シンガポール発「ザ・サルベージズ」が米写真家メアリー・エレン・マークのフォトTシャツを制作 「TOKiON the STORE」で発売

「TOKiON the STORE」でオープン以来取り扱っているシンガポール発のブランド「ザ・サルベージズ」。これまで創設者のアーン・チェンとデザイナーのニコレット・イップが影響を受けたバンドをモチーフにしたTシャツDIYシャツなどを発表してきたが、今回、新たにアメリカの写真家メアリー・エレン・マークの作品をプリントしたフォトTシャツを制作した。Tシャツは4種類で、全世界各50枚限定。「ザ・サルベージズ」のEC以外では「TOKiON the STORE」のみの展開となり、12月24日に発売する。なおメアリー・エレン・マーク財団が写真を提供したオフィシャルフォトTシャツは今回が初となる。

メアリー・エレン・マークは1940年にアメリカ・ペンシルベニア州で生まれた。彼女は売春婦やホームレス、麻薬中毒者といった社会問題に目を向けた写真家として知られる。1983年にはシアトルの家出した少年少女を撮影し始め、その一連の作品は『LIFE』で特集され、彼女の代表作である写真集『Streetwise』に収められている。

その中で出会った当時13歳のTinyとは、メアリー自身が2015年に生涯を閉じるまで親交があった。Tinyがハロウィンの衣装に身を包んだ1枚は、『Streetwise』の表紙にもなっており、今回のコレクションにも採用されている。

メアリーは頻繁に展覧会を開催したり写真集を販売したりしており、その積極的な活動とドキュメンタリーな作風によって、今も世界中にファンが存在している。

アーンとニコレットも彼女の被写体へ向ける視線に引かれていて「メアリーの挑発的で考えさせられる作品には、いつも感銘を受けてきた。もちろん彼女はすばらしい写真家だけど、それ以上にヒューマニストなんだ」と語る。今回のコレクションでは、撮影当時の社会問題を切り取ったものから、愛くるしいものまで、厳選した4枚を選んだ。

「Tiny in Halloween costume」(シアトル、1983)

先述の13歳の少女Tinyを写した、メアリーを代表する1枚。カメラへ向けた眼差しはおぼろげだが、どこか気取ったポーズをとっている彼女の胸にはどんな思いが秘められていたのだろうか。後にTinyは10人の子どもを持つ、麻薬中毒に苦しむシングルマザーとなり、それまでの過程は『Tiny, Streetwise Revisited』に収められている。「メアリー・エレン・マークが生涯を通して友達だったTinyという女性の写真で、とてもアイコニックな1枚だ。『Streetwise』の表紙にも採用されているね。」(アーン)。

「White Junior and Justin with their boomboxes」(シアトル、1983)

「White Junior and Justin with their boomboxes」(シアトル、1983)
街中でブームボックスを持つ2人の男の子を写した1枚。「この子達がブームボックスを使っていたところが好きなんだ。同じ頃、僕も自分のブームボックスを持って街をふらついていたよ」(アーン)。

「Gay Pride Parade」(ニューヨーク、1973)

ニコレットが選んだ1枚。「1973年にニューヨークで行われた、『プライド・パレード』と呼ばれる前の同性愛者によるパレードの写真ね。カルト的な人気の『パリ、夜は眠らない。』が上映されるずっと前、メアリーは当時物議を醸した1967年の「Miss All-America Camp Beauty Pageant」(女装した男性がその美しさを競い合った。この様子を追ったドキュメンタリー映画『The Queen』も制作されている)と主催者のジャック(Flawless Sabrinaという名前でドラァグクイーンとして活躍)を撮影していたの。LGBTQという言葉が使われる前のことだし、メアリーが時代に先駆けていた証明だと思う。彼/彼女達の人生にスポットを当てて、リアルで特別な物語を捉えていたのよ」(ニコレット)。

「Ruby Tuesday as Minnie Mouse」(ニューヨーク、2014)

某キャラクターの仮装をした犬の表情がなんとも愛くるしい。犬をこよなく愛するアーンとニコレットおすすめの1枚だ。「犬がプリントされたTシャツがとにかく好きなんだ。見るだけでほっこりした気持ちになるよね」(アーン)。

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TOKION EDITORIAL TEAM

2020年7月東京都生まれ。“日本のカッティングエッジなカルチャーを世界へ発信する”をテーマに音楽やアート、写真、ファッション、ビューティ、フードなどあらゆるジャンルのカルチャーに加え、社会性を持ったスタンスで読者とのコミュニケーションを拡張する。そして、デジタルメディア「TOKION」、雑誌、E-STOREで、カルチャーの中心地である東京から世界へ向けてメッセージを発信する。

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