Tokyo Wish List ―更新され続けるメゾンの新しい顔―

ブランドを代表するアイコン的存在のシグネチャーアイテム。愛され続ける定番品とも呼ぶべきアイテムのアップデートが目立った今季のコレクションより、新たなブランドの顔になりそうな注目の逸品をご紹介。そのブランドが築いてきた伝統と風格、変わらない個性やアイデンティティはそのままに、新しい空気をまとった定番アイテムに心躍らせて。

CARTIER

伝統と革新が生み出すミニマリズム

1917年誕生、100年を超える歴史を持ち、今でも「CARTIER(カルティエ)」のエレガンスを体現する伝説のウォッチ、“Tank(タンク)”。1970年代から1980年代のメゾンを象徴するモデルとして知られる“Must(マスト)”。アイコニックな時計のディテールを踏襲して、今年新たなメゾンの顔になるべきニューモデル“Tank Must(タンク マスト)”が登場した。
フェイスとアリゲーターストラップを同色で配し、文字盤もシンプルにロゴのみをオン。ミニマムの限りを尽くした洗練されたデザインの中に、ケースと針のシルバーが静かに輝き、リューズのシンセティックスピネルがアクセントを添える。メゾンのDNAともいえるシックな3色で展開され、いずれもシックでマチュアな落ち着きのある色合い。秋冬のクラシカルな装いを、通り抜ける秋風のようにエレガントに、艶やかに彩る1本。同じ色のネイルと合わせて、レディな手元にアップデートを。

カルティエ カスタマー サービスセンター 0120-301-757

Maison Margiela

コージーなムードの“タビ”シューズ

1989年春夏シーズンのショーで初めて登場し、今もなお多くのファッショニスタに愛され続けるメゾンのアイコンシューズ。日本の足袋に着想を得た「Maison Margiela(メゾン マルジェラ)」のスプリットトゥデザインのシューズは、その変容と再解釈を通して描かれるメゾンの概念を見事に捉え、さまざまな素材やアイデアで進化をしてきた。どんなにトレンドが変化しひとびとのスタイルが変わっても、そのときどきのスタイルにマッチする不思議な魅力を持っている。
そんな普遍的な魅力を持つ“タビ”シリーズより、今季のコージーでジェンダーレスなムードを取り入れたスリッポンタイプのローファーが登場。正面から見るかっちりとしたフォルムとは裏腹に、かかとの部分は柔らかく、折り曲げてカジュアルに履くこともできる。どこか肩の力が抜けたモードが気分な今、ニットソックスなどをコーディネートしてゆるく暖かく、秋の足元を包み込みたい。

マルジェラ ジャパン クライアントサービス 0800-000-0261

DRIES VAN NOTEN

40年の時が紡いだもの

本質への回帰。「DRIES VAN NOTEN(ドリス ヴァン ノッテン)」のデザインのルーツへと立ち返ることをテーマの1つとして据えた今季のコレクション。オンラインのプレゼンテーション形式で発表された今季のファーストルックは、風を受けながらしなやかに登場した大きな深紅の薔薇の花束を抱えた白いシャツドレスだった。
ドリスがまだアントワープのファッション専攻学生だった1981年に、ファーストコレクションとして発表した不滅のアイテム、白のシャツドレス。エッセンシャルでシンプルなアイテムだけに、その細部にもっともデザイナーの息吹を宿す。40年の時を経て登場した白シャツは、現代風にそのシルエットと丈感をアップデートしている。ブランドの原点ともいえるアイテムの再解釈は、そのシンプルでプレーンな1枚の中に、ブランドがこれまで紡いできた40年の歴史と情熱を秘めている。

ドリス ヴァン ノッテン 03-6820-8104 

Photography Erina Takahashi
Styling Norie Kurakata
Text Eri Imamura

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TOKION EDITORIAL TEAM

2020年7月東京都生まれ。“日本のカッティングエッジなカルチャーを世界へ発信する”をテーマに音楽やアート、写真、ファッション、ビューティ、フードなどあらゆるジャンルのカルチャーに加え、社会性を持ったスタンスで読者とのコミュニケーションを拡張する。そして、デジタルメディア「TOKION」、雑誌、E-STOREで、カルチャーの中心地である東京から世界へ向けてメッセージを発信する。

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