六本木のアートコンプレックスANB Tokyoによる企画展「Encounters in Parallel」 11名の作家とともに4つのフロアで開催

アートコンプレックスのANB Tokyoが12月26日までに4フロアを使った企画展「Encounters in Parallel」を開催中だ。

同展は2020年10月、六本木にオープンしたANB Tokyoのこけら落としとして開催された「ENCOUNTERS」のアップデイトした企画展。展示タイトルには、Encounter(=遭遇)することで、それぞれの創作に対して異なるフィードバックがParallel(=平行)に生じる意味が込められている。従来のグループ展のように、キュレーターがアーティストそれぞれの持ち場を“区分け”し、ストーリーや流れを構成していくのではなく、キュレーターがファシリテーターとなって、アーティスト同士が同じ空間を共有しながら互いの作品とどう共鳴するかを模索するような展示を行う。

今回は11名の作家の作品を4フロアにわたって展示する。

7Fでは、壁に残ったテープを剥がした跡や、無造作に立て掛けられた梱包材のような“ささやかなイメージ”を観察し、シルクスクリーンを用いて別の素材に反覆させることで空間に違和感をもたらす長田奈緒。瓦礫や流木など捨てられたものが持つ野生的な側面を、彫刻的なアプローチでの表現を試みる横手太紀。民話や童話で描写が欠落している登場人物を題材に、緊張感を与える色彩とマチエールで画面に描き出す西村有未。日常生活や旅先で出会った一瞬の景色や人々の佇まい、空気感を写しとる写真家の山本華の異なる表現方法で活動する4名の作家によって構成される。

6Fでは、壁画や絵画といった平面に三次元的奥行きを作り出す吉野ももと、自身の原風景を元にしたサイケデリックなCG世界と実空間を融合し描く藤倉麻子、写真を用いてデータとイメージといったメディアの界面を探る小山泰介の作品で構成される。

4Fでは、廃材を用いて光と物質が織りなす没入空間を作り出す2人の作家の作品を展示する。冨安由真は、収集した廃家具で構成された空間とそれを描いた絵画を展示し、小金沢健人は、廃材のネオン管に作品として新たな命を吹き込みながら劇場的な場を構築する。

3Fでは物語や演劇・ヴィデオゲーム等のフィクションとの関わりから時空間の美的・政治的性質を考察する大岩雄典と、芸術と情報、技術の相補的関係性を軸にコンセプト設計から空間制作までを手掛ける砂山太一の作品『悪寒 | CHILL』を展示。

また、前回、好評だったライブ配信イベント「ENCOUNTERS×ENCOUNTERS」もアップデート。今年は、音楽や美術、舞台芸術など境界を超えて活躍する山川冬樹をディレクションの軸に、大谷能生、千葉広樹、ハラサオリ、三野新や声のみで参加する飴屋法水といった豪華出演者と、映像や音響といったテクニカルチームが呼応したリアルタイムのパフォーマンスを披露する。12月21日の配信予定で、配信方法や出演者情報などは後日オフィシャルサイトで発表される。

ANB Tokyoは、アーティストの⽀援やコミュニティー形成など、⽂化が息付く社会システムを醸成していくことを目的に設立された、東京アートアクセラレーションが運営を行っている。2階から7階までの6フロア構成で、コミュニティーラウンジやギャラリー、スタジオとして運用しアーティストの制作活動サポートや、展覧会などの企画運営をおこなっている。

■Encounters in Parallel
会期: 12月26日まで
会場:ANB Tokyo
住所:東京都港区六本木5-2-4
時間:12:00〜18:00
休日:月曜、火曜
入場料:一般 ¥1,000(Web事前決済 ¥800)、大学生 ¥500(Web事前決済 ¥400)、中・高校生 入場無料
※全フロア共通チケット
※学生は受付にて学生証要提示
※オンライン事前予約制
Webサイト:https://reserva.be/anbtokyo

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TOKION EDITORIAL TEAM

2020年7月東京都生まれ。“日本のカッティングエッジなカルチャーを世界へ発信する”をテーマに音楽やアート、写真、ファッション、ビューティ、フードなどあらゆるジャンルのカルチャーに加え、社会性を持ったスタンスで読者とのコミュニケーションを拡張する。そして、デジタルメディア「TOKION」、雑誌、E-STOREで、カルチャーの中心地である東京から世界へ向けてメッセージを発信する。

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