Tokyo Wish List ―冬気分を盛り上げるノルディックニット―

長かった夏日もそろそろ影を潜め、一気の街は冬ムードで、ようやくニットにも手を伸ばせそうな気温になりつつある今日この頃。今季は、寒さ深まる冬のムードを盛り上げてくれる、冬らしい柄を取り入れたニットがトレンドのよう。定番の雪の結晶モチーフや幾何学模様をアレンジした個性的な1枚で、温かみのあるウィンタールックにスパイスを添えてみては。

UNDERCOVER

伝統と反逆のコントラスト

“CREEP VERY”をテーマに、今の時代、常に相反する感情を抱えて生きているすべてのひとびとに向けて作った世界観を表現したという、今季の「UNDERCOVER(アンダーカバー)」。そのコレクションから登場したニットは、雪の結晶や教会など、伝統的なノルディックモチーフに相反するかのような、華美なモチーフをON。途中で途絶えてしまった雪の結晶のモチーフに取って代わる、大輪の薔薇の花。ニットの雰囲気と対照的な、写実的な鳥と青い薔薇のパッチワークが、逆さに描かれた教会の編み柄の上で主張する。
伝統的なノルディックニットのスタイルに、「アンダーカバー」らしい反逆的なフィロソフィーを落とし込んでアレンジ。ウールブレンドを使用した厚手の素材に、リラックス感のあるシルエット。首もと、袖口などはチャンキーなリブエッジで仕上げられている。“伝統”と“革新”。常に相反する2つの事象を捉える、ブランドの精神が美しいコントラストを描いている。

アンダーカバー 03-3407-1232

COOHEM

日本×ノルウェーの冬支度

繊維工業が盛んな山形県の老舗ニットメーカー、米富繊維株式会社のファクトリーブランドとして2010年秋冬よりスタートした「COOHEM(コーヘン)」。ブランド名は”交編”という、2種類以上の違った種類の糸を使用して編むことを意味する専門用語に由来する。新しい素材を生み出し、緻密な編み柄を表現する技術。歴史ある産業が革新を続け、現代のライフスタイルにフィットした物づくりを続けている。
その技術に裏打ちされたブランドからの1枚は、繊細な編み柄と軽やかで上質なラムウールの素材感が印象的なカーディガン。長い歴史を持つノルウェー・セテスダール地方の伝統的なニットから着想を得たジオメトリック柄と、装飾的なメタルフックが目を引く。少し長めの丈感で軽いアウターとして羽織ることもできる。山形とノルウェー。厳しい冬を迎える2つの地域から生まれたニットが、寒い冬を優しく温かく彩ってくれる。

コーヘン(米富繊維)023-664-8166

YUKI HASHIMOTO

裏側の世界をのぞいてみる

”NEW ORDER”をコンセプトに、2019年にデビューしたブランド「YUKI HASHIMOTO(ユウキ ハシモト)」。アントワープロイヤルアカデミー在学中には、「ラフ・シモンズ」や「メゾン・マルジェラ」でデザインアシスタントを経験したのち、卒業後すぐに自分のブランドをスタートさせた。
そんなフレッシュな感性とアントワープの系統を引き継ぐ同ブランドから登場したのは、”INSIDE-OUT”がテーマになった個性的な1着だ。今シーズンのテーマであるミッドセンチュリー時代にインスパイアされ、家具の倉庫をイメージしたオリジナルのフェアアイル柄のニットが登場した。家具にも見られる異素材の組み合わせをニットの切り替えで表現したり、経年を感じさせるような裏側のほつれをあえて表のデザインに取り入れるなど、独特な手法でそのクラフト感が再現されている。

サカス ピーアール 03-6447-2762

Photography Erina Takahashi
Styling Norie Kurakata
Text Eri Imamura

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TOKION EDITORIAL TEAM

2020年7月東京都生まれ。“日本のカッティングエッジなカルチャーを世界へ発信する”をテーマに音楽やアート、写真、ファッション、ビューティ、フードなどあらゆるジャンルのカルチャーに加え、社会性を持ったスタンスで読者とのコミュニケーションを拡張する。そして、デジタルメディア「TOKION」、雑誌、E-STOREで、カルチャーの中心地である東京から世界へ向けてメッセージを発信する。

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