海外ブランドのデザイナーの中には、日本のファッションやカルチャー、伝統を愛する人も多く、日本をモチーフにしたファッションアイテムも多数リリースされている。そこで、手に入れたいアイテムをTOKION視点でピックアップする連載「Tokyo Wish List」では、日本のカルチャー、伝統ファッション、職人技を取り入れて作られた海外ブランドのアイテムを紹介。
こだわり抜かれて作られたアイテムからは、世界で活躍するデザイナー達の日本愛を感じることができる。
OAMC × provoke



50年以上前に日本で出版された伝説的写真同人誌とコラボレーション
ジルサンダー」のクリエイティブディレクターも務めているルーク・メイヤーが2014年に設立したブランド、「OAMC(オーエーエムシー)」。パリでデザイン、ミラノで生産を行い、ワーク、ミリタリー、ストリートなどさまざまなスタイルを踏襲したシンプルで上質なアイテムを展開する。
本アイテムは、日本でかつて出版されていた写真同人誌『provoke』とコラボレートしたコレクションの1品。『provoke』は、中平卓馬、高梨豊、多木浩二、岡田隆彦らによって1968年に創刊され、2号目からは森山大道も参加。“思想のための挑発的資料”を副題に掲げ、3号のみの出版だったものの、写真誌の枠を超えたインパクトを世の中に残し、現在も国内外で高い評価を受けている。
紹介するのはスウェーデン軍のヴィンテージコットンスノーパーカをミネラルグレーでオーバーダイしたパーカ。『provoke』のフォトを配し、裾には岡田隆彦の詩が落とし込まれている。
OAMC オフィシャルサイト https://jp.oamc.com
BLESS


花柄ジャケットのソースは、日本の伝統作業着「もんぺ」
「ブレス(BLESS)」は、デジレー・ハイスとイネス・カーグの2人がデザインを手掛けるベルリンとパリを拠点とするブランド。“ユニセックス・エイジレス・タイムレス・ボーダーレス”をキーワードに幅広い年代のさまざまな方に長く愛されるアイテムを提供している。
その「ブレス」が日本の古き良き作業着である「もんぺ」から着想を得たアイテムをリリース。もんぺでよく見られる花柄のキルティング生地は、自分達でデザインを起こすのではなく、日本のもんぺ・農作業着メーカーのもんぺアイテムを彼らなりに再構築している。もんぺならではのレトロな雰囲気があるアイテムに仕上がるとともに、日本の伝統着に対するデザイナーの敬意も感じられる。やや長めのストンとしたシルエットや襟と袖のリブなどでファッション性も向上。
ジャケットの他、パンツもリリース。ヨーロッパの感性と日本の伝統が合わさった1着を華やかに着こなしたい。
ディプトリクス 03-5464-8736
AHLEM


日本への造詣が深いデザイナーが日本の職人に制作を依頼
「アーレム(AHLEM)」は、フランス出身でロサンゼルスを拠点に活動するデザイナーのアーレム・マナイ・プラットによるアイウェアブランド。2013年の設立以来、フランスの職人が手掛けるハンドメイドのアイテムをリリースしてきたが、2022年より日本の職人が手掛ける「チタンコレクション」を発表。
アーレムはかねて日本の文化に対する造詣が深く、ブランドロゴは1964年の東京オリンピックのロゴデザインにインスパイアされて作成しているほど。日本の職人にいずれアイウェアを作ってもらうことをブランド設立当初より願っており、約10年の月日を経てついに結実する形となった。
フランス以外の職人が初めて手掛けることになった本作は、デザイナーに大きな影響を与えてきた安藤忠雄の作品をオマージュして、ブランドの信念である“デザインと機能性を併せ持つ美しさ”を表現。シンプルで繊細なフォルムで、テンプルやノーズパッドの内側にはグラフィックが落とし込まれている。
グローブスペックス エージェント 03-5459-8326
Photography Erina Takahashi
Styling Takuta Raita
Text Kango Shimoda