葛飾北斎 Archives - TOKION https://tokion.jp/tag/葛飾北斎/ Tue, 22 Nov 2022 09:35:38 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.3.2 https://image.tokion.jp/wp-content/uploads/2020/06/cropped-logo-square-nb-32x32.png 葛飾北斎 Archives - TOKION https://tokion.jp/tag/葛飾北斎/ 32 32 「ドクターマーチン」とメトロポリタン美術館がコラボ 葛飾北斎の浮世絵「冨嶽三十六景」を投影したコレクションが登場 https://tokion.jp/2022/11/22/dr-martens-met/ Tue, 22 Nov 2022 10:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=157550 「ドクターマーチン」のオリジナルアイコンをキャンバスに葛飾北斎の世界観を表現したシューズとバックパックが11月26日より発売。

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「ドクターマーチン(DR. MARTENS)」から、オリジナルアイコンに葛飾北斎の浮世絵「冨嶽三十六景」を投影したコレクションが登場。11月26日より全国の「ドクターマーチン」ショップと公式オンラインショップにて発売する。

「ドクターマーチン」とメトロポリタン美術館の初となるコラボレーションでは、葛飾北斎の作品が持つ不朽のエネルギーとインスピレーションに敬意を表し、「ドクターマーチン」のオリジナルアイコンをキャンバスに葛飾北斎の世界観を表現。履く人や場所がギャラリーとなり、身につける人は皆コレクターとなるアートを宿したシューズとなっている。

「1460 THE MET」8ホールブーツは、「神奈川沖浪裏(The Great Wave)」がプリントされ、世界で最も有名な日本の芸術作品へのオマージュを表現したブーツ。力強い大波がドクターマーチンのシルエットにさらなるエネルギーを吹き込む。「1461 THE MET」3ホールシューズには、北斎の「冨嶽三十六景」から「東海道品川御殿山ノ不二」がプリントされており、御殿山の桜の下で宴に興じる人々までも細かに描かれている。どちらのアイテムも、アンティークゴールドのディテールを施した同系色のシューレースと、シグネチャーのイエローウェルトステッチで仕上げられている。

また今回のコレクションではフットウエアのみならず、「神奈川沖浪裏(The Great Wave)」がプリントされたバックパックも登場。全面に迫力満点の葛飾北斎の浮世絵が表現されている、唯一無二のバックパックとなっている。アンティークゴールドの金具と安全なマグネット式ファスナーも魅力的。

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しりあがり寿が拡張する葛飾北斎の世界 「しりあがりサン北斎サン -クスッと笑えるSHOW TIME!-」が示すパロディの可能性 https://tokion.jp/2021/06/29/kotobuki-shiriagari-hokusai/ Tue, 29 Jun 2021 06:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=41195 葛飾北斎のオリジナル作品と、しりあがり寿のパロディ作品をともに展示した企画展が開催中。しりあがり寿が語る、北斎の魅力やパロディの真髄、笑いの効用とは。

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世界で最も有名な日本の浮世絵師といえば、今もなお葛飾北斎の名が挙がる。躍動する波の刹那を絵に留めた「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」などは、誰もが知る1枚だと言っても過言ではない。

そんな北斎を敬愛する漫画家・現代美術家のしりあがり寿は、かねて北斎をモチーフにしたパロディ作品を手掛けてきた。そして今、北斎としりあがり寿の2人展「しりあがりサン北斎サン -クスッと笑えるSHOW TIME!-」がすみだ北斎美術館で開催中だ(会期は2021年7月10日まで)。本展示は、2018年に同館で開催された展覧会「ちょっと可笑しなほぼ三十六景 しりあがり寿 北斎と戯れる」で発表されたパロディ作品に加え、新作や北斎のオリジナル作品なども展示した、より大規模な展覧会となっている。

パロディの名手は、葛飾北斎の世界とどのように戯れたのか。そして見えてきた北斎の作品の強さとは。インタビューで語る。

森羅万象を描き尽くそうとした、圧倒的な存在

――しりあがりさんは2010年にリリースされた文庫版『北斎漫画』のあとがきを担当したことがきっかけで、葛飾北斎に興味を持つようになったと伺っています。

しりあがり寿(以下、しりあがり):僕は『真夜中の弥次さん喜多さん』のような江戸の作品も描いているし、アート的な活動もしている。だから「漫画家ならこの人」と声がかかったのかなと思っています。

――それ以前、北斎や江戸時代の表現にどれくらい関心があったのでしょうか。

しりあがり:浮世絵は昔から好きでした。僕が中学生や高校生だった1970年代、アメリカのカルチャー一辺倒だったところに寺山修二さんのような日本にルーツを持つ表現が出てきて。特に僕は、浮世絵が持つ独特の色に惹かれました。

――特定の作家というよりも、日本的な表現方法に興味があったと。

しりあがり:そうですね。ただ、今思い出したんですが、小学生の頃に(歌川)広重の『東海道五十三次』シリーズの切手を集めていました。今も実家のどこかに仕舞ってあると思うんだけど。

――それから数十年の時を経て、急速に北斎に再接近していったわけですね。

しりあがり:『北斎漫画』のあとがきを書かせてもらったり、すみだ北斎美術館が開館した時のシンポジウムに呼んでもらったり。気付いたら北斎の情報がだんだん集まってきて。この人、すごいなって思い始めたんです。そして2018年に、すみだ北斎美術館からパロディ作品を作る機会をもらいました。

――北斎のどんなところに惹かれたのでしょうか。

しりあがり:北斎の生涯と作品、その両方です。生涯については、とにかく長生きして、次から次へといろいろなことにチャレンジしていって。森羅万象をすべて描き尽くそうとした生涯は、本当にかっこいいと思います。

――北斎はこたつから出ないで絵を描き続けたとか、猫が上手く描けなくて泣いた、などと伝えられていますね。

しりあがり:北斎はとにかく絵が好きな人。僕も絵を描きますが、そこまで描けないなと思います。今、僕の知っている中だと、本当に絵が好きなのは寺田克也さんですね。飯を食う時は、その絵を描いてから食べるんですよ(笑)。いつでもタブレットを持っていて、新幹線の中でも描いている。祖父江慎さんも近いかな。一緒に仕事をすると、時間がなくても、とにかく良いデザインにこだわる。あれほど好きだという気持ちは、なかなか求めて得られるものではありません。

――逆に、しりあがりさんが北斎にシンパシーを感じる点はありますか。

しりあがり:あまりかっこつけていないところですかね。つまり、絵が好きだという気持ちに素直に生きている感じがして。それでいうと、僕は「絵がそんなに好きじゃない」という気持ちに素直に生きているわけで(笑)。そこで嘘をついてもしょうがない。

――作品についてはいかがですか。

しりあがり:もちろん作品のほうも本当に素晴らしくて。構図の大胆さが魅力ですよね。北斎は世界で一番有名な日本画家とも言われていて、「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」は海外で「グレートウェーブ」と呼ばれています。今でも「波」と言えばみんなあれを思い出すでしょ。

――北斎は70歳を過ぎてから「冨嶽三十六景」を描き始めたと言われています。そのことはどう思いますか。

しりあがり:僕は今60代ですけど、老眼とか、握力が落ちるとか、肉体的な衰えが来ています。僕は毎日のように4コマ漫画を描いていますが、線が上手く描けなくなってきていて。それを北斎は、70歳を過ぎてあんなに細い線を描いている。デジタルじゃないし、アンドゥもできないのに(笑)。北斎は、「もっと長生きすれば、もっと描ける」と言ったと伝えられていますが、そう言えること自体がすごい。肉体的な衰えは考えないのか?みたいな。

パロディをものともしない構図の強度

――北斎のパロディ作品を制作してみて、どんなことを感じましたか。

しりあがり:オリジナルの構図がすごくしっかりしているので、多少いじったところで壊れない。逆に、ムードや雰囲気で押してくる作品は、どこをどう変えたらいいか難しくて。でも北斎の作品は、構図さえ崩さなければどうにでもできます。本当は、僕は少ししか変えていないのに全体が変わってしまうような作品が好きなんですね。だから、波を太陽のフレアに変えた「ちょっと可笑しなほぼ三十六景 太陽から見た地球」という作品を作った時は、「こんなに変えたら北斎の絵じゃなくなるのでは」と心配したけれど、やってみたらちゃんと北斎の作品のままだった。あの強さには驚きましたね。

――しりあがりさんは、もともとパロディを得意としていますが、北斎の作品はとりわけパロディにしやすい題材だと言えるのでしょうか。

しりあがり:とてもしやすいですね。まず多くの人がオリジナルを知ってること。あと、絵の世界がニュートラルで、細部だけでもいろんな方向に変えられる。

――今回の展示でも、パッと見は北斎の絵のままで、近づいてよく見ると細部が変わっているというものが多くありました。

しりあがり:北斎の絵は何も言っていないのがいいのかもしれないですね。楽しいとか、悲しいとか、感情的なところが全然なくて。例えば広重の絵の方が僕は旅情のようなものを感じます。北斎の絵はカラッとしていますよね。よく言われることですが、北斎の絵はシャッター速度が早い。歌舞伎の役者さんが見得を切った一瞬のような。写真的とも言えるかもしれません。

――しりあがりさんがパロディ作品を制作する時のルールはありますか。

しりあがり:いろいろな人のやり方があると思いますが、僕はなるべく変えない方がかっこいいなと思っています。放送作家の倉本美津留さんがパロディの本を出していますが(『パロディスム宣言』)、倉本さんも1箇所だけを変えることにこだわっているそうです。僕も倉本さんと近くて、よく見るとおかしい。あるいは、「ちょっと可笑しなほぼ三十六景 太陽から見た地球」のように、色を変えるだけで何もかも変わってしまう。そういう作品が好きですね。

――もし、北斎がしりあがりさんのパロディ作品を見たらどういう反応をするでしょうか。

しりあがり:「けっ!」って感じじゃないかな(笑)。「俺ならもっと上手くできる」って。もし北斎が今の時代に生きていたら、アニメーションは作りたがるでしょうね。「After Effectsを教えろ」とか言われるんじゃないかな(笑)。見てみたいよねえ、北斎のアニメ作品。そういえば庵野秀明監督は「アニメはアングルがすべて」のようなことを言っていますよね。それは北斎も同じ。ぜひ2人の勝負は見てみたいな。

笑いの奥底には、何かしらの真実が潜む

――今回のパロディの作品群を見ていると、まだまだ無限に作品が生まれそうな印象を受けました。

しりあがり:無限にできますね。今回の1つの手法が、北斎の世界の中に現代のものを入れ込むということ。スマホやドローンを取り入れたネタもあります。時間が経てば新しいものが出てくるわけで、時代が変わればいくらでもパロディは作れます。日々、現実は更新されていくわけですから。

――例えば風刺画がそうですが、往々にしてパロディは何らかのメッセージやイデオロギーを発信する手段としても使われます。しりあがりさんは、パロディやユーモアの効用をどのように考えていますか。

しりあがり:多様性という言葉をよく聞くようになりましたが、違った人たちが一緒に生きていく社会では、絶対に摩擦や批判は避けられません。みんなが求める社会は、イコール、摩擦や批判のある社会でもあります。そこをいかに分断しないでやっていくか。その時に笑いが必要です。一方、注意しないと笑いは人を傷つけてします。笑われた方も、こりゃ1本取られたな、と思えるようなユーモアでやっていかないと。

――多様性の時代ゆえに、笑いが重要なのですね。

しりあがり:だけど、「笑い」って人の感情の中でも特にコントロールが難しいんです。「笑い」という成分の中には驚きや緊張の弛緩などいろいろな要素が混ざっているし、意外だけど納得できる、という時にも人は笑いますよね。漫画でも風刺画でも、つい笑ってしまったという事実が大切で、その時はわからなくても、きっとそこには真実につながる何かがあるはずなんです。

――たしかに、今回の展示もクスッと笑える作品ばかりでした。今回、北斎のパロディ作品を通して、しりあがりさんが伝えたかったことはありますか。

しりあがり:逆にそういったことは考えないようにしました。社会へのメッセージなどは新聞の4コマ漫画の方で発信していますし。1枚1枚の絵を見るとメッセージがあるかもしれないけど、全体としては北斎の巨大な世界を楽しみましょう、ということに尽きます。純粋に北斎の世界をもっと豊かにして、いろいろな方向から楽しんでもらいたい。僕は北斎という巨人の足元で戯れさせてもらっただけだけど、改めて北斎のすごさを感じましたね。

しりあがり寿
1958年静岡市生まれ。1981年多摩美術大学グラフィックデザイン専攻卒業後キリンビール株式会社に入社し、パッケージデザイン、広告宣伝などを担当。1985年単行本『エレキな春』で漫画家としてデビュー。パロディーを中心にした新しいタイプのギャグマンガ家として注目を浴びる。1994年独立後は、幻想的あるいは文学的な作品など次々に発表、新聞の風刺4コママンガから長編ストーリーマンガ、アンダーグラウンドマンガなどさまざまなジャンルで独自な活動を続ける一方、近年では映像、アートなどマンガ以外の多方面に創作の幅を広げている。
HP:http://www.saruhage.com
Twitter:@shillyxkotobuki

■「しりあがりサン北斎サン -クスッと笑えるSHOW TIME!-」
会期:~7月10日
会場:すみだ北斎美術館
住所:東京都墨田区亀沢2-7-2
時間:9:30~17:30(入館は17:00まで)
休日:月曜日
入場料:一般 1,000円/高校生・大学生・65歳以上 700円/中学生・障がい者 300円/小学生以下 無料
会場ウェブサイト:https://hokusai-museum.jp/sansan/

Photography Kentaro Oshio

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パリのRuttkowski;68で開催した葛飾北斎の春画「蛸と海女の夢」 掻き立てられるエロスと芸術への欲情 https://tokion.jp/2021/06/01/hokusai-at-ruttkowski68-in-paris/ Tue, 01 Jun 2021 06:00:10 +0000 https://tokion.jp/?p=34201 エロティシズムをテーマとした22人の国際的なアーティストの作品を展示。キュレーターが春画と日本文化の魅力を語る。

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時に芸術は、時代と国境を超越して、言語にも勝るコミュニケーションツールとなる。現代の芸術家は過去の芸術家の作品からインスピレーションを受けて新たな作品を生み出し、やがてその作品が未知なる未来の芸術家の創造性を触発する。そんな芸術家の呼応を垣間見る展覧会がパリのマレ地区にあるギャラリーRuttkowski;68で開催された。「蛸と海女の夢」という展覧会のタイトルは、葛飾北斎の春画の名作から引用され、エロティシズムをテーマとした22人の国際的なアーティストの作品が飾られた。キュレーターはアメリカ出身でロンドンを拠点に活動するスティーブン・ポロックで「アメリカ社会と比較すると日本社会は秩序を重んじ、結束力が強いように見える。その反面、春画、アニメ、漫画などのサブカルチャーでは超現実主義的な非凡な創造性を表しているところが、西洋文化からはとても魅力的に映る」と日本文化の魅力を語る。

神道のアニミズムと汎神論、西洋の一神教の思想に接近する春画

浮世絵は世界中で愛され、パブロ・ピカソやアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック、オーギュスト・ロダンなどにも影響を与えたことで知られているが、今回の展覧会でポロックは春画にのみ焦点を当てている。

「桜や風景画など、息をのむ美しい浮世絵作品とは対照的に、春画には日本人の狂気が滲み出ている。特に『蛸と海女の夢』で2匹の蛸と性交渉を行うというアイデアには日本人独特の感性があり、神道のアニミズム(生物・無機物を問わないすべてのものの中に霊魂、もしくは霊が宿っているという考え方)と汎神論、そして西洋の一神教の思想に近いものを感じる。私の理解するところでは(もしかしたら間違っているかもしれないが)、北斎が生きた江戸時代後期〜幕末は日本の秩序が崩壊し始め、生活様式も大きく変化した。抑圧された生活の裏にある無秩序な世界観を春画で表現した。北斎が描いた超現実主義な春画は、サルバドール・ダリと同じくらい革新的で、現代のアーティストにも影響を与えている」。

春画は、江戸時代に庶民の間で流行した、性風俗の様子を赤裸々に描いた浮世絵作品。蛸のような実存する生物だけでなく幽霊や妖怪との性交渉や女装して体を交わる同性愛者、性のテクニックを指導する売春宿の風景、浮気相手との行為を見られてしまった修羅場、情事を覗き見する若い娘など、エロティシズムとユーモアが過激な描写とともに描かれている。19世紀中期から春画はタブー視され法律で禁止されたが、同時期に浮世絵はヨーロッパで“ジャポニズム”として評価を得て、印象派画家にも影響を与えた。春画に関しては、19世紀後半にフランスの美術批評家エドモン・ド・ゴンクールが「蛸と海女の夢」を紹介して以来、ヨーロッパの美術界では広く知られてきた。現代においても、芸術作品は国内外で異なる評価を受けることがあるが、春画もその1つである。海外では2000年代から春画の芸術的、文化的な価値が再評価され、フィンランドやスペインなどで展覧会が開かれてきた。最も話題になったのは、2013年にロンドンの大英博物館で開催された「大春画展」だった。

今回ポロックがキュレーターを務めた「蛸と海女の夢」展は春画そのものではなく、その作風が後のアーティストにどのように影響を与えたのかに着目し、現代のエロティシズムを解釈、展示した。その影響が顕著なのは、1970年代にポップアートの先駆者として知られるニューヨークのラリー・リヴァーズの作品。1970年代に独自の春画シリーズを制作した彼の作品の中から、“Erotic Japanese Detail”が展示された。ポロックは「美術批評家ゴンクールは『蛸と海女の夢』を風景画のようであると評した。そしてリヴァーズの作品には共通する点がある。性器が交わるところをクローズアップしたこのエロティックな作品は、見方によっては女性の体が丘の上の岩のようにも見え、毛は岩の上に生えた海藻、したたる精液は白い滝のようである」と同作について説明を加えた。

春画を社会の制約と倦怠感を取り払うための不浄なマントラとして提示

イギリス出身のアーティスト、ペニー・スリンガーのセピア色の写真では、花嫁と花婿の格好をした2人の女性が男性器を模した性具を共有している。1973年のこの作品は、1970年代当時盛んだった女性解放運動の中で生み出された作品だが、現代のジェンダーレスな意識改革を求める社会の動きとも共鳴しているようだ。スリンガーは、2019-20秋冬オートクチュール・コレクションで「ディオール」とコラボレーション作品を制作し、夢想や性の解放をテーマに創作を続けるフェミニストの代表格である。

クリー族(北アメリカの先住民族)のアーティスト、ケント・モンクマンは植民地の力関係を象徴的に絵画で表現した。羽根で飾られた大きな民族衣装のヘッドピースとピンヒールのニーハイブーツを履いた先住民の男性の性器を、カナダ騎馬警察のユニフォームを着た男性がひざまずいて舐めるという過激な様子が鮮やかな色彩で描かれている。人種、支配、欲望を破り、モンクマンは新世代の歴史画を描くアーティスト。

アメリカ出身のロバート・ホーキンスは絶滅鳥ドードーの交尾や、旧人類ネアンデルタール人の性交渉の様子を風景画とともに描いた。北斎との共通点について、ポロックは「空想か現実か曖昧である点」だと結んだ。イギリスの美術評論家で画家のマシュー・コリングスは、1950年代ジャクソン・ポロックがペギー・グッゲンハイムのホームパーティで暖炉に放尿する様子などをコミカルな作風で描き、アンディ・ウォーホルが1960年代に生み出した小便絵画にオマージュを捧げている。また、縛りアーティスト、マリー・ソバージュは天井から吊るした着物を着たミューズを縄で縛るライブパフォーマンスを披露した。縛りの文化は“Shibari”として海外でポップなアートとして解釈され始めている。

展覧会でこれらのエロティックな夢は、社会の制約の殻と倦怠感を取り払うための不浄なマントラとして提示された。至福、エクスタシー、飽くなき欲望……。性交渉に付随するのは性的な快楽だけではなく、親密さ、触れ合い、安らぎといったコロナ禍で最も人々が求めたものである。抑圧されたパンデミックを過ごした反動で、夢想をさらに膨らませたアーティストは多いかもしれない。「蛸と海女の夢」は、これからも人々の創造性を掻き立て、新たな作品を生み出す潤滑剤となりそうだ。

スティーブン・ポロック
アメリカ出身、ロンドンを拠点に活動するキュレーター、アートディーラー、POLLOCK FINE ART創業者兼ギャラリスト。

■「蛸と海女の夢」
会期:4月17日〜5月16日
会場:Ruttkowski;68  
住所:8 Rue Charlot, 75003 Paris
時間:14:00〜19:00 *アポイント制、成人限定(フランスの法律による)
休日:日曜、月曜、祝日
入場料:無料
参加アーティスト:Hans Bellmer, Kitty Brophy, Robert Crumb, Sante D’Orazio,
Jårg Geismar, Kent Monkman, Marieli Fröhlich, Matthew Collings, Robert Hawkins, Bjarne Melgaard, Pierre Molinier, Carlos Pazos, Vilte Fuller, Philomène Amougou, Lily Lewis, Sophy Rickett, Larry Rivers Marie Sauvage, Penny Slinger, Andy Warhol, Bruce Weber, Cicciolina Ilona Staller, Hokusai

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