「TOKION」 × 「レショップ」Vol.2 現代的に蘇るヴィンテージのストーリー こだわり抜いたデニムジャケットが完成

“1番の名品と大差ない、2番目に良いもの”を意味する「GOOD SECOND」をキーワードに、「TOKION」キュレーターの源馬大輔とセレクトショップ「レショップ」コンセプターの金子恵治が、ヴィンテージアイテムを再解釈し現代的にアップデートしていくコラボレーションシリーズ。その第2弾として9月18日にリリースされるのが、「ネクサスセブン」の今野智弘を迎えたトリプルネームのデニムジャケット“Trucker JKT Mod.”だ。

「ベルベルジン」ディレクターの藤原裕が、ヴィンテージデニムアドバイザーとして持ち込んだ膨大な数のヴィンテージデニムジャケットを参考に、今の気分と寄りそうように仕立てた1着は、トリプルネームの3者の他、「スタビライザージーンズ」デザイナーの矢實(やざね)朋がパタンナーとして参加した。

そんな豪華な顔ぶれが作った渾身作を、中心メンバーである源馬、金子、今野によるコメントとスナップで、シルエットやディテールの詳細を紹介したい。

ヴィンテージの表情を再現しつつ今の気分に合わせたシルエットに

約1年前から「GOOD SECOND」によるデニムジャケットの製作がスタートし、ようやくリリースに至った。前回でも触れたが、ヴィンテージデニムジャケットのサンプルを手にしながら、ディテールやサイズ感、素材を見直しつつ、細部にまで一切の妥協を許すことなく全員の総力を結集して作り上げた自信作だ。汚れや補強やカットオフが施された完成品は、ヴィンテージさながらの表情を見せるが、着丈や身幅などのシルエットが微調整され、今っぽく着こなせる。

襟と袖がカットオフされている仕様が目を引くが、その理由を金子がこう話す。
「実は数年前、原宿の『ベルベルジン』で、衿と袖がカットオフされたデニムジャケットを購入していて、それがシャネルジャケットのようで気に入っていました。僕の身長(170cm)だと、袖口がカットオフされているほうがちょうど良い長さだったし、デザイン的にも普通にデニムジャケットを作るより、エッジを効かせたいと思い、叩き台として提案したら、みんなが賛成してくれました」(金子)。

生地の加工や縫製などを考案したのは、「ネクサスセブン」の他、デニム生地を追求するブランド「ビヨンデックス」も手掛けている今野。
「加工後に、できるだけヴィンテージのデニム生地に近い落ち感とシボ感を出せるように、『ベルベルジン』の藤原くんも含めて『ビヨンデックス』チームで議論しました。当時のデニムジャケットのように、綿糸での縫製をすると、加工後の縫製糸の脆弱化が懸念されたので、コアスパン糸を採用しています。デニムパターンのスペシャリストである矢實くんの協力を得ながら、みんなで話し合い、より今っぽいシルエットに微調整したことで、良い方向でオリジナル超えを果たせたのでは、と思っています。何度も修正してくれた矢實くんは、本当に大変だったと思いますが……(笑)」(今野)。

そして、たび重なる修正を経て完成した本作の完成を見た源馬は、「もともとベースとなった金子さんのデニムジャケットを見ていましたが、ここまでの完成度とは。僕自身もデニムは好きですし、今野さんの作る『ビヨンデックス』のファンで絶対的に信頼していたので、口を出すところなんてないですね」(源馬)。

時代を超えて新たな表情で現代によみがえるデニムジャケット

完成したデニムジャケットを、スタイルサンプルとしてそれぞれに着こなしてもらった。

「着古したヴィンテージさながらの仕上がりなので、積極的にキレイめなアイテムや上品なアイテムと合わせたいですね。例えば、ウールのスラックスとスニーカーを、チノパンと革靴を、といったように、どこかで締めていくのが気分です。ヴィンテージのスウェットとかと合わせて、1990年代のハードアメカジみたいにコーディネートするのもアリです。完成度が高いので、リアルな古着とも相性が良いのは間違いありません」(金子)。

「ノーカラー仕様ということもあり、襟元の汎用性も高いのが魅力だと思うので、襟付きのシャツスタイルでも、丸首でも合わせられると思います、でも個人的には、立ち襟の薄手のジャケットやパーカの上から羽織ってみるのも、おもしろいかなと思います」(今野)。

「トリッキーに見えるノーカラータイプだけど、デザイン自体はオーセンティックなので、なんでも合わせられると思います。僕だったら、コートの下でも着てしまうし自由に楽しんでほしいですね」(源馬)。

今回「GOOD SECOND」に携わった今野は、ヴィンテージをモチーフにして作ったデニムジャケットに、こんな思いを抱く。「価格の高騰や枯渇などで手を出しにくい人も多いヴィンテージデニムですが、今回作らせてもらったこちらは、ヴィンテージをモチーフにしつつも、デザイン性やシルエット感は現代の気分にマッチするので、ユース世代を含めて幅広いファッション好きに響いてくれるのでは、と期待しています」。
その言葉の通り、年々数が減少し、価格は右肩上がりとなっているヴィンテージデニム。それに匹敵するほどの完成度で仕上がり、現代らしく着こなせるこちらにも、満足できることだろう。

Photography Shinpo Kimura
Text Shogo Komatsu

author:

TOKION EDITORIAL TEAM

2020年7月東京都生まれ。“日本のカッティングエッジなカルチャーを世界へ発信する”をテーマに音楽やアート、写真、ファッション、ビューティ、フードなどあらゆるジャンルのカルチャーに加え、社会性を持ったスタンスで読者とのコミュニケーションを拡張する。そして、デジタルメディア「TOKION」、雑誌、E-STOREで、カルチャーの中心地である東京から世界へ向けてメッセージを発信する。

この記事を共有