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写真家・三ツ谷想が「グッチ」の“グッチ オフ ザ グリッド”の新作と作品でコラボレーション 自分の中の“緑”を重ね合わせて表現

ファッションシーンの中でも積極的にサステナビリティ向上に寄与をし続けている「グッチ(GUCCI)」が、同ブランドの循環型デザインのビジョンに基づくイニシアチブ「グッチ サーキュラー ラインズ(Gucci Circular Lines)」からのコレクション、“グッチ オフ ザ グリッド(GUCCI OFF THE GRID)”の新色アイテムをローンチした。

このローンチに合わせて「グッチ」は、写真家・三ツ谷想と作品でコラボレーションしたプロジェクトを展開。虚構と現実を写真の上で組み合わせ、独特の“違和感”を表現する三ツ谷が、“グッチ オフ ザ グリッド”をどのように捉え、表現したのか。その創作背景に迫る。

コラージュは自分の思っている通りになるし、写真なのに絵を描く感覚みたいでおもしろい

——写真家として活動を始めたきっかけを教えてください。

三ツ谷想(以下、三ツ谷):最初は音楽をやっていたんです。その時から写真も好きで、趣味程度には撮っていたんですけど、当時の彼女が写真美術館で働いていて、僕の撮った写真を見て「写真をやったほうがいいよ」と言われて。そこから、写真の世界には写真集や写真展があるといったカルチャーも知るようになって、ちゃんとやってみようと思うようになりました。そのことを彼女に話したら、「家にある音楽機材をすぐに売ってカメラを買いなさい!」と言われて(笑)。それで実際に楽器を売りにいって1台のカメラを買ったんです。そこから後に引けなくなって……。

——では、写真家として意識し始めたのはいつ頃でしょうか?

三ツ谷:作家として意識し始めたのは、ロンドンのメディアが自分の作品を見つけて特集を組んでくれてからですね。それで作品として見てもらえるんだ、という自信を持つことができました。それからは海外のアート誌に作品を送るようになって、人に見せるために写真を撮ることがルーティンになっていったんです。

ただ、賞とかを取らないと仕事にはなっていかないよな、と思い始めた時に「JAPAN PHOTO AWARD」というコンクールで受賞することができました。これがきっかけで国内でも作品を見てもらえるようになり、写真が仕事にもつながるようになりました。こう振り返ると、うまくいってなかった音楽から逃げ出したいという気持ちもあって、なんでもいいから新しいことにチャレンジしたいと思っていたのかもしれませんね。

——最初に海外から評価を得た作品は、今の作風のようなコラージュ作品だったのでしょうか?

三ツ谷:いえ、その頃はストレートフォトで街中の決定的瞬間を撮る、というような作品でした。でもやっていくうちに、編集や手を加えるともっと良くなるのに、と思うようなタイミングがあって、その時にフィルムで撮った写真をデータ化し、編集してみたんですよね。レタッチっていらないものを消すような作業なんですけど、僕は足すような作業をやってみました。例えば、何も映っていない鏡の中に人を配置してみたりと。そうすることで、自分の思っている通りになるし、絵を描いているような感覚でおもしろかったんですよね。撮ることよりも後からいじることが中心になってきたので、フィルムからデジタルに移行しました。

——レタッチを加える技法は、ご自身のスタイルだと思いますか?

三ツ谷:そうですね。僕のスタイルは、シャッターを切るという行為が長いと考えています。僕は写真をパシャッと撮って作業場に持ち帰り、モニター上で編集しています。その編集時には、細かいノイズだったりが出てきます。そのノイズがわかるように大きくプリントしては確認し、編集で消したりするので、その作業が終わって、ようやくシャッターが切り終わったという感覚なんですよね。

ただコラージュフォトは、世界的にはすでにありふれています。海外だとファッションフォトとアートフォトは同等に高いレベルにあり融合し合っていますが、日本は文化的にそこに大きな分断があります。なので僕のやっていることは国内では余計に目立つのだと思います。世界的な視点で見ると、コラージュという手法にプラスしてさらに踏み込んだ要素が求められるので、僕も上のレベルを目指して日々試行錯誤しています。

——コラージュという表現方法は、編集を加えればどんなこともできるし、写し出すものも無限にあると思います。例えば、ファッションの写真で撮るものが決まっている時に、組み合わせる素材やアイデアはどこから湧くのでしょうか?

三ツ谷:ゼロから生まれるということはなくて、まず何かを起点にしています。例えば、今まで撮った写真の中にあるおもしろい曲がり方をした電柱だったり。そういった起点からアイデアを広げていきます。ただファッション撮影ですと、モデルのポージングやスタイリング、ヘアメイク……などの素材を起点にして、組み合わせるものを自分の中のアーカイブから探し出すような作業をしています。なので、撮っている時は何も考えてないんですよね。撮った素材を持ち帰って、自分のアーカイブを見ていると奇跡的に組み合わさることがわりと多いんですよ。そして、そのほうが思考を停止しないでライヴ感を維持できています。

三ツ谷が制作した作品

実際に破壊できない自然のものをデジタル上で違う形のものにしてしまうのはユーモアにもなる

——続いて今回の“グッチ オフ ザ グリッド”のアイテムで作品を制作した際に、頭の中に思い描いたテーマはありましたか?

三ツ谷:まずアイテムの特徴でもある、サステナブルやグリーンといったキーワードから“自然”と”サステナブル”をテーマにしました。僕の実家がある京都の裏山に、小さい頃からずっと変わっていないお気に入りの森林があります。今回はサステナブルをテーマに、そこで撮影した写真に写っていた1本の木を繰り返し使用してすべてのイメージを制作しています。PCの中で4枚のイメージに対して同じ1本の木が繰り返し、持続をしながら様子を変え、アイテムと緩やかな関係性を見出していく過程を見ていただきたいです。

——確かに三ツ谷さんならではの世界になりますね。では、題材になった“グッチ オフ ザ グリッド”は、サステナブルに基づいた素材を用いたアイテムからなるコレクションなのですが、ご自身でサステナブルを意識した活動などはされていますか?

三ツ谷:サステナブルを意識して、あえてやっていることはないかもしれません。ですが、先ほど話した実家の近くの森とかに行って、ごみが落ちていたら拾おうとか、都内では、ほとんど自転車で移動するとかということは、普通にやっています。だから、改めてサステナブルと言われることをあえてやろうとは思いませんが、普通に生活している中でやっていることがそういった活動につながってもいるのかと、あとから思うことはありますね。身近にある大事な環境を守ることが大切と言いますか。

——ブランドやメーカーとの取り組みでの制作と、ご自身の作品を作られる時で違うことはありますか?

三ツ谷:基本的には同じスタンスでやっています。でも作品を作るのと、クライアントワークでの創作をするのは、プロセスが違います。作品の場合は、被写体が写っていても写っていなくてもよくて、コマーシャルの場合はモデルや服など、絶対に写っていなければならないものがあります。そこがまず圧倒的な違いで、必ず写さなければならないものがあると、作品としての自由度が低くなるんですけど、その分制限がある中でしか出てこないアイデアもあります。強制的な視線にさせられることで、トレーニングしている感覚にもなれますしね。それを自由度が高い作品に生かしたりもしています。そのように作品とクライアントワークを循環させて写真を撮ることを今はできているので、自分のバランスを保つこともできていますね。

僕は、小さい頃から、みんながみんななんの疑問も持たずに同じことをしているのがすごく気持ち悪いと思ってきました。例えば、工作で決められた数の色でしか塗ることができなかったり、合唱もそうです。だから写真の中では、“違和感”を表現できるというか、みんなが同じように目に見えてるものではないものをコラージュでは表現できるのも自分の性に合ってるのかもしれません。あくまでも作品は、自分の中から出ているものを描いている絵のような感覚なので。

——最後にこれから作家として、写真家としてやってみたいことはありますか?

三ツ谷:写真は、基本的に平面で見せるものですよね。でも平面を見せるには空間が必要です。なので最近は、立体造形と写真の見せ方について考えています。平面をどうやって立体に見せるかと言いますか……。ようは空間の中に、立体造形と自分のコラージュ作品をどう掛け合わせていけばよいかを考えていますね。

そして、これは継続してやりたいのですが、「思ってもいなかったアイデアを取り入れて思考を開いて作品を作れるか」というのは、永遠のテーマとしてずっと追求していきたいですね。

「自然や緑はもともと好きなモチーフではあるのですが、京都の実家の近くの緑があるところで育ったので、いつまでも色あせないでほしいという思いもあって、今回の作品と”グッチ オフ ザ グリッド”が目指す自然保護を結びつけました。グリーンで統一されているアイテムとうまく調和させながら、1本の木を繰り返し加工していく過程がおもしろかったです」(三ツ谷)

三ツ谷想(みつや・そう)
写真家。1990年京都府生まれ。音楽の道から、写真の道へ切り替え、世界から注目される。メディアや広告で活動しながらも個展も開催している。2018年にJAPAN PHOTO AWARDシャーロット・コットン(エディター)賞、デヴィット・トロ(DIS)賞を受賞。

持続可能な原料による素材を用いた、「グッチ」のサステナブルコレクション

今回、三ツ谷が作品で表現したアイテムは、「グッチ」のサステナブルな素材を用いたコレクション“グッチ オフ ザ グリッド”の新作から。各プロダクトには、端材や廃棄物が原材料の再生ナイロン糸「エコニール(ECONYL®)」や、オーガニック、バイオベースの素材が用いられており、環境に配慮したデザインが特徴だ。今回の新作は、日本先行発売カラーのフォレストグリーンコレクション。
なお「グッチ」は、2018年より自社サプライチェーン全体でカーボンニュートラルを維持しているほか、 森林やマングローブ林の保護と再生、環境再生型農業への投資など、自然環境にポジティブな変化を生み出す取り組みを継続している。7月には、エレン・マッカーサー財団の戦略的パートナーとなり、サーキュラーエコノミーへの取り組みを加速させることを発表したばかりだ。

左から時計回りに、「グッチ」のトートバッグ ¥217,800、ベルトバッグ ¥129,800、カードケース ¥47,300、スニーカー ¥99,000

グッチ ジャパン クライアントサービス
0120-99-2177

Photography Shinpo Kimura[STILL]
Edit Wataru Matsumoto (PineBooks inc.)
Motion & Sound Shigeru Suzuki (THE ME)
Produced by TOKION for GUCCI

author:

TOKION EDITORIAL TEAM

2020年7月東京都生まれ。“日本のカッティングエッジなカルチャーを世界へ発信する”をテーマに音楽やアート、写真、ファッション、ビューティ、フードなどあらゆるジャンルのカルチャーに加え、社会性を持ったスタンスで読者とのコミュニケーションを拡張する。そして、デジタルメディア「TOKION」、雑誌、E-STOREで、カルチャーの中心地である東京から世界へ向けてメッセージを発信する。

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