ポップなキャラクターが特徴的なアーティストのヘブル・ブラントリーによる個展「ミトス・オーパス・パート1」が開催

アーティストのヘブル・ブラントリーによる個展「ミトス・オーパス・パート1」が東京・銀座の「メグミオギタギャラリー」で開催中だ。会期は11月20日まで。

ブラントリーは、アメリカ・シカゴ生まれ。クラーク・アトランタ大学で映画の学士号を取得、デザインとメディアイラストレーションのバックグラウンドを持ち、現在はロサンゼルスに在住しながら数多くの個展やグループ展、アートフェアに参加し、作品は世界的な人気を集めている。

ブラントリーは概念化されたキャラクターを象徴的に用いながら、郷愁、精神、力や希望などの複雑なアイデアを形にしてきた。配色、ポップアート的なモチーフ、そして彼の生み出すキャラクター達が、重層で多面的な作品をより身近なものにしている。彼は1960年代から70年代にかけてシカゴのサウスサイドで起こったアフリコブラ運動に多大な影響を受けており、壁画やグラフィティ作品をアフリカ系アメリカ人である自身の系譜としている。油彩、アクリル、水彩やスプレーから、コーヒー、紅茶などの非伝統的な媒体まで、さまざまな素材を用いて制作する彼の作品は従来のヒーローや主人公の見方に対する挑戦であり、鑑賞者に新たな視点を与える現代の物語でもある。

作品は、一貫して「ダーク・フィクション」という大宇宙の探求をテーマにしている。ここでのダークとはアイデンティティ、出自、考え方などを意味し、それらを紡いで1つの物語が構成されており、この独自の概念によって、ミッキーマウスやバットマンと並んで存在する規範の中に、英雄の如く空を見上げるキャラクター、フライ・ボーイを生み出した。また、緑色のヘルメットで頭を包み込んだフィビーは協調性が必要だと感じており、特に黒人には脅威がなく、他者にとって安全だと感じさせることを自らの使命としている。一方で彼のヘルメットは、黒人にとっての隠れ家や盾の役割も果たしているなど、ブラントリーはこれらのキャラクターを駆使して、現代文明と神話の再評価を行っている。

ブラントリーは展示にあたり「今回の展覧会では、アメリカの有名キャラクターを通して『男らしさ』という概念を探ります。バットマンやロビンなどの肖像を用いながら、思春期から大人になるまでの道のりと、その旅がもたらすものに迫ります。現代文明の中で、リーダーシップと過剰な男らしさの相関関係は変容し、結果として男らしさへの理解や期待にも以前との違いが見られるようになっています。
今展では、私達がヒーローの存在をどのように認識しているのかを問いかけます。私たちのリーダーは誰なのか、誰に従うべきなのか、またその理由とは」とコメントを寄せている。

本展にてブラントリーは会場全体をデザインし、宇宙空間に21点の作品が浮遊するかのような意欲的な展示に挑戦している。また、「NANZUKA 2G」で「Mythos Opus Pt. 2」(11月14日まで)、「3110NZ by LDH kitchen」で「Mythos Opus Pt. 3」(11月13日まで)も開催している。

■ヘブル・ブラントリー「ミトス・オーパス・パート1」
会期:2021年10月29日〜11月20日
会場:メグミオギタギャラリー 
住所:東京都中央区銀座2-16-12 銀座大塚ビルB1
時間:11:00〜19:00 
休日:日・月・祝日
入場料:無料
https://www.megumiogita.com/hb202110mythos-opus-pt1

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TOKION EDITORIAL TEAM

2020年7月東京都生まれ。“日本のカッティングエッジなカルチャーを世界へ発信する”をテーマに音楽やアート、写真、ファッション、ビューティ、フードなどあらゆるジャンルのカルチャーに加え、社会性を持ったスタンスで読者とのコミュニケーションを拡張する。そして、デジタルメディア「TOKION」、雑誌、E-STOREで、カルチャーの中心地である東京から世界へ向けてメッセージを発信する。

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