ピカソやセザンヌ、シャガール、マティスらの作品が集結 「芸術家たちの南仏」展が千葉のDIC川村記念美術館で開催

20世紀に芸術が展開された場としての南仏にフォーカスした展覧会「芸術家たちの南仏」が、3月11日〜6月18日に千葉のDIC川村記念美術館で開催する。

同展では、南仏で広がりをみせた交流や表現、技法に着目し、国内の美術館などが所蔵する約30作家の作品とおよそ150点の関連資料を展示。パブロ・ピカソやアンリ・マティス、ポール・セザンヌ、マルク・シャガール、ソニア・ドローネーらのアートピースが並ぶ。

ヴァンスやニース、マルセイユを中心とした南仏は、パリからイタリアへ向かう旅の中継地であり、19世紀末以降に多くの芸術家たちの制作の地となった。地中海や山々に囲まれた豊かな自然やまばゆい光、土地に根ざした伝統技法は、芸術家たちの創作意欲を刺激し、さまざまな名作が南仏で誕生した。

会場入り口では、初期映画の生みの親であるリュミエール兄弟が南仏で撮影し、当時の人々を驚かせた『ラ・シオタ駅への列車の到着』を上映する。さらに第一室では、豪華列車ブルー・トレイン(トラン・ブル)を描いたモイーズ・キスリングの『風景、パリ―ニース間の汽車』を展示し、映像作品と油彩作品の2つの列車が鑑賞者を南仏の旅へ誘う。

芸術家たちが制作の地として自ら選ぶ場であった一方で、第二次世界大戦中の南仏は、敵性外国人として収容されたドイツ人の芸術家や、フランスのドイツ降伏を受けて他国への亡命をめざしたシュルレアリストたちが否応なく集う場でもあった。同展では、そうした状況で生まれた作品も展示することで、南仏の温かなイメージとは異なる面も提示する。

また、南仏は芸術家同士や地域の職人との交流の場でもある。セザンヌに影響を受けた若い芸術家たちによるフォーヴィスムやキュビスムなどの実験的な油彩画をはじめ、版画や彫刻、陶芸、映画、切り紙、タピスリーなど多様性に富んだ作品が生まれた。晩年に南仏で活動した芸術家たちの集大成ともいえる壁画や礼拝堂などのモニュメンタルな作品も残っている。

同展に際し、3月18日と4月15日の11:30からは学芸員によるギャラリートークを開催。また、担当学芸員である中村萌恵が5月20日11:30にはふくやま美術館の鈴木一生を、6月10日11:30には宇都宮美術館の藤原啓を迎えたキュレーターズ・トークも行う。

5月13日13:30〜15:00には、写真家・東京藝術大学美術学部先端芸術表現科教授の鈴木理策による講演会「『知覚の感光版』について」も開催。講演会は事前予約が必須だ。

また、レストランではマティスが南仏で制作した切り紙絵『ミモザ』にちなみ、イタリアの伝統菓子「ミモザケーキ」をアレンジした特別デザートも提供。さらに、3月中にミモザイエローの服で来館すると、入館料金を200円引きするキャンペーン「ミモザ割」も実施する。

■芸術家たちの南仏 Rendez-vous dans le Midi
会期 : 3月11日〜6月18日
会場 : DIC川村記念美術館
住所 : 千葉県佐倉市坂戸631
時間 : 9:30〜17:00 (入館は16:30まで)
休館日 : 月曜

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TOKION EDITORIAL TEAM

2020年7月東京都生まれ。“日本のカッティングエッジなカルチャーを世界へ発信する”をテーマに音楽やアート、写真、ファッション、ビューティ、フードなどあらゆるジャンルのカルチャーに加え、社会性を持ったスタンスで読者とのコミュニケーションを拡張する。そして、デジタルメディア「TOKION」、雑誌、E-STOREで、カルチャーの中心地である東京から世界へ向けてメッセージを発信する。

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