7月22日より「TOKiON the STORE」で展開されるグラフィックアーティスト VERDYによるポップアップイベント、「TOKION × Wasted Youth “I can’t waste my time anymore.”」。
本イベントでは、「Wasted Youth」と「ハーゲンダッツ」とのTシャツとプルオーバーパーカがリリースされる。この企画はVERDYがどうしても実現させたかったものだ。
なぜ、VERDYは長年にわたって「ハーゲンダッツ」を追いかけ続けたのか。そして、なぜ、「ハーゲンダッツ」なのか。そこには、VERDYのクリエイションの源泉が関係している。今回製作されたプロダクトを通じて、その思いを聞く。
昔からの憧れが実現した夢の企画
――今回の「ハーゲンダッツ」とのプロダクトの経緯は?
VERDY:「ハーゲンダッツ」とは前々から一緒に企画したいと考えていたんですが、オフィシャルでやるのが難しかったんです。これまでに、ブランドや企業とプロジェクトを進行する時、「ハーゲンダッツと一緒にアイテムを作れないか」という相談はずっとしてきたんですけど、その企画が通ることはなくて。これは「ハーゲンダッツ」とアイテムを作ること自体が無理なのかもなと思っていたところ、たまたま街をうろうろしていた時に、「アダム エ ロペ」が「ハーゲンダッツ」とのTシャツを展開している光景を目にしたんですよ。バックにプリントされているフレーバーのフォントはオフィシャルと異なっていたけど、確かにあって。それで実現することは可能なんだってことがわかったんです。
――そこで、実現可能なのであればやってみたいと思ったんですね。
VERDY:そうです。そのTシャツを製作しているのがどこなのかを調べていくと、今回ご一緒させていただいているジュンの名前が出てきたので、その場ですぐに担当の方に連絡したんです。「ずっと昔から企画したいと思っていて、本当に実現させたいので何か方法はないですか?」って(笑)。そこでようやく念願かなって「ハーゲンダッツ」とのプロダクトが実現できました。
大好きなバンドのフロントマンが「ハーゲンダッツ」で働いていて
――そもそもですが、それほど「ハーゲンダッツ」と企画したいと思っていたのは、なぜですか?
VERDY:大好きなバンドのフロントマンが「ハーゲンダッツ」で働いていて、「ハーゲンダッツ」のTシャツを着ている写真が、今でもインターネットで検索すると出てくるんですよ。そのバンドと出会ったのは高校生の頃、僕が音楽を好きになったきっかけでもあるんです。具体名を挙げると、ブラック・フラッグのヘンリー・ロリンズとマイナー・スレットのイアン・マッケイの2人。他にも、バッド・ブレインズ、サークル・ジャークス、ギャング・グリーンなどなど……。いわゆるアメリカの1980年代のハードコアシーンで活躍していたバンドなんですが、このあたりのバンドは、僕のルーツの1つです。この流れから、自分の中では「ハーゲンダッツ」のウエアは昔からめちゃくちゃかっこいい存在だったんですよね。
自分でも着たいと思っていたんですけど、「ハーゲンダッツ」のTシャツは、そもそも数が少なくて……。ヴィンテージで見つけたとしても高価だし、イアン・マッケイとヘンリー・ロリンズが着ていたというエピソードもすごく有名なので、なかなか手に入らなくて。さらに「ハーゲンダッツ」自体があまり企画アイテムをリリースしないので、市場に出回っている数が少ないというのも、今回自分がプロダクトを作りたかった理由でもあります。
――と、いうと?
VERDY:たとえ、自分のルーツに沿ったものであっても、いろんなブランドやアーティストが企画しているのであれば、このタイミングで、わざわざ作らなくてもいいかなって思うんです。自分でなくても、いつでも誰とでも成立する企画なのであれば、別のアーティストやブランドとやったほうがいいのかもしれないと思ってしまうんですよね。そういう点で考えても、「ハーゲンダッツ」と一緒にプロダクトを作ってみたいと感じたんです。
――なるほど。そういった意味では、VERDYさんにとって「ハーゲンダッツ」のアイテムは音楽的カルチャーを持った特別なものなんですね。
VERDY:そうですね。今思えば、僕も初めて働くとするならアイスクリーム屋さんがよかったかなとか考えちゃいます(笑)。それほどいいいんですよね、イアン・マッケイとヘンリー・ロリンズが着ている雰囲気が。すごく楽しそうにしていて、ずっと憧れていたんです。
――せっかくなので、先ほどのお話にあった音楽を好きになっていった経緯、ブラック・フラッグやマイナー・スレットとの出会いについても教えていただけますか?
VERDY:僕が中学~高校生だった頃に1980年代ハードコアパンクが再燃していて、国内ではバーベキュー・チキンズやレイザーズ・エッジ、アイドルパンチといったバンドをよく聴いていました。そして、当時通っていた音楽スタジオで働いていた人が、そのアイドルパンチのサポートギターをやっていた人で、自分が好きな音楽について話をしていたら、ブラック・フラッグやマイナー・スレット、バッド・ブレインズなどのCDを貸してくれたんです。そこから一気にはまっていったんですよね。1980年代のハードコアパンクシーンのいいところって、抜群にバンドのグラフィックがかっこいいってところ。スタイルもTシャツにショーツで普段着のままで、そんなスタイルでハードコアパンクをやっているというのもかっこいい。そのカルチャーが自分の核になっています。今、僕が作っているものも、当時のグラフィックからの影響は大きいし、メッセージもそこからきていますね。
純粋に「ハーゲンダッツ」が好きな人にも注目してもらえたら嬉しいです
※サンプル商品のため、実物とは異なる部分もございます。
――では、今回のプロダクトのデザインについて教えてください。
VERDY:イアン・マッケイとヘンリー・ロリンズの写真で、彼らが着ているTシャツもそうなんですが、「ハーゲンダッツ」のTシャツって仕様的にバックプリントがアイスクリームのフレーバーになっているんですよね。だから、フロントのデザインはシンプルにロゴを置いて、裏面にはオリジナルのフレーバーを考えました。そして、「Wasted Youth」との企画ということもあって、“Wasted”の言葉は使いたかったので、自分が好きなカラーでもあるブラックから連想させてチョコレートにしようと。そこで“WASTED CHOCOLATE”という架空のフレーバーを施しているんですよ。
――一方で“CASSIS(カシス)”は?
VERDY:これはイアン・マッケイやヘンリー・ロリンズもそうですけど、「ハーゲンダッツ」のTシャツでよく着られているフレーバーが“CASSIS”で、それは自分もほしいので、ということで作りました(笑)。特に「Wasted Youth」と関係する言葉を入れているわけではないんですが、僕のやっていることに興味がない人でも、「ハーゲンダッツ」のTシャツを着たい人は大勢いると思うので、その人達に向けてあえてそのままの表記にしました。当時のボディに使われていたのは「ラッセル」のTシャツだったので、今回のコラボでは「ラッセル」にインスパイアされた「Wasted Youth」のオリジナルタグで作っているんですよ。
――まさに夢が叶った企画ですね。
VERDY:はい。今回は他にも「ポスカ」とのコラボアイテムもリリースしますし、“I can’t waste my time anymore. ”をテーマに掲げた「Wasted Youth」の新たなコレクションも「TOKiON the STORE」では展開するんですが、「ハーゲンダッツ」との企画の実現が発端になって、一連のプロジェクトが進行した流れです。そういった意味でもきっかけになったプロダクトなので、僕の活動に興味を持ってくれている人も、純粋に「ハーゲンダッツ」が好きな人にも注目もらえたら嬉しいですね。