現代美術家・デザイナーの宇平剛史による個展「事物の生」がN&A Art SITEで開催

モノクロームを基調とする静謐な作品を制作する気鋭の現代美術家・デザイナーの宇平剛史による個展「事物の生」が3月3〜17日に東京・中目黒のN&A Art SITEで開催する。初日の3月3日の15:00からは作家が在廊し、17:30〜19:30にはオープニングレセプションが行われる。

宇平はグラフィック・デザイナーとして、ドナルド・ジャッドの作品集などの美術書の装幀を手掛ける一方で、現代美術家としても活動を続け、2022年10月には初の作品集『Cosmos of Silence』を出版した。

同展では、繊細で複雑な人の皮膚の肌理(きめ)を印刷表現で提示する連作“Skin”をはじめ、真っ白な紙の存在及びテクスチャーと直に対峙する新作の平面作品“White Papers”、光学ガラスの破片を用いた新作の立体作品“Optical Glass”などが展示される。

事物自体に備わる固有の「生」に関心を持つ宇平は、その表皮やテクスチャーとの触覚的な関係の中で制作を重ねてきた。人の皮膚が持つ無限の肌理を高精細のグレースケール写真で表現した連作“Skin”は、実際の皮膚と見紛うほどの生々しい物質感を纏う。新作“White Papers”は、宇平の作品の根幹にある「真っ白な紙の状態がもっとも美しい」という感覚の純粋な現れであり、紙という事物の存在及びテクスチャーが全面的に肯定されている。 2021年に発表した“Glass Balls”に続く、ガラスをモチーフにした新作の立体作品“Optical Glass”は、光学ガラスの製造過程で偶発的に生成されたガラス片のフォルムが、空間の中で身体や紙といった存在と呼応しながら配置される。

 

宇平の作品は、作家自身が媒介となって、従来の事物への認識を揺さぶり、人間と事物との新たな関係性を探求する芸術の実践でもある。同展は、表立って意識されることが少ない紙やガラスといった「事物」に備わる固有の「生」を思考する機会となる。

■宇平剛史「事物の生」
会期 : 3月3〜17日
会場 : N&A Art SITE
住所 : 東京都目黒区上目黒 1 丁目 11-6
入場料 : 無料
時間 : 12:30〜17:30
休日 : 日曜・祝日

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TOKION EDITORIAL TEAM

2020年7月東京都生まれ。“日本のカッティングエッジなカルチャーを世界へ発信する”をテーマに音楽やアート、写真、ファッション、ビューティ、フードなどあらゆるジャンルのカルチャーに加え、社会性を持ったスタンスで読者とのコミュニケーションを拡張する。そして、デジタルメディア「TOKION」、雑誌、E-STOREで、カルチャーの中心地である東京から世界へ向けてメッセージを発信する。

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