Tokyo Wish List ―新しい年に福を呼び込む新定番アイテム―

今の気分にフィットする、手に入れたいアイテムをTOKION視点でピックアップする「Tokyo Wish List」。輝かしい気持ちで始める新年は、福を呼び込む素敵なアイテムと過ごしたい。そこで新年にふさわしく日本の伝統を感じつつ、現代のカルチャーやデザインをミックスしたグッズを紹介したい。いずれも職人の確かな技術が光る造形に、現代的な文化の再解釈やイラストが大胆に融合されている。アイテムに合わせて、2022年は私達の価値観もアップデート。

SHITSURINDO × MARUHIRO × Mark Gonzales

伝統工芸とスケートカルチャーの“MIX IT UP”

福井県の伝統工芸である越前漆器と、“ゴンズ”の愛称で親しまれるスケート界のレジェンド、マーク・ゴンザレスがコラボレーション。「アディダス」や「シュプリーム」で目にする彼らしい脱力系アートワークが、静かに艶めく漆の重箱にポップにちりばめられている。
1つの重箱にはゴンズらしいユルいスケーターや、エンジェルのイラストが落とし込まれ、もう1つの重箱には側面に「LOVE」を、蓋の中央にはドルーマークを配して「LOVE or MONEY」的なメッセージを。少量生産の漆器の底にはリミテッドナンバーが刻まれる。漆器の重箱にポップなイラスト、相反する要素が融合した結果、現代のインテリアにも日常使いにも馴染む雰囲気に仕上がっている。
この漆器の製作を手掛けたのは、200年以上にわたり一貫して漆器の製造販売を行う福井県の老舗「漆琳堂」。そしてこのユニークなコラボを生み出したのは、長崎で400年以上続く波佐見焼で有名な陶磁器ブランドの「マルヒロ」だ。生産工程において、現状規格ではB級と判定され商品化されない物や、製造工程での産廃物とされるような端材資源にさまざまな分野の知恵を用いて付加価値を加え、“B級判定”を豊かに超える“S級品”を製作する、同社のプロジェクト“MYSTERY CIRCLE”で実現した。日本の伝統工芸を担う老舗が、昔から受け継がれる日本の美しい伝統を現代の多様なカルチャーと“MIX IT UP”して新しい表情を生み出している。

マルヒロ 0955-42-2777

D-BROS

酔いが回れば、独楽も回るし目も回る

お正月やハレの日には、誰かとお酒を酌み交わす。いにしえの時から現代まで、途切れることなく続いている人間の本能のような習慣ではないだろうか。今年のお正月はこれを持って、親戚中の家を巡りたくなるような酒器が、この酔独楽(よいごま)。底の部分が平らになっていないので、飲み干すまで置くことができず、その形状から置いた時にはくるくるとコマのように回る。“可杯(べくはい)”と呼ばれる、古くから楽しまれていた高知県のお座敷遊びから着想を得て登場した。
この酔独楽を手掛けたのは、プロダクトブランド「ディーブロス(D-BROS)」で、ともにデザイナーとして活躍していた植原亮輔と渡邉良重が立ち上げたクリエイティブユニット「キギ(KIGI)」。素地となる木工は、神奈川県の「小田原木工」、鮮やかな色の装飾は漆で施されており、石川県の山中漆器の手によるものだ。伝統的な日本の文化と技術が、現代の私達でさえもいにしえの人達となんら変わらず、同じ感覚で楽しめる粋な遊び道具として再解釈されている。
盃を飲み干し、回る酔独楽を見ていたら、次に回るのはあなたの目と頭の中。新年のおめでたい祝いの宴は、夢の世界へと誘ってくれるこの盃で。

アワ フェイバリット ショップ 03-6677-0575

Nakagawa Masashichi Shoten

新しく始まる1年に願いを込めて

干支の装飾品は、その1年の家内安全を祈願するという意味がある。1716年に奈良県で創業した日本の工芸をベースにした生活雑貨などを取り扱う「中川政七商店」からは、2022年の干支である、寅のイラストをあしらったボンボニエール(小物入れ)と干支皿が登場。
使われているのは石川県が誇る加賀百万石の高級食器、九谷焼を身近にしたいという思いから生まれたブランド「KUTANI SEAL」とのコラボレーション商品で、九谷焼に転写シールでイラストを焼き付けるという斬新な発想が取り入れられている。九谷焼でありながら、構えなくても手に取れるカジュアルさがあり、干支の寅や石川のモチーフがちりばめられたイラストがポップな華やかさと楽しさを添えてくれる。底の裏面には、今年の「2022」とポップなロゴがあしらわれている。
年初め、せっかくならこのボンボニエールに願いをこめて。あなたなら何を入れてみる?

中川政七商店 渋谷店 03-6712-6148

Photography Erina Takahashi
Styling Norie Kurakata
Text Eri Imamura

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TOKION EDITORIAL TEAM

2020年7月東京都生まれ。“日本のカッティングエッジなカルチャーを世界へ発信する”をテーマに音楽やアート、写真、ファッション、ビューティ、フードなどあらゆるジャンルのカルチャーに加え、社会性を持ったスタンスで読者とのコミュニケーションを拡張する。そして、デジタルメディア「TOKION」、雑誌、E-STOREで、カルチャーの中心地である東京から世界へ向けてメッセージを発信する。

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