「エルメス」はオーストリア、ウィーンを拠点に活動するアーティスト田口和奈の個展「A Quiet Sun」を銀座エルメスで開催する。会期は6月17日~9月30日を予定している。「A Quiet Sun」は同展のために制作した作品と、田口が収集するファウンドフォトを用いて編成される。作品はギャラリーの自然光を生かし、空間を整えながらレイヤーを与えていくような、大胆かつ繊細に展示される。田口が写真制作における問題意識をあらゆる角度から解釈する試みでもある。

田口は、多重的な構造を持つモノクロームの作品を通じて、時間や空間の存在を見出そうとする制作を続けてきた。例えば、自ら制作した絵画や彫刻を多重露光で撮影し、プリントした印画紙の上に油彩のドローイングを描き、再び撮影をするといった重層的な工程を経ることで、写真でありながら、長い時間をかけて作られた絵画のようなイメージを見出す。






2.《Exercise in shape》の習作(2022)
3.《エウリュディケーの眼#5》(2019)、ゼラチン・シルバー・プリント、14.7×10.5cm
4.《エウリュディケーの眼 #39》(2021)、ゼラチン・シルバー・プリント、14.7×10.5cm
5.《11の並行宇宙》(2019)、ゼラチン・シルバー・プリント、サイズ可変
6.展覧会「Why do birds suddenly appear?」展示風景(2020)、Galerie Martin Janda、Photography Kunst Dokumentation.com
田口は1979年生まれで、2013年からオーストリア、ウィーンを拠点に制作を続ける。東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業後、同大学院美術研究科博士号取得。近年の主な個展に、「Due」(ERMES ERMES、ローマ、2021年)、「エウリュディケーの眼」(void+、東京、2019年)、「wienfluss」(カスヤの森現代美術館、神奈川、2017年)があり、主なグループ展に「TOPコレクション 光のメディア」(東京都写真美術館、東京、2022年)、「The Terrorizers」(ERMES ERMES、ローマ、2021年)、「Why do birds suddenly appear?」(Galerie Martin Janda、ウィーン、2020年)、「The Unremarkableness of Disobedient Desire」(Lucie Drdova Gallery、プラハ、2020年)、「Autumn Sale of Dreams and Love(Haus der Matsubaraとの2人展)」(Significant Other、ウィーン、2019年)がある。2010年に五島記念文化賞美術新人賞受賞した。
■「A Quiet Sun」
会期:2022年6月17日~9月30日 ※予定
会場:銀座メゾンエルメス フォーラム
住所:東京都中央区銀座5-4-1 8、9階
時間:11:00~19:00(最終入場18:30)
休日:7月14日、8月17日 ※エルメス銀座店の営業に準じる
入場料:無料