アーティスト、ケニー・シャーフの新作個展「I’m Baaack」が6月10日から開催

NANZUKA は、アメリカ人アーティスト、ケニー・シャーフ(Kenny Scharf)の個展「I’m Baaack」を開催する。本展は、シャーフにとって、日本のプライマリーギャラリーにおける展覧会として、約30年ぶりとなる新作個展となる。本展覧会は、「NANZUKA UNDERGROUND」の他に、草月会館との2会場にて開催する。

草月会館においては、イサムノグチ石庭における新作の立体彫刻作品のインスタレーションに加えて、1985 年に草月会館が主催した「アートインアクション」展の際に、シャーフ自身がペイントと改造を施したキャデラック「夢の車」が 38 年ぶりに限定公開される予定だ。

ケニー・シャーフは、1958年生まれ、アメリカ・カルフォルニア州出身。1980 年に NY の School of Visual Arts を卒業。その後、アンディ・ウォーホルをメンターとして、グラフィティやコラージュを主要な表現スタイルとする「イース ト・ヴィレッジ・アート・ムーブメント」の一員として、バスキアやキース・ヘリングといった同世代のアーティストと共に一躍大きな脚光を浴びた。1985年には、ホイットニー・ビエンナーレに参加。自身のユニークな創作を説明するために「ポップ・シュルレアリスト」という用語を生み出しました。現在では、独自のキャラクターを駆使したアート作品という 21 世紀型ポップ アートのトレンドに繋がる文脈を切り開いた先駆者として、多くの若いアーティストの尊敬を集めている。

シャーフの作品の特徴は、カラフルな色彩と独自のキャラクターにある。「原始家族フリントストーン」や「宇宙家族ジェットソン」のファンを公言するシャーフは、こうした漫画アニメの引用から自身のキャラクターの着想を得たと語っている。宇宙人とも巨大化した微生物とも、植物の妖怪のようにも見えるシャーフのキャラクターについて、シャーフは自分自身や友人たちのメタファーであり、怒りや喜び、眠気、空腹といったごく自然な感情を表していると解説する。また、その色彩も、私達のあらゆる感情を表すものと説明する。シャーフの作品における動き、スピード感は、そのまま即ち生命感という最も重要な文脈を担う。

本展覧会のためにシャーフが描きあげた新作には、変幻自在に形を変え、飛び回ったり、動き回ったりと表情豊かな キャラクター達が登場する。それは、良い意味でも悪い意味でも、私達人間の自由な姿を連想させる。完成した作品を注意深く見ると、そこには日本語で「温暖化」、「見えぬ道筋」、「原告」、「医療システム整備」といった言葉が散りばめられている。シャーフは、今回の日本での個展にむけて、日本語の新聞を集め、私達が現在向き合っているテーマに関するキーワードを画面の中に忍ばせた。若い頃に、ドラッグやエイズなどで多くの友人を失った経験を持つシャーフにとって、あらゆる社会の問題が、その創作活動の背景にはある。

また、本展では日本では初公開となるインスタレーションを発表する。シャーフは 1981年に、使い古した玩具や家電といったファウンドオブジェクトとブラックライト用いたインスタレーション「Cosmic Cavern」を発表。空間を丸ごとビビットなネオン色に変換し、没入型の視聴体験を提供するこの作品は、シャーフの芸術を象徴するシリーズと して現在も進化を遂げ続けている。

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TOKION EDITORIAL TEAM

2020年7月東京都生まれ。“日本のカッティングエッジなカルチャーを世界へ発信する”をテーマに音楽やアート、写真、ファッション、ビューティ、フードなどあらゆるジャンルのカルチャーに加え、社会性を持ったスタンスで読者とのコミュニケーションを拡張する。そして、デジタルメディア「TOKION」、雑誌、E-STOREで、カルチャーの中心地である東京から世界へ向けてメッセージを発信する。

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