現代アーティストのゲルハルト・リヒターの個展が、6月7日~10月2日に東京国立近代美術館で開催する。リヒターの日本の美術館での個展は16年ぶりで、東京では初となる。
リヒターは油彩画や写真、デジタルプリント、ガラス、鏡など多岐にわたる素材を用いて、具象表現と抽象表現を行き来しながら、人がものを見て認識するという原理に一貫して取り組み続けてきた。
本展では、リヒター自身が手元に置いてきた初期作から最新のドローイングまで約110点を展示。中でも、近年の彼の最重要作品と言われ、幅2メートル、高さ2.6メートルの作品4点で構成される巨大な抽象画『ビルケナウ』が日本初公開となる。『ビルケナウ』はホロコーストがテーマで、絵の具の下にはアウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所で囚人が隠し撮りした写真を描き写したイメージが隠れている。今回は、作品と全く同寸の4点の複製写真と大きな横長の鏡の『グレイの鏡』とともに展示する。
右:ゲルハルト・リヒター『ビルケナウ(937-2)』
右:ゲルハルト・リヒター『ビルケナウ(937-4)』
2014年 ゲルハルト・リヒター財団蔵
(c) Gerhard Richter 2022 (07062022)
他にも、写真を忠実に描いた『フォト・ペインティング』や複数の色を使った『カラーチャート』、グレイの色彩で画面をおおう『グレイペインティング』、『アブストラクト・ペインティング』、写真に油絵具などを塗りつけた『オイル・オン・フォト』などを展示し、今年90歳を迎えた彼の60年におよぶ画業に迫る。
ゲルハルト・リヒター財団
右:ゲルハルト・リヒター『4900の色彩(901)』 2007年 ゲルハルト・リヒター財団蔵
右:ゲルハルト・リヒター『アブストラクト・ペインティング(952-2)』 2017年
ゲルハルト・リヒター財団蔵
右:ゲルハルト・リヒター『2014年12月8日』 2014年 ゲルハルト・リヒター財団蔵
右:ゲルハルト・リヒター『2021年8月17日』 2021年 ゲルハルト・リヒター財団蔵
(c) Gerhard Richter 2022 (07062022)