Monkey Timersの初アルバムから見える東京のリアルサウンドとファッションシーンの輪郭

Rub N Tug(ラブンタグ)DJ Harvey(DJハーヴィー)Idjut Boys(イジャット・ボーイズ)などによる2000年代のニューハウス~ディスコ・ダブを源流とするアンダーグラウンドカルチャーを背景に、東京のダンスミュージックシーンで活動してきたDJ/プロダクションユニットのMonkey Timers(モンキータイマーズ)。

メンバーのTakekawa「バル」のスタッフでHisashi「ラミダス」のスタッフと、互いに東京のファッションシーンに欠かせないブランドのメンバーとしても活動し、パーティ&レーベル&次世代のキーパーソン達が在籍するコレクティヴでもある「DISKO KLUBB」の中心的存在としてシーンを歩んできた。

そのMonkey Timersが、結成13年目にして、初のフルアルバム『KLUBB LONELY』をリリースした。2000年代〜2020年代にかけて、東京のクラブサウンドとストリートファッションの両シーンに立ち続けてきた彼ら。

コロナ禍を進みながら完成させた本作からは、自らの経験とともに昇華させたMonkey Timersらしい日本的な音楽表現と、東京の今と少し先の未来の姿が見えてくる。2人のインタビューから、Monkey Timersを取り巻くリアルな東京のムードを感じてほしい。

一歩抜け出すには、やっぱりオリジナルで曲をリリースしていく必要がある

——結成から13年目にして初のフルアルバムを完成させたわけですが、なぜこのタイミングでのリリースになったのでしょう?

Takekawa:本来であれば、10周年のタイミングで出す予定で準備も進めていたんです。でも、ちょうどコロナ禍になってしまって……。当初はクラブ仕様の楽曲を中心にアルバムを構成するつもりでしたが、世の中的にもクラブの需要がなくなってしまったので、内容を変更することにしたり。楽曲そのものは1年半前くらいにできていたんですが、ミックスなどいろいろな作業を経て今になったという感じですね。

Hisashi:その一方で、世界中でヴァイナルの需要も高まっていて、工場によっては盤をプレスするのに1〜2年待ちの状況でした。そういうことも重なり調整に時間がかかった部分もありましたが、むしろこのタイミングで良かったかもしれません。ようやくイベントや野外フェスも再開してきたので、現場で聴いてもらえる機会も増えていくのかなと。今だからこそリリースパーティ(5月20日 渋谷WOMBで)も開催できますしね。

——アーティストにとって1stアルバムというのは、キャリアの中でも特別な位置付けになると思います。過去にもオリジナル楽曲を発表していますが、やはりアルバム形態での作品も望んでいたのですか?

Takekawa:そうですね。ただ、通常のミュージシャンであればどんどん楽曲を制作していくことができますが、僕らは2人とも普段アパレルの仕事をしているので、どうしても時間がかかってしまうんです。

Hisashi:当初は、純粋にクラブDJとして活動していけたらいいかな、という感じだったんですけどね。

——確かに、考え方によってはDJだけ続けていくスタンスや選択肢もあったわけですよね。でも、オリジナルの楽曲やアルバムを作ろうと思った理由が何かあったわけですか?

Takekawa:もちろんクラブDJとして活動していくことも1つの道ではあると思うんですが、音楽業でもしっかり仕事として成り立たせたかったので、その先を考える必要があって。

世代的なことでも、上にDJ NORIさん、瀧見憲司さん、Force Of Nature(フォース・オブ・ネイチャー)さん、Chidaさんなど確固たる人達がいる一方で、僕ら以降の世代は突出した存在がいないだんご状態だった。そこから一歩抜け出すには、やっぱりオリジナルで曲をリリースしていく必要があるかなと。

Hisashi:それに加えて、活動を始めた頃は「アパレル関係の人がDJもやっているんでしょ?」という見られ方をしていた部分もあって。でも、ちゃんと音楽をやっていると認められたかったので、そのためにはやっぱり音源を出さなければいけないなと。

実際にMIX CDや楽曲をリリースしたことで、そういう声がなくなりました。音楽とアパレルの2つの軸でやっていることを、オリジナル楽曲を出すことで認められたというか。

Takekawa:当時の若手は、MIX CDですら出しづらかったよね。

Hisashi:出せたとしても、アパレルの人がやってるMIXでしょ? っていう先入観があるので、まず聴いてもらえない。

2010年頃の東京のクラブシーンは、2000年代のニューハウス〜ディスコ・ダブは全然人気がなかった

——2人がDJを始めたきっかけや音楽的なルーツは、過去に別のメディアで紹介されているのでそちらでチェックしてもらえたらと思うのですが、結成当初の13年前の活動内容や現場はどんな状況でしたか?

Hisashi:並木橋の「bar shifty」で、平日に「Monkey Classics」というパーティを始めて、ほぼ同世代の友達で集まっていたという感じでしたね。その後は、周年パーティなどで先輩をゲストで呼んだりして。

Takekawa:Chidaさんや Force Of Natureの後押しがあったので、お客さんは2人の仲間の方だったりして、友達以外は自分達と同世代の人はほぼいなかった。当時の東京のクラブシーンは、僕らが好きだったRub N Tug、DJ Harvey、Idjut Boysなど2000年代のニューハウス〜ディスコ・ダブって全然人気がなくて……。

——その頃はDaft Punk(ダフト・パンク)以降の時代で、Kitsuné(キツネ)、Ed Banger Records(エド・バンガー・レコーズ)、DEXPISTOLS(デックスピストルズ)などが盛り上げていましたからね。

Takekawa:世の中的には完全にエレクトロの時代だったので、僕らはその真裏に入っちゃった感じ(笑)。

Hisashi:そういう状況でも自分達としては楽しくてすごくピュアでしたけどね。

——「Monkey Classics」は、後に「DISKO KLUBB」と改名され、同名のレーベル&コレクティヴにもなりました。そもそも、どういう経緯で始まったんですか?

Hisashi:結成して間もない頃に最初に制作したMIX CDの時に自主制作でしたのでそこでレーベル名を「DISKO KLUBB」にしました。それで1st EP『MONK』のリリースに合わせてMVを作ったんですが、主演の村上淳さんの他に、僕らの友達にたくさん出演してもらったんです。その後、原宿の「Ucess The Lounge(以下、UC)」でブッキングを担当していた黒崎さんから「あのMVに出演していたメンバーでパーティできないかな?」とお誘いいただきまして。

——UC時代の頃には、すでにたくさんのお客さんが入っていたような印象がありますが。

Hisashi:僕らにも少しだけ転機があって、それが西麻布の「Space Lab YELLOW」の後、「eleven」ができた頃ですね。ちょうど「Inspector Norse」をヒットさせたTodd Terje(トッド・テリエ)の日本ツアーが開催されて、僕らも前座で出演させてもらったんです。そこで多少ですが認知してもらえたところもありましたし、その日は僕らのお客さんだけでも250人くらい来てくれたと思います。

おかげでUCでパーティするようになってから、瀧見憲司さん、川辺ヒロシさん、KAORU INOUEさん、Force Of Natureさん、TRAKS BOYS(トラックス・ボーイズ)さんなど、先輩のアーティストはほぼ呼ぶことができましたね。

——他ジャンルですが、PUNPEEさんをゲストに迎えた回もありましたよね。その意外なつながりもおもしろいというか。

Hisashi:Monkey Timersとして茨城の映画祭のアフターパーティに呼ばれた時に共演したのが最初だったと思います。

Takekawa:僕はPUNPEEと一緒にツアーに行く機会があって、それまでDJとして違うジャンルの人と交わることがなかったんですが、彼の選曲やプレイを観て初めて落ち込んじゃって。同世代のDJでホンモノを観ちゃった……という感じで。当時の自分としても、DJなら同世代に負けないと思っていたのでショックだったんですよ。まだPUNPEEも全然売れていない頃でしたが、案の定、その後めちゃくちゃ売れましたね(笑)。

Hisashi:びっくりするくらいね(笑)。

Takekawa:その時の衝撃があったので、「DISKO KLUBB」にゲスト出演のオファーをしたんです。で、そのパーティでヒップホップのハウスネタで組んだその日仕様のセットを用意してきて、そこで「ヤバい!!」って、また落ち込みましたけど(笑)。

音楽とファッションが自然にリンクしていた環境にずっといれた

——その後、開催場所を青山の「VENT」に移し、今回のアルバムにも参加しているMr.Ties(Mr.タイズ)や、同じくアルバムのミックス/マスタリングを手掛けたJustin Van Der Volgen(ジャスティン・ヴァン・ダー・ヴォルゲン)もゲストに迎えました。その他、Gerd Janson (ガードジョンソン)Prins Thomas(プリンス・トーマス)John Talabot(ジョン・タラボット)Jamie Tiller(ジェイミー・ティラー)SAN PROPER(サン・プロペル)DJ TENNIS(DJテニス)TIM SWEENEY(ティム・スイーニー)Young Marco(ヤング・マルコ)Maurice Fulton(モーリス・フルトン)Tornado Wallace(トルネード・ウォーレス)など、各国のアーティストと共演してきましたよね。

Hisashi:そうですね。「VENT」になってからは、海外のアーティストを呼んでもいいということになったので、そこから徐々に規模や知名度も大きくなっていった感じです。

——ちなみに、「DISKO KLUBB」のメンバーになるための条件はあるんですか?

Hisashi:いやいや、特に条件はなくて友達や知り合いが合流してきたという感じです。JITSUMITSU(ジツミツ)はTakeの地元の後輩ですし、GYAO(ギャオ)は北九州に行った時に一緒にプレイして、その後に彼が東京に来ることになったので一緒にやろうって。

Takekawa:条件はないですが、「VENT」に移ってからはなんとなく役割は決めました。JITSUMITSUはグラフィックができるのでフライヤーやTシャツのデザイン、GYAOは今はアメリカにいますが、海外アーティストのブッキング、YAMARCHY(ヤマーキー)「ドミサイル東京」のプレスでもあるのでメディア対応してもらったり、それぞれできることをやりながらチームで動いている感じです。

——「ラミダス」のHisashi、「バル」のTakekawa、「エトス」のOMI、ブランドPRのYAMARCHY、「VCW」のKAZUHIKOといったように、各メンバーの職種をみると、ほとんどがファッション関係者であるのも特徴かなと。

Takekawa:僕が本格的にダンスミュージックに興味を持ち始めたのは、2005年に「ステューシー」が主催したRub N Tug、Michael K(マイケル・K)Paul T.(ポールT)などが出演した「MAJOR BLADE TUOR」だったり、職場の先輩である「バル」のEDAKABAが店内のBGMでかけていたRub N Tugの『Campfire』や、DJ Harveyの『Sarcastic Study Masters Vol.2』(「サキャスティック」が2001年に配布したノベルティMIX CD)でしたから。

周囲のイケてるおしゃれな先輩達が聴いていた音楽や遊びに行っていたパーティが、ファッション業界と密接につながっていたので、音楽とファッションが自然にリンクしていた環境にずっといたことになりますね。

Hisashi:僕も最初は兄の影響でJurassic 5(ジュラシック5)The Roots(ザ・ルーツ)といったヒップホップを聴いていましたが、今の会社の前身となる「ヘッド・ポーター」に入社して、お店のバックヤードにあったワイルド・バンチのDJ Milo(DJマイロ)=DJ Nature(DJネイチャー)などを聴いたり、藤原ヒロシさんの音楽を知ったり、「フラグメントデザイン」のKOJIROさんに夜遊びを教えてもらったりしてDJ活動につながっていきました。

イベントでいえば、「ステューシー」が2006年に開催したトーマスやエリックD、Paul T.らが出演した「LIFE PARTNERS STUSSY TOUR」も印象に残っていますね。

今のほうが昔よりもディスコの楽曲が盛り上がる

——まさに、ニューハウス〜ディスコ・ダブとファッションシーンのリンクを体現していたことになりますね。ちなみに、そこからさらにさかのぼって、Larry Levan(ラリー・レヴァン)などNYハウスのクラシックは通過しましたか?

Hisashi:めちゃくちゃハマりました。一時期、Monkey TimersとしてNYハウスを掘っていた時期もあったくらい。

Takekawa:どんどん掘っていって、David Mancuso(デヴィッド・マンキューソ)やLarry Levanとかにたどり着きました。ただ、ハッピーなディスコだけになってしまうと、僕ら的には少し物足りないんですよ。
僕らが一番影響を受けたのは、やっぱりRub N Tugなんですよね。もちろんForce Of Natureや初期のDJ Harveyも好きですが、彼らに共通していたのはとにかく男臭さやワルさがあること。そこにカッコ良さを感じていましたから。

Hisashi:「ステューシー」の「MAJOR BLADE TUOR」の時に、ブースでRub N Tugがけんかしながらプレイしている姿を観て「なんだこりゃ」と思ったりね。

Takekawa:そう考えると、やっぱり当時のRub N Tugかな。特に、トーマスのワルさにもっとも影響を受けているかもね。

Hisashi:そういうワルさがありながら、流れの中でしっかりハウスもかける。一晩のトータルミックスの中で、フッと差し込まれるみたいな。

Takekawa:そうそう。20曲の中に1曲かかるハウスに「あれ? 何これ、カッコいいかも?」みたいな。

Hisashi:そういう抜き差しにヤラれるという。2人でDJやっている時もそんな感じです。ずっとテクノをかけていて、そろそろ1曲ハウスやディスコを入れてみようか、とかブース内で話していますね。
しかも、今回のアルバムでDusty Springfield(ダスティ・スプリングフィールド)の「That’s the kind of love i’ve got for you」をカヴァーしているんですが、この曲もUSディスコではなくてUKディスコなんですよ。もちろんNYハウスも好きなんですが、根本的にはUK的なサウンドが好きなんだろうなという、自己発見も改めてありました。

Takekawa:ちなみに、今のほうが昔よりもディスコの楽曲が盛り上がるんですよ。昔は反応がなかったのに、今の若い子はそれを求めていたりして。

東京のクラブシーンを盛り上げる20代

——ということは、Monkey Timersの2人が上の世代から影響を受けたものを、今まさに20〜30代の世代が引き継ぎつつあるといった状況が、東京のシーンで起こっている感じなのでしょうか?

Takekawa:つい最近、瀧見憲司さんと話していたんですが、音楽が20年周期になっていて、ちょうど今の若い子が2000年頃のニューハウス〜ディスコ・ダブを聴いたり掘ったり、DJの子達がかけたりしていると。

Hisashi:実際、クラブでも盛り上がっていますからね。その若い世代のシーンに関しては、完全に渋谷の「翠月」がけん引していますけど。

Takekawa:今すごく勢いがあるCYKが28歳くらいで、Vinyl Youth(ヴァイナル・ユース)が21歳くらいですが、彼らがまさに東京のシーンを盛り上げています。自分達はもう若手ではないので、またタイミングを逃していますけど(笑)。

——いやいや(笑)。上の世代と下の世代をつないだのは、Monkey Timersかなとは思っているんですが。

Takekawa:この前ちょうど20代の子と話す機会があったんですが、彼らは「Boiler Room」がはやった時代の恩恵を受けている世代なんですよ。中学生の頃に、「Boiler Room」ばっかり聴いていたらしいですから。その中で、僕らが出演したタイミングも重なっているので、多少の影響はあったかもしれませんが。

——改めて、Monkey Timersの周辺だったり、今現在のニューハウス〜ディスコ・ダブ関連の東京シーンやコミュニティはどんな感じでしょうか?

Takekawa:僕らの同世代は少ないですね。

Hisashi:もともとは「DISKO KLUBB」をVENTで何回か開催してきた中で、新しい固定のメンバーを探してたところ、渋谷の「Bridge」でレギュラーをやっていた「エトス」のOMIくんから「おもしろいやつがいるから来てよ!」と言われて、そこで僕らより少しだけ年下のYAMARCHYを紹介してもらったんですよね。

彼は「カンナビス」と「ドミサイル東京」に携わるファッション業界の人間でもあり、「翠月」のブッキングを担当している音楽シーンの人間でもあるので、彼がハブとなっていろいろな人とつながっている気がします。もちろん僕らもそのコミュニティにいて、「翠月」で数少ないレギュラーアーティストとして「DISKO KLUBB」のスピンオフ的なイベント「DISKO (NOT DISKO)」をやらせてもらってはいるんですが。

Takekawa:東京のシーンでいえば、CYKは彼らの同世代でシーンを盛り上げようとしていますね。しかも、ハウスミュージックだけじゃなく、ラッパーもつながっているので、本当に音楽シーンができているような状況だと思います。僕らの世代はみんながけん制しあっていたので、ジャンルが違ったら一緒にやらないし、全部がバラバラでしたから(笑)。

——上の世代は、音楽もファッションも他ジャンルや横のつながりをあまり持たなかったというか。どちらかというと競争相手。今はみなさん大人になってそういうことは薄れたけれど、若い頃はありましたよね。

Takekawa:いつの間にか、そういった牽制がなくなりましたよね。

Hisashi:今の世代はそういう意味でもフラットですし、仲が良いですよね。

——コロナ禍もあって、ここ数年はクラブシーンの状況が見えづらい状況でしたが、今の話を聞くとそろそろ新しい動きが見えてきそうですね。

Takekawa:コロナ禍になって、大人がクラブへ行かなくなりましたよね。そういう意味ではシーンが一度淘汰されて、若い世代が中心になったと思います。それを象徴していることの1つが、やっぱり渋谷の「翠月」で、本当に同世代から上が少ないんですよ。ちょうどコロナの時期に準備していた若い世代が、いよいよ中心になりつつあるというか。

Hisashi:最近、海外の友人達から連絡があって、コロナが明けたら日本に来る予定なのですが、真っ先に「翠月」に行きたいって言っていました。東京の今のホットスポットという認識なんでしょうね。

Takekawa:若い子が多いですし、みんなオシャレしているし、かといって老舗のブランドを着てるイメージがなく、マニアックな曲がかかっている。それでも、フロアが盛り上がっていますから、少し前の状況ではなくなっています。

Hisashi:そういう意味で、今現在のファッションと音楽がしっかりリンクしている唯一の場所かもしれないですね。

アルバムは日本人らしさを想定した

——そういった状況の中で、これまで着々と歩んできたMonkey Timersが初のアルバムをリリースします。今の現場やシーンでどういった反応が生まれるか楽しみですね。

Takekawa:僕らの立場としては、正直、DJでできることが頭打ちになっていた部分もあるので、アルバムを発表して状況がどれくらい変わるのか見てみたい気持ちもあります。バンドや歌手にとってアルバムを出してライヴをする、というのはあたりまえかもしれませんが、僕らはDJユニットでそれを試みる。

しかもDJでかけるための楽曲ばかりではなく、リスニング用の楽曲を多めに作ったので、僕らとしても実験的なチャレンジもあったりして。

Hisashi:そういう意味でも、デジタル配信やサブスクなど今現状のすべてのプラットフォームで展開します。しかも、国内だけじゃなく海外展開も視野に入れていたので、ヴァイナルに関してはオランダ・アムステルダム設立の日本人が主宰するレーベル「Sound Of Vast」とのコラボプロダクトとして発売してますので、海外でどんな反応が得られるか楽しみですね。

——確かに、東京のリアルサウンドが海外にどう届くか気になりますね。

Takekawa:今回のアルバムは、ある意味で日本人らしさを想定して作っているんです。コード進行だったり自分達が影響を受けたディスコのサンプリングを上手く組み合わせたりして。

Hisashi:ジャンル問わず聴いてきましたが聞き慣れないというか難解な曲もあったりすると思いますが、そういう難しさは避けたかもしれません。日本人は音楽もファッションも、海外のものをエディットして出すのが上手なので、そういう感覚に近いのかなと。結果的に、Monkey Timersぽく仕上がっていればいいかな、と。

——ちなみに、Monkey Timersぽさとは?

Hisashi:アルバムに関してはリスニング用の曲も意識してますが、とはいえ現場で育ってきた身なので、使い方次第で現場でもかけられるものにもなっている。つまり、Monkey Timersがオープンtoラストでプレイしたら、今回のアルバムに収録したセットになるだろうなと。

Takekawa:しかも、今回はジャケットワークを「C.E」のSk8Thingさんにお願いしました。こちらは恐縮していたんですが、「若いアーティストがいるのに、逆に自分で大丈夫なの?」と、快く引き受けていただいて。Sk8Thingさんに事前に音源を渡したら「和物を感じた」と言ってくれたので、ちゃんとMonkey Timersぽさが表現できているのかなと。

——アルバムのタイトルを『KLUBB LONELY』にした理由は?

Takekawa:コロナ禍になって、みんなクラブが恋しくなっていたはずなんですよ。そういう状況を考えていたら、Lil’Louis(リル・ルイス)の作品で「Club Lonely」という曲があるじゃん! って、サンプリングさせていただきました(笑)。

——より一層、現場でのリアクションが楽しみですね。

Hisashi:東京・渋谷WOMBで5月20日のリリースパーティを皮切りに、全国の主要都市はもちろん、ジャカルタやバリなどすでに決定していますので、楽しめたらいいですね。

MONKEY TIMERS
DJ HarveyやIdjut Boysなどが先陣を切ったニューハウス~ディスコ・ダブを源流とするアンダーグラウンドカルチャーをバックグラウンドに、ダンスミュージックシーンのネクストフェイズを切り開くDJ/プロダクション・ユニットとして国内外で支持を集める。2009年に「DISKO KLUBB」を立ち上げる。
https://www.diskoklubb.com
Instagram :@diskoklubb_tokyo

『KLUBB LONELY』
(DISKO KLUBB/Sound Of Vast)
Monkey Timersが、結成13年目にしてリリースした待望のフルアルバム。2枚組アナログで全世界500枚限定セットでリリース。Lisa Tomlins(リサ・トムリンズ)をヴォーカルにフィーチャリングしたDusty Springfield「That’s The Kind Of Love I’ve Got for You」のカヴァーをはじめ、ベルリンを拠点にヨーロッパのシーンをリードする才人Mr. Ties、ワールドワイドな注目を集める岡山の才能Keita Sano、日系アメリカ人の新鋭ヒップホップユニット、MIRRROR(ミラー)など、国内外のヴォーカリスト、プロデューサー、ミュージシャンとのコラボレーションを展開する

■DISKO KLUBB & Sound Of Vast presents Monkey Timers『KLUBB LONELY』Release Party
日時:5月20日 金曜日
会場:東京・渋谷 WOMB
住所:東京都渋谷区円山町2-16
料金:前売り¥2,500、当日¥3,000
出演:
Monkey Timers、Force Of Nature、YAMARCHY & Jitsumitsu他
https://www.womb.co.jp

Photography Teppei Hoshida
Text Analog Assasin

author:

相沢修一

宮城県生まれ。ストリートカルチャー誌をメインに書籍やカタログなどの編集を経て、2018年にINFAS パブリケーションズに入社。入社後は『STUDIO VOICE』編集部を経て『TOKION』編集部に所属。

この記事を共有