そろそろ本格的な秋到来。さまざまな行動の制約が続く今、この秋は着る芸術を楽しんでみるのはいかが? アーティストとのコラボレーションや、アートからインスパイアされたファッションアイテムをご紹介。この秋は“観る”、“聴く”、“着る”でアートなムードをまとってみて。
TOGA × Tomoo Gokita
ロングコートをキャンバスに
スタンドカラーのマニッシュなコートに、大胆にアートを織り込んだ「トーガ(TOGA)」の1着は、国内外で高い評価を受けるアーティスト、五木田智央とのコラボレーション作。ロングコートを大きなキャンバスに見立てたかのように、その裾に大胆に施された2人のアノニマスな女性のポートレート。プリントのように写実的だが、近くで見ると精巧なジャカード織でその細部まで忠実に表現されている。
上から施されているクラシカルなモチーフは、ベルベットのパッチワーク。アートの上にも大胆に配し、不思議な一体感を生み出してそのコート自体をアートピースへと昇華させている。木枯らしが吹き始めた秋の夜、さりげなくまといたいアーティな1枚。
tanakadaisuke
サイズは、H20cm、周囲52cm、ストラップ107cm
幻想的なマーブルワールドに魅せられて
今季から本格デビューを果たす新生東京ブランド「タナカ ダイスケ(tanakadaisuke)」。「ケイタマルヤマ」に入社し、独立後は刺しゅうアーティストとしても活躍し、注目を集めるデザイナーだ。
デコラティブなデザインが特徴的なブランドからは、墨流しの作品をプリントしたベルベットの巾着バッグが登場。新潟県長岡市を拠点に、墨流し作家として活動する恭平とのコラボレーション。墨流しの模様を1つ1つ、職人が手作業でシルクスクリーンでプリントしている。墨流し染めの流線的で有機的な模様は、どこか怪しげで幻想的。コロンとした丸いフォルムのバッグに、不思議なニュアンスを与えている。
YOKE
“優しさに包まれたなら”
「ヨーク(YOKE)」の今シーズンのテーマは、“MARK ROTHKO”。20世紀に活躍した抽象画家のマーク・ロスコをからインスパイアを受けた1着は、その絵画そのもののニュアンスをそのまままとうような優しく柔らかな風合いに仕上がっている。
ふんわりと体を包み込んでくれるビッグシルエットに、ロスコの作品をダブルジャカードで表現し、起毛のアルパカのにじんだ表情でロスコ作品の絵の具がぼんやりとした雰囲気をも再現。アルパカの中でもより繊細で滑らかなベビーアルパカの毛を使用し、モヘア以上に優しくソフトで軽やかに。優しさに包まれたカーディガンの感触は、秋の柔らかな日差しや風景、夕日の景色と松任谷由実を思い出す。