クラシック音楽を香りで表現する「ラニュイ」がスタート 第1弾はモーリス・ラヴェルの「夜のガスパール」がテーマ

クラシック音楽を香りで表現するプロジェクト「ラニュイ」がスタートした。テーマは聴覚と嗅覚の共感覚を探究することで、第1弾として、ブランド名の由来である、モーリス・ラヴェル作曲「夜のガスパール」をイメージした香水セット「夜のガスパール オードトワレ」を自社ECサイトで発売した。価格は¥18,700で初回限定につき特別装丁+ブックレットが付く。

「夜のガスパール」が3曲構成なのにちなみ、第1曲「オンディーヌ」、第2曲「絞首台」、第3曲「スカルボ」それぞれをオードトワレで表現。水の精が男を誘惑するストーリーの「オンディーヌ」は、トップをウォーターアコード、ミドルをスズラン、ラストをバイオレットと官能的。吊られた男と鐘の音が交錯するスタティックな「絞首台」は、トップをレザー、ミドルをエレミ、ラストをシダーとグロテスクで重厚な香りに。真夜中に暴れ狂う小⻤を描いた「スカルボ」は、トップをクローバー、ミドルをネロリ、ラストをオークモスとスパイシーな香りで表現した。楽譜をイメージしたクラシカルなケースは、内装をウレタン敷きにすることでピアノの鍵盤をイメージした。

香りの監修を手掛けたのは、淡路島在住のアーティスト・和泉侃(いずみ・かん)。“感覚の蘇生”をコンセプトに自身のブランドの他、ホテルやショップの空間における香りのディレクションなどを手掛ける。2017年から拠点を淡路島に移し、2020年にラボラトリー「IZUMI KAN/胚」をオープンした。

付属するブックレットは「夜のガスパール」をより深く楽しむためのコンテンツで構成されている。楽曲の元となったアロイジウス・ベルトランの同名の詩についてのコラムの他に、フランスのピアニスト、アレクアサンドル・タローにラヴェルについてのインタビューを敢行。ピアニスト森下唯によるラヴェルとアルカンの考察や音楽家・文筆家の菊地成孔によるラヴェルと香りを巡るエッセイなども収録している。

また、写真家の野村佐紀子による第3曲「スカルボ」の香りをイメージして撮り下ろした写真をオフィシャルインスタグラムで公開している。この、写真家とのヴィジュアルプロジェクトは、以降も継続する予定だ。

モーリス・ラヴェルは1875年フランス・バスク地方に生まれる。フランス近代音楽を代表する作曲家で精緻な書法から“スイスの時計職人”と形容される。オーケストレーションの名手で管弦楽の魔術師とも呼ばれ、代表作には「ボレロ」「ダフニスとクロエ」「ラ・ヴァルス」「水の戯れ」「亡き王女のためのパヴァーヌ」などがある。「夜のガスパール」は ラヴェルが1908年作曲した、フランスの象徴派詩人アロイジウス・ベルトランの同名の詩から3篇を選び、幻想の世界を音化したピアノ曲。3曲目の「スカルボ」は当時最難曲と目されていたバラキレフの「イスラメイ」より難度の高い曲を目指して作られた意欲作。

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TOKION EDITORIAL TEAM

2020年7月東京都生まれ。“日本のカッティングエッジなカルチャーを世界へ発信する”をテーマに音楽やアート、写真、ファッション、ビューティ、フードなどあらゆるジャンルのカルチャーに加え、社会性を持ったスタンスで読者とのコミュニケーションを拡張する。そして、デジタルメディア「TOKION」、雑誌、E-STOREで、カルチャーの中心地である東京から世界へ向けてメッセージを発信する。

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