Dos Monos Archives - TOKION https://tokion.jp/tag/dos-monos/ Mon, 26 Feb 2024 08:24:35 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.3.2 https://image.tokion.jp/wp-content/uploads/2020/06/cropped-logo-square-nb-32x32.png Dos Monos Archives - TOKION https://tokion.jp/tag/dos-monos/ 32 32 Dos Monos、奇奇怪怪、脳盗のTaiTan アンダーグランドな存在感のまま、大衆にも開かれる、令和のドン・キホーテを目指す  https://tokion.jp/2024/02/26/interview-taitan/ Mon, 26 Feb 2024 09:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=225047 Dos Monos、『奇奇怪怪』、『脳盗』と多岐に渡って活動するTaiTanへのインタビュー。2023年の活動を振り返りながら、個々の企画に込められた意図を聞く。

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TaiTan

TaiTan
Dos Monosのメンバーとして3枚のアルバムをリリース。台湾のIT大臣オードリータンや、作家の筒井康隆とのコラボ曲を制作するなど、領域を横断した活動が特徴。また、クリエイティブディレクターとしても¥0の雑誌『magazineii』やテレ東停波帯ジャック番組『蓋』などを手がけ、2022年にvolvoxを創業。Spotify独占配信中のPodcast『奇奇怪怪』やTBSラジオ『脳盗』ではパーソナリティを務める。
Instagram:@tai_____tan
X:@tai_tan
X:@kikikaikai_noto

3人組ヒップホップユニットDos Monosのラッパーであり、Podcast番組『奇奇怪怪』とTBSラジオ『脳盗』ではパーソナリティを務め、雑誌やウェブメディアへの寄稿、数々のインタビューにも登場しているTaiTan。2023年の活動を振り返りながら、個々の企画に込められた意図を探る。

コロナ禍を清算する物理的な表現

——2023年はDos Monosのライブやリリース、レギュラーのPodcastとラジオに加え、メディアへの露出もかなり多かったですね。

TaiTan:いま僕の活動はかなり多岐にわたっていて、いわばホールディングス化してきているんですよね。軸としては、Dos Monosのメンバーとしての活動、『奇奇怪怪』および『脳盗』のパーソナリティ、あとはクリエイティブディレクターとして企画を考える仕事と、この3つでまわっています。

——まずDos Monosとしては、2023年7月20日に、初のライブ・アルバム『Don’t Make Any Noise』が、アクリル盤という形式でリリースされました。

TaiTan:盤を販売してお金をつくる、という経済的な要請もあって、ライブ盤を出すことになり、でもライブ盤って、基本的には熱心なファンが買うもので、広く流通するものではない。収録されるライブはコロナ禍にやったもので、自分達なりに「コロナ禍とは何だったのか」というのも清算したかった。しかも、この時代にわざわざ盤という形を伴って出す以上は、それを物理的に表現するべきだろうと考えて、コロナが一旦終息して使われなくなり、各地で無用の長物化していたアクリルパネルを加工することにしました。

実際にライブハウスや飲食店をまわって、アクリルパネルをかき集めて、みんなで裁断して。500枚限定なので、数字的なヒットにはなり得ないですけど、韓国の「VISLA Magazine」とかから記事にしたいというオファーがきたり、海外からも反応がありました。言語に依存しない企画の性質もあり、届くところには届いたのかなと思います。

——こういった企画性のあるものについては、TaiTanさんが主導で考える?

TaiTan:そうですね。Dos Monosの音楽面については荘子it君が担っているので、僕はPRだったり、リリースにあたっての仕掛けだったり。これまでのオードリー・タン氏とのコラボ、トラックデータを全公開した広告、テレビ東京で上出遼平さんと組んだ番組『蓋』とかは、僕が主導で動かすことが多いです。

カルチャーの中でも音楽は最強

——荘子itさんのXでは「Dos Monos第一期終了、第二期始動。」という声明も発表されていました。「Dos Monosはヒップホップクルーを経て、ロックバンドになる(戻る)」と。

TaiTan:もともと僕らはラップユニットの前にバンドとして結成したので、原点回帰というか。荘子it君が、これからは楽器なりによるビビッドなリアクションや身体感覚を音に落とし込みたい、と言い始めたので、僕はもう「ついていきます」と(笑)。すでに新作のレコーディングも終わっていて、僕も久しぶりにドラムを叩いたり、バンドサウンドになっているので、楽しみにしていてほしいです。

——Dos MonosにおけるラッパーとしてのTaiTanと、『奇奇怪怪』をはじめとした各メディアで披露されるTaiTan個人としてのキャラクターは、一貫性があると見ていいのでしょうか。

TaiTan:別に名前を変えているわけでもないですし、一貫してますよ。リリックに落とし込む時には、韻だったりボースティングだったり、ある程度ラップマナーに則った表現になるので、Podcastのパーソナリティとしてのしゃべりとは微妙なニュアンスの違いはあると思いますけど、考えていることは変えようがないというか。なんなら、Dos Monosの新作の1曲では、とうとう僕しゃべってますから。

——最初にDos Monosとして世に出た当時から、個人としての活動も視野に入れていた?

TaiTan:デビューした時から、並行して企画を考える仕事とかはしていましたし、いろんなことに興味が分散する性分ではあるので、今のような活動を計画的に考えていたわけではないですけど、何かしらやっていたんだと思います。Podcastを選んだのも、ラジオが好きだったこともありつつ、あの時点での流れによるところが大きいので、この先スッと別の形になる可能性も全然ある。1つのことを深く掘り下げるよりも、同時多発的にやっていたいんです。

——多方面に及びながらも、Dos Monosの音楽活動がコアにあることは、表現者としては大きな強みになるのでは。

TaiTan:カルチャー全般を見渡しても、やっぱり音楽は最強ですよね。音楽にはすべてがある。バイラルする性質を持っていて、巻き込み力が違う。しかもラッパーなんて最も身軽ですから。ただ、バンドでもユニットでも、もともとあった形のまま、30代になっても音楽を続けていくことはすごく難しいので、Dos Monosがいまだに結成時のメンバーで活動を続けられていることは奇跡的だと思ってますし、大事にしていきたいですね。

——国内のラップシーンとの関わりというか、つながりは?

TaiTan:もちろん個々のアーティストや周辺の人達とのつながりはありますけど、Dos Monosがラップシーンにいるかって言ったら、まぁいないですよね。音楽性としてもオルタナですし。あと僕らは単純に友達が少ないっていう(笑)。なので、自分達で経済圏をつくって、音楽性はもちろん、アイデアなり企画力で勝負していくことを考え続けます。

書籍に広告を入れる、書店に3000冊を積み上げる

——2023年8月に刊行された『奇奇怪怪』書籍化の第2弾は、その装丁のオリジナリティはもちろん、単行本としては異例の、中に広告のページがあるという仕様でした。

TaiTan:せっかく本を自分で作るからには、本の作り方そのものから考え直して、オルタナを指向したかったんです。雑誌に広告が入っているのは当たり前ですが、書籍に広告が入ることは業界的にはありえない。でも、担当編集に調べてもらったら、暗黙の了解や慣習として入れていない面もあるということもわかり。だとするなら、書籍の母体となる『奇奇怪怪』という番組には、すでにコミュニティが存在していて、リスナーには個人でも法人でも事業者が多いことはわかっていたので、そのリスナーからの広告費で制作費を賄う、という枠組みはコンテンツとの相性がいいのではと考えました。それに、装丁自体が漫画雑誌風というアイデアだったので、広告が入ることがむしろ演出の補強にもつながるという判断も決め手になりました。結果、アイデアの太さと、売り上げとは関係なく、絶対に赤字にはならない経済的なメリットの両立が達成できたかなと思っています。

僕自身が出版業界の人間ではないというのと、版元が石原書房という、この『奇奇怪怪』が1冊目の刊行物になるインディーの出版社だったので、どうにか実現できました。そのぶん、とんでもない苦労をそれぞれが味わいましたけど……。

——販売方法にしても、代官山蔦屋書店でおよそ3000冊の本を積み上げる特設展示『密と圧』が話題になりました。

TaiTan:あれは「本そのものを本の広告にする」というコンセプトです。本は1冊が置いてあるだけではただの本でしかないけれど、それが10冊、20冊と積み上がっていけば、次第に物体としての存在感を獲得しますよね。つまり、本自体が本の広告をし出す閾値がどこかにあって、それを最大規模でやったらどうなるか、という実験でした。完璧な理想としては、お菓子の家みたいに、壁も扉も本でできている、本の家くらいの圧がほしかったんですけど、さすがに一般の書店ではレギュレーションにも限界があるので、結果こういう形になりました。それでも物量的に異常なインパクトですし、本が売れて減っていくと、中にはまた別の作品が隠れている仕様で、本を買うという行為自体を楽しんでもらう試みとしては上手くできたなと思います。

——1つの書店で3000冊も入荷するとなれば、記録にも残りますよね。

TaiTan:オルタナを指向するからには、相手のメリットになる記録なり数字なりの説得力がないと実現は難しい。なので、詳しい数字は言えないのですが、代官山蔦屋での売上記録を事前に聞いて、そこを目指して動きます、という形で企画の承認をもらいました。そして結果的に、それをちゃんと達成できたのでよかったなと。話の筋としても、いきなり代官山蔦屋書店に乗り込んだわけではなく、それまでに番組で本をたくさん紹介してきた経緯があったり、書店員さんに番組のファンがいたこともあって、こういう突飛な企画も通してもらえました。

もし僕に何か特徴があるとしたら、企画はがんばって考えるのは当然として、それよりも、相手のメリットにならないような、無茶な提示はしないようにしてるっていうことかなと思うんです。数字とか納期の話とか。それが結果的にいいアウトプットに繋がる気がしています。あとは、それを実現させてくれるチームに恵まれているのも大きいですね。

——TaiTanさんの仕事は、その企画性や新規性が前面に出るクールな印象がありますが、根底には情熱がこもっていますよね。

TaiTan:やっぱり根っこにあるのは、ラップでもPodcastでも、企画仕事でも一貫していて、言葉の力でオルタナティブな現実をつくりたい、ということに尽きるかなと思います。もっと言えば、受け手に「自分にも何かできるかもしれない」、そういうことを感じてほしい。そのへんはわりとピュアに、原動力になっていますね。

『奇奇怪怪』と『脳盗』と『品品』の明確な役割分担

——書籍版『奇奇怪怪』の発売と同じ8月には、Forbes JAPAN が選ぶ「世界を変える30歳未満」に選出されました。以降、各メディアへの露出も増えましたね。

TaiTan:声をかけてもらえるのはありがたいですが、いろいろなところへお呼ばれして出続けていると、便利屋的な存在として、あっという間に消費され尽くしてしまうことも自覚しています。そうならないためにも、きちんとクリエイティブディレクションを担当した成果物を見せたり、最近だと、武田砂鉄さんの『わかりやすさの罪』の文庫版の解説を書いたんですけど、そういうまとまったまともな文章を書く仕事を増やしたり、少しでも地に足のついた活動をプレゼンテーションし続けなければいけないな、と思ってますね。

——Podcast番組の『奇奇怪怪』と、そこから派生したTBSラジオの『脳盗』は、どういった住み分けをしていますか。

TaiTan:『奇奇怪怪』はノリや世界観を作る場所で、『脳盗』は仲間を作る場所。この2つに加えて、『品品』というプロジェクトもあって、それは売り上げを作る場所です。ちょうど2月に「品品団地」という拠点になるマーケットを開設しました。

——3本の柱で、明確に役割分担がある。

TaiTan:ありますし、それぞれが収斂していくことが理想ですね。『脳盗』は自主制作のPodcastと違い、キー局の番組なので、著名なゲストも呼びやすいし、同じTBSラジオで番組を持っているパーソナリティとの共演もしやすい。外部と交流を持つことで広がりが生まれて、僕らを知ってもらえる機会も増える。とはいえ、ゲスト頼みになると、広がりは生まれても、自分達だけの深みは失われていくので、『奇奇怪怪』は基本(玉置)周啓君と2人で、ゲストを呼んだとしても身内のノリが共有できる人達。そして、広さも深さも追求しながら活動を続けていくために、『品品』で資金を稼ぐ。という循環です。

——『脳盗』のゲストのラインアップを見ると、爆笑問題の太田光、ライムスターの宇多丸といったTBSラジオのパーソナリティとは別軸で、ダ・ヴィンチ・恐山やFranz K Endoといった、ネット発のクリエイターも呼んでいるところがユニークでいいですよね。

TaiTan:それも明確に狙いがあって、ネット発の人達を、テレビよりさらに古いメディアであるラジオに呼ぶことで、彼らの圧倒的なおもしろさを、誤配的にラジオリスナー達に届けられたらと思っています。ある種キュレーター的に「こんなおもしろい人がいる」ということをいろんな人に伝えたいというか。そこが公共放送ならではの醍醐味なのかなと思います。デジタル畑の人を、デジタルメディアのPodcast番組に呼んだとしても、聴く人の属性がそこまで変わらないじゃないですか。

——ひとまず『奇奇怪怪』は安定として、『脳盗』の今後はどのように考えていますか。

TaiTan:まさに近々の課題ですね。いま考えているのは、ラジオでは音楽を流せることが、Podcastではできない最大の利点なので、しゃべりと選曲を担当するという意味でのディスクジョッキーを目指したいなと思っています。つまり、パーソナリティというよりはDJとしての認識が強いです。ただ、陽気に音楽を紹介するFMラジオのノリではなく、しゃべりはあくまでAMのノリで。スタイルとしては『菊地成孔の粋な夜電波』が好きだったので、その影響を受けているかもしれません。

——AMラジオのトークと選曲がばっちりハマった時は、異様な高揚感がありますよね。

TaiTan:本当にそうで、僕は演劇に近いものがあると思っているんです。劇中のストーリーに音楽が完璧にハマった時の祝祭感は、暴力的と言ってもいいくらいの破壊力がある。その高揚感をラジオでも再現したい。あくまでも曲が中心にあって、トークはその前座的な役割にすぎないというか。知っている楽曲だったとしても、トークと接続されることで聴こえ方が変わったりするので、そういうおもしろを届けたいですね。そのためには、ラジオショーとしての演劇的な発話が必要になってくるので、『奇奇怪怪』みたいにボソボソしゃべっていてはダメだなと。Podcastとラジオでの求められる発話の違いなども模索してる最中です。

「品品団地」という新しい拠点

——先ほど話に出た「品品団地」について、改めて詳細を聞かせてください。

TaiTan:「品品団地」を作った最大の目的は、これまでSpotify独占配信だった『奇奇怪怪』を、Spotifyの援助を受けずに、自分達で資金繰りも含めて運営していく、ということです。そのために、リスナーから月額で支援を募る体制にしました。

企業からの制作援助は非常にありがたいし、Spotifyには感謝しかないですけど、特定の一社に生命線を委ね続けることのリスクはどうしてもある。SpotifyがいつPodcast事業から撤退するかわからないですし、それは僕らを信頼してくれている担当者の裁量ではどうにもならないことなので。

——直接課金制と聞くと、どうしてもオンラインサロン的な、せっかくのコミュニティが閉じていく可能性も感じてしまうのですが、そのあたりはどう考えていますか。

TaiTan:そこはコミュニケーションのとり方の問題かなと思っています。僕らからは、今のところ「番組を続けていくために支援してほしい」ということしか発信していません。いわゆるオンラインサロンの特徴とも言える、あなたの居場所を作りますとか、何かを伝授します的なことは一切言ってないし、言うつもりもありません。それに、番組自体をクローズドにしていくわけではないので、番組の性質自体が変わるわけでもないですし。

あとは、アンケートに答えてくれたリスナーの属性はある程度わかるようになったので、こっちから特性に合わせた相談をすることもあるかもしれない。

例えば、今回ブランドの拠点となるウェブサイトをしっかり作ったのですが、そのサイトもリスナーであるChooningというエンジニアチームと一緒に開発してたりします。そういうポジティブな広がりが生まれるのも期待してますね。

令和のドン・キホーテ、猫の玉置周啓

——TaiTanホールディングスとしての未来図は?

TaiTan:令和のドン・キホーテみたいな存在になりたいですね。超アンダーグラウンドな存在感を保ったまま、圧倒的に大衆に開かれている。さらに、言語の壁を超えて観光地的なおもしろさも獲得しているという。NewJeansが日本へ来た時にもわざわざドンキ行ってましたよね。そして何より経済的な成功も桁違いという。ドンキを超えるユニークなブランドはないと思います。

それに運命的なものも感じていて、ドン・キホーテの創業者である安田隆夫氏が、最初にディスカウントショップを開業したのが29歳の時で、僕が闇市を構想して『品品』を始めた歳と同じなんです。しかも、その最初につくったショップの名前が「泥棒市場」っていう。そういうセンス含めて、思想的にも近いものを感じています(笑)。これまでの活動で基盤はできたと思うので、今後は音楽、Podcast、クリエイティブディレクター業と、いろんな文脈で培った力を結集させて、訳のわからない作品や環境を作り出していきたいなと夢想しています。

——では最後に。ここまで多方面にわたって意図や計画を聞かせてもらいましたが、玉置周啓さんには、どういう役割を期待しているのでしょうか。

TaiTan:友達でいてくれたら、それでいいです。強いて言うなら僕自身、気質が完全に裏方タイプなので、いわゆる演者に向けられるスター的な視線を浴びることは、周啓君に任せているという感じですかね。音声メディアにはどうしたってヒューマニティが必要で、散々能書きを語ってきましたが、コンテンツとしては玉置周啓がいないことには成立しません。芸人コンビでもよくある構図ですよね。ネタも書かない、戦略を考えたりもしないけど、圧倒的にファンから愛されるのはあっち、っていう。最近はもはや猫みたいな存在と考えていて、ただそこにいる玉置周啓を動画に撮ってアップしています。究極のスターは猫なので(笑)。そして、それだけで喜んでもらえるのだから、羨ましいなと思っています。

Photography Keisuke Nagoshi(UM)

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TaiTanと玉置周啓によるポッドキャスト番組『奇奇怪怪』の第弐集となる書籍『奇奇怪怪』が8月17日に刊行 https://tokion.jp/2023/07/25/kikikaikai-vol-2/ Tue, 25 Jul 2023 09:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=200670 Dos MonosのラッパーTaiTanと、バンドMONO NO AWAREのボーカル玉置周啓によるポッドキャスト番組『奇奇怪怪』が第弐集となる書籍『奇奇怪怪』を8月17日に発売する。

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Dos MonosのラッパーTaiTanと、バンドMONO NO AWAREのボーカル玉置周啓によるポッドキャスト番組『奇奇怪怪』が第弐集となる書籍『奇奇怪怪』を8月17日に発売する。

前作『奇奇怪怪明解事典』は、版元である国書刊行会史上最高の予約数を記録するなど、近年のポッドキャストブームを象徴する書籍となった。今作は、漫画雑誌風にデザインを一新。書籍ながら掲載広告をリスナー等から公募するなど、ポッドキャスト発の書籍としての新しい出版の在り方を模索している。また、挿画デザインをデジタルアーティストmesoism、アートディレクションをmaxillaのSHIMPEI UMEDA、本文レイアウトを川名潤が担当し、単なる言葉の書き起こしに留まらないビジュアル面での進化も前作にはない特徴となっている。巻末解説として、藤岡拓太郎の短編漫画を併録。

さらに8月17日の書籍発売と同時に、代官山 蔦屋書店では書店内1ブースをつかってのポップアップ「圧と密」を展開。約3000冊の本書を用いた異形の特設展示を、アーティストのGILLOCHINDOX☆GILLOCHINDAEとともに構築。空間内にさまざまな仕掛けを施すことで、来場者が新しい書籍の購入体験を楽しめるようになっている。また、9月1日は、トークイベントを実施予定。詳細は後日発表される。

■『奇奇怪怪』
発売日:2023年8月17日
判型:B5
ページ数:392ページ
収録エピソード数:45編
定価:¥2,750

『奇奇怪怪』はSpotifyで独占配信されているPodcast番組。ラッパーTaiTanと、音楽家玉置周啓がさまざまなカルチャーの魅力や社会現象の謎を強引に面白がるプログラム。シーンで活動する当事者による、忖度のない深掘り雑談が人気。

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Dos Monosが初のライブアルバム『Donʼt Make Any Noise』を発表 500枚限定で販売 https://tokion.jp/2023/07/20/dos-monos-don%ca%bct-make-any-noise/ Thu, 20 Jul 2023 02:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=199701 Dos Monos公式オンラインストア「STORE D」で500枚限定販売。

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Dos Monosが7月20日に初となるライブアルバム『Donʼt Make Any Noise』を発表した。本作は 2021年9月に東京・恵比寿LIQUIDROOMで開催した『Theater D vol.3』のライブを音源化したもの。音源は、通常のCD盤ではなく、各所で使われなくなったアクリルパネルを加工して作られたアクリル解体盤内に収録。盤に埋め込まれたURLへ飛び、パスワードを入力すると、購入者限定の音源サイトへと誘導される仕様となっている。

今回、コロナ禍で分断装置の象徴となっていたアクリルパネルを、音楽の媒介装置へと変換させることで、新しいアルバムの視聴体験をつくることを企図。素材元であるアクリルパネルは、メンバーとゆかりのあるライブハウスやクラブ、撮影スタジオ、ファストフードチェーン店などで処分も使用もされることなく無用の長物化していたものを回収、解体し、作品化。作品化されたアクリル盤は、種類や損傷の状態もすべてが異なり、いずれも一点ものとなっている。

作品はグラフィックデザイナー・八木幣二郎と共同で制作。予約はDos Monosの公式オンラインストア「STORE D」のみで500枚限定で受け付けている。

音源は、エンジニア・The Anticipation Illicit Tsuboiのミックス作業によって再構築し、通常の”ライブ盤”とは全く異なった新たな音像へと昇華させたDos Monos第1期の最終アルバムとなっている。Dos Monosは本作のリリースと同時に、2年連続のヨーロッパツ アーを開始する。

■Dos Monos『Donʼt Make Any Noise』
2023年7月20日からDos Monos公式オンラインストア「STORE D」にて予約販売開始
価格:¥5,000
※限定500枚
※初回購入分の発送は8月下旬〜9月を予定。
※アクリル盤に埋め込まれたURLにアクセス、パスワード入力すると音源サイトから楽曲のDLが可能。
収録曲
1. 暗渠
2. medieval
3. OCCUPIED!
4. Theater D
5. Dos City Meltdown
6. Fable Now
7.Clean Ya Nerves feat. 松丸契
8. in20XX
9. Aquarius
10. Sagittarius feat. Qiezi Mabo
11. bmbmbm (REMIX)
12. Estrus
13. Civil Rap Song
14. Agharta
15. Rojo
16. Y
17. Headhunters feat. Marty Holoubek, 細井徳太郎, 松丸契, 大井一彌
18. 地下熱 feat. 地下人
19. 21世紀ノスタルジア feat. 小田朋美, Marty Holoubek, 細井徳太郎, 松丸契, 大井一彌, 地下人
https://dosmonosjp.stores.jp/items/64b3ab84db24c420fc08fe5a

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Dos MonosのTaiTanとMONO NO AWAREの玉置周啓による「奇奇怪怪明解事典」が書籍化 解説は上出遼平が担当 https://tokion.jp/2021/12/28/kikikaikai-meikaijiten-book/ Tue, 28 Dec 2021 08:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=88086 Dos MonosのTaiTanと、バンド・MONO NO AWAREの玉置周啓によるポッドキャスト「奇奇怪怪明解事典」が、書籍化。刊行は2月中旬を予定。解説は上出遼平が行っている。

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ヒップホップグループ・Dos MonosのTaiTanと、バンド・MONO NO AWAREのフロントマン玉置周啓によるポッドキャスト「奇奇怪怪明解事典」が、書籍化される。刊行は2月中旬を予定しており、対話50本に語り下ろしも収録。総ページ数は544ページで、価格は¥4,180。解説はテレビ東京の上出遼平が行っている。

同番組は日々を薄く支配する怪奇現象に名前を与え、その正体を考察することをコンセプトとしてスタートし、多様なコンテンツと社会現象についてラッパーとシンガーが語りつくす。今年3月の「JAPAN PODCAST AWARDS 2020」でSpotify NEXT クリエイター賞を受賞。2021年12月現在の合計再生時間・再生回数は前年比999%増を叩き出すなど、近年のポッドキャストブームを代表する大人気番組に成長している。

その書籍版は表現者の視点からの現代への批評集となり、また音楽・映画・マンガ他、著者両名の個性と時代の雰囲気が色濃く反映されたカルチャー全般へのガイドブック=ブックガイドとなる。

また、上出遼平、羊文学の塩塚モエカ、Tempalayの小原綾斗による推薦コメントも合わせて紹介する。

「2人の軌跡は蛇行し、螺旋を描き、どこへもたどり着く気配がない。しかして、その歩みが知を耕す。私は二人の会話を生涯聴いていたい」(上出遼平・テレビディレクター・プロデューサー)。

「私もこんな相棒がほしい。心をキラキラ輝かせたまま大人になった2人の、小さな秘密基地をのぞいているような気分になった。賑やかでためになる、タダモノではない大事典だ」(塩塚モエカ・羊文学)。

「帯なんてつけてんじゃねえ。良著に帯は付かん。この本に帯はいらんのだ。そもそも本ではない」(小原綾斗・Tempalay)。

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「もっといかがわしい奴が出てこないといけない」――“色気を超越した崇高な下世話さ”を欲して彷徨う神出鬼没のDos Monos、2021年を総括する ―後編― https://tokion.jp/2021/12/26/interview-dos-monos-2021-part2/ Sun, 26 Dec 2021 06:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=82342 Dos Monosがこの1年を総括。多岐にわたるコラボ、そこで露呈する色気と下世話さについて。「ハッタリ感に世間が振り回される1年になってほしい」

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前編はこちら)

2021年のDos Monosの活動における<音楽面>について語ってもらった前編に続き、後編では彼等が多岐にわたり繰り広げているコラボレーション、そこで露呈する“色気を超越した崇高な下世話さ”について独自の議論を展開してもらった。

ポップになるためには、自らをさらけ出して見世物になる必要がある

――荘子itさんをはじめとしたみなさんの神出鬼没の動き、つまり音楽に限らずあらゆるジャンルのおもしろい方々とコラボや対談を繰り返し、硬直した価値観を柔らかくする試みを繰り返すことで、Dos Monosの動向に対する受け手の期待はかなり高まってきているように感じます。ある意味、随所でバグを仕掛けて思考を揺さぶっていくキャラクターが確立されてきており、そこにみんながポップさを感じはじめているようにすら思うのです。それはDos Monosらしいことなのか、Dos Monosのみんなさんは果たしてそれを求めているのでしょうか。

荘子it:「Dos Monos面白いことやってるね」とはみんな言ってくれるんですよ。特に業界内ではその反応が多くてそれ自体はいいことなんだけど、でもポップさの地点に行くには、もっと自分をさらけ出して見世物になっていく必要があります。

――「さらけ出す」というのは具体的にどういったことを言うのでしょうか。

荘子it:アーティストが自分の作品について語るっていうのは、究極的には「こう見てほしい」ということだと思うんです。でも、その先に「あのアーティストってこう言ってはいるけど実際はこうだよね」って半分茶化されるようになってからが本物ですよね。尊敬される映画監督なんて、大体批評家に人間としてのダメなところを追及されはじめる。ドゥニ・ヴィルヌーヴとかも女性崇拝が強過ぎてフェミニズムからしても完全にアウトになってしまってるみたいな(笑)。そういう作家の抱える難題をオーディエンスに見破られてからが勝負なわけで。それを隠せているうちは幸福なようでいて、クリエイターとしてはまだ土俵に立てていない。

まあ、ドゥニ・ヴィルヌーヴはあまりに精神分析的すぎる愛でられ方だからそれはあまり好きではないんですけど(笑)、それでもある意味えぐられるような、見てほしくないところを見てもらえるようになったらいいですよね。ポップさって、つまり「いじりがい」があるかってことなんじゃないでしょうか。「やってることかっこいいよね」って感じじゃなくて、「なんかあいつらうざいんだけど」っていうくらい下世話な感じ(笑)。でも自分達は、まだそこまでは全然行っていない。

没 a.k.a NGS:『蓋』(2020年9月にテレビ東京の深夜枠で突如放映された実験的番組。番組と連動してDos Monosの新曲やMVが公開された)でも、特にそんなに悪口とかなかったですからね。

Dos Monos – OCCUPIED!

荘子it:『蓋』は、いつものDos Monosリスナーは全然反応しなかったですね。沈黙だった。そうじゃない、別の層の方が騒いでましたけど。でも普段とは全く違う層で勝負できるっていうのはすごくいいことだと思っていて、ああいった動きは自分達自身の交通を変える意味でもすごく良かったです。交通を作るだけじゃなくて、自分達自身も交通していかないと。

自分で自分に退屈してしまう絶望感。「音楽ってもっとおもしろいはず」

――おっしゃる通り、Dos Monosを知っているリスナーは『蓋』に対してすでに「Dos Monosっぽさ」を前提としたスタンスで臨むところがあるので、本当に重要なのは『蓋』起点でDos Monosを聴いた方の反応ですよね。実際、そのあたりの反応はどのようなものがあったか耳に入られていますか?

荘子it:『蓋』を考察する、みたいな人は多かったですよね。でも、第一義的にどんでん返しや伏線のような考察のしがいを必要とする人達ってどうなんでしょうか。別に娯楽と割り切って観てるわけだからそんなこと言われても大きなお世話かもしれないですけど。とはいえ、批評の方に居直って「だからこそ批評が偉い」なんて時代錯誤なことを言うつもりはない。

となると、やっぱり必要な回路って「考察しているうちに本当の快楽を知ってしまう」みたいなことしかないと思っています。文化資本の高い人達が言うような、「わかっているやつが分かっている」的なことってそれはそれで尊いけれど、Dos Monosはそこを突き破っていきたい。考察する人達の、そのうち数人が本当に覚醒しちゃうみたいなことをやっていきたいんです。

――なるほど、どの程度覚醒させられたかですね。

荘子it:でも実際は、「『蓋』の考察を楽しんでたけど最後ヒップホップグループの宣伝だったのがわかって冷めた」みたいなことを言ってる人も一定数いましたね。まあ、そんな感じで、悲しいかな何も芽生えなかったねっていう出会いがほとんどですよ。人生なんてそんなものです。出会いなんて大体そうじゃないですか。何にもならない、単なる快楽だけが残ったね、みたいな。でもその中で、低い確率ですごいことが生まれるかもしれない。そうなるには、ある程度までは交通量を増やすしかないです。コンセプトと譲れないポイントを守りながら、ちゃんと交通をしていきたい。あとはもう確率の問題なので。

TaiTan:自分の場合、オードリー・タンとコラボしましたとか、DAWを使った広告やりましたとか、その積み重ねによって「Dos Monosってそういうことをやるグループである」という認識が盤石になっていくっていうのは、ちょっと前までは興味がありました。そういう意味では『蓋』も成功だったのかなと。ただ、そればかりが期待されはじめると、もう予想の範疇になってしまう。自分で自分に退屈しちゃうっていうことへの危機感はすでに芽生えはじめていますね。

Dos Monos – Civil Rap Song ft. Audrey Tang 唐鳳

――なんとなく、そう思いはじめているのかなって気はしていました。

TaiTan:もっと他のアーティストに関しても奇想天外な動きが見たいんですよね。もっと派手に驚きたい。俺等くらいの、どこの事務所にも所属してなくて資金もたかが知れてる人達がアイデア次第で色んなこと仕掛けられるのに、もっとリソースを持ってる人達って世の中いっぱいいるじゃないですか。僕等よりよっぽど潤沢な予算がある人たちが、それなりに曲作ってMV作ってってルーティン回してるだけってなってしまうのは、1リスナーとしては物足りないというか。別に批判してるわけじゃなくて、自分は「そのやり方があったか」っていうのを常に求めているので。カニエ・ウエストみたいな、ヤバいことする人が日本から出てきてもいいのになって思います。もっとそういう人達に振り回されたい。

荘子it:みんなで祭りを起こしていきたいんですよね。僕等って本当に、果てしなく非力なので。1人のアーティストがかっこよくても、一部の好事家が喜んでるだけで全然意味ないじゃないですか。もっと大きい存在が動いていかないと、文化として社会に還元していかない。そういうことを嫌う文化人もいるけど、自分は同意できない。もっとみんなでやっていきたいですよ。

TaiTan:「音楽ってもっとかっこいいはずなのに」っていう気持ちが最近すごく強いんですよね。みんなで右にならえで曲作ってMV撮ってルーティンをまわしてるのって、音楽とかやってる人達が最も忌み嫌うべき態度なはず。すごいつまんないじゃないですか。そこに対してずーっと退屈な気持ちや渇望感がある。音楽ってもっとおもしろいはずなんですよ。だから僕は、同じような志を持っている色々な領域の人達と結託して、どんどんたくらんでいきたい。

――そろそろ、「Dos Monosおもしろいよね」って言ってる人達も、ただおもしろがっているだけじゃなくて一緒におもしろいものを作っていくことになるといいですよね。

荘子it:自分はずっと10代の頃から、文化的な領域だけで交通を考えていたんです。シネフィルカルチャーやクラブカルチャーがもっと深いところで結びついたらいいのにな、両方繋げることができたらなって思っていた。自分達は、ある意味その部分は結構成功していると思います。でも、それはまだ文化の領域での交通で、たとえば経済へは結びついていない。自分たちは別に雇用も生み出せてないし。結局、文化をめちゃくちゃ本気で考えていくとそこにたどり着くんですよね。最初はそういう考えをしていなかったからこそ、最近はクリアに見えてきました。

三者三様にアプローチした『ドキュメンタル』のタイアップ新曲

――新曲「王墓」は『HITOSHI MATSUMOTO presents ドキュメンタル』とのタイアップ曲ですが、これもまた意外な展開の1つでした。

荘子it:『ドキュメンタル』からは最初は「既存曲を使わせてください」って来たんですけど、こちらから、必ずもっと合うものができるから新しい曲を作りたいと申し出ました。

TaiTan:昔の曲使っても発展がないし、向こうに何を提示したらおもしろいコラボレーションになるかと。

荘子it:僕とTaiTanはお笑いの要素をちょっと入れたりもしたんだけど、没はそうでもなかった。自分は日本文化の中におけるお笑いについて書いて、TaiTanはもっとちゃんとお笑いの戦いの内側の視点に入っていった。

TaiTan:俺のはもうほとんど『ドキュメンタル』を作ってきたチームに対するラブレターというか(笑)。

荘子it:そうそう(笑)。自分はもう少し一歩引いたところから書いて。で、フックを挟んで没はお笑いに一切関係ないことを書いている。でもそれも、没の中で「いつもと変わらないスタンスで書いたほうが、広がりがあっておもしろくなる」っていう考えがあって。結果的に、3人がそれぞれ考えたうえで、クライアントワークを決められた枠の中だけで返さずにやっている。俺とTaiTanはそれぞれのプロ意識でクライアントワークを想定以上におもしろくしてやろうって思っていて、没はある意味アマチュアリズムの極致としてそれをやらないっていう判断。

没 a.k.a NGS:俺の場合は、普通に音楽でそこを破っていけるようなことをしてるからメタ的なことをわざわざやらなくても、という感覚。音楽でヤバかったらヤバいと思ってるから。自分は普通にMVも好きだし、そういう消費をしている人だし。Dos Monosの中だからこそそういった自分のおもしろさは出ていると思います。

荘子it:配置なんだよね。意見を突き合わせるとそれぞれが対立しているように見えるけど、それをうまく配置することで、Dos Monos全体としてはいい感じのものになる。

没 a.k.a NGS:自分はずっと葛藤してましたけどね。今はもうその配置をしてるっていうのに自分で納得している。

荘子it:没は常に葛藤して煩悶してる男だから。1年前くらいは自分とかの方が主張が強かったんだけど、最近はもう俺は曲作るだけの人みたいな(笑)。一番過激なのは、両極としてのTaiTanと没で、俺はもう良い曲だけ作ればいいかなって(笑)。

「ハッタリ感に世間が振り回される1年になってほしい」。Dosが目指す2022年

――この、いろいろ行き詰まってしまっている状況の中で、音楽業界だけでなく他のさまざまな業界も含めてDos Monosの動きって参考にできると思うんですよ。今、もう全部がテンプレ化してるじゃないですか。

荘子it:みんなそれっぽいことだけは言えるんですけどね。ナマの人間っぽさが出てこないと魅力的じゃないのに、みんなきれいなものをきれいなまま横に流してしまう。それでうまくまわっているならいいのかもしれないですけど。でも、やっぱりベースはそこだと思います。まずそもそもの土台として、ちゃんとエロさを出すのが大事。いわゆるセクシーじゃない意味のエロさですね。本当に無菌のものばかりで、ちょっとでもそこに付臭したらめちゃくちゃエロいのにって思います。まずはそこさえあれば大抵おもしろいものにはなるし、世の中のおもしろいものの99%はそれだと思う。

――生身の人間の息づかいが香り立つだけで全く違ってきますよね。

荘子it:でもさらに言うと、それは結局「人間」の中でわちゃわちゃやってるなって程度でのすごさでもある。あと1%のすごいものは、「人間」を超える「神感」を持っていると思います。エロさを超えた崇高さ。そういうことを考えていると、実はDos Monosを好きでいてくれている人達よりも、そんなこと全く思ってない人達と繋がる方がすごいんじゃないかと思えてくる。そこで初めて、本当の「すごさ」が試されるのかなと。例えば、日本の最も土着的な文化としてお笑いとか野球があるじゃないですか。その中でのトリックスターとして、われわれは新庄(剛志)にならないといけないと思うんです。

没 a.k.a NGS:新庄はすご過ぎるよね。

TaiTan:みんな大谷で満足し過ぎたんですよ(笑)。僕は、もっとハッタリの効いた、いかがわしい奴をこそ待望してる節があって。だから、新庄(の北海道日本ハムファイターズ監督就任のニュース)は今年一番嬉しかったです。彼は来年、プロ野球の再解釈みたいなことを絶対やると思うんです。たとえ最下位でもファン興行として経済がまわるというような。そういうハッタリ感にも世間が振り回される1年になってほしい。たしかにスーパースター大谷はすごいけど、それだけがすごいんじゃない、こういう価値観もあるんだってみんなが発見するっていう。

――しかも新庄は、プロ野球という封建的な世界であれをやるのがおもしろいですよね。

TaiTan:だから、自分は新庄みたいな人と仕事がしたいですね。そういったセンスとコネクトしていきたい。スベっててもスベってないことになるっていう、あれってなんなんでしょう。ずっと見ていられるし、神感がありますよね。しかも、それに対して来年中日ドラゴンズは立浪が監督で、長髪禁止とかって言ってるんですよね。新庄vs立浪っていう構図は見ものですよ。新庄的な意味のわからない昭和のハッタリ感で成り立っている価値観が勝つのか、それとも旧来の昭和的価値観が復権するのか。日ハムが最下位だったら、それはそれで新庄の勝ちだと思う。

荘子it:来年のプロ野球、少なくとも日本の政局よりはおもしろくなりますね。

Dos Monos
東京都出身の3MCから成るヒップホップクルー。中核、ブレイン、メインのビートメイカーである荘子itが中学、高校の同級生だったTaiTan、没を誘い、2015年に結成。デビュー前にSUMMER SONICに出演し、その後、JPEGMafiaなどが所属しているLAのヒップホップレーベル、Deathbomb Arcと契約。海外公演などを経て、2019年3月にファーストアルバム『Dos City』をリリース。2020年7月にセカンドアルバム『Dos Siki』、翌2021年の同日にそのリメイク盤で、black midi、崎山蒼志、小田朋美、SMTK、Qiezi MaboとともにJAZZ DOMMUNISTERSが参加した『Dos Siki 2nd Season』を発表。その後9月にはアルバム『Larderello』『Dos Siki (1st & 2nd season)』(CD)をリリース。
Twitter:@dosmonostres
YouTube:Dos Monos

Photography Kana Tarumi
Edit Ai Iijima

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「もっといかがわしい奴が出てこないといけない」―“色気を超越した崇高な下世話さ”を欲して彷徨う神出鬼没のDos Monos、2021年を総括する ―前編― https://tokion.jp/2021/12/19/interview-dos-monos-2021-part1/ Sun, 19 Dec 2021 06:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=82315 Dos Monosがこの1年を総括。SMTKや崎山蒼志とのスリリングな競演、彼等自身が考察するDos Monosのおもしろさとは?

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結局、“色気”と“下世話さ”なのだ。彼等ははっきりとそう言っている。

3rdアルバム『Dos Siki 2nd Season』のリリース、テレビ東京の実験的番組『蓋』と連動して解禁された4thアルバム『Larderello』、そして今回新たにドロップされた新曲「王墓」。その合間を縫って行われたライヴやさまざまな対談等のゲリラ的活動。突如現れては消えるDos Monosメンバーの動きは刺激的でおもしろく、世間の凝り固まった思考を柔らかくほぐしながら、それでいて私達を途方に暮れさせる生々しさを醸し出している。

その生々しさこそ、Dos Monosが言うところの“色気を超越した崇高な下世話さ”なのだと思う。今回、2021年の総括として組まれた本インタビューの前編では9月に実施されたライヴ「Theater D」やSMTKとのコラボレーションについて語ってもらった。身体的に踊れる音楽でありながらも、そこに留まらず新たな“交通”を通わせていく、つながっていなかった新しい回路が開いていく快感。そして、インタビューは後編で一気にドライブしていく。「音楽ってもっとおもしろいはずなんですよ」と力説するメンバーの会話は、最終的に「いかがわしい奴が出てこないといけない」という発言に繋がり、とある“いかがわしくハッタリの効いた”プロ野球監督の話にまで広がっていった。

相変わらず、Dos Monosのやっていることはおもしろいし、本インタビューもいわゆるおもしろいエピソードに溢れている。しかし、それを“ただ面白がっている”ことへの危機感もある。これからDos Monosが目指す地点は決してDos Monosだけでは成し得ないもので、例えば荘子itが後編で「文化を社会に還元していく」と表現するその地点は、私達のいかがわしさへの変身とハッタリ性の獲得を(暗に)要求するものであるかもしれない。

「ストイックな思い込みが晴れるような体験」。ライヴで得た新たな手応え

――2ndアルバム『Dos Siki』のセルフリメイク作『Dos Siki 2nd Season』を今年の夏にリリースされました。その後、9月のライヴ「Theater D」でそれらをゲストとともにパフォーマンスされましたね。私の周りでは、あのライヴが今年のベストだったと言っている人が多くて、本当にすごかった。リハの時点からいい感じにハマってたんですか?

没 a.k.a NGS:めちゃくちゃ良かった。リハが一番良かったです。

荘子it:意外とリハで最高の音が出ちゃうっていうのはありますね。ライヴならではの、お客さんに向けたエンタメ要素っていうのはもちろん本番のほうがあると思いますけど。

――中でも、「A Spring Monkey Song/春の猿の歌(feat.崎山蒼志、SMTK、小田朋美)」はコラボでありながらもバトルのようでした。崎山蒼志さんの歯を食いしばるようなラップや、小田朋美さん・SMTKのメンバーの地団太を踏むような演奏、それらはDos Monosのラップと調和するというよりも、戦っているように聴こえました。あのステージのマジックは一体、なんだったのでしょうか。

荘子it:もともとDos Monosって、バンドでできないこと、バンドでは出せないグルーヴをやりたいっていう思いが1作目からあったんですよ。バンドだと、それこそクリス・デイヴがグルーヴを革新したと言われているけど、あれってやっぱり人間がマシンビートを取り入れた以降の様式美があるじゃないですか。そうじゃない、もう一回マシンやDAWでしかできない変なヨレとかを出していきたいなという考えがあったので、Dos Monosはずっとバンド編成に対して憧れはありつつも、おもしろくなくなっちゃうんじゃないかという恐れや抵抗があって手を出してこなかったんです。でも、この機会にやってみようと。

荘子it:理想のグルーヴを出すためにはバンドでの練習の時間もいっぱいとらないといけないなと思ってたんですけど、セッションしたら意外と1時間ぐらいでいい感じになっちゃって(笑)。それまでのストイックな思い込みが晴れるような体験をしました。デビューから3年くらいずっと封印してきたけど、なんかあっさりいけるなと。手応えがあった。

SMTK、崎山蒼志と音を交わしたスリリングなステージ

――ゲストに、ライヴでの即興性を大切にする方達が多かったのでそういう意味でも本番はめちゃくちゃすごかったですね。あと、SMTKはスリリングさみたいなものが間違いなく出せる、その“間違いなさ”みたいなのがあるじゃないですか。一方で、例えば崎山さんはガチでスリリングなところがあると思うんですよ。狙ってやるというよりは、あのライヴでも結構ギリギリの危うい感じが出ていておもしろかった。

没 a.k.a NGS:そもそもあのライヴだからという以上に、あのサウンドの中に崎山君を入れちゃうということ自体がスリリング(笑)。

荘子it:崎山君は高校生でデビューして以降第一線でやってるけど、良い意味で場慣れしてないというか(笑)。あれは逆にすごいですよ。

A Spring Monkey Song (feat. Soushi Sakiyama, SMTK & Tomomi Oda)

没 a.k.a NGS:でもやっぱりあのメンバーはスタジオ盤で1回一緒にやってたのが大きかった。それがなくて、いきなりライヴのためにセッション始めたらなかなか苦労したんじゃないかな。

荘子it:そうだね、共通認識があったからね。でもスタジオ盤の音源も実は同時に演奏はしていない。まず、自分の「春の猿の祭典」っていう曲のドラムだけ抜いた音源に石若駿に叩いてもらって、次ベース抜いてマーティ(・ホロベック)にベース弾いてもらって、ギター抜いて細井徳太郎にギター弾いてもらって、ピアノとコーラス抜いて小田朋美にピアノ弾いてコーラス歌ってもらって……というように、1個1個引いて足していくやり方で作っていった。一斉によーいドンでバンド演奏はしていなくて、その切り貼り感、ガチャガチャした各パートがバラバラに動いている感じがグルーヴにも繋がっている。

荘子itが探る、トラックメイクに隠されたグルーヴ

――今年は、SMTKの2ndアルバム(『SIREN PROPAGANDA』)にもDos Monosとして参加されましたね。収録曲「Headhunters(feat. Dos Monos)」のトラックメイキングについて伺いたかったです。過去の音源を、記憶や感覚を頼りにサンプリングしていくいつもの荘子itさんの方法と違い、SMTKの演奏音源を元にサンプリングし作られた曲でした。ソースに対する記憶が介在しないこと、もしくはソースが「その音源しかない」という有限性によって起こったクリエイティビティの変化はあったのでしょうか。

荘子it:実はサンプリングする時って、素材になってしまえば大体同じなんですよね。記憶があるものもないものも、結局最終的には音を解体して料理していく段階になるとほとんど変わらない。それよりも、いろいろなサンプル源にあたって曲を作る時って、自分の発想を超えたいっていうのがある。いろいろごちゃごちゃやって作ってる間に、ノイズも含めてカットしきれないカサカサした微細な揺らぎがどうしても残ってしまうじゃないですか。

SMTK 「Headhunters (feat. Dos Monos)」 Official Music Video

荘子it:即興的なダンスを踊るように、その揺らぎを拾って、新しい発見をしながら作れるっていうのがいいんですよね。逆に、「あのネタ使いたいな」って使うフレーズが決まっている時は、ある意味道が見えてる状態でそっちの方はわりと置きに行っているというか。だから、そもそもそういうサンプリングの使い方はあまりしないようにしていますね。

――記憶によるサンプリングというよりは、そこで偶然性を欲していると。

荘子it:ただ、最新曲「王墓」に限っては、自分の中で4、5曲くらい決まったレファレンスがあるんです。サンプリングはゼロなんですけど、それはある意味ゴールが見えているということ。なので、いつもよりは少し自分の中に理想のイメージがあって、それを具体化していくような作り方をしました。今回、珍しくAbleton付属のベースを弾いてるんですけど、めちゃくちゃいじりがいのある音が出たんですよ。いつもはベースラインもサンプリングで作るから、自ずと異変が起きやすいんですけど、今回は鍵盤で弾いてる。でも、最初にベースラインを思いついても、結局はそれを弾いた後に音色をいじっている段階が一番クリエイティブで。

荘子it:本当に最初の、いわゆる楽譜やmidiが果たす役割は取っ掛かりでしかない。自分はあまりフレーズ自体をいじるのは興味ないんです。ベースラインもあの曲はずっと同じ。ドラムの展開を変えるのも、DTM始めたての頃は結構やってたんですけど、その欲求は、今はあまりない。TaiTanのヴァースとかはギミックのある展開が合うので必要最低限はやったりしますけど、基本的にはワンループで通しますね。

シンプルな下部構造、複雑怪奇な上部構造。Dos Monosの世界を行き来するおもしろさ

――Dos Monosの音楽って、実は身体的に聴けて「踊れる」ものが多いですよね。一方で物語的にも聴ける。前者は主に音として、後者は主に意味として聴かれていて、当然ながらその2つの回路は絡み合っています。そこの絡み合いがDos Monosの音楽のおもしろいところですよね。

荘子it:「上のレイヤー=物語的に頭で考える部分」と、「下のレイヤー=肉体的・身体的にノる部分」という上部/下部構造があって、それはウワネタとビートの関係でもありますよね。Dos Monosの場合、下部構造はわりとシンプル、上部構造は複雑怪奇なもの、という作りだと思います。自分は、過去に上部構造の探究にどっぷり漬かっていた時代もあるんです。それに対して嫌だなと思うこともあって、下部構造の下世話さというか、シンプルな強さを持ち込みたいと思うようになりました。

つまり、下部構造が踊れるものになっていて、その上で上部構造もおもしろいものにしたいと。その上部/下部の交通をしたいんですよね。例えば、最近、『やさしい女』のリバイバル上映の際に、ロベール・ブレッソンの映画について中原昌也さんとトークイベントをやったんですけど、ブレッソンの映画ってめちゃくちゃビートが効いてるんですよね。カトリック的な聖なる作家という上部構造のイメージで語られますけど、下部構造がすごくしっかり通底していて実はノれる映画なんですよ。そういったビート感は抽出して取り入れていきたい。

没 a.k.a NGS:意外に、Dos Monosってラッパーのキャラ立ち自体がおもしろいんじゃないかなっていうのがあって。みんな上部構造のことを言うけど、ちょっと引いてみたら結構キャラでやってたりもする。自分はそこで貢献していると思うし。

TaiTan:自然にビートにノらせてたら、気付いたら単語が襲来してくるというのがDos Monosのおもしろさなんじゃないでしょうかね。いつも作る時は荘子itからテーマだけが与えられて、それぞれが全く違う方向にリリックも単語も書き連ねていくんだけど、それをリスナーが勝手に繋げて聴いてくれる。そう思うと3人でやってる価値はありますよね。

荘子it:上部構造の世界だとつい下部構造がないがしろにされがちなんだけど、上部構造で物語やイデオロギーを紡いでいっても、そこに亀裂をもたらすビートでありたい。

TaiTan:でも、どちらにせよ、繰り返し聴くことでもう片方が見えてくるということはある。ビートだけ聴いてても、めちゃくちゃおもしろい単語が1つだけ聴こえてきたとかおもしろいしね。

荘子it:そう、今度は逆にただ踊ってただけなのに、いつのまにか上部構造に行ってたみたいな。その相互交通が大事ですよね。

――ライブでは、交通の回路が普段の聴取時とは違う形で突然開かれることがあるからこそエキサイティングなのかもしれないですね。

Dos Monos
東京都出身の3MCから成るヒップホップクルー。中核、ブレイン、メインのビートメイカーである荘子itが中学、高校の同級生だったTaiTan、没を誘い、2015年に結成。デビュー前にSUMMER SONICに出演し、その後、JPEGMafiaなどが所属しているLAのヒップホップレーベル、Deathbomb Arcと契約。海外公演などを経て、2019年3月にファーストアルバム『Dos City』をリリース。2020年7月にセカンドアルバム『Dos Siki』、翌2021年の同日にそのリメイク盤で、black midi、崎山蒼志、小田朋美、SMTK、Qiezi MaboとともにJAZZ DOMMUNISTERSが参加した『Dos Siki 2nd Season』を発表。その後9月にはアルバム『Larderello』『Dos Siki (1st & 2nd season)』(CD)をリリース。
Twitter:@dosmonostres
YouTube:Dos Monos 

Photography Kana Tarumi
Edit Ai Iijima

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本当のオーセンティックに立ち返り、無意味を追求する Dos Monosインタビュー -後編- https://tokion.jp/2020/08/24/dos-monos-pursue-meaninglessness-part-2/ Mon, 24 Aug 2020 06:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=3276 ニューアルバム『Dos Siki』をリリースした東京メイドの注目株、Dos Monosのインタビュー後編では活動の真の目的を語る。

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——話が戻ってしまうんですが広告について、あれはAbleton Live本国(ドイツ)の合意の下っていう話だったと思うんですが、どういう流れだったんですか?

TaiTan:大きい会社なんでダマでやると揉めると思って、こういう企画をやりたいんですっていうのを連絡してみたんです。それでまずジャパンのほうに連絡をして、そこを経由して本国にも許可をもらって。僕らが関係の深いDeathbomb Arcにも良かったらどこかに貼ってくださいって言っていたんですけど、コロナの影響で海外での掲載はなくなっちゃいましたね。本国の許可があったので、全世界で同じことをやっても問題なかったんですが。

没:俺、見に行けてないんだけど。荘子itは見た?

荘子it:俺も実物は見てない。

Taitan:でも、結構報告をくれる人はいたね。

——今、リミックスはどのくらい参加されているんですか?

荘子it:7、8人くらいですかね。

TaiTan:不思議な人があげてたね。

荘子it:ただのシネフィルだと思ってた、映画のつぶやきしかしてなかった人がいきなりDos Monosのリミックス作りましたってあげてて。お前マジか!って。

——掲載の意図は、クラブミュージックを発信する中心地とされていた、グラフィティも多い場所の中に、コンピュータライズされた画面が置かれているっていう、そういった違和感を演出したかったということでしょうか?

荘子it:そうですね。金はないけど、少しでもアルバムのPRになるようなものができたらと思っていて。それでみんなで打ち合わせをした時に、TaiTanからすぐ「荘子itのPC画面を出しちゃえば良いじゃん」っていうアイデアが出て、始めはビジュアルだけのつもりだったんですが、後でリミックスを付け足しました。
実は、自分で誰かの曲をリミックスするのはいいんですけど、人からリミックスされるのは、作り手としてのエゴとプライドがあってわりと嫌だったんです。でも発想の転換で、あえて雑に、原曲を完全には真似できない不充分な情報だけを与えてやったらおもしろいんじゃないか、と。そうすれば、俺達の原曲の価値を安売りすることにもならない。実際に出した後に公式でリミックスをお願いするんじゃなくて、勝手にみんなにやってもらい、その差を楽しむっていうやり方だったらおもしろいかなって。

——なるほど。興味深かったですよ。単なるDAWの画面がアートピースにも見えるっていうか、広告掲載枠がタブローっぽくも見えるというか。それが街中に置かれるっていうおもしろさもあるし。あのリミックスは特にまとめるつもりはない? 単なる遊びとして捉えてしまっていいんですかね?

荘子it:曲調は全然違うけど、BPMはみんな同じなんで、原曲のラップを乗せた状態で出せたらおもしろいなとは思っています。

ホントの意味での無意味を突き詰めることが目的

『Dos Siki』のトラック3、「Estrus」

——話が逸れますが、みなさんの原動力って何だという素朴なことをお聞きしたくて。おそらく多くのラッパー達は、嫉妬心やコンプレックス、あるいは憎悪、メイクマネーしたいっていう欲望とか、そういうものをバネにして言葉にしてるとは思うんですよ。Dos Monosの場合って、主張やアジテーションって特にはないのかなと思っていて。先ほどの広告の話然りですけど、いうなれば実験的なことをしたい、構造を改革したいんだっていう気持ちがあるかなと個人的には考えていて、かつ伝えるためには、荘子itさんがおっしゃっていたヘンテコな音楽ではなくて、ポップでなければいけないっていう意識もボトムにあるのかな、と。何を目的として、何をやりたくて3人で音楽を作っているのか、というのをお聞きしたいんです。

荘子it:勉強に挫折してからは、いかに勉強をしないかっていうことだけが原動力だったんで(笑)。勉強の次にしなきゃいけないことは仕事ですかね。そういった、当然するべきことを如何にしないようにするかっていう。それまでと言ってしまえばそれまでですけど。父親から「好きなことをしたいなら、やるべきことをやれ」って言われ続けてきたんですが、やるべきことってなんだって。やるべきことなんてこの世に存在しないだろうって思っていて。この世にやるべきことがないっていうことを証明するためだけに活動していると言っても過言ではないですね。
それを言ってしまうと、みんな、まあそうだよね、で終わらせちゃうんです。でも、そういうやつはわかってないんですよ。それは心のどこかで、何かに縛られて生きているから、気休めでまあそうだよね、って思うんだろうけど、そういうことじゃなくて、酸いも甘いも嚙み分けて、ホントの意味での無意味を突き詰めたいっていうのがありますね。一見、意味あり気なこともしますけど、それはあるメタレベルでは意味のあることなんだけど、最終的には無意味であることを明らかにするための行動です。

――なるほど。それは音楽に限らず、芸術全般に言えることでしょうけどね。

荘子it:ドゥルーズは芸術にはなんの情報も含まれていないって言ってましたけど、それを言っちゃうと、はいはい、そうだよねってなっちゃうんですよ。デュシャンでもなんでもいいんですけど、芸術なんて所詮ゲームや遊びだから、っていう結論に1回達している。でも、それが思想として波及することってメジャーにはなってないんですよね、いつまで経っても。無意味が好きな哲学者や芸術家がそれを愛でているだけ。美術館に行けば芸術ってそういうものって教えられるんだけど、たまにあるポップな強度をもっている表現だけが、大衆レベルで実現するっていうか。ニルヴァーナとかむっちゃ無意味ですよね。リア充からキョロ充まで、皆まとめて無意味にしちゃう感じがある。Dos Monosの音楽って言ってもそこそこポップじゃないですか。

——そうですね。

荘子it:でも、それは狙ってそうしているわけではないんですよ。自分の音楽遍歴を振り返ると結構不思議で。それはおそらく、自分の身体に他者が内面化していて、人の目を気にしていないつもりでも人の目を気にしているから。言い換えれば、人が気持ち良いだろうと思うものを、自分も気持ちいいと思い始めているんですよね。身体と心が分離しているっていうか、作曲中の心の中では実験精神があふれているんだけど、DAWに入力してスピーカーから返ってくる音は意外とチャラいっていう。そういうところがDos Monosらしさになっているような気がしますね。

——おそらく多くのリスナーは、みなさんのことを奇妙だとか奇才だっていう形容をしたがるけど、僕はよくまとまっているなと思うんです。異系で非凡ていうのは確かだけれども、これはさっきも言った通り、ヒップホップの形式で考えるからこそ、“奇”というワードを用いざるを得ない。

荘子it:ある程度、回数を重ねれば聴きやすい音楽の構造になっているとは思います。さっき言った通り、思想より身体が勝っている音楽なんで。結構赤ちゃんとか好きだと思うし。

——ではTaiTanさん、没さんもお願いします。

没:俺は楽しいからやってるだけですね。

荘子it:没はそうかもね。楽しくないとやりたがらないもんね。

没:でも、荘子itがさっき言ったことも、俺は全然考えてなかったけど、確かになって。俺の親父も同じようなこと言ってきてたから。それだけなわけねーだろともずっと思ってたし。ただ、それを原動力にしてるかって言われるとわからないけど。音楽が一番楽しいからやっているだけですね。その前にイデオロギーがくることってあるのかな。パンクの人達とか、楽しいからやってるだけだと思う。

TaiTan:よく聞く話ですけど、自分で見たいもの聴きたいものがなかったから自分達で作ったって言う人がいるじゃないですか。僕はそれに近いと思いますね。自分が心地いいと思うビートが荘子itのものだったっていうのがデカい。その主体となるのであれば、そんな幸福なことはないと。だから、没とニアリーイコールだと思います。もうちょっと原体験みたいなところから言うと、カウンターとして生まれてくるもの、つまり社会に対するリアクションとして生まれてくる表現が好きなんですね、ずっと。Dos Monosの音楽は趣向っていう点においても必然性があると思っているから、ずっと続けられそうな気がしています。

没:俺は生まれ出たものというよりもプロセス自体が楽しいからやっているけど、まあ似てる。

荘子it:TaiTanは結果主義だからね。

没:でもそうなると、意味が生まれちゃうじゃん。

荘子it:意味のあることはダメっていうわけではなく、やりたいことで結果を出すのにやりがいを見出すっていうのはあると思う。

TaiTan:そこが難しいよね。ある種、道楽的に生き甲斐を求めて音楽をやってる以上、当たり前過ぎるけど、その道楽をメンバー3人や協力してくれる仲間がストレスなくいろいろな人に聴いてもらうための回路を用意したり、制作費を調達したり、こういう取材を仕込んでもらう必要があると。現状、その役割を担うのが僕に偏りがちなのですが、あくまでDos Monosとしての本来の目的を叶えるためなので、苦じゃないですね。

誰よりもヒップホップらしいことをやっている自覚と自負

『Dos Siki』のトラック4、「Mammoth vs. Dos Monos」

荘子it:好きでやっているアングラな音楽を売れるようにしていくのは不純なようでいて、むしろそこに接続させようとすることが音楽のおもしろさにも通じると思うんです。それこそ、サンプリングによるヒップホップの音楽だって、元の作曲者が意図していなかった、必然性をもっていなかったものをつなげるおもしろさが絶対にあるわけだし。それは、ある視点からすれば不純かもしれないけれども、Dos Monosの音楽を不純だと言うハイソな人はそんなにいないと思うんですよ。一部いてほしいですけど、ジャズ使ってあんな音楽作りやがって! みたいな人が。

——僕は最初許せなかったですよ(笑)

Dos Monos:ハハハハハ!

荘子it:趣味のいい音楽愛好家からすると、それが自然かもしれないですね。

——「Fable Now」に使われているファラオ・サンダースのラッパの音とか、入れ方が大胆過ぎて、あれは聴く人が聴いたら怒りに繋がるんじゃないかなと思いますね(笑)。

Dos Monos:フフフ。

——でも、その不純さこそがサンプリングの醍醐味だとも思うし、みんながやっていなかったことを思い切ってやっちゃおうっていう、勢い、潔さが“らしさ”だと思うんですね。元々のルールというかムードというか、そういうものに縛られ過ぎているところから背を向けて逃走を図るっていう。Dos Monosのことをある程度理解できてからは、スタンスが軽やかで鮮やかだって常々思わされてますよ。

没:俺はDos Monosを客観的に聴けるから言うけど、他の人たちよりもヒップホップらしいことをやってるって思うんですよね、ホントの意味で。確立されたオーセンティックなものがあるけど、それより前のアフリカ・バンバータとかに立ち返るとキモいじゃん。

荘子it:全然ヒップホップじゃねーじゃんって感じするよね。クラフトワークかけてその上にラップするとか、どこがヒップホップなんですか! って(笑)。子孫まで返るとそうだよね。

没:ニューウェーブ的にやってる感じだよね。

荘子it:ラスト・ポエッツとかもそうだしね。

没:そうそう。ポコポコ鳴ってる自由なリズムの上でラップしてるだけ。

荘子it:バッドテイストなところがね。

没:バッドテイストなのかな? それが良いと思ってるんじゃないの?

荘子it:趣味が悪いけど、気持ち良いものっていう意味ね。

没:そういうことね。

荘子it:B級グルメみたいなね。フレンチシェフには怒られるけど、これが美味いんじゃっていう。

没;そうね。最初の人たちがそこまで考えてたかは知らないけど。まあ俺はホントのヒップホップをやってるって思ってるから、くやしいところあります。ヘッズの人たちに聴いて欲しいのに、全然聴いてくれないから。

荘子it:それこそが大問題で、自分たちがオーセンティックだと思っているものがオーセンティックじゃない問題ってあって。どんだけ偉そうなのって感じなんですけど(笑)。それを分かってもらうために僕らは活動しているんで。

なんて余計なお世話って感じ(笑)。

没:っていうか、荘子itの真の目的を明かすことってこれまでなかったよね。

荘子it:本当の目的だからね。そう簡単には言えないよ。

——そんなことを書いても大丈夫ですか?

荘子it:大丈夫ですよ。また次の真の目的を考えておきます。

Dos Monos
東京都出身の3MCから成るヒップホップクルー。中核、ブレイン、メインのビートメイカーである荘子itが中学、高校の同級生だったTaiTan、没を誘い、2015年に結成。デビュー前にSUMMER SONICに出演し、その後、JPEGMafiaなどが所属しているLAのヒップホップレーベル、Deathbomb Arcと契約。海外公演などを経て、2019年3月にファーストアルバム『Dos City』、2020年7月にセカンドアルバム(ボリューム的にはEPだが、当人たちはアルバムと語る)『Dos Siki』をリリースした。

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本当のオーセンティックに立ち返り、無意味を追求する Dos Monosインタビュー -前編- https://tokion.jp/2020/08/20/dos-monos-pursue-meaninglessness-part-1/ Thu, 20 Aug 2020 06:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=3258 ニューアルバム『Dos Siki』をリリースした東京メイドの注目株、Dos Monosへのインタビュー前編はヒップホップへの目覚め、ビート、都会について。

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まず余計な話から始めさせていただきたい。ロシアの作曲家、イーゴリ・ストラヴィンスキーが、ロシア・バレエ団を主宰していたセルゲイ・ディアギレフの要請を受け、後にストラヴィンスキー初期三大バレエ音楽と呼ばれるようになる「火の鳥」「ペトルーシュカ」「春の祭典」を創ったのは1910~13年、28~31歳という若さの時だった。その中でも今なお、とりわけ話や議題に上がるのが「春の祭典」である。なぜか。
「火の鳥」「ペトルーシュカ」も「春の祭典」同様に、原子主義という生命力への憧れを表現している点で共通するものの、比較的、甘美とされていた音楽から大幅なズレはなく、当時の観衆から熱烈な喝采を博すほどに好評だった。それに対して「春の祭典」は、現代音楽家の故・柴田南雄の『クラシック名曲 ベスト151』(1996年、講談社文庫)によると、「辛辣な音楽」「スコアの書き方は無骨」「洗練されたオーケストレーションではない」「(それらは)彼の若さからきている部分もある」「ことに拍子とリズムの面で、ひじょうに独特の手法をとっている」と肯定的に記している。しかし当時、「火の鳥」「ペトルーシュカ」の公演を観た人は驚いたのだろう。「春の祭典」は騒動になるほどに酷評を浴びたと言われている。
Dos Monosのインタビュー記事なのに、なぜストラヴィンスキーの話と思われるかもしれないが、先日リリースされたアルバム『Dos Siki』のトラック1が「春の祭典(The Rite of Spring)」をもじった「The Rite of Spring Monkey(春の猿の祭典)」だったからである。
『Dos Siki』のリリース前に彼らは、「火の鳥」「ペトルーシュカ」のように2つのシングル曲/伏線を用意していた。

軽やかなビートの上で、悲しみや悦び、絶望といった人間の基本的感情を、絵画を通して伝えようとしたマーク・ロスコから荘子itのバースが始まり、おそらく彼ら自身が創造の悦びを得て、何も気にせず、これから突っ走っていこうという気概と意志がうかがえる没のライムで締め括られる「Rojo(スペイン語で「赤」を指す。正しい読み方は、コロナ禍で自粛生活を強いられた現状を指して、“ロジョ=籠城”ではなく“ロホ=朗報”とのこと)」。

乱れたものこそ美だと言い切り、それを携え、アリとキリギリスのアリのように逞しく、地道にディストピア(ライムの途中で現れる「アルカトラズ」は、脱獄の物語であるクリント・イーストウッド主演、ドン・シーゲル監督作の『アルカトラズからの脱出』(1979)を指していると思われる)を抜け出そうと試みることがテーマだと考えられる、マーチのようにもとれる「Fable Now」。

この2曲の間に台湾のデジタル政策担当大臣、オードリー・タンのインタビュー音源がビートに織り交ぜられた「Civil Rap Song ft. Audrey Tang 唐鳳」が発表され、台湾のテレビもニュースとして取り上げるほど話題となった。しかし、これは黒鳥社を主宰する若林恵の計らいの元で行われた企画だったため、スピンオフと考えるのが筋だろう。
ヒップホップのビートは、至極一般的にはドラム音、上物と呼ばれるメロディ、ベースのループで構成されている。「Rojo」「Fable Now」もDos Monos印と言える奇妙な異音が乗っかっているものの、基本ルールに(一応は)基づいている。しかし、『Dos Siki』に収録されている4曲はいずれも大胆な展開を見せる上に、非常に緻密なのだ。それらはビートメイカーによるビートというよりも、荘子itというコンダクターがサンプリング並びにPCソフトを駆使し、ホーンやストリングス、ギター、キーボード、ドラム、はたまたインダストリアルのセクションを召喚させ、DAW(デジタルオーディオワークステーション、音楽制作用のPCソフト)という舞台にそれらを立たせたアグレッシブなオーケストレーションだと例えたほうが正しい気がした。そのくらいさまざまな要素が重ねられ、見え隠れする。
『Dos Siki』を一聴して思い出したのは、菊地成孔率いる大所帯バンド、DC/PRGがSIMI LABとコラボレートした時のこと(2012年にリリースされた『SECOND REPORT FROM IRON MOUNTAIN USA』に収録)だった。そのぶ厚さ、野太さ、アグレッションのような脅威に近しいものをDos Monosは、たった3人で形にしてしまった。
DC/PRGの音楽(特にライヴ)には聴く人の足元をおぼつかなくさせるズレ、そこからの急激な整頓と盛り上がりによって観客を興奮させる構成の美がある。間違いなく、その土台には菊地が書いたスコアがあり、そこに日本のジャズのトッププレイヤー達が即興で塗り足しをしている。一方、荘子itの場合は、おそらく感覚的にやってのけている。洗練されているというよりも無骨だ。
以上をまとめると、冒頭に記したストラヴィンスキーが「春の祭典」に至るまでの流れと、音楽性も扱われ方も当然違えど、奇しくも重なる。Dos Monosの3人が20代半ばと、まだまだ若いという点においても。残すは大騒動くらいだろう。
『Dos Siki』の“Siki”は「四季」のことだと彼らは言っているが、筆者は「士気」や「式」、または「指揮」という意味も含まれているのではないかと、勝手に思っている。彼らの語り口は、ヒップホップで定められてしまったことを変えてやろうというやる気と自信に満ちあふれているように感じた。Dos Monos、最近退屈だから(安全な)騒ぎを起こしてくれ。

「曖昧に蓋してきたような何かを解き明かすため続けてくジャーニー」
―『Dos Siki』の終曲「Mammoth vs. Dos Monos」、TaiTanのリリックより

ヒップホップへの目覚め、削ぎ落しの挑戦

ーーまずは平凡な質問からしますが、制作を終えて今、どのような心境ですか?

没:録音はかなり前に終わってて、ミックス、マスタリングを経た完成版が届いたのはついこのあいだ(インタビューは7/24のリリース1週間前に行われた。ちなみにこの時点で筆者は音源を聴いていないので、悪しからず)。ようやく客観的に聴けるようになりましたけど、でもむっちゃ良いなって思ってます。

ーーファーストも完成度は高かったと、いちリスナーとしては思っているんですが、前回と今回とで、何か感覚的な差異というのはあったのでしょうか?

荘子it:前回は僕が大学生の時に作り続けていたヒップホップのビートが元になっているんです。その頃、ようやくヒップホップを好きになったというか、マッドリブとかJディラとかを聴いて、これはアリだなと思って表現手法として取り入れていたんです。さらに振り返ると、高校生の時はプログレやジャズが好きだったんで、打ち込みをし始めた頃はフランク・ザッパが晩年にリリースした『Jazz from Hell』っていうオールインストのアルバムのような感じを目指していました。つまり、大所帯バンドの編成を打ち込みでやるっていうことにトライしていたんです。でも、段々と収拾がつかなくなって、実験的なことばかりやっていてもしょうがない、と。それで、今の時代に多くの人が聴いている音楽の構造に自分のイマジネーションを落とし込めないかなって考えて、マッドリブがザッパをサンプル(『Rock Konducta, Pt.2』に収録されている「Stürmischer」)で使っていたし、それと似たようなアプローチでサン・ラなど、自分が好んで聴いていた音楽をネタで使うところから出発しました。それには、単にヒップホップのビートにすれば、それほど実験的なことに興味のない多くの音楽ファンにも響くだろうという魂胆もあったのですが、個人的な愉しみとしては、抜きやすいブレイクのある音楽とかじゃなく、例えばザッパもそうですし、晩年のギル・エヴァンスやマイルスのビッグバンドやオーネット・コールマンのフリージャズみたいな、音数が多くて単音を抜き出しにくいタイプの音楽から、いかにビートにして気持ちいい一瞬を抜き出すか、言うなれば、巨匠たちの録音物に残された無意識みたいなものを掘り当てて、いかに脱構築するかにやりがいを感じてました。
そういった流れで大学時代にビートを大量に作っていたんですけど、卒業間近くらいになって世に出したいっていう気持ちが湧いて。でも、ラップなんかしたことないし、ラッパーの友達もいなかったけど1人でやるのもつまらないなっていうのと、何人かいたほうが声色が変わって良いだろうっていうことで、中高の同級生だったTaiTanと没を誘ったのが、まず結成の経緯です。当時、TaiTanはヒップホップを聴いたことすらなかったんで聴かせるところから始めて、没は音楽のディグり仲間だったんでスムーズでしたけど。すみません、長々と話してしまいましたが。

ーーいえいえ。

荘子it:遅く目覚めた分、大二病を発症して、1ループだけで続く音楽ってなんて格好いいんだろう、って思っていた時期に作っていたのが『Dos City』のビートなんで、どこを切り取っても同じようになるのを狙ったというか。多少の展開はあるものの、自分の元の資質から言うと、あえて展開を削ぎ落していったものだったんです。

『Dos City』のトラック2、「20XX」

荘子it:『Dos City』のリリースと、その後の活動を経て、段々と展開が変わっていく、本来の自分が好きな方向性に解放していったのが今回。1曲の中での展開が多いんですが、そっちに挑戦したというよりかは、ループの音楽が逆に自分にとっての挑戦だったんです。アルバム全体の尺が前は35分で今回は15分と短くなったんですけど、ループが走ってる音楽ではなく、常に操作し続けている音楽なんで、受け取る情報量は前回と同等以上だと思っています。

ーーということは、トラックの構成、流れがまずあり、そこからリリックを作って足していったわけですね。

荘子it:そうですね。

ーーなるほど。では、4曲もすでにでき上がった段階で2人に渡した、と。

荘子it:後で付け足した展開もあるんですが、基本的にはそうですね。

ーーそれはコンセプトも然りですか?

荘子it:四季で4曲、春夏秋冬でやろうっていうくらいですね。自分1人でやってると作り込み過ぎちゃうんで、あえてボヤッとしたテーマを与えて、2人から返ってきた変なワードセンスを拾い、徐々に1曲を別の方向に逸らしていくというか。コードとテーマだけ与えてセッションするジャズ的な作り方というか。

没:前回はアルバムにするとも決めずに曲単位で作り、それをまとめて、コンセプトを後付けしたんです。今回はこのタイミングにこういうアルバムを出すぞ、って荘子itが決めてくれていたので、終わった感覚はかなり違いますね。

一番影響を受けたのはAbleton Liveのアーキテクチャー

『Dos Siki』のトラック1、「The Rite of Spring Monkey」

ーー今回、DAWとして荘子itさんが使われているAbleton Liveの画面を掲載した広告も話題になりましたけど、音楽を制作し始めた当初からそれをお使いなんですか?

荘子it:中学2年生の時にエレキギターで音楽を作り始めたんですけど、ギターの音をPCに録音するために、オーディオインターフェースっていう機材が必要で、それを買うとオマケでAbleton Liveのデモバージョンがくっついてくるんです。他にもいくつかソフトをインストールするためのディスクがついてきたんですけど、たまたま最初に取り込んだのがAbleton Liveだったんですよ。それで使ってみたら、録音ボタンが表示されてるから用途は満たせそうだなっていうのがまずわかって、さらにいろいろと見ていたら余計な機能がいっぱいあるぞ、と。
なんかシンセとかいろいろとあるっぽいけど、説明書もないし。しょうがないからポチポチやってると音が出てくる、みたいなところから始まって、そこから10何年の付き合いですね。Ableton Liveでバンドのデモとかを作ってたんですけど、進学校に通ってたんで高校2年生くらいでみんな、バンド辞めちゃうんですよ。一方の僕は勉強がとにかく嫌いでまったくしていなくて、成績はビリから2番目くらい。なので、高3の時も1人でAbleton Liveを使って曲を作っていたんです。

ーーでは、たまたまというかAbleton Live自体にこだわりはない、と。

荘子it:でも今思うと、Ableton Liveで良かったですね。DAWソフトっていろいろあるじゃないですか。広告掲載したのはアレンジメントビューっていうやつで、他のソフトと同じ横軸構造なんですけど、セッションビューっていうもう一種類の画面があって。

ーークリップがつけられるやつですね。

荘子it:そうです。サンプラーみたいに無限にループのクリップを貯め込めるやつで、ずっとそっちで作ってたんですよ。ただ、フレーズは貯め込めるけど、これでどうやって曲作ればいいんだろう、と思いながら(つまり、そのフレーズを組み合わせるには横軸での操作が必要で、当初存在を知らなかった)。でも、その時期があって良かったと思っていて、ループを組み合わる感じがヒップホップの作り方に向いていることが後でわかるんです。最初から横軸で作ってしまうと、展開を意識した作りになってしまうし。

ーー確かに、横軸で作り始めるとある程度、設計しながらになると思うけど、例えば速さの違うループをひたすら組み合わせていくと、ズレたり、どこかで予期せぬことが起きることがありますよね。

荘子it: 最初にコードをジャーンって弾いて、意図的に他の音を組み合わせたりするんじゃなくて、何も考えずに、とにかく耳だけを頼りに音を重ねたり、探っていったりすると、学理的にも離れたことができるし、細部1つひとつ取っても新しいことができる。なので、Ableton Liveにかなり助けられましたね。誰々に影響受けたとかよく言ってるけど、本当に一番影響を受けたのはAbleton Liveのアーキテクチャー。

ーー愛がありますね。Ableton Liveってその名の通り、ラップトップでライヴをやるためのツールであって、ループされているトラックの抜き差しで展開をつけていくっていうことが基本的な使い方だと思うんですよ。でも、そうではない使い方をされているわけですよね。

荘子it:そうですね。もともとはテクノとかのライヴに特化しているものだと思うんですが、そうとは知らず、Ableton Liveを使ってプログレを目指すっていう。

トライブ不明の人達がうじゃうじゃしている東京

『Dos Siki』のトラック2、「Aquarius (Ft. Injury Reserve)」

ーーそういった手法がDos Monosらしさにつながっているような気がするんです。僕の勝手なDos Monosの印象を言ってしまうと、むちゃくちゃ東京っぽいなって思うんですよ。いろんな表徴っていうものが織り交ぜられていて、それが出たり入ったりする。Dos Monosの音楽を聴いていると自分の所在がわからなくなるんですよね。何を聴かされているんだろうっていう、そこが良さというかおもしろさだというのを痛感しているんです。話を続けると、実は最初「ウワッ」って思ったんです。

荘子it:はいはい。

ーーでも、そのファーストインプレッションってこちら側のスタンスの問題で、ヒップホップを聴くっていう姿勢で聴こうとすると、なかなか聴きづらかった。そこから頭を切り替えて、例えば、Oval、Mouse on Mars、Animal Collectiveなどの、1990~2000年代くらいの賑やかで滑稽なエレクトロニカとか、そういうところに頭を切り替えると、これはおもしろいと。見え隠れするものが多いし、どこにいるのかわからないけど、ただただ身体が動く感覚がそれらと近かった。さらに、それをヒップホップの枠で捉えると、これまで当然なかったし、そこがおもしろい部分だっていう納得ができて、ようやくちゃんと聴けるようになったんです。当人たちの意識がどういうものなのかというのは気になるものの、そもそも意図なんてない方がよくて、みなさんがフィジカルにやってるからこそいいんじゃないかと。

荘子it:たぶん結構当たっていて、今言った固有名詞も好きな音楽ドストライクだし、わけわからないところに放り込まれている感じっていうのは僕自身が、作り手として感じているというか、感じようとしているところですね。自分の既知の行動理論に則ったフレーズを、僕はまったく打ち込まないんですよ。とにかくザッピング的に変な音を出して、そこに合う音をひねり出して重ねていく。重ね過ぎるから、そこから削ぎ落す試行錯誤をしているうちに、フレーズ、曲になりそうなものができあがる。そういう作り方しかしていなくて、そうじゃないとおもしろいものが作れないんですよね。
都会的って言ってましたけど、一般にはその言葉って洗練されたきれいなイメージだと思うんですよ。だけど、ホントの都会はわけのわからない人達がいろんな行動原理で生きているから。隣にいるやつがどういうトライブに属しているのかもわからないまま、空気感だけ合わせてコミュニケーションを取っている。バンド活動をしていた時も、ライヴハウスに出たりするといろんな文化圏のやつがいて、そういった中で揉まれて生きてきたし。さっき言った勉強に関しても、学校のテストの時もとにかく問題文の単語とか公理・公式のレベルで知らないから、無理矢理自分の脳内で成立させて解答をひねり出して間違える、みたいな。

ーー(笑)。

荘子it:何においても、こっちの手札がない状態で闇雲に立ち向かっていくことを、ひたすらにやってきたっていうのが大きいかもしれないですね。そういうスタイルだと、なんとか形にしようとしていくうちにズレてしまう。それを後で作品化する。俺らの音楽は、そういうふうに生まれたものでもありますね。

Dos Monos
東京都出身の3MCから成るヒップホップクルー。中核、ブレイン、メインのビートメイカーである荘子itが中学、高校の同級生だったTaiTan、没を誘い、2015年に結成。デビュー前にSUMMER SONICに出演し、その後、JPEGMafiaなどが所属しているLAのヒップホップレーベル、Deathbomb Arcと契約。海外公演などを経て、2019年3月にファーストアルバム『Dos City』、2020年7月にセカンドアルバム(ボリューム的にはEPだが、当人たちはアルバムと語る)『Dos Siki』をリリースした。

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