古着の概念を変える新しいカタチ 「メディコム・トイ」と創る“3Dヴィンテージ”

年々、枯渇化が進むヴィンテージ古着の世界。そもそもこれだけの情報化社会においても同じモノを探すのが困難という希少性に、トレンドを超えた普遍性が組み合わされれば、価格は高騰し入手困難になるのは当然。ならば『TOKION』は、アニメや特撮、映画のキャラクターのフィギュアで、国内外のトイマニアを虜にする「メディコム・トイ」とともに新たな可能性を提案したい。
それが過去の名作をモチーフに、最新技術で新たな命を吹き込む“3Dヴィンテージ”という表現だ。その記念すべき第1弾として、世界中の人々に愛されているミッキーマウスとピーナッツのTシャツが登場。

オリジナルはさらに高騰
万人から愛され、探す楽しみも

ヴィンテージ古着の世界では人気アイテムの価格が高騰化していると述べたが、今回のモチーフに選んだミッキーマウスのTシャツやピーナッツのスウェットも、それに当たる。では、なぜこれらのアイテムが未だに世界中の人達を虜にするのか? そして愛される理由と魅力とは? ヴィンテージ古着に精通する「Mr.クリーン」オーナー/バイヤーの栗原道彦に話を聞いてみた。

「どちらも『リーバイス』の501と同じような“ザ・アメリカ古着”の代表として、1990年代から人気のシリーズでした。ちなみに写真のミッキー(最上部右)は、通称”クラシック・ミッキー”と呼ばれるデザインで、大人の女性の間では人気が再燃しています。ピーナッツのスウェットは、1960年代に生産された『スプリュース』ボディの評価がアメリカでも高まっているため、偶然に見つけても値段が高くて、買付けできないこともあります。当時から人気のモチーフは大量生産されているので、それ以外のモノは未だレギュラー古着の扱いをされていたりもしますが、それでも在庫は減少傾向にあります。実際、世界的な古着需要の高まりとともに、コンディションの良いモノが見つけづらくなっているのがその証拠です。このように、“アメリカを代表するキャラクターで万人から愛されている”、“他の人と被らない”、“探す楽しみがある”。これらの点が、ヴィンテージ好きを中心に支持されている理由ではないでしょうか」。

イラストから飛び出てきたかのような高い再現度

今回のフィギュアを製作した「メディコム・トイ」の設立は、日本においてアメリカンコミックのアクションフィギュアがブームとなり、シーンが花開いた1996年。それまでにないクオリティの高い造形とマニアのツボを心得た作品のセレクトによって、瞬く間にトイマニアの知るところとなり、以降さまざまなキャラクターを立体化してきた。そんな同社が実現したプロダクトが、ウルトラディテールフィギュアシリーズだ。一番の魅力は、全高約60mm~100mm前後に収まるミニサイズとは思えない再現クオリティの高さ。ここに紹介するミッキーマウスとピーナッツのキャラクター達も、まるでイラストから飛び出してきたかのようなリアルな表情が魅力だ。

1980年代生まれには懐かしく
Z世代には新鮮

イラスト(2次元)を忠実に立体化したフィギュア(3次元)を撮影し、もう一度、服にプリント(2次元)し直す。この過程で生まれるちょっとした違和感こそが“3Dヴィンテージ”の醍醐味。本シリーズは、これまでに写真で紹介しているヴィンテージのTシャツやスウェット、ペナントをオマージュ。古着特有の雰囲気をバイオウォッシュと柔軟加工でボディの質感とともに再現。プリントにもキャラクターの角度にはじまり、周囲のグラフィックや背中のメッセージに至るまでこだわりが詰まっている。
今後も第2弾、第3弾と続編のリリースを予定している同シリーズは、1980年代生まれには懐かしく、Z世代の目には新鮮。スクラップ&ビルドで新たな姿へと生まれ変わった渋谷の街にも馴染むに違いない。

Photography Shinpo Kimura
Text Nubuaki “TOMMY” Tominaga

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TOKION EDITORIAL TEAM

2020年7月東京都生まれ。“日本のカッティングエッジなカルチャーを世界へ発信する”をテーマに音楽やアート、写真、ファッション、ビューティ、フードなどあらゆるジャンルのカルチャーに加え、社会性を持ったスタンスで読者とのコミュニケーションを拡張する。そして、デジタルメディア「TOKION」、雑誌、E-STOREで、カルチャーの中心地である東京から世界へ向けてメッセージを発信する。

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