると思うけど、それを引き立たせるためにちょうどいい具合のファンクの要素を入れた。

――他にコラボレーションをした日本のアーティストは?

XLミドルトン:日本のラッパーだと Multi Plier Sync.にトラックを提供したことがあるし、DS455とコラボレーションをしたこともある。DS455のDJ PMXは何曲か俺のトラックをリミックスしてくれたこともある。以前は日本の「G-Hous」というレーベルとよく仕事をしていた。「II Tight Music」というレーベルとレコードショップのチェーン店があるんだけど、そこと長年コラボレーションをしてきたよ。そこのオーナーとレアなレコードについて語り合えるから楽しい。

――今、注目している日本のアーティストはいますか?

XLミドルトン:まずは何と言ってもMilk Talkだね。最近彼らの「Transistor Lover」をリミックスしたんだけど、彼らとの交流を始める前から「Ah Be Rue」を聴いてすぐにファンになった。最近フィロソフィーのダンスというグループにハマっていて、彼女達はシティポップをモダンに解釈していると思う。T-Grooveのディスコやファンクにインスパイアされた曲はいつもかっこいい。Maliyaの「7 Signs」はよくDJミックスの中でプレイする。一十三十一も大好きだよ。

Milk Talk – Transistor Lover (XL Middleton Remix)

――今後の活動予定について教えてください。

XLミドルトン:次のリリースは俺の初のビートテープなんだ。その後に次のフルレングス・アルバム『Tap Water II』をリリースする。第1弾の『Tap Water』で自分のモダン・ファンク・サウンドを確立させたから、セカンドはこういうタイトルにしたんだ。ファースト以来、さまざまなタイプの曲を手掛けてきたけど、『Tap Water II』ではまたブギー・サウンドをストレートに表現しようと思っている。ストリートとダンスフロア向けの曲中心になるよ。Soul Clapのために手掛けているコンピレーションも制作中だけど、これはハウスとモダン・ファンクを融合させた作品。ハウスとモダン・ファンクはとても相性が良くて、仲のいい従兄弟のようなものだ。

――最後に日本のファンにメッセージをお願いします。

XLミドルトン:2000年代に日本で自分の音楽をリリースするようになってから、大勢の人にサポートしてもらって本当に感謝している。みんなの優しい言葉とサポートがあったからこそ、俺は音楽を作り続けたいというインスピレーションを得た。日本に近い将来戻りたいと思っているから、またすぐに会いたいよ!

XLミドルトン
ロサンゼルスを拠点に活動するアーティスト兼プロデューサーのXLミドルトンは、カリフォルニアのウェストコースト・ファンク・シーンの代表的アーティスト。ロサンゼルス北部のパサデナ出身である彼は、長年かけてロサンゼルスを拠点に活動するアーティスト兼プロデューサーのXLミドルトンは、カリフォルニアのウェストコースト・ファンク・シーンの代表的アーティスト。ロサンゼルス北部のパサデナ出身である彼は、長年かけてメロディアスでコードを多用したファンク・サウンドを作り上げ、Uproxx、Okayplayer、HipHopDXなどのサイトから高評価を受けながらも、エミネムのレーベルと契約しているCrooked Iともコラボレーションを果たした。彼はWashington Postにも取り上げられ、アルバム『Tap Water』がLA Weeklyの2015年のチャート入りを果たした。シンセを多用するモダン・ファンク・リバイバルを代表するアーティストでもある彼は、日本、カナダ、ヨーロッパでもツアーを行い、LAのモダン・ファンク・フェスのオーガナイザーでもある。数々の作品をリリースしてきた彼の未来的なファンク・サウンドは、George Clinton、Roger Troutman、Cameo、Battlecat、DJ Quikなどにインスパイアされている。初期の頃にはヒップホップ・アーティストとして活動していた彼は、今ではモダン・ファンクのミュージシャンとして評価されている。XLミドルトンはライヴでボコーダーを使用して歌ったり、ラップしたり、ショルダーキーボードを使って熱烈なソロを演奏することで知られる。彼のレーベル「MoFunk Records」は、モダン・ファンクの普及活動に貢献しており、彼のレーベルに所属するMoniquea、Zackey Force Funkにもトラックを提供。彼は「Bastard Jazz」、「Soul Clap」、「Omega Supreme」、「Voltaire」などからも作品をリリースしており、Soul Clap、Lynda Dawn、Libretto & Buscrates、B. Bravoにもリミックスを提供している。
Twitter:@xlmiddleton

Translation: Hashim Kotaro Bharoocha
Edit Takahiro Fujikawa

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シティポップを多角的に分析した書籍『シティポップとは何か』が4月21日に出版 柴崎祐二が編著 https://tokion.jp/2022/03/29/yuji-shibasaki-what-is-city-pop/ Tue, 29 Mar 2022 09:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=106255 柴崎祐二のほか、岸野雄一、モーリッツ・ソメ、加藤賢、長谷川陽平が参加。価格は¥2,695。

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柴崎祐二の編著による書籍『シティポップとは何か』(河出書房新社)が4月21日に出版される。シティポップとはどのような音楽・文化なのか。なぜリバイバルは巻き起こったのか。本書では、シティポップ評論の気鋭である柴崎が徹底的に資料を渉猟、あらゆる角度から現象を分析し、その可能性と問題点とをえぐり出す。

さらに、スタディストの岸野雄一、日本学研究者のモーリッツ・ソメとポピュラー音楽研究者の加藤賢による論考、韓国のシティポップ事情に詳しい長谷川陽平へのインタビューも収録し、シティポップをより立体的に浮かび上がらせる。

【目次】
・第1章 シティポップ概説
1-1 シティポップのあらまし
1-2 シティポップの黄金時代:1980年代
1-3 シティポップの衰退と展開
・第2章 シティポップという「物語」
2-1 編纂されるシティポップのルーツ
2-2 シティポップにおけるはっぴいえんどの重力圏
2-3 シティポップ(ス)と「脱政治」のポリティクス
・補論1 はっぴいえんどのシティポップへの影響を風景論を通して考える――岸野雄一・第3章 シティポップの再興
3-1 国内におけるシティポップス再評価への道程
3-2 ネオシティポップとは何か
・第4章 グローバル化するシティポップ
4-1 海外からの発見
4-2 アジアとシティポップ
・補論2 〈再発見〉はどこから来たか?:海外シティポップ・ファンダムのルーツと現在地――モーリッツ・ソメ+加藤賢
・補論3 [インタビュー]韓国のシティポップブーム解説――長谷川陽平(聞き手:柴崎祐二)
・第5章 シティポップの行方
5-1 シティポップブームはどこに向かうのか
5-2 シティポップの可能性

■『シティポップとは何か』
編著者:柴崎祐二
著者:岸野雄一、モーリッツ・ソメ、加藤賢、長谷川陽平
発売日:2022年4月21日
定価:¥2,695 
ページ:344ページ
出版社:河出書房新社

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クニモンド瀧口と「シティ・ミュージック」の時代――【後編】キャリアの原点と現在地、そしてシーンの今と未来への想い https://tokion.jp/2021/04/15/cunimondo-takiguchi-breaks-down-the-era-of-city-music-part2/ Thu, 15 Apr 2021 11:00:05 +0000 https://tokion.jp/?p=29389 現行シティ・ポップ・シーンのキーパーソンであるクニモンド瀧口(流線形)が、キャリアの原点や現在地、シーンに対する想いや見据える未来を語る。

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今や世界中に熱心なリスナーを持つに至った、日本のシティ・ポップ。なぜ、かの音楽は数多の人々をかくも惹きつけるのか。そしてそれは、どこから来て、どこへ行こうとしているのか。その魅力と来し方・行く末を明らかにするべく、クニモンド瀧口を訪ねた。同氏は、自身のソロプロジェクト・流線形として、ゼロ年代以降に生まれた「新しいシティ・ポップ」の金字塔的作品の1 つである『CITY MUSIC』を2003年にリリースしシーンに登場。以降、流線形での楽曲制作の他、プロデュースワークやDJ、著述活動なども行い、現在のシティ・ポップ隆盛の礎を築いてきた人物だ。

前編に続く今回は、アーティストとプロデューサーその双方のキャリアにおける原点となる2枚の名盤と、最新作『Talio』について、そして海外に広がりゆく日本のシティ・ポップに対する想いや見据える未来について、語ってもらった。

現在のブームの起点とも語られる2枚の名盤の誕生背景

――後編では、まず、クニモンドさんのキャリアのスタート地点である流線形の『CITY MUSIC』(2003年)についてお話を伺いたたいと思います。当時、どのような思いを込めてこのアルバムを制作されたのでしょうか?

クニモンド瀧口:2001年に流線形の活動を始めた時、そこで実現したかったのは、山下達郎さんの『IT’S A POPPIN’ TIME』というライヴ・アルバムで感じたような、「都会的で洗練されていて大人なサウンド」だったんです。当時の日本の音楽シーンを振り返ると、90年代から流行が続いているアシッドジャズやディーバ系があったり、はっぴいえんどの系譜を感じさせるものやネオアコ~渋谷系の系譜にあるポップスがあったりして。かっこいい音楽は沢山ありましたが、僕がやろうとしていたようなサウンドを鳴らしているバンドは、あまりいなかったと思います。そんな中で、時代に合わせることなく、自分が好きな音を曲げずに作ったのが『CITY MUSIC』なんです。それと、これは今も心がけていることなんですが、「全てシングルカットできるような曲でアルバムを作る!」という気持ちで制作に臨んでいたのを覚えています。

流線形『CITY MUSIC』

――流線形は「バンド」ではなく、クニモンドさんが主宰する「プロジェクト」として定義されています。改めてその活動の在り方やこだわりについて教えてください。

クニモンド瀧口:流線形は僕のオウン・プロジェクトなんです。目指しているのが生バンドサウンドのプロダクションなので、バンド風に見せているのですが、実は他はサポートメンバーという(笑)。ただ、最近は固定のメンバーでやることが増えました。楽器にもこだわりがあって、ソフトウェア音源ではなく、極力本物を使いたいと考えています。例えばドラムの北山ゆう子が使うドラムセットは70年代のラディックを、鍵盤の平畑徹也はローズピアノや、クラビネットD6などを使用しています。それらに共通しているのは、単に僕が好きな音であるということ。つまり、流線形は僕の理想のバンドサウンドを追求するプロジェクトなんです。

――そんな流線形として活動する一方、クニモンドさんはプロデューサーとしても活動されています。その最初の代表作となる一十三十一さんの『CITY DIVE』(2012年)はどのような経緯でプロデュースを担当することになったのでしょうか?

クニモンド瀧口:初めて一十三ちゃん(一十三十一)を知ったのは2005年ぐらいかな? NHKの音楽番組で、大貫妙子さんと一緒にシュガーベイブの「いつも通り」を歌っているのを見て、「良い歌声だな〜」と思ったのが第一印象です。その後、実は知り合いとつながっていることが分かって、2006年にリリースした流線形の『TOKYO SNIPER』に、変名(江口ニカ)でヴォーカルとして参加してもらいました。その流れもあって、一十三ちゃんがレーベルを移った際に、(『CITY DIVE』プロデュースの依頼で)声をかけてくれたんです。

一十三十一『CITY DIVE』

――CITY DIVE』のサウンドは、流線形のバンドサウンドとは異なるところがありますね。

クニモンド瀧口:『CITY DIVE』に参加してくれたDORIANの作品を既に聴いていたこともあって、そこで鳴らされていた音像——「トラックメイカーやDJ視点のプロダクション」でアルバムを作りたいと考えていました。もう1人の参加者であるKASHIFも、ギタリストとしても有名ですが、トラックメイカーとして素晴らしい作り手なので、3人トラックメイカーとして、それぞれアレンジを進めていきました。

この「打ち込みで作る」ことをコンセプトとした『CITY DIVE』には、明確なリファレンス作品がありました。それは、佐藤博さんの『awakening』(1982年)です。

佐藤博は1947年生まれのシンガーソングライター・キーボーディスト・作曲家・プロデューサー。『awakening』は、鈴木茂&ハックル・バック、ティン・パン・アレーなどでの活動を経て渡米、帰国後の初作品としてリリース。山下達郎もギタリストとしてゲスト参加している。

この作品は佐藤さんがほとんど打ち込みで作ったアルバムで。「30年経ってここに帰ってきた」みたいな気持ちで制作を進めていましたね(笑)。実は、『CITY DIVE』制作時よりも前に、『BARFOUT!』誌の企画で佐藤博さんにインタビューしたことがあるんです。『CITY DIVE』が完成したら聴いていただこうと思っていたのですが、本当に残念なことにこの年に佐藤さんがお亡くなりになってしまい、その願いはかないませんでした。

――一十三十一さんのヴォーカルの魅力はどんなところだと思いますか?

クニモンド瀧口:一十三ちゃんの歌声は、聴けばすぐに誰が歌っているかわかるんです。それってなかなかすごいことですよね。スモーキーな感じでちょっと甘ったるい感じの歌い方——“媚薬系”と言われたりもしていますが——に彼女の独特の世界観が込められていて、「何を歌ってもその人の歌になる」というか、唯一無二の存在だと思います。

――両作品は、現在に続くシティ・ポップ・リヴァイバルの嚆矢、起点としても語られる作品となりましたが、改めて思うところをお聞かせください。

クニモンド瀧口:振り返ると、「これがいろいろなことのきっかけになっていたんだな」とは感じるんですけど、当時、何かを変えてやろうとか、リヴァイバルを起こしてやろうとか、そういった気持ちは微塵もありませんでした。ただ自分がやりたいことをやっていただけで、注目されたのは結果論というか、狙ったものではないんです。

流線形と一十三十一がタッグを組んだ『Talio』

――流線形として一十三十一さんとタッグを組み昨年11月にリリースした『Talio』は、ドラマ『タリオ 復讐代行の2人』のサウンドトラックとして制作されていますが、今作が生まれた経緯について教えてください。

クニモンド瀧口:『サイタマノラッパー』や『モテキ』なども手がけてきた岩崎太整さんがドラマの音楽プロデューサーを務めていて、最初に一十三ちゃんに声がかかったんです。その後、「シティ・ポップ」がキーワードに挙がっていたこともあって、一十三ちゃん経由で「流線形として一緒にやりませんか?」と僕に話が来たという経緯になります。ただ、劇伴音楽を作ると聞いた時に、「シティ・ポップ」というよりも、大野雄二さんや井上堯之さん、ミッキー吉野さんたちが作ってきたようなサウンドが思い浮かんでいて。流線形として参加するのであれば、そういったジャズファンク的な音楽をバンドサウンドでやりたいと思ったんです。それで、主題歌はシティ・ポップにするにしても、劇伴はそっち(ジャズファンク)の方向でやらせてもらえませんかと岩崎さんにお話をしたところ、OKをいただいたんです。

とはいえ、劇伴全体がジャズファンクになってしまうのもどうかと思って、一十三ちゃんと共同制作ということもあり、(流線形と一十三十一の両者で)曲を分担することにして。流線形はジャズファンク調の曲を作り、ヒトミちゃんはKASHIFと組んでシティ・ポップ調の曲を作るという役割分担で制作を進めていきました。

流線形/一十三十一『Tlio』

――初めての劇伴音楽の制作を進めていくにあたり、参考にした作品などがあれば教えてください。

クニモンド瀧口:作品が「復讐代行人」というテーマ・内容だったので、「刑事モノ」というよりは「探偵モノ」で、しかもアクションがあるドラマをまずはイメージしました。具体的に言うと、小さい時に見ていた「俺たちは天使だ!」「傷だらけの天使」「ザ・ハングマン」「探偵物語」などの作品ですね。

――オリジナルアルバムとは制作プロセスも異なるところがあったと思いますが、実際にはいかがでしたか?

クニモンド瀧口:音楽を制作する段階ではまだ映像ができていないので、「スリル」や「楽しい」、「哀しい」といったお題・キーワードに合わせて楽曲を作っていきました。具体的な制作方法は、メロディーをガッツリ固めるというよりは、アレンジ重視で、コード進行やアレンジのモチーフをメンバーに伝えて、スタジオでセッションして作り上げていくというような流れでした。中にはコード進行がワンフレーズしか決まっていなくて、メンバーが別の曲を録音している時に、別室で次の曲を考えている、という場面も多々ありました(笑)。

――非常にライブ感あふれる制作現場だったのですね。

クニモンド瀧口:その時にみんなで、「ティン・パン・アレーって、こういう感じでレコーディングしていたんだろうね」みたいな話をしていて。彼らは全員スタジオミュージシャンでもありましたし、レコーディングの現場でみんなでアレンジしながら作っていくような感じだったのかな、と。流線形でも最近はアレンジをバンドで行うことも多くて、僕が最初に元ネタというかラフを作って、膨らませていくような感じなんです。この『Talio』でも、例えば「The Sectionの曲『Bad Shoes』のリーランド・スクラーみたいなベースで」と言うと、ベースの松木俊郎はすぐ対応してくれました。ギターの山之内俊夫や、パーカッション&エンジニアの平野栄二も、付き合いが長いので僕が意図していることをすぐに汲んでくれます。人としても気持ちのいい人たちで、本当に一緒にバンドをやることが楽しくて仕方ないですね。僕の未熟な部分をフォローしてくれているメンバーには感謝しかありません。ともあれ、劇伴の制作は初めで大変なところもありましたが、今回でいろいろと学べたので、ぜひまたやってみたいですね。

――今作には元キリンジの堀込泰行さんがゲストで参加されていますが、その経緯について教えてください。

クニモンド瀧口:エンディング曲は一十三ちゃんが歌うと決まっていたのですが、オープニング曲は差別化したいという気持ちがあったんです。それで、岩崎さん、一十三ちゃん、僕の3人が合致して誘いたいヴォーカルとして堀込泰行さんにオファーしたところ、快諾していただきました。そして実は、堀込さんとは、この曲以外にも既に数年前に流線形として一緒にレコーディングをしているんです。アレンジに納得がいかないところがあって直しているんですけど、近いうちに発表できたらいいなと思っています。

――それは楽しみですね。あと、今作については、永井博さんがジャケットを手がけているというのも大きなトピックだと思います。

クニモンド瀧口:中学生の頃に(永井博がジャケットを手がけた)大滝詠一さんの『ロングバケーション』の洗礼を受けた世代なので、永井博さんは僕にとって長く憧れの存在でした。そんな永井さんとまさか知り合いになると思っていなかったんですが、2009年に発売した流線形と比屋定篤子の「ナチュラル・ウーマン」を聴いていただいていて、そのことをTwitterに書いてくださったのをきっかけにDJをご一緒するようになったんです。今回の作品で「メインビジュアルがあったら良い」という話が出たので、僕も一十三ちゃんも知り合いだった永井さんにお願いしてみようということになり、即決でした。狙い通り、番組でも特別な役割を果たした作品を提供していただきました。

永井さんの絵は、海外でも非常に人気が高く、今もどんどん広がっていっています。永井さんの絵を見ると、どこか心地よい場所へ運んでくれるような印象をいつも受けます。「どこの海かプールかわからないけど、なんかいいな」みたいな――。この感覚って、まさしくシティ・ポップの音楽を聴いた時に受けるものと似ていると思うんです。だから、シティ・ポップにおいて永井さんが特別な存在というのは、とても納得のいくところがありますね。

国境を越えるムーブメントへの想いと、今見据える未来

――近年の海外でのシティ・ポップ人気について、どのように考えていますか? 『Pacific Breeze: Japanese City Pop AOR & Boogie 1976-1986』に代表されるようなストレートな再評価から、ヴェイパーウェイヴやフューチャー・ファンク文脈での再評価、アジア圏での独自進化などいろいろな文脈はありますが……

クニモンド瀧口:「ヴェイパーウェイヴでシティ・ポップが使われている」みたいな流れを意識したのは、2012年にGreeen  Linezというユニットが「Hibiscus Pacific」という曲で菊池桃子をサンプリングしているのを聴いた時が最初で。好き嫌いは置いておいて、海外の方たちがいろんな解釈で日本のシティ・ポップを発信するのはおもしろいと思うし、良いことだと思っています。時には日本で聴いていた僕らでも思いもよらないところに目をつけていたりして新鮮ですし、彼らの音楽を通して再発見することがあったりもします。あと、最近になってmacross 82-99を聴いてみたんですが、僕のアレンジがサンプリングされていてビックリしました(笑)。

――シティ・ポップの海外での広がりについて、クニモンドさんご自身で体感していることはありますか?

クニモンド瀧口:最近YouTubeを見て驚いたんですが、流線形の『TOKYO SNIPER』がアップされてから3ヵ月で35万再生になっていたんです。しかもコメントが1000件以上ついていて、そのほとんどが海外の方という状況で(笑)。ここ5年ぐらいは海外の方からの問い合わせも増えていて、最近やたら多いなと思っていたところだったのですが、ここから来ている方も多いのかもしれません。

――日本のシティ・ポップが海外に聴かれる経路として、YouTubeの存在はとても重要なのではないかと思います。

クニモンド瀧口:この数年で、YouTubeでシティ・ポップのミックスやフルアルバムを上げている人が増えましたね。その人たちが、日本人か海外の方かはわかりませんが、僕も聴いたことがない良盤がフルで上がっていたりします。これは、権利的な問題は考えなくてはなりませんが、海外の音楽好きにとっては嬉しいでしょうね。こういったことを含めて5年前とは状況が変わってきていて、さらにシティ・ポップの人気は加速しているようにも思えます。

――最後に、現在のシティ・ポップブームに対する思いと、ご自身の今後の目標について、お聞かせてください。

クニモンド瀧口:「シティ・ポップ」という言葉自体、解釈が曖昧なのでどの辺を切り取るかにもよるんですが、いろんな解釈のシティ・ポップが同時に進行していると思います。日本では、親の影響を受けた若手ミュージシャンやベテランがブームに乗ってシティ・ポップをやりはじめたり、海外では、言葉はわからないけどサンプリングソースとして使ったり、トラックメイカー解釈のシティ・ポップをやったり。その中で、「僕の役割は何だろう?」と考えることがあるんです。最近の音楽を聴いていると「親しみやすいメロディーが減ったな」と感じることが多くて、(自分の役割は)そこにあるのかな、と。シティ・ポップの良さは、アレンジの役割が大きいのですが、やはりメロディーや歌詞も大切で。僕は昭和歌謡の洗礼を受けた世代なので、特にメロディーの良さにはこれからもこだわっていきたいです。あとは、海外のミュージシャンと一緒にやりたいという気持ちはありますね。例えば、ジョーダン・ラカイやカマシ・ワシントンに参加してもらうとか……。海外と日本の境界線なしに音楽を作ることができたらいいなと思っています。

■流線形/一十三十一 Guest:堀込泰行/シンリズム/KASHIF
会期:4月16日、5月1日
会場:ビルボードライブ東京
住所:東京都港区赤坂9丁目7番4号 東京ミッドタウン ガーデンテラス4F
時間:1stステージ:開場 14:00/開演 15:00、2ndステージ:開場 17:00/開演 18:00
入場料:サービスエリア:7,300円/カジュアルエリア:6,800円

※本公演は新型コロナウイルス感染症対策用の座席レイアウトを使用し、公演を実施いたします
※ご来場前に必ず〈営業再開時の新型コロナウイルス感染症対策について〉内の〈お客様へご協力のお願い〉をご確認ください
※2021年4月16日の公演の2ndステージではライブ配信が行われます。お客様が映像に映り込む場合もございますので、あらかじめご了承ください
詳細は会場HPより確認のこと。

Photograpy Ryosuke Kikuchi

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クニモンド瀧口と「シティ・ミュージック」の時代――【前編】コンピレーション盤『CITY MUSIC TOKYO invitation』から、その来し方をたどる https://tokion.jp/2020/12/20/cunimondo-takiguchi-breaks-down-the-era-of-city-music-part1/ Sun, 20 Dec 2020 06:00:52 +0000 https://tokion.jp/?p=15301 世界中のリスナーを惹きつける日本のシティ・ポップ。その魅力と来し方を、現行シーンのキーパーソンであるクニモンド瀧口(流線形)が紐解く。

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今や世界中に熱心なリスナーを持つに至った、日本のシティ・ポップ。なぜ、かの音楽は数多の人々をかくも惹きつけるのか。そしてそれは、どこから来て、どこへ行こうとしているのか。その魅力と来し方・行く末を明らかにするべく、クニモンド瀧口を訪ねた。同氏は、自身のソロプロジェクト・流線形として、ゼロ年代以降に生まれた「新しいシティ・ポップ」の金字塔的作品の一つである『CITY MUSIC』を2003年にリリースしシーンに登場。以降、流線形での楽曲制作の他、プロデュースワークやDJ、著述活動なども行い、現在のシティ・ポップ隆盛の礎を築いてきた人物だ。

2回にわたりお届けするインタビューの前編となる今回は、彼が選曲・監修を務めこの11月にリリースされた往年の名ポップソング・コンピレーション『CITY MUSIC TOKYO invitation』を糸口としながら、かの音楽の歴史を紐解いていく。

フォーキーな音楽とは差別化したくて「シティ・ミュージック」という言葉を使った

――11月にリリースされたコンピレーションアルバム『CITY MUSIC TOKYO invitation』のタイトルに使われている「シティ・ミュージック」という言葉は、クニモンド瀧口さんが主宰する流線形の1stアルバムのタイトルでもあります。まず、クニモンドさんが考える「シティ・ミュージック」の定義を教えてください。それは「シティ・ポップ」と異なっているのでしょうか?

クニモンド瀧口:流線形の1stが出たのは2003年なんですが、その頃は今みたいに「シティ・ポップ」という言葉が根付いていませんでした。「シティ・ポップス」と呼ばれている音楽はあったんですけど、それは、はっぴいえんどの系譜に連なるような、ロックやフォーキーなアーティストのものが多くて。そういう音楽とは差別化したいという思いがあったんです。僕がやっていた音楽は、はっぴいえんどではなくティン・パン・アレーの方が近くて、クロスオーバーなサウンドを目指していました。なので当時は、「シティ・ポップ」と言ってしまうとそっち(フォーキーな音楽)にイメージが引っ張られてしまうと思って、あえて「シティ・ミュージック」という言葉を使ったんです。

――用語の違いにはそのような背景があったんですね。

クニモンド瀧口:ただ、その「シティ・ミュージック」という言葉は、その時に僕が生み出したわけではありません。アメリカで、70年代後半になると「AOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)」という言葉が誕生するんですけど、それまでは一般的なポップスよりももう少し洗練されたサウンドの音楽を「シティ・ミュージック」と呼んでいたんです。そのサウンドを定義する象徴的な作品を1つ挙げるとしたら、1975年にホルヘ・カルデロンというシンガー・ソングライターがリリースした、ずばり『CITY MUSIC』っていうタイトルのアルバムですね。そのあたりがターニングポイントというか、当時のニューヨークの、例えばローラ・ニーロとかその周辺の人達の作品が、70年代半ばぐらいになると、それまでフォーキーであたたかい感じだったのに、ジャズっぽい要素を持った都会的なサウンドに変化していくんです。そういったアメリカの流れをいち早く聴いていた細野晴臣さんや山下達郎さん達が、「日本でもこういうのやらない?」みたいな感じで始めたのが、ティン・パン・アレーやシュガー・ベイブだったんじゃないかなと思っていて。僕は、そういった「シティ・ミュージック」の定義の中で音楽を作っていきたいと思い、流線形の最初の作品のタイトルに掲げたんです。

――そんな「シティ・ミュージック」と、クニモンドさんはいつどのように出会ったのでしょうか?

クニモンド瀧口:家の近くに住んでいた大学生のお兄さんお姉さん達の影響もあって、小学生ながらにシュガー・ベイブも聴いたりしていました。ただ、小学生の時はフォークの方が好きでしたね。フォークギターも持っていて、アルペジオを練習して弾いたりもしていて。その頃はシュガー・ベイブと山下達郎も結びついていませんでしたね。中学生になると、周りの友達で何人かが山下達郎の『FOR YOU』のレコードを持っていて、そこで本格的に聴き始めるんです。僕は中学生の誕生日プレゼントに親にエレキギターを買ってもらったんですけど、(山下達郎の『FOR YOU』収録曲の)「スパークル」のカッティングをコピーしたりしていました。ティン・パン・アレーとかを聴き出すのもその頃ですね。

――山下達郎やティン・パン・アレーの音楽が、フォーク以上にクニモンドさんを夢中にさせたのはなぜでしょうか?

クニモンド瀧口:それについては決定的なエピソードがあって。中学2年生の時に、陸上部の仲良い3人組のうちの1人から「熱海に伯父さんが持っている別荘のマンションがあるから、遊びに行かない?」と誘われて、3、4日ほど泊まりに行ったんです。そして、マンションに着いて夜になった頃、たそがれてウォークマンを聴きながらベランダに出ると、ホテルやマンションの明かりや車のテールランプが見えて――。そんな中で山下達郎の『FOR YOU』の「FUTARI」とかがかかったりすると、たまらないものがありましたね。まるで自分が「物語の主人公」になったみたいな感覚になったんです。「ああ、なんか俺達いいよね、イケてるよね」みたいなことを実際に言った記憶があります(笑)。もし、そこでかかっていた音楽がフォークだったら、きっと違ったと思うんですよね。そのシチュエーションで山下達郎を聴いたっていうのは、気持ち的にすごく大きかった。音楽は元からすごく好きでしたが、「こういうサウンドが好きだ」と強く感じたのはその時が初めてで。ここが僕の音楽家としての原点だと思います。

――そこからは「シティ・ミュージック」をひたすら聴き続けてきたのでしょうか?

クニモンド瀧口:高校でバンドを始めた時はニュー・ウェイヴにハマって、ザ・キュアーやジョイ・ディヴィションなどのコピーをやっていました。だけど、変わらず山下達郎が大好きなままで、ずっと並行して聴いていましたね。その後、ザ・ジャムを好きになってポール・ウェラーを聴き始めて。その時にポールはスタイル・カウンシルで、ソウルミュージック的な音楽をやっていて、彼を通してニュー・ソウルを聴いたりもしていました。そこでソウルミュージックと「シティ・ミュージック」との親近性を感じたんです。「山下達郎がやっていることはソウルミュージックだよね」みたいなことを仲間達と話したりしていましたね。

20代になってからも、リアルタイムにリリースされる日本のポップミュージックはCDで買い続けていました。DJをやるようになった時は、「和物」が自分のアイデンティティーみたいなところがあったので、当時は珍しかったと思うんですが、日本語の曲を多くかけていましたね。僕は昔から日本と海外のポップミュージックに差があるとは感じてこなかったんです。ただ歌詞に使われている言葉が違うだけで。だから、「クラブで日本の曲がかかってもOKでしょ」と思っていました。

「シティ・ミュージック」は途絶えることなく連綿と続いてきている

――『CITY MUSIC TOKYO invitation』は、そのように日本のポップミュージックを「シティ・ミュージック」という観点から追い続けてきたクニモンドさんが初めて手掛けるコンピレーション作品です。そのコンセプトについて教えてください。

クニモンド瀧口:まず、90年代の曲を入れたかったというのはありますね。今はシティ・ポップのコンピレーション盤やYouTubeチャンネルもたくさんあって、そこでは80年代のものまではわりと聴けるんですけど、90年代になるとガクッと減っちゃうんですよ。90年代はCDの時代で、8cmCDでしか聴けない曲もあったりするんですが、廃盤になっていたり、サブスクが解禁されていないものも多い。それを拾いたかったんです。

それに、90年代のポップスは「J-POP」と一口に括られがちなんですけど、僕の中の感覚だと90年代も「シティ・ミュージック」をやっている人がたくさんいるんですよね、それは、70、80年代から脈々と続いているという感覚があります。その人達自身が「シティ・ミュージック」という括りを意識していたかは分かりませんが、ソウルやAORが好きで、その音楽性を自分達の楽曲に落とし込んでいたアーティストの系譜は90年代にも続いています。意外だと思うんですけど、今回のコンピレーションにも入れている、プリンセス・プリンセスの奥居香さんとかね。

クニモンド瀧口が選曲・監修を務めた『CITY MUSIC TOKYO invitation』

――90年代には「渋谷系」もありました。

クニモンド瀧口:そう、この間もその話題になったんですけど、今振り返るとピチカート・ファイブなんて完全に「シティ・ミュージック」だと思います。都会的で洗練された音楽っていう意味で。僕は90年代頭ぐらいの頃はタワーレコードでジャズのバイヤーとして働いていて、当時はアシットジャズをすごい売っていたんですけど、それを消化したポップミュージックをやり始めている日本人アーティストもいたりして。それも「シティ・ミュージック」の系譜と言えるんじゃないですかね。

――昨今、シティ・ポップのリヴァイバルということが声高に唱えらえていますが、クニモンドさんとしては、それは「途絶えることなくずっと続いてきたもの」という感覚なのでしょうか?

クニモンド瀧口:そうですね。その時代その時代に、後になったら「シティ・ポップ」と呼ばれそうな楽曲は今振り返るとたくさんあったなと思います。例えば今の時代のポップミュージックでサカナクションなんかも、後々そう呼ばれたりすることだってあるかもしれません。結局のところ、考え方というか、解釈の問題なんだと思います。昔、橋下徹さんが「フリー・ソウル」のコンピレーションシリーズを始めた時に、ソウルミュージックを昔から好きな人から「フリー・ソウルってなんだよ?」とか言われたと思うんですよ。シリーズも続くとルー・リードが入ってきたりして、「これソウルじゃねえよ」とか言われたりもあったかもしれません。でも、そこで重要なのは、橋下徹さんというフィルターを通してカテゴライズされた「フリー・ソウル」という視点・解釈で、その意味で統一感はあったと思っていて。この『CITY MUSIC TOKYO invitation』は、それと同じように、僕の解釈ということなんです。タイトルに「インビテーション」とつけたのは、シリーズ化していきたいという気持ちから。この一枚は招待状みたいなイメージで、この後も引き続き、僕の考える「シティ・ミュージック」を提示していきたいと考えています。

クニモンド瀧口が語る、『CITY MUSIC TOKYO invitation』収録楽曲の選曲ポイント

・01: ⾬のケンネル通り/EPO
僕にとっては定番の曲。1曲目に元気をつけたいなというところもあって、この曲を選びました。ラヴ・アンリミテッドとかあのあたりのサウンドへのオマージュの感じもあって、いいんですよね。

・02: 心から好き/宮沢りえ
「東京エレベーターガール」というドラマの主題歌で、「なんてオシャレな曲なんだろう!」と当時から思っていました。アシッド・ジャズとかグランド・ビートを取り入れた、海外に劣らないサウンドが印象的です。

・03: アップル -Apple-/PLATINUM 900
タワーレコード勤務時代に偶然聴いて大好きになりました。ジャミロクワイみたいなサウンドと、かわいらしいボーカルのギャップも良くて。山下達郎さんもいた〈エアレコード〉というレーベルから出ていたのは驚きでした。

・04: Easy Love/国分友⾥恵
国分友⾥恵さんは、昨今のシティ・ポップ・リバイバルで相当再評価された方ですね。この曲は小林和子さんが作詞しているんですけど、時代感と都会感をすごく感じさせる歌詞で、とても素敵なんです。

・05: 私達を信じていて/Cindy
シンディを意識したのは、山下達郎さんのバックでコーラスをやっていたからですね。この曲はアルバムにしか入っていないんですけど、特に好きな一曲で。クラリネットが入っていたりして都会感のあるサウンドに魅力を感じます。

・06: あなたがそばにいる理由/奥居香
プリンセス・プリンセスの奥居さんの曲を聴いた時に、「この人は絶対にAOR好きだ」と思っていたんですけど、ソロ作が出て聴いたら完全にそんな感じで。この曲は当時8cmCDでリリースされたのを買って聴いていました。

・07: 花を買う/野⽥幹⼦
90年代前半の曲で、ちょっと渋谷系的なところもあったり。このあたりは再評価されている傾向はありますよね。この曲が入っているアルバムの2曲目もいいんですけど、わりとクラブでかかったりしているので、こっちを選びました。

・08: Bitter Sweet/SECRET CRUISE
シャムロックのメンバーの曲。シャムロック自体はロックな感じであまり聴いていないんですが、これは鳥山雄司さんがやっていたというのもあって、アシッド・ジャズに寄せている感じでとても心地よいサウンドなんです。

・09: EMPTY HEART/PAZZ
藤原美穂さんという、Chocolate Lipsなどでも活躍されていた方がボーカルを務めているグループなんですけど、この曲はネッド・ドヒニーのオマージュなんですよね。その辺が刺さって選びました。

・10: あの時計の下で/Chara
CHARAの曲の中で一番好きといっても過言じゃない曲ですね。K COLLECTIVEにもつながるようなサウンドで。初々しさがあふれているCHARAのボーカルも、キュンとする感じでたまらないですね。

・11: トップ・シークレット (最⾼機密)/PIZZICATO FIVE
佐々木麻美子さんから田島貴男さんにボーカルが変わって2枚目のアルバムの曲。都会的な雰囲気がコンセプトに合うなと思って選びました。田島さんがいた時期は「シティ・ミュージック」感が強いですよね。

・12: さよならの景原曲:INVITATIONS/
大野さんは、NHKの子ども番組の歌とかを歌いつつ、その傍らでジャズシンガーもやっていた方で。これはシャカタクの曲が原曲で、まず演奏が素晴らしくて。大野さんの甘ったるい歌い方もいいんですよ。

・13: ほろほろ草⼦/マナ
マナさんは細野晴臣さんとCMの仕事をやっていたりした方です。この曲が入っているアルバムは、演奏がサディスティックスのメンバーで、言うことないですね。いい曲がたくさんが入っています。

・14: クリスタル・ナイト/KAORU
KAORUは、『ロフトセッション』っていうコンピレーションに入っている「星屑」という曲で知ったんです。この曲は、ソリーナっていうストリングスシンセの音が入っていたりして、クロスオーバーなサウンドが印象的ですね。

・15: ラスト・チャンス/ラジ
これはもう最高傑作。フリー・ソウルのコンピに入っていてもおかしくないようなアーバンな曲ですね。シンセベースを坂本龍一さんが弾いていて、アレンジが素晴らしい。アルバム自体は高橋幸宏さんプロデュースで、サディスティックスの延長みたいな感じもありますね。

・16: スターダスト・レディ/長谷川みつ美
この曲と出会ったのは10年くらい前で、誰かがDJでかけていたんです。アルファレコードから出ていたことにも驚きました。リクエストしたら許可がおりて、これが初CD化になります。メロウな感じで歌謡曲テイストなんですけど、ストリングスが入っていたりキラキラ感のあるアレンジで、とても魅力的な曲なんです。

・17: Love Light/YUTAKA
YUTAKAは、元々NOVOっていうセルジオ・メンデスの影響下にあるサウンドを奏でていたバンドのメンバーで。この曲は、アルファレコード設立者の村井邦彦さんが立ち上げた、アルファ・アメリカから出た最初の曲なんです。これから、もっと日本の「シティ・ミュージック」が世界に広がっていけばいいという願いを込めて、この曲を最後の曲に選びました。

Photograpy Ryosuke Kikuchi

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インドネシアのバンドIkkubaruが語る、日本の80’sシティポップの魅力と6枚の名盤について https://tokion.jp/2020/10/30/ikkubaru-talks-about-japans-80s-city-pop/ Fri, 30 Oct 2020 11:00:18 +0000 https://tokion.jp/?p=9208 時も国境も超え、聴き継がれる日本の80’sシティポップ。その魅力をインドネシアの人気バンドIkkubaruが語り尽くす。特に影響を受けた6枚の名盤も紹介。

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国内でのリバイバルや海外のからの(再)発見も相まり、今なお広く聴き継がれる日本の80年代シティポップ。時を超え、国境を超え、なぜこれほどまでに、かの音楽は数多の人々を惹きつけてやまないのだろうか? その魅力の一面は、もしかしたら「外」からのほうが、よく見えることもあるかもしれない。

Ikkubaru(イックバル)は、山下達郎や角松敏生らからの影響を公言し、都会的で洗練されたポップミュージックを奏で2014年にデビューを飾ったインドネシアの4人組バンド。脇田もなりやRYUTistらの楽曲制作やプロデュースを務めるなど日本のシーンとの結びつきも深く、この9月にリリースした2ndアルバム『Chords & Melodies』も熱心な音楽好きの間で話題となったばかりだ。本記事では、そのフロントマンであるムハンマド・イックバルに、日本のシティポップに出会ったきっかけや惹かれた理由を訊ねるとともに、彼がオススメする日本の80年代シティポップの名盤を6枚紹介してもらった。

なぜ日本のシティポップに惹かれたのか

——日本のシティポップに出会う前は、どのような音楽を聴いたり、演奏したりしていたのですか?

ムハンマド・イックバル(以下、ムハンマド):インドネシアのティーンエイジャーであった僕達は、いくつかの音楽トレンドを経験しています。メンバーのうち3人は長い付き合いの友人で、中学では一緒にパンク・ロックをやっていましたが、年を重ねるにつれて参考にする音楽の幅は広くなっていきました。My Bloody ValentineやSlowdiveのようなシューゲイザー、 The Stone RosesやRIDEといったオルタナティブ・ロック、アントニオ・カルロス・ジョビンやカシオペアのジャズ、ポップスはStereolab、Broadcast、High Llamas、Prefab Sproutなど、いろいろな音楽を聴いてきましたね。

——日本のシティポップに出会ったきっかけを教えてください。

ムハンマド:友人の1人が山下達郎の曲をいくつかmp3で送ってくれた時、シティポップの存在を知ったんです。幼い頃から『東京ラブストーリー』のような日本のドラマのサントラでさまざまなシティポップを聴いていたので、彼の名前を知るよりもずっと前に僕は「MERMAID」のメロディーを知っていました。けれども「日本のシティポップ」という言葉が頭に浮かぶようになったのはその時からです。

——どんなところに魅力を感じたのでしょうか?

ムハンマド:初めて聴いた時は、そのサウンド、コード進行、メロディーそしてハーモニーのすべてに、本当に鳥肌が立ちましたね。カシオペアをよく聴いていた影響か、日本のシティポップは初めから耳馴染みがありました。僕達にとって日本のシティポップは単なるジャンルではなく、幼少期から心惹かれてきた日本文化を映す小さな鏡のような存在なんです。

——日本のシティポップをどのように掘り下げて聴いていったのでしょうか?

ムハンマド:主にネットサーフィンですが、偶然にもDJをしていた日本の友人がくれたミックステープが、日本のシティポップについてより多くの知識と解釈を与えてくれました。当時日本のシティポップはインドネシアで知名度が低く、実際に聴けるものを見つけるのは非常に困難(かつ高価)で、2015年に初めて日本を訪れた時やっと実物のレコードを手に取ることができたんです。

——あなた達がインドネシアでシティポップを発表し始めた時、周りのアーティストやファンはどういう反応を示しましたか?

ムハンマド:インドネシアにおける日本のシティポップは、小さなコミュニティーあるいはニッチな市場で、オーディエンスは高齢者が中心です。一方、インディー業界は主に洋楽志向の若手が独占している。インドネシアで人気の日本文化は、アニメやJ-ROCKと関連性が高いので、そういった影響を受けたバンドだと間違われることがよくありました。

2015年に初めてジャパンツアーを開催してから、徐々に僕らの認知度が上がって、一部のメディアが「日本のシティポップ」というワードを拡散し始めたことで、コミュニティーが成長していきました。「日本のシティポップ」は期待したほど大きな流れにはなりませんでしたが、シティポップは以前より人気になり始めています。ふたを開ければ、シティポップはCaseiroやファリズ・RM、チャンドラ・ダルスマンをはじめとした、80年代インドネシア音楽と同じルーツを持っていることがわかりました。

——あなた達のファーストアルバムは、日本の熱心な音楽好きの間でも話題になりました。また、日本のアーティストとの共演なども果たされており、あなたたちは日本のポップシーンの一部にもなっています。改めて、そのことをどう感じているか教えてください。

ムハンマド:日本の音楽好きの方々に僕らの音楽を知ってもらえたのは、本当に予想外で幸運なことでした。実は、ファーストアルバムで制作した曲の仕上がりにはあまり満足していないのですが、それでも僕らにとってとても光栄なことです。日本の音楽シーンに参加することは、常に僕達の夢でした。いつか日本に拠点を移して、日本でより深く曲作りができるようになりたいと願っています。

日本の才能あふれるアーティストとコラボレーションできることも、嬉しく感じています。tofubeatsは僕達がコラボレーションした最初のアーティストですが、誰もが彼と組めるわけではないので特別な経験になりました。TWEEDEES(iqbal)、藤井隆、Nakakoh(中島孝)、脇田もなりなど、既にコラボレーションした素晴らしいアーティストは他にもいます。さらに多くの日本人アーティストと出会い、日本の音楽シーンとのつながりを深めて、もっとたくさんの人に僕らの音楽を届けたいと考えています。

——新作の『Chords & Melodies』は、シティポップのみならず、テクノポップやニューウェイヴなど、より多彩な音楽性を感じさせるアルバムになっています。どのような想いを込めて制作をされましたか?

ムハンマド:さまざまなスタイルのサウンドを作ることで、より多くのオーディエンスに聴いてもらいたいという想いがありました。既に曲を聴いてくれた人が知るよりも多くの面が僕らにはあるから、一元的なバンドとしてラベリングされたくない。セカンドアルバムは日本のシティポップに近いものではないかもしれませんが、僕らにしかない特徴、つまりコードとメロディーがあると信じています。そういった意味を込めて、アルバムのタイトルを『Chords&Melodies』にしました。

Ikkubaruによる日本シティポップ名盤6選

1. 松下誠『Quiet Skies』(1983年)
一番クセになるシティポップのアルバムです。他のシティポップとは一線を画すレベルに達しているのではないかと思います。プログレッシブ・ロックがシティポップに合うなんて想像もしていませんでした。 特に「Sight of the Dawn」はアルバムのオープニングとして完璧で、シンセとベースのメロディーは今でもすぐ思い出せるくらいキャッチーで華やかです。

2. 山下達郎『POCKET MUSIC』(1986年)
当時の恋人達や若者の情熱を感じることができる、最もノスタルジックなフィーリングのアルバムです。彼の作るコーラスはどれも大好きで、The Beach Boysにインスパイアされた彼ならではのスタイルがユニークです。

3. 角松敏生『SEA IS A LADY』(1987年)
夏をテーマにしたアルバムで親しみを感じます。Ikkubaruが来日するのも毎年必ず夏ですから(笑)。ビーチに吹く暖かな風が思い浮かぶリバーブやシンセサウンド、ギターリフすべてが素晴らしいです!

4. カルロス・トシキ&オメガトライブ『be yourself』(1989年)
杉山清貴よりもカルロス・トシキが好きで、ドラマ『抱きしめたい!』のサントラの「アクアマリンのままでいて」はお気に入りの曲です。彼らが作り出すサウンドやコード進行、それにメロディーが好きで、聴くととてもリラックスできます。

5. 安部恭弘『SLIT』(1984年)
日本のシティポップアーティストの中でも、安部恭弘はインドネシアでそれほど人気がありません。 2017年の8月に3回目の日本ツアーをした時ファンの一人が「SLIT」のヴァイナルをプレゼントしてくれて、心温まる彼の声に夢中になりました。「アイリーン」と「Double Imagination」が特にお気に入りです。

6. 大滝詠一『A LONG VACATION』(1981年)
日本のドラマ『ラブジェネレーション』が1997/1998年にインドネシアのテレビで放映されて、その主題歌「幸せな結末」で初めて彼を知りました。当時僕はまだ10歳で、大滝詠一が誰なのかまではわかりませんでした。『A LONG VACATION』は史上最高のアルバムです。有名なジャケットを手掛けたイラストレーターの永井博は僕達のファーストアルバム『Amusement Park』(2015)とEP『Brighter』(2017)のジャケットも描いてくれています。 彼と一緒に仕事ができて光栄でした。

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Ikkubaru『Chords & Melodies』
ここ日本でも注目を集めた前作から5年のインターバルを経てリリースされた、待望のセカンドアルバム。洗練・流麗のハーモニーと親しみやすく瑞々しいメロディーを基軸として、そのサウンドアプローチはより多彩に。80’sシティポップ直系の楽曲のみならず、トラップ的なリズムを取り入れた楽曲やギターロック曲、チープなシンセとリズムマシンがキャッチーなエレポップ曲にニューウェイヴ調の楽曲など、色とりどりの全11曲を収める。日本盤には、脇田もなりがゲスト参加した楽曲、RYUTistへの提供曲「無重力ファンタジア」のセルフカバーなど、5曲のボーナストラックを追加収録。シティポップからの影響を、彼らならではの感性により独自に昇華・発展させた意欲作に仕上がっている。

Ikkubaru
2011年12月24日インドネシア・バンドゥンにて結成。山下達郎、角松敏生など、主に80年代の日本のシティ・ポップと呼ばれるジャンルに感銘を受け、自分達の解釈でシティ・ポップを表現するために活動を開始。TWEEDEES、脇田もなり、RYUTist、フィロソフィーのダンスなど日本人アーティストへの楽曲提供/リミックスやコラボレーションも精力的に行っている。

Translation Anzu Oneda

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