HAROSHI Archives - TOKION https://tokion.jp/tag/haroshi/ Fri, 19 Aug 2022 09:33:22 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.3.2 https://image.tokion.jp/wp-content/uploads/2020/06/cropped-logo-square-nb-32x32.png HAROSHI Archives - TOKION https://tokion.jp/tag/haroshi/ 32 32 「ハフ」がアーティストのHaroshiとコラボ 世界50着限定カバーオールジャケットも販売 https://tokion.jp/2022/08/19/huf-x-haroshi/ Fri, 19 Aug 2022 10:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=141371 ブランド創設者のキース・ハフナゲルと長年の友人で世界的に高い評価を受けているアーティストのHaroshiのコラボコレクション。8月20日11時から販売。

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ストリートブランド「ハフ(HUF)」は創設20周年を記念して、ブランド創設者のキース・ハフナゲル(Keith Hufnagel)と長年の友人で世界的に高い評価を受けているアーティストのHaroshiとのスペシャルカプセルコレクションを発表。8月20日11時から「ハフ」の東京と大阪の店舗とオンラインストで販売する。

本カプセルコレクションは、「ハフ」のクラシックなネオングリーンカラーのチェーンステッチで刺しゅうされたHaroshiのアイコニックな“POSITIVE MENTAL ATTITUDE”や、「ハフ」のトリプルトライアングルロゴに“PMA”を配したカスタムアートワークなど、両者の美学とデザインエレメントを融合させて各アイテムに落とし込んでいる

POSITIVE MENTAL ATTITUDEが背面にプリントされた6.5オンスのヘヴィーウエイトコットンを使用したブラックとホワイトの2色展開のTシャツ、POSITIVE MENTAL ATTITUDEが「ハフ」グリーンで刺しゅうされたデニムのキャップ、内側には「ハフ」20周年スペシャルラベルと、“KEITH FOREVER”の刺しゅう、背面には“PMA”がチェーンステッチで刺しゅうされたコーンデニム仕様の世界50着限定カバーオールジャケットと、これらはすべてこだわりのMade in USAのスペシャルコレクションとなる。価格はジャケットが¥66,000、 Tシャツが¥13,200、キャップが¥16,500。

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アーティストHAROSHIと藤原ヒロシ「fragmentdesign」が初コラボ カリモク製ベアブリック2種とアパレルを発売 https://tokion.jp/2021/12/17/fragmentdesign-x-haroshi/ Fri, 17 Dec 2021 07:30:00 +0000 https://tokion.jp/?p=84786 2種類のカリモク製木製のベアブリックと、アパレルアイテム4型が誕生。アパレルは12月25日から「2G TOKYO」と「2G OSAKA」で販売。ベアブリックはウェブ抽選販売のみで発売。

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スケートボードデッキの廃材を使った彫刻作品やインスタレーションを制作するアーティストのHAROSHIと、藤原ヒロシが手掛ける「fragmentdesign」による初のコラボレーションが実現。メディコム・トイによる2種類のカリモク製木製のベアブリックと、アパレルアイテム4型が発売される。アパレルは12月25日から「2G TOKYO」と「2G OSAKA」で販売。ベアブリックはウェブ抽選販売のみで、抽選期間は12月25日0時~2022年1月12日23時59分。※抽選方法はブログで確認を。「2G TOKYO」「2G OSAKA」

カリモクによる木製“ベアブリックHAROSHI 400%”が、「fragmentdesign」とのコラボレーションによりcarved woodenバージョンとpolygon バージョンで登場。1点ずつ熟練した職人のハンドメイドで仕上げられた逸品。価格は各¥682,000。

アパレルはTシャツ(¥16,500)、ロングスリーブTシャツ(¥19,800)、スウェット(¥28,600)、ジャケット(¥74,800)をラインアップ。HAROSHIのアートの印象的な要素の1つでもある圧縮されたスケートボードの裁断面をそのままファブリックパターンに展開。日本でも限られた工場でしか編み立てられない多色編でオリジナルボーダーストライプのコットンニット天竺とオリジナルボーダーストライプのリブを編み立てた。今回のロゴは2人の名前やイニシャルが並びリンクするスペシャルなデザインとなっている。

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空山基やジェームス・ジャービスらが参加するミッキーマウスのアート展が「渋谷パルコ」で開催 https://tokion.jp/2021/11/02/parco-mickey-mouse-now-and-future/ Tue, 02 Nov 2021 05:30:00 +0000 https://tokion.jp/?p=73306 世界各地のアーティスト10人が独自に解釈したミッキーマウスの作品を展示。会場では豊富なグッズを販売するほか、全国でポップアップトラックも巡回する。

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「渋谷パルコ」は11月19日から12月19日まで、ミッキーマウスを題材にした展覧会「Mickey Mouse Now and Future」を4階の「パルコ ミュージアムトーキョー」で開催する。

同展は、ミッキーマウスを愛する世界各地のアーティスト達による“ファンの集い”をテーマに、ミッキーマウスの現在と未来を表したアート・コラボレーション・プロジェクトで、キュレーションは「NANZUKA」が担当。参加アーティストは、スペイン出身のハビア・カジェハ、韓国出身のユーン・ヒュップ、イギリス出身のジェームス・ジャービス、⻑野県在住の中村哲也、イギリス出身のオリバー・ペイン、アメリカ出身のダレン・ロマネリ、東京在住の空山基、田名網敬一、Haroshi、Yoshirottenの10人で、それぞれの思い描いたミッキーマウス作品が並ぶ。

会場では、空山基とハビア・カジェハのよるミッキーマウスのソフビを抽選販売するほか、各アーティストの作品を落とし込んだグッズ約80点も用意。「2G」でもファッションアイテムやアートトイを取り扱う。また会期中は、「渋谷パルコ」1階で空山基とハビア・カジェハによる大型パブリックアートを展示する。

同展開催に合わせ、ソフビの抽選販売や一部グッズ、オリジナルのキーホルダーを展開するポップアップトラックが広島、松本、神戸、仙台、静岡、名古屋、福岡、京都の「パルコ」および「大丸」を巡回する。広島では11月20〜21日に「パルコ」で行い、そのほかの土地での詳細は後日発表となる。

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Haroshi「I versus I」で表現したカルチャーへの愛 ―後編― 「僕は、僕と戦っている」 https://tokion.jp/2021/10/04/haroshi-i-versus-i-part2/ Mon, 04 Oct 2021 06:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=59340 スケートボードデッキの廃材から誕生した作品の数々。ストリートカルチャーの発展とともに進化し続けるHaroshiへのインタビュー。

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使い古したスケートボードのデッキを素材にアートを制作。スケートボード界はもちろんのこと、世界的にも人気を呼んでいる現代アーティスト作家のHaroshiによる個展「I versus I」。カスタム、ストリート、そしてスケートボードとそれぞれのカルチャーに対する熱意を感じられる個展となった。

カスタムカルチャーへの思い、ソフビを使うようになったきっかけ、またデッキの塊から彫り出された「GUZO」の話を聞くことができた前編に続き、後編はストリートカルチャーに対する思い、またHaroshiにとってかけがえのない存在である「ハフ」の創業者、故キース・ハフナゲルとのエピソード、そしてタイトルについて話を聞いてみた。

すべて自分の手を動かし、配置していく

ーースケートボードデッキはどのようにして集められているんですか?

Haroshi:最初の頃からいつも送ってくれる特定のショップがありまして、定期的に大量に届く感じです。今、うちに1000枚以上あると思います(笑)。

ーーそこからどのようにしてデッキを仕分けていくんですか?

Haroshi:まず全部デッキテープをむいて、スカルプチャーにするか、平面作品にするかを選びます。めちゃめちゃスケボーしたデッキって、平面作品の「Mosh Pit」には向かないんです。要するにギタギタでグラフィックがゼロなので、見栄えとして悪い。なので、そういうのは塊にして「GUZO」にしてしまうんです。いい感じのバランスのやつは、最初に観た時に寄り分けちゃいます。これは平面、これは立体に使う、あと例えば蛍光色があったら差し色になるので使おうとか、金色のホイルが貼ってあったら使いたいとか。表面のグラフィックも良くて、側面のカラーも良かったらどちらに使うかを考えます。

ーーInstagaramで制作過程を拝見しましたが、平面作品の場合はデッキを床にバーッと置いてやっているんですね。

Haroshi:デザインする時はあんな感じで、地面にバーッとバンバン置いて重ねて、いい感じのところを脚立で高い位置から写真を撮って、それをプリントアウトして端っこから合わせて切ってはめてというのを繰り返す感じですね。

ーーコンピューターに取り込んだりなどはしていないんですね。

Haroshi:フォトショップが使えないのでやっていないんです。使えたほうが絶対いいんですけど、今回の展覧会の1つ前に「Jeffrey Deitch」というニューヨークのギャラリーで、5m×5mぐらいの「Mosh Pit」を作ったんですよ。その時はさすがに日本のスペースでは並べてレイアウトを決めることが困難だったので、スケボーの写真を全部撮って小さくプリントアウトして、そのプリントアウトした紙を切ってレイアウトしたことがあったんです。それでもなんかうまくいかなかった。その、やっぱり紙の上ではわからないというか。

ーー5mって実際には2階建てぐらいあるんじゃないですか……。

Haroshi:そうなんですよ。すごく大きい。それで大きいのを制作する時もレイアウトは実際のデッキを自分の手でレイアウトしないとわからないということにも気がついて、今も自分の手でやっています。

ーーストリートカルチャーや、スケートボートに対する愛情というか、どんなところに引かれますか。

Haroshi:ストリートカルチャーへの愛情……。

ーースケートボードを使ってアートを制作するとなった場合、スケートボードカルチャーから生まれてくるアイデンティティが作品に詰まっていたりするのかなと思いました。

Haroshi:なんていうんでしょうか。そうですね……、僕らが最初にやっていた頃によく言っていたのが、僕らにとってはスケートボードだったっていうだけで。例えば、ブラジルにはタイヤからサンダルを作っているおじさんがいたりするんですよ。その人にとっては、普通にその辺に転がっているタイヤだったと思うんですけど、僕にとってはそれがたまたまスケボーだったというか、本当にそれだけのことなんですよね。だから特別にマテリアルを探して「これだ!」というよりは、自然な流れで僕らはこの仕事になっていったんですけど。自然にそうなっていったもののほうがやっぱり良いですよね。

キース・ハフナゲルから教わったBLMの真髄

ーー作品を観ていて気付いたのですが、「Mosh Pit」の作品の中央に「ハフ」のデッキがあったので、キース・ハフナゲルへのトリビュートでもあったのかなと。

Haroshi:あの作品は、まだキースが生きているうちに作ったんです。ブラック・ライブズ・マター(以下、BLM)の運動の時に、ロサンゼルスでミドルフィンガーの彫刻が破壊されたんですけど、その時にキースからすぐに「フェアファックス(ロサンゼルスのストリート)の店が襲撃されて、ミドルフィンガーの彫刻が破壊された。今、指(ミドルフィンガー)を探してるけど、こんな感じ」と連絡が来たので、驚いて「ライオット(暴動)最低だな」みたいな内容のことを返信したら、「ライオットじゃない! これはプロテスト(抗議)なんだ」って返ってきたんです。その時にキースは、すごく黒人文化や黒人のことを尊重してることに気付いて、キースがリスペクトしていたキーナン・ミルトンも黒人でしたし、だから「ライオットじゃない」と。「ちゃんと黒人が自分の権利を主張するためにやってるんだ、たまたま壊されちゃったけど意味があるんだ」って話をしてきた時にすごい人だなと思いまして。その3ヵ月後にキースは亡くなってしまったんですけど、僕がずっと乗っていたミドルフィンガーのデッキがあったので、作品にしようと思ったんです。さらにはサメのグラフィックのもあったので、シャークアタックみたいな。ミドルフィンガーの下にはブラックパンサーがいるんですけど、そこからBLMをイメージさせたり、そうやってその時あったものを構成しながら作った感じですね。

ーー作品の中に感情がかなり込められていますね。

Haroshi:そうですね。キースとのできごとは本当に、いろいろと考えさせられたんです。権利を主張して、ああいうことをしてしまうアメリカの文化を、僕は前からあまり受け入れられなくて、「あんなの暴動じゃないか?」と思っていたんですけど。でもキースは「ライオットじゃない」って、違う捉え方をしていた。それがすごく思い出に残っていたので、すぐに形にしようと思って作ったのが昨年です。

ーーHaroshiさんの思いがあるデッキを選んで、そこから他のデッキをさらに並べていくことで、どんどん広がって、つながりのある1つの大きな作品になった感じですね。

Haroshi:「Mosh Pit」って作品自体は、スケーター個人個人がスケートして、スケートした分だけそのデッキが傷ついていったという、1人1人のヒストリーが混ざり合っている。ファッションではなくて、実際に身体を削ってスケートしている人達の集合体というか、あれがリアルなスケートカルチャーなんですよ。みんながぶつかりあって1つの形になっているというか。だからタイガーマスクが真ん中にいるやつや、『AKIRA』の金田が真ん中にいるやつとかは、両方とも僕が乗っていたデッキなんですけど、要はライヴのモッシュピットに僕が上からダイブして人波の上を泳いでいる感じなんですよね。

僕は僕と戦っているから「I versus I」

ーーちなみに、「I versus I」の意味って、タイトルの由来は?

Haroshi:ココバットというバントのアルバムに『I versus I』って作品があるんですけど。僕はもともとすごいココバットの大ファンで。ココバットが好きってことはパスヘッド(以下、パスさん)が好きになるんですけど。なのでここはセットなんです。僕が初めて知ったアーティストはパスさんだったし、ピカソと並ぶほど、パスさんは僕の中でめちゃくちゃ有名人なんですよ。それで友人のUSUGROWくんというアーティストが「パスさん来るけどこっちへ来ない?」と誘ってもらって、それで会いに行って、初めてパスさんと話すようになったんですけど、それ以来ニューヨークで展覧会をやった時も夫婦で観にきてくれたりと親交が深まって、さっきも話をしたソフビの英語の先生を紹介してくれたんです。それでソフビのイベントに出た時に、ココバットの坂本さん(=TAKE-SHIT)もブースを出していて、「やべえ! TAKE-SHITだ!!」と思って超ブルってしまって(笑)。大ファンだったので、「大ファンです、握手してください!」って話しかけたら、こうやって手を出されて(*腕をひねって後ろ向きで握手するスタイル)。

一同:(笑)。

Haroshi:その時一緒に同じように握手したんですけど、僕、めっちゃ嫌われたのかなと思って、その日は結構悩みました。後日、周りの人に聞いたら、1990年代にパンクバンド仲間で腕相撲をした時に、対戦相手がとても猛者だったらしいんです。それでその時にあまりにもすごい力同士が拮抗して、坂本さんの腕がバーンって折れたらしくて。それ以来、握手の手をそうやって出すようになったということがわかって。それを聞いて安心したんですけど、その話を坂本さんがデニスさんから聞いたようで、ゴジラのフィギュアをくれたんです。壊れてるやつを2個ぐらい持ってきて、「こういうの好きでしょ、あげる」って。めちゃめちゃ嬉しくって「TAKE-SHITが俺にゴジラくれたよ!」って、さらに坂本さんのことが好きになってしまって(笑)。

ーー根っからの大ファンですね(笑)。

Haroshi:で、僕の作業場の隣の部屋にいるソフビの職人の方に近藤さんという方がいるんですけど、パスさんの作品の原型も作っているんですね。ココバットの『I versus I』に描かれたキャラクターのココクロックのフィギュアも、カウズ × パスヘッドのコンパニオンも近藤さんが作ってるし、言ったら僕の周りはいつもパスヘッド色が半端なかったんです。
それで今回の個展では、よくアニメとかでポコポコと殴り合って煙の中で手とか頭が出ているものがあるじゃないですか。それを作りたくて、最初は丸い球体をモコモコさせて手足や頭とかが出ているのを作ろうとしたんですけど、やっぱりソフビだし人の形をとりたいなと思ったんです。それで上側から馬乗りになってマウントを取っているものと、下側から足をあげて抵抗しているものと両方作ろうって思った時に、「これは、完全に坂本さんだ!」と思い出して。

ーー確かに!

Haroshi:それで「ハッ!」と気付いて、これは「I versus I」だなというか。コロナ禍で作業場にこもって孤独に作品を作り続けていた時に、「あの作品は、オークションでいくらだった」とか、会う人会う人がそういうことを言ってきた時期があったんです。僕の作品はいくらで、誰かはいくらだったとか、それを聞いてくだらないことを気にしてんだなと思っていたんです。だって「僕は僕と戦ってるんだ!」とずっと思っていたのに、なぜ勝手に値段をつけられて、戦闘力みたいに勘違いをして僕らを評価するんだよと。そんなこともあって「I versus I」というタイトルにしたいなと思ったんです。
坂本さんにはオープニングに来ていただいて、タイトルも喜んでくれてすごく嬉しかったです。ちなみに僕は、ココバットのライヴでダイブして、腰を強打して歩けなくなったことがあるんですよ(笑)。だから「Mosh Pit」とか全部ひっくるめて、めちゃめちゃ今回のタイトルに関しては、ココバットとのエピソードが関係しています。

ーー活動を始めて20年たちますが、今後の目標はありますか?

Haroshi:これからは目標を作ってそれに向けて努力することよりも、生きてる限り、もっとおもしろくてかっこいいものを作っていこうと、そういうシンプルな感じでやっていこうと思っています。

『HAROSHI(2003 – 2021)』(NANZUKA)©Haroshi Courtesy of NANZUKA
現在、発売中の作品集。2003年からスタートしたHaroshiの18年間の記録として、全520ページにわたり過去の作品が掲載されている

Haroshi
1978年生まれ。東京都出身。1993年からスケートボードを始める。ジュエリー制作を経て、2003年にパートナーとともにHaroshiをスタート。スケートボードデッキの廃材を使用した彫刻作品、インスタレーションを開催。スケートボードブランド「ハフ」とのコラボレーションや、BATB(Battle At The Berrics)のトロフィー制作をはじめ、2018年Art Basel Miami BeachのNOVAセクションにおける個展、2019~2020年にかけては「Jeffrey Deitch」のNY、LAを巡回した「Tokyo Pop Underground」での展示など、東京下町を拠点に世界で活動中。18年間のアート活動を記録した作品集『HAROSHI(2003 – 2021)』をリリースしたばかり。
Instagram:@haroshi

Photography Shinpo Kimura

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Haroshi「I versus I」で表現したカルチャーへの愛 ―前編― 再生が生み出す珠玉のアート https://tokion.jp/2021/10/01/haroshi-i-versus-i-part1/ Fri, 01 Oct 2021 02:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=59270 スケートボードデッキの廃材から誕生した作品の数々。ストリートカルチャーの発展とともに進化し続けるHaroshiへのインタビュー。

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使い古したスケートボードのデッキを素材にアートを制作。スケートボード界はもちろんのこと、世界的にも人気を呼んでいる現代アーティスト作家のHaroshiが、今年新しくオープンした「NANZUKA UNDERGROUND」で、個展「I versus I」を開催した。デッキの塊から彫り出された「GUZO」と、スケートボードデッキを平面に配置していった「Mosh Pit」をメインに、伊達直人のソフビを使用したトイも発表。カスタム、ストリート、そしてスケートボードとそれぞれのカルチャーに対する熱意を感じられる個展となった。
本インタビューは、夏がやってきたばかりの頃に開催された展示開催中に行った。開催された個展について、そしてHaroshiが向き合うアートへの姿勢など、前後編、2回に分けてお届けする。

前編は個展「I versus I」について、ソフビを利用することになったきっかけ、そして「GUZO」に対する思いなどを聞く。

周りにソフビ好きがいたことが、ソフビシリーズの始まり

ーー今回の展覧会を開催したきっかけから聞かせてください。

Haroshi:2017年に初めてNANZUKAで展示をやった時に、NANZUKAと相談してどんなものを作ろうか話があったんですよね。それまでニューヨークのギャラリーとかでやってた頃は、好きなものを作って展示してたんです。会場のサイズ感だけは決まっているので、でかいものを作ってほしいとかはあるんですけど、モチーフに関しては相談したことがなくて、だけど日本のギャラリーの場合は、自分も日本人なんでいろいろと話せるじゃないですか。だからNANZUKAでやるメリットは、相談しながら作れることで、NANZUKAに相談をして、何を作ろうかとかなった時に、人型がおもしろいんじゃないかなって話をもらって、それで「GUZO」っていう名前にした人形シリーズを作り始めたんです。

その展覧会(「Haroshi “GOZU”」@Nanzuka Gallery)をやったのが2017年で、その1ヵ月後にロンドンで展覧会があったんですよ。だけど2ヵ月しか制作時間が、ギャラリーをすべて埋められるほど作品がなくて。困ったなと思っていた時に、ちょうどスタジオをシェアしていた向かいの部屋の近藤さんがソフビの原型師なんですけど、そこのストレージにあった段ボール箱をのぞいたら、伊達直人ってタイガーマスクのマスク部分を紛失したものが突き刺さっていたのが見えたんです。それで、「これちょうだい」と聞いて。要するに1作品作るのに、顔だけスケートボードでタイガーマスクを作ればいいじゃないですか。であれば、2ヵ月で個展が開けるくらいの数が作れるんじゃないかと、それでソフビの壊れたやつをもらって、頭だけ作ったのがソフビシリーズの始まりなんです。

ーーソフビは昔から好きだったんですか?

Haroshi:正直、ソフビにハマっていたわけではないんですが、僕の周りにはソフビを好きな人ばかりいるんです。僕の友達にパスヘッド(以下、パスさん)っていうアーティストがいるんですけど、パスさんが僕の英語があまりにもひどいのを見かねて、英語の先生を紹介してくれたんです。その方はソフビ作家のデニスさんという、日本に住んでいてソフビ工場をやっている方だったんです。だからSkypeで英語の授業をしてると、後ろにいつもソフビがいっぱい並んでいるのが見えるんですよ。だから毎回「これは?」とか、僕はそんなに興味ないのに、めちゃくちゃ僕にソフビの知識を入れてくるんですよ(笑)。そこから一緒にデニスさんが出品するスーフェス(=SUPER FESTIVAL)とかに一緒にいくようになり、デニスさんの隣に座るようになって、ソフビが気になりだした頃、スタジオを僕が借り切らなくてはいけなくなったんです。そこでメンツを集めようとした時に、パスさんのソフビの原型を作っていた先程の近藤さんがちょうど作業場を失って困っていると聞いて、うちに誘致したんです。そこからどんどんソフビの関係者の方がスタジオに集まるようになって、気付いたら僕もソフビを作ろうかなという流れになったので、わりと自然にソフビの仕事をしだした感じですね。

「I versus I」の根源にはカスタムカルチャーが存在する

ーーてっきり子どもの頃からソフビ好きかと思っていました(笑)。

Haroshi:もちろん好きではあるんですけど、買う時に並ぶのが嫌いなんですよ。ソフビって並ばないと、いいのが買えないじゃないですか。自分は胆力ないし、並ばなきゃ買えないのならいいやって、それぐらいだったんですけど。
自分でやるようになってからは伊達直人みたいにみんながいらないようなソフビをオークションなどで買っているんです。マスクを紛失されているものは、タイガーマスク史上もっともいらないやつだから、それを僕は買いあさってるんです。なので、うちには、同じ顔をした伊達直人軍団がいるんですよ(笑)。バイクのチョッパーみたいな文化と一緒で、いらないものをカスタムしてこそ、初めてカスタムカルチャーと言えるというか。それが「I versus I」の根本にあって、ソフビの伊達直人といういらないものを作品のタイトルにして、個展のメインピースにする格好よさっていうのが僕の中ではあるんです。

ーーカスタムカルチャーの格好よさですね。

Haroshi:ヴィンテージのものを愛する気持ちがすごくありまして、例えばヴィンテージデニムやバイクとか、すごく格好いいですけど、始まりはみんながいらなかったものを格好よくしている人の独占的市場だったわけですよ。パンクスがロンジャンにビス打って格好よく着ているのも、ロンドンではロンジャンが一番安かったからだし。僕としては価値のないものに価値を見出すことのほうがエキサイティングなんです。

ーー使い古したスケートデッキを、現代アートへと転換していったことは自然の流れだったのですね。

Haroshi:そうです。みんなが捨てているもので格好いいものを作るって、すごくバランスがいい。金で宝飾品を作ることは普通だけど、ゴミで宝飾品クラスを作ったほうが格好いいじゃないですか。昔から錬金術っていう、なんでもないものから金を作る考え方ってありますけど、価値の創造が人間の役割だと思うので、そうやってものを作っていったほうがおもしろいと僕は思っています。

子どもの頃は夏休みの自由研究で目立っていた

ーーHaroshiさんのアート制作は独学なのですか?

Haroshi:ジュエリーの専門学校へ行っていて、卒業してから造形の人のところへ飛び込んで教えてもらったことはありますけど、木工とかいわゆるアートの勉強っていうのはしてないですね。ただものを作るっていうことは子どもの頃からずっとやってたんで、ある程度の感覚はあるんですよね。小学校の頃はティッシュとかで人形を作ったり、ないものを作るみたいな。当時はキン肉マンとかがはやってたんですけど、僕の好きだった『魁!!男塾』ってマンガのフィギュアなんかないんですよ。だからそれを自分で作ったり……。めちゃめちゃ汚いんですけど。

ーーその頃から立体物は作っていらっしゃったんでしょうか?

Haroshi:言うと格好いいですけど、そんなにちゃんとしたものじゃないです。僕はすごく病弱で、いつも入院してたんです。だからあまり運動ができなくて、その代わりに夏休みの宿題が僕のオンステージだったんです。爺ちゃんがめちゃくちゃもの作りができる人だったんで、夏休みに入ることで僕らのもの作りにスイッチが入って、東急ハンズで材料を買ってきていろいろなものを作る。それで、新学期が始まった時の夏休みの自由研究発表会で目立つっていうルーティンが僕にはありました。

ーー「GUZO」についてお聞きしたいのですが、綿密に計画されてから、できあがったシリーズですか?

Haroshi:それがあまり、その……一番最初の1体を作ったのは、スーフェスとかで買ったミラーマンのブートレグがあって、それがジャイアントサイズだったんですけど、その身体のバランスが好きだったので、それを見て最初の1体を作りました。1体作るとなんとなくわかってくるので、2体目、3体目は自分のボディバランスでどんどん作っていって、なので時系列的でいくと1体目のボディバランスはめっちゃソフビなんです。その1体目をNANZUKAが「アート・バーゼル」に出してくれたんですけど、リアクションがあったようで、それで自分の個展用にブラッシュアップしていきました。

仏様をお迎えするように彫り出されたGUZO

ーー何かイメージしているモチーフはあるのですか?

Haroshi:特定の何かをイメージして作るのではなく、デッキの塊を作る段階で、トップの色が赤だったら、赤い感じのイメージで奥側に削っていくことによってどんどん色が出てくるんですけど、この色まで出そうとか、この色で止めとこうとかなので、彫刻とはまた違うんですよね。普通は彫刻って完成形ありきですけど、僕の場合はこんな感じっていう形の正解はなくて。出てきた色の好みで止めるので、それは僕の裁量次第なんです。

ーー彫り過ぎると色が変わったり、Haroshiさんならではの美学と感覚で調整していくんですね。

Haroshi:仏様を彫る仏師の言葉で「仏様をお迎えする」というのがありますが、例えば木の塊の中から仏様を彫り出すじゃないですか。その時に仏様に傷をつけないように彫る、という考え方があるんです。つまり中に仏様がいて、それをその完璧な仏様の形として彫り出す。彫りすぎても傷つけるし、彫らなすぎても完璧な姿でお迎えできてない。僕の「GUZO」も同じで、「GUZO」をそのスケボーの塊の中からお迎えするという感覚なんです。削りすぎれば余計に傷をつけてしまうし、ちょうどいいバランスで自分の中から取り出すという感じですね。

ーーそういった話は、何がきっかけで知ったんですか?

Haroshi:仏師の話が好きなんですよね。僕は大学を出ていない分、いろんなもの見たり調べたりしてきたんです。例えば籔内佐斗司さんという芸大の先生がいるんですけど。籔内さんは仏像も作れば、修復もされる方で、本もいろいろ書いているのでそういったのを見て考え方を学びました。

ーー完成形は予測できない……。まさに世界に1つしかないですね。

Haroshi:彫っていく上で感じたことをきちんと生かすというか、正解を最初に出してしまうとそれありきになってしまうので、どうしてもいろいろとゆがんでくるんですね。本来ここはこうであるべきなのにうまくいかないとか。そういうのはやはり臨機応変であるべきだと思うんです。だからわりと緩くそのあたりはやっています。

ーー「GUZO」の手法で何か制作してみたいなと思うものはありますか?

Haroshi:何を作ってもいいと思っています。これっていうキャラクターを決めちゃったらそれしか作れなくなっちゃうし、特にこうあらねばならないとか考えてないんですよ。だから作りたいものは、もちろんいっぱいあります。
基本、作りたいものをライヴでたくさん作っているんで。ただそれが世の中に発表できるほどのクオリティなのかはまた別ですけどね。趣味で、木彫り熊とかも作ったりしてるんですよ。でもでき上がった木彫り熊はどう考えても展覧会に並べるのとは違うし、それはうちに飾っています。
(後編へ続く)

Haroshi
1978年生まれ。東京都出身。1993年からスケートボードを始める。ジュエリー制作を経て、2003年にパートナーとともにHaroshiをスタート。スケートボードデッキの廃材を使用した彫刻作品、インスタレーションを開催。スケートボードブランド「ハフ」とのコラボレーションや、BATB(Battle At The Berrics)のトロフィー制作をはじめ、2018年Art Basel Miami BeachのNOVAセクションにおける個展、2019~2020年にかけては「Jeffrey Deitch」のNY、LAを巡回した「Tokyo Pop Underground」での展示など、東京下町を拠点に世界で活動中。18年間のアート活動を記録した作品集『HAROSHI(2003 – 2021)』をリリースしたばかり。
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https://www.instagram.com/haroshi/

Photography Shinpo Kimura

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アーティスト・Haroshiが個展を開催 使い終わったスケートボードのモザイク絵画など3シリーズを展示 https://tokion.jp/2021/06/10/haroshi-i-versus-i/ Thu, 10 Jun 2021 08:18:15 +0000 https://tokion.jp/?p=37763 会期は7月10日〜8月8日。「GUZO」シリーズや、古いフィギュアを再構築した作品も展示する。開催を記念したカタログも発売。

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スケートボードの廃材を使った作品で知られるアーティストのHaroshiは、今年6月にオープンした渋谷・神宮前のギャラリー「NANZUKA UNDERGROUND」で個展「I versus I」を開催する。会期は7月10日〜8月8日で、入場は無料。

「I versus I」のテーマは“己との戦い”で、3シリーズに分けて作品を展示する。1つ目は使い終わったスケートデッキを刻んで平らに並べ、1人ひとりの個人史とスケートボードカルチャーの総体を表現したモザイク絵画作品「Mosh Pit」、2つ目はスケートボードとそのカルチャーを愛する人達の守り神として制作した「GUZO」、3つ目は古いプラスチックおよびビニール製のフィギュアを再構築した作品群となっている。本展を記念して、Haroshiの2003年から現在までの作品を掲載した全520ページのカタログを発売する。

展示作品についてHaroshiは、「『Mosh Pit』は、役目を終えたスケートボードの傷ついた美しい姿にフォーカスした作品です。スケートボードのグラフィックは、スケーターが繰り出すトリックによって各々の形に傷ついて(ペインティングされて)、その美しさは完成形に向かうと同時に、終局にも向かっていきます。まるで“Mosh Pit”のようにスケーターのぶつかり合うようなパッションを、その結晶でもあるスケートボードによってそのまま作品に閉じ込めました。『GUZO』はスケーターを支えてきたスケートボード自体の自己犠牲の精神を尊いものとし、それを神格化した神像です。スケートボードの傷ついていく様は、まるで“the passion of the skateboard”といってもいいような、ドラマチックなもので、僕等の代わりに傷ついていくスケートボードを神様として復活させなくてはと思いました。ソフビのシリーズは、子どもの頃に僕らの手によって砂場やお風呂場で繰り広げられた激しい死闘の末、傷だらけになり破損したソフビ人形達を、大人になった僕等が今、またコンクリート上で激しい死闘を繰り広げ、深手を負わせたスケートボードによって修復し、傷ついた両者がお互いの足りない部分を補いながら、新たな形に進化していく物語です」と語っている。

トイやストリートブランド「ハフ」ともコラボレーションし、プロスケーターによるトーナメント戦「BATB」のトロフィーなども手掛けている。現在は海外を中心に活動しており、2018年にはアートフェア「アート・バーゼル・マイアミ・ビーチ」の「ノヴァ」セクションで個展を開催したほか、2019年から2020年にかけてニューヨークとロサンゼルスの「ジェフリー・ダイチ・ギャラリー」で開催された「Tokyo Pop Underground」では、5m四方のインスタレーションを発表。昨年は「天童木工」とともに製作したスケートボードを「TOKION」で販売した。

■「I versus I」
会期:7月10日〜8月8日
会場:NANZUKA UNDERGROUND
住所:東京都渋谷区神宮前3-30-10
時間:11:00~19:00
休日:月曜
入場料:無料

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アーティスト・HAROSHIのスケートボードに対する想いを具現化した「天童木工」とのコラボレーションデッキ https://tokion.jp/2020/12/18/haroshi-tendo-mokko/ Fri, 18 Dec 2020 02:00:47 +0000 https://tokion.jp/?p=13651 アーティスト・HAROSHIと「天童木工」とのコラボレーションによるスケートデッキが発売。デッキに込められたスケートボードへの想い、そしてプロダクトのこだわりをインタビュー。

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何層にも重ね合わせた単板を型に入れて、プレス機で圧力と熱を加えて形作る技術“成形合板”。これを日本でいち早く取り入れ、良質な家具の量産技術を確立しただけでなく、美しさへの挑戦も続けてきたメーカー「天童木工」。彼らによって生み出された薄く強い成形合板は、無垢材では出せない複雑な曲面やフォルムを可能にし、日本を代表するデザイナーや世界的な建築家達の斬新な創造力を刺激してきた。そんな「天童木工」による新たな共創を「TOKION」から12月18日から発売する。
パートナーは、スケートボードを題材とした彫刻作品で国内外から注目を集めるアーティスト、HAROSHI、その人。彼にコラボレーションにより生まれたスケートデッキに込められた、スケードボードへの想い、そしてプロダクトのこだわりを聞いた。

アーティストと職人。モノ作りを追求する表現者の挑戦

「確か15、6年くらい前に『天童木工』のスケートボードに乗っている人にランプで会った際に、日本で作っていると聞いていたので、ずっと気になっていました」(HAROSHI)

「天童木工」に対してのイメージを訊ねると、HAROSHIはそう答えた。自身も、柳宗理が手掛けたバタフライスツールのファンだったため、同メーカーが誇るプライウッドの成形技術の素晴らしさは熟知していた。だが正直、「日本で完璧なスケートボードが作れるのだろうか?」とも思っていたという。そんな彼の懸念は、杞憂に過ぎなかったとのちに知ることとなる。

ここで改めて、3枚のスケートボードが並んだ写真をご覧いただきたい。右が今回のプロダクト。スケートボードは、最初期とされる1950年代から、時代によって素材や形を変えてきた。ここでプラットフォームとして採用されているのは、1970年代のウッド素材を使ったオールドスクールなシェイプ。このタイプをHAROSHIが選んだのには何か意味が込められているのだろうか。

「もともと古いスケートボードが好きで、コレクションしていたのですが、6年ほど前に『ドッグタウン スケートボード』のジム(・ミューア)さんの家に遊びに行った時に、1970年代に彼らがやっていたデッキの作り方を教えてほしいと言ったところ、それならば一緒に作ろうという話になり、朝から1日中、2人で無垢のメイプルの板を削り、テールも貼って、塗装までしました。あれは本当に最高の1日でしたね」(HAROSHI)

ハンドメイドのスケートボードが完成する頃、外はすでに夜になっていた。彼は、そこでフラットボトムが乾燥して曲がってきた時にコンケーブができた話など、いろいろと伝説みたいな話も聞いたという。この体験が今日へと繋がっていく。

「僕はすべてのものが温故知新だと思っておりまして、始まりを知らなければ新しいものは作ることはできないと思っています。昔はチョロッと古い板に乗って、本気で乗るのはあくまで現代的なスケートボードでしたが、自分自身もだいぶ年をとりまして、スケートすることの中に流すだけの楽しさも取り入れるようになってきました(笑)。僕にとっては、いろんな古いボードやトラックの乗り味を試すことが、今とても楽しいのです」(HAROSHI)

アーティストであると同時に、スケートカルチャーを愛する1人のスケーター。その強く、熱い想いを具現化すべく、アーティストと職人、モノ作りという表現を追求する者同士の挑戦は、ベースとなるスケートボードのシェイプを決めるところから始まった。

「まず、『天童木工』さんが以前に作った、ノーマルなシェイプとプレスのデッキを送ってもらいました。ですがやはり、ほんの少し違うなと。スケートボードのコンケーブの技術は、一朝一夕で作れるものではありません。それを何度も吟味していたら、膨大なお金と時間がかかってしまうので、それではいつになっても納得するものはできないとも思いました」(HAROSHI)

そんな時、HAROSHIは自身のスケートボードコレクションを見て気付く。ならば、フラットなボトムにシングルキックのモデルを作ればいいと。そして、せっかく作るならば自分にとって特別なものにしようと決意する。

「僕が生まれた1978年は、素晴らしいスケートボードが多く作られた年でもあります。なかでも僕のお気に入りは『ドッグタウン スケートボード』のビッグフットというタイプ。12インチで最大級に幅のあるボードなのですが、ロングボードのような長さやウィールベースもなく、曲がりやすく、とても独特の乗り心地です。今回はそれを参考にしつつ、少しアップデートして制作しました」(HAROSHI)

成形合板技術 × グラフィック。GUZOを“立体”から“平面”に

こうしてプラットフォームが完成し、次なる課題はボードというキャンバスを彩るグラフィック。今夏、開催された HAROSHIの個展「HAROSHI FREE HYDRANT CO」で展示された、ブロンズ製消火栓がモチーフとなっている。

「ちょうどこのプロジェクトを始めた時期にいただいたお話でしたので、F.H.C(FREE HYDRANT CO)のグラフィックで作るのはとてもタイミングがよかったのです。決め手はテイルパッドとモチーフのマッチングでした。最初は、昔のG&S(ゴードンアンドスミス。1959年創業のサーフボードの老舗で、スケートボードカルチャーの先駆けでもある)のステイシー・ペラルタモデルのような焼き印にしたかったのですが、あまりにもコストがかかってしまうのと、エラーがかなり出てしまうとのことで断念。最終的にはレーザー彫刻に落ち着いたのですが、そこでもかなり彫りの深さと出力を吟味しましたね」(HAROSHI)

テール部分に付いた丸いパーツは、当時の定番ディテールの1つであるテールパッド。今回、グラフィックに選ばれたF.H.Cの消火栓は、GUZO(道祖神のようなもの)として制作されており、子孫繁栄を意味すると同時に、2つのテールパッドは精巣(金玉)を表現しているという。要は、スケーターならではの遊び心。

そのスタンスはいたってフラット。ただスケボーとモノ作りが好きなだけ

これまでスケートボードの廃材や消火栓といった素材・モチーフ選びもあって、“救済”が彼の作品のキーワードとして語られることがある。そう考えると、今回はこれまでとはまた違ったアプローチになっていると感じられるのだが、彼自身はもっとずっとフラットな目線で、今回のコラボレーションを楽しんでいる。

「今までずっとリサイクルという手法で作品を作ってきましたが、基本的には、ただスケボーとモノ作りが好きなんです。憧れのスケボーをモチーフに、日本の職人さんとこだわって制作できるなんて、とても嬉しい経験でした。完成品を見た瞬間も、まずは工芸品としての美しさを感じました。仕上がりのクオリティも、完全にスケートボードのレベルではありません。なので、僕自身もデッキテープを貼るのにかなり躊躇しました(笑)」(HAROSHI)

とはいえ、このスケートデッキは観賞用。実際に使用するのは、よほどの好き者だろう。最後に本作品をどのように楽しんでもらいたいかを聞いたので、その回答を締めの一文とする。

「こだわって作ったので薄々感じてはいましたが、価格を見て大変驚きました(笑)。ですが、わけのわかんないプレスのスケートデッキに、有名アーティストのグラフィックをささっとプリントして、$200で売っている悪徳なモノとはできが違いますし、死ぬほどこだわっています。なので、もちろん実際に乗れるようにも設計しています。僕はもうこのデッキで滑っていますし、最高です! ただ、こんな高いスケボーに乗る勇気があればですし、そもそも観賞用なのでおすすめはしません(笑)。ただ、参考までにセッティングを記しておきます。トラックは『インディペンデント』の215、ウイールは『パウエル』のMini Cubic 64mm。あとはすべて、自己責任ということで…」(HAROSHI)

HAROSHI
使用済みのスケートデッキを何枚も重ねて接着したのち、手作業で削り出した彫刻など、スケートカルチャーを題材としたアート作品で、世界的に注目されているアーティスト。現在は海外を中心に活動し、日本発のトイメーカー「メディコム・トイ」や、キース・ハフナゲル率いるストリートブランド「ハフ」とのコラボレーション、プロスケーターによるトーナメント戦「BATB」のトロフィーなどを手掛けたことでも知られる。
Instagram:@haroshi

Photography Shinpo Kimura
Text Tommy

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