日本に受け継がれる確かな技術をファッションに――連載「Tokyo Wish List」

日本はもちろんのこと、海外のファッションブランドでも見かけることのある日本文化。今や日本の文化は見る、聞く、味わうだけではなく、着るという行為を通しても体感できる。そこで今の気分にフィットする、手に入れたいアイテムをTOKION視点でピックアップする「Tokyo Wish List」では、日本の技術が生かされたファッションウェアにフォーカス。一見しただけではわからないけども、知っていて損はしない。そんな日本文化とファッションの融合をぜひとも手に取ってみて。

UNUSED

デジタルとアナログの融合で表現されたタイダイアイテム

「観念的な枠を取り去り、解体し、存在の新たな形の追求と提案」をコンセプトに、2004年からオーセンティックで洗練されたウェアを展開する「アンユーズド(UNUSED)」。そんな同ブランドらしく縛られないアイデアで製作されたのが、今回のタイダイアイテム。デジタルが進化する中で、アナログだからこその味わいに着目したというこちらは、機械を使いながら染めたアイテムを1枚ずつ人の手でたたむというデジタルとアナログの製法を取り入れたものとなっている。機械での染め作業といっても、染料を注ぐ位置や分量は、経験を積んだ職人の感性で選ばれているので、その点には現代的なアプローチが使われているのもおもしろい。こうして仕上がったウェアは、まるで工芸品のような美しい仕上がりで、個性に満ちたアイテムとなっている。

alpha PR 03-5413-3546

NOAH

京都の伝統技術で染められたスウェットセットアップ

ニューヨークストリート界の重鎮、ブレンドン・バベンジンによって2015年に本格スタートしたブランド「ノア(NOAH)」。トレンドには流されないハイクオリティなアイテムを展開するニューヨークブランドが、昨年末より日本限定でアップサイクルプログラム「NOT DEAD YET!」をスタートさせた。これらアイテムは、京都の老舗染め屋「京都紋付」とタッグを組み、過去の在庫やB品となって販売ができなくなってしまった商品を彼らの伝統技術によって黒に染められたシリーズ。その染め技術は“深黒染め”と呼ばれる特殊な技術で、染められたアイテムは白い衣類達と一緒に洗濯しても色移りしないというクオリティの高さを誇る。通常のブラックのアイテムとは違った、染められているからこその黒さはまたひと味違う表情でおもしろい。まさに「まだ死んでない」というメッセージがぴったりなエシカルアイテムは、数量も限定なので早めに手に入れたい。

ノア クラブハウス 03-5413-5030

quitan

日本の技術と世界の文化が混ざり合ったさび柄シャツ

2021年春夏から本格スタートした、宮田・ヴィクトリア・紗枝によるユニセックスブランド「キタン(quitan)」。同ブランドは、世界中の民族とその暮らしの工夫からウェアを考えており、独特の視点とデザインが注目を集めている。今回ピックアップしたアイテムも“らしさ”にあふれている。ベースになっているのは、イスラーム文化圏の男性が着用するカフタンシャツ。そして独創的なさび柄は、日本で古くから愛用されている備長炭を採用し、そこにさびを掛け合わせた天然染料で表現している。染色も1点1点、職人の手によって仕上げられており、こだわりが凝縮されている。まるで日本とイスラーム文化圏が、ファッションアイテムで融合したような1着は、素朴ながらも表情豊かで魅力的だ。

キタン 03-5467-7870

Photography Erina Takahashi
Styling Takuya Raita

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TOKION EDITORIAL TEAM

2020年7月東京都生まれ。“日本のカッティングエッジなカルチャーを世界へ発信する”をテーマに音楽やアート、写真、ファッション、ビューティ、フードなどあらゆるジャンルのカルチャーに加え、社会性を持ったスタンスで読者とのコミュニケーションを拡張する。そして、デジタルメディア「TOKION」、雑誌、E-STOREで、カルチャーの中心地である東京から世界へ向けてメッセージを発信する。

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