水曜日のカンパネラの新章が描き出す、ジャパンポップスの新時代

2012年の活動開始から約10年にわたって、日本のポップミュージックの最前線を疾走してきた、水曜日のカンパネラ。しかし、プロジェクトを象徴する顔的存在だったコムアイが、2021年9月に突如脱退。シーンに衝撃が走る中、2021年10月に新たに2代目の主演・歌唱として詩羽の就任が発表された。

第2章の幕開けと同時に『アリス / バッキンガム』をリリース。そのことを皮切りに、YouTubeやライヴなどを通じて、新体制のカンパネラの活動が加速。2022年2月には、最新曲の『招き猫 / エジソン』を発表し、本格的に新章の輪郭が浮き彫りになってきた。

現在20歳の詩羽は、フリーランスのモデルとしても活動し、現代の“Kawaii”を体現するアイコンとして、ジャパニーズポップカルチャーを象徴するit girlでもある。

その詩羽と、初期からプロジェクトを支えてきたケンモチヒデフミ(作曲・編曲)とDir.F(ディレクター)を交えたフルメンバーが、新生・水曜日のカンパネラの今について語ってくれた。

詩羽の吸収力や理解度が早くて、逆に僕らが置いていかれたらいけないと思うくらい

——2021年の10月に、詩羽さんが2代目主演・歌唱担当になるとアナウンスされました。そこから新体制での活動が進んできたわけですが、3人の仲は深まりましたか?

詩羽:最初の頃はどこかなじんでいない部分もありましたが、自分の曲やライヴの数が増えていくうちに、水曜日のカンパネラというものに自分がなっていっているな、ということをすごく実感していますね。

ケンモチヒデフミ(以下、ケンモチ):僕らが想像していたよりも早く、詩羽がカンパネラというものを理解してくれましたね。ライヴもまだ7〜8回しかやっていませんが、そのうちの2回がゼップ規模を経験している。普通に考えたら、ものすごいスピード感で溶け込んでくれていると思います。

Dir.F:最初はどんな感じで進んでいくのかと思っていましたが、意外とすんなりフィットしていきました。詩羽の吸収力や理解度が早くて、逆に僕らが置いていかれたらいけないと思うくらい。しかも、次々に楽曲ができる中で、ただ単に曲を発信するだけじゃなく、詩羽の本当の魅力をちゃんと伝えなきゃいけないという使命感がありました。

——3人の結束力を高めるために、何か試みたことはありますか?

ケンモチ:そのためのコミュニケーションは特にないですが、そうしなくても自分なりのスタンスを作ってしまうところがZ世代っぽいなと。例えば、一般的な会社であれば、自分の仕事が終わっても上司が残業していたら帰りづらいとかありますよね。でも彼女は、レコーディングや打ち合わせが終わった瞬間に「帰ります!」って(笑)。そのマインドは逆に学んでいかなきゃなと思います。最近麻雀を覚えたらしいので、今度誘ってください。

詩羽:誘いますね(笑)。

——お互いにジャネレーションギャップは感じますか?

Dir.F:もちろんあります。僕の中では、10年周期ぐらいで世代ごとの価値観が変わるのかなと思っていて。というのも、水曜日のカンパネラが開始された当初は、僕が30歳でコムアイが20歳。その当時もギャップは感じていたのですが、そこから10年がたって今度は今20歳の詩羽が出てきた。

昔はコムアイの意見に対しても、僕らが「こっちのほうが良いと思う」と意見する場面もあったんです。それは、同じ目線で一緒の風景を見るためでもあったんですが、今はあえて言わないようにしています。20歳も離れていると、当然ものの見え方が違ってくるわけですよね。むしろ今は、詩羽の目線で見ているほうが正しかったりもする。その新しい目線を僕らも勉強していくことで、物事をもう少し多角的に捉えることができて、結果的に新しいものが生まれやすくなるのかなとも思っています。

——詩羽さんはZ世代と称される年齢かと思いますが、ご自身ではどう感じていますか?

詩羽:言葉の使い方、使う人によって印象が違うのかなとは思います。この世代だからこの考え方が正しいよね、と区切ることで、考え方の違いをわかりやすくする言葉としては良いのかなとは思います。でも、自分としては、あたりまえですが無意識のうちにZ世代なんですよね。Z世代って言葉を使って、変に悪用されなければいいかな(笑)。

——もし、Z世代とは? と聞かれたら、その定義をどう説明しますか?

詩羽:う……ん、難しいですね。1つは「自分はこうしたい」と言える世代なのかなと。ケンモチさんが言ったように、上の世代の人達は上司の誘いをはっきり断れないことが多かったと思うんです。それが良い悪いではなく、普通だったのかなと。でも、私達の世代からは、はっきり言えるようになってきた。ただ、それって正しいよね、じゃなくて、断っても悪いことじゃないよね、くらいの感覚というか。いずれにせよ、自分の意志を出せる世代なのかなって。

——そういう感覚は、クリエイティブなことにおいても共通する部分はありますか?

詩羽:そうですね。自分が何をやりたいか? 自分がどうなりたいか? というのは、自分が一番理解していないとどうにもならないと思うんです。自分の未来を作って進んでいくには、人に言われたことをやったり、あたりまえの道を進んだりするのは、実現しづらいのかなって。

特にクリエイターやアーティストは、自分で自分の選択肢を捉えて決断できるからこそ、本当に前に進めるんだと思うんです。同じ世代のアーティストがどんどん増えているので、そういう感覚を持った人達は前に進んでいくんだろうなと感じていますね。

ケンモチ:僕らの世代って、先輩にあたる50〜60代の人達が「こうするのがいいよ」ということを疑いもなく飲み込んじゃった部分もあって。そうじゃなくて、自分達はこうするのがあたりまえだよね、という道を作れなかったのかもしれない。

いつか僕らがその世代になった時にきっと変わるはずだと思ってきたけど、その前にZ世代がやってきて「こうじゃないですか!」って。それを聞いて「確かに!」って気付かされたというか。何も残せなかった世代なので、どんどん変えていってほしいですよね。

詩羽:もちろん、同じ世代の人がみんな一緒の考えではなくて。例えば、親から「人に合わせることも大事だよ」と聞かされて、それがあたりまえと思っている人もたくさんいます。正しい正しくないというよりも、私は世代を問わず、自分がどう思っているのか主張しても良いんだよ、ということに気付いたほうが、もっと生きやすくなるんじゃないのかなと思ってはいます。

自分の言葉やメッセージを持っている人が第一条件

——その詩羽さんを新たに主演・歌唱担当を迎えるにあたり、どんな基準や条件を設定していたのでしょうか?

Dir.F:曲や歌詞に関してはケンモチさんの領域ですが、そこに歌を歌う=主演を迎える場合、ただ歌う、ただ演じるだけの人では物足りなくなるんです。ちゃんと自分を持っている人じゃないと、楽曲や映像、プロジェクトそのものに振り回されてしまうので、自分の言葉やメッセージを持っている人が第一条件でした。

こういったインタビューも3人で受けることなんてめったにないので、1人でもちゃんと話してもらう必要がありますし、自分の言葉で話せないとファンになってくれる人も増えない。お客さんにとっては「この人についていきたい!」と思えるかどうかが大切ですから。それができそうかどうかは面談の時に確認しましたね。

ケンモチ:カンパネラの人選に関しては、基本的にDir.Fの審美眼に委ねています。彼のお眼鏡にかなった人がいたら、僕は最後に会って「よろしくお願いします!」みたいな。コムアイの時も、事前に歌声は聴かずに決まったんです。与えられた素材をどう活かすかが、僕の役割というか。なので、詩羽も歌声ありきで判断したわけじゃなく、ちゃんと個性があったり話しておもしろかったり、Dir.Fの推しがあってこの子でいきましょうと。

とはいえ、実際に楽曲を制作していく中で、コムアイの声質とはかなり違う魅力が見つかったので、まさに新たな水曜日のカンパネラを探っているところでもあります。

自分らしさ=自分を好きでいること

——詩羽さんはモデルとしても活動してきましたが、そこに音楽という表現が加わることになりました。ご自身としてはどういう感覚なんでしょうか?

詩羽:本格的に音楽をやることは想像もしていなかったですが、高校生の頃にバンドでギター&ヴォーカルをやっていたので、歌うこと自体は好きですし、ステージに立つことにも抵抗はなくて。

ただ、やっぱり最初は歌を通してどうやって自分の良さを出していけば良いかわからなかった。でも。ライヴをやっていくうちに、歌詞の言葉の1つ1つを解釈して理解できるようになって、私にとっての歌い方ができるようになってきたとは思います。

——表現することのモチベーションは、どんな要素が関係してきますか?

詩羽:もともと、来たチャンスは全部つかんでやろうというタイプというか。ずっとフリーランスでモデル活動もしてきましたが、カメラマンさんや読者が好きなものはなんだろうと考えながらやってきたんです。お願いされた以上のものを返したい、もっと好きになってもらおう、という感覚があって。

人に好きになってもらいたいというのは承認欲求でもあるけど、見てもらう立場であるなら、1人1人に向き合いたいという気持ちが私の中にはある。そのために全力で表現して、好きになってもらえるようなコミュニケーションをしていきたいんですよね。

——見せ方はもちろん、見られ方も意識しているわけですね。

詩羽:はい。MVも観ていて飽きないものにしたいので、監督のイメージをそのままやるのではなく、自分の中でかみ砕いて理解してやるほうがより良いものになると思っていますね。

——水曜日のカンパネラのプロジェクトにおいて、詩羽さんのパーソナリティをどの程度まで出していい、といったルールはあるんですか?

Dir.F:そういう部分も含め最初の面談で話したのですが、周囲のことも考えて動くことができたり、スタッフやメディアの方からも応援してもらえるようなキャラクターがいいなと。むしろそれがあれば、ルールは一切ないというか。衣装やメイクに関しても、詩羽にとっての自分らしさを追求してもらうことが、結果的に水曜日のカンパネラらしさにもつながるのかなと。

——詩羽さんにとって、自分らしさとは?

詩羽:今の自分が発信していることの根源に、自己肯定感というものがあるんです。自分を好きでいることを大事にしてあげること。なので、自分らしさ=自分を好きでいること、かなと。

——その感覚は昔から持っていたんですか?

詩羽:いえ、自分のことが嫌いな時期もありました。学生時代は、自分のせいで対人関係がうまくいかなくて、自己肯定感も自信もなくて、見た目も普通で。生きづらかった時に誰かに助けてもらう方法もあったとは思うけど、私は私を助けることにしたんです。それから見た目も変えて、そのことが自分のアイデンティティにもなっていますね。

短い時間で魅力が伝わって、何度も聴きたくなるような中毒性は何かを考えるように

——新体制となって第2弾となる最新曲『招き猫 / エジソン』がリリースされました。「招き猫」はどういう経緯で生まれたのですか?

水曜日のカンパネラ 「招き猫」

詩羽:タイトルの候補がいくつかあって、最後は私が推しました(笑)。

ケンモチ:みんながどういうものを聴きたいのかな? ということを踏まえて、とにかく今の時代のポップスにしたくて。昔ならここを聴かせたいとか作り手のエゴも入れていましたが、今回は詩羽の世代に聴いてほしいという気持ちが強かったです。

ただ、今回の楽曲を新ヴォーカルの第1弾作品として出してしまうと、今までのイメージとかけ離れてしまう。なので、あえて過去の要素も少し踏襲した「アリス / バッキンガム」を先に出して、それがあった上で今回の詩羽の世代に寄せた楽曲にしました。

水曜日のカンパネラ 「バッキンガム」

——ケンモチさんは一時期、シカゴのフットワークなどにハマった時期もあったそうですが、「招き猫」のサウンドはその要素が少し反映されていますよね。

ケンモチ:ビートのアプローチはそれっぽい部分もありますが、一番重要なのはあくまでもメロディや曲構成ですね。いかにポップにできるか、という。

——ちなみに、今現在のポップスってどんな要素を指していますか?

ケンモチ: 1つは、TikTokやどんどん尺が短くなっているYouTubeなどで使われているような、15秒だけ聴いてもわかる曲というのがあります。なので、僕自身もより短い時間で魅力が伝わって、何度も聴きたくなるような中毒性は何かを考えるようになりましたよね。

——「招き猫」というタイトルをプッシュした張本人の詩羽さんは、この曲にどんな思いがありますか?

詩羽: 前作の「アリス」は女の子らしい曲だったので、今回はかわいらしさがありつつ、女の子らしさをそこまで出さないほうがいいと思っていました。それと、歌い方に関しても最近の曲のテンポ感について話し合ったりもしましたね。今の曲って、スピード感はあるけど、急に展開が変わることが多い。「招き猫」も休める箇所がなくて歌うのが大変ですが、いろいろな展開があるので楽しいです。

水曜日のカンパネラ 「アリス」

ケンモチ:最近の曲って、歌わせる気がないのかなと思うくらい難しい。人間ができる息つぎの速さを超えているというか。YOASOBIさんがポップスの歌い手のハードルを上げちゃいましたよね(笑)。僕も初心に返って、若い世代から学ばせていただいてます。

——「エジソン」も今っぽさが凝縮された楽曲ですよね。

水曜日のカンパネラ 「エジソン」

ケンモチ:これは、ずっと頭に残るような歌詞とメロディをループさせることを考えました。緻密に構成された曲でも、ずっと印象に残るのって1フレーズだなと思ったんです。だから、そこさえ作ることができれば心地よいものになる。しかも、TikTokでどこを切り取られても成立しますし。

——極端な話、1フレーズが1ループで構成される曲でも良いというか。

ケンモチ:ですね。しかも、それが冒頭からいきなり始まるというのが重要で。もともと僕は、インストゥルメンタルの分野で10年くらい活動してきて、イントロだけで30秒ある曲を作ったりして「長い!」ってずっと言われてきたんです(笑)。

そういう中で、今の音楽と向き合ううちに、長いイントロもAメロ〜Bメロ〜サビみたいな構成も不要だなと。もちろん意味があればやりますが、今回に関しては詩羽のヴォーカルが最初から最後まで押し出せるように意識しました。

詩羽:最初は「エジソンと自尊心」が言葉として掛かっていて「おもしろーい!」と思っていたんです。しかも、詩羽だから自尊心なのかな? とも思ったんですが、そういうことを狙ったんですか?

ケンモチ:あっ、ゴメン聞いてなかった……。

詩羽:えっ……、詩羽だから自尊心をテーマにした曲なのかって? ことですよ!

ケンモチ:いや、特に意識してなかった。

詩羽:やっぱり。私も意識してなかったので、リスナーさんの中にそう受け取って深読みする人もいておもしろいなって。

——確かに、歌詞を見ると詩羽さんとパーソナリティが反映されているのかな、と捉えることもできますよね。

ケンモチ:カンパネラのおもしろさって、漫才やコントみたいにすべてのおもしろさを伝え切るというよりも、シュールな部分までで止めておくという線引きをしています。そのあとに聴き手が転がしてくれるのを待つ、というところまでで抑えているというか。ボケてるけどツッコミはしないし、狙って笑わせにいっているわけでもないという。

詩羽:他の曲でもファンの方がいろいろな解釈をしてくださっていて「なるほど!」って。MVもそうなんですが、監督さんが新しい解釈でストーリーを作ってくれたりもします。なので、想像の余白は残すようにしていますよね。

——ライヴではコムアイさん時代の楽曲を歌うこともあると思いますが、そのあたり何か意識していることはありますか?

詩羽:初めてのライヴ前は、コムアイさんの映像を観て勉強しながら、自分なりに解釈するようにしていました。そのせいもあって、どこか似てしまったり、寄せていった部分もあったと思います。でも今は、やっぱり歌う人によって表現の仕方は変わるし、同じ曲だけど絶対に違う曲になると思っていて。例えば「桃太郎」の決まっている振り付けは、私が楽しいしやりたいからやっていますけど、全て受け継ごうとかまねしようとはしていないですね。私がどうしよう、どうしたいかを軸に表現をしています。

水曜日のカンパネラ 「桃太郎」

——感情的には、楽しい、という感じですか?

詩羽:そうですね。一番大事なのは、私が楽しいと思うことなので。過去の曲でも、私が楽しいことをやって、楽しむことを大切にしています。

——そんな詩羽さんの魅力を、あらためて教えてください。

Dir.F:とにかく、一度会ったらもう1回会ってみたい、と思える人ですね。

ケンモチ:オーラが出ている人。しかも、昔からこういう活動してましたではなく、ここ数年で自分の良さを見つけ出して、これだけ表現できているのがすごいですね。

どこの国でも絶対に一緒に楽しめるという確信がある

——第2章ともいえる活動が本格化してきましたが、水曜日のカンパネラとしてこの先どのようなビジョンを描いていますか?

Dir.F:ライヴでいえばこれまでは日本武道館が最大キャパシティだったので、今後はそれ以上を目指して更新していきたいです。なるべく長く続けたいので、もしかしたら僕とケンモチさんも他の人に入れ替わるかもしれないですが(笑)。

ケンモチ:でも今回、ヴォーカルが変わるという一番大きな変化をスムーズに実行できたので、われわれが変わることなんてなんともないですよね(笑)。

Dir.F:実は、世の中的に水曜日のカンパネラというものが理解されればされるほど、代われる人も増えてくるのかなと思っていて。それはそれで個人的にはおもしろいし、そうやって残っていくスタイルもあるのかなと。

しかも、歌詞や題材のメッセージが強いわけじゃないので、漫画や映画のシリーズや続編のように主人公が代わってもいい。水曜日のカンパネラという大きなテーマに対して、それぞれがこうやっていこうとか。なので、仕組み的にはどういう形になっても“水曜日のカンパネラらしいな”という、なんとなくなイメージでどんどん更新できる気がします。

——詩羽さんは現時点で、どんな未来を描いていますか?

詩羽:自分としてもありがたい状況ですが、水曜日のカンパネラとしては、私は過去を超えていきたいとかじゃなくて、自分が楽しんでみんなも一緒に楽しみたいだけかもしれないです。

Dir.F:今は状況的に難しい面もありますが、将来的には海外も視野に入れていきたくて。今の日本の音楽のマーケットだけを意識するのは、将来的に危険だなと思っています。これまでのCDを買って聴いてもらえればアーティストに収益が上がるという構造から、常に聴き続けられなければアーティストに収益が入りづらいという環境になっています。それは単純に人口や聴き方の文化に比例してしまうので、海外も見据えていかないと必然的に厳しくなるなと思います。

もちろん、アーティスト活動の収益は音楽からだけではないのですが、音楽からファンになってくれる可能性の窓口としては、機会は増えているはずなので、そこに国外も視野に入れてチャレンジしていきたいなと思っています。

——水曜日のカンパネラが、海外で活躍する姿をぜひ見たいですね。

詩羽:私は、旅行も含めて一度も海外に行ったことがないんです。想像もできないんですけど、でも絶対にいく機会が訪れると思っていて。そこで、全然聞いたこともない、意味もわからない日本語をおもしろいなって思ってほしくて。音楽だったら伝えることができると思っているんです。

それは日本語の歌詞を英語に訳すという単純なことではなく、何を言っているかわからないけど、なんかおもしろいから逆に調べてくれたり、そうやって音楽で日本が広がっていくのも楽しいなって。だから、早く海外に行ってみたいです。

——日本だろうと海外であろうと、一緒に楽しい場を共有したいというコミュニケーションですかね。

詩羽:はい。どこの国でも絶対に一緒に楽しめるという確信があるんです。私は20歳ですが、外国人から見たらめちゃくちゃ小さい少女に見えると思うので、絶対にかわいがってもらえそうだなって(笑)。頑張って大人っぽく振る舞うのではなく、幼心を持ったまま海外へ行って、みんなからいろいろなことを教えてもらって、その教えてもらったことに対して返していきたい。とにかく、いろんな世代、いろんな国・人種の人達が大きな空間に集まった時に、もっとおもしろくなるなと思っていて。そんな風に、誰もが楽しめる場所を作りたいですね。

水曜日のカンパネラ
2012年からコムアイを主演・歌唱とするユニットとして始動。メンバーのケンモチヒデフミ(音楽)と Dir.F(その他)の3人によって数多くの名曲と映像を発表してきたが、2021年9月にコムアイが脱退。10月に、新たな主演・歌唱担当として 詩羽(Utaha)が加入となり新体制での活動がスタート。これまでの水曜日のカンパネラの世界観は継承しつつも、新たな水曜日のカンパネラの新章が始り、第2弾シングルの『招き猫 / エジソン』がリリースされた。そして、4月27日には新曲「織姫」を配信リリースとなり、5月25日には新体制後初となるEP作品「ネオン」のリリースも決定。さらに初の全国ツアー&初のワンマンライヴ「水曜日のカンパネラ LIVE TOUR 2022 “Neo poem”」の開催も発表となった。
http://www.wed-camp.com
Twitter:@wed_camp
Instagram:@utaha.89
YouTube:水曜日のカンパネラ

Photography Tsutomo Yabuuchi(TAKIBI)
Texr:Analog Assassin

author:

相沢修一

宮城県生まれ。ストリートカルチャー誌をメインに書籍やカタログなどの編集を経て、2018年にINFAS パブリケーションズに入社。入社後は『STUDIO VOICE』編集部を経て『TOKION』編集部に所属。

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