渋谷・宮下パークのギャラリーSAIで、スイス人の写真家フィリップ・フラニエールの写真展「Balancing Act」が開催される。会期は7月30日〜8月22日。
ロンドンとスイスを拠点にするフラニエールはコンセプチュアルなテーマのもと、写真の美しさを多用なアプローチで表現し続けてきた。これまで、コマーシャルフォトグラファーとして「エルメス」や「ディオール」「カルティエ」などラグジュアリーブランドへの写真提供も行ってきており、スイス・ローザンヌ州立美術学校(ECAL)では講師としても活動をしている。
同展はフラニエールの代表的な写真シリーズ「Greppon」と「Punctum」の最新作で構成される。過去5年間にスイスのワリスで撮影された「Greppon」は、フラニエールの自然や高山の環境に結びついた神話を探究したいという欲求が制作のきっかけ。高齢化する田舎の山村地域を通じて、都会ならではの圧迫された閉塞感から逃れたいという願いも込められている。フィクションとドキュメンタリーの間の現実を歪めて、物を記号化することで神話が形成されるという意味を反映している。
2.「Greppon」シリーズより Untitled, 2018
「Punctum」は、謎めいた環境の中で物体が無重力状態で浮かんでいるようなイメージを作り出した、形而上学を探求する実験的なシリーズだ。被写体の物体は、実際にフラニエールが拾ったものを使用、記念碑的な意味が込められている。慎重に照明を当てた物体は彫刻のようにも見えるが、鑑賞者に被写体に対して新しいイメージを与えることを目的としている。
4.「Punctum」シリーズより Untitled, 2020
同シリーズは、新型コロナウイルスのパンデミックによるロンドンでの最初のロックダウン時に、フラニエールのスタジオで制作がスタート。想像の場所でもあったスタジオでフラニエールは、積み木で遊んだり、さまざまな構図でオブジェクトを配置してストーリーをつくる楽しさを感じながら作品を作り上げた。また、作品はエディション付きポスター(20枚)と500部限定のZINEとして販売される。