TOKION × Wasted Youth Vol.2 VERDYが込めた「Wasted Youth」と「ポスカ」のコラボレーションへの思い

Vol.1にて紹介した「ハーゲンダッツ」とのプロダクトとともに「TOKiON the STORE」で展開される「Wasted Youth」 × 「ポスカ」のコラボレーションプロダクト。Tシャツやプルオーバーパーカ、さらにはスケートデッキに「Wasted Youth」のグラフィックが「ポスカ」に落とし込まれ、ポップでVERDYらしいラインナップとなっている。特に目を引くのがポスカ3色のセット。アパレルだけではなくステーショナリーを含む展開には、どんな意図が込められているのか。また「Wasted Youth」の新作コレクションのテーマとなっている“I can’t waste my time anymore.”には、どんなメッセージを含んでいるのかを聞く。

「ポスカ」はいつか一緒にやってみたいと考えていた存在

——「ポスカ」とコラボレーションするという発想がユニークだと思いました。

VERDY:こういうコラボレーションは初だと思うんですよね。最初に「ハーゲンダッツ」から始まり、“I can’t waste my time anymore.”をテーマに「Wasted Youth」の新作コレクションの製作に取りかかった段階で、「ポスカ」にオファーを出したんです。

——VERDYさんは、これまでに数々のコラボレーションを実現してきたわけですが、コラボ先を選ぶ基準はなんですか?

VERDY:「Wasted Youth」に関しては、ちゃんと自分のルーツに沿ったものであるということと、他のブランドやアーティストとあまり一緒にやっていなくて自分らしいもの、という僕なりのルールがあります。その中で、「ポスカ」はいつか一緒にやってみたいと考えていた存在でした。

——「ポスカ」はVERDYさんが普段から愛用されてるんですか?

VERDY:もちろんです。「ポスカ」はどんなところにも描けるっていうのがいいんですよね。スケートボードに描く時や、ライヴペイントの時はポスカを使っています。一番思い入れのあるペンですね。モノとしての見た目もかわいいですし。

過去の自分に向けた特別なコラボレーション

——いつ頃から「ポスカ」を愛用されているんですか?

VERDY:専門学校時代からですね。授業でよく使っていたのは「コピック」のペンで、紙に描く時はいいんですけど、スケートボードやライヴハウスの楽屋の壁にサインを描くには少し細過ぎて。その点、「ポスカ」は太さもあるので、そういう局面で使いやすいんです。あと、芯が丸いのも好きなんですよね。これより大きくて太いタイプになると芯先が角ばったものになってしまうので、今回コラボで作ったペンも丸い芯のタイプにしています。これが自分のベストですね。家にも大量の「ポスカ」があるんですよ。

——よく使うから大量にストックしているんですか?

VERDY:いえ、ライヴペイントする時とかに10本まとめて買うんです。そして次に使いたい時、どこにいったかわからなくなってしまって、また10本買ったりってことを繰り返しているうちに大量に溜まってしまったという(笑)。それだけ普段から愛用しているということでもあるんですけど。あとは友達に贈るイラストやサインを描く時も、この太さのポスカがちょうど良いです。

——そういった「ポスカ」ならではのポップさが「Wasted Youth」とコラボすることで、グラフィックに昇華されプロダクトとして表現されています。今回のコラボレーションで、アパレルやスケートデッキだけではなく、ペンも製作されたのはどういう理由があるんですか?

VERDY:よく「ペンは何を使っているんですか?」とか「絵をどうやって描いているんですか?」って質問をされるんですけど、それに1つ1つ答えたり、SNSでコメントを返したりできないんですよね。こうしてインタビューで答えることがあるんですけど、読んでもらえないこともあるじゃないですか。やっぱり僕の活動に興味を持ってくれる人は、アイテムに一番興味があるわけなので、展開されるアイテムの1つに「ポスカ」が入っていれば、その回答を暗に示すことにつながるんじゃないかなって。「ポスカ」が好きで普段から使っているんだなとか、なんで「ポスカ」を出すんだろうってことは感じてもらえるんじゃないかと。
もちろん、絵を描いている人で「ポスカ」を使っている人もいると思うので、そういう人にとっては、今回のコラボが特別なものになればいいと思います。それに、自分がまだ若い頃に、ストリートブランドと「ポスカ」がコラボしていたら純粋に嬉しいと思うんです。そういった意味で、過去の自分に向けて作ったような感覚もあります。

今、自分がやりたいと思っていることを全部やろう!

——わかりました。では、「ポスカ」「ハーゲンダッツ」のコラボプロダクトにあたって、新たに“I can’t waste my time anymore.”をテーマにした「Wasted Youth」の新作もリリースされます。このコンセプトについて聞かせてください。

VERDY:今(ウィズコロナ時代)みたいなになる以前、すごくせわしない日々を3年ほど過ごしてきて、ニューヨークやパリ、アジアと、世界中のいろんなところを飛び回っていて日本にほとんどいない時期が続き自分の気持ちや作品がついていかなくなくなりそうになっていたんですが、コロナ禍でゆっくりと作品を作る時間ができて、なぜか自分の頭の中に思い浮かんだこの思いが、今の自分のムードに合っていると思って“I can’t waste my time anymore.”というメッセージにたどりつきました。そこで、「今、自分がやりたいと思っていることを全部やろう!」と、思い浮かんだアイデアすべてと可能な限りコラボレーションしたいと考えるようになったんです。

——コラボレーションに挑む姿勢が変わってきたと?

VERDY:はい。今まであれば、オファーが来てから判断することが多かったですし、自分から声をかけることは少なかったんです。自分がずっとコラボしたいと思っている相手も、いつか話が向こうから来るんじゃないかっていう、待ちの姿勢だったんです。でも、今は(コラボ実現が)ダメならダメでしょうがないし、やりたいと思うことを全部自分から言ってみようと。そこで「ポスカ」と「ハーゲンダッツ」といった思ってもみなかったプロダクトの製作が実現したので、僕としてもすごくテンションが上がったんです。その勢いのまま、“I can’t waste my time anymore.”のテーマのもと、生活の中にあるものを作ろうと考えながら、どんどんアイデアを出して「Wasted Youth」の新作製作に向かっていったんです。

——目覚まし時計をはじめ、雑貨類がリリースされている部分にも、生活の中にあるものを感じさせますね。

VERDY:やっぱり、家にいる時間が増えたから雑貨類が自然と多くなったのかなと。今までは身軽なほうがいいから、あんまり雑貨を作ろうって思えなかったんですけど。あと、これは今までと変わらないことですが、自分にとって必要なものや、周りにいるスケーターの子達が普段使っているものとか、彼らと一緒にツアーに行った時に、こんなものがあったらいいなって思ったものを作っています。これは一貫してきたことですね。

——アロハシャツやボードショーツ、ビーチシートなど海で使えるアイテムがラインナップされている点も斬新です。

VERDY:それはシンプルに夏だからです(笑)。僕はプールや海がすごい好きなんですよ。だからボードショーツはずっと作ってみたかった。あと、せっかく「TOKION」と一緒にプロダクトを製作するのであれば、イチから作れるものもやってみたいという気持ちはありました。今、自分の気持ち的にはTシャツだけではなく、シャツも作ってみたかったですし、それが実現できる環境だったので、アロハシャツもラインナップに加えたんですよね。

——今回のプロジェクトだからこそ、幅広いラインナップになったのですね。

VERDY:はい。自分はあくまでもアーティストとして洋服を作っていて、アパレルブランドのデザイナーとして活動しているわけではないので、洋服の生産をゼロから行おうとは考えないんです。今回、一緒にもの作りを行うことで、楽しく新たな試みを実現することができたので、それもうれしかったです。

VERDY
グラフィックアーティスト、VK DESIGN WORKS所属。「Girls Don’t Cry」「Wasted Youth」の生みの親であり、国内外問わずブランド、アーティストとコラボレーションを手掛ける。現代ファッションシーンを代表する人物の1人。
Instagram:@verdy

「TOKION × Wasted Youth “I can’t waste my time anymore.”」
会期:7月22日~25日
会場:TOKiON the STORE
住所:東京都渋谷区神宮前6-20-10 MIYASHITA PARK 2階
時間:11:00~20:00
※緊急事態宣言などの影響により、日時が変更になる場合があります。
※抽選の応募は終了しました。

Photography Takaki Iwata
Text Ryo Tajima

author:

TOKION EDITORIAL TEAM

2020年7月東京都生まれ。“日本のカッティングエッジなカルチャーを世界へ発信する”をテーマに音楽やアート、写真、ファッション、ビューティ、フードなどあらゆるジャンルのカルチャーに加え、社会性を持ったスタンスで読者とのコミュニケーションを拡張する。そして、デジタルメディア「TOKION」、雑誌、E-STOREで、カルチャーの中心地である東京から世界へ向けてメッセージを発信する。

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