7月22日より「TOKiON the STORE」で開催されているポップアップイベント「TOKION × Wasted Youth “I can’t waste my time anymore.”」
グローバルな活動を展開している人気グラフィックアーティストのVERDY。中でも自身がクリエイションを手掛けている「Wasted Youth」や「Girls Don’t Cry」といったプロジェクトは、世界中に熱烈なファンを持っている。その一挙一動を見逃すことのできないVERDYが、本日より「TOKiON the STORE」でポップアップイベント「TOKION × Wasted Youth “I can’t waste my time anymore.”」を開催している。
発売されているアイテムは、ロサンゼルスで撮影された最新ルックで紹介されている「ハーゲンダッツ」や「ポスカ」とのプロダクトをはじめ、アロハシャツやショーツ、ビーチシートといった「Wasted Youth」の新作なども幅広く取りそろえている。
その開催中のイベントに合わせて、TOKIONではVERDYと共同企画した投稿型デザインコンテスト「TOKION × Wasted Youth T-SHIRT DESIGN CONTEST」をスタートする。本コンテストは、「もしあなたがTシャツを作るなら……?」のお題の下、みなさんがデザインした作品をインスタグラム上で募集。後日、VERDY本人が投稿された作品の中から気になったデザインを厳選し、TOKIONのサイト上で紹介する。
そこで本企画を考案し、過去には雑誌上で企画されていたTシャツコンテストに応募した経験もあるというVERDYに、本企画に対する思いを聞いた。
僕にとっては新しい人に出会える機会。気軽に楽しむ気持ちで参加してほしい
ーー今回、VERDYさんが「TOKION × Wasted Youth T-SHIRT DESIGN CONTEST」を開催しようと思ったのはなぜですか?
VERDY:2020年にコロナ禍になって以降、取材を受ける数を減らして自宅でできる企画を発信するようにしていたんです。例えば、グラフィックをアップして、みんなが塗り絵を楽しめるようにしたりなど。そんな時勢で今、自分がTシャツコンテストをやったらおもしろいことになるんじゃないかなという思いが原点にありました。しかも今回は、TOKIONとの共同開催ということもあって、メディアと一緒に行えることで、さらに意味がある企画になると感じたんですよね。
ーーコンテストを開催することでおもしろいことになるというのは、どういうことですか?
VERDY:以前、自分の母校(VERDYが通っていた専門学校)で講義を行ったことがあるんですけど、授業後に一部の生徒がポートフォリオを持ってきて、僕にどう感じるか意見を言ってほしい、どうすれば良くなるかアドバイスがほしいと聞かれたことがあるんです。他にもポップアップを開催した際に、絵を持ってきてくれる人もいるんですけど、そういうふうに行動できる若い子は本当に少数だと思うんですよね。まず、僕と対面で会う機会があることに限られてしまいますし。けど昔の自分のようにデザインしたいしデザイナーになりたいけど就職したい所もなくて、もやもやしてる人がたくさんいるんじゃないかなって思って。
ーーそうですね。直接話ができる距離感となると、とても少ないと思います。
VERDY:ですよね。でも、世界中に「自分の絵はイケてる!」と思っている人が大勢いると思いますし、SNSで発信している人数も考えたら数えきれないくらいいるじゃないですか。僕自身、新しい才能を持った人に出会いたいと思っても、とてもじゃないけど、世界は広くて見つけ出すことはなかなかできないと思うんです。でも、コンテストという形式を取れば、住んでいる場所を問わずして、多くの人が参加できますし、数多くの作品が集まることで、おもしろい発想や想像力を持った新しい人に出会えるんじゃないかと考えました。なのでとても楽しい企画になるんじゃないかと思っています。
ーー今回、TOKIONと共同で開催することにしたのは理由がありますか?
VERDY:こういった企画(=Tシャツコンテスト)自体は以前からやりたいと思っていて、いつ誰とやるのが適しているかを考えていたんです。今回は「Wasted Youth」 × 「ポスカ」のコラボレーションアイテムをリリースしますし、“描く”ということにフォーカスしたプロダクトだったことも考えると、テーマ的にもコンテストの開催はマッチしていると感じました。それにインスタグラムをはじめ、SNSが浸透した現代であれば、応募作品をSNSにアップして世界中のみんなとシェアできるし、昔と比べると、より意味があると思うんですよね。
ーー昔というと、以前、VERDYさんもTシャツコンテストに参加された経験があるのだとか?
VERDY:そうですね。2012年に日本のストリートカルチャーマガジン『Ollie』がNIGO®さんのサポートの下、雑誌上でTシャツコンテストを開催したんです。そして、その審査員がNIGO®さんだったんですよね。それに応募したことがあります。
でもちゃんと応募規定を読まずに応募してしまったので、規定にあったことを描かずに、「ヴァンズ」を履いてライヴハウスでモッシュしている少年のイラストを送っちゃって……(笑)。そのコンテストは、グランプリに1作品が選ばれて、9作品が入賞という結果だったんですが、なんと僕の絵がその入賞枠に選ばれたんですよね。今になってNIGO®さんにその話をしたんですけど、覚えてくれていたんです。それはとても嬉しかったですね。
ーーコンテストに応募して入賞したこともすごいですが、時を経てNIGO®さん本人とその話ができたというのも夢がありますね。
VERDY:応募当時、僕はまだまだ無名でしたし、大阪に住んでいて、東京で出版されている雑誌に載るチャンスなんかないと思っていたので、応募した時も、すごくドキドキしたんですよね。応募以降は、グランプリが掲載されている号の発売が待ち遠しかったですし、入賞できた経験は、今思えば絵を描くことを諦めなかった理由の1つになっているんじゃないかと思います。当時の自分のように、表現したいものはいっぱいあって毎日絵を描いてるけど、発表する場所がない若い人は多いんじゃないかなと。
ーーしかも今回のTシャツコンテストは、VERDYさん自身が審査員なわけですから、「Wasted Youth」や「Girls Don’t Cry」のファンにとっても嬉しいでしょうね。
VERDY:そう思って応募してくれる人が増えたら嬉しいです。僕は先程の応募当時は、バンドのアートワークなどを手掛けていて、そのシーンからデビューできたと感じているんですけど、今、同じような状況でバンドが好きで絵を描いている若い子はいるのかなと知りたいです。ブランドをやっている人の中にも、おもしろいグラフィックを作る方はいるのかも知りたいです。僕はカッコいいことを真剣にやっている人が好きです。
ーー若い世代から新たな才能を発掘したいという思いもあるんでしょうか?
VERDY:いえ、そういったわけではなく、単純に“知りたい”という思いが強いです。あえて何かを伝えるという意味で言うなら、若い世代に古いシステムにのみ込まれないやり方があることを知ってほしいという気持ちはあります。
ーーといいますと?
VERDY:僕がいるようなシーンで駆け出しのデザイナーとして活動していると、1デザイン数万円とかで描いた絵が何年もずっと使われて売られ続けてしまったりという、フェアじゃない状況で仕事をせざるを得ないこともあるかもしれません。でも自分で作ったものに対してはちゃんと対価を受け取って、同時に自分の作品に対して責任を持つべきだと思います。有名か無名かというのは関係ないはず。有名になると、いろんなところからオファーがくるようになるし、最初は嬉しいから全部引き受けてしまいがちだし、結果として注目され過ぎることで、世の中にデザインが急にあふれてしまって、一時的に仕事が増えても上手くいかなくなった人や忙しすぎて自分のバランスを崩してしまう人もいたります。そんなふうに才能を潰してしまったらもったいないですよね。
企業やブランドからしたら1つのデザインにすぎないかもしれませんけど、自分は自分の名前をずっと背負っていかなければいけないので大切にしないといけないなって思っているので、そういったことを伝えたいという気持ちがあるのかもしれません。
ーーわかりました。今回のコンテストですが、応募者にはどんな気持ちで作品を送ってほしいですか?
VERDY:軽い気持ちで送ってくれるだけでも嬉しいし、本気で描いたものを送ってくれるのももちろん嬉しいです。イラストやグラフィックを上手に描けるかどうかなんて気にしないでほしい。完成された作品を見たいわけではないので、こんなの送ってもいいのかな? と遠慮することなく、自由に気軽に楽しむ気持ちをもって参加してほしいです。