FOOD Archives - TOKION https://tokion.jp/category/genre/food/ Fri, 15 Dec 2023 05:52:49 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.3.2 https://image.tokion.jp/wp-content/uploads/2020/06/cropped-logo-square-nb-32x32.png FOOD Archives - TOKION https://tokion.jp/category/genre/food/ 32 32 知られざる韓国の食文化とソロ活の流儀 https://tokion.jp/2023/12/18/uncovering-food-culture-in-south-korea-solo-dining-and-the-art-of-living/ Mon, 18 Dec 2023 06:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=219465 在韓30年超の韓国ジャーナリスト伊東順子が語る、日韓食文化の類似と相違点。そして韓国におけるソロ活と旅、移動する生き方を探る。

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伊東順子

伊東順子
編集者、翻訳者。愛知県生まれ。1990年に訪韓し、翻訳・編集プロダクションを運営する。2017年に「韓国を語らい・味わい・楽しむ雑誌『中くらいの友だち——韓くに手帖』」(皓星社)を創刊。著書に『韓国 現地からの報告』(ちくま新書)、『韓国カルチャー』『続・韓国カルチャー』(集英社新書)、訳書にイ・ヘミ著『搾取都市、ソウル』(筑摩書房)などがある。また、解説を担当した書籍にチョ・ナムジュ『82年生まれ、キム・ジヨン』(筑摩書房、斎藤真理子訳)がある。

韓国のドラマや映画では食事のシーンも多く、ついつい食欲が刺激されることも少なくない。名作に登場した食事を再現するレシピは「韓国ドラマ 食事」と検索すれば大量に見つけられ、書籍も多く刊行されている。なぜ、韓国ドラマや映画には食事のシーンが多く登場するのだろうか?

伊東順子による『続・韓国カルチャー 描かれた「歴史」と社会の変化(以下、続・韓国カルチャー)』(集英社新書)にその答えの一端がある。同書は韓国のエンターテインメントを通じて社会変化を考察する中で、人気作品に登場する食事が意味する背景を詳細に記している。韓国をテーマにした著作を多数持ち、長年にわたり日本に韓国文化を伝えてきた伊東に韓国の食文化と歴史を通じて、近年増えている1人旅や食事、さらに海外で生きるコリアン・ディアスポラの思想までを語ってもらった。

「おいしい」を巡る、食べ方と生き方

--韓国の映像作品を見ていると食事をするシーンが多く、嬉しい時も、悲しい時も「まずはご飯から」という印象がありますが、日常のどんなシチュエーションでも食べることが重要視されているのでしょうか?

伊東順子(以下、伊東):韓国人にとって、空腹はものすごく不幸な状態であり、またそれほど食べることが重要だと考えられています。例えば、仕事の席でも常套句として「食事をしましたか?」と聞く習慣があります。もちろん挨拶ですが、食べていない場合、どんなに忙しくても食事に誘われます。その背景には、1960年の朝鮮戦争の影響から、韓国は世界の最貧国の1つであり、経済状態は北朝鮮よりも悪かったといわれていたことも理由の1つです。

--韓国料理といえば、ナムルやたくさんの小皿料理を皆で一緒に食べる様子が浮かびます。一方で、日本では1人で食事をすることは「ソロ活」と呼ばれて注目されています。韓国では1人で食事をすることに先入観はありますか?

伊東:韓国では2000~2010年にかけて、日本のドラマ「孤独のグルメ」と「深夜食堂」が大ヒットしてから、1人で食事をすることも増えてきています。1人で気ままに食事をして、旅を楽しみたいという理由で日本に行く人も多いようですし、韓国の食事の仕方も変化していると思います。まだ、年功序列の傾向が高いため、大勢での食事は若い韓国人にとって気を使うことでしょうし、割り勘の習慣がないので、常に年長者が支払うという煩わしさもある。だからこそ、たまには1人でゆっくり食事をしたいと感じるのでしょう。

かつては中華料理店が気軽に1人で食事ができる場所

--日本では昔から定食屋など、1人で食事を済ませやすい飲食店が多くあります。韓国ではどうでしょうか?

伊東:過去には中華料理店が1人でも入りやすい場所でした。昔の韓国は外国人が少なかったため、身近な外国料理といえば華僑経営の“町中華”くらいしかありませんでした。ある意味で「治外法権状態」というか、「韓国文化圏外」だったため、1人で食事をしていても後ろめたさが全くありませんでした。

それとともに中華料理は「ハレの日のごちそう」的な意味合いもありました。中高年は幼い頃に誕生日等に炸醤麺を食べた思い出がある人が多いですね。他の国と同じく、韓国でも家族の食事は母親が作ることが多かったですが、中華料理は母親が作れないスペシャルな料理でした。今では世界中の料理が食べられるので、これといった一品はないと思います。小さな子どもにはピザとかチキン等が人気ですが。昔と今では、韓国人にとって外食のイメージに違いがありますね。

--日本料理店はあったのでしょうか?

伊東:1963年から1979年の朴正煕元大統領が日本料理好きだったこともあり、昔から日本料理店はたくさんありました。朴元大統領は、日本から寿司を空輸していたという噂があったほど、日本食好きだったと言われています。でも、日本料理店は接待料理として知られていたため、気軽に誰もが行ける店ではありませんでした。そういった状況で、中華料理店ではうどん、オムライスといった「洋食(庶民的な日本食)」も食べられました。それから1990年代には焼き鳥や炉端焼きなどがブームになりました。

おいしいだけではない、土地や風土に根差した食文化

--著書には、韓国人の料理にまつわる思想や思い出が綴られているものも少なくありません。『続・韓国カルチャー』で、韓国映画『リトル・フォレスト 春夏秋冬』について言及されている項では、日本の「すいとん」にあたる「スジェビ」について「韓国の人はスジェビが大好きで、真冬の寒い日もそうだが、季節に関係なく、雨が降るとスジェビを食べるという人も多い」と書かれています。ご自身にとって思い入れのある韓国料理を1つ挙げるとしたらなんでしょうか?

伊東:冷麺ですね。韓国には冷麺にこだわる人がとても多いのです。そもそも韓国の冷麺店は解放後に北朝鮮出身者が始めたものです。今もソウルで老舗といわれる冷麺店の多くは、北朝鮮出身の創業者によるものです。韓国人の友人の中には、幼少期の思い出として父親に連れられて行って食べた平壌冷麺の話をしてくれる人がいます。北朝鮮出身者以外の人達にも冷麺はこだわりの一品です。東京の人にとってのそば屋のようなイメージでしょうか。

--韓国料理はヘルシーなイメージがあるように感じます。どのような思想があるのでしょうか?

伊東:韓国人は基本的に健康志向で「土地のものをその土地に合った方法で食べる」という身土不二の考え方を持っています。元々日本にもある考え方ですが、ビーガンやプラントベース等とは異なる食の考え方です。中国人も同じですが、「医食同源」の思想から食べ物は体に良くなければいけないと同時に、自国の伝統食が最も自分達に適していると考えた結果でしょう。

--韓国料理といえばニンニクのイメージがありますが、何か特別な意味があるのでしょうか?

伊東:高麗時代に編まれた『三国遺事』に収録されている建国神話「檀君(タングン)神話」には、ニンニクとヨモギを食べて熊が人間に生れ変わった話があります。人間になった熊が、天帝の息子と通じて建国の祖を生み、国が誕生したと言われているように、韓国ではニンニクとヨモギは大切な食べ物です。韓国人はニンニク以外にヨモギもよく食べますし、韓方として伝統的な健康や美容のために取り入れられています。逆に唐辛子が普及したのは18世紀以降といわれています。

--というと、元々韓国料理は辛くなかったということでしょうか?

伊東:李朝時代(1392〜1876年)のキムチは辛くありませんでした。今も伝統的な宮廷料理のコースでは唐辛子はほとんど使われていません。元々ニンニクを食べる文化があったところに唐辛子が入ってきて、その相性がとても良かったことから徐々に韓国料理が辛くなっていきました。今のような辛い料理の普及は朝鮮戦争後といわれています。特に最近は韓国の食の専門家が韓国料理の辛さを行き過ぎだと警告するほどで、私が初来韓した30年前に比べても、年々辛くなっていくように感じます。

韓国の力は海外に出て活躍する移民達との共創

--韓国を訪問した外国人観光客のトップは、日本からの観光客。一方で、日本を訪問した外国人観光客のトップは韓国からの観光客です。日本人の韓国での観光目的としてグルメは欠かせません。韓国人の日本への旅の目的はどのようなものなのでしょうか?

伊東:日本人の韓国旅行では、韓国料理や俳優、アーティスト等、目的がある場合が多いですが、韓国人は目的を持たずに日本旅行に行く人が多く、全都道府県を制覇するなど、リピーターもとても多い。佐賀を何度も訪れている韓国人の友人がいて、その理由を聞いたら佐賀空港だと言われました。佐賀空港で開設された最初の国際線が韓国らしく、開設記念キャンペーンで訪れたのが初めての日本旅行だったそうです。日本の地方空港では、最初の国際便が韓国というところがあり、最初に訪れた土地に特別な思い入れをもっている韓国人は少なくありません。先日、取材で対馬に行ったのですが、この地域には韓国からの移住者が大勢います。在住6年の60代の方に移住の経緯を聞いたら「ソウルの空気がきれいではなくなったから」と日本で暮らす理由を語ってくれました。

--韓国人は国外に親戚や友人を持つ人が多く、700万人のコリアン・ディアスポラがいると聞きます。伊東さんは、外国人移住者多い韓国で、世界を移動しながら韓国人がどのように生活してきたのか? 韓国史と世界史とが交差する、さまざまな人々の歴史を書く「移動する人びと、刻まれた記憶」の連載も開始されました。伊東さんはこれまでに韓国の政治、経済から文学、映画、ドラマをはじめ、教育現場や日韓の文化交流まで、韓国人の声を日常から聞き取って書いた多くの著作で知られています。今回、ディアスポラをテーマにした経緯を教えてください。

伊東:韓国の経済発展は世界的に注目されており、映画やドラマも世界中で注目を集めています。韓国のような同質性の高い国から、どうして世界で勝負できるトランスナショナルな文化が生まれるのか。そこにはコリアン・ディアスポラといわれる人々のバラエティに富んだ経験の蓄積があると思います。苦労や努力と成功の経験です。アメリカの原動力が入ってくる移民達の多様性とパワーによるものなら、韓国の力は海外に出て活躍する移民達とのコラボにあります。

社会には柔軟性と新陳代謝が必要だと思います。日本も入ってくる外国人の多様性から学ぶのと同時に、海外で生活する日本人の力をうまく生かせないものかと考えたりもします。

Photography Junko Ito

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「サカイ」が東京・原宿のうどん店「麺散」とコラボし香港進出 現地の商業施設でオリジナルメニューを提供 https://tokion.jp/2023/10/13/sacai-menchirashi/ Fri, 13 Oct 2023 09:30:00 +0000 https://tokion.jp/?p=212097 10月20日から28日まで期間限定で営業。Tシャツやキャップなどのオリジナルグッズも販売する。

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「サカイ(sacai)」は、東京・原宿のうどん店「麺散(めんちらし)」と協業し、期間限定店「サカイ ザ ヌードル バイ メンチラシ(sacai THE noodle by Menchirashi)」を香港で展開する。香港の商業施設「ランドマーク(Landmark)」内にあるレストランスペース「ベースホール 02(Basehall 02)」で、10月20日から28日まで営業する。

同企画は「サカイ」ファンが多い香港をターゲットにしている。ブランド独自の“食”のキュレーションを通して、ブランドに関する新たな視点を提供する狙いを込めた。NIGO®監修のカレーショップ「カリーアップ(CURRY UP®)」や、ミシュラン1つ星を獲得した香港のモダン和食居酒屋「ヤードバード(Yardbird)」とのコラボメニューも販売する。

アパレルを主としたコラボグッズも展開する。ラインアップは“sacai×麺散 Tシャツ”(HKD1000)や“Curry Up® ×麺散 Tシャツ”(HKD410)、“Curry Up®×麺散キャップ”(HKD410)、“Curry Up® ×麺散プレート”(HKD475)。「ランドマーク」内の「ビロウグラウンド(BELOWGROUND)」でポップアップショップで取り扱う。

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「ナナミカ」と「ザ・ノース・フェイス パープルレーベル」がスパイバーが開発した次世代素材を採用した製品を9月29日に発売 https://tokion.jp/2023/09/28/nanamica-tnfp-brewed-protein/ Thu, 28 Sep 2023 08:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=209902 “バルマカーンコート”の価格は¥198,000で、“シエラ・パーカ”は¥176,000。発売日は9月29日。

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「ナナミカ(nanamica)」と「ザ・ノース・フェイス パープルレーベル(THE NORTH FACE PURPLE LABEL)」がスパイバー社が開発した次世代の革新的なタンパク質素材である“ブリュード・プロテイン繊維”を採用した製品を9月29日に発売する。「ナナミカ」のシグネチャープロダクトである“バルマカーンコート”はゆったりとしていて、袖幅も広い一枚袖は、ジャケットの上から着用しても、本来のシルエットを保ったまま着用が可能。肩口のなめらかな曲線から描かれる、美しいAラインシルエットが特徴。日本国内のドレスコート工場で丁寧に縫製され仕立てられた一着となっている。価格は¥198,000で、ナチュラルとブラックの2色展開。

「ナナミカ」がプロデュースする「ザ・ノース・フェイス パープルレーベル」のアイコニックプロダクトの1つである“シエラパーカ”は、“ブリュード・プロテイン繊維”を使ってアップデート。価格は¥176,000で、カラーはナチュラルとブラックを展開する。

“ブリュード・プロテイン”は、“リジェネラティブ・サークル(REGENERATIVE CIRCLE)”をコンセプトに、次世代の革新的な素材として実用性として確立し、環境負荷の高い枯渇資源や動物由来の素材と置き換えることで、地球環境、社会・産業のあり方をより良い状態へと再生し、循環を可能にすることを目指し開発している。

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虎へび珈琲が伊勢丹新宿本店でポップアップ「カフェ・トラヘビ」を開催 https://tokion.jp/2023/09/01/torahebi-cafe/ Fri, 01 Sep 2023 12:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=206608 虎へび珈琲が、伊勢丹新宿本店5階でポップアップストア「カフェ・トラヘビ」を開催する。

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虎へび珈琲が、伊勢丹新宿本店5階でポップアップストア「カフェ・トラヘビ」を9月2〜5日に開催する。

虎へび珈琲は、科学者として研究・開発を行ってきた今井惇人が「コーヒー&サイエンス」をテーマに2020年に創業した珈琲豆ブランドだ。

オリジナルブレンドにこだわり、独自技法でカビ毒除去やディタンニンする製法を行っている。そのものづくりの姿勢に共感したブランドやアーティスト等と積極的にコラボレーションを行い、注目を集めている。

同ポップアップのサイングラフィックとデザインは「サスクワッチファブリックス(Sasquatchfabrix.)」「YOU ARE WELCOME」が担当し、特別仕様の限定パッケージ等も登場する。

■カフェ・トラヘビ
会期:9月2〜5日
会場:伊勢丹新宿本店5階
住所:東京都新宿区新宿3-14-1

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「エンダースキーマ」と「mitosaya」による鹿皮を蒸留したスピリッツ“DEAR DEER”が8月21日に発売 特製レザーホルダー付き https://tokion.jp/2023/08/14/mitosaya-x-hender-scheme-dear-deer/ Mon, 14 Aug 2023 06:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=203484 「エンダースキーマ」によるベジタブルタンニンレザーのボトルラベル、特製のレザーホルダーが付属し、価格は100mLが¥9,900、500mLが¥19,800。

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「エンダースキーマ(Hender Scheme)」と「mitosaya(ミトサヤ)」は、鹿皮を蒸留したスピリッツ“DEAR DEER”をリリースする。8月21日から「エンダースキーマ」直営店の「スキマ」4店舗と「mitosaya」のオンラインショップ、全5店舗で販売する。

“DEAR DEER”は、「mitosaya」と「エンダースキーマ」が試作を重ね、数年の歳月をかけて生まれた、「レザー」を蒸留した特別なスピリッツ。口に入れても無害なレザーを探したどり着いたのは、人類が初めて身につけたと言われる鹿の皮。通常のなめし工程で使うタンニンや薬剤を使わず、鹿の皮に付着した不純物を全て手作業で取り除いた生皮と、冬の山に蔓性の真っ赤な実をつける和胡椒、フウトウカズラを蒸留し、オークバレルで熟成させることでつくられた。

2021年の「mitosaya open day」で公開した試作品、さらには、2022年にリリースした鹿皮とフウトウカズラを熟成した“DAPPER PEPPER”を経て、製法や素材の改良を重ねアップデートすることで完成した“DEAR DEER”。前回の“DAPPER PEPPER”では鹿皮をライススピリッツに浸漬し熟成したのに対し、今回の“DEAR DEER”では、皮そのものを蒸留することで、より繊細に鹿皮のフレーバーを抽出。干草のような穏やかな野生味と和胡椒の爽やかな刺激による、奥行きのある味わいをお楽しみいただけます。

容量は、100mLと500mLの2サイズ展開。それぞれ、「エンダースキーマ」によるベジタブルタンニンレザーのボトルラベル、特製のレザーホルダーが付属し、価格は100mLが¥9,900、500mLが¥19,800。 

また、“DEAR DEER”のリリースを記念し、8月19、20日の2日間限定となる先行ローンチイベント「mitosaya ×Hender Scheme DEAR DEER」を東京・蔵前で開催する。ガラス張りの開放的な会場では、“DEAR DEER”をその場で味わえるほか、「mitosaya」プロデュースのケータリングフード、コースターやトレイ、ノートブックといったエンダースキーマのプロダクトを用いたコラボレーションアイテムも販売。“DEAR DEER”の購入も可能。

なお、イベントに先駆けて、「mitosaya」のオンラインショップでは、8月11日から「エンダースキーマ」によるレザーホルダー付きのテイスティンググラスを販売。価格は¥5,500。購入者は会場でグラスを受け取り、首元にグラスを下げてお酒を嗜みながら、食事や買い物を楽しめる。

■「mitosaya×Hender Scheme DEAR DEER」
会期:2023年8月19、20日
会場:隙間
住所:東京都台東区蔵前3-11-2 1F
時間:12:00~19:00
入場無料、予約不要(*レザーホルダー付きテイスティンググラスは前売り販売)
ケータリング:ジビエカレー、スナック 
提供:beet eat

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中東の定番スイーツ、クナーファ職人・山田柊によるパレスチナでのクナーファ修行紀行 -前編- https://tokion.jp/2023/07/06/shu-yamada-knafeh-training-journey-part1/ Thu, 06 Jul 2023 06:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=195771 2019年から独学で中東・アラブの定番スイーツ、クナーファの店を始めた山田柊が、今年初めて訪れた、本場パレスチナでのクナーファ修行体験。

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中東の定番スイーツ、クナーファ職人・山田柊によるパレスチナでのクナーファ修行紀行 -前編-

イスラム世界の説話集「アラビアンナイト」にも登場し、古くから中東で親しまれているスイーツのクナーファ。小麦粉と水でできたサクサクとした生地を使用し、中にチーズをたっぷり挟んで焼き上げ、上からナッツと甘いシロップをたっぷりかけるのが定番だ。甘党が多いといわれる中東で、シロップがたっぷりかかったクナーファは驚くほどの甘さが特徴でもある。

学生時代に中東の紛争や難民問題に関心を寄せ、楽しみながら携わり続ける方法を模索した結果、2019年からクナーファの調理・販売を始めた山田柊が今年の2月にパレスチナを訪れた。クナーファを独学で作り続けて4年、本場パレスチナでの修行の模様と旅の記録を綴る。前編はパレスチナの中心都市ラマッラーにある「アルウマラースイーツ」での修行初日とクナーファの製造過程を中心に紹介する。

4年越しに実現した本場パレスチナでのクナーファ修行

「残念だけど、店を開けることはできない。今日はもう終わりだ」

11時の開店に合わせて早朝から作っていた、たくさんのアラブスイーツを背に、パレスチナの菓子職人サラーフ(Salah)は僕にそう言った。

僕は日本でクナーファというスイーツを作っているのだが、今年の2月に1カ月ほど、クナーファの本場であるパレスチナに滞在しクナーファ修行をしていた。パレスチナは、異なるルーツを持つ人々による根深い対立を抱えた地域でありながら、紀元前から絶えず営まれてきた生活の歴史があり、洗練された文化と寛大な包容力を持つ魅力的な土地でもある。中でもスイーツの文化はとても盛んで、街を歩けば日本でいうドラッグストアくらいの頻度でお菓子屋さんを見かけるし、菓子職人はパレスチナ人の憧れの職業で、給料も平均の2倍ほどらしい。

紛争問題解決への貢献を目指していながら、気付けばアラブのスイーツ文化に魅了され没頭していった僕は、パレスチナのクナーファを独学で作り続けること4年、ついに本場で修行するために憧れのパレスチナへ飛び立った。

パレスチナに到着して最初に向かったクナーファ屋さんは、パレスチナの中心的な都市ラマッラーにある「アルウマラースイーツ(AL OMARA SWEETS)」というお店だった。「アルウマラースイーツ」は、車がギリギリすれ違えるくらいの道路とパレスチナにしてはかなりしっかりした歩道から構成される、小さい通り沿いのさまざまなお店がびっしりと立ち並ぶ中にある。長い歴史を持つこのお店は、賑やかな通りにありながらもその喧騒を感じさせない落ち着いた佇まいであった。それだけでなく、パレスチナ到着早々にここで食べたクナーファはピスタチオすらまぶさないシンプルなタイプで、次の日の予定も決まっていない僕にとってはより一層落ち着く味がした。 歴史のある店らしく、賑やかな通りにありながらもその喧噪を感じさせない落ち着いた佇まいであったし、パレスチナ到着早々にここで食べたクナーファはピスタチオすらまぶさないシンプルなタイプで、次の日の予定も決まっていない僕にとってはより一層落ち着く味がした。

「アルウマラースイーツ」でクナーファを食べ終えてから、今回のクナーファ修行を完全なる好意で全面的にサポートしてくれたパレスチナ出身の大恩人、アミン(Amin)(なんと、日本で僕のお店に来てくれたお客さんが事前に紹介してくれていた)と落ち合い、彼を通じてひとまず無事に「アルウマラースイーツ」で翌日から修行させてもらえることとなった。実をいうと、アミンを紹介してもらうまではパレスチナのクナーファ屋さんに対して1件もアポイントメントを取れておらず、こうなればぶっつけ本番でクナーファ屋に突撃していくしかないと考えていたし、その結果として最悪1件も見学や修行に入らせてもらえないという事態も覚悟していた。それだけに、言葉も通じない見ず知らずの外国人を受け入れてくれる、パレスチナ人のホスピタリティは本当にありがたかったし、ここまでしてくれた以上、できる限り誠実にクナーファを作っていかなければいけないなという気持ちになった。(そういうことを彼等に伝えると、「見返りを求めて親切にした訳じゃないよ」と笑って返されるのはお決まりであるが)。

聖地パレスチナで見た、念願のクナーファの製造過程

翌日の朝9時、どきどきしながらお店に着くと、さっそく店の地下にある工房に案内された。工房はまるで洞窟の中に作られた秘密基地の様で、長年使い込まれた空間にしかない美しさがあった。

工房に降りていくと、サラーフ(Salah)とナーダル(Nadir)という2人のベテラン菓子職人が、「ギー(ghee)」という精製された油を、一斗缶ごとガスコンロで熱して溶かしている最中だった。僕はその豪快さに圧倒されながらも、フレーズだけ覚えたアラビア語で2人に挨拶をし、修行を受ける旨を伝えた。修行とはいっても、アラビア語の出来ない僕は細かい指示を受けられる訳ではないため、最初の方は2人にくっついて作業を見学し、気になることがあればどうにかこうにか質問をして答えてもらうという流れになった。先ほどのギーの成分について聞いたり、クナーファとはまた別のアラブスイーツに用いられるミルククリームの製造を見せてもらったりした後で、ついに僕はその聖地であるパレスチナで、念願のクナーファの製造過程を目の当たりにすることができた。

クナーファ担当のナーダルはまず、先ほど溶かしたgheeを両手いっぱいほどのサイズの長方形の焼き型に塗り、「アジーネ(eajine)」と呼ばれる小麦粉からできた黄色い粉末状の生地をふるいにかけながらギーを塗った部分の上にこんもりと盛る。さらにそのこんもりと盛られたアジーネを慣れた手つきで平らにならし、その上から「ジュブネ(Jubna)」と呼ばれるチーズを満遍なく敷き詰めた後で、弱火にかける。10分ほど経ったら、焼き型の上に同じようなサイズの型で蓋をして、ぐわっと一気にひっくり返す。最後に、ひっくり返されて露わになったきつね色の面にシロップをたっぷりとかけて完成である。出来上がったクナーファは真っ先に店頭に運ばれ、ガスの火口の上に水の層が配置された専用の機械の上に置かれて(ほどよい温度で保温しておくため)お客さんを待つ。

その後、うずうずしている僕の様子を見かねてか、サラーフが「フィンガーミルク」と呼ばれるスイーツの製造を僕にも手伝わせてくれたり、この道30年以上にもなるサラーフが以前は違う土地の立派なホテルで働いていたことなどを話してくれたりした。その日のスイーツの製造をあらかた終え、工房で作られた美味しそうなスイーツを地上の店頭へと運ぶ作業に移った。

イスラエル軍の襲撃に対するストライキでクナーファを売ることができない現状

しかし、何やら地上の方が騒がしい。階段を上がって店舗部分へと戻ると、店のウインドウから見える通りの空気がいつもと違い、物々しい雰囲気だった。しばらくすると、それまで開いていた「アルウマラースイーツ」のシャッターが、お店の人の手によって下げられた。いまいち状況のつかめていない僕は何が起こっているのかをサラーフに尋ねると、「残念だけど、店を開けることはできない。今日はもう終わりだ」と呆れた表情で答えてくれた。どうやら、パレスチナ北部のジェニンという地域で今朝行われたイスラエル軍による襲撃に対するストライキが、ラマッラーの街全体で行われているようだった。街のほとんどのお店がシャッターを下げて休業することで、抗議の意を示しているのである。呆れた表情をしていたサラーフを見ても、せっかく作ったスイーツを今日売ることができないこの状況を彼等が喜んでいないのは明らかだった。ただそれでも、同胞の犠牲をもたらした襲撃に対してはっきりと自分達の意思を示すためには、こうするしか手段が無いのだろう。閉められたシャッターの内側で、食べられることのないスイーツ達がおいしそうに並んでいた。

また、次の営業日に来る約束をして、仕方なく「アルウマラースイーツ」を去った僕は、ストライキによるシャッター街をしばらくふらついた後で、運よく開いていた、というより途方に暮れていた私を見て無理やり入れてもらったカフェの中から、街の真ん中で行われていたデモの様子を見ていた。デモはこちらの大学生を中心に行われているようで、途中、僕のいたカフェにもデモに参加しないかと誘ってくる使者がやってきたりもした。

聖地パレスチナでクナーファの製造過程を見るという4年越しの宿願が叶ったことによる大きな喜びと、作ったクナーファを売ることができない事態が存在するこの現状に対しての驚きが混じり何とも言えない気持ちを募らせた僕は、デモの喧噪と隣り合わせのカフェの席でひたすらInstagramに修行の写真をあげることでどうにかその気持ちを発散していた。

Photography Shu Yamada
Editorial Assistant Emiri Komiya

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新感覚の立飲み屋「Sound Stand ストップザシーズンインザサン」がオープン 居酒屋以上クラブ未満がコンセプト https://tokion.jp/2023/06/29/sound-stand-nodestination/ Thu, 29 Jun 2023 12:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=195312 原宿を拠点とする「terminal inc」と「TRICLE.LLC」がタッグを組んだNODESTINATIONが、立飲み屋「Sound Stand ストップザシーズンインザサン」をオープン。

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原宿を拠点とするデザイン、エディット集団の「terminal inc」と「TRICLE.LLC」がタッグを組んだNODESTINATIONが、立飲み屋「Sound Stand ストップザシーズンインザサン」をオープンする。

同店のコンセプトは「More than “Izakaya” Less than “Night club”」で、クラブのフロアを思わせる立飲みゾーンとラウンジルームを完備。気軽に飲みながら音楽をゆったりと楽しめる空間に仕上がっている。

1990年代のマイアミを彷彿とさせる店内は、建築家の二ツ木玄と横山智香が設計を手掛けた。カウンターの上に設置されたスピーカーとヤシの木のグリーンを感じさせるビリジアンカラーのカウンターが特徴だ。音楽のテーマは“SEXY&URBAN”で、日替わりにさまざまなDJがテーマに沿って楽曲のセレクトを行う。

フードやドリンクは、DESIGN-LINKS(D-Links)が監修し、さまざまなジャンルのカルチャーをベースに、サワーやナチュラルワイン、クラフトビール等をラインアップする。フードも看板メニューのタコスをはじめ30種類以上のメニューが楽しめる。都内を中心に全国で

同店のオープンに合わせてアパレルやグッズの販売も予定している。

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ワイン生産者の想いを届けるために ワインショップ&バー「lulu」の江本真亜耶が考える“理想の場所” https://tokion.jp/2023/06/13/interview-lulu-maaaya-emoto/ Tue, 13 Jun 2023 06:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=189767 2023年1月、学芸大学にオープンしたナチュラルワインのショップ&バー「lulu」。オーナーの江本真亜耶に、開店秘話、ワインの魅力とナチュラルワインムーブメントの現在地を尋ねた。

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江本真亜耶

江本真亜耶
1990年生まれ。ワインの酒屋やインポーターの仕事を経て2023年1月にワインショップ「lulu」を開業。

ここ数年、日本ではナチュラルワインがムーブメントである。気軽に飲めるお店が都内にも地方にも増えてきている。東京・学芸大学駅から徒歩5分の場所に今年1月にオープンした「lulu(ルル)」もそのうちの1つだ。異国を思わせるような大きなガラス張りの扉とシックで趣のある店内。奥には600本以上のナチュラルワインが常備してあり、ボトルで購入することも、カウンターでグラス1杯から飲むこともできる。

カウンターに立っているのは、オーナーの江本真亜耶。大学卒業後、ワイン商社や酒屋の卸の営業、ワインのインポーターなどを経て、念願のワインショップ「lulu」を始めた。オープンから間も無く、毎日賑わいを見せている。置いているワインの質の良さに加えて、1人1人に合ったワインを丁寧に説明し提供する江本の人柄、そしてワインへのたぎる想いがお客さんを増やしている。

そんな彼女に、ワインにこだわり続ける理由やその中でもナチュラルワインに惹かれる根拠、そして初めてのお店づくりについて聞いた。

原動力は生産者さんのワイン作りに対する熱量

——江本さんは大学卒業後から現在に至るまで約10年間、そのほとんどがワインに関わるお仕事をされていますが、他のお酒ではなくワインにこだわり続ける理由とはなんでしょうか。

江本真亜耶(以下、江本):ワインにこだわり続ける理由はワインが好きでワインを取り囲む環境が好きだからですかね。ほかのお酒ももちろん好きです。でも食事と一緒に楽しむお酒で1番感動があるのがワインだなと個人的には思っています。ワインの業界に入ったきっかけは軽い気持ちでしたが、この業界でずっと仕事を続けたいと思ったのは生産者と直接出会ったりワイナリーで働いたりしてからです。本気で良いものを作ろうと努力している人達を見て、話を聞いて、こんな生産者達のワインを広げていくお手伝いをしたいな……と強く思ったことを覚えています。

——そういった想いもあって、作る人と飲む人を繋ぐ場所として、お店(「lulu」)を作ろうと思ったのですか?

江本:そうですね。酒屋やインポーターで働いている時からワインを飲む人に、生産者の想いを伝えたくて、情報をメールマガジンなどで発信していました。ですが、その発信方法に限界を感じて、より直接的に、多くの方に伝えられる場所が欲しいなと考えるようになって。

20代の頃オーストラリアに1年住んでいたのですが、週末に酒屋でワインをいろいろと飲ませてもらい、どんなワインなのか、話を聞きながら選んで買って帰ることが特に好きでした。今では日本でも角打ちというスタイルは珍しくないですが、そうした気軽にワインを飲める場所をもっと増やしたいと思ったのが、お店を始める大きなきっかけでした。

——作り手のどんな想いが江本さんを動かしているのでしょうか。

江本:ワイン作りに対しての熱ですね。実際にワイナリーへ行って話を聞くと、皆さん農家であり、職人なんですよ。いかに自然と共存して良いものをつくり上げていくか、そういうところから考えている人ばかりでした。ワイン作りだけではない、もっと大きな枠で自分の仕事を捉えていて、本気で向き合っている。そんな姿を見ると、どうしても好きになってしまいますよね。そうすると伝えたいことも増えて、ワインを説明する時にも自然と熱がこもって、たくさん話してしまいます。ワインそのものも、もちろん好きですが、「生産者さんを応援したい」「伝えたい」という気持ちがモチベーションになっています。

——今まで出会った生産者さんで忘れられない人はいますか?

江本:忘れられない生産者はたくさんいますが、ナチュラルワインを飲み始めた時にとても驚いた生産者がいます。セバスチャン・リフォーさんです。ワインは自分なりにかなり勉強したつもりで、この地方のこの葡萄(ぶどう)はこんな味わいだ、という認識を持っていたんですが、リフォーさんのワインは全然違ったんです。

——どのように違ったんですか?

江本:私の知っていたロワール・サンセールで作られるワインのイメージは、ハーブっぽくて、シュッとしていて、非常に爽やかなイメージなんです。でも彼のワインは、完全に葡萄が熟してから、さらに貴腐菌(きふきん)がついてから収穫します。貴腐菌がつくと糖度が上がるので甘やかしくボリュームのあるワインができます。これを飲んだ時に、とてもおいしいと思って。自分の想像の枠外の味わいで、すごい!と驚いて、感動したのを覚えています。ワインってもっと自由でいいんだ、となんだか嬉しくなりました。

きちんと情報発信していくことでナチュラルワインのムーブメントはより良くなる

——「lulu」で取り扱いのあるワインは基本的にナチュラルワインですが、そのこだわりは?

江本:クラシックも好きで、ナチュラルだから好きという考えは持っていません。ナチュラルに至るのは結果論で、こんな思考でこんなワインをつくっている人が好き、こんな味わいが好き、という。現状セラーが小さいので厳選しなければならず、主観たっぷりのラインアップになってます(笑)。

——お店では何本くらいワインを取り扱っていますか?

江本:600本ほどお店には常置してます。あと、この場所以外にも倉庫を借りていて、そちらにも置いています。倉庫のほうのワインはもう少し寝かせておいて最適な時期が来たら(お店に)出したいワイン達です。

——最近は日本でもナチュラルワインがムーブメントになっていますが、江本さんはどのように見ていますか?

江本:人気が出てワインを飲む人口が増えることはいいことだと思います。飲まないとその良さに気がついてもらえませんので。そうした導入としてはいいのですが「ナチュラルワインだから」という理由で飲む人が多いのは懸念点ですね。なので、私達のような立場の人が、もう一歩踏み込んだ情報を伝えて、ちゃんと理解をした上で飲んでもらえたらより嬉しいです。ワインを好きな理由がより細分化されるようになったらもっと面白いのになと思いますね。

——「lulu」を訪れるお客さんは、やはりワイン好きの方が多いですか?

江本:半々くらいですかね。ワイン好きの方はもちろんですが、ワインはあまり知らないけど体験したいという方もいらっしゃいます。そういう方が1杯飲んでおいしかったからとボトルを買って帰ったりしてくれると嬉しいですね。

うちにはメニューがなくて、お客さまに好みや今の気分を聞いて数本説明をして、選んでもらうというスタイルなんですが、ラベルのデザインで選ぶ人もいれば、「ハチミツのような甘味という言葉に惹かれてこれにします」という人も。

——ワイン初心者でも気軽に来て楽しめそうですね。

江本:大丈夫ですよ。初心者の方にも気軽に来て、ワインのことを知ってほしいと思っています。「lulu」は年齢層も幅広くて、20代前半の若い子も来ますが、70代の常連さんもいらっしゃいます。男女比は半々くらいですね。

——お店の内装は長田篤さんが手掛けられています。お洒落な中に、異国の雰囲気を感じます。長田さんに依頼したのはどういった経緯だったのでしょうか。

江本:長田さんに依頼したのは、彼が手掛ける店舗が好きだったからです。お店をやる時に内装を頼むなら長田さんだと決めていました。相談したら快諾してくれて、嬉しかったですね。

——内装のイメージは決まっていましたか?

江本:なんとなくはありました。どうせやるなら自分の好きな空間で、かつ今までないようなものにしたくて。私の中では、ワインといえば、ヨーロッパのイメージなので、その雰囲気は取り入れたくて、イメージを固めるために、昨年の7月から1ヵ月半ヨーロッパを周りました。生産者さんに会いつつ、合間でワインショップやレストラン、ワインバーを巡って素材や雰囲気を固めていきました。その中でとても好きな雰囲気のレストランがあって。長田さんにすぐ写真を送って、「こんな感じにしたい!」と伝えました。

——そのレストランの雰囲気が、「lulu」に繋がっているんですね。

江本:そうです。日本にもこんな雰囲気のお店があったらいいなと思ったんです。カウンターの縁に銅を使っていて、それは真似させてもらいました。人が触れて味が出てくるのもいいなと思って。それに木や土、石など、ワインの環境をなるべくお店に投影していて、ワインがおいしく飲める環境を心掛けました。これからの時期は、扉の引き戸を全部開いて、ベンチを置いて外でも飲めるようにしようと思っています。私が昼間に陽を浴びながらワインを飲むのが好きなので、皆さんにも楽しんでほしくて。

——最後にこれからお店をどんなふうにしていきたいですか?

江本:お客さんの層が幅広いのは嬉しいので、その感じは保っていけたらなと思っています。生産者さんを呼ぶイベントもやりたいですね。以前、一度開催したのですが、生産者さんの話を聞いて飲むワインは格別なので、もっと多くのお客さんにそれを体験してほしいなと思います。インポーターさんを呼んだ試飲会などもやりたいですし、もっともっとワインを身近に感じていただける場所にしたいと思っています。そういうことをどんどんやって、人を繋ぐ場所にしていきたいですね。

■「lulu」
営業時間:15:00〜22:00
住所:東京都目黒区鷹番3-18-3 ヒルズK102
休日:日、月
Instagram:@wineshop_lulu

Photography Masashi Ura

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20種類以上の食物アレルギーと向き合って10年 黒田エイミが語る苦悩とセルフケア https://tokion.jp/2023/05/04/eimikuroda-interview/ Thu, 04 May 2023 06:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=182937 20種類のフードアレルギーを抱える彼女に、日常生活で気をつけていることや前向きに過ごす秘訣等を聞いた。

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黒田エイミ

モデルとして雜誌や広告で活躍するかたわら、私生活では妻であり、一児の母でもある黒田エイミ。生き生きとした美しさを持つ彼女だが、20代前半の時に突然重い遅延型フードアレルギーを発症したことがきっかけで、ライフスタイルを根本から見直したという。反応する食品をとると肌荒れや倦怠感、頭痛等、さまざまな不調に見舞われ、発症してから10年経った現在は20種類以上のフードアレルギーを抱えている。

食事制限を余儀なくされた黒田だが、自身のYouTube「EIMI CHANNEL」やInstagramではアレルギーとの上手な向き合い方を発信し、彼女のポジティブな姿勢に背中を押されるファンも多い。真剣にアレルギーと向き合う彼女に、日々の苦労からセルフケアまでを語ってもらった。

――フードアレルギーがあることに気づいたきっかけは?

黒田エイミ(以下、黒田):20代前半まではジャンクフードを食べたり、不規則な生活を送ったりしていましたが、健康面では特に問題ありませんでした。でも24歳ぐらいから突然ニキビのような湿疹が顔や首にでき始めてしまったんです。当時は「ニキビかな?」と思ったぐらいで、ニキビの薬やビタミン剤を飲んだり、当時流行っていたファスティングをしたりしましたが一向に治らなくて。その時通っていた松倉クリニックの松倉先生に相談してみたら、遅延型アレルギーの検査を勧めてもらいました。今よりも受診料は高く、検査結果が出るのも約3ヵ月かかるんですが、遅延型アレルギーについては何も知らなかったので、まずは試しに受けてみることに。検査結果の数値からは乳製品に対してアレルギーを持っていることが判明し、その後は卵と小麦も受け付けられなくなりました。それから原因となる食べ物を控えたら、今まで悩んでいた肌荒れや、顔や手の腫れが落ち着いたんです。

――アレルギー反応があった食べ物は何種類ありましたか?

黒田:検査した当時は3種類ぐらい。アレルギー反応が下がればまた食べられるようになるので、1年に1回(もしくは2年に1回)は検査を受けていましたが、今では20種類以上に増えてしまいました。原因は腸の粘膜が傷つき、有害物質が血液中に漏れ出ることでアレルギー反応を引き起こす、リーキーガット症候群(腸漏れ)。腸の不調によってトラブルを招くことが分かったので、食習慣を改善することにしました。

――20 種類以上もアレルギーがあることを知り、その現実を受け入れるのに最初は不安だったのではないでしょうか?

黒田:とにかく前に進むしか方法がなかったので、食生活を見直しながら抜け道を探していきました。私の場合は醸造用イーストや乳糖が含まれている調味料も使えないので、スーパー等で買う時は原材料やアレルギー表示の有無を細かく見るようにしています。時にはおいしいものを食べたいという諦められない気持ちがあって、大好物のピザやチーズ等にトライしたこともありましたが、やっぱり症状が出てしまって…はじめはストレスなことばかりでした。でも、もともと料理をするのが好きだったので、まずは素材を見直しながら作ることに挑戦。今では自分でチーズやパンを作ったり、代替できる調味料を探したり、新しいことにチャレンジするのが楽しいんです。

――YouTube「EIMI CHANNEL」ではアレルギーに配慮したレシピも紹介しています。メニューは自身で考案しましたか?

黒田:一般的なレシピを見て、自己流にアレンジしています。例えばクッキー。小麦粉が使えないので生地にはオートミールを使ってみたり、サクッとした食感を出すためにくず粉を入れてみたり。摂取頻度が高いものからアレルギー症状が出るので、よく食べるものは1、2日必ず空けて、偏らないようにメニューは毎日変えています。

健康維持は「知識」と「準備」が鍵

――アレルギーと向き合うために心掛けていることは?

黒田:とにかくストレスを溜めないこと。自分なりにおいしいものを食べて、よく運動して、よく寝て、あまり無理をしないというシンプルなことを常に心掛けています。私の場合はこれらの一つでも欠けてしまうと心身ともにボロボロになってしまうので、きちんと両方のバランスを保つようにしていますね。あとは知識を持って、準備をしっかりしておくことも大切。知識があれば対策を考えたり、選択できたり、間違えて食べてしまったりすることもないですから。準備においては、朝ごはんの作り置きや冷蔵庫に何かしら用意しておくと、急な外出がある場合はお弁当が作れるから安心です。

――客観的に物事を見ている印象がありますが、アレルギーで苦労した経験があるからでしょうか?

黒田:夫の影響が大きいですね。もともと感受性が強いタイプで、いろんなことに対して一喜一憂してしまうんです。そんな私の性格を知る、当時まだ友人関係だった夫から「物事をパーソナルに捉えないこと。自分事のように受け止めてしまうのは自意識過剰になっているのが原因なんじゃないかな」とアドバイスされました。彼の言葉のおかげで、一歩引いて、広い視野で物事を見られるようになりましたね。あとは妊娠・出産した時に、ホルモンバランスが崩れて産後うつ手前の状態になったことも理由かもしれません。ネガティブな気分が続いた時期があったので、自分の感情をコントロールする方法を学んだことも生かされています。

――どうやって学びましたか?

黒田:とにかくいろんな本を読みました。ありがたいことに、本にはもう自分が思ったことや経験したことが書かれているんですよね。私の場合は、本に書いてあることを鵜呑みにするのではなく、自分に合う部分をピックアップして実践しました。「こっちの方が自分に向いているから、これはやめよう」と、徐々にトライしながら自分にとってぴったりな方法を探すようにしています。

――同じ悩みを持つ読者に向けて伝えたいことは?

黒田:周りに同じような悩みを持っている人がいるわけではないので、孤独に感じる時があるかもしれません。まずはこの経験をポジティブに捉えられるようになってみましょう。限られたものの中から自分が楽しめるものはないか探してみてください。料理をしてみたり、おいしい食べ物を見つけてみたり、何かしらプラスになるものがあるはずだから。時にはトライアンドエラーなこともありますが、自分と向き合う良いきっかけにもなると思います。

Photography Anna Miyoshi

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ポートランドのフィールグッドなヴィーガン・ジャパニーズ「Obon Shokudo」の日常 https://tokion.jp/2023/01/31/portland-based-vegan-japanese-restaurant-obon-shokudo/ Tue, 31 Jan 2023 06:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=165992 体と心を喜ばすもてなしを重視する和食家庭料理店「Obon Shokudo」。食にまつわる当たり前に疑問を持ちながら、変化を起こし続けるオーナー夫妻の活動とは。

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ポートランドの各地で開催されているファーマーズマーケットは、生活と地元食材がダイレクトに結びついていることで知られる。ランチタイムは学生やビジネスピープル、旅行者達でにぎわい、地元のシェフがオーガニック野菜を仕入れるために訪れるところでもある。そんなファーマーズマーケットで、7年以上をかけて存在感を増してきたヴィーガンのジャパニーズレストラン「Obon Shokudo(オボン食堂)」が、実店舗をオープンしたのは2021年の夏。現地ではすでに根付いているヴィーガンと日本食というジャンルの中で、他にはない特別なメニューを模索した。そこで、目をつけたのが日本の家庭料理。日本人なら誰もがなじみのある、おにぎりやけんちん汁といった家庭料理にポートランドの季節の食材を使用している。味付けはオーナーが親しんだ母の味を彷彿とさせる。そんな「Obon Shokudo」にポートランドで昔ながらの製法でみそ作りをしている「Jorinji Miso」のオーナー夫妻と訪れた。

Obon Shokudo
オーナー夫妻、フミコ・ホズミとジェイソン・ダファニーが経営するオレゴン州ポートランドの日本の家庭料理を提供するヴィーガン・レストラン。全メニューはプラントベースで、食事と農場を結びつける「ファームトゥテーブル」及び有機栽培、サステナブルな食材を使用。野菜を無駄なく使うなど食品ロス削減を徹底した環境に優しいレシピを考案し、所得水準に関係なく多くの人がオーガニック食品を味わえるように価格にも配慮している。
https://www.obonpdx.com/

誰もが満足する体と心を喜ばせる日本食

店内に入ると、「Obon Shokudo」のオーナーであるジェイソン・ダファニーは、友人である「JorinjiMiso」のオーナー夫妻に笑顔で手を上げた。キッチンでは、忙しそうにジェイソンの妻フミコ・ホズミが揚げ物に使う粉を試していて「いろんな粉を試しているけど、かき揚げの衣が安定しない」と話した。野菜はそれぞれの水分量やコンディションが違い、グルテンフリーの粉を使うと粘り気がでないため、揚げ物の調理は難しい。

その後も健康意識の高いグルテンフリーの常連客のために小麦粉の代用を探し続けたが、納得のいくものとは出合えなかったために、11月頃には思い切って小麦粉に変えたという。一番の気がかりだった顧客にもこのかき揚げはスムーズに受け入れられた。以降はできる限りヴィーガンにこだわりながらもグルテンの機能性を柔軟に取り入れている。

ローカルからは「『Obon Shokudo』は、ポートランドの他の日本食レストランにはない料理が味わえる」という評判を聞く。その理由は、定番メニューにも趣向を凝らしたアイデアが詰まっているからだ。看板メニューである発芽玄米のおにぎりの具には、豆腐の味噌漬けや生姜とピスタチオの味噌、柚子とパンプキンシードの味噌など、日本人になじみ深い家庭料理にも「Obon Shokudo」らしさが加わる。

そもそも、フミコは「精進料理ではなく、体と心を喜ばせられる料理を提供する」ためにヴィーガンレストランを始め、「『Obon Shokudo』の料理で快適な生活を送ってほしい」という考えを持っている。そのため、「Obon Shokudo」は肉料理と遜色のない「おからを使ったコロッケ」や「豆腐を使ったカツ」等、ジューシーなメニューも豊富で、ヴィーガン以外の顧客にも人気がある。揚げ物のカロリーや栄養価を懸念する顧客には、植物性タンパク質のメリットと、油を抑えた調理法で体への負担が少ないことを丁寧に説明する。価格が良心的でありながらも満足のいくヴォリュームなのは、「ぜいたく品となっているオーガニック食品を所得水準に関係なく1人でも多く提供したいから」だという。

3つの“フィールグッド”

「Obon Shokudo 」は“フィールグッドな日本食”をコンセプトに掲げ、食材の仕入れから、顧客が入店してから退店後までを視野に入れ、誰もが気分よく食事ができる仕組みを作っている。1つ目の“フィールグッド”は素材への意識。食材は会いに行ける距離のローカルの農家や業者から、できるだけ旬のものを仕入れている。2つ目は食品ロス削減への意識を徹底していること。「Obon Shokudo 」ではスタッフが食材を捨てる前に必ずフミコのチェックが必要で「物を粗末にしないで大切に使う。スタッフには、うちは他のレストランと違うから、食材を捨てないでと言い続けています。そこまでやってもまだ食べられる“山盛りの食材”を持ったシェフ達が『これ捨てていい?』って聞きにくる」。食材の無駄を出さずに飲食店を続けていくことの難しさを痛感するエピソードだ。最後の“フィールグッド”は、健全な胃のサイクルを作ること。「満腹まで食べたとしても胃もたれせずに、翌日も自然な空腹で、快適に目覚められるような食事のリズムを作りたい」という。そしてフミコは「長い時間をかけて完璧に仕上げられたおいしいものがあるなら、自分達で作るよりもその商品を『Obon Shokudo』でも提供したい」というように、自社生産にこだわりながらも、他社で丹念に作られた至極の逸品にも敬意を払い、「Obon Shokudo」では「JorinjiMiso」の甘酒を置いている。「Obon Shokudo」は味噌や麹等も作っているため甘酒の生産もできるが、フミコは「JorinjiMiso」の甘酒を絶賛する。

さらに、注目なのが「本日のメニュー」だ。フミコとジェイソン自らが、休日に山で採ってきたキノコを使用するのだが、最近では舞茸のような味わいのキノコを使用した餃子がふるまわれたという。昨年は松茸が豊作だったため、たけのこと合わせた炊き込みご飯やソテーが登場したのだとか。日替わりメニューはどの店にもあるが、キノコ専門家が作る日替わりメニューには特別感がある。

小さな活動で社会に変化を起こし、ローカルの生産者と共創する

2人はもともと、多様なフードカルチャーが混在していることと、街のスローガン「Keep Portland Weird(ポートランドは異端であり続けよう)」という個性を尊重する地域性に惹かれてサンフランシスコから移住してきた。

「Obon Shokudo」は最初にケータリング店としてオープン。その後、地元のヴィーガン、グルテンフリーのディストリビューターに日本食の販売を提案されたことをきっかけに2014 年からファーマーズマーケットに参加し、けんちん汁やおにぎり、コロッケ等の販売を始めた。当時のポートランドでは寿司やラーメン以外の日本食の知名度は低く、試食の提供を繰り返しながら少しずつ顧客を増やしていった。日本食になじみのない人でも想像しやすいようにけんちん汁は“野菜のたくさん入った汁、コロッケは“日本風ファラフェル”と説明することもできたがそれに甘んじず、各料理本来の名前を使い、成り立ちや使われている食材までを説明したが、すぐには受け入れられなかったという。地元民に未知の異国料理を根付かせるまでにはひたすら継続させることが重要だ。フミコは「自分が心安らぐ、埼玉県の実家の母や祖母が作ってくれた日本の家庭料理を作りたかった」と言い、これまでの数年間を「現在も変わらないことですが、『絶対にうまくいくよ』と背中を押してくれるジェイソンの存在が大きいですね。彼の行動力と思い入れは本当にすごい」と微笑みながら振り返った。家族というテーマは、店名とロゴにも落とし込まれている。店名は先祖の霊を祭る“お盆”と、配膳用の木製の漆塗りの“おぼん”から、モノクロのロゴは、ホズミ家の家紋がインスピレーション源だ。

また、取引先を選ぶ重要な決め手は、食品の質だけでなく、食品ロス、環境への配慮、地域活性への貢献等の価値観を共有できるかどうか。現在は、レストランの運営の他に、新しいブランド「Obon kojo」を立ち上げ、かんずりの店頭販売と味噌や麹の小売り販売と卸を行っている。“フィールグッド”を創造力として、多くの人達にシェアされていく「Obon Shokudo」の活動について、フミコは「私達の活動が社会に与えられる影響はまだ小さいですが、食品ロス削減や食生活で健康を意識する人が増えるといいですね」と締めくくった。

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