写真家のオノデラユキは、新作個展「ここに、バルーンはない。」を東京・銀座のリコーアートギャラリーで4月9日まで開催している。
オノデラは、1993年に拠点をパリに移し、カメラ自体に手を加えて撮影したり、写真にペイティングを取り入れたりするなど、多彩なアプローチで作品を制作。新作は、パリで1900年初めに撮影された、第二次世界大戦中に同地がドイツによって占領されていた時に溶かされたバルーンの彫像の写真を、オノデラが見たことがきっかけで制作された。
個展では、かつて彫像があった広場を撮り拡大して粒子が荒くなった銀塩写真に、デジタルカメラで撮影した溶かしたオブジェの写真を立体的な絵の具のように融合させた7点を連作として展示する。テーマである「溶けてなくなったバルーンの彫像」を通して、「なぜ溶かさなければならなかったのか」という理由を問いかける作品となっている。
また、2006~2014年に制作した、隠しカメラで人々の仕草や動きを撮影したシリーズ『Eleventh Finger』など過去作品も展示する。