今の気分にフィットする、手に入れたいアイテムをTOKION視点でセレクトする「Tokyo Wish List」。「秋の日はつるべ落とし」と言われるように、気付けばあっという間に日が暮れてしまう季節。いつのまにか太陽は傾き始め夕方になり、そして夜が来る。そんな日が短い季節の夜には、間接照明の優しい光で部屋の中に温かみをともしてみては。きっと体も心もほっこり温かくなるはず。
Fumie Shibata × BROKIS
ボンボリにともる柔らかな光
ひと目で日本の伝統的な照明を連想させるフォルムと、中央から放たれる優しい明かり。こちらは、チェコのボヘミア地方で吹きガラスの技術を200年以上継承する、老舗のガラス工場による照明ブランド「ブロッキス(BROKIS)」が、国際的に活躍する日本人のプロダクトデザイナー、柴田文江とコラボレートして生み出したフロアライト。デザインのモチーフとなっているのは、日本で古くから神社の明かりとして使われてきたぼんぼりだそう。金属とガラスの硬質な素材を組み合わせて、温かみのある日本の伝統的な照明を現代的にアップデートさせている。
中央に1本、まっすぐ芯を通すような直線的な円柱部分と、そこから放たれる光を丸く包み込む手吹きガラスの形が生み出す美しいコントラスト。光源を覆う円柱の穴の大きさを変えたことで、ろうそくなどの光のような丸みのある炎を再現している。優しく佇む明かりは、寒い冬の夜に静かに寄り添ってくれる。
TOKUJIN YOSHIOKA × YAMAGIWA
サイズは、H29.5cm × W29.5cm × D7cm
光がものを形作る
プロダクトのみならず、建築、アートの領域においても活躍するデザイナー、吉岡徳仁。世界の有名な美術館に作品が永久所蔵されており、まさに日本を代表するデザイナーでありアーティストだ。その国際的に活躍する彼の作品は、光や自然をテーマにした作品が多く、それらには日本的な美の根源が映し出されている。
今回は、吉岡徳仁がデザインしたアイコニックな仕上がりの照明をピックアップ。本作は、吉岡徳仁と「ヤマギワ」による初のコラボレーション作品”ToFU”で、モチーフは豆腐。立体的な四角いアクリルの中に、光源を埋め込んだようなデザインが秀逸。光そのものをデザインすることがコンセプトで、約30cm四方、7cmほどの分厚いクリアアクリルの中にライトが差し込まれている。その光源からアクリルの中を、すっとしなやかに伸びる光の筋も美しい。四方の縁の断面の部分からも淡く輝いており、無色透明のアクリルだったその照明自体も、光によってその存在を際立たせている。光は常日頃あまりにも身近にあり過ぎて、その存在を感じることは少ないけれど、改めて見つめてみることでまだまだ可能性が潜んでいることを感じさせてくれる。
Y.S.M PRODUCTS
サイズは、H30cm × W35cm × D3.5cm
愛され続けるあんどんの温もり
埼玉県は八潮市を拠点に照明や什器を手掛ける「ワイ・エス・エムプロダクツ(Y.S.M PRODUCTS)」から、同じく埼玉に息づく伝統工芸、小川和紙を使った照明が登場。日本の伝統的照明であるあんどんをモダンに仕上げた”and-on”は、2021年のiFデザインアワードを受賞している。日本産のコウゾというクワ科の木の実の繊維を使い、伝統的な流漉きの手法と用具で作られる小川和紙は、ふわふわと柔らかいけれども耐久性があり、1000年でも保管できるという。そんな特殊な和紙を透過して届く光は、ふんわりと温かみのある有機的な明かりを届けてくれる。通常、竹や木の素材で縁取られる枠は真ちゅうで仕上げられ、縦にも横にも置いて使うことができるのも嬉しい。丸みのある温かな光は、そっとその場を明るくともしてくれるはず。また、両面から発光するので、壁際に置いて光を反射させて使うことも。思わず抱きしめて眠りたくなるような、丸い光の固まり。今の季節の夜長に、古来愛され続ける明かりの温もりを味わってみては。