音楽家・渋谷慶一郎が映画『ホリック xxxHOLiC』のサウンドトラックを収録した電子音楽アルバム『ATAK025 xxxHOLiC』を発表

音楽家・渋谷慶一郎が、4月29日から公開されるCLAPによる大ヒットコミックを実写化した映画作品『ホリック xxxHOLiC』(監督:蜷川実花、主演: 神木隆之介×柴咲コウ)のサウンドトラック全21曲を収録したアルバム『ATAK025 xxxHOLiC』を発表。本日4月15日から自身のレーベル「ATAK」公式WEB SHOPでCD を先行限定発売する。ストリーミング配信及び一般流通によるCD 発売は、映画公開直前の4 月27 日を予定している。

第75 回毎日映画コンクール音楽賞、第30 回日本映画批評家大賞のダブル受賞を果たした映画『ミッドナイトスワン』(アルバム『ATAK024 Midnight Swan』としてリリース)に続く映画音楽作品となるが、同作が全編ほぼピアノソロで統一されていたのとは対照的に、今作『ATAK025 xxxHOLiC』は最新型の電子音楽作品となっている。今作ではピアノを一切使用されず、現代最高峰のポリフォリック・アナログシンセサイザー「Moog One」や数多くのソフトシンセサイザーによる電子音、ノイズ、無国籍な民族楽器のシミュレーションなどが縦横無尽に飛び交う、重層的かつ中毒性の高いエレクトロニック・サウンドスケープが展開される。

渋谷慶一郎 /Keiichiro Shibuya「ATAK025 xxxHOLiC 」(映画『ホリック xxxHOLiC 』サントラ試聴版)

映画『ホリック xxxHOLiC』では、ストーリーの鍵となる「アヤカシ」のサウンドデザインは渋谷の盟友でもあり「インビジブル・シネマ(目に見えない、音だけの映画)」を発表するサウンドアーティストのevala が担当しており、映画全編に渡り立体的で繊細、複雑なノイズを聴かせる。また、渋谷とここ数年に渡りコラボレーションを展開し、今年3 月のドバイ万博で発表されたアンドロイド・オペラ®「MIRROR」でも共演を果たした仏教音楽・声明の現代随一の演奏家である藤原栄善も見事な朗唱を映画の要所で披露。最新型テクノロジーと日本最古来の1200 年の伝統を持つ仏教音楽・声明という多種多様な要素から映画「ホリック xxxHOLiC」の映画音楽は作り上げられている。

その映画のために作られた音楽の素材全てを精査し、奇才Eartheaterのミックスを手掛けるNY 在住の新鋭Kiri Stensbyがミキシングを担当し、渋谷との綿密なやり取りの末に再構成されたのが本作『ATAK025 xxxHOLiC』となる。

渋谷の電子音楽アルバムとしては、初音ミク主演・人間不在のボーカロイド・オペラ『THE END』を収録した『ATAK020 THE END』を発表して以来、約10 年ぶりとなる本作には全21 曲を収録。約70 分に及び、極彩色の映画に呼応するかのように乱反射するモチーフとミニマル、ノイズ、ドローン、テクノ、ダブ、仏教音楽まで縦横無尽に横断する、渋谷ならではの最新型にして唯一無二の電子音楽が繰り広げられる。また、今作のマスタリングはArcaのアルバム『Kick』シリーズなどを手掛けるベルリン在住のEnyang Urbiksが担当し、解像度も音圧も現代的で最高レベルの仕上がりとなっている。

アルバムのジャケットには、監督・蜷川実花の撮影による未発表を含む写真4点を使用。蝶や瞳など映画のモチーフと絶妙に共鳴した世界観が作られている。

今作のリリースに際し、参加アーティスト、エンジニアは以下のコメントを寄せている。

evala:「見える人にしか見えない奇怪で不可思議なアヤカシ。世界中で録りためてきた非日常空間の音から、カオス力学アルゴリズムまでを使って、その音を探求しました。久しぶりの渋谷さんとの協働はとてもエキサイティング!映画音楽の新しい未来が見えました。」

藤原栄善:「1200 年の歴史ある高野山に伝わる仏教音楽 声明。今まで誰も考えつかなかったであろう電子音楽と声明のコラボレーション。天才音楽家 渋谷慶一郎氏によって幻想的な世界が創り出される。宇宙空間にいるような初めての体験。まさに曼荼羅世界。安心と心地よさを味わうことができる作品だと思います。」

Enyang Urbiks:「私はマスリングエンジニアとして、アーティストの精神をイメージし、そのイメージを音にすることを目指しています。慶一郎の作曲は、正義のためにリスナーを天国に連れていく、幽玄の闘士のような感じがしました。それを音で表現したかったんです。ジャンプして軽やかに飛びながらも、地に足をつけて強く立ち上がり、世の中の波を動かしていくファイターのような。このような美しく力強い、豊かなイマジネーションに満ちたコンポジションに誘ってくれた慶一郎に感謝しています。また彼のチームが作り上げた、今回の制作チームのハーモニーにも凄く感謝しています。」

Kiri Stensby:「渋谷氏の音やテクスチャーの使い方はとても刺激的で穏やかなシンセサイザーやアンビエントな瞬間と、大きなクラッシュや爆発的なサウンドの共存が、ミキシングを面白くダイナミックなものにしてくれました。彼の作曲はストーリーがあるので、音楽の裏にある感情を引き出すような、豊かで充実した音の風景を作り上げることができました。」

『ATAK025 xxxHOLiC』アーティスト/エンジニア プロフィール

渋谷慶一郎が映画作品『ホリック xxxHOLiC』(監督:蜷川実花、主演: 神木隆之介×柴咲コウ)に書き下ろした全21曲を収録したアルバム『ATAK025 xxxHOLiC』を発表。

Composition, Keyboard, Electronics: 渋谷慶一郎/Keiichiro Shibuya
音楽家。東京藝術大学作曲科卒業、2002 年に音楽レーベル ATAK を設立。作品は電子音楽作品からピアノソロ 、オペラ、映画音楽 、サウンド・インスタレーションまで多岐にわたる。代表作は人間不在のボーカロイド・オペラ『THE END』(2012)、アンドロイド・オペラ®『Scary Beauty』(2018)など。
2020 年に映画『ミッドナイトスワン』の音楽を担当、毎日映画コンクール音楽賞、日本映画批評家大賞映画音楽賞を受賞。2021 年8 月 東京・新国立劇場にてオペラ作品『Super Angels』を世界初演。2022 年3 月にはドバイ万博にてアンドロイドと仏教音楽・声明、UAE 現地のオーケストラのコラボレーションによる新作アンドロイド・オペラ®『MIRROR』を発表。人間とテクノロジー、生と死の境界領域を作品を通して問いかけている。
http://atak.jp
Photography Mari Katayama

Ayakashi Sound Design: evala
音楽家、サウンドアーティスト。新たな聴覚体験を創出するプロジェクト「See by Your Ears」主宰。立体音響システムを駆使し、独自の“空間的作曲”によって先鋭的な作品を国内外で発表。音が生き物のように躍動的にふるまう現象を構築する。近作として、2020 年に完全な暗闇の中で体験する音だけの映画、インビジブル・シネマ『Sea, See, She ‒ まだ見ぬ君へ』を世界初上映し、文化庁メディア芸術祭アート部門優秀賞受賞。2021 年、空間音響アルバム『聴象発景 in Rittor Base ‒ HPL ver』が、国際賞プリ・アルスエレクトロニカ Digital Musics & Sound Art 部門において栄誉賞受賞。
https://evala.jp
https://seebyyourears.jp
Photography Susumu kunisaki

Buddhist Chant: 藤原栄善/Eizen Fujiwara
高野山真言宗 六甲山鷲林寺の住職であり、1200 年の歴史を持つ高野山に伝わる仏教音楽・南山進流声明家。南山進流声明の大家である中川善教師とその弟子宮島基行師二人より学び、 25 年の修行を経て2003 年に皆伝を許される。渋谷慶一郎とは2017 年よりコラボレーションを開始、2019 年にはメディアアートの祭典「アルスエレクトロニカ・フェスティバル 2019」にて 『Heavy Requiem』を初演。2022 年3 月にはドバイ万博で行われたアンドロイド・オペラ®『MIRROR』に出演するなど活動を広げている。

Mastering: Enyang Urbiks from Urbiks Music
韓国出身、ベルリン在住。アーティスト兼マスタリングエンジニアとして、Funkhaus Berlin を拠点に、最先端のアーティストのリリースに
携わる。Berlin ならではの新しいシーンとサウンドに触れ、実験音楽シーンに深く関わる。Arca、Amnesia Scanner、Tzusing のこの10 年で最も革新的なリリースのマスタリングを担当。独自に開発した音の視覚化技術を採用し、各アーティストの精神そのものを表現するような音作りを目指す。自身もミュージシャンであることから、音に対する理解と音楽的な感性をアーティストと共有し、力強く世界に発信できる作品を作り上げる。
https://urbiks-music.com
Photography Max Jurisch

Mix: Kiri Stensby
ニューヨークを拠点とするミュージシャン、プロデューサー、オーディオ・エンジニア。NYU のClive Davis Institute for Recorded Music で、作曲、制作、ミキシング、マスタリングなど、音楽制作を多面的に学ぶ。2019 年より自身のスタジオをニューヨークに構える。様々なジャンルの音楽を手掛け、主に実験的なポップスの領域で活動している。Eartheater、LEYA、Caroline Polachek など、電子音楽からアコースティックまで先鋭的なアーティストのミックスや音楽制作を行う。

■渋谷慶一郎『ATAK025 xxxHOLiC』
4 月15 日17 時から「ATAK」公式WEB SHOPで先行発売。4 月27 日から各種ストリーミング配信及びAmazon、タワーレコードなど一般流通にてCD 発売開始。
ATAK 公式サイト:http://atak.jp

■映画『ホリック xxxHOLiC』
公式サイト:https://xxxholic-movie.asmik-ace.co.jp/

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TOKION EDITORIAL TEAM

2020年7月東京都生まれ。“日本のカッティングエッジなカルチャーを世界へ発信する”をテーマに音楽やアート、写真、ファッション、ビューティ、フードなどあらゆるジャンルのカルチャーに加え、社会性を持ったスタンスで読者とのコミュニケーションを拡張する。そして、デジタルメディア「TOKION」、雑誌、E-STOREで、カルチャーの中心地である東京から世界へ向けてメッセージを発信する。

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